2012年02月18日

放射能と白血病の増加

昨年の11月22日に次のようなニュースがネットを駆け巡りました。

白血病患者急増 医学界で高まる不安
 各都道府県の国公立医師会病院の統計によると、今年の4月から10月にかけて、「白血病」と診断された患者数が、昨年の約7倍にのぼったことが21日に判明した。 これを受けて、日本医師会会長原中勝征は、原発事故との因果関係は不明として、原因が判明次第発表するとした。 白血病と診断された患者の約60%以上が急性白血病で、統計をとりはじめた1978年以来、このような比率は例が無いという。 また、患者の約80%が東北・関東地方で、福島県が最も多く、 次に茨城、栃木、東京の順に多かった。

 そうすると11月29日に日本医師会がそのような事実はないとプレス発表
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 医師会にしては、なかなか素早い反応です。

 この出来事については、この記事が良くまとまっています。

白血病患者数が前年7倍と急増 このデマはなぜ広がったのか2011年11月30日20時09分
(前略)
今回の書き込みは、専門家から見た場合、考えにくい内容だったようだ。
神戸市内の小児科医というブロガーは、白血病患者がいきなり前年の7倍に増えれば、専門医不足の病院はパンクすると指摘した。また、直近の4〜10月の統計データを調べるには、ありえないほど早いペースの作業が必要になるとしている。
とはいえ、ネット上では、白血病急増の情報をつかんだ人が記事形式でリークした可能性があるなどといった意見も依然くすぶっている。それは、政府が後になってメルトダウンを認めるなど、後手後手の対応に回ってきたことに対する不信感からのようだ。書き込みを見ても、「実際どうなんだよ ちゃんと調査しろ!!!」といった声が相次いでいる。
しかし、日本医師会では、白血病の統計調査はしていないという。厚労省の保健統計室でも、9、10月に白血病の患者調査をしたものの、発表は12年12月ごろになる予定だとしている。


 そもそも、白血病の原因はなんでしょうか。以前、白血病入門シリーズを書いています。白血病入門(3)白血病の種類と原因から
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 はっきりとはわかりませんが、「放射線の大量被曝」は原因の一つです。放射線の大量被曝と言えば、ヒロシマ・ナガサキです。当然研究もされています。

放影研のホームページ
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白血病はまれな疾患なので、原爆被爆者の相対リスクは大きくても症例数として考えた場合には比較的小さくなる。すなわち、白血病はLSS集団のすべてのがんによる死亡の約3%、および全死亡の1%未満にすぎない。白血病による過剰死亡者数は、現在のところLSS集団の放射線被曝に関連するがんによる過剰死亡者数の約16%を占めている。被爆していない日本人においては、白血病の生涯リスクは約7例/千人である。これに対して、LSS集団における0.005 Gy以上の線量を受けた被爆者(平均被曝線量約0.2 Gy)の生涯白血病リスクは約10例/千人(相対リスクは約1.5)である。

 もう一つの評価
放射線とがんの関係から
◎白血病
広島・長崎の調査によると、高線量の場合被ばく線量が多くなるにつれて白血病の発生率が高まることが分かりました。白血病の発生率は被ばく後5年から10年くらいのときが最も高く、その後時間の経過とともに低くなっています。また被ばく時の年齢が若い人ほど白血病になる率が高くなっています。
白血病の中でも急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病は、線量に比例して増加しています。一方、慢性リンパ性白血病と成人T細胞白血病には線量との関係はみられていません。

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 そして肥田先生の言葉
−例えば白血病などはどうでしょう。
肥田 白血病はまだでない。3年以降で、白血病はピークが5年、がんが7年だった。これは必ずピークは出る。医師は知っておいた方がいい。被災者のみんなが放射能障害を心配している中で、「心配しなくていいよ」という医者では通用しなくなる。


からp.28
 昭和59年頃、放射線医学では「最大許容法車線被曝量」のことばがまかり通っていた。それは広島と長崎の被ばく者の放射線障害の追跡結果で作成されたもので、原爆投下後の戦災と苦しみの中でなくなった方々が残した、貴重な国際的な医学遺産である。
 ところが、このかけがえのない貴重な医学遺産は、無残にも改ざんされていた。戦後5年間、昭和20年から25年までにガンや白血病でなくなった被ばく者は、原爆被爆以前から罹患していた可能性があるとの屁理屈で、統計から外されていたのである。あえて「屁理屈」と書く。それは、核政策上のアメリカ側の指導であったからである。
 当初は、爆発でけがや火傷をしていれば、放射線障害から外された。原爆は上空で爆破するので、その爆煙(キノコ雲)は成層圏にいたり、風邪ととせに放射性物質は大気圏へ拡散し、地表に残留放射線は存在しない。「黒い雨」は地上の泥が舞い上がり振ってきたものに過ぎない。こうアメリカは強弁していたのである。
 いずれにしても、広島と長崎に設置されたABCCが放射能の影響を少なく見積もるために意図的にデータを操作したのであった。
 

はだしのゲン第10巻 p.163(被曝8年後)
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 ヒロシマ・ナガサキの体験をもう一度調べてみましょう。真実は公式の統計ではなく、各個人が残した記録の中にあります。フクシマからは、3月の時点で広島原爆168個以上のセシウムが放出されたことをお忘れなく。

◆関連ブログ
われわれは原発事故にどう対処すればよいか(肥田舜太郎氏)2011年06月26日
放射能と人体(7)放射能安全神話の根拠2011年12月17日

白血病入門 (完)
  1. 白血病入門(1)熊大の研修医時代
  2. 白血病入門(2)初期症状と血液データの読み方
  3. 白血病入門(3)白血病の種類と原因
  4. 白血病入門(4)治療その1−化学療法−骨髄移植の前準備
  5. 白血病入門(5)治療その2−化学療法と骨髄移植他
  6. 白血病入門(6)まとめ−予後因子と典型症例〜医師国試から
タグ:放射能
posted by いんちょう at 21:13| Comment(9) | 原子力
この記事へのコメント
院長先生、種まきジャーナルで聞きましたが、小出教授がおっしゃるには、セシウム134を含むと原爆400個分だそうです。セシウム137のみで168個分だそうです。 これは、政府の発表だと教授は仰ってました。

いろいろと過去記事を読ませていただいてます。 今夜は連投すみません。

お忙しいと思います。
くれぐれもご自愛ください。

今後もいろいろと勉強させてください。




Posted by びっくり@@ at 2012年02月18日 21:45
びっくり@@さんと同様に、
今夜は私もいんちょう先生の過去ブログで勉強しなおしています。
最近、記憶力が徐々に低下しているもので・・・。

放射線の影響は、数年後に発病するであろう白血病や癌ももちろんですが、女性は卵子が傷つきますよね?
特に女の子(生後すぐの赤ちゃん含む)〜妊娠適齢期の若い女性は将来の出産時に初めてその事態の大きさを目の当たりにする・・・ということになるのでしょうか?
毎日の少しずつの被爆が重なると影響も大きいのではないでしょうか?
女の子を持つ親としては心配です。

政府が言い続けていた「直ちに健康に影響はありません」ということは、こういうことだったのか・・・!
と、数年後に後悔することはよもやないでしょうね・・・・??
(政治家の皆さんに念を押して確認したい)

Posted by peko at 2012年02月18日 22:45
いつも、えっ!!と思うような記事をアップしていただき、ありがとうございます。
ツイッターで見ました広島・長崎の
昭和25年以前の死因別死亡者数の統計ですが
広島県のHPの統計コーナーに
広島統計年鑑が公開されています。
第一回広島統計年鑑(昭和29年版)
に昭和22年からのデータがあります。
すでに検索済みでしたら、すいません。
私はツイッターをしないので、ここに書かせていただきます。
広島県統計書 には大正14年版と昭和元年版で「衛生」(死者の死因)の欄が見れます。
わかりにくい表ですが。
数値を見ても、私には意味があるのかどうかも
わかりません。新生物の死者が昭和22年1380人→1479人→1544人→1622人→1768人→27年 1856人 と増えているのはわかります。
すでに、ご覧になっている資料でしたら
余計なお世話をお許しください。
Posted by ナナイ at 2012年02月19日 09:40
小野先生の言葉通り、核開発推進のために、内部被曝を無視したり、データを意図的に無視した公式発表が行われてきたと思います。

すでにご存知とは思いますが、以下のサイトでも、被曝データ隠蔽について書かれていました。

「しかし草野らの研究の成果は、原爆投下後(被爆3ヶ月後)から白血病やガンの増加が始まっており、また入市被曝でも発症が見られた。このことはICRP仮説、すなわち時間遅延仮説や直接外部被曝原因仮説が正しくないことを強く示唆している」

http://www.inaco.co.jp/isaac/back/032/032.html

南相馬市でセシウム71.8万-108万Bq/kg、Inspectorでα線の寄与が高い測定値が出た黒い粉の件も、非常に恐ろしいです。3号機で起きた14日の爆発でも20日の再メルトダウン(?)でも、黒煙が出たことと関係あるのでしょうか?政府も自治体もマスコミも医師会も(?)、重大な事態を隠蔽しようと、圧力をかけているとしか思えません。いろいろご苦労があると思います。先生の活動に深く感謝しております。
Posted by がじゅまる at 2012年02月19日 10:45
奇形動植物の話とも併せて、さらにいろいろ調査されて、発癌・白血病発症の本当の総数がどうなっているのか、事故前・事故後の比較ということで、医学会と工学会、それに一般の講演会など、いろんな場で話されるといいと思います。
日本医学会は、
「実際に、癌や白血病が事故後増えたにしてに、
 そんなことは言うな。
 数字など、誤魔化しておけ。」
と、悪党の原子力村を守りたいがために、
政府からプレッシャーがかかってるんですかね。
昨年11月に、
ある市民病院で、外科を受診したんですが、
その医師は小児がん専門の人でしたが、
「発癌、増えますか?」と訊いたら、
「当然、増えるでしょうね。」
と言っていました。
その増える時期が前倒しに来ているとしたら、
数年後のピークがどうなるのか、
そら、恐ろしいですね。
Cs134や同137等の定時降下物が
今になって、いきなり不定期に増えている
http://www.pref.fukushima.jp/j/koukabutsu52.pdf
のに、
いきなり、「福島第一の事故とは何ら相関がありません。」と言ってしまったり
http://www.pref.fukushima.jp/j/koukabutsu-youin0206.pdf

12月の時点で、‘冷温停止状態’を宣言しながら、2号機の温度計の壊れたとする話など、
現状への隠蔽の最たるもんだと思っていますが、隠蔽圧力に屈せず、
どんどん、本当の実態を、
データを携えた上で、
是非、発表して欲しいと思います。
そうすれば、国民が、今後、
原発をやり続けていいのか、
やめなければならないのか、
見えて来ます。

マスコミも、東電や保安院の言い分を、
何の疑いも挟まずに、へえへえ訊くのでは無く、
「論理的に何故、ぞれが言えるの?」
と、言葉の端々に突っ込みを入れていかないと、
東電は、尚更尊大になる訳で、
本来、ペンの正義が売り物の
メディア自体が、
間接的に子供の命を殺すことになると思います。
それと、コトを小さく見せようとしているのには、日本政府の意図だけではなく、アメリカの圧力もあるのかもしれませんね。広島原爆の時も、
「死の雨?泥が舞い上がっただけだ。」
と言い切ったんですよね、アメリカは。
彼らは、電源系のフェールセーフがお釈迦だった
MarkIを、不具合を隠して、東電に売った訳だし、彼らのお国自体が、今原発推進に向いている訳だから、同盟国の日本が、原発でヤバい状態になっていると言う本当のことは、極力本国の国民にも隠しておきたいでしょうね。オバマから野田に、「原発の事で、あんまり、お宅の国民に、騒ぎ立てさせるなよ。本当のデータなんか、SPEEDIの時みたいに、俺んとこだけに回せばいいんだ。」とか、ね。
Posted by ちゃまいえ at 2012年02月19日 14:56
広島のシンボルでもある原爆の子の像のモデルになった佐々木禎子さんも黒い雨を浴びて10年後に白血病で亡くなってます。wikiで調べると、亡くなる一年前は元気だったそうで。放射能は何年経っても油断なりません。たった一年半程度で放射能の何が分かろう。一年以上経っても誰も死んでないから安全である証拠だとか言ってる御用連中は詐欺師です。 情けないのは、広島市民にもこの事を忘れてる人、知ってて無視する詐欺師が多いこと。これでは彼女が浮かばれません。
Posted by 国を憂う at 2012年08月31日 00:50
youtubeにて佐々木禎子さんのものを見つけました。涙なしには見れません。http://www.youtube.com/watch?v=a-PTFkfumvY  余談ですが、中国新聞に彼女の闘病記録をつづったノートが発見されたニュースが最近載りました。どうやら彼女は甲状腺癌も併発していたようです。
Posted by 国を憂う at 2012年11月05日 08:43
興味深く拝見させて頂きました。なぜここ3年なのでしょう。枝野さんのいったことが現実になってきているようです。「ただちに影響はない」。まだもう少し先のことだと思っていたのに。今後も、研究の発表を宜しくお願い致します。
Posted by マカロン at 2013年08月02日 12:34
初めまして
Googleトレンドを活用されてはいかがでしょうか?
子供 白血病
子供 鼻血
子供 骨折
子供 入院
子宮筋腫
子宮癌
すぐ疲れる
頭痛

どれも311以降増加しています
ご参考まで
Posted by 雨 at 2014年09月26日 13:25
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