2012年10月13日

口裏を合わせる福島健康調査の闇

18歳以下1人が甲状腺がん(福島県)で紹介したように、甲状腺が表に出てきました。
それ以前の2012年5月に 甲状腺乳頭癌−郡山から避難した30代女性として紹介いたしましたし、先日は関東の先生から、静岡東部の二十代男性にも甲状腺癌を見かけたというお話を聞きました。何かが起こっているのは間違いありません。もちろん放射能との因果関係はなにも証明出来ませんが、私が知っているだけで、三名の方が甲状腺癌にかかられています。

 福島県は健康管理調査を行っておりましたが、この公明正大であるべき調査会が口裏を合わせていたことが暴露されました。

口裏を合わせた会議の結論
18歳以下1人が甲状腺がん 福島健康調査で8万人分析2012/9/11
 調査主体の福島県立医大の鈴木真一すずき・しんいち教授は検討委で「チェルノブイリ原発事故でも甲状腺がんが見つかったのは最短4年。福島では広島、長崎のような外部被ばくや、チェルノブイリのような内部被ばくも起きていない」と述べ、放射線の影響を否定した。

福島健康調査:「結論ありき」県民憤り…検討委「進行表」
 東京電力福島第1原発事故を受けて福島県が設置した県民健康管理調査の検討委員会で、県が委員らと事前に調整していたことを示す「議事進行表」の存在が明らかになった。内部被ばく調査の結果については「結語」として「相当に低い」との発言予定を記し、問題となりそうな話題については「そらして下さい」と要望。A4判2枚の文書には県による「振り付け」とも受け取れる記載が列記され、県民らは不信感を募らせている。【日野行介、武本光政】
 ◇議論の場、意見出ず
 「不気味なほど意見が出ない。おかしい」。福島市内の市民団体「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」はメンバーが検討委を傍聴しているが、代表の佐藤幸子さん(54)は検討委の議論にそんな疑問を抱いていたという。
 検討委の前日に委員らに送られた進行表には、浪江町と飯舘村、川俣町山木屋の3地域で120人を対象にした内部被ばく調査についての記載がある。調査結果への見解は翌日の検討委で議論されるはずなのに、議事進行における「結語」として「内部被ばくは合計しても1ミリシーベルト未満で、相当に低いと評価」などと記されていた。
 また、内部被ばくの検査手法を巡り「WBC(ホールボディーカウンター)の今後の普及とGe半導体(ゲルマニウム半導体検出器)の逼迫(ひっぱく)状況(牛肉等)を考えると、尿検査でWBCを代替えするのは困難ではないか」との記載もあった。尿検査はホールボディーカウンターと呼ばれる大型機器を使った検査より放射性物質の量を正確に調べられる一方、かなりの量の試料が必要とされ、手間がかかるとされる。また、尿検査に使用されるゲルマニウム半導体検出器は、牛肉などの検査にも使われている。
 同ネットワークは事故直後から尿検査の導入を訴えているのに対し、県は県議会などで慎重な姿勢を示し続けている。佐藤さんは「やっぱり、結論ありきの議論だったのか」と憤りを隠さない。
 また、進行表のうち調査の進捗(しんちょく)状況を巡る項目では、問題視された「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」の話題をできるだけ避けるよう要望。仮に話題になった場合には、別の委員会で検討するとして話題をそらすよう求めていた。
 詳細調査の項目には「予算の有効配分と実効性を踏まえて、あれもこれも追加は不可です」「下記の範囲での議論をお願いします」などとの記載もあり、一定程度議論を誘導したい県の意向がうかがえる。
 内部被ばくに詳しい矢ケ崎克馬・琉球大名誉教授(物性物理学)は「特に下線を引いたりした部分は、影響を過小評価したい思惑を感じる」と、県の姿勢に疑問を呈した。
2012年10月05日 02時33分


 まさしく舞台裏がばれてしまいました。この鈴木教授は、昨年から甲状腺に異常はないと発言したり、筋金入りです。

この検討委員会のメンバー
明石真言 独立行政法人放射線医学総合研究所理事
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阿部正文 公立大学法人福島県立医科大学理事兼副学長
(医学部病理病態診断学講座主任(教授))
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春日文子 日本学術会議副会長
(国立医薬品食品衛生研究所安全情報部長)
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神谷研二 国立大学法人広島大学原爆放射線医科学研究所長・教授
(公立大学法人福島県立医科大学副学長)
(福島県放射線健康リスク管理アドバイザー)
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菅野裕之 福島県保健福祉部長
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児玉和紀 公益財団法人放射線影響研究所主席研究員
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佐藤敏信 環境省環境保健部長
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注−中医協の人事を無理矢理変更した厚労省の切れ者。このあたりが、ストリーを練っているのは間違いないですね。

星北斗 社団法人福島県医師会常任理事
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安村誠司 公立大学法人福島県立医科大学医学部
公衆衛生学講座主任(教授)
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山下俊一 公立大学法人福島県立医科大学副学長
(福島県放射線健康リスク管理アドバイザー)
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渕上善弘 内閣府原子力災害対策本部原子力被災者生活支援チーム医療班参事官

伊藤宗太郎 文部科学省科学技術政策研究所総務研究官

小澤時男 厚生労働省大臣官房厚生科学課健康危機管理官

細矢光亮 公立大学法人福島県立医科大学医学部小児科学講座主任(教授)

藤森敬也 公立大学法人福島県立医科大学医学部産科婦人科学講座主任(教授)

鈴木眞一 公立大学法人福島県立医科大学医学部器官制御外科学講座教授

大津留晶 公立大学法人福島県立医科大学医学部放射線健康管理学講座教授

坂井晃公 立大学法人福島県立医科大学医学部放射線生命科学講座教授

矢部博興 公立大学法人福島県立医科大学医学部神経精神医学講座准教授

こういう名簿は非常に大事です。そして恐るべきスライドも
作成者は、みなさまおなじみの 東大理学系の 早野龍五教授
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 平たく言うと、甲状腺癌の発生数は少ないから、でたとしても全部賠償しちゃえ。というわけ。本当でしょうか。それならなぜ、上のように念入りに口裏合わせする必要があるのでしょう。そして、この方の専門は、物理学。なぜ、人間に被害が起こるかどうかについてわかるのでしょう。大変に不思議です。
 実は、核の分野には保健物理学という非常に怪しい分野があります。この保健物理学の成り立ちについては、次の本にくわしく書かれています。
原子力開発の光と影―核開発者からの証言
この本の著者である、カール・モーガン博士が保健物理学者の第一号。そのあたりのことが書かれていますが、何しろ和訳がもの凄く下手。途中で何度も読む気力がなくなるほどのできばえです。翻訳者が原研の研究者と言うことを差し引いたとしても、本当に読みにくい。しかし中にある人物の写真や、放射能と人体に関する研究の杜撰さなどは十分に伝わってきます。図書館で借りて読むことをお勧めはします。

さて、このようになにも起きないのであれば、検査など必要ないはずですが・・・
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と、百貨店の中にまで検査会場を作る。安心・安全の福島県生活を行うために、福島県民は全員フィルムバッジを持たされ、デパートの中にまで子どものための検査会場がある。このニュースを見て、私は驚き呆れましたが、みなさまはどう感じるのでしょう。

一般の医師の対応は次の通りです
ひまわりの種のコメント欄から。これは、著者の書かれたコメント(一部のみ抜粋)
「福島の子どもが甲状腺がんを発症」という情報を目にしたら、それはデマもしくはデータ解釈の誤り、とご理解下さい。2012-09-07 01:24:40

わたしたちの間では、健診者数が増えれば、何人かはいずれ発見されるのではないか、ということは、言われていました。2012-09-12 23:09:59

いずれも、「(現段階では)放射線被ばくによるものとは考えにくい」という前提からコメントしたものなのですが、言葉足らずだったと反省です。2012-09-17 23:49:54


 この流れと全く同じことは、チェルノブイリでもおきました。

ETV特集シリーズ_チェルノブイリ原発事故・汚染地帯からの報告
ソビエト(当時の)地元の医師の言葉
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 ソビエトと違うのは、現地の医師から、疑問の声が少なくとも一切上がってきていないことです。チェルノブイリより放出量が多いとは知らなかった なんてあとになっていったとしても、それは遅いのです。なぜ、検査結果に素直に向き合おうとしないのでしょう。

◆関連ブログ
18歳以下1人が甲状腺がん(福島県)2012年09月11日
甲状腺乳頭癌−郡山から避難した30代女性 一例報告2012年05月15日
福島の子 甲状腺機能変化2011年10月05日
郡山で行われたガイガーカウンターミーティング(GCM)2012年07月26日
posted by いんちょう at 18:56| Comment(14) | 原子力
この記事へのコメント
口裏をあわせていた事には、驚きません。
ガン細胞どものやりそうな事です。

これが暴露された事に、むしろ驚きます。
暴露した人を賞賛するとともに、我々で守って行かねばなりませんね
Posted by 日本人A at 2012年10月13日 21:07
天皇皇后陛下の福島訪問。除せん作業員に「二次被爆は大丈夫ですか?」とお声をかけられた。作業員の健康をご心配されていた。私がみた限り、ある民放局はきちんと伝えた。が、NHKは陛下のお言葉を伝えなかった。勝手に自主規制した。
Posted by 除せんはキケン at 2012年10月13日 22:32
院長先生、いつもありがとうございます。

“チェルノブイリの首飾り”のように、数年後には日本でも、首に痛々しい手術跡のある人が増えるのでしょうか。
首にメスを入れるなんて嫌ですね。
薬も生涯飲み続けなければならないのですよね。
推進派はチェルノブイリよりも放出された放射性物質が少ないと嘘を言いますが、のう胞が多くの子供達に見つかっている現状から推測されるのは、やはりそういう未来なのでしょうか。

甲状腺癌だけは原発事故との因果関係が認められているので、他の健康異常とは違い何らかの補償があるかもしれませんが、たとえあっても微々たるものでしょうし、健康は何にも替え難いものです。
改めて、スピーディー情報を隠蔽した福島県知事は何という大罪を犯したのだろうと思います。夜、眠れるんですかね。御用学者も推進派に与する医者らも、人間として間違っていることに早く気付いて欲しい。
Posted by 東海地方在住 at 2012年10月13日 23:45
経産省は、福島市で開かれた福島復興再生協議会で県内の医療機関に世界最先端のがん治療拠点を設置する方針を示した。最先端のがん治療法とされるBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)の開発を進め、国内外からがん患者を受け入れる体制を構築する意向。(福島民友)

医療行政を行う者が、厚労省から経産省に変わったのか?福島特区?ひどい場所だ。加害者がのさばるような社会で、福島の子どもたちはどんな大人に育つのだろう?
と思ったが、いやいや。こういう物事を決定している人間(官僚、政治家、経済界)が集う東京。そこがいちばんひどい場所かもしれない。甘い汁を吸っている人間がたくさん身近にいる。それを見てみぬふりをして、周りとうわべだけの付き合いをする大人たち。そんな大人に囲まれて、東京の子どもたちはどんな大人に育つのだろう?


Posted by 東京から移住した者 at 2012年10月14日 06:14
いやはや呆れて言葉になりませんね。

福島県立医大で仕事をするためにはこうなるのでしょうが、あまりの酷さに言葉もありませんね。福島の皆さんには信用できる他県での検査をお薦めしたいです。

検討委員会のメンバー、これは重要なデータですね。

しかしデパートの中で検査ですか!お中元の受付並みですね。放射能が舞い飛ぶ中での検査なんて考えただけでゾッとします。思わず甲状腺のあたりを触ってしまいましたね。
Posted by ハマの住人 at 2012年10月14日 06:45
ずっと気になっていたのですが、今回みつかった甲状腺癌の
お子さんは、補償を受けられたのでしょうか?

こういう口裏合わせは、官僚を始めとする村社会の体質ですし、
このタイミングだと、一斉に「発症がはやすぎるので
福島原発によるものとは思えない」と言い出すのは、想像が
ついてたのですが、早野さんって方の提案が通ってるなら、
この子の治療費は国が負担してあげるのでしょうか?

私がそのお子さんの親だったらと思うと、やりきれない
思いを、今、されてるんだろうなと報道を見ていて思い
ました。

お偉い山下先生達は、こういう患者に感情移入することは
ないのでしょうけれど、地元の医者は、こういう患者さんが
「国際的なデータから3年目以降発症したお子さんだけが
福島が原因の病気と認められます。あなたのお子さんは
対象外です」なんて、冷徹に言えるんでしょうかね。。。

山下さんのトコで治療するなら、福島の子供医療費無料化
の範囲に入るのかもしれませんね。もう被ばくさせたくないと
県外に出て、治療を続けていくと、有料化されるのでしょうか?
自分が親だったらと思うと、被ばくさせた後悔と、
これから続く健康不安に押しつぶされそうだろうなと
この子のご両親の気持ちを考えてしまいます。

少し前にNHKが放送していた、チェルノブイリの事故後の
現地のお医者さん達が、健康被害の多さを訴えていたのに
国際的には認めなかった様子を見ていて、データや論文だけ
信じて影響がないと厚顔無恥に言い放つお医者さんを見ていると
人としてどうなんだろう?と、ついつい思ってしまいます。
Posted by みーも at 2012年10月14日 08:26
毎日拝読しております。

放射能と直接は関係ないのですが、
復興予算審査会ボイコットの八人
衆議院決算行政監視委員会(2012年10月11日)から逃亡した
民主党8議員の詳細と抗議先が書いてあります。

復興予算審査会ボイコットの八人
http://politiceconomy.blog28.fc2.com/blog-entry-1954.html
(ブログ“まさか右翼と呼ばないで”より)

今、表だっては報道されないけれども
確実に日本解体が起こっています。
というかもう手遅れになりそう!!

ブログ“まさか右翼と呼ばないで”やコメント欄、
其の他の政治ブログにも目を向けてください!!

特に、今、こちらも

【拡散希望】人権救済法案の反対請願署名求む!! 
10月31日〆切!!

法案成立絶対阻止!!!閣僚と法務委員会名簿・危険性を訴える動画・その他
民主党が臨時国会をまだ開いていないので、
人権救済法案もストップしています。
詳しくはhttp://www.news-us.jp/article/297281392.html

小野先生!! 
どうかこのコメントを没にしないでください!!!
あなたをとても頼りにしております。
Posted by kei at 2012年10月14日 12:19
Thank you so much Dr. Ono.
涙が出てきました。
本当に日本の行く末を案じております。
Posted by kei at 2012年10月14日 18:44
県民として子を持つ親として、怒りがこみ上げてきます。 結論ありきの検討委員会は、ハナから信用していませんが、毎度やらかしてくれます。  

優先検査対象地域外住みなので、甲状腺検査は26年4月までに行う(県のHP)との事で、我が子にはまだ甲状腺検査の日程通知はありません。(もちろん優先検査地区のお子さんを、速やかに検査するべきです。)

福島県内では、放射能の影響での甲状腺検査を
福島県立医大からのお達しで、地域の医療機関では受けにくいです。  

26年3月まで大人しく、待つ訳には行きませんから、県外で診察を受けさせます。 (隣県で甲状腺検査をしてくれる医療機関を見つけました。)

Posted by 福島県西部住みです。 at 2012年10月14日 19:43
保健物理学......
どういう人たちが学んでいるのだろうと思って調べてみると、
保健物理学会「学友会」のサイトに、いちおう活動報告とかが。

http://www.n.t.u-tokyo.ac.jp/~jhps/modules/home0/

# いろんな写真を見ると、皆な「青春」してますなぁ、、、
# 「学問」であれば老若男女いろんな世代や属性の人の参加があっても
# いいと思うんですがね。

たとえば、「日本原燃釜Zヶ所事業所見学」
http://www.n.t.u-tokyo.ac.jp/~jhps/modules/katudouhoukoku2/index.php?id=12

これを見ると、学生らしからぬ、豪華な接待旅行であることが
判ります。

# いまどきの大学院生って、文系理系問わず、こんなものなんでしょうか?

# 大学教員になった友人は、院生時代(いちおう旧帝大系文系)、
# 交通費や文献資料費を捻出するのに、生活費を削り
# 大変な苦労をしていました。

こういう接待旅行ではなく、原発雑巾がけ派遣会社一日インターン
(というより院生身分隠して体験労働兼実態調査フィールドワーク)
なんかのほうが、はるかに学ぶところが大きいと思うのですが、、、

まあ、「ムラ」の結束力の源のひとつは、こういうところで生まれるんですね。
Posted by JP at 2012年10月15日 01:07
「福島の子どもが甲状腺癌を発症したという報道はデマ」by*先生

「千葉県柏市などの関東のホットスポット報道はデマ」by読売新聞

彼らの自信満々な姿に、こちらはなぜか恥ずかしくなり下を向いてしまうのであります。
Posted by そしてため息をつく at 2012年10月15日 06:52
私は二ヶ月に一度は行く事になっている病院で「甲状腺検査」は受けられるのかと調べてみましたらありました。

オプション検査で5,250円ですが、受けることが出来るようです。一度ものは試しで受けてみようかな?という気になりましたね。

決して安いとはいえませんが、普通にこ〜ゆ〜風に検査を受けることは出来ないのでしょうか?肺がん・脳ドックよりお安いです♪

参考サイト

http://www.minamikyousai.jp/raiinn/health/option/
Posted by ハマの住人 at 2012年10月15日 07:18
非常用電源は二次的バックアップである
http://blogs.yahoo.co.jp/up5ch6/folder/1066389.html
Posted by up5ch6 at 2013年11月13日 01:31
癌=真菌の組織塊ではないですか

癌=真菌の組織塊ではないですか?
そして、真菌の組織塊は体内の放射性物質を取り込んでいるのではないでしょうか

癌=真菌の組織塊
http://blogs.yahoo.co.jp/up5ch6/folder/1066389.html

Posted by up5ch6 at 2013年12月29日 15:03
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