放射能については、いわゆる推進派と言われる人たちの安全デマが、残念ながらマスコミをはじめとして、日本では信じられているようです。直感的におかしいとみんなが思うのですが、「正しく」怖がるという人は、こちらの弱いところをついてごまかしてきます。
勉強したあとに必要なのは復習とテストです。テスト教材として適しているのが、上記安全デマがちりばめられた安全教の配付資料です。
何度も紹介していますが、産業医科大学のスライドがもっとも良くできています。よく読んで、どこが間違っているのか、自分なりに考えてみてください。
これらのデマは、嘘ばかり書いているわけではありません。本当のこととウソが巧妙に混ぜられているから、人間は騙されるのです。以前、こちらで分析しましたが、だいたい次の構成となっていると言って良いでしょう。
・始まりの文章は、誰が読んでも正しいことを書く。
・文章の途中までは、自分の意見とは反対の意見をただしいかのように記述する。
・本来はただしい意見を、突拍子もないとんでもないことと結びつけることによって、ただしい意見も間違いだといった印象を植え付ける。
・最後には、また誰が読んでもただしい意見を述べる
発表の場合には嘘と本当が混ぜて話されます。それで、みんななんとなくおかしい気はするが、自分が間違っていたのだろうという感じになってしまうのです。
結論は全ての報告が同じです。
重松 逸造氏
1990年4月、IAEAが発足させたチェルノブイリ原発事故をめぐる国際諮問委員会(IAC)の委員長に就任。各国から集められた200人の専門家集団の責任者として、ソ連国内の汚染状況と住民の健康の調査、住民の防護対策の妥当性の検討を目的とする国際チェルノブイリプロジェクト実施にあたった。翌1991年5月、ウィーンのIAEA本部で開かれたプロジェクト報告会において、汚染地帯の住民には放射能による健康影響は認められない、むしろ、「ラジオフォビア(放射能恐怖症)」による精神的ストレスの方が問題である、1平方km当り40キュリーという移住基準はもっと上げてもよいが、社会的条件を考えると今のままでしかたないであろう、との報告をまとめ発表した。
産業医科大学のスライド

2つとも共通しているのは、放射能による恐怖心から、実際の健康被害が起きたと主張しているところ。これが特徴です。・・わかりやすく言えば、「貴様等は大和魂がないから、被害が起きてしまうのだ」ですね。
ちょっと面白い資料を教えてもらいましたので、ここで紹介します。皆さんは、このまちがいを指摘できますか?いわば、推進派からの実力試験問題
【放射能・原発事故関連】 誤情報対応表Plusから

人工由来の放射線だけがDNAを傷つける
DNA への影響は放射線のタイプと量によって決まり、人工か天然かの違いはありません。一般に、放射線だけではなく、紫外線や食品中の成分によってもDNA への傷はできますが、生物にはこうした傷を元に戻す仕組みがあります。
[ちょっと補足]
放射性物質から出てくる放射線のタイプは放射性物質が何かによって違い、人工か天然かで違うわけではありません。体内での振る舞いは放射性物質によって異なりますが、これも人工や天然による差はなく、その物質が何かによって違うだけです。
この記述は、もっとも初歩の話でありながら、かつ重要な話です。このまちがいをきちんと説明できない限り、その後の話ができません。本当の話とウソの話が混ざっています。これを読んで納得してしまうようであれば、まずは 内部被曝−その評価と治療方法で紹介している市川定夫先生の講義を聴いてください。早口ではありますが、わたしも講演会の中で必ず触れています。
キーワード
・内部被曝
・外部被曝
・放射能
・核種
この単語は必要です。
では、答え合わせ
DNA への影響は放射線のタイプと量によって決まり、人工か天然かの違いはありません。一般に、放射線だけではなく、紫外線や食品中の成分によってもDNA への傷はできますが、生物にはこうした傷を元に戻す仕組みがあります。
外部被曝に関しては、この通りです。放射線源が天然だろうが、人工であろうが、アルファ線、ベータ線、カンマ線しかありません。そして、このような傷を治す仕組みが人体には備わっています。
このような状況下にあれば、この文章は100%ただしい。

隔離されていれば、とんでくるのは放射線のみですからね。
[ちょっと補足]
放射性物質から出てくる放射線のタイプは放射性物質が何かによって違い、人工か天然かで違うわけではありません。体内での振る舞いは放射性物質によって異なりますが、これも人工や天然による差はなく、その物質が何かによって違うだけです。
これが詐欺師の詐欺師たる所以の文章です。この文章はただしいのです。
・体内での振る舞いは放射性物質によって異なる
・その物質が何かよって異なる。
天然にある放射能として人体に取り込まれるのは、カリウムしかありません。これは、ベータ崩壊して安定的なカルシウムに変わります。どちらも体内に豊富にあり、しかも蓄積されません。入った量と同じだけ排出されます。
ところが、人工放射能は有名なところでセシウム、ストロンチウム、ヨウ素があります。
・セシウムは筋肉に蓄積し、心筋梗塞などの原因
・ストロンチウムは骨に蓄積し、白血病などの原因
・ヨウ素は甲状腺に蓄積し、甲状腺癌などの原因
となります。つまり、物質がなにかによって、体内での振る舞いが異なり、それによって人体は多大な被害を被ります。
ただしくは、
「天然の放射線も人工の放射線も違いはありません。しかし、体内での振る舞いは大きく異なり、天然の放射能は人体に蓄積することはありませんが、原子炉から出てきた放射能は各種臓器に蓄積され、DNAに損傷を与え続けることにより、深刻な内部被曝症状を引き起こします。」
とでも書くべきでしょう。同じことを言っているのに、全く違う話しになっています。ここは、騙すために使われる初歩の初歩です。絶対に煙に巻かれないよう、もう一度復習してください。ここをするっとながしてしまうと、あとは洗脳への道が大きく開かれています。
騙されてしまった人・・もう一度復習し治しましょう。現在公開中の講演動画でもここは大変重要な場所ですので触れています。
むしろ年間1mSv以下のような低線量のほうが、重大な健康被害をもたらす
個人への影響と集団への影響を混同していると思われます。低線量被曝を疑った場合は対象人数が膨大になるので、影響がある場合は一人一人の危険は低くても全体としては重大な被害と評価されます。
[ちょっと補足]
低線量被曝では健康被害の影響を考える対象人数が膨大(例えば全ヨーロッパ人口とか)な割には調査の出来る数や影響の出た例数が少ないという特徴があります。結果にもとづく予測にはある『幅』がありますが、影響が出る例数が少ない場合はこの『幅』も大きいので、安全側に見積もると、影響をうけていると予測される人数は膨大な数となります。一人一人への影響が重大になるのではなく、あくまで統計上のトリックの一種で影響を受ける人数の規模が重大になるだけでしょう。
許可が出たので、なんで低線量が危険と認識されていったのか?の解説を載せます。
http://t.co/VnzyWnt
これは、何が言いたいのかわかりません。膨大な人数の被害が起きるわけですから、割合がたとえ少ないとしても深刻な問題です。反論にすらなっていないです。心配ありません、この程度の被曝では1000人の内3人しか死にません。と言われて、あなたは納得できますか?というはなし
食べ物に含まれている放射性物質は、全て吸収され、尚且つ身体にずっと蓄積される。
そもそも放射性物質が体に取り込まれるのは他の食物成分の元素と同様とみなされるためなので、分解や排泄も他の食品成分と同様に起こります。
体の中には放射性物質が常にあり、例えば、成人男性には約7000Bq の放射性物質であるカリウムがあります。バナナを食べても、カレーを食べても被曝しています。
[ちょっと補足]
食物成分の吸収は食物の状態と体の状態の影響を受けますが、これは放射能の有無に関係がありません。しかし、内部被曝を計算するときは安全側に見積もる原則をとるので吸収率を100%として計算されている放射性物質もあります。
これは、先ほどの説明で言い尽くしています。推進派はデマをまき散らすためにカリウムをことさら取り上げ、こんなに被曝するのになぜ心配するのかというわけです。もちろん、産業医科大学も同じスライドを作っています。

いわば、良くある手口。
内部被曝は外部被曝よりも恐ろしい(すでにSvに換算されているのに、そこからまた100 をかけろなどという)
シーベルト(Sv)で計算された内部被曝は既にいろいろな因子が考慮されており、そのままで外部被曝と比較できる数字です。
内部被曝では放射性物質の種類によって影響が起こる臓器が異なるので、この点では外部被曝と違いますが、恐ろしさの差はありません。
[ちょっと補足]
内部被曝の『量』を計算するときには体内への吸収や排泄と放射性物質の分解をそれぞれの放射性物質ごとにあらかじめ考慮された値を使います。この計算結果がシーベルト(Sv)で表される数字です。
もちろん、同じスライドが産業医科大学にもあります。

これは、Bq->Sv換算に使われる実効線量係数を用いたデマです。
放射能と人体(10)安全デマのキモ−実効線量係数とは(250万アクセス)を読んで、いかに過小評価されたものか、もう一度理解し治してください。これを認めてしまえば、たしかに食品の内部被曝は一切怖くなくなりますし、環境省がガレキを燃やしても全く怖くないという「知識」が身につきます。
いかがでしょうか。以上の2つが非常によく使われる「安全デマ」の大元です。もう一度ただしく勉強して、ただちにそのおかしな点を指摘できるようになりましょう。
◆関連ブログ
内部被曝−その評価と治療方法2011年10月10日
講演会ビデオ販売のお知らせ2012年02月04日
放射能と人体(10)安全デマのキモ−実効線量係数とは(250万アクセス)2012年01月13日
人類発生以前から自然界に存在するものについては、その物質の有害作用を受けないように設計された生物であるため生き残ったわけで、人類にとっての放射性カリウムは摂取しても排出されるから大丈夫。
人工の放射性物質は生体の関門(バリア)に認識されず通過して取り込まれてしまうので、大丈夫ではない。
たいていの医薬品は人工物なので、これら関門(バリア)を通過するかどうか確認し、より安全かつ有効な投与方法を研究します。(注射や吸入は関門を通らない方法)
血中に入った人工放射性物質(超ウラン元素)、特にプルトニウム、アメリシウム、キュリウムをキレートして体外に排出する医薬品として、住友化学/GEの1:1出資会社である日本メジフィジックスのジトリペンタートカル、アエントリペンタートが震災後の2011年7月に迅速審査で承認(2010年に厚生労働省が当社に開発依頼している)されましたが、これでも被曝後速やかに点滴しないと効果激減します。つまり、組織内に取り込まれてしまった超ウラン元素をキレートして尿中に排出することは不可能なのです。
重大事故発生しても公表の際に矮小化して「人体にただちに影響しない」などと言われると、事故後慌てて認可されたせっかくの超ウラン元素体内除去剤も、使用される機会を失っていますが。
厚生労働省が「人工放射性物質も天然放射性物質も体内動態は同じ、恐れる必要ない」などと信じているなら体内除去剤を慌てて認可する必要はないわけです。
超ウラン元素恐れるに足りず、という間違った議論を厚生労働省は黙認していますが、超ウラン元素体内除去剤が発売後どれだけ使用されたか、是非公表してほしいものです。
これって、まさしくチーム中川がやっている安全デマそのものですね。
簡略化すると、「あなたの体にはカリウムが蓄積されています。ゆえに、セシウムが体に入っても排泄されるので安全です。」という常套句を使って福島では癌は増えないと言い放っています。
本日発売の週刊ポストに思いっきりこの件について、御用学者理論を展開していますね。
御用雑誌だからわかりやすくていいんですけどね。
1、原始力でもでなくても発電所は電気を作る所です。よね?
2。そこで、全電源喪失というのは、理論的にありえない。ですよね? すぐそこで電気作ってるじゃん!
3。なぜ、作った電力を即使う設計になっていないのでしょう。とくに、原発というのは、すぐ止まらないそうですから、電気はいくらでもできちゃうでしょうに、今だって。
そうなってないのは基本的なデザインミスだと思うんだけど。わたしはいまあるすべての原発のデザインをかえるまで、稼働させるべきでは無いと思う。
あと、テロリスト対策と放射線漏洩対策のため、タービンは原子炉の上に作った方がいいと思う。
私、原発設計家になろうかな。
困ったものです。
彼らが良く例に出すのが漆などアレルギー症状です。
「あの曲がり角の先に漆の木がある。
そう言うと、アレルギー患者は漆の木がなくてもアレルギー反応をしますのです。」
と放射能の恐怖を説明します。
不必要に怖がる必要はないという正しい意見なのですが、何故が放射能は安全という話にすり替わってしまうので困ったものです。
赤ん坊も草木も別に放射能を怖がったから奇形が発生する訳ではありません。
不必要に怖がる必要はないが、正しく怖がる必要はある。
それを伝えたいのですが、伝わりません。
いい加減に説明するのに飽きてきている毎日です。
新聞とテレビは時系列を追うのには便利ですが、必ず安全派がいるので、正しい知識は伝わりません。
除染1つでもそうです。
あれは飛散であって、除染ではありません。放射能除染とは、はぎ取って、再回収して、隔離することです。しかも、高レベルのところから順次行なわなければ意味もなしませんし、長期間の作業になります。
洗い流して終わり、これって除染じゃありません。困ったものです。
現在の知事には、瓦礫の受け入れも視野に入っているということですね。なんかこれから先は、なし崩し的に瓦礫の受け入れ&焼却が始まってしまうような気がします。
県内に鉛のコンテナに収められた瓦礫が搬入されて、コンテナ越しにガイガーカウンターを当てて、なんら問題なし!と宣言している光景が目に浮かんできますわ。
これも肩慣らしの例題に使えますね。
本業の傍らにもかかわらず、一般庶民のために分かりやすく正しい情報を発信してくださり本当にありがとうございます。一番頼りにしています。
しかし一点お願いしたいことがあります。
引用の文章と先生の意見とを明確に分けて頂きたい。(引用(転載)開始)(引用(転載)終了)としていただければもっと分かりやすくなると思います。
以上
しかしセシウムと、ストロンチウム、要素に関しては単に「蓄積」としか表現されておりません。
摂取−排泄平衡の検証がないと甚だ不公正です。