2012年11月08日

細胞周期と放射能−下痢、脱毛、白血病を起こす理由

放射能のホントの話(服部禎男)から
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DNAは、修復されているから、放射能など気にする必要は無い。DNAは二重螺旋だから、大丈夫。そう信じこまされていないでしょうか。

放射線によるDNA損傷とその生体修復から
放射線はDNAに傷をつけるため遺伝的な影響がでると言われています。しかし本来細胞は傷ついたDNAを自ら修復する酵素システムを持っています。生物の進化の過程で獲得した性質で、大腸菌からヒトまで保存されている基本的には同じ機能を果たす修復酵素が何種類もあります
さらにひとつの修復経路が機能しなくなっても別の経路がそれをバックアップするように組まれているため、よく“遺伝子ネットワーク”などと呼ばれることもあります。この修復システムにより例えばDNAの二重らせんが切断してしまうような重篤なDNA損傷が生じても、低LET放射線の場合であれば90パーセント以上の切断は酵素が再結合するため二重らせんが保持されることが判ってます。
しかし残りの数パーセントに修復を受け難いDNA損傷として残りますが、この実体はまだわかっていません。少量の放射性物質が体内に入っても個々の細胞が受ける負担という点でみれば自然放射線からの影響と本質的に大きな違いはありませんが、確率的にそれが将来発ガンに至る可能性も増えると考えられます。

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 知識が僅かにある人をくすぐる書き方です。つい、そのように思ってしまうひとも多そうですが・・原爆で奇形児が生まれるのは事実として存在します。では、どこがおかしいのか。細胞には細胞周期なるものがあります。

『薬はなぜ効くか』 田中正敏著 講談社1998年から
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 ちょっとごちゃごちゃしていて見にくいですが、細胞周期はG0-G1-S-G2-M に分かれています。二重螺旋構造を維持しているのはG0期のみ。この時は抗がん剤は効きいとかかれています。上記の二重螺旋構造があるから大丈夫の理論も、実はこのG0期のみ対象にしているのです。大人はほとんど成長しませんから、放射線の被害はそれほど怖くはない・・たしかにその通り。その反面、成長を続ける細胞は、SM期(DNAの合成と分裂)のみを繰り返しますから、抗がん剤に対する感受性も、そして放射線に対する感受性ももの凄く高くなります。

細胞周期とDNA量の変化
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 では、このDNAを複製するときはどうなるのか。
『P』の秘密(リンって、なに?)@から
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 おわかりでしょうか。合成されるときは、当然2重螺旋がほどかれます。そして各々を鋳型として複製していくわけですから、もしこの合成過程にいるときに放射線により障害を受けたらどうなるのか。考えただけですぐにわかります。しかも、成長を続ける受精後からの数ヶ月は活発に細胞分裂を繰り返しますから、以前より妊婦の被曝は避けるようにと強く指導されています(最近の産婦人科学会は、100mSvまで安全と言っていますが、311以前にはそんなことは一言も言っていません。女性を見たら、妊娠していると思え というのは、医学生の時からたたき込まれています。)
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細胞分裂には、体細胞分裂と減数分裂があります。減数分裂は子孫を残す際に生殖細胞でおこなわれる分裂で、両親から引き継いだ特徴を子孫に伝えるために染色体の癒合が起こります。(動画参照−左側)この時には,特に放射能による染色体異常を受けやすいことは明らかです。このような細胞分裂時の感受性を全く無視して、人間のDNAは二重螺旋があるから放射能は怖くはないと言うことがいかに愚かなことかが、よくわかると思います(私の説明が舌足らずで申し訳ないのですが)


NHKのつくった内部被曝による染色体切断の動画です。これも細胞分裂時のことは全く考慮していませんが、それでもかなり危険なことはよくわかります。


 大人の細胞で最も分裂を繰り返しているのはどこか。血液の工場である骨髄とあとは粘膜です。放射線により、白血病が起きたり、あとは下痢、嘔吐などの症状が出る、激しい場合は赤痢様症状が出る、あるいは脱毛 などの症状が出るのは、当然だとおわかりでしょう。このような、下痢、白血球減少、脱毛が抗がん剤で起こることを考えれば、どのような時に放射線が悪さを及ぼすか・・一番上の細胞周期表を眺めるだけで、おおよそ想像がつきますね。

◆関連ブログ
原爆と核実験場での放射能と奇形児(600万アクセス)2012年10月04日
posted by いんちょう at 21:58| Comment(5) | 原子力
この記事へのコメント
月刊WIllの「原発ゼロでいいのか!」によると戦後すぐの英国で10歳以下の子供の白血病や癌の発生が増加し、調べたところ、妊婦がレントゲンを受けるのが原因だということがわかり、妊婦のレントゲンが禁止されたと書いていました…
Willは原発マネーを受け取って原発推進の構成で本を出した…と岩上さんが言ってましたが、中にそーっと反原発的な内容を仕込んでいるのが花田編集長のぎりぎりの抵抗…って感じですかね。

放射線の影響で内臓や生物によって癌の発生が変わるのも細胞分裂が多いかどうかが影響しているのですよね。
JCOの事故で10シーベルトの放射線を浴びた人が80日間生きたのも心臓が何の影響も受けなかったからだそうで…
心臓は細胞分裂しませんから、10シーベルトの放射線を受けても修復できたのでしょう。
ただ、この心臓も内部被爆で長期間低線量被爆を続ければ心筋梗塞になるといわれていますが…

ちなみに放射能よりも活性酸素の方がDNAを破壊するという意見がありますが、もしかしたら細胞分裂時には何らかの作用で活性酸素を細胞外へ排除しているのではないかと、ふと思いました。放射性物質も活性酸素と同じように細胞分裂する際に当該細胞から排除しているのかもしれませんが、例え放射能を細胞分裂する当該細胞から隣の細胞に排除しても放射線の被害は避けられませんから、その点で活性酸素以上に破壊が進むのではないかと思います。
この考えがもし間違っていなければ活性酸素の被害を減らす方法があり、それを見つけて応用すれば、その分、放射能の被害の分を相殺できないかと愚考します。
Posted by Cipher at 2012年11月09日 01:02
山形県内各地で“変な農作物”
http://yamagata-np.jp/news/201211/08/kj_2012110800267.php
これ、人間で起こったらと思うとぞっとしますね。
放射線の危険については、放射線治療の近藤誠先生の本「放射線被ばく CT検査でがんになる 」でも実例が載っていました。
曰わく、がんの放射線治療が、のちのち、放射線副作用を起こすことも、長年の近藤先生のご経験を紹介されています。
治療であれ、原発であれ、放射線はDNAを切断するんです。

Posted by いつも拝見しています at 2012年11月09日 07:55
理科としてもお粗末ですが、服部の主張「放射線防護に利権がある」には、驚愕です。
原発推進のIAEAと人員が大幅に重複するICRPは、放射線が安全であった方が都合が良い立場です。
商品の危険性をアピールする売り手はいません。

こういうのに騙されるのは、小学生程度の理科知識もないか、キャッチセールスや新興宗教にひっかかるお花畑か、のどちらかあるいはその両方でしょう。
そんなヤツらに選挙権がある事が恐ろしいです。
Posted by 日本人A at 2012年11月10日 21:20
花田が抵抗?
ナチスの反ユダヤプロパガンダに、よく読むと矛盾する箇所が見つかったからって、ナチ党幹部の良心とか抵抗とかを想像するのですか?

現実がどこを見ても不都合な事実ばかりの中から、無理矢理自分たちに有利になるように綿密な構想もなしに手当り次第に歪曲しまくっているんじゃあ、どこにもボロを出さないほうがおかしい。

花田がこれまでどれほど凶暴なデマ散布で大勢の人を傷つけて威張って金儲けをして来たのかを少しでも考えたら、あんなナイーブなこと私にはとても言えない。花田にそんなまともな精神求めるぐらいなら、工藤会の任侠精神のほうがよほど信頼できるというものです。

うぃーるなんか金出して買ってる人間は、暴力団に資金援助する人間よりもっと卑しく罪深いと思います。
Posted by 悪を憎む者 at 2012年11月11日 20:11
なんか感情論が多いなあ。
確かに花田編集長の考えには納得はしませんが、私は何事によらず、両方の立場の主張を読むことにしています。
そして、その上で原発には絶対、反対なのです。
反対論の立場の言う事ばかり聞いて「反対だ」というより論理的に説得力ある反対論を構築(賛成派の論拠を全て否定できる)できるからです…
日本人はどうしても反対・賛成、それぞれの立場で固まってしまうのですが、それでは賛成派を切り崩すことができないのです。
Posted by Cipher at 2012年11月14日 13:55
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