同年8月9日 長崎原爆投下
今回のフクシマの悲劇の原点はここにあります。

原発と原爆はおなじものなのです。
長崎型原爆 Fatman

この材料は、プルトニウム239
そして、
から、
昭和20年8月末の暑い夏の日のことである。
庭屋潔二等兵は、終戦直後の長崎に上陸した。埠頭から長崎駅に移動する目にうつる景色は、驚くべきものだった。しないは見渡す限りガレキの荒野で何もない。崩れかけたビルだけが点在する。
「水は絶対に飲んではいかん」
と上官に命令されていた。むろん、理由は長崎が原子爆弾で破壊されたからである。とはいえ戦争末期に招集された陸軍二等兵には、「原子爆弾」の何たるかは分からない。分からないながらも常識は持っているので、
「水道の水なら浄化されているから、大丈夫だろう」
そう考え、庭屋二等兵はガレキの中にぽつんと立つ水道管の蛇口をひねり、流れ出る水に浴びながら飲んだ。強い日差しに焼けた顔とのどを冷やすように、水はしみこむ。
その数日後である。庭屋二等兵は下痢に襲われて、高熱にうなり、頭髪が抜け出した。明らかに急性放射線障害であった
爆弾が落ちたときにはいない兵士に内部被曝症状が現れています。長崎の水源地は山にあり、死の灰がその水源地に降り注いだことが原因です。そして、そのことが共通認識となっていることは、上官が水を飲んではならんと厳命しているところからわかります。・・・すなわち、この時点では内部被曝の被害が軍にも十二分にわかっていたのです。
ところが、昨日の長崎地裁の判決

(熊日新聞 平成24年6月26日)
内部被曝を無視するのが日本政府ですから、別に驚くには値しない判決です。核兵器の内部被曝を認めないことが、今回のフクシマの内部被曝を認めないことに直結しているわけですから。今回の記事を見るに当たって重要なことは、この判決に関係した裁判官と、そして識者コメントです。まず、井田宏裁判長
長崎地方裁判所・長崎家庭裁判所部総括判事、長崎簡易裁判所判事
異動履歴H.23. 9.24 〜 長崎地・家裁部総括判事、長崎簡裁判事
H.22. 4. 1 〜 H.23. 9.23 長崎地・家裁判事、長崎簡裁判事
H.19. 4. 1 〜 H.22. 3.31 京都地裁判事、京都簡裁判事
H.15. 4.21 〜 H.19. 3.31 山口地・家裁周南支部長、周南簡裁判事
H.15. 4. 1 〜 H.15. 4.20 山口地・家裁徳山支部長、徳山簡裁判事
H.14. 4. 7 〜 H.15. 3.31 大阪地裁判事、大阪簡裁判事
H.12. 4. 1 〜 H.14. 4. 6 大阪地・家裁判事補、大阪簡裁判事
H. 9. 4. 1 〜 H.12. 3.31 鹿児島地・家裁加治木支部判事補、加治木簡裁判事
H. 7. 4. 7 〜 H. 9. 3.31 山口地・家裁判事補、山口簡裁判事
H. 6. 4. 1 〜 H. 7. 4. 6 山口地・家裁判事補
H. 4. 4. 7 〜 H. 6. 3.31 大阪地裁判事補
補足(学歴)
昭和61年(1986)京都大学法学部卒。
と情報がありました。エリートと言っていいんでしょうか。
裁判官というのは、本当に転勤がおおいのですね。これを見る限り、順調に出世階段を上ってこられたのでしょう。何しろ、原子力村に有利な判例を下せば、東芝に天下れるわけですから、みんな頑張るはずです。「原発は安全」判決書いた最高裁判事が東芝に天下り 司法にも広がる原発マネー汚染 三宅勝久
司法の独立なんて、絵に描いた餅です。何しろ、裁判官の人事権を持っているのは法務省なんですから、国の顔色をうかがわない方がどうかしています。ですから、この判決が出るのは当然です。驚くに値しません。
さて、識者コメントに注目

(熊日新聞 平成24年6月26日)
新たな証明は困難・運動の転換が必要
日赤長崎原爆病院の朝長万左男院長(被爆者医療) ほとんどの争点が門前払いで全面的な原告敗訴だ。黒い雨を浴びて髪が抜けた人などが一部いるため、まったく放射線の影響がないとは言えないはずだが、判決では科学的根拠がないことが敗訴につながっている。根拠を新たに証明するのは困難。医療費補助の範囲の狭さが体験者の不満に結びついており、補助対象の精神疾患の拡大解釈を国に要望するよう運動を転換した方がいい。
日本赤十字 長崎原爆病院から

平成21年4月1日より原爆病院院長として着任、仕事を開始しました。
これまで、約40年間長崎大学医学部に勤務し、原爆後障害医療研究施設の治療部門で、主に原爆被爆者の医療に携わり、原爆放射線の人体影響について研究を行ってきました。人類史上2番目の1945年8月9日の長崎原爆は約7万5千人の死亡をもたらし、ほぼ同数の方々が原爆被爆者となり、現在もなお持続する放射線被曝による様々な障害に苦しんでおられます。また原爆体験の精神的影響も長期に持続しています。原爆病院は被爆者の方々の切なる願いにより、昭和33年、長崎市、県、国のご努力により日本赤十字社が運営する総合病院として設立され、昨年50周年を迎えております。
私はこのように味方のフリをしながら、その逆のことをいう人間が一番嫌いです。どこかのドイツ文学者を思いださせます。
なぜ、このように苦しんでいる人を診察しながら、「科学的根拠」がない と一刀両断に切り捨てることができるのか。まあ、切り捨てることができるからこそ、輸血被曝問題に目をつぶる日赤の病院長になれたとも言えますか。なるほど・・・
そして、精神疾患の拡大・・このキーワードはピンと来ます
重松逸造氏

1990年4月、IAEAが発足させたチェルノブイリ原発事故をめぐる国際諮問委員会(IAC)の委員長に就任。各国から集められた200人の専門家集団の責任者として、ソ連国内の汚染状況と住民の健康の調査、住民の防護対策の妥当性の検討を目的とする国際チェルノブイリプロジェクト実施にあたった。翌1991年5月、ウィーンのIAEA本部で開かれたプロジェクト報告会において、汚染地帯の住民には放射能による健康影響は認められない、むしろ、「ラジオフォビア(放射能恐怖症)」による精神的ストレスの方が問題である、1平方km当り40キュリーという移住基準はもっと上げてもよいが、社会的条件を考えると今のままでしかたないであろう、との報告をまとめ発表した。
山下俊一先生もこの重松氏の弟子に当たります。日本政府は、このように放射能を「科学的」ではない「精神疾患」と貶めます。・・・日本政府というより、世界=国連ですが。
第7に、ICRPのリスクの考えからは、リスクを「容認」するものにはどこまでもリスクが押しつけられる。この結果、とりわけ社会的に弱い立場にある人びとに放射線の被害が転嫁されることになる。原発で働く労働者の場合も、被害の告発が即解雇につながるような弱い立場にある下請けの労働者に被曝は集中し、被害もまた深刻なものとなる。ウラン鉱石が採掘されるアメリカやカナダのインディアン、オーストラリアの原住民、南アフリカの黒人なども同様である。原子力の施設が建てられるところは、大部分が経済的、社会的に差別れてきたちいきである。原子力産業は経済的な遅れにつけ込んで、札びらで頬をたたいて、、現地の住民に被曝のリスクを受忍せよと迫る。それらの人びとに被曝を強制した上に、被害が表れると、自分たちで過小評価しておいた放射線のリスク評価を用いて、「科学的」には因果関係が証明されないからその被害は原発の放射能が原因ではない、と被害を切り捨てる。
フクシマもまったくこれと同じ構図が繰り返されています。ガイアツを期待しても無駄です。日本国民全体が自分自身の頭で考えない限り、いつまで経っても同じことの繰り返しになるのです。世界の超大国が核エネルギーに頼っていることをお忘れ無く。

(熊日新聞 平成24年6月26日)
このような記事に出てくる登場人物とその組織を丹念に読み取ることで、いろいろと裏まで見えてきます。連想ゲームのようなものですね。
◆関連ブログ
放射能と人体(3)核の本質−内部被曝2011年11月14日
原発と原爆はおなじもの・・橋爪文氏2011年10月02日
カネと権力でわかりやすく恫喝する政治家・電力・企業と、ペンで非難する女性評論家2012年06月15日
献血と被曝問題2012年04月02日
放射能と人体(9)ICRPと低線量被曝−科学的に証明する気はない2012年01月09日
タグ:内部被曝
> 1940年8月6日午前8時15分 広島原爆投下
同年8月9日 長崎原爆投下
1945 年 .....
上の機嫌ばかり気にする「ヒラメ」裁判官と批判されたりするみたい。ヒラメは目が上にあるから。
で,司法試験に合格すれば,裁判官,検察官,弁護士になれます。一応自由。ところが,憲法裁判に関わった経歴などを最高裁が重視して,裁判官になれなかった人がいるみたいです。成績はトップクラス。なお,憲法裁判とは,憲法違反(人権など)を主張する裁判と思います。
その人は最高裁を訴えました。神坂直樹さん。
http://www.jimmin.com/2000b/page_028.htm
市民的な感覚の人間は,嫌われるのです。まさに,思想による差別なのです。
どこもかしこも,腐った精神,人を人と思わない人が出世して犯罪を重ねるのです。
それを止めるのは,個人として考え行動できる人です。同感です。
お忙しい中、本当にありがとうございました。
今日のブログ内容ですが、熊日でこの判決を読んで愕然としました。
内部被ばくを今認めるわけにはいかない、という国の強い圧力を感じます。国民のいのちはどうでもいいことなのでしょうか。
原告の無念な思い、悔しさ、が伝わります。今もフクシマ原発事故で同様のことがなされている恐怖感を感じてしまいました。
あと、今日はフクイチ4号機の解体もあったようですね。
ふくいちライブカメラの映像では、クレーン車がもうもうと土ぼこりをあげて、取り壊していました。スイス気象台によると風向きは首都圏に直撃。
すぐにメールで東京にいる主人にマスク必須を伝えましたが、報道ではまったく取りあげていないので、校庭で遊ぶ子供たち・部活の青年たちがとても心配です。
知ってて取りあげないメディアは犯罪の片棒を担いでいるとしか思えません。
あー腹が立つ。この件も電話しなくちゃだめですね。
最後に。先生、下記の検証についてどう思いますか?
■4号機爆発は、想定外の核爆発だった!
http://yoshi-tex.com/Fuku1/Fuku1No4.htm
「 ■東海村80世帯調査
原爆被爆者と接してきた広島大と長崎大の研究者が共同で、事故があった核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)付近の約八十世帯を選び、今秋から健康、精神状態などの郵便、面接調査をする。放射線被害がもたらした「心の傷」に科学的に迫ろうとの試みだ。
臨界事故を振り返るとき、わたしたちが放射線に対して持っている漠然とした恐怖があらためて浮かび上がった。被曝(ばく)という現実が住民に突き付けた不安は、想像以上だった。
科学技術庁がまとめた被ばく者数は、亡くなったJCO社員二人を含めて四百三十九人。そのうち、住民ら二百七人の被ばく線量は二一〜〇・〇一ミリシーベルトだった。半数は、一般人の年間被ばく線量限度の一ミリシーベルト以下である。
これらの数値は、リンパ球減少や吐き気などの急性症状が起きる線量レベルよりはるかに少ない。国の原子力安全委員会が設けた健康管理検討委員会(主査・長瀧重信放射線影響研究所理事長)も、三月末にまとめた報告書で「健康にほぼ影響ない」と結論付けた。 」
http://www.chugoku-np.co.jp/abom/00abom/ningen/000706.html
そして最近では愛知県東海市(北九州・釜石と同じ新日鉄城下町)に請われて内部被曝を全く無視した「評価」をしています。
「今回視察した釜石市の災害廃棄物試料の放射性セシウム濃度の最大は、新工場(沿岸南部クリーンセンター)の飛灰の890Bq/kgです。実際は考えられませんが仮に、摂取量を最大限に考え、1年間毎日、1kgを経口摂取し、かつ1kgを吸入摂取した場合、人体への影響度シーベルト換算では15.185mSv/年となります。
国は、災害廃棄物の埋立処分基準を放射性セシウム濃度の合計値で8,000Bq/kg以下と定めていますが、前述と同様に、放射性セシウム134及び137の濃度を各々4,000Bq/kg(合計値8,000 Bq/kg)摂取した場合、シーベルト換算では132.86mSv/年になります。また、放射性セシウム134及び137の濃度を各々100Bq/kg(合計値200Bq/kg)摂取した場合は3.323mSv/年になります。
原爆被爆者では、1回の放射線被曝が5mSv以下では被曝していない人と比べ、放射線の危険性は統計的な有意差は認められていません。
以上のことから、災害廃棄物の受入れにあたっては、市民の不安を鑑み、放射性セシウム134・137の合計値200Bq/kg以内のもので、焼却・溶融後の飛灰等の埋立処分はコンクリートで埋包するなど生態系と遮断すれば問題はないものと考えます。」
http://www.city.tokai.aichi.jp/item/15385.htm#moduleid9277
最後の「内部被ばく死ねぬ」の記事は
どこの新聞社のものですか?
最近「新版 死の川とたたかう イタイイタイ病を追って」(偕成社文庫)を読みました。発見から裁判勝訴までの17年間の記録です。これまでこの病気についてよく知らなかったのですが、わかりやすい本でした。(中学以上向きということですし)
新版なので最後に福島原発事故は日本の歴史上最大規模の公害事件と書き加えられています。
裁判で三井側が患者さんの映った映像を細工して元気に走っているように見せようとした、というエピソードにはあきれました。
当時と今と学者や裁判官のありようは変わったのでしょうか?
原爆、公害、薬害と、歴史に学んで少しでもよい方向を見出したいです。
こんな記事を見つけました。
http://mainichi.jp/area/nagasaki/news/20120711ddlk42040448000c2.html
長崎では、被爆体験者の味方かのような発言。長崎と県外とでの2枚舌、山下俊一と同類ですね。
原告の方の娘さんが、朝永医師の侮蔑しきった発言は忘れないと言っていました。
朝永医師が日本会議で放射能の安全性について講演したようです。
核兵器廃絶地球市民長崎の実行委員長として核兵器廃絶運動の先頭に立っているのに、逆の主張をしている団体で講演なんて、あきれはてます。
http://ameblo.jp/nkn-jj/entry-11392434936.html