2011年12月16日

放射能と植物−熊本の白いサザンカ


井伏鱒二の、原爆投下後のヒロシマを描いた作品。非常に精緻に書かれており、そして原爆の内部被曝の恐ろしさが十二分に伝わってきます。私はヒロシマの地理がよくわかっていないので、広島市地図を購入しました。再度大事なところを切り抜いて、読む予定です。ピカに直接は会っていない人にどんな恐ろしい症状が出るかを、一般人の視線で本当にきちんと書き下ろしています。フクシマ後の今こそ、全員が読まなければならない本だと私は考えます。

p242から
この通りでも石垣や置き石の間を見ると、カタバミや烏野豌豆などの新芽がむやみに伸びて、自分を支えきれなくなってだらりと垂れていた。植物も空襲の衝撃で細胞組織が変化するのだろうか。
(中略)
光線とか音響とか熱の衝撃などで植物が徒長することは知らなかった。今度の爆弾は植物や蠅などの成長を助長させ、人間の生命力には抑止の力を加えている。蠅や植物は猖獗を極めている。昨日、ここの通りにある饂飩屋の焼け跡では、裏庭の芭蕉が新芽を一尺五寸(45cm)くらいものばしていた。もとの茎は爆風で根元からぽっきりと折れ、跡形もなくなって、新芽といって良いか筍といって良いか巻き込んだ茎が伸びかけていた。ところが、今日は二尺(60cm)も上も伸びている。一日に五寸(15cm)以上も延びているその実情には、農家に生まれて樹木を見慣れてきた僕も驚いた

(参考)
カタバミ
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烏野豌豆
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芭蕉
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 これは、放射能による植物の内部被曝による影響だと私には思えます。

週間朝日 7.15号から
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 放射線が作物に与える遺伝的影響を研究している農業生物資源研究所の西村実さんはこう話す。
「・・ただし植物体にガンマ線を照射しても、大きくなる例は少ないと思います。」


 この一言が今の科学者の限界を物語っています。なぜ、大きくなるのかを考えずに、大きくなるはずはないと結論が先に立ち、放射線の影響を簡単に除外しています。なぜ、「黒い雨」の著述などを考えて、どうして長く伸びるのだろうと考えないのでしょうか。私には不思議でなりません。

 同じように、原発事故で「ガンが起こるはずがない」という学者たちも同じです。根拠は、「広島、長崎で起きなかったから、起きるはずがない」という浅薄な理由に過ぎません。そのため、現在単発的に報告されている白血病や、その他の病気についても、「放射能」であるはずがないと言い張っているわけです。

 前振りが随分と長くなりました。家の玄関横のサザンカ。綺麗な赤い花を毎年咲かせていたのに、今年はなんだか様子が異なります。
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その横は、
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こちらは正常

木の根本
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白い方の木の近くには、雨水のトイの排水溝があり、
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ただし、線量は高くはありません。

 なぜ、こういったことが起きたのかを考えるのが学問なのではないでしょうか。これを、線量が低いから、放射能のせいではないとどうして断じることができるのか、私には不思議でなりません。

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posted by いんちょう at 22:48| Comment(6) | 原子力
この記事へのコメント
7.眼の前の事と向き合う(言葉或は知識、そして現象の認識とのギャップ)

この章では高度な認識、そしてそれを恒久的に見過ごしてしまう頭の特性を題材とします。

学生時代に良く遊びに行った研究室の教官がふと漏らした言葉が今でも忘れられない。もし貴方が、或る夜に月を眺めていたとしよう。その時に貴方の頭の中がまっさらな状態で居て(情報も何も前もって知らずに、即ち言葉や知識と言うフィルターの色眼鏡を通さず)、尚かつその時に月の格好が何か奇妙に変化して来たと感じたとしよう。そして刻一刻と月が暗くなって来た事が判る。暫くの間、頭の中で何が起っているのか判らない状態に置かれていた。不思議である。よくよく月を見ると少し欠けているではないか。そして非常に大きな電気的ショックが頭の中を横切る。何がおこったかのか?

心がまっさらな時に見ている眼の前の出来事と、"月食"と言う言葉と知識が頭の中の神経回路の発火により、繋がっのだ。だが其れだけではない。より高度なレベルの認識が存在すると言う事実を自分の頭の中で覚醒する。

そう、貴方が今観ている事とは"現象としての月が欠ける事"である。つい先日12月10日の月食もし頭の中には情報が前もって刷り込まれていたのなら、それは単に"月食と言う現象"を見ているのだ。例えば今朝の新聞に本日夜何時何分に何処の地方から何処までの範囲で部分月食或は皆既月食があります。凡そ何分間続きます。と頭の中に情報が既に刷り込まれている訳だ。依ってその人の採る行動は、月食が始まる5分前になって表に出て月を眺め始めると言う筋書き通りの行動である。時計を観ながらあと何分月食(この不思議)が楽しめるかなどと、思うに違いない。目の前の出来事が、既知でない場合(人間にとって神秘な出来事なのに)と比較して、予め予期された、既に頭の中に出来上がってしまったイメージで目の前の現象を観てしまう場合。この二者間の違いは雲泥の差である。この有り様は眼からだけの経路から生ずるだけでは無い。五感から入って来る"生"の情報全てに当てはまる。現象が前からやって来る。それを心をまっさらにして受け止める。私に言わせれば、自然を相手にする漁業や農業を生業とされる方々は心の眼が開いている故、これに近い経験が出来るのではと思う。その一方頭の中の言葉と知識を通して目の前の出来事を見ると言う事は色眼鏡を通して"月食"を見てしまうと言える。
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いつもウェブを読まさせて頂いております。御努力に感謝します。余り無理をされずに。
Posted by KC Planaria at 2011年12月17日 11:32

大阪府が瓦礫を受け入れて海の近くに埋め立てるそうなので 来年あたりから明石のタコが巨大化して須磨の海水浴場に出没し 人間を襲うかも…。
全長30m 手足が16本あるタコとか出たら 是非 橋下桃太郎に退治に行ってもらいたい。おともに石原慎太郎を貸します、返してくれなくていいからね。

Posted by tottoko at 2011年12月18日 12:49
いつも貴重な情報をありがとうございます。
こちらにあった白いさざんかの画像をみてビックリしました。
埼玉県のホットスポット在住です。
今年の初め頃だったと記憶しています。
お隣が庭を工事するということで、毎年きれいな赤い花をつけていたサザンカの木をいただいて、自宅の敷地内に植えました。
最近、たくさん花をつけたのですがなんだかおかしいな、、、と思ってました。
ぼやけた感じなのです。
先生の記事をみて、気が付きました。
うちのサザンカも白いのです。

夏には毛虫がびっしり付きました。
そのせいでしょうか?

根元には、池の水の循環でおおきな水槽が置いてあります。

池の水の線量は測ってませんが、池付近の線量は極端に高くはありません。
普通に0.25〜0.30位あるホットスポットですが。

Posted by ちゃく at 2011年12月20日 18:24
同感です。他にも,不思議でならない物言いに,「原発事故の前から,世界中で時々起きているから放射能の影響ではない」というものがあります。

自然放射能はどこにでもありますから,「事故前から世界中で時々起きる」のは,当然ではないでしょうか?明らかに,思考にバイアスがかかっていますよね。

是非とも学者さんたちは,目の前の事実にしっかりと向き合って欲しいものです。
Posted by ひょろり at 2011年12月25日 14:34
放射線の、動植物への影響を調べていて、こちらに辿り着きました。
神奈川県西部在住の者です。
サザンカが白くなった写真を見て、はっと思いました。
自宅の庭に毎年、赤いヒガンバナが数株咲くのですが、そのうちの一株に、昨年(2013年)、白い花が咲いていたのです。
前年は赤い花だったのに変だな?と思いましたが、あまり深く考えませんでした。
そのヒガンバナは、家の雨どい排水パイプの、すぐ下に植わっています。
原発事故から2年半かけて少しずつ被爆した結果なのでしょうか。
今年もまた白い花が咲いたら、他の場所の赤い花との比較写真を撮って、記録のためにブログ掲載するつもりです。
貴重な情報ありがとうございました。
Posted by にぃにぃ at 2014年03月19日 00:23
和歌山でも徒長した植物が多々出ています。また植物の葉が震災前に比べ巨大化してます。茎なども例年より太いです。ガーベラの花は震災の年には二頭花が沢山付きました。それまでは家のガーベラは滅多に二頭花を付けた事がありませんでした。これは室内に置いていたにも関わらずです。また今年2014年はガーベラは屋外に置いているのですが、今までになく花弁に脱色が点在して見られます。綺麗なオレンジ一色だったのに汚い水玉模様に色が褪せています。草丈も震災以前はせいぜい25cm程度だったものが、今は倍近く45cm程あります。

Posted by ガーベラ at 2014年06月13日 23:38
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