2013年01月26日

ヨウ素剤をかき集めてフランスから叙勲を受けた日本人医師

 原発事故時には、甲状腺被曝を抑えるためにヨウ素剤が非常に有効であることは論を待ちません。311事故当初より、各国大使館はヨウ素剤の確保に全力を注ぐとともに、日本からの退避を強く強く勧めました。実際に日本から逃げ出した外国人の方達を、大げさだとバカにしていたのが日本人です。

 本当かどうか、確証は取れませんが、ツイッター上では次のような情報が流れていました。

‏@akirarituko
東京都医師会の防災担当の医師は、福一の全電源が喪失した晩、1万錠の安定ヨウ素剤を追加手配したが、6千錠は「国に差押えられ」4千錠は都の指示で「足並みを揃えるために販売元に返品」させられたそうだ。放射性プルームは東京に到達。東京都民はヨウ素剤を貰えず被曝した。この責任、誰が取る?
https://twitter.com/akirarituko/status/290118202497835009

この程度の分量では全然足りませんし、焼け石に水です。しかしながら、ヨウ素剤を備蓄していながら、今回の311事故で実際に配って内服したのは三春町だけ。原子力災害対策本部からの緊急通達がでています(組織改編に伴い、もともとのリンクがつながらなくなっています。311後に原子力安全委員会をなくしたのは、こういった資料を見られなくするためだと思われます
2013012601.jpg

 結局ほとんどの人がヨウ素剤を内服できなかったわけですが、この事実を認めないために、
甲状腺被曝、最高87ミリシーベルト 50ミリ超も5人 2012年3月9日8時59分
と指摘されていたのに(事故1年後ですから、随分と遅い報道ではあります)、同じ弘前大学のグループが、全く正反対の結論を導き出しました。

放射性ヨウ素:福島・浪江の内部被ばく「低い」 弘前大毎日新聞 2013年01月12日 00時10分

ヨウ素剤を配れなかったから、飲むほどの放射能(被曝)はなかったと事実をねじ曲げているわけです。
これは、戦時中に敗戦を転進と報道した大本営発表そのものの姿勢です。


 311事故当初、各国大使館がヨウ素剤確保に走り回ったことは、私も耳にしておりましたが、あの核大国フランスもまた日本人の手助けを得て、ヨウ素剤を確保しました。

山川弘氏が国家功労勲章を受章Version française Version française
 慶應義塾大学医学部客員助教授の山川弘氏が7月6日、クリスチャン・マセ駐日大使より、国家功労勲章オフィシエに叙されました

 山川弘氏は1983年にモンペリエ大学医学部博士号を取得、2008年より慶應義塾大学医学部客員准教授を務めるほか、日仏医学会事務局長、フランス政府給費留学生審査委員会委員、東京地方裁判所医療顧問などの重責を担っています。フランス大使館公認医師として、日本に在住もしくは渡航中のフランス人が病気やけがの場合に診察や入院の立ち会いを行っています。

 山川氏は2002年来、日仏両国で生じる医療問題に関する知識を深めようと、日仏の医師が一堂に会するシンポジウムを日本とフランスで交互に開催しています。前回のシンポジウムでは日本で急速に進む高齢化が取り上げられました。医療上の理由によるフランス人の帰国の対応にもあたり、患者搬送を担当する医療スタッフの紹介も行っています。外国医療情報委員会に提出する報告書の準備作業に貢献する一方、フランスの大統領や首相の訪日に随行する医療班にも協力しています。フランス大使館の安全委員会に所属し、保健衛生上のリスクに関する案件全般を担当しています。

2013012602.jpg山川弘氏とクリスチャン・マセ駐日大使
コピーライトマーク Ambassade de France au Japon

 2004年12月、フランス大使館がスマトラ島沖地震・インド洋津波で被災した日本在住のフランス人を救援するために実施した支援計画にも多大な貢献をしました。2009年から翌年にかけての冬には関東地方および関西地方に在住するフランス人を対象とした新型インフルエンザ予防接種に積極的に協力、2010年4月にはアイスランドの火山噴火による空路混乱で東京に足止めされたフランス人旅行者約30人を無償で診察しました。2011年3月11日の東日本大震災とそれに続く福島第一原子力発電所事故では、フランス大使館に設置された危機対策室のすべての作業会合に参加したほか、万が一の場合に備えるため、安定ヨウ素剤の確保にも尽力しました。

Service de Communication et d’Information (2012年7月11日)


 日本国民のために働いてくれる医師はいなくとも、フランス人のためには喜んで働いて、叙勲までもらう医師がいる。さすが、先進国日本です。

今後も国からヨウ素剤が配られる可能性は、ありません。自衛のためにも地球上に稼働している原発がある限り、ヨウ素剤を手元に持っておくことを強く推奨しておきます。

どうしても、入手できない場合は、大飯再稼働とヨウ素剤内服非公式マニュアル(自己責任で) を参考に自衛しましょう

◆関連ブログ
ネズミが逃げ出すように(諸外国の避難勧告)2011年03月19日
ヨウ素が必要な人は900人だった。。2011年10月27日
大飯再稼働とヨウ素剤内服非公式マニュアル(自己責任で)2012年07月02日
タグ:ヨウ素剤
posted by いんちょう at 20:38| Comment(8) | 原子力
この記事へのコメント
ヨウ素剤は、3.11当時(たぶん、12日か13日)調剤薬局に行って買えないかどうか交渉しました。あるらしいでしたが、処方箋がないとダメと言われました。「はあ〜?」という感じでしたね。

その後、4月の余震が激しかった頃、ネットで米国製ヨウ化カリウムを入手しました。これはかなり高かったですが、賞味期限7年で数回服用できるようでした。最近、親類へのお土産にビタミン剤みたいな感覚のサプリになっている手ごろな値段のものを購入しました。これもアメリカ産ですが、安いせいか1回しか服用できないようです。

今はAmazonでも売っていますので、万一のため各家庭で購入なさっておくことをお勧めします。
Posted by Sheeple at 2013年01月26日 21:40
は先生が最後に書いた
大飯再稼働とヨウ素剤内服非公式マニュアル(自己責任で)
のコメント欄にありました下記のサイトから購入しました。

http://www.iosat.info/order_international.html

決済はクレジットカードですが間違いなく品物は届きました
ので家族全員で分割持参するようにしています。
私は携帯用のバッグにいつもマスク共々搭載していますが
かみさんや娘達はどうしているか、確認はしていません。

自己責任だぞと言い渡してあります。嫌な世の中になりましたね。
Posted by ハマの住人 at 2013年01月26日 21:47
小野先生

国民は、福島県を中心とする東北・関東の方々の苦しみを分かち合い、良い方向に向かうよう考え行動しなければならない時なのですが、
私の住む北九州市は、次のような呆れた状況です。(北九州市は良い事で紹介されたためしがなく、何か報じられる時は、常に悪い話ばかりです。)

http://www.youtube.com/watch?v=rxHKSqMR3PA

幼稚な子供達をたしなめなければならない大人が、アホをあおる状況が信じられません。
特に、私と同年代の市の職員(子ども家庭局の青少年育成係長)の無能さに、がれきの受入れの問題がダブります。

貸衣装屋の方は、祭りだから好き勝手にやってもいいようなニアンスの発言もしていますが、過去にお祭りの役をやった私の経験で言うと、祭りほど昔からのしきたりや秩序を重んじなければならないものはなくて、例えば、神様に豊作を祈り感謝するような神聖な行事になります。

近代的な祭りでも 例えば衣装が派手な、よさこいソーラン祭りなどは、ルールに従って自分たちが積み上げてきたものを披露する場ですが、見ていて素晴らしいものであり、バカ騒ぎするような連中は一人もいません。

本来、成人式は、大人の仲間入りへのお祝いと、これから大人としての自覚・意識を持つ儀式のはずですが、北九州市では、族の集会とキャバクラ嬢のあつまりでついでに花魁(風俗嬢)も参加の仮装大会でした。

唯一の救いは、成人式実行委員の2人のまともな意見です。
それ以外の連中は、簡単なやり取りもまともに出来ない情けなさでした。(同じ二十歳とは思えません。)

堕落しきった日本人は、やっぱり滅びるしかないのでしょうか?
北九州市へ帰ってきたのは間違いでした。(色々含めて他国へ亡命したいような気持になりました。)

自分でブログが立ちあげられなくて、人気の小野先生のブログのコメント欄を 私の愚痴りにお借りしてすみませんでした。


Posted by 大庭孝広 at 2013年01月26日 22:19
小野先生

先ほどのコメントについて、大変な事実に気が付きました。

http://www.youtube.com/watch?v=rxHKSqMR3PA
この動画に登場する貸衣裳屋が、成人式で着付けする人数が400人以上との事。
動画の前段で、男の貸衣裳の着付けが10〜20万円で、女の着付けが30〜40万円との紹介でした。
せいぜい当日の売り上げは1千万円ぐらいと思っていましたが、1人平均25万円とすると1億円以上の計算になります。(あまりの額に間違いないでしょうか?)
ここまでアホでとぼけた市の職員(子ども家庭局)の ありえない発言でしたが、なにか胡散臭い感じがします。

がれきの受入れも 一部の連中の利権で進められ、環境局の職員は命令に従っているだけだと思っていましたが、末端の職員まで、仕事の査定以外の何かがあるのでしょうか?

何かあるとすれば庶民の猛烈な苦情も苦にならず頑張れるでしょう!

考えすぎか?

もし何かの見返りのために、市の行政が恥ずかしい成人式を容認していたとすると許される話ではありません。

考えすぎか?

Posted by 大庭孝広 at 2013年01月27日 00:24
すみませんが、ハマの住民さんのリンク先は値段が高過ぎると思います。同じIOSATの、ポタッシウム・アイオダイドのタブレット14錠が、米アマゾンのサイトではUS$7.80です。2011年の8月に購入した際には、日本への直接発送は受け付けてもらえなかったので、米国在住の知人宛に注文し、その知人が更に日本へと他の荷物と一緒に郵送してくださったのですが、1パッケージあたり1,000円も掛からず、届いた製品も確かなものでした:

http://www.amazon.com/iOSAT-Potassium-Iodide-Tablets-130/dp/B00006NT3A/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1359228328


ヨウ化カリウムは、半永久的に安定して居り、消費期限を気にする事はないとこちらのサイトでは紹介されて居りますが、それは本当でしょうか?

http://standeyo.com/News_Files/NBC/KI.html
Posted by 木造原発 at 2013年01月27日 04:49
自民党って本当に大企業のポチ犬だなー。まぁエサをもらい続けたいだろうから逆らえないよね。アベノミクスとやら、要は企業優遇政策でしょう。企業に属していない人は人にあらず、てきな。
私はセンスの良い小さなお店とか、自営業でがんばっている人が好きなんだよね。心が豊かになれるでしょ。それにお金の流れのバランスが悪いと日本社会全体が荒れるからやめてほしい。日銀の白川さんには、困った顔してないで(元々眉毛が下がっているだけか)もうちょっと頑張ってほしかったなぁ。新総裁はもっと自民党の言いなりな人になるんだろうなぁ。
あとTTPも導入されそうだな。やだやだ。経団連の米倉爺は、顔のタプタプのお肉を減らすために断食道場にでも永久に入っているべし。(TTP推進→経団連米倉→住友→日本モンサントというつながり)
モンサントはまじでヤバイのだが。死人のような顔をした経営者。悪魔の会社。黒い歴史。日本にはくるな!でも日本にも銀座に会社があり、茨城ではもう米が作られているとか。みなさん「モンサントの嘘」ぜひみてください。uplinkでみられます。
Posted by みい at 2013年01月27日 11:34
お祝いまず最初に、素晴らしい仕事を行っているのだと思います。共有していただきありがとうございます。
Posted by 英語を話してください at 2013年05月26日 21:48
広瀬隆さんの著 「危険な話 チェルノブイリと…」の本には、事故当時のチェルノ近辺の子供達にもヨウ素が配られた様ですが、それについて医学的な反論も書かれていました。飲ませた方が良いのかどうなのか…?判断つかないまま、ウチの子供には何も与えてません。取得出来ませんし…^^;
その辺の医学的な見方の違いに、どう考えたら良いでしょうか?
Posted by Sanba pri_musuka at 2014年04月01日 07:44
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