2011年12月04日

放射能と人体(6)病理組織から見る内部被(200万アクセス)

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 チェルノブイリの病理標本が紹介してありました。私も、最低点ではありますが、組織、病理ともに勉強(医師ならば全員が勉強している)していますので、異常に気がつきます。古ぼけた知識でも、驚くくらいの異常です。

 Peace Philosophy Centreから
チェルノブイリ事故による放射性物質で汚染されたベラルーシの諸地域における非ガン性疾患 Y・バンダシェフスキー教授から

(心臓)
2011120401.jpg
図2.16- 43歳のドブルシュの住民の心筋の組織像(突然死のケース)
心臓内の放射性セシウム蓄積−45.4Bq/kg びまん性心筋細胞溶解、筋線維間浮腫、筋線維断裂が見られる。HE染色。倍率125倍。

(@GoodBye_Nuclearさんのコメント びまん性(全体的な)の心筋細胞融解、筋線維間の浮腫(むくみ)、心筋線維の断裂がみられるほか、単核細胞浸潤を認める。おそらくリンパ球だろうが、退縮した心筋細胞の核が残存している可能性もある。)
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正常な心筋細胞
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入門組織学(南江堂 p.60)

(腎臓)
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図2.17 900Bq/kgの放射性セシウムが検出されたアルビノラットの腎臓の組織像。空洞の形成をともなう壊死および糸球体の破壊、および尿細管上皮の壊死と硝子化変性、HE染色。倍率125倍。
(病理専門医コメント @GoodBye_Nuclear氏)腎臓の所見は疑問です。空洞とあるのは糸球体のtuft(マルピーギ小体)が欠落してボーマン嚢だけになったものを指すようですが、標本作成上の人為的変化(artifact)が否定できません。尿細管上皮の壊死・硝子様変性とあるのも不明瞭です。腎臓の変化は弱いです。

2011120404.jpg
正常な腎臓


(肝臓)
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図2.18 40歳のゴメリ住民の肝臓の組織像(突然死)
肝臓への放射性セシウム蓄積−142.4Bq/kg 
脂肪・蛋白変性、肝細胞壊死。HE染色。倍率125倍。

(病理専門医コメント @GoodBye_Nuclear氏)肝臓の変化ですが、小葉中心静脈周囲の肝細胞索が細くなっていて、どうもうっ血があります。右心不全性変化=循環障害と推測します。特異的(放射能に特有の)所見ではないように思われます。脂肪変性もはっきりしませんね。

2011120406.jpg
正常肝臓
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(入門組織学 p.141)

 どうでしょうか、正常組織と比較することで、その異常さが際立ちませんか?あの苦しめられた病理、組織のスケッチも無駄ではなかったと、今になって気がつきました。正常の組織図、スケッチをあわせて紹介しています。写真よりも、スケッチの方がわかりやすいと思います。

 このような組織標本は、ヒロシマ、ナガサキでさんざん集めているはずです。なぜ、内部被曝に目をつぶることができるのか・・・わたしには理解できません。

一つの仮説を考えます。Csは、Kと同じアルカリ金属です。従って同じような振る舞いをすると考えることできます。
さて、K40は、β崩壊しCa40になります。一方Cs137はβ崩壊してBa137、Cs134はBa134になります。放射線の観点からみると、K40もCs137,Cs134も同じとしてみることができます。従って、放射線の影響はKと同じであると言えます。

(追記 SFタイガース氏のコメント)
細胞内で放射性核種が崩壊したとします。細胞にはカルシウムポンプがあり、Caを排出したり吸収したりします。細胞内でKが崩壊してできたCaは、細胞内の濃度などにより、必要があれば排出されます。従って、Kが崩壊しても影響がありません。一方、Csは、β崩壊してBaになります。同じアルカリ土類金属ですから、Caと同じように振る舞うと仮定できます。Baは、化学的に不安定であり、イオン半径もCa40に比べて大きいため、カルシウムポンプに対して何らかの影響を与えるのではないと推察しています。例えばCaの排出障害が起こると仮定します。
Caの排出障害がある細胞は、カルシウムが蓄積されやすくなります。例えば、Kが取り込まれてCaに変わっても排出されにくくなります。同様にCsがBaに変わっても排出されにくくないます。細胞にCaが蓄積されると細胞死などが発生しやくすくなります。また、血管の中皮の細胞で発生すると、動脈硬化の原因になり得ると思います。。


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タグ:P 放射能
posted by いんちょう at 15:40| Comment(9) | 原子力
この記事へのコメント
これからは放射性ヨウ素による甲状腺障害だけでなくセシウム137による臓器障害について考えないといけないですね。
セシウムイオンは同じ一価のカリウムイオンに置き換わって筋肉に取り込まれます。さらに心筋は細胞増殖しませんので、取り込まれたセシウム137の影響を受け続け、心筋断裂を及ぼし急性の変化(不整脈死など)や慢性の変化(心不全など)を起こすのではと思ってます。さらに心筋からの内部被曝によって心膜に水が溜まって心膜炎を起こしたり、冠動脈内皮細胞障害を引き起こし心筋梗塞を起こすのでは、と私なりに仮説を立てました。総じて、「放射線源性心臓疾患(Radiation-Induced Heart Disease)と言っていいのではないでしょうか。

循環器の特に心筋症や心筋炎をやってきた先生方はこの先生の今回の記事をみて考えさせられるところは大きいと思います。

ありがとうございました。
Posted by 欠角 at 2011年12月04日 17:03
一つの仮説を考えます。Csは、Kと同じアルカリ金属です。従って同じような振る舞いをすると考えることできます。
さて、K40は、β崩壊しCa40になります。一方Cs137はβ崩壊してBa137、Cs134はBa134になります。放射線の観点からみると、K40もCs137,Cs134も同じとしてみることができます。従って、放射線の影響はKと同じであると言えます。

細胞内で放射性核種が崩壊したとします。細胞にはカルシウムポンプがあり、Caを排出したり吸収したりします。細胞内でKが崩壊してできたCaは、細胞内の濃度などにより、必要があれば排出されます。従って、Kが崩壊しても影響がありません。一方、Csは、β崩壊してBaになります。同じアルカリ土類金属ですから、Caと同じように振る舞うと仮定できます。Baは、化学的に不安定であり、イオン半径もCa40に比べて大きいため、カルシウムポンプに対して何らかの影響を与えるのではないと推察しています。例えばCaの排出障害が起こると仮定します。
Caの排出障害がある細胞は、カルシウムが蓄積されやすくなります。例えば、Kが取り込まれてCaに変わっても排出されにくくなります。同様にCsがBaに変わっても排出されにくくないます。細胞にCaが蓄積されると細胞死などが発生しやくすくなります。また、血管の中皮の細胞で発生すると、動脈硬化の原因になり得ると思います。。
Posted by SFタイガース at 2011年12月04日 18:56
F1で働く現場の方が心筋梗塞を疑う症状で亡くなっていますね。私はてっきり、栄養が偏った食事と、ストレスが主因で、虚血性心疾患でなくなったのだと思い込んでいたのですが、考えてみれば、セシウムは筋肉に溜まるわけですし、心臓の筋肉ですね。病死で終わらせないで、ご遺族に了解を得て、病理解剖すべきだろうと思いました。放射線障害がなければないで、労災ですし、万一、放射線障害がわかれば、、、、危険性を啓蒙できるでしょう。

中皮腫疑いの患者さんの麻酔が時々ありますが、本当に被曝したのは、何十年も昔なんですよね。


そして、心不全というのは、放射線障害として、見落とされやすいと思います。今、だれも偉い先生たちは、その危険性を述べていませんから。
Posted by 麻酔科医 at 2011年12月04日 20:52

ふと考えた。
「人類」の「類」って何だろう?
「イモ類」という時 その中にはジャガイモ、サツマ芋、里芋、タロ芋などが含まれる。だとしたら「人類」の中にも人間だけでなく亜人間、別のヒト種の生物が含まれているのだろう。
映画や東スポの1面でお馴染みの宇宙人、頭が大きくて体や手足が細い人たち、あれも「宇宙人」というくらいだから やっぱり「人類」の中に含まれているのだろう。
だとすると 遠い遠い昔 アトランティス大陸が栄えていた頃か もっと前に迫害から逃れて宇宙に旅立った人間が 飛び交う放射線に適応して生き延びるために進化した形があれなんだろう。
そもそも「人類」はメチャメチャ適応力が高いから こんなに繁殖したわけで とすると何万年後の地球は宇宙人だらけってことか?
見たいような 見たくないような…。

その頃 日本列島は存在しているんだろうか? 一部は沈み 一部は大陸とくっついたりしてないだろうか? それとも地殻変動で海底から切り離されて ひょっこりひょうたん島化して太平洋を漂ったりして…と思ったら 何だか楽しくなってきたけど これは放射能被害の末期症状でしょうか?

Posted by tottko at 2011年12月05日 12:44
先生こんばんわ。九州で白血病が多いのをいろいろな理由で妨害しようとしているようですが、ATLの白血病に関していえば、私は、20年前に長崎で息子を妊娠した際に、キャリアの検査を受け、キャリアであることが判明し、泣く泣く息子への授乳をあきらめました。長崎大学で追跡調査として、息子が2歳になるくらいまで検査をしたように思います。なので、息子には移っていません。いまだに長崎で白血病が多い理由は、被ばくの関係も大いにあるはずなのですけどね。非公開でお願いします。
Posted by tikababa119 at 2011年12月05日 19:46
関係ないかもしれないしあるかもしれません。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111205-OYT1T00131.htm
栃木県那須塩原市の栗川仁市長が4日夜、胸部大動脈瘤(りゅう)破裂のため市内の病院で急逝した。
67歳だった。

【那須塩原市内放射線測定近況】
公称値で東京や埼玉の20倍だからねぇ・・・
実際はどんなんだか・・・
http://www.city.nasushiobara.lg.jp/2083/3501/002084.html

3万ベクレル/キロって焼却灰じゃないですよ、
浄水場にたまっていた泥を乾かしただけ。
http://www.city.nasushiobara.lg.jp/2083/3501/003666.html
そんな水飲んでちゃねぇ・・・

Posted by 那須塩原市長急死 at 2011年12月05日 19:53

武田先生が「ストロンチウムはセシウムより10倍安全、10万ベクレルまでOK」と言い出した。
ネット住民が信じるワケがないことを承知で こんなことを言い出したのはなぜ?

本当に騙す気なら100ベクレルくらいにするだろうに いきなり10万ベクレルって…。

これは暗に「私は原子力村に脅されている」と言ってるのか?
それとも来年度から政府の〇〇委員になることが決まった喜びの表現なのか?
もしかして原子力安全委員会の委員長だったりしたら そりゃ飛びつくだろう。
しょせん学者だ教授だ と言ってもそんなもん。

それにしても最近 推進派はかなり焦っているように見える。ロシアの選挙を見ても 今や権力者にとって最大の敵はネット、ツィッター!
今後あらゆる手段で断ち切ろうとするだろう。ま、そうなったらなったで伝書鳩でも飼えばいいか!

Posted by tottoko at 2011年12月06日 12:54
最近は随分と挑発めいた事をさせて頂いた事、まずはお詫びいたします。本稿の写真は大変役に立ちました。
塩化セシウム(133)の毒性、論文で提出されていました。先生の仰っていた病理変化にも概ね当てはまるかと存じます。ご一読頂きたいかと存じます。放射線よりももっと恐ろしい毒を原発は作る、という事の様に感じます。カリウムと似ていると言う事自体が毒である、そしてICRPの蓄積データ、残念ながら原子力は危険を冒して使用すべき物ではないと言う一点は、揺るぎ様が無くなった様に思います。
Posted by ちょこら at 2011年12月08日 00:19
すみません、ミルク報道で先生の過去記事と繋がりました、6月7日CTBTでのヨウ素135の訂正記事、ヨウ素135はキセノン135になります、キセノン135はセシウム135になります。半減期は230万年、ベクレルあたりの原子数は、セシウム137の80000万倍、
そしてミルク報道にセシウムの番号はどれ一つとして記載されません。フィルターを潜り抜けるセシウムはありえないとすれば・・・キセノンというコメントから、たどり着きました。

セシウムの毒性が本当であれば、関東はもっとも放射性「セシウム」が降った地の一つとなります。チェルノブイリのセシウム135はノーマークでしたが、キセノンオーバーライドを考えると無い訳がありません。
これで機序に説明がつきませんでしょうか。本当であれば・・・原発どころか汚染認識を一からひっくり返さなければならない事態です。
聡明な先生であればこそ、情報を付き合せれば取り合えず真偽の検討は可能と存じます。
私も真偽から言えば偽であって欲しいと願いますが…
検討及び、真偽については先生にお任せいたします。勝手ではございますが・・・
Posted by ちょこら at 2011年12月08日 01:23
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