2011年12月30日

「虫や鳥や木が消え始めたら、次は人間が消えていく番だ」

南風椎の「森日記」から
森はまだ生きているのだろうか2011.07.27 Wednesday
この森に住みはじめて10年になる。
ここ数年は本来の仕事を再開したので、森に出ることは少なくなっていた。
でもそれまでの6,7年間は一年中毎日朝から外に出て、里山仕事、野良仕事、庭仕事をやっていた。だから四季それぞれこの森のどこで何が起きていて、ぼくが何をしなければならないか、は完璧に把握していた。

ところが3.11以降、森はすっかり顔が変わってしまった。
ぼくが知っている森ではなくなったのだ。
小鳥がこなくなったことは震災の一週間後に「沈黙の春?」という日記で書いた。状況はその後も変わっていない。小鳥たちは皆無ではないけど、ごくたまに1,2羽見かけるだけ。以前のように群れをなして飛んでくることはなくなった。

夏になってからはセミがいない。去年も酷暑のせいでセミが少ないと書いたが、今年は少ないのではなく、いないと言ってもいい。しかし皆無ではない。ときどきカナカナが一羽、ミンミンが二羽とか鳴いているのが聞こえるくらい。数えられるのがさみしいね。東京からきた小学生が「うるさーい!」と両耳をおさえるようなセミ時雨の森だったのに。

この森の蚊は数が非常に多く凶暴であると、日記に書いたことがある。
蚊もいなくなった。おとといは試しにノースリーブのTシャツに半ズボンという無謀きわまりない出で立ちで、森を20分ほど散歩した。去年までなら全身腫れ上がるほど刺されただろうに、両足を一カ所ずつ刺されただけだった。蚊が皆無でないとわかってほっとしたほどだ。

アゲハなどの蝶はわりに見かける。つい最近まで何ヶ月も安全なサナギに包まれていたからではないだろうか。

クモの巣がなくなった。去年までは家の周りを歩くのにも、長い棒を持って巣を払いながらじゃなきゃ歩けないほどクモたちはたくさんの巣を張りめぐらせていた。
今年は低い木陰をのぞきこんで探しても見つからない。皆無だ。
クモ自体が消えたのか、巣を張ってもつかまる虫がいないためやめてしまったのかはわからない。

この森が異常な事態であることは断言してもいい。
街のコンクリートやアスファルトに積もった放射能は雨が流してくれるけど、土や草むらに降る放射能は積もり続けるので危険だとも聞いた。
森は土と草むらの上に乗っかっているものなのだ。

昔教わった生態学の基礎の基礎はこうだった。
虫や鳥や木が消え始めたら、次は人間が消えていく番だ

ぼくたちは今、知らされているよりはるかに大きな危機の中で茫然と立ち尽くしているだけなんじゃないか、という思いは日々強くなっている


2011.12.30(金)の熊日朝刊
2011123001.jpg
 なぜ、原因不明なのでしょうか。もちろんまちがいかもしれませんが、放射能の影響も考えられると書くべきではないかと私には思えます。

Atmospheric dispersion of radionuclides from the Fukushima-Daichii nuclear power plant
2011123003.jpg
 このように、非常に広範囲にわたって汚染されています。もちろん、シベリアさえ例外ではありません。なぜ、放射能が予想される被害については、「風評」「原因不明」としか記事にならないのでしょうか。

 そして、その影響は海外にも及んでいます。

これは、ドングリの不作を指摘している記事(米国)
2011123004.jpg

EX-SKF-JP から
日本語文のみ採用させていただきました。いつもありがとうございます。

アラスカのアザラシの原因不明の病気、福島からの放射能の影響を調査
ロイター通信(2011年12月27日)シアトル発−アラスカの科学者達は、アラスカのアザラシが日本の福島原発からの放射能で病気になっているかどうかを調査している。
病気の、あるいは死亡したワモンアザラシが7月から数十匹、アラスカの北極圏海岸に打ち上げられているが、これらのアザラシは原因不明の病気による後足ひれからの出血、鼻と目の周りの皮膚の炎症、毛皮の毛が抜ける、などの症状を見せている。
最初、生物学者たちは何らかのウィルス性の病気だろうと考えていたが、そのウィルスを特定することは現在まで出来ておらず、放射能が原因の一つかどうかのテストが現在行われている。
「セント・ローレンス島の近くで捕獲された病気のアザラシから取った体組織のサンプルを受け取りました。放射能を調べてくれ、という要望です」、というのは、アラスカ大学フェアバンクス校の海洋科学研究所のジョン・ケリー名誉教授。
「地元の人々の間では、これは福島原発の事故と何らかの関係があるのではないか、という心配が出ている」、と教授は言う。
「テストの結果が出るのは早くても数週間後になる。」
米国太平洋岸では、3月の日本での地震と津波以降、水の検査では特に通常より高い放射能は検出されていない。この地震と津波によって福島原発で複数のメルトダウンが起こり、周辺地域から数万人の人が避難を余儀なくされた。
米国の海洋・大気庁(NOAA)、野生動物庁はここ数週間、病気のアザラシの原因究明に当たっているが、現在までのところ答は出ていない。

写真の解説によると、アザラシの症状は後ひれの出血、口内出血、抜け毛、鼻と目の周りの皮膚の炎症。このようなアザラシが、7月の下旬から打ち上げられるようになった、とのことです。写真を見る限り、抜け毛などという生易しいものではなく、毛がほとんど残っていない状態のように見えます。なんともかわいそうな姿です。

2011123005.jpg

 日本各地、そして世界で何が起きているのでしょう。本当にフクシマは収束したのでしょうか。
タグ:P
posted by いんちょう at 08:00| Comment(28) | 原子力
この記事へのコメント
福岡ですが、毎冬来て、ミカン争奪戦を繰り広げていたヒヨドリたちが一羽も来ません。
恐怖を覚えるほどに凄まじい数居たスズメが、10羽も見かけません。
冗談ごとじゃない、次は人間だ、と体で感じます。
Posted by 平木なおり at 2011年12月30日 09:49
以前twitterでも申し上げましたが、

阪神間在住です。
ベランダに鳩除けまで作って困っていたのに、
この春からまったく来なくなりました。

大通りを挟んで公園、アパートの後ろは駅の立地です。
駅ホームにも、鳩がいません。
カラスは一か月に2度くらいベランダに来ますし、駅ホームにも時々います。

鳩はどうしたんでしょう?!本当に怖いです!
Posted by プリン at 2011年12月30日 12:54
今年の10月ごろに、荒川に一匹のあざらしがあらわれて、人気を博し、志木市から住民票をもらう、というニュースがありましたが、あのあざらしも、この写真のあざらしと同じように、毛が抜け落ち、専門家が皮膚病でしょう、とコメントしていたのを思い出しました。
もちろん、原因は不明とされていました。
遠くアラスカのあざらしでさえ病気になっちゃうくらいなのですから、関東のあざらしはいわずもがなです。。
Posted by tea fore at 2011年12月30日 13:32
阪急京都線沿いです。
ヒヨドリ、すずめ、メジロ、ツグミが、今年はまったく来ません。
Posted by にょん at 2011年12月30日 17:07
チェルノブイリのときも、雛鳥の数が激減するということがあったようです。

http://d.hatena.ne.jp/eisberg/20110706/1309971310
Posted by Eisberg at 2011年12月30日 17:54
北海道釧路市ですが、こちらのコメントを読ませていただき、我が家でもベランダでよく見かけた鳩を今年は見てないことに気づきました。やはり日本中に拡散しているんですね。
Posted by ゆみぞう at 2011年12月30日 20:12
福島県石川町です。言われてみればですが「すずめ」の数が減っているように思います。庭の南天の実もまだ健在です。いつもの年であれば半分くらいになっている時期なのです。それと露地栽培している「シイタケ」が出ています。雪の中で出ているのは初めてです。
Posted by masa at 2011年12月31日 20:13
当地方では、今年は柿が大豊作です。
「小鳥もサルも食べきれないほどなので、木になったままです。」と思っていましたが、小鳥もサルも減少したために、そのまま木に残っているのでしょうか。
不安になってきました。
Posted by 南相馬 at 2012年01月02日 23:42
新潟県瓢湖に毎年6000羽飛来する白鳥の数が、今年は例年よりかなり少ないそうです。
一番多かった11月で、昨年より1000羽以上少ない4600羽程とのこと。
http://kadoyasan.com/swan02.html
Posted by みにくいあひるのこ at 2012年01月02日 23:54
自分は埼玉南部ですが、明らかにスズメの数が少ないです。
しかも夏頃までは、例年より少し少なく感じた程度でしたが、田んぼで稲が実り収穫期を超えたあたりから急に見る数が激減し秋後半になったら殆ど見かけない様になりました。
年末くらいから多少は見かける事は有りますが、多くても5羽前後の集団(?)が殆どです。(庭に餌台を置いている家の近くでは数十羽居る事もありますが、去年までと比べると半分にも満たないです)
Posted by ichibey at 2012年01月03日 19:52
Twitterから来ました。
私もツバメが少ないと感じました。
毎年12月になるとベランダにツバメがわんさか来て、テレビの音と同じくらいの鳴き声がしていたのですが、今年度は気づいたらもぅ年が明けていました。
ここのコメントを読んでハッ!と気づいたので、なんか怖いです。
Posted by 熊本民 at 2012年01月04日 03:32
はじめまして。埼玉東部ですが家の前にたむろしている野良猫たちを例年は追い払っていたのですが、夏から一匹も来なくなり、初めてのことで気になっています。5月頃までは普通に何匹も地べたに寝そべっていました。
Posted by もか at 2012年01月16日 16:44
すずめが減っているというのは、ニュースにもなっていました。
http://cgi4.nhk.or.jp/eco-channel/jp/movie/play.cgi?movie=j_shutonet_20100517_0296
Posted by ocean at 2012年01月17日 05:16
5年前から庭ですずめにエサをやっていますが、今年も減った感じはありません。
毎年ここで交尾して、子育てしてくれます。
今日も元気に30羽ぐらい、うるさく鳴きながらお米を食べています。

ただ、みかんをつけていてもメジロもヒヨドリも来ませんでした。去年は日に3回交換してやらないといけませんでした。
福岡県の話です。
Posted by くま at 2012年01月18日 09:24
絶滅危惧種:セミ、スズメ、?市民、?県民、日本人、地球人
Posted by mochi at 2012年01月18日 23:37
はじめまして♪大阪在住のものです。

去年の年末に道路と歩道の境目あたりに、お亡くなりになっているハトを見かけました。
変な言い方ですが、そう表現するのがふさわしい感じだったハトの死体でした。

なんて言うか…どこにも傷が見当たらなくて、もちろん車にぶつかったとか、そういう痕跡もない。急に”ぱたっ”と倒れて死んじゃったの?そんな感じ。

その話を帰って主人に話したところ、彼も会社のそばでそういうハトとスズメを見かけたと言っていました。

私の実家(茨城県です)でも、長年生きていた猫が急性白血病で(これは獣医さんに言われたそうです)いきなり具合が悪くなったと思ってたら、その3日後に死んでしまいました。よく外に出ていたので、やっぱり放射線に侵されてしまったのかしら、と内心思っていました。
Posted by むーに at 2012年01月22日 13:17
http://yamagata-np.jp/news/core/index/pr.php?kate=World&no=201201241002365
南半球でも既に数ヶ月にわたってクジラに影響を与え続けているのですね。
Posted by szuki at 2012年01月25日 01:08
都区内の実家ですが、この冬はバードフィーダーにスズメがやってきません。牛脂をぶら下げてもシジュウカラがやってきません。ナンテンやガマズミの実もほとんど食べられておりません。こんなことは初めてです。昨秋まではスズメの姿を見かけたのですが11月頃から姿を見せなくなりました。但しメジロとヒヨドリはやってきます。それでも例年より数が少ないです。
Posted by ピー子 at 2012年02月05日 08:30
山口県の親戚宅では、
毎年、鳥に食べられて
守るのが大変な甘柿の実が、
今年はいっぱい実ったまま残り、
どうやって消費しようか困ったとのこと
Posted by らいむ at 2012年02月05日 22:59
北九州市です。いつもベランダの鳩を追い払うのが大変でしたが、今年に入ってから鳩が来ません。スズメや冬鳥も来なくなり、野ばらの実が未だに残っています。ひばりは来ています。

ただ昨年末まで裏山から全く聞こえなかった鳥の鳴き声が、今年に入ってからは聞こえるようになりました。野良猫は見かけなくなりました
。カラスも数が減ったと思います。空を見上げると鳶が飛んでいるのだけはよく見ます。

秋から冬にかけてよく聞こえる犬の遠吠えも
この冬はほとんど聞こえませんでした。
Posted by moon at 2012年03月07日 07:26
●被曝の林 (福島在住の方のブログ)
相変わらず、スズメは一羽もいない。
アリも一匹もいない。
http://atom.fk-m.com/?eid=117

●飯舘村のウグイス ラジオオートグラフで被曝を映像化
http://mphoto.sblo.jp/article/55571894.html
Posted by ちょここ at 2012年05月11日 23:11
院長先生、

アラスカの北極シロクマも脱毛しているようです。本当に可哀想です。

http://blog.alexanderhiggins.com/2012/04/10/marine-dieoffs-polar-bears-losing-fur-mystery-illnesses-alaska-115241/

さらに、アラスカン航空のフライトアテンダント数百人が脱毛や原因不明の病気になっているという話しもでてきました。表向き「Toxic Uniformが原因」となっていますが、アラスカ上空の機内の線量の高さを考えると、添乗員さんが病気になっても不思議ではない気がします。

http://blog.alexanderhiggins.com/2012/05/09/hundreds-flight-attendants-fall-ill-hair-falling-131171/
Posted by なおみ at 2012年05月12日 15:52
いつもの夏だと、6月下旬くらいから、
網戸を閉めていても蚊が入ってきてました。
今年、全く蚊が入ってきません。
網戸が破けてるのに全く。
Posted by ninto at 2013年07月08日 00:05
岡山です。

毎年大量発生して退治が大変だったコバエが今年はかなり少なかったです。いないのではなく、生まれてもヘロヘロと飛んで一日以内に死にます。
飛んでいるコバエはすごく少ないのに、死骸だけは掃除しても掃除しても転がります。

オリーブ園のツバメも数が減りました。なぜかワシ?タカ?みたいな大型鳥だけ大量発生していました。小鳥のさえずりがいつのまにか聞こえなくなっていました。

あと冬にカキが豊作だと騒がれていましたが、いまのところ牡蠣を食べた人全員がお腹をくだしています。牡蠣は大量に海水をろ過するので危険と聞きましたが怖いです。
Posted by まいれーじ at 2013年07月23日 02:25
東京都小金井市です。奇形植物はまだ見つけていません。やぶ蚊はどこからともなくマンションの部屋に侵入して家族で刺されました。数は震災前と同じくらいに感じます。セミは普通どおり、街中でもカミキリ、コガネムシ、カマキリくらいなら見かけます。一見汚染を意識しにくいのですが、チェルノブイリ直後から市民が立ち上げた食品放射能測定室のデータを見ると市内のたけのこやドクダミから結構セシウムが出ています。私としては防御しきれない無力感が日に日に募っているのですが・・・
Posted by ととろ at 2013年09月19日 12:09
こちらは神戸ですが、やはり雀が少ないようです。以前は、朝からうるさいくらいに鳴いていましたが、よく耳を澄ましてみると、遠くから小さな鳴き声が聞こえる程度です。つばめも、あまり見かけません。セミは、昨日の昼ごろ、小さな声で鳴いていましたが、すぐに鳴きやみました。今はまったくなにも聞こえません。静かな朝です。これは普通なのでしょうか?それとも、何かがおかしいのでしょうか?
Posted by ディラン459 at 2014年06月17日 07:25
スズメは東京では一時姿を消したのか、と思えるほどでしたが今は少し戻ってきています。セミも同じですね。何故かはわかりません。
東京に暮らしていると、時々訪れる神戸はくらべものにならないくらいスズメもセミもいます。昨年と比べると、そういえば確かに減ってる感じがするかな、くらいです。
驚いたのは札幌の蝶々。都心部の公園で蝶々がいたのですが、普通なら捕まえることはできませんよね。近寄っただけで元気に逃げて行きます。しかし、今年の蝶々は子供でも簡単に捕まえることが出来ました。一羽だけでなく何羽も。こんなこと初めてです。蝶が人になつくというのも聞いたことがありません。
Posted by NoNo at 2014年06月17日 15:20
虫がいません
蛾も蚊も、居ればいやなやつらがぜんぜん居ません
ヤモリが食事できているか心配してしまうくらい居ません。

例年ならば街灯に虫が群がっているのに一匹も居ません
鈴虫が7月の初旬にないてました
2回聞きました
作り物の音かも知れません
Posted by くどう at 2014年08月02日 00:07
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