p.173から
原爆障害委員会(ABCC)と人体への放射線影響研究
原爆のヒロシマ、長崎投下後の9月8日、マンハッタン計画の指揮者の一人ファレル准将を団長とする米国原発災害調査団が広島を視察した。マンハッタン計画で放射能人体影響を研究し、7月のアラモゴードでの最初の原爆実験で放射能測定を指揮したS・ウォーレンもこの中にいた。10月14日にも第二次調査団が来広し、陸軍宇品病院と調査研究資料一切を摂取するとともに、日本側の研究を提供させた。アメリカからの調査団には構成の異なる3調査団があった。第1次調査団は、マンハッタン管区からのものであったが、二つ目は占領目的の遂行という観点からアメリカ太平洋陸軍司令部軍医団の代表で、A.W.オーターソンが指揮するものであった。3つめは原爆投下以前から放射線致死量の研究を行っていた解雇軍S.ウォーレンの史記によるものであった。これら3調査団は、合同し原爆投下後の医学的調査の指揮者であった都築正夫を通じて、日本側の調査協力を求める形となり、「日米合同調査団」と賞されることになった。この調査団は、アメリカ側では「日本における原爆効果調査軍合同委員会」といわれたように、明確に軍事的な行為として位置づけられていた。合同調査委員会の調査内容は、アメリカ戦略爆撃調査団による原爆の物理的破壊力調査に対して、原爆破壊のうちの人的破壊調査が主眼であった。被爆直後の仁科芳雄らの日本側の調査結果を利用しながら、原爆の標準殺鼠率や標準障害率の計算、急性放射線障害やシェルター効果、被曝線量と生存率など原爆の急性的効果に重点が置かれた(中川保雄「ヒロシマ・長崎の原爆放射線影響研究」)
(中略)
ABCCの調査は「グンポーカイギ」の脅しと甘言とを織り交ぜて、約63万人の被ばく者名簿を作成し、一定の研究目的に沿って名簿の中から対象者を抽出し、必要な試・資料を採取するという大がかりなものになった。被ばく者の爆発時所在地の特定や被曝状況1万5000人分の野外調査を行ったほか屋根瓦のガンマ線量、コンクリートや鉄柱中性子線量調査などが行われ、実際に人が生活、活動している状況かの原爆降下に関する「生の」データが膨大に収集された。遺伝的影響についても、胎内児を爆心地からのキョリによってグループ化し、ハツカネズミの胎児データと比較するためのデータ(レントゲン写真や、奇形発生頻度)収集などが行われ、レントゲンの頻回撮影や臓器組織セン刺などかなり危険な検査が行われた。ABCC側の再三にわたる「治療に役立っている」という説明にもかかわらず、被ばく者の治療は行われず、データも公開されなかった。
広島・長崎でのABCCの研究は、ウォルター・リード陸軍研究所や米国公衆衛生局ととも連携を保っていたが、1948年から10年に病理解剖された被ばく者の臓器組織1500体分が国防総省直轄の部位軍病理研究所に送られている。
研究内容や方法においても、例えば、バンダービルドでの鉄実験につながるかどうか必ずしも明確ではないが、広島ABCCでは4人の対象者について12回にわたって鉄負荷検査を行い、米飯の摂取により血清鉄曲線の変化を見るなど、米国の研究に対応する発想が見られた。
(中略)
1951年、アメリカ原子力委員会と国防総省、ロスアラモス研究所は「原子爆弾の効果」を公表し、放射線被害については、25レム以下(250mSv)は障害なし、100レム(1Sv)以下は行動不能なし、400レム(4Sv)で半致死量、600レム(6Sv)以上死亡という基準値を公表した
この基準は、広島・長崎の原爆データやそれまでの実験データに基づくもっとも科学的なものとされ、その後の原子力関係での作業における安全性の基準的な数値とされた。しかし、これは先にも触れたように、軍事的目的優先が生み出した過小評価であった。
総じて、ABCCの研究は、研究の実態や組織形態、そして建機家を成果の使われた方から見ても、軍事目的以外の何者でもなかった。ビキニ水爆実験による被曝などから国際的原水爆批判の世論に対抗する形で、放射能影響は少ないという形で利用されたり、あるいは晩発影響の過小評価や、閾値などの過小評価などを主張することで、一般に原子力産業における危険性や核による放射能被害を過少に見せかけるなど、戦後、原子力問題の論議や実際的な取り扱いにおいて少なからぬ役割を果たした。また生データは公開せず、被ばく者のデータを独占的に管理することで、低い影響評価に対して疑問を投げかける研究者に対しては「研究封じの」役割を果たした点においても、加害者による被害者調査と軍事的研究の反社会的性格が指摘されよう。
からp.28
昭和59年頃、放射線医学では「最大許容法車線被曝量」のことばがまかり通っていた。それは広島と長崎の被ばく者の放射線障害の追跡結果で作成されたもので、原爆投下後の戦災と苦しみの中でなくなった方々が残した、貴重な国際的な医学遺産である。
ところが、このかけがえのない貴重な医学遺産は、無残にも改ざんされていた。戦後5年間、昭和20年から25年までにガンや白血病でなくなった被ばく者は、原爆被爆以前から罹患していた可能性があるとの屁理屈で、統計から外されていたのである。あえて「屁理屈」と書く。それは、核政策上のアメリカ側の指導であったからである。
当初は、爆発でけがや火傷をしていれば、放射線障害から外された。原爆は上空で爆破するので、その爆煙(キノコ雲)は成層圏にいたり、風邪ととせに放射性物質は大気圏へ拡散し、地表に残留放射線は存在しない。「黒い雨」は地上の泥が舞い上がり振ってきたものに過ぎない。こうアメリカは強弁していたのである。
いずれにしても、広島と長崎に設置されたABCCが放射能の影響を少なく見積もるために意図的にデータを操作したのであった。
からp.24
ICRPはどうやって内部被曝を消し去ったかというと、被ばく者の方を犠牲にしてそうしたのです。原理は至って簡単で、1945年9月に枕崎台風という強烈な台風がやってきた時、長崎は1300人の犠牲者、広島では雨量は100ミリだったけれども、デルタ地帯で堤防が決壊して床上1メートルの濁流が被曝地帯一帯を洗い流しました。市民の常識で、放射能を帯びているのはホコリだから、台風のあとにのこっていてもほんの僅かだということがだれでもわかるんですけれど、アメリカの学者は、のこっていた土を使って放射性のホコリを調べて、「これだけしかありませんでしたよ」といいました。
なぜこういうことをしたかというと、「核兵器は通常兵器と同じで、破壊力は大きいが放射能で人を苦しめることはありません」、こういう認識を作りたかったんです。ですから,チェルノブイリでも被害をどうやって隠そうかとこの人たちは画策しました。いっぱい人が行くのですが、ICRPの基準に照らしていえば、ガンの患者がたくさん出ていても、この人たちは「放射線の影響はありません」と言い続けていました。
被ばく者自体から内部被曝を消し去ったという手段は、初期放射線核分裂がどかっと起こったところからやってくる放射線だけが身体を打った、そういう放射線であるとし、それ以外−放射線のホコリをないことにしてしまったものですから、ホコリを吸い込んで内部被曝をした人はいないという構図を作りました。2キロまでは被ばく者つまり放射線に打たれたけれども、それ以外は打たれていないという世界を作り、被ばく者の処理をしてしまったんです。
ところが、全国平均と被曝をしていないという方の数字と比べると、全国平均よりはるかに高い死亡率や罹病率がでているわけです。

こういう事実の確認をドイツの女性科学者が行いましたが、日本の科学者は一切眼をつけていない。台風の前に調べたものも、日本では2004年まで指摘されずにきたわけです。
そういうICRPの診断が政府を支配していて、基本的にはアメリカが作った放射能に関する世界観、謝った放射線被曝増が世界を支配しているという現状です。(以下略)
そして、12月15日付の保険医新聞

リポートには広島の爆心地から1.6キロ以上離れた地点で黒い雨を浴びた236人で、発熱や嘔吐、下痢、血便、紫斑、脱毛などの急性症状が高率で認められたと記述されていた。
(中略)
DS86は被ばく者ここの被曝線量を計算する計算式で、1986年より使用されている。原爆症認定集団訴訟はこのDS86との戦いといってよく、原告側が残量放射線の人体影響を主張しているのに対し国側はDS86を根拠にこれを否定し続けている。DS86は残留放射線の人体への影響を否定しているからである
以上長々と書きました。政府が安全根拠としているのは、これらヒロシマ・ナガサキの真実を無視した安全宣言なのです。たしかにDS86に従う限りにおいて、フクシマの人は安全でしょう。政府がどのような疾患が出ても「放射能の影響ではない」とオウム返しにいうことも頷ける話です。
「黒い雨」・・その存在が明らかになるのは一体何時のことでしょうか。
あなたは、米国が作り出したこの基準を信用しますか?
参考ブログ
ABCCの誕生
2011年08月27日
■関連ブログ
100mSv安全の根拠-原爆の知見を信用しますか?(60万アクセス)
放射能と人体シリーズ
放射能と人体(6)病理組織から見る内部被(200万アクセス) [2011/12/04 15:40]
放射能と人体(5)環境放射能は内部被曝の指標 [2011/11/20 21:06]
放射能と人体(4)内部被曝と外部被曝 [2011/11/17 22:24]
放射能と人体(3)核の本質−内部被曝 [2011/11/14 23:21]
放射能と人体(2)・・核分裂生成物 [2011/11/08 21:44]
放射能と人体(1)・・放射能とは。 [2011/11/06 09:14]<
タグ:放射能
つまりお嫁さんは被曝二世でした。
叔父夫婦の子ども二人は乳幼児の頃に発作を起こして二人とも障害児となりました。
被曝との因果関係なんて、もちろん分かりません。
アメリカは自国の兵士たちを使って被爆実験した国なんだから まして黄色人種を使って さらなる研究が出来るなんて超ラッキー! とか思ってるんでしょうね。
「トモダチ作戦」ですって! いまだに「アメリカの善意」を信じてるお花畑な人も多いのが問題。
ブログなどで取り上げられる症例・症状と、
実際にどの程度の因果関係があるのでしょうか?
人体への放射能の影響を考察するに、まず一番影響を受けるのは、おそらく、組織幹細胞であると考えられます。組織幹細胞は各器官などに存在し、生体恒常性の維持に必須の役割を果たします。放射能を幹細胞などの増殖中の細胞に照射しますと、DNAがダメージを受けて、細胞はこの損傷を大きく分けて二つの機構により処理しようとします。1つはアポトーシス、あるいはネクローシスと呼ばれる細胞死、もう1つはDNA修復-細胞老化の系です。放射線量が多ければ、いずれの場合でも幹細胞が減少・枯渇、あるいは機能低下する可能性が考えられます。この結果、全身の各臓器での機能不全や、あるいは癌、免疫系各種細胞の機能低下などを招くのではないでしょうか。
現在の技術ならば、各種の幹細胞を単離・採取してDNAに入った傷を同定する、などのアプローチは可能だと思いますが、因果関係の解明には時間がかかりそうですね。