2011年09月23日

細菌性赤痢情報と国立感染症研究所の生い立ち

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 細菌性赤痢。全く情報が出てきませんが、着実に広がっています。

国立感染症研究所
2011年35週(第35号) ダイジェスト版から
 注目すべき感染症
◆ 細菌性赤痢 (2011年9月7日現在)
 2011年の細菌性赤痢は、診断第1〜35週までの累積報告数が175例で、感染地域別では国外87例、国内86例、不明2例である。原因菌の菌種内訳は、Shigella sonnei が133例で最も多く、次いでS. flexneri 31例、S. boydii 9例、菌種不明2例である。S. sonnei は国内感染で75例、国外感染で57例と、感染地域別のいずれにおいても最も多い菌種である。
 診断週別S. sonnei 感染者報告数は、第8〜9週に国内での集団発生(福岡県の幼稚園)により一時的に増加したことを除くと、各週5例以下の報告がほとんどであった(図)。しかし、第34週に国内の同系列外食チェーン店舗利用者で食中毒が発生したため、国内感染例が19例と急増し、第35週も18例が報告された。
2011092301.jpg
図.細菌性赤痢S. sonnei 感染者の週別・感染地域別発生状況(2011年第1〜35週)
 第34〜35週の国内感染37例は、東北地方を中心として11都県から報告されており、内訳は福島県10例、山形県9例、宮城県3例、神奈川県3例、福岡県3例、青森県2例、茨城県2例、東京都2例、千葉県1例、石川県1例、愛知県1例である。男性15例、女性22例で、年齢中央値は31歳(2〜82歳)である。福島県、山形県、宮城県、神奈川県、青森県からの報告例では、いずれも同系列の外食チェーン店舗を利用していることが明らかとなっている。当該店舗利用者については、S. sonnei に汚染された食品を介した広域感染の可能性が高いが、当該店舗との関連性がないまたは不明の感染者が他にも多数見られている。現在行われている菌株の分子疫学解析(MLVA法)では、上述の外食チェーン店舗に関連した症例に共通してみられるMLVAパターン以外に、複数のMLVAパターンも認められている。その中には自治体を越えて共通するパターンを示しているものもあり、異なった集団感染事例が同時期に起きている可能性も考えられる。そのため、S. sonnei 感染例に対する、喫食歴および食材の遡り調査、ならびに菌の分子疫学的解析等の積極的な疫学調査が引き続き必要である。


 全く収まる気配がないのに、どうして報道されていないのでしょう?非常に違和感を覚えます。

この本ご存じでしょうか(ブログの横に、私の本棚があります。−ブクログ−原発関連の最近購入をした図書一覧です)



このp.174の欄外 書き抜きます
日本政府は、GHQの占領政策下でABCCの設立当初から協力体制を取らされ、「ABCCの設置の翌年(1948年)、広島、長崎に国立予防衛生研究所の支所を設置してABCCの活動を援助してきたが、研究が進むにつれ国立予防衛生研究所とABCCの関係はますます緊密になり、援助と言うより共同研究の形」(原爆調査委員会「年報」1961年7月1日〜1962年6月30日)をとった。ABCCの業務は、1975年に新設された放射線影響研究所に引き継がれた。
 国立予防衛生予防研究所は、原爆の被害調査に専門家組織として米国側からは期待されたわけであるが、ABCC設置と同年の1947年、細菌人体実験を行った旧日本軍731石井部隊への人材供給源であった東京大学伝染病研究時(いまの医科学研究所)から分離し、731に関係した医学者を幹部に作られた(『毎日新聞』1966年5月14日)厚生省管轄の政府機関である。このころ731関係者は、細菌関連研究の研究成果を米国に提供することで戦争責任から免責されるというGHQとの裏取引によって社会活動に進出し始めた。石井部隊関係者によってミドリ十字の前身日本ブラッドバンクが設立され、ここにも731関係者が集まった。予防衛生研究所は、薬害エイズの原因となった非加熱製剤関連では、政府検定機関として、やはり731部隊関係者が設立したミドリ十字の薬剤を認可するという巡り合わせとなったがミドリ十字、厚生省、予研などがエイズ問題で社会的にその責任を問われる中で1995年4月、国立感染症研究所と改称された。


 いろいろとつながっています。このほかにも原爆の開発経緯が事細かく書かれています。今回の原発事故の参考文献の一つとして掲げておきます。(まだ、全部は読んでいません)

■関連ブログ
原爆症の教科書−はだしのゲンから(2)原爆症赤痢2011.9.11
法定伝染病〜細菌性赤痢−青森、宮城、山形、福島、神奈川、福岡で報告2011.9.6
フィルムバッジを持つということ(放射線管理の長い手)2011.6.25
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posted by いんちょう at 17:00| Comment(4) | 原子力
この記事へのコメント
院長、こんばんわです。
この赤痢の伝染、留まるところを知らないようです。
感染源となった食品の特定調査も終わりを知らないかのようです。
http://mainichi.jp/area/yamagata/news/20110922ddlk06040074000c.html
細菌性赤痢:「ガスト」発症問題 食中毒、21人増え26人に 県が発表 /山形

 ファミリーレストラン「ガスト」を利用した客5人から細菌性赤痢菌による食中毒症状が出ている問題で県は21日、食中毒症状を発症した患者は新たに21人増えて計26人に上ったと発表した。発熱や下痢などを訴え新たに1人が入院したが、患者全員は回復しているという。

 県によると、ガスト南陽店8人▽山形桧町店7人▽山形上山店6人▽山形あこや町店2人▽米沢店2人▽天童店1人。8月18〜20日に利用した。年齢は10代未満から60代まで幅広く、東京都や宮城県などの県外客も含まれている。

 ガストを運営する「すかいらーく」は県内13店舗の営業を自粛しているが、26日から再開する。【浅妻博之】

http://news24.jp/articles/2011/09/21/06191125.html
ガスト、26日から営業再開 集団食中毒
< 2011年9月21日 18:04 >
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 大手ファミリーレストラン「ガスト」で食事をした人たちが細菌性赤痢に感染した集団食中毒問題で、ガストを手がける「すかいらーく」は21日、営業を自粛していた店舗を26日から再開すると発表した。

 すかいらーくによると、行政処分を受けた6店舗を含め、営業を自粛していた120店舗について、殺菌・消毒を完了したことや、全店舗の従業員2862人の検便の結果、全員が陰性であることを確認したことなどから、26日の営業再開を決めたという。

 食中毒の原因となった仙台工場については、保健所の調査が続いているため、引き続き製造を自粛する。再開する店舗の食材は、関東や関東より西の工場から供給する。

 すかいらーくは今後、第三者委員会を早急に設置し、仙台工場の再発防止策などをまとめる予定。
Posted by ななし at 2011年09月23日 18:42
既出かもしれませんが、赤痢問題記事です。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/110902/myg11090202270001-n1.htm
こちら記事では感染源食品として、
・漬物
また感染源施設として
・すかいらーく仙台マーチャンダイジングセンター
特定しています。
こちら記事も同じ感染源施設を特定。
http://www.zaikei.co.jp/article/20110921/81444.html

こちらは青森県の公表資料ですが
同様に、食中毒原因施設を特定。
http://www.pref.aomori.lg.jp/release/files/2011/36795.pdf

今回、原因施設として特定された施設
について、赤痢問題について、
背景をまとめた記事がこちらです。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110912/222599/?rt=nocnt
Posted by ななし at 2011年09月23日 19:06
日経記事をみて思ったのは、
マスメディアが「すかいらーく」と関連の
感染源施設としての「仙台マーチャンダイジングセンター」(仙台 MD・宮城県大衡村)を追及する姿勢を見せないのは、
やはり「皮肉」の一つである、
この施設が東日本大震災直後から
被災者支援に尽力してきた点、料理を
被災地に向けて提供してきた点が
あげられるかとおもいます。
おそらく、すかいらーくは東日本支援企業に名乗りを上げているはずで、
http://www.skylark.co.jp/info/shien.pdf
http://www.skylark.co.jp/information/shien.html
いわば、この企業を徒に攻撃すれば
被災地市民からメディアは攻撃を
受けかねないわけで、それは避けたい
のでしょう。
では赤痢菌の伝染事件について、メディアが他の食中毒事例同様に追及しようとしない理由はそれだけだろうか?となるとわかりません。他にも触れてはまずい
問題があるのでしょう。
原因食品[漬物]と原因施設[仙台MD]が
判明していながら、いまだに赤痢菌の
株の遺伝子でゆれ、さらに赤痢事件の
複合状況までもが疑われ、解決の道のりは遠のくばかりと見え、まるで市民はこの問題に関心をもっても、
問題の複雑化、時間の浪費しかないぞといわれてるかのようです。
福岡、北九州市の事例はそもそも、
仙台MDの漬物が感染源であるかどうか、
判然としてはいないと思います。
なお、北九州MDセンター(172店)で、通常営業を継続したままのようです。
Posted by ななし at 2011年09月23日 19:42
院長先生

先生の赤痢の話を読んでいたら、この事件が2012年の2−6月にアメリカで起こった「マグロのサルモネラ菌騒ぎ」と似ていることに気がつきました。

CDCによると、7月27日の時点で合計425人がマグロのサルモネラ菌が原因で食中毒を起こしています(注1)。
原因は、カリフォルニアのMOON MARINE USA COORPという会社が供給していたマグロの中落ちということになっています。 
被害者によると(注2)、
被害者1:「スシを食べて6日後に症状が出た。 頭からつま先まで体中が痛くなって、血の混じった下痢がでた。 救急病院に運ばれて、CTスキャンで大腸に潰瘍が出来ていることが確認された。」
被害者2:「スシを食べて2日後にお腹が痛くなって血便が出た。 その2日後に今度は彼女の夫が頭痛を腹痛を訴えた。 彼女はその後101度の熱を出し、嘔吐と血の混じった下痢を繰り返した。」
分離されたサルモネラ菌は非常に珍しいタイプ(salmonella bareilly)でした。 弁護士は、「サルモネラ菌の食中毒は鶏・羊・牛では起こっても魚では滅多に起こらない」とMARINE COORPの責任を追及している。

これって通常のサルモネラ菌による食中毒とは大分違う症状ですよね。

1)”Nearly 400 now sick from tainted tuna in sushi”
http://vitals.nbcnews.com/_news/2012/06/22/12361924-nearly-400-now-sick-from-tainted-tuna-in-sushi

2)"First lawsuit filed in salmonella outbreak tied to sushi"
http://vitals.nbcnews.com/_news/2012/04/19/11289788-first-lawsuit-filed-in-salmonella-outbreak-tied-to-sushi
Posted by めぐ at 2012年08月29日 01:43
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