2011年12月07日

電力帝国終わりの始まり−火力売却、買電

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本日の熊日夕刊から
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・既設火力の売却
・新規火力の原則見送り
・不足分は、電力卸事業者からの購入
・勤続年数が高い社員を対象に希望退職

 世界最大の民間電力会社と呼ばれ、不況すら関係なく、全産業に君臨していたと東京電力が、たった一回の原発事故でこの有様です。電力会社は、これからの景気を判断し、電力の設備計画を立て、産業に君臨していたのです。メーカーが一番儲かるのは、新設プラントの時。利益の源泉である新設プラントを発注しない電力会社のいうこうとを、メーカーが何でもいうことを聞いてくれるでしょうか。今まで、理不尽ともいえる電力会社の要求に答えていたのは、すべてこの新設プラントという−えさがあったからなのです。

 東京電力の火力と、一般会社の火力。このコスト競争力にはものすごい差があります。私が一度聞いた話ですが「東電さんはゆっくり定期検査をするが、あちらの火力はあっという間に人をつけて検査してしまいますよ。」と言われていました。売り飛ばされた火力発電所で働いていた東電職員が、いまのままの給料で再雇用してもらえるのか。横浜の火力発電所は、すぐ近くに寮があり、かなり恵まれているなぁとうらやましかったのを思い出します。新入社員の時代に、原子力・火力研修で、我々原子力配属組は、火力発電所に一週間いました。福島とは全然違う、都会でののんびりとした生活にすごくあこがれました。

 不足する電力を卸電力市場から買うと言うことは、電力会社の送配電分離につながります。現在の発電から小売りまでの形態を壊すのですから。卸電力から購入する金額と、東電既設の火力、原子力から購入する金額。おそらく、かなりの差が出るはずです。果たして、いつまで原子力発電所が安いと言い続けられるのか。

 なお、この東電の否定がでていました。
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 同じような構図は、ちょっと前にもみました。

東電、東通原発を断念…工事中断の1号機
 東京電力は30日、青森県東通村で1月に着工した東通原子力発電所1号機の建設を断念する方針を固めた。
 福島第一原発事故の賠償を進めるため、十分な建設資金が確保できないためだ。政府が原発の新増設に厳しい姿勢を見せる中、具体的に中止の計画が浮上したのは初めてだ。
 1号機は改良タイプの沸騰水型軽水炉(ABWR)で、出力は国内最大級の138万5000キロ・ワット。東電は2017年3月の運転開始を目指して工事を始めたが、福島第一原発の事故を受けて中断し、再開や中止についての判断を明らかにしていなかった。20年以降の運転開始を予定していた東通原発2号機の建設も取りやめる見通しだ。
 原発の新増設について政府は原則認めない方針だが、野田首相は10月、「建設が相当進んでいるものもある。個々の案件ごとに地元の意向も踏まえながら判断していく」との考えも明らかにしていた。
(2011年12月1日03時03分 読売新聞)


これに対して東電の否定報道
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 このように明確に否定していますが、なぜかしらプレス一覧には表示されておりませんし、否定報道もながれていません
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 この東通原発。東電管内からは遙かに遠く、送電コストだけで莫大な費用がかかり、私の記憶では100万ボルト送電あるいは、直流送電をすると計画していたはずです(記憶違いかもしれません)。もう、かなり前から、東電管内では需要の伸びも見込まれていません。東京電力としては、本音ではやりたくなかった発電所のはずで、青森県に核廃棄物を引き受けてもらった見返りに、作らされたといった表現が適当かもしれません。
 それで、読売新聞にわざとリークし、自社のホームページの目立たないところで否定記事も載せる。と考えたら穿ちすぎでしょうか。

 東電内部がかなり混乱している印象を受けます。

■関連ブログ
発電コストの厚いベールを剥がす−原発=安価は洗脳だった・・2011年07月21日
原発代替火力建設に10兆円という脅し2011年06月24日
タグ:T
posted by いんちょう at 21:05| Comment(8) | 原子力
この記事へのコメント
直ちに倒産させ強制的に会社整理に入るべし、ですね。粉飾決算が明らかです。
Posted by 通りがけ at 2011年12月07日 23:35

帝国崩壊への一歩
ってか これ国有化されると困るから「我々も努力してます」というポーズなんじゃないか と疑ってしまいます。
頑張っても 後1000億しか作れません というのが許せない。
まず国有化して フクイチ収束のための予算、住民移住のための予算、発送電の経費を引いた残りが社員の給料と株主配当、じゃないと許さない!

そう言えば 今日 街中で電線の工事やってたけど クレーンみたいなのに作業員が乗ってウィーンと電柱の上まで上がる作業車、東電の社名もマークも消したノッペラボウの車だった。私たちは現場の作業員さんに恨みはないけど 向こうは恨まれてる と思ってるのかな?

Posted by tottoko at 2011年12月08日 00:21
霞ヶ関官僚組織は小泉政権以来国家叛逆憲法テロ組織に成り下がった。これを一網打尽にするには、テロ組織が凶器として用いる「地位協定」治外法権を破棄するだけでよい。

地位協定を破棄すれば、原子炉生成核物質と核兵器が同じ物質であるから原子炉事故被害が核兵器テロ被害であることになり、東電保安院菅内閣を棄民テロ罪で即時断罪できる。

また放射能汚染瓦礫は核兵器同様凶器となるので、汚染瓦礫を集めて処理する自治体は菅政府の棄民テロに共謀加担する凶器準備集合罪に問われるだろうね。

野田首相は菅内閣の財務大臣であり菅内閣の311放射能棄民テロの共謀共同正犯犯罪者であるから、これは明らかに首相の欠格事由となろう。直ちに罷免されるべきである。
Posted by 通りがけ at 2011年12月08日 18:41
オリンパスなんぞ比べ物にならぬほど巨大な政府ぐるみの電力疑獄が、史上最大の悪徳官僚汚職がこの東電粉飾決算である。
公務員の汚職は特に重大な刑事事件だね。東電保安院霞ヶ関菅内閣記者クラブとNHKはその覚悟あるのかな?
Posted by 通りがけ at 2011年12月08日 22:42
石棺化、而して除染。国家の放射能防護対策としてこれが当然の合理的手順である。

まず大気中への核物質放出を何十年かきっちり停めてその間に降雨の助けを借りながら効果的に安価に除染してゆけば、石棺化後1、2年で原爆被爆後の広島長崎レベルに復帰するであろう。

除染派、除染反対派などと言う分類は無意味である。

まずはフクイチ石棺化および地位協定即時破棄(石棺化費用を捻出するためにも)である。
Posted by 通りがけ at 2011年12月09日 18:21
以前から送電ロスはものすごく大きく、根拠があるかはわかりませんでしたが、発電量の1/3程度しか実際に使用されていない(それだけ送電のロスとなる)と耳にしました。実際のロス量はどれぐらいあるでしょうか?

Posted by RioRio at 2011年12月09日 22:58
RioRioさんへ
参考までにhttp://matometanews.com/archives/1042711.html  にありました。ご指摘のように約30%のロスが生じるようです。
Posted by kenken at 2011年12月22日 21:06
RioRio さんへ 蛇足 原子力発電所は総発熱量の約1/3が発電量です。2/3は海に温排水として捨てられ海を温めています。そしてご指摘のように送電ロスが発電量の1/3ですから。ものすごく効率悪いですね。
Posted by kenken at 2011年12月22日 21:10
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