2012年01月21日

1F-2格納容器内視鏡検査

 1F-2の格納容器内を工業用内視鏡で検査をしており、その動画が公開されています

 ちらちらノイズが載っているように見えるのは、高レベルのガンマ線のため。チェルノブイリでも見ることができましたが、現在の機器で見ることになるとは・・もう、この最初数分の動画だけでもとんでもないことがわかります。水滴もかなり自然落下しているようですが、一体水源はどこなんでしょうか。

また、この動画の説明資料が東電のホームページにありましたので、こちらとあわせて解説します。

念入りに準備したことが伺えます。
2012012107.jpg

まず、つかわれた内視鏡
2012012108.jpg
なんと、1000Gyの耐放射線性。ここの雰囲気線量は、

2012012109.jpg
約7Sv = 7Gy と考えて、150時間程度は使えるのでしょうが、線量の高いところに行くとその前に使えなくなってしまう可能性がありますね。

まず、驚くのはこの手順
2012012102.jpg
 穴を開けて、コンクリートブロックを落とすだけの作業で、54名最大被曝線量 3.03mSv を被曝してしまっています。まわりも何もかもとんでもない作業であるのは、まちがいありません。そして、今回の線量は、28名で最高 3.07mSv むしろ、観察の方が簡単なんですね。原子炉まわりの高レベル放射線のあるところでは、この用に単純な作業でもこんなに人数が必要なのです。ちょっと見てくっか、というわけにはいかないのが、この資料からもよくわかります。

2012012103.jpg

2012012104.jpg
格納容器内壁がさびていますね。これは当たり前です。記者会見ではだれも指摘していなかったようですが、事故当初から海水を注入しているのですから、中はものすごい腐食環境です。しかも、40度前後という適度な温度。このくらいですんでいたら奇跡でしょう。原子炉圧力容器の外壁もどうなっているのかわかりません。時間が経って、圧力容器自体が亀裂する可能性だってもちろんあるでしょう。

2012012105.jpg
 水適なようなものが最初から随分と見えています。まさか、アルファ線の軌跡だったりはしないですよね?
霧箱・・ご存じでしょうか。

 まあ、これは私の妄想でしょう。

2012012106.jpg

ステンレスの配管は、今のところ大丈夫なようではありますが、いくらステンレスとはいえ、高温多湿、海水、セシウムたっぷりの場所では、腐食は免れないでしょう。この2号機のタービン建屋の地下水たまり水には、合計52万ベクレル/cm3 = 5億2000万Bq/kg のセシウムが含まれているようですから。

 ちょっと観察するのに、この被曝。噂では、いろいろあるようですが・・

◆関連ブログ
訂正報道にだまされてはいけない。2011年06月07日
つながってきた点と点(2号機 1000mSv/hr汚染水)2011年05月25日
タグ:1F 1F-2
posted by いんちょう at 20:27| Comment(8) | 原子力
この記事へのコメント
先生、この医師会でのご報告はすごいです!医師会の他の先生方の反応はどのようだったのでしょうか?ここまで凄まじいとしか形容しようのない内部を人の手で次の地震が襲う前に管理下におくことは可能なのでしょうか?5億2千万ベクレル/kg。

先生だからこそのご報告は本当に貴重です。ありがとうございました。
Posted by 川田きくの at 2012年01月22日 01:50
事故当時、精密機械に海水なんて大丈夫かな、あんなに何トンも水注いでキャパあるのかな、と素人ながらに思っていましたが、思った通りでした。結局彼らもどうしたらいいのかわかってなかったんですね。
現在は当初より更に原発内部に詳しい技術者が減って(被曝総線量の関係などで)素人に等しい人々が導入されていると聞きますが…。これで本当に冷温停止と言えるのか、無事廃炉にまで持っていけるのか、暗澹たる気持になってきますが、周囲にはもう既に原発は落ち着いたと思っている人が多いです。本当の悲劇はこれからなのに。
東電の松本さんが会見で、例の涼しい顔で
「錆ですので、今後、ご指摘の通り腐食が進んで、最悪のケースでいうと何か崩れるというようなケースになると思います」なんてさらっと言っています。(43分あたり↓)
http://www.ustream.tv/recorded/19880104

南東北、関東の少なくとも子どもがいる家庭、若い世代の皆さんは、できれば一刻も早く、なるべく西へ逃げてほしい。

未だに「放射脳」などと言っている能天気な人々には、下の漫画を見せてあげてください。チェルノブイリ事故の当時に書かれた漫画ですが、全然古さを感じません。(当時34基だった日本の原発は、今や54基にまで増えてしまいました。本当に、どうするつもりでしょう?)

●パエトーン 山岸涼子
http://usio.feliseed.net/paetone/
(無料公開中)

聖書の有名な預言書「ヨハネの黙示録」に出てくる「ニガヨモギ」は「チェルノブイリ」と言われていますが、フクシマはさしずめ巨大な7つの頭を持った竜でしょうか。
驕った人間達は、手を出してはいけない「神の禁断の火」に手をつけてしまったのです。
Posted by 横浜市民 at 2012年01月22日 11:13
原子力ってなんなんだろう。科学が追いつかないものに人海戦術で被曝を強いられる。こんなものを推進してきたのかと思うと言葉が見つからない...
Posted by ままんぼう at 2012年01月22日 12:35
先生、いつも勉強になるお話をありがとうございます。

この記事を読んで、どう思われますか???
英語が弱い上に、原子力が絡むと入り口で躓きましたが、
年末年始に4号機で爆発があったんでしょうか?
http://www.planetark.org/enviro-news/item/64430
Posted by みーも at 2012年01月22日 13:57
原発は稼働しだしたらもう人の手の及ぶものではないと、よくわかります。
老朽化しても内部のメンテナンスなど出来る訳が無い。
出来るのは廃炉措置しか無いはず。
もう、使い捨てになる巨額湯沸かし器は必要ないです。
お手上げの状態にこれも「安全」?
驚愕の無駄使いをしたい東電と政府って傾城の賠償組織になるでしょうね。
それも増税しないとなどと脅かすカツアゲ集団兼任。

ボロボロ原発を認識できないなら眼帯もう一つあげますよ。
Posted by 花の癒し at 2012年01月22日 15:51
私、個人的には水滴ではなくてアルファ線の軌跡
だと思います。だって下から上に向かって飛んでるものもありますよ。先生と一緒で妄想だといいのですが。
Posted by haru at 2012年01月22日 16:08
記者会見でNHKの山崎氏が『錆』『腐食』に関して質問しているようです。→『錆びた格納容器壁面は腐食して崩れるのか。東電記者会見1/20(書き出し・2号機内部動画あり)』http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-category-23.html

なかなか詭弁に富んだ東電:松本氏の回答の中で
>それから、水の量ですが、
>こちらも、内視鏡で見た水滴が、かなりの量落ちてきているように>見えるが、サイズそのものははっきり分かりません。
>内視鏡なので、かなり拡大して見えているんではないかと思ってい>るので、これで水量が多い少ないは、なかなか言えないと思う。

↑この発言は笑止千万。同一機種で比較検証すれば、お得意の『シミュレーション』結果で『断言』するはずです。それをしないということに『含み』というか『裏』というか意図的なものを感じます。
Posted by CrowGoki at 2012年01月22日 17:49
みーもさんご指摘のPlanetarkの記事は昨年3月21日付けのロイターの記事の丸写しです。つまり現状について書いたものではないのでご注意ください。

4号機はどうなっているのか、信頼できる情報はどこにあるのでしょうか。
Posted by stak at 2012年01月22日 23:06
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。