
12月1日(土)の熊日に面白い記事が掲載されました。
この記事から、重要なところのみを抜き書きます。
「放射線が怖いなんて言ってられなかった。でも防毒マスクは何度も締め直した」。昨年3月19日、東京消防庁ハイパーレスキューは、東京電力福島第一原発3号機の使用済燃料プールに放水する設備を設置した。総括隊長だった高山幸男さん(56)=現町田消防署警防課長=が切迫した状況を振り返る。(省略)
作業開始は18日深夜。投光器が照らす足下以外は暗闇が広がる。目指す3号機の建屋は、14日の水素爆発で上部が吹き飛んでいた。むき出しの鉄骨。数多の現場を分できた高山さんの背筋が凍った。「まるで原爆ドームじゃないか」。(以下略)
原爆ドーム

ご存じの通り、原爆投下の直下の建物です。なぜ、この建物が思い浮かぶのか・・

東京電力 2011.3.14撮影
3号機の爆発の瞬間(動画)
何度も書いていますが、共通点は核爆発。
チェルノブイリ関連で興味深い記述を見ました。
4月29日、事故から3日後の記事では、「ソ連で原発事故か」という見出しや、「北欧に強い放射能」 「大気からコバルト検出」などと書かれてあり、さらに5月2日には、事故が起こってからほぼ1週間後に、北欧のスウェーデンに関するこのような記事が出ました。「ルテニウム、セリウム、ネプツニウムといった非揮発性の物質の割合が驚くほど高かった」。あまり聞きなれない名前ですが、これらの物質はこの重大事故の大事な鍵を握っています。
水は0度になると氷から水、固体から液体になります。これを融点と呼んでいます。さらに熱を加えていくと、ぐつぐつと煮立って湯気になります。これは水が気体になっていっていることを示しており、100度で沸騰し水蒸気になります。この原理を先ほどの「非揮発性物質」にあてはめて考えると、今度の事故がどれほどの事故であったかということをかなり詳しく推測することができます。それはというと、北欧で検出されたルテニウム、セリウム、ネプツニウムがガスとなって空高く飛んで、上空の風に乗って運ばれて行ったからです。「非揮発性」とあるからには100度やそこらの温度ではありません。
原子炉の中には燃料棒と言われる物があって、当然ながら放射性物質でできています。事故の第1報ではコバルト60が出たとされていますが、このコバルト60は核分裂によってできた 「死の灰」ではなく、中性子という粒子を吸った危険な放射性物質です。これが北欧まで飛んで観測されました。コバルトというのは鉄の仲間です。鉄が水のような液体になるのは1500度ほどで、さらに蒸気になる温度は測定方法によって違いがありますが、大体2730度です。この温度は、普通に生活するレベルでは決して到達することができないほどの高温です。ではコバルトはというと、鉄の仲間ですのでやはり高温になり、融点は1492度、沸点は3185度という高温です。
では第一報で出た北欧でのコバルト検出がもし正しければ、沸点である3185度を軽く上回り、ガス状になって高空まで到達したということが考えられます。それと同じくセリウムの気体になる温度は3500度、ルテニウムは3700度、金属便覧によるとルテニウムは4900度となっています。別の考えではこのルテニウムが酸素と結合して酸化ルテニウムになったため、2500度くらいの沸点でガスになった可能性がありますが、チェルノブイリの原子炉はグラファイトという炭素でできていたので、周りの酸素を使ってどんどん燃えていきました。急激な酸素減の結果、ルテニウムが酸素と結びつくのは困難であるとも考えられるので、やはりルテニウムは4000〜5000度という高温で蒸発したと推測できるでしょう。
それにこの金属は白金の仲間なので比重が非常に重く、上空に上がっても緯度の高い地域ですので空気はかなり冷たく、すぐに落ちてくるはずなのに、はるか1000キロも離れたスウェーデンで大量に見つかっています。またルテニウムよりも比重の重い20.5のネプツニウムも北欧や当時の西ドイツで観測されました。これらは金属の沸点をゆうに超える5000度もの温度が生じた証拠のひとつとなり、また恐怖でもあります。原子炉の燃料パイプには、このようなものだけでなく、恐ろしい物質がいくつも「死の灰」として含まれます。例えばストロンチウム90などはこのような高温化だと瞬時に気化してしまい、これは日本でも検出されました。ストロンチウムはカルシウムと性質が似ているので人体に入ると骨髄を犯して白血病を起こし、セシウムは筋肉入り込んで肉腫を起こします。セシウムは牛肉などにも入り込みます。
実はこのチェルノブイリでさえ、核学者達は核爆発とは認めずに水素爆発と主張しています。しかし、このことは上記の記述を読んだだけで嘘だとわかりますね。
3号機の上空からの写真

鉄骨がこのようにへにゃへゃになるのですから、鉄の融点(1500℃)ははるかに超えて爆発したことがわかります。
CTBT(群馬県高崎)で観測された核種

主な物質の融点、沸点(単位 ℃)
融点 | 沸点 | |
Zn(亜鉛) | 420 | 907 |
Te(テルル) | 450 | 988 |
Ba(バリウム) | 727 | 1897 |
La(ランタン) | 920 | 3464 |
Pr(プラセオジウム) | 935 | 3520 |
Pm(プロメチウム) | 1042 | 3000 |
Pb(鉛) | 327 | 1749 |
群馬県の高崎で、沸点3000℃以上の物質がそれなりに観測されている−1万度にも達する原子の火の証拠でしょう。なぜ、このような簡単な分析すら、未だになされていないのでしょうか。3000℃以上もの沸点の物質が群馬県で観測される。答えは一つしかないでしょう。なぜ、一酸化炭素の爆発でこのような金属が蒸発すると言えるのでしょう。
なお、世界各地のCTBT観測所でも同じようなデータが観測されているはずです。ご存じの方がおられましたら、教えていただけないでしょうか。
おまけ。2011年3月の各地の放射能降下量

今なら、この怖さがわかるのではないでしょうか。(単位 MBq/km2・月)東京はそれほど放射能が降っていないと言えますか?
◆関連ブログ
3号機の爆発−どう考えても核?(50万アクセス)2011年08月10日
東京の「放射能」は一万倍のデマ2012年10月21日
日本放射化学会の緊急時環境放射能モニタリングデータのページはご覧になられましたでしょうか…?各地の研究機関による大気の放射性物質の核種や濃度が測定されております。私は地元徳島のデータを探してこちらへ行き着き、徳島大学阪間氏の研究データを見つけることができたわけなのですが。高崎CTBTのようなデータとは違っていて先生のお探しのものではないかもしれないのですが、未だご覧になっていらっしゃらないようでしたら、ぜひお目通しくださいませ。
今日も感謝を込めまして 阿波のイナゴ幼生より。
http://www.cpdnp.jp/pdf/120613Takasaki_report_Jun9.pdf
137Cs 濃度は,1966 年の大気核実験時の3500 倍,そし
てチェルノブイリ事故時の84 倍高い。
福島第一原子力発電所から放出され
た放射性キセノンガスは,北半球を東周りに拡散し,運
用中の北半球のすべての観測所と南半球のオーストラリ
ア(Darwin, NT)の観測所の合計18 の希ガス観測所
で検出された。
http://www.cpdnp.jp/pdf/002-07-yone002.pdf
先生のお話、とても分かりやすかったです。
やはり、ツイッターも見つつ、個人的に
色々なブログ等を見るのは大切ですね。
「何千℃にもならなければ発生しない物質が発生している。ならば、核爆発しか有り得ないではないか。」
子どもの私でも分かることです。なぜ大人は分からないんでしょうか。
これから先生のブログ、全部読もうと思います。
冬休みに入ったので、その時間を利用して原発の現状をもっと知ろうとおもいます。
ありがとうございました。
http://www.youtube.com/watch?v=s8yDI9h1kxQ
CTBT観測所のデータは不明ですが、以前も書きましたが
DrBUSBYが東京タワーから200m程度離れたマンションの
20階の室内エアフィルター内の埃を分析した結果が出ています。
博士もまさかとは思ったらしいですが口頭で話している数値を
書き取りましたのでご紹介。
トリウム234 鉛210=7,500Bq/kg 大量のウラン235=3,000Bq/kg
ご存知セシウム134&137=68,000Bq/kg カリウム40 ロジウム102
亜鉛72等です。
この中ではトリウムの融点1.755℃、沸点4.787℃というのが
目を引きます。高い場所なら安心だということはないということ
ですよね。
ルテニウム106というのが南相馬で検出されているようです。
ガンダーセン氏は、東電のIAEA報告では、3号機爆発は超音速の衝撃波(核爆発=制御不能の臨界)であることをついに認めたと、先日のFairwinds Ass.のビデオ配信で述べていますね。
3号機は核爆発ですから、内部はぐちゃぐちゃで、収束(燃料の冷却、回収、処分)など不可能なはずです。
1号機、2号機、3号機、4号機、全部違う壊れ方をしているので、まるで実験場。共通の収拾対策などないですね。もう漏れていない、などという発言はあつかましいにもほどがある。東電は民間企業だから、いざとなれば倒産してしまえば責任を逃れられるが、こっちは、命を奪われる。
まもなく大地震がおきるなら、それが日本国というものの終わりのときでしょう。5、6号機と共用プールの燃料棒、どこかに移したらいいけれど、移す先もないでしょう。情けない企業と政府ですね。打つ手がないのだから、座して、てをこまねいて、終わりの日を待っている、ということです。来ないでといっても来そうです。
私の周りでも、この半年、関東北東部、亡くなった礒との死因が気になって、あえて聞いてみると、急性白血病2名、突然死(朝起きたら、風呂の中で、という心停止)2名、甲状腺がん1名、普通の癌1名というところでした。身近で死んだ人の死因はそれ以外思い出せない。
戦慄した方がいい状況です。
チャチャ岡さま、お若いみなさま、いま何より大切な学びはこの問題です。ただし他の方のコメントにもありますように、時間がない。放射能について学ぶにしろ、最低限の物質の特性とか防御法とかは早急に身に着けていただきたい。(残念ながらまだ未解明な事項も多いのでいろいろと雑音が入りやすいですが)。歴史などはあとから学べます。時間がないので優先順位はとても大切です。
日本に暮らせなくなるかもしれないくらいの危機感を持てば、いま、何を優先して身に着けていくのが大事なのかをぜひお若い人たちはご検討なさってください。ほとんどの学びや検証は後からできます。たとえばより安全な場所に避難して、暮らしを立ち上げてからでも。
ご理解のある親御さんにめぐまれて幸いですが、学ばれていく一方で、これからの社会状況をよく周囲の人たちと拝察なさりながら生き延びてください。こんな社会に生きることになってしまいほんとうにごめんなさい。いまの大人たちの能力ではとても元に戻せないのです。
核実験監視用放射性核種観測網さま、貼り付けていただいた資料、わたしも参考にさせていただきます。とくに世界各地での観測グラフ、左から高崎、アメリカ〜、気流によって世界中へどのように流れていったのかが一目でわかりました。
事故前だったか、小出先生がパワーポイントで見せてくださったチェルノブイリ事故後の観測グラフを思い出しました。あれは、日本において確か1週間ごと位に地球を何周かしてきてだんだんと計測値が下がってきたグラフでしたが。(今回もそのようなグラフはあるんでしょうが見るのが恐ろしいです)
こういうものは国民に知らせてはいけない類の情報なんですかね。それどころかこれをもって世界中の国々に詫びて回るべきものじゃないのかと一般市民には思えますが。