その後、コツコツと書き上げたのがこの本です。ブログを多量に書いていますので、そこからの抜粋で簡単に本など作れると考えていたのですが、さにあらず。ブログならば、簡単に書き換えることができますが、本で印刷となるとそうはいきません。出典を再度調べ上げ、権利関係で出せる出せないを吟味して、執筆する必要がありました。最初はそういった権利関係について、殆ど気にしていなかったのですが、調べれば調べるほどいろいろと引っかかってしまい、特に写真などは殆ど使えないことがわかりました。
どうしても使いたい写真は、掲載元のところに電話やメールをして許諾をもらい、引用についても必要なところには対価を支払って認めてもらうそういったことを全部一人で実施。熊本市内の印刷会社に書籍かを依頼して、本日ようやく完成いたしました。
私のツイッターアイコンを作っていただいたイラストレーターの方から、ISBNコードは個人で簡単に取得できると教えてもらって、ISBNコード、JANコードを申請。これさえあれば、アマゾンでも販売できるという、なんだか恐ろしい時代になっていました。個人名を出版会社名としても良いのですが、「七桃舎」なる出版社を設立し、郵便振替口座も開設。個人でやっていますので、役所などへの届け出は不要。しかも、今の時代やり方はGoogleで検索すればいくらでも出てきます。
私のISBNコードについて少し説明いたします。
978-4-9906770-x-(Check)
との構成であり、xには0から9 までの10冊を割り当てることができます。この数字は、世界中で私の本にしかつけられない番号になります。この登録をすることで、日本全国の書籍データベースに登録されます。

あとはアマゾンのe託サービスに登録すれば、格安で(手数料はかなりかかりますが)全国販売が可能となります。ちょっとやる気があれば、誰にでもできます。問屋のような会社にバカ高い委託費など払う必要は一切ありません。
さて、本の内容・・Promotion Videoを@kingo999さんに作っていただきました。
上記が消されましたので・・どうやらウジ達の活躍があった模様ですが・・
本−四六判 190ページ(うちカラー8ページ)

はじめにと目次のみ、「なか見」で・・・





はじめにのテキスト
はじめに
「南相馬で七・五メートル以上の津波が発生しました。」と、テレビで第一報を聞いたのは、一週間おきに往診している患者さんを訪問した金曜日のこと。これは、とんでもないことに
なる・・・原発が危ない。対応不可能だろう。日本はこれからどうなるのだろうと震えが全身に来ました。その時に震える手で書いたのが医師専用のSNSでした。
■二〇一一年三月一一日一五時三五分 宮城で震度七
大地震が起きました。
私は、福島の原子力発電所に勤めていたのですが、その時の評価で、七〇センチメートル以上の津波にはどうにも仕方がないという結論でした。
地震で原子力発電所は、自動的に停止はしますが、崩壊熱が数パーセント残ります。しかも、長期間。
一一〇〇MW× 三× 数パーセント
でも、たいがいの熱量で、海の水で熱交換をしないと炉心の冷却が維持できません。
今回の津波では、五メートル近くになりそうなので、こういった海側のポンプのある建物
が、水没してしまったような感じを受けます。
運転停止だけではなく、その後数週間の監視が必要です。
大丈夫でしょうか。心配です。
■二〇一一年三月一一日二〇時二〇分
非常事態宣言が出されましたね。
私がいるときにはなかった法律です。
あとは、RCICという緊急炉心冷却装置で冷やすしかないと思うのですが、これは数日(あんまり記憶なし)くらいしかもちません。(炉心の蒸気で回すので、電力が必要ありません)
それまでに、どうやって非常用発電機を復旧させるかでしょう。
まだ、働いていたら、死んでいたでしょうね。。。
■二〇一一年三月一一日二〇時二三分
政府、原子力緊急事態宣言を発令
二〇一一年三月一一日 二〇時〇九分
枝野幸男官房長官は一一日午後七時四〇分すぎから記者会見し、菅直人首相と全閣僚出席の原子力に関する会議で、東京電力福島第一原子力発電所で原子力対策特別措置法に基づき、
「原子力緊急事態宣言」を発令したと発表した。
ただ枝野氏は「放射能が施設外に漏れている状態ではない。あわてて避難することはなく、落ち着いて情報を得るようにしてほしい。」と、付近住民らに冷静な対応を呼びかけた。
私が今現地にいたら、家族は避難させるでしょう。
現地で働いている知り合いも多いので、心配です。
■二〇一一年三月一一日二一時三九分
避難勧告が出されました。この大熊町は、医師の方々は、全員記憶があるであろう胎盤早期剥離の産婦人科の事件が起きたところです。
原子力発電で、私の生きている間に避難勧告が出されるなんて、想像だにしていませんでした。
自体(事態の誤り:筆者注)はかなり緊迫しています。炉心から、水がなくなりますと、いわゆるチャイナ・シンドロームと成りえます。
今後の原発新規増設は中止は当然としても、今現在起動している発電所をどうして行くか、大きな問題がつきつけられました。
■二〇一一年三月一二日一一時〇五分
私の勤めていた福島第二原子力発電所でも非常事態宣言。
噂では、重油タンクも流されたとありますので、海水系のポンプが全てお釈迦になり、冷却できない状況と思われます。
福島第一原子力発電所の放射線量を見ますと、
午前三時〇〇分 正門 六九 nGy/h 〇・〇〇一μSv/h未満
一〇分 正門 六六 nGy/h 〇・〇〇一μSv/h未満
二〇分 正門 六九 nGy/h 〇・〇〇一μSv/h未満
三〇分 正門 六八 nGy/h 〇・〇〇一μSv/h未満
四〇分 正門 六六 nGy/h 〇・〇〇一μSv/h未満
五〇分 正門 六四 nGy/h 〇・〇〇一μSv/h未満
午前四時〇〇分 正門 六九 nGy/h 〇・〇〇一μSv/h未満
四〇分 正門 八六六 nGy/h |
五〇分 正門 一〇〇二 nGy/h |
午前五時〇〇分 正門 一三〇七 nGy/h |
一〇分 正門 一五九〇 nGy/h 〇・〇〇一μSv/h未満
四時三〇分くらいに何か起きたようです。
■二〇一一年三月一二日一二時四一分
最悪の事態です。
この格納容器放出弁は、当初設計にはついておらず、シビアアクシデント対策として、私がやめる寸前に増設が決まった弁。いくら何でも、手動と言うことはないでしょうから、電源
がいかれたままなのでしょう。
一〇〇〇年に一度の地震なので、想定外もやむを得ないのでしょう。
■二〇一一年三月一二日一二時五九分(他医師のコメント)
スリーマイル島みたいになっちゃうと怖いですね。。。
■二〇一一年三月一二日一三時二一分
スリーマイルよりひどいと思います。
電源喪失、設備喪失でまともな機器がほとんどなさそうです。
スリーマイルの教訓で作ったシビアアクシデント対策ですが・・・この設備を使うのも想定外。
海からの写真を見せてもらうと、被害の状況がある程度類推できるのですが、どの動画も山側から。
原子力発電所に何かあるときは、地震か津波だろうと思っていましたが、二〇年たって現実の物になってしまいました。。。
■二〇一一年三月一二日二〇時四〇分
私が生きている間には、起きないであろうと思っていた事故です。
以上が、津波が起きてからすぐに書いた文章です。
事故当初にこのような知識を持っている私は、一体何者でしょうか。それを明らかにしつつ、フクシマで何が起きたのか、その放射能被害はどの程度の規模に及ぶのか、そして現在
どのような影響が起きているのかをまとめてみました。
ブログの読者に「健全なる絶望」を得られると感想をもらったことがあります。事実を知ってどう対応するのか、それこそ人間の叡智ではないかと思います。この本が、何らかの道し
るべになれば幸いです。
現在の販売は、私のホームページのみです。
国内の方 海外の方
初期入荷分は、現在在庫がなくなっています。発送は11月26日(月)以降となります。感想などお聞かせ願えますと幸いです。
◆関連ブログ
3月11日のSNS(当時の私的予測内容)2011年05月03日
タグ:書籍
そういえば、鳩ってよく地面のホコリの粒?をついばんでますよね。
おめでとうございました。
現在はホームページからの販売だけとは云え
いずれアマゾンからも買えるということですね?
そちらから買って「カスタマーレビュー」を
書きたいですね!
ヤマダ電機がアマゾンは法律に違反する廉価販売
だと吠え立てていますが、私はアマゾンを応援
します。価格だけの問題ではありません。
どんなものでも玄関先まで運んでくれるんですから
弱者の強い味方です。
図版がどれぐらい載せられるのかはわからないですが。
https://kdp.amazon.co.jp/self-publishing/signin
ありがとうございます。
本を早速注文しました。
どうぞ宜しくお願いいたします。
すばらしい仕上がりです。
動画の講義はずいぶん拝見してきましたが、活字になると、別の意味でわかりやすさが倍増したように感じます。
これからじっくり拝読させていただきます。
「いなごのように戦いましょう」
いい言葉ですね。
継続は力なり、でがんばりたいと思います。
ありがとうございました。
表紙を開くと海に面して整然と並ぶ在りし日の福島第一原子力発電所と周りの豊かな緑と対照的に次ページは事故後の無残な姿が飛び込んできて、これがフクシマで起きたことだと愕然とする。
振り返ってみると、事故後原子力の専門家、原子炉の専門家、放射線の専門家・・と、専門家が次々登場した。
それぞれが話す内容をいくら聞いても、どう話をつなぎ合わせても、今何が起きているのか?この人が話すことは真実なのか?どうすればいいのか?等、なかなかわからない毎日だった。
当時の著者のブログ・ツイッターでの情報がどれほど有益だったかは、遡ってブログをご覧になるか、この本でご理解していただけると思う。
東電の利益の出し方から原発、今回の事故、原爆、内部被曝までを全190ページの中で分析・解説・私たちの世代に課せられた使命が盛り込まれている貴重な一冊である。
この本を不都合に感じる人々がそれはそれはたくさんいることだろうと想像する。ブログの読者、この本の読者としては、著者に何事も起きないように眼を光らせておかなければならないと強く思う。