まず、巧妙な書き方を2つ紹介します。
放射性物質の汚染確認 柏崎刈羽原発1号機の原子炉建屋
東京電力は12日、柏崎刈羽原発1号機の原子炉建屋で社内基準値を超す放射性物質の汚染を確認したと発表した。放射性液体廃棄物を流すラインの排水口付近で確認され、汚染濃度は1平方センチ当たり最大33ベクレル(基準値は4ベクレル)。汚染の拡大はなく、濃度はラドン温泉3cc分としている。 東電によると、汚染が確認されたのは残留熱除去系配管スペース室(管理区域)。11日午前0時半ごろ、巡視中の社員に放射…2011/07/12 21:40 【新潟日報】
ここでは、ラドン温泉 10Bq/ccだと評価していますね。ちょっと濃いのですが、まあ、そのくらいならとおもいそうです。
トンデモ放射能安全集の中でも、大変良くできている産業医科大学の 放射線学入門から。このスライド作成者は、将来裁かれることとなるでしょう。
汚いですが、ベクレルの定義

・・内部被曝 うんちを摂取する と書かれています。まあ、意味としてはこの通り。

最近はやり?のデマです。バナナ等価線量 を見ていただきたいのですが、バナナ1本あたりのカリウムは、約540mg(150g)となりますから約20Bq/本となります。わざと、桁数を一桁間違えていますね。しかも、セシウムとカリウムでは体内挙動が全く異なりますから、比較すること自体がまちがいです。詳しくは、内部被曝−その評価と治療方法を
これを使って、バナナの内部被曝を怖がらせているのです。だれが発言しているかを見れば、このような悪質なデマに惑わされることはなくなります。必ず、自分で計算してみること。それが大事だとこのスライドは教えています。(これまでに何度も改訂していますから、これはわざと誤植のママとしているわけですね)
そして、特に悪質なのが、次のスライド

半減期が長いので、プルトニウムの崩壊(放射性崩壊)が起こりにくく、結果として放射能は著しく低くなる。
ウソを言っていないだけに悪質なデマです。デマだとはわかるのですが、説明は非常に困難。ずっと考えていましたが、散歩の途中に次の計算を思いつきました。
ラドン 半減期 3.8日
セシウム-137 半減期 30年
プルトニウム-239 半減期 2.41万年
これではよくわかりませんので、同じ1Bqとなる原子の重さを比較してみましょう。
ベクレル・質量#換算から
ラドン−222
崩壊定数(sec-1): 2.11e-6
崩壊定数(day-1): 1.82e-1
崩壊定数(year-1): 6.66e+1
1g 当たり放射能(Bq): 5.73e+15
1Bq 当たり質量(g): 1.75e-16
セシウム−137
崩壊定数(sec-1): 7.33e-10
崩壊定数(day-1): 6.33e-5
崩壊定数(year-1): 2.31e-2
1g 当たり放射能(Bq): 3.22e+12
1Bq 当たり質量(g): 3.11e-13
プルトニウム−239
崩壊定数(sec-1): 9.12e-13
崩壊定数(day-1): 7.88e-8
崩壊定数(year-1): 2.88e-5
1g 当たり放射能(Bq): 2.30e+9
1Bq 当たり質量(g): 4.35e-10
これで、よくわかるようになりました。 1Bqのラドンの重さを 1とすると
プルトニウム:セシウム:ラドン = 1,000,000 : 1,000 : 1
つまり、同じ1ベクレルといっても、ラドンとプルトニウムは、重さでは100万倍も異なるわけです。
ラドンくん、セシウムくん、プルトニウムくんが 1秒ごとに1円ずつ落としているとしましょう。財布の中身は、ラドン君が100円だとすると、セシウム君は、10万円持っていることになり、プルトニウム君は10億円持っていることになります。これを落としている金額が同じだから、同じですよ と騙されている様なものです。(ちょっとわかりにくいかな)・・厳密にはちょっと違います。これは、重さと原子数をごっちゃにしています。・・
ラドン温泉200Bq/kgが大丈夫だからと言って、決してセシウム200Bq/kgが大丈夫とは言えないわけがおわかりでしょうか?(ラドンを1gのウンチだとすると、セシウムは1000gのウンチが入っているのと同じわけです。溶け出す量が同じと言っても、全然違いますね。)
Bqには半減期がつきものです。単純にベクレルだけで比べるのが大きなまちがいだと気がつきましょう。推進派は、このトリックを使って騙してきます。
◆関連ブログ
セシウム牛は要全面マスク域で飼育中だった・・2011年07月13日
内部被曝−その評価と治療方法2011年10月10日
放射性セシウム除染が困難な理由(2)2011年09月02日
私は文系出身なので、文章や文脈で何かおかしな点がないか見てしまいますが、まず、この文章を書いた人は人間心理をわかっていないと思います。
人々が今最も気にしているのは「被曝の危険」です。ですから、大きな文字でしかも上の方に「被曝します」と書くのはまずいです。
これではバナナも売れなくなり、本当の「風評被害」を生む事にもなりかねません。(まあ、日本産でないからいいと思っているのでしょうが)
次の「バナナは栄養価が高いので、被曝を気にせず食べても大丈夫」という文章も意味不明です。被曝の危険<栄養 と言いたいのでしょうか?
でも、例えば「バナナ」をセシウム汚染で話題の「米」や「きのこ」に変えてみればわかるでしょう。
「米は栄養価が高いので、被曝を気にせず食べても大丈夫」
「きのこは栄養価が高いので、被曝を気にせず食べても大丈夫」
こう言われて、安心して食べる人いますか? 国民もそれほど馬鹿ではないと思うのですが…。
また、40Kと137Csの性質の違いは何かについて述べられていないので、次の「40Kは毎日…誤差範囲」という文章が唐突に感じられてしまいます。わざと言及しないでごまかしたいからでしょうが、これではかえって不自然です。両者がどう違うのかわからないと心理的にすっきりせず、人々はむしろ不安になります。
いつも拝見し勉強させていただいております。
この放射線学入門を見たとき不明な点?も多く院長さまのご意見を伺おうと思っていたのですがほぼ全ページ疑問符だらけの状態で意見をまとめられずにいました。
そんな中取り上げていただきありがとうございます。
この「入門」を見て感じた最も大きな疑問は医師の養成機関たる医大が放射線防護の観点から述べることなくその基準を超えた被曝でも安全だ安全だと吹聴する事が許されるのか?という事です。
ICRP勧告(http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=09-04-01-08)によると公衆の(実効)線量限度は1mSv/年とされているそうですが「入門」では100mSvでも問題ないような書き方がされています。
よく読み比べてみると32ページから「10mSv/年の被曝で1万人のうち5.65名に致死ガンリスクがあるが誤差のうち」みたいな事が書いてありました。
一方、ICRP勧告では「20mSv/年で1000人うち1人に致死ガンリスクがあるのでこれ以上は容認できないレベルである」旨の記述があります。
同じ数字なのにこれだけ評価が分かれるのは何なんでしょうね?
しかも公衆の線量限度はこの1/10以下であることを隠しています!
同勧告の放射線防護の原則「すべての被ばくは、経済的および社会的な要因を考慮に入れながら、合理的に達成できるかぎり低く(as low as reasonably achievable:ALARA)保たれねばならない。」を鑑みると医師養成機関ならば被曝を減らすことを伝えるのが「放射線を正しく怖がる」事だと思います。
素人考えなので間違いもあるかと思いますので先生の御意見をお聞かせいただければ幸いです。
非常に気になるブログを
みかけましたので、お暇な時
がございましたら御確認下さい
南相馬市在住の「ぬまゆ」という
方のブログなのですが・・・。
http://blogs.yahoo.co.jp/kmasa924
医者に見てもらっても原因はわからないそうです。避難地域にはなっていない場所です。他にも倦怠感を訴える人は多いようです。肥田俊太郎さんが言う、「原爆ぶらぶら病」とそっくりです。
これは一体どうしたことでしょう。命を守るべき医療機関が(緩いと言われている)ICRP勧告の精神すら捻じ曲げているのは許せません。
何故「『プルトニウム239』がアルファ崩壊して『ウラン235』になる」んでしょうか?
俗にプルトニウムは『人類が生み出した最悪の人工放射性元素』とまでいわれる『天然由来ではない』元素だったと記憶していますが…勘違いかな?
というくだりがあります。プルトニウムのような毒性のある放射性物質が体の機能を調節するタンパクと結合すると体中の機能が破壊されるのではと思いますが。先生いかがでしょうか?
http://search.yahoo.co.jp/search?p=%E3%83%97%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%8B%E3%82%A6%E3%83%A0+%E9%8C%AF%E4%BD%93+%E7%94%9F%E4%BD%93%E4%B8%AD%E3%81%AE%E5%8F%8D%E5%BF%9C&ei=UTF-8&pstart=1&fr=slv1-ytpprn&b=1の上から3,4番目ぐらいにプルトニウム知見取りまとめ案というものがあり、そこで見ました。
いつもツイッターとブログ拝読しております。
Sv,Bqだけしか意識していなかった自分にとって、
セシウムの危険についての項等、目を覚まさせるものでした。
放射線の危険だけでなく、「セシウム」という物質自体の危険性、そして放射崩壊後できる元素の振る舞い…。
実際、埼玉在住の自分にも爪の異常(数本の指の爪の表面が剥がれた)や目の異常(飛蚊症)があらわれているだけに、ここに住み続けるリスクの大きさを思い知らされた思いでした。
さて、今日のブログの内容に関連しまして。。。2点疑問があります。
先生に聞くべきものなのか、迷いましたが…
文系の頭ではなかなか理解もしづらく、ここにコメントしてみます。
1)放射線量や強度の単位として、なぜ「グレイ」ではなく、「Bq」や「Sv」が使われるのか?
・Bqとは1秒間あたりの崩壊回数であり、崩壊の際放出されるエネルギーの大きさとは無関係の単位である。
・Svは、崩壊エネルギーの高低を組み込んだ単位だが、「人体への影響」を係数で算出しており、その係数の算定に問題がある。
…という感じで、理解していますが、
どちらも危険度を客観的に示すには不十分な気がしています…
一方、「グレイ」というのは崩壊放射線の熱量を示す単位だということですが、どうして「グレイ」が放射線量を示す単位として使われないのでしょう…?
2)「半減期」とは、放射性物質の形状や、周囲の環境によらず一定なのか?
例えば氷が溶ける時間は、同じ重量の氷であっても、氷の形状や周囲の温度によって違います。
放射性物質の崩壊というのは、その放射性物質が固まりか微粒子か、周囲の温度が0度か30度か…という違いでは変わらないのでしょうか?
半減、といっても、1個の原子が30年かけて半分崩壊する、という話ではなく、個別の原子?にとっては崩壊するかしていないかの2つの状態の違いしかない気がするので、違和感が残っています。
放射線の危険、という趣旨から離れた疑問で申し訳ありません。
こんなことに疑問を持っている者もいるんだ、程度にお読み頂ければ幸いです…。
まとまらずすみません・・・。
「水道水中の放射性物質に係る指標の見直し案に関する意見の募集について」
案件番号:495110329
案の公示日 2011年12月28日
意見・情報受付締切日 2012年01月27日
所管府省・部局名等:厚生労働省健康局水道課水道水質管理室
行政手続法に基づく手続であるか否か:任意の意見募集
この中で、セシウム以外の核種については、測定に時間がかかる等の理由で、規制値をセシウムの値で代表させるとか、さらにモニター対象からも外されているようなのですが???
本当にこんなので大丈夫なのでしょうか?
専門的にお解りになる方に、意見を出していただくと良いのではないかと思い、投稿してみました。
誤植に気づいたので、お知らせします。
誤
プルトニウム君は10億円持っている
正
プルトニウム君は1億円持っている