2012年11月23日

東電の思い出(22)「お客さん」の東電社員−定期検査前後の打ち上げ三昧とページング

 東電社員の仕事は、カネの計算をして、現場を見学(監督)して、印鑑を押す仕事。知識がなくとも誰にでもできる仕事ですが、権威は絶大。ある程度はやりたいようにできると言っても過言ではありません。なんの知識も無い人間をうまくおだて上げて、いかに印鑑を押させるかが、請負会社の仕事の一つになります。

 タービン班は、定期検査中にかかえている作業員が最も多い部門です。(炉まわりのような特殊の技能は要求されないが、単純作業−とばかりはいえませんが−の作業物量は群を抜いています。)このため、以前もご紹介したとおり、もの凄い数の元請けと取引があります。

1号機(東芝)
・東芝(タービン本体)
・東電工業(タービン付属機器、海水設備)
・岡野バルブサービス
・石川島播磨サービス
・東電環境
・阪和興業(保温)

2号機(日立)
・日立(タービン本体)
・東京電気工務所(タービン付属機器)
・東電工業(スクリーン、海水まわり)
・ウツエバルブサービス
・東電環境
etc.

 以前も書きましたとおり、東電の監視員は受注企業から見ますと、「お客様」。私自身は、初めて「お客さんが来る」と言われたときに、もの凄い違和感を感じました。自分たちの設備を補修してもらっている立場でありながら、「お客さん」と呼ばれる立場にいること自体が、この東電−電力の立ち位置を端的に表していると思います。このように絶大な権力を持った東電社員ですから、協力企業は一生懸命良好な関係を築こうとして、1年ごとに行われる定期検査のはじめと終わりに、キックオフ、そして打ち上げと飲み会を主催してくれました。短期間で5社程度と行うわけですから、定期検査前は忙しくてたまりません。タービン班は10名ほど。協力企業は40−50名程度が参加。東電社員は当然のごとく一銭もお金は支払いません。タクシー券をもらい、一次会から三次会までごちそうしてしまう。いつもおきまりのスナックに行って、カラオケをする。そんなことを私は5年間程度続けました。1号機、2号機と2つの号機を担当していますので、1年間でキックオフと打ち上げがそれぞれの号機ありますから、(5+5)×2 = 20回の飲み会が単純計算でもあることになります。
 長い定期検査の時は工事の半ばでも行いますから、かなりの回数、飲み会には参加しました。福島にいるときには、数え切れない程スナックに行きましたが、自腹で払ったのは2回くらいだったでしょうか。今振り返るとフクシマのスナックは、日本人の女性ばかり(フィリピン、中国系はなし)でした。都会にいても、田舎にいても、スナックに入ってしまえば、全く差はありませんし。
・・・なお、本店原子力技術課では、ごちそうで飲みに行くことは一回もなく、全て自腹だったことは付け加えさせていただきます・・・

 一度タービン本体のつり上げを見ているときに、あまりにもあぶなかったので、文句を言おうと思ったことがあります。よく話していた日立プラントの作業員に「あれ、ちょっと危険じゃないですかね?」と話しかけたところ、「小野さん、東電社員が口を出すとまずいことになるから、黙っておいてください。現場のことは現場にまかせた方がいいですよ。あまりにまずいと思ったら、私が口を出しますから」と言われたことを思いだします。東電社員は、にらみをきかすだけで、現場の作業に口を出しては、うまくいくものもいかなくなる。そういうことです。

 当時は、PHSなる便利なものはありませんでしたから、中央操作室(中操−ちゅうそう)、事務所と連絡を取るにはページングといわれる各原発号機ごとの一斉拡声装置しかありませんでした。しかも、中操と連絡を取れるページングの回線は1回線のみ。

例えばこんな感じ
現場「1号中操(ちゅうそう)」
中操「はい、1号」
現場「RCICのバルブの状態がちょっとおかしいんですが、開閉状態確認してもらえます?」
・・・
1回線ではあまりに不便だと言うことで、ページングの装置が途中で3回線までに増強されました。
・・・

事務本館の人間が、現場に出ている保修課員に連絡を取りたいときは、電話からページングにつないで

事務所「タービン班の小野くん。事務所まで電話ください。」

とよびかけます。それを聞いた私は、電話のある場所(発電所建屋内で4−5カ所程度)まで行って、タービン班の事務所まで電話をかける(もちろん、構内電話ですから無料)わけです。何しろ現場に行くまでには東電原発の中ではもっとも近い福島第二原発でさえも、着替えを入れたら優に20分はかかりますから、気軽にいける距離といっても、やはり面倒なのです。

 放射線管理区域に入るには、
・受付で脱衣篭をもらう
・自分のはいているパンツ以外は全部脱いで、S,M,L,LL,LLL のステテコ、半袖、中袖シャツを着る
・受付に自分の下着を預けて、番号札をもらう(コインロッカーなどではありませんでした)
・ゲートを通って、S,M,L,LL,LLLのB服防護服を着る。(必要ならばその上にC服)
・靴下と軍手を履く
・歩きにくい安全靴を着て、現場に出る

そういった面倒な手続きが必要となるのです。持ち歩くのは自分の放射線管理手帳と、アラームメーター、ATLD、フィルバッジでした。

 しかも、管理区域内にはトイレがありませんから(途中で出口近くに作られましたが)、もしおなかを壊しているときには、その度に放射線管理区域からで用を済ませてまた戻る必要があるのです。私はおなかを壊しやすい体質なのですが、よくぞ何ごともなかったと今になって思います。管理区域に入るまでも大変、入ってからも大変。保修にはとてつもない費用がかかることが、こんなちょっとしたことからもおわかりでしょう。

◆関連ブログ
東電の思い出
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posted by いんちょう at 20:27| Comment(4) | 原子力
この記事へのコメント
先生が福1のおられた時を考えても、今1Fで収束作業をされてる作業員の方々のたいへんさがわかりますね。
「フクシマの真実と内部被爆」申し込みました。来週振り込みます。
放射能は拡散してますが、本はもっと拡散・拡散・・・。
Posted by HONDA at 2012年11月24日 00:12
DrBusbyが東京タワーから300m離れた20階に居住するマンション住人から送られたエアコンのフィルターを分析した結果を報告するYouTubeです。

実に恐ろしい結果が出ています。殆ど全ての核種が検出されて
いるようです。
細かなことは理解できませんが、如何に東日本が汚染されているかは理解できるのではないでしょうか。セシウムだけではありません。

測定している博士がヒビっている位の数値です。

http://www.youtube.com/watch?v=mQ6BWjHEtUs&feature=relmfu

http://www.youtube.com/watch?v=s8yDI9h1kxQ&feature=iv&annotation_id=annotation_451471
Posted by ハマの住人 at 2012年11月24日 12:40
九州電力が、ヤラセ事件を全く反省しないまま、家庭向け電気料金の値上げを要求。
ふざけるな!削るとこいっぱいあるだろっ!
Posted by バカ殿企業 at 2012年11月24日 17:48
上に書きましたYouTube、下の動画で博士が画面を見ながら説明している検出された核種についてメモが取れたものを書きだしてみました。

トリウム234、鉛210、大量のウラン235、セシウム134&137、カリウム40、
ロジウム102、亜鉛72、いずれもスペクトル計測器で検出されたものです。

想像を絶するようなものが日本の空を浮遊していることになります。

博士は日本は放射能まみれだと嘆いています。全くその通りですね。
セシウムだけをあーだらこーだら言っても、なんの意味もないということです。

予想できないような事態が発生してもおかしくないと自覚しました。
Posted by ハマの住人 at 2012年11月25日 14:12
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