2012年09月04日

1F-4西側壁面に下手な修正を施した東電(記事発表直後に東電再修正)

 私は以前東電社員でした。やめてからしばらく経ったときでも、「うちの会社では・・」といったセリフがついつい口に出てしまったものです。東電社員というと、311以前までは信用があって誠実な大企業といったイメージだったと思います。私の経歴を人に話すと、「なぜ、そんなよい会社を辞めたんだ、私には理解出来ない」とよく言われたものです。中には、「そんなに勉強が好きなのか」と嘲笑するかのような言葉を投げつけてくれた人たちもたくさんいました。最初のうちは、そんなことを言われたときには、原子力がどんなに危険かを話していたものですが、

・だって原子力って必要なんでしょ
・危険危険と言ったって、何とかなるんでしょ

といった反応ばかりで、いつの間にかそのような発言をすることをやめてしまいました。たとえ相手にされなくとも、言い続けなければならなかったと いま痛切に反省しています。

 信用力があると言われる東京電力。何も隠さずにすべてみなさまの前にさらけ出す−新生東電を−新社長が発表しました。それから、あれだけ録音をするシステムなどついていなかった、録画などしていないと話していたビデオが書き下し文付きでマスコミに公開されました。あの時、ウソをついていましたと東電が謝ったでしょうか。真相解明のためには必要と判断したので、一部のみプライバシーを考慮して公開してやることにしました(とまでは言っていませんが)と、しれっと発表しているところなんて、あの誠実とうたわれた東電のやることかともとOBとしては信じられない思いがします。

性懲りもなく、次のような写真を出してきました。
福島第一原子力発電所4号機原子炉建屋の健全性確認のための定期点検結果(第2回目)について掲載日2012年8月30日から
2012090401.jpg
おわかりでしょうか。この下手くそな修正画像(拡大します)
2012090409.jpg

隠されるとみたくなるのは人のサガ。ではここに何があったかを東電のホームページに掲載されている写真などから探してみましょう。

航空写真 2011.3.24
2012090408.jpg


福島第一原子力発電所4号機注水車からの放水掲載日2011年3月22日
2012090404.jpg
西側の写真。下に剥がれ落ちたコンクリート壁の下に、白い細長い一見長屋のような建物が付属していることがわかると思います。

写真でお示しする福島第一原子力発電所の現状掲載日平成24年6月26日から
(4)−1 4号機原子炉建屋上部ガレキ撤去(作業前)撮影日 2011.9.22
2012090405.jpg
コンクリート壁はまだ撤去されておりませんが、長屋のような建物は既に壊されています。ちなみにこのコンクリート壁小さく見えるかもしれませんが、おそらく大人3人分くらいの大きさ、重さがあるでしょう。そう簡単に撤去出来ないことが、この時点で残っていることからもよくわかります。

(4)−2 4号機原子炉建屋上部ガレキ撤去(作業中)2012.1.5撮影
2012090406.jpg
ここに隠された正体がうつっています。長屋のような建物を外したために建物に穴が開いているのです。それを隠すためにもしかして修正を施したでしょうか。
2012090410.jpg
なぜ、この穴を隠したかと質問されると、東電は「みなさまに余計な心配を与えるといけないと思って、修正を施した」と弁明しそうですね。それにしてもあれほど素人丸出しの修正を加えるなんて、一体どういうことでしょうか。ここに着目してくれという、東電担当者の隠された意図かもしれません。

2012.6.18 4号機原子炉建屋
2012090407.jpg
非常にうまい具合に車で隠れています。まるで北朝鮮並みの小憎らしい演出のように見えますが。私には

 4号機西側(山側)の壁面には今後も注目しておきましょう。

【重要】東電が、2012.9.5 早朝までに下記のようにホームページを改ざんしました。2012.9.5 06:30記載
2012090411.jpg
理由は、
D西面(外壁)撮影日:平成24年8月22日
・核物質防護上の観点から、写真の一部を加工しておりましたが、不適切と受け止められる加工となっておりましたので、写真については、差し替えしております。

だそうで、差し替えられた写真は、
2012090412.jpg
隠すのではなくてカットですか。恐れ入ります。なお、この情報はブログコメントでわかりました。私がこの記事を公開したのが、2012.9.4 22:04 コメントがついたのは、2012.9.4 23:30 あまりにも素早い差し替えで恐れ入ります。そんなにチェックしているわけではありませんでしょうに

別角度の写真。今後この部分はすべてカットして出すのでしょうか。犯罪企業である東電がなぜ自分の都合の悪いところを「核物質防護」という言葉で自主的に隠すのか。そして、それが許されているのはなぜか。大いに疑問を感じます。
2012090413.jpg

◆関連ブログ
戦闘機が衝突しても崩落しないはずの1F-4号機の外壁は、なぜ崩落したのか2012年04月29日
タグ:1F 1F-4
posted by いんちょう at 22:04| Comment(8) | 原子力
この記事へのコメント
案外、「扉がなく誰でも出入りし放題で、それがばれると恥ずかしい」とかいうしょうもない理由で隠してるかもしれませんね。
Posted by 都民 at 2012年09月04日 22:32
なるほど。院長先生がブログをアップした途端に「・核物質防護上の観点から、写真の一部を加工しておりましたが、不適切と受け止められる加工となっておりましたので、写真については、差し替えしております。 」と写真の加工部分の継ぎ目を隠すように下3分の1をカットした画像に差し替えましたね。まったく分かり易い。
寝る間も惜しんでチェックは抜かりないようなのにどうでしょう、悪さをした時に必死に隠そうとする中学生かそれ以下のレベルの隠ぺいしか出来ない人しかこちらの会社にはいないのでしょうかね。
先生のような方が辞めたくなったのも無理もないな・・・

Posted by 都内からです at 2012年09月04日 23:30
オ!先生、名解説です。判りやすいです。

特に最後の非常にうまい具合に来るまで隠れています。の部分。

ハテナと暫し考えて「オオ!車で隠れています」なのかと合点しました。
茶化しているのではありません。

後からお読みになるための方のために付け加えておきます。
Posted by ハマの住人 at 2012年09月05日 06:42
日米原子力協定が憲法の上位にあり、核開発関連企業や役人が委員会・審議会・日米事務協議で好き放題にできる現状、彼らの暴走は止まりません。

安保を破棄するか、2018年の期限で継続拒否できる日本政府を作る必要があります。次回の自動延長を認めると、その先30年、同じ事が繰り返されます。
Posted by 都民 at 2012年09月05日 07:25
3月22日の写真で

>白い細長い一見長屋のような建物が付属

と言われている通路?の外壁自体が剥落しているようですね。
梁や柱から鉄筋の壁が剥がれかかっているようにみえます。
内側から相当な圧力がかかったか。

東電の主張していた4号機建屋爆発の原因にとっては、1階のここらへんに見られては都合の悪いものが見えていたのか??

Posted by ぎょうざのあたま at 2012年09月05日 11:20
画像の修正については、海外では9月1日(現地時間)に報道されていますが。

ENENEWS
Tepco releases badly altered image of Fukushima Unit 4 (PHOTO)
http://enenews.com/tepco-releases-badly-altered-image-unit-4-photo
Posted by ぷちこ at 2012年09月05日 22:55
東電の社員が気付いたのではなくて、役人から小遣いもらってる¨ネット工作員¨が素早く¨チクった¨のです。原子力ムラの連携。
Posted by ちわわマン at 2012年09月06日 11:34
建屋の外壁と基礎が完全に分離しているように見えるのですが、こんなもんで本当に耐震性は残っているのでしょうか?以前よりこの部分の劣化が進んだため、隠そうとしたのかも・・・。
にしても、余りに稚拙な映像処理。いまどきの学生ならはるかにましな加工が出来る筈。高くてフォトショップが使えなかったとか(笑)。
Posted by 初心者 at 2012年09月07日 02:12
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