なにか知りたいことがあるならば右側の検索ボックスを。(Googleは複合検索可能)
ブログ記事は、引用元リンクを明示の上ご自由にお使いください。
原子力報道には、きわめて良く当てはまる特徴があります。全ての流れは、次の時系列をたどります。
・現場から衝撃的な第一報がでて、それが配信
・騒ぎがおおきくなり、報道関係で色々と取りざたされる。
・担当大臣が第一報と違うことを発表
・東京電力が、最初の情報が誤りだったと謝罪
・その後、真実が明らかとなり、第一報が正しかったことが証明される。
この報道は、どのような場面においても当てはまると言っていいでしょう。まず、これを念頭に入れた上で、次の驚くべき記事から解説してみましょう。

東京電力は2日、福島第1原発2号機の原子炉格納容器内の気体から核分裂が起きたことを示すキセノンを1日に検出、小規模な臨界が起きた可能性が否定できないとして、核分裂を抑制するホウ酸水を原子炉に注入したと発表した。
細野豪志原発事故担当相は「臨界はないと考えている。年内の(1〜3号機)冷温停止状態達成はできると考えている」と述べたが、今後の状況次第では影響が出る可能性もある。
一方、藤村修官房長官は、保安院が1日深夜に事態を把握しながら野田佳彦首相への報告は2日朝だったと公表。枝野幸男経産相が保安院長を注意した
私の考える重要な点は上の3つ。
・技術者集団である東電は、臨界を想定
・素人である原発担当相が、臨界を否定
・野田首相に深夜であっても報告がないことを叱責
明らかに矛盾しています。臨界でないのなら、翌日海外出発予定の野田首相を起こしてまで、連絡する必要はないはずです。しかも、臨界でないと言い張っているのは、政治家。何か変な感じを受けます。
まず、今回の事故をおさらいしておかないと、何が何だかわかりません。まず、運転中の各号機で起きたことは、次のシーケンスの通りだと思われます。(爆発したわけですから、これより悪いのですが)もう少し知りたい場合は、原発事故を台所で考えてみる・・を
このように格納容器内に溶融燃料として、たまっていると想定されます。

そして、これを裏付ける資料としては、沸騰水型原子炉の底の形状

いわば穴の開いたザル状態ですから、原子炉圧力容器内に溶融燃料がとどまっている考える方が、どうかしています。・・ここがポイントです。圧力容器内にとどまっている燃料なんか、ほとんどないと言っていいでしょう。
比較的軽微な事故だったスリーマイルの核燃料の状況

そして、象の足と言われたチェルノブイリの溶融核燃料

大きさはどうかわかりませんが、フクシマもおそらく、この状況となっているのは、間違いないでしょう。すなわち、溶融燃料が所々でプスプス臨界を続け、核分裂生成物を放出しているわけです。
東電発表資料から

・Cs134:Cs137がほぼ1:1
・半減期が8日間のヨウ素が検出されている
これらは臨界の証拠。
そして、このヨウ素は、
■市民放射能測定所の検査結果。
http://www.crms-jpn.com/mrdatafoodcat/food_grain.html

2011.11.4の食品検査でも検出されています。つまり、キセノンがあろうがなかろうが、臨界を起こしているのは、既に明らかなわけです。枝葉末節にこだわってしまうと、訳がわからなくなります。
2号機「核分裂」までホウ酸注入なし キセノン生成で課題浮き彫りから
2011.11.4 09:19 (1/3ページ)[放射能漏れ]
福島第1原発2号機で、半減期の短い放射性キセノンが検出された問題で、東京電力は3日、核分裂反応が連鎖する「臨界」によるものではなく、別の放射性物質が自然に核分裂する「自発核分裂」という現象で生成されたと結論づけた。経済産業省原子力安全・保安院にも報告した。
◇
東電は「炉の不安定化や、外部の放射線量上昇などにつながるものではない。冷温停止や(事故収束に向けた工程表の)ステップ2終了時期への影響はない」としている。
東電によると、溶融した燃料内のキュリウム242や244が自然に核分裂を起こして生成されるキセノンの量を計算したところ、今回検出した結果とほぼ合致したため、自発核分裂が起きたと判断したという。仮に臨界が起きていたとすれば、検出されたキセノンの1万倍の量が検出されていなければならないという。東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「臨界にはなっていないと判断している」と述べた。
継続的な核分裂の発生に必要な中性子を吸収するホウ酸水を注入しても、なおキセノンが検出されたことなども臨界否定の根拠とした。 キセノンは、1日に格納容器から採取した気体から検出された。自発核分裂は正常に停止した原子炉でも起きる現象だが、2号機の燃料は溶けて原子炉圧力容器の底に落ち、一部は格納容器側に漏れたと推定されており、格納容器内から検出されたとみられる。
(中略)
東電は1、2号機に予防注入がされてこなかった理由を「現状では臨界の可能性はきわめて低いため」と説明する。
だが、東海大の高木直行教授(原子力工学)は「収束のためには完全な臨界停止が必要。なぜ今までホウ酸の注入を継続してこなかったのか」と東電の対応を疑問視する。
担当相が最初に発表した内容をなぞる文章になっています。ところが、わざとでしょうか、一言余計なことが入っています。それは、ホウ酸水を注入しても、なおキセノンが検出されたことなども臨界否定の根拠の一文です。上記で述べたように、溶融燃料の大部分は、圧力容器の中にはとどまっていません。それなのに、圧力容器の中にホウ酸水を入れて濃度が変わらなかったから、核分裂反応が起きていないと言われても、何の根拠にもなりません。もしかすると、それを言いたくてわざと紛れ込ましたのかもしれませんね。この文章は。まさしく余計な内容ですから。
そして、ここに出てきた東海大の高木直行教授 も原子力のことを何もご存じなさそうです。
この状態で、年末のクリスマス前に住民を帰すというのですか?もっと状態をわかっている方に指揮を執っていただきたいと思うのは、私だけでしょうか。
■関連ブログ
原発事故を台所で考えてみる・・2011年08月19日
1号機メルトダウン−私的収拾案・おすすめ2011年05月14日
広範囲でヨウ素検出-原発再臨界?2011年09月17日
NHK朝のニュースのテロップを見てすぐにPCに走り
「枝野幸男経産大臣に誓願」というサイトを発見し中止要望を出しましたが。。彼のコメントも特に聞いていませんし九電社長辞任もなし崩しの体で。
「不快感表明」はただのパフォーマンスだった、と今更ながらの失望を味わっています。
思い起こせば、「直ちに健康被害はない」と将来の責任は自分が被らないようにコメントを繰り返し、被曝を拡大させた張本人でした。
ちょっと外れたコメントになり失礼しました。
別の場所で2時間の差があります。
いつもは車内で0,1マイクロない場所でです。
一瞬に上がり、すぐ下がる。あれは何だったのでしょうか。