弱者をだしに原発再稼働をもくろむ政府と国賊電力2012年06月25日から
熱中症だけでなく、人工呼吸器など、電力を必要とする機器によって生命を維持する人にとっては、停電は深刻な問題だ。
そう言って脅しておいて、大飯原発再稼働。ところが、原発を止めても停電にならなかったのは、昨年実証されてしまいました。そして、節電の必要がほとんどなかったことまで・・・それで、今年は節電要請はなし
今夏の節電要請、震災後初めて数値目標を回避
政府は26日、今夏の節電対策を正式に決めた。
沖縄電力を除く電力9社の管内で7〜9月の平日、数値目標のない節電を要請する。東日本大震災後、全国的に数値目標が回避されるのは初めて。
関西電力大飯原発(福井県)が昨年7月に稼働したのに加え、火力発電所の出力が上積みされ、一定の供給余力が見込めると判断した。
節電期間は7月1日〜9月30日の平日午前9時〜午後8時(お盆期間の8月13〜15日は除く)。供給力がピーク時の使用量をどれだけ上回るかを示す供給余力は、全国平均で6・2%と、最低限必要な3%を上回ると見込んでいる。
ただ、景気回復で電力需要が想定を上回ったり、火力発電所でトラブルが起きたりして電力不足になる可能性もあり、各電力会社管内の節電の目安は示した。
(2013年4月26日22時08分 読売新聞)
昨年の夏に九電管内でも多額の費用をかけて、計画停電のお知らせを配ったのですが、ピーク時は結局たいしたことがありませんでした。電力需給に見る九電の印象操作−(土曜日の需給95%を前面に)
今や、再稼働問題は電力の経営問題に過ぎなくなってしまいました。弱者が死ぬからではなく、電力が死ぬから再稼働−はじめからそう言えばいいのに、きれい事ばかり言うから、全く信用されません。
電力決算 4社で過去最大赤字4月30日 18時59分
電力10社のことし3月期の決算が30日までに発表され、火力発電の燃料費が大幅に増えたことなどから、東京電力など8社で最終損益が赤字となり、このうち4社は過去最大の赤字額となりました。
電力10社が30日までに発表した、ことし3月期の決算によりますと、北陸電力と原発を保有しない沖縄電力を除く8社で最終損益が赤字となりました。
このうち、4社の最終赤字は過去最大で、赤字額は▽九州電力が3324億円、▽関西電力が2434億円、▽北海道電力が1328億円、▽四国電力が428億円となっています。
一方、東京電力と東北電力は、東日本大震災が発生した平成23年3月期から3年連続で最終赤字となりました。
8社が最終赤字となったのは、原子力発電所の運転停止で火力発電で使われる天然ガスなどの燃料費が大幅に増えたことなどによるもので、8社の1年間の燃料費の総額は1年前より1兆1300億円余り増加しました。
このため、去年9月に実施した東京電力に続いて、関西電力と九州電力が来月1日から家庭向けなどの電気料金を値上げするほか、東北、四国、北海道の3社も政府に対して値上げを申請しており、地域経済への影響が懸念されます。

これをみては私は、ハハーンと思います。
・加圧水型 関西、四国、九州、北海道
・沸騰水型 東京、東北、中部、中国、北陸
事故を起こした東京都、ほぼ全域が放射能汚染区域となった東北電力を除けば、赤字額が大きく膨らんでいるのは加圧水型原発を持っている電力会社。加圧水型は、沸騰水型原発と比較すれば、運転コストは安いとされています。そして、この赤字も多額の無駄な原子力安全費用を支出している結果。
原発安全対策に計1兆円 電力10社、さらに膨脹の恐れ2013年2月28日1時55分
原発を再稼働させるため、電力会社10社が国の新安全基準に適合するための対策費に少なくとも計1兆円を見込んでいることがわかった。しかし、安全基準で求められている施設によっては仕様が決まっていない。各社は対策費を現時点では見積もれないため、今後対策費はさらに膨らむ。
原発を持つ電力会社10社に朝日新聞が聞いた。東京電力福島第一、第二の両原発を除く15原発で計9987億円に上った。主なものは防潮堤などの津波対策費や、福島原発事故直後に旧原子力安全・保安院が求めた電源車の配備などの緊急安全対策費。
最も多かったのは関西電力で、今年3月までに380億円、2017年度までに総額約2855億円を見込む。美浜、大飯、高浜の3原発で計11基あり、発電量にみる原発依存度は約5割(10年度)と高いため、早期の原発再稼働が経営改善に不可欠だからだ。
なぜ、こんなにしゃかりきになって再稼働を進めるのか。原子力反対派が電力社内で、出てこないのか。この原発再稼働は、電力会社が決めているのではないからです。
続・安倍”売国”政権の総仕上げ 「TPP参加」の次に目論む「原発再稼動」 〜目標は今秋〜2013年04月25日 から 記事を抜粋
◆秋にも原発再稼働=茂木経産相
4月23日(火)23時22分配信 時事通信
茂木敏充経済産業相は23日夜、BSジャパンの番組に出演し、原発再稼働の時期に関して「(早ければ)今年の秋になる」との見通しを示した。
◆仏アレバが日本への核燃料輸送を計画、福島原発事故以来
2013年 03月 5日 03:49 ロイター
[パリ/東京 5日 ロイター] 仏原子力大手アレバ(AREVA.PA: 株価, 企業情報, レポート)は4日、日本向けのプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料輸送を計画していることを明らかにした。東日本大震災を受けた東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)福島第1原子力発電所の事故以来となる。
◆仏原子力大手アレバ社、「日本で原子炉6基の再稼動の可能性あり」
2013/03/05(火曜) 20:30 イランラジオ
フランス原子力大手アレバ社が、日本で原子炉6基を再稼動させる可能性があるとしました。
ロイター通信の報道によりますと、アレバ社のウルセル最高経営責任者は4日月曜、「アレバ社は、安全基準を遵守した上で、2013年に6基の原子炉を再稼動させる可能性がある」と語ったということです。
もはや、電力などは単なる使い走り。彼らには原発をやめるという選択肢はありません。満州にいる関東軍と全く同じ。精鋭とおだてられながら、いざソビエトが攻め込むとの情報が入れば、我先に逃げ出す責任感も何もない集団です。
どうやったらこの負の連鎖を止められるのか。もし、かりに革命が起きて、脱原発政権が起きたとしても、必ずつぶされます。なぜなら、我が国の領土の中には他国の軍隊が常駐しているのですから、その国の意に沿わない政権は、数時間もしないうちに簡単に鎮圧されます。国民全体の支持−現状では、まだまだです−がない限り、無理です。原発国民投票では決して止まりません。投票するまでもないといった状況にならない限り。
もっとも、数年後にはそのような状況になると思っていますので、今白黒つける必要はありません。できるだけ時間を稼ぐこと。それこそが今一番必要なことだと考えます。
◆関連ブログ
弱者をだしに原発再稼働をもくろむ政府と国賊電力2012年06月25日
電力需給に見る九電の印象操作−(土曜日の需給95%を前面に)2012年09月09日
タグ:再稼働
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/newsanswer/news/post_40393
原発の海外への売り込みで、安部総理がトップセールスをやっています。
日本の原発メーカーのためとも見えますが、アメリカの原発メーカーにも多大な恩恵があるようです。
アメリカの原発メーカー2社(ゼネラル・エレクトリック社、ウエスチングハウス・エレクトリック社)は、原発の生産は現在行っておらず、パテント料で印税生活をしているそうです。
TPP交渉参加で、日本の資本をアメリカに差し出す売国政策が進んでいますが、原発に関しても 先生が言われる国内の電力会社のためというよりもアメリカのためなのでしょう。
TPPと2020年までの電力自由化で、アメリカの企業に参入されれば、火力燃料のシェールガスでも勝負になりません。
電力会社は、政府に守ってもらっていると思っているのでしょうか?
院長先生の仰る通り私も、このまま行けば近い将来必ず多くの国民が放射能の危険性を認識し声を挙げることになってくるのではないかと思います。
そうなることを国が恐れているから「憲法改正」をして、憲法によって規定されている、国民主権、国民の権利を今のうちに奪うつもりなのでしょう。
かつて徳川家康が豊臣側に講和の条件として、大阪城の外堀だけを埋めるという約束をして内堀まで埋めてしまったことがありました。いま憲法96条改正で同じ事をやろうとしているのが安倍政権なのだと思います。
もちろん、本丸は憲法9条ではありません。本丸は国民の自由と権利を定めた「憲法3章」なのです。
もう7月の参院選挙まで、あまり時間がありません。そろそろ日本国民も権力に対する余計な礼儀や謙虚さなどを、かなぐり捨てて爆発しても良い頃だと思うのですが、このままだと経済(カネ)の奴隷にされてボロボロに疲弊させられ反抗すらできなくさせられそうで恐ろしいです。
> 誰の指示か?
非常に、いいテーマだと思います。
経産相の茂木も、
誰かに、圧力をかけられているんでしょ。
どんどん、突き詰めて行ってください。
ただでさえ、原発をやらなくても、
火力と自然エネだけで電力は
間に合い、実態の運用コストは
原発が最も高くなると言う事実は
国民の前に既に、バレてしまっているのに、
そこを敢えて、国民の反対・
福島の二の舞になる、安全喪失への
懸念を押し切ってまで、
ホンネはあくまで個人利権のためだけに、
多くの国民の命を盾にしながら、
やろうとする奴が、
同胞の中にいる事自体、
私には、こう言った輩は、
9.11やボストンの首謀者なみに
警察・公安が監視すべき
テロリスト・国賊としか
見えません。
もし、こういった胴元の犯人を見つけたら、
愛国心が欠如した、
日本人としてはふさわしくない
危険人物と認定して、
これ以上やらせないためにも、
即刻、身柄を拘束、
2度と出て来て悪いことが出来ないように、
終身刑にすべきだと思います。
福島のことを考えたら、これが
国民の切望ではないかと思います。
政権は、
後に続く、
非国民が出て来ないためにも、
こういった国籍剥奪級の
悪党・テロリストに媚びることなく、
首謀者全員に、
容赦なく縄を打って、
刑事・民事両面から
責任を取らせて欲しいのです。
有名人の体調不良が続いています。
先生が院内講演会などでも言われていたように、消化器系疾患(急性)が目立ちます。
ついに大御所の長渕剛さんも。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130501-00000218-sph-ent
つい最近は、「ハリセンボン」の近藤春菜さんも急性腸炎と診断され、そのまま入院しました。
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2013/04/30/kiji/K20130430005711230.html
また、坂口良子さんも発病のタイミングは微妙ですが、横行結腸がんで亡くなられました。
http://www.zakzak.co.jp/entertainment/ent-news/news/20130404/enn1304040714000-n1.htm
このような方々は、外食や弁当が多いのでしょうが、いつまで安全ととぼけるつもりなのでしょうか?(関東の水道水も心配です。)
先生のブログは、訪問者が多いので、南相馬市の大山弘一市議がおすすめの映画の紹介です。
スライブ
http://www.youtube.com/watch?v=yp0ZhgEYoBI
今(も)世の中で起きている多くの問題は、欧米の支配者の仕業で、過去のリーマンショックやバブル崩壊も仕組まれたものでした。
現在の自公政権で進められる、原発推進、TPP、憲法改正なども全て欧米の支配者のためのものとも言えそうです。
そう言ったほうが、お優しい国民のこと、そーだよねー電力会社も困るもんね〜、と許してくれそうです(笑)
国民は311、フクイチ爆発以降のいい大人の慌てっぷり、嘘のつき放題を見てきたから国や電力会社の信用はガタオチです。
けれど、空気読みと半世紀の平和ボケで、電力不足恫喝などいくら酷い嘘をつかれても、本当に命を盗られそうにならない限り行動は中々しないでしょう。
7月の選挙までに、ネットで情報を集めているタイプの国民が出来ることはなにか。
ブログにコメントするだけでなく、自分やブロガーさんたちが集めてくれた情報をネットや口頭、あらゆる手段でとにかく拡散することじゃないでしょうか。
シンプルに、要点のみ。
大衆の不安を言葉で煽るだけでも実は良いんです。(行動で煽ったらテロリストになっちゃいますよ!)
中身にもよりますが。
大衆の不安を煽られて困るのは大衆ではなく実は為政者だから。
平和ボケの日本人には311も原発爆発もあったのに関わらず、まだまだ本当に身を護るための不安や恐怖が足りないというのをこの二年で感じました。
でも一見、ボケボケしているように見える国民も実は漠然とモヤモヤしているのです。
モヤモヤに言葉を与えることが大事。
それをやられると怖いから為政者はネットサポーターや監視員を大量動員して掻き回しているのです。
プロバイダーに圧力をかけ、突然ブログごと削除してしまったり益々あからさまです。
でも人の口に戸は立てられないのです。今のところは。今でしょう!
電力会社、赤字にしておけば何かと有利ですからねぇ。しかも赤字でも経営陣は責任取らされないし。
アレバからのMOXって、日本の廃燃料からだけでは無く、欧米原発の廃燃料からつくったMOX(=日本は廃棄場)じゃないんすかねぇ。移送量と引き取り量を計算して見たいものですw
何事もなかったように汚れた食品買って食べてます。
友達は「考えすぎ」と言いますが「考えすぎても良いんです、考えすぎが間違っていても体に異変はないでしょ?間違ってなければどうなりますか?」と言いたいところをグッと抑えて・・・。
しかし放射能を気にしている自分を表現するって実はとても大切なんですよ。
デモに参加するのと同じくらい大切じゃないかと。
友達が何かの拍子に「そう言えば、あいつ 放射能気にしているって言ってたなぁ」って点と点が繋がる時がきっとあるんですね。
「考えすぎー」と相手に突っ込んだと同時に記憶に残ってるわけです。
で・・・え?!今まで何も考えずに食べたい物を食べてきた って事に気付くわけです。
放射能のこと全然気にしていなかった自分に気付くわけです。
原発を推し進めてきた自民党への怒りもわいてくるわけです。
大それた事をしなくても普通に友達にそれとなく伝えるだけで良いんです。
笑い話で終わっても良いんですよ。
これを口コミって言うんです。
最強です。
そして誰にでもできる簡単な運動なんです。
私は現在ある国にいますが、ある人がこちらで原爆展を開こうとしたら、こともあろうに日本大使館から、アメリカの機嫌を損ねるから…といったニュアンスの提言が来たそうですよ。
結局のところ、欧米には頭が上がらないのですね。日本のトップの方々も、いいように使われて最後は裏切られることは目に見えていますが…。
アメリカまでは遠く離れているし、他のアジアの大陸や国々にも、ヨーロッパにも、南半球にも、直接高濃度の放射能が舞いおりるわけではないですね。
せまい列島がどれだけ汚染されても、世界にとっては最小の損失で済む。
だからこんな狭い列島に何基も原発という名の核兵器工場が建ったんだろうなと思います。
私は、オフグリッドの社会になるといいなと思います。
●柏崎再稼動申請を決定 東電6、7号機対象
5日にも社長来県 泉田知事は反発
東京電力は2日、柏崎刈羽原発6、7号機について、原子力規制委員会の新規制基準が8日に施行された後速やかに、再稼動に向けて安全審査の申請をすることを決めた。申請の具体的な日程については名言を避けたが、広瀬直己社長は2日の記者会見で、自ら県、柏崎市、刈羽村に説明した上で申請する方針を示した。5日にも来県する見通しだ。
柏崎刈羽原発の再稼動をめぐっては、新基準で義務づけられるフィルター付きベントの設置に関し、泉田裕彦知事は安全協定上の事前了解の対象となるとした上で、了解に難色を示している。事前了解がなく、地元への説明もないまま東電が申請を決めたことに、泉田知事は強く反発。今後、東電が申請について地元の理解を得られるかどうかは不透明な状況だ。
会見で広瀬社長は6、7号機について、中越沖地震後に進めた耐震強化対策や新規制基準を踏まえ、「考えられる限り最大限の安全対策を取り込んだ」と説明。この2基が比較的新しいことを他の号機に先立ち申請する理由に挙げた。
また東電は、新基準で対応を求められている火山噴火、竜巻、テロ対策などについて「具体的な見通しは立った」と述べた。しかし、具体的な内容については「申請後に説明したい」と述べるにとどめた。
フィルター付きベントについても詳細設計が固まり、6、7号機で遅くとも本年度中に完成するとの見通しを示したが、具体的な機能などについては申請後に説明するとした。泉田知事や会田洋柏崎市長が求める、設置への事前了解については、了解が必要な対象かどうかも含め協議していくとした。
泉田知事は2日、東電の決定について取材に対し「信頼関係を構築する意思がないと受けとらざるを得ない」と述べた。ベント設備については、安全協定に基づき「必要な措置を取る」と述べ、工事の中止要求も辞さない構えを見せた。
●経営優先 体質変わらず
(解説)
東京電力が柏崎刈羽原発の安全審査を、新規制基準の施行後速やかに申請することを決めた。原発の安全性について地元に十分説明しないままの一方的な表明に「地元軽視」との反発が広まるのは必死だ。
東電は福島第1原発事故の賠償のほか、原発が稼動していないことによる火力発電の燃料費増加などで3年連続の赤字。「できる限り安い値段で供給したい」(広瀬直己社長)として電気料金の再値上げにも慎重で、経営改善のためには一日も早い原発再稼動が至上命令となっている。
東電の判断には、既に早期申請を表明している関西電力など4社に遅れを取りたくないとの思いがにじむ。規制委の審査体制には限りがあり、申請が遅れて審査が後回しにされれば再稼動が遠のきかねない。
だが現状では、地元の関心事である原発の津波想定や火山噴火、竜巻、テロにどう対応するかに答えていない。過酷事故時に原子炉内の蒸気を放出するフィルター付きベントの機能についても明かしていない。
地元を置き去りにして再稼動へと前のめりになっているようにも映る東電。福島事故を検証した国会事故調査委員会報告書では、原発の安全性よりも経費節減など経営事情を優先する体質が事故の一因とされた。経営最優先体質が改まったようには見えない。
●再稼動へ揺らぐ信頼 事業計画見直し必至
黒字化困難で最値上げも
東京電力が柏崎刈羽原発の再稼動を急ぐのは、国の支援を受ける際に提出を義務付けられた「総合特別事業計画」で示した黒字化のめどが立たないからだ。国が昨年5月に計画を認定して以来1年余りが経過。再稼動は遅れ、福島第1原発事故の賠償金支払いへの支援が何度も上積みされるなどずれが目立つ。計画の抜本的な見直しを迫られるのは確実だ。
総合特別事業計画では、柏崎刈羽原発の再稼動をことし4月以降と織り込んで、これを基に収支見通しを示した。再稼動の遅れが続けば、火力発電に用いる燃料費がかさむ。計画で目標とした2014年3月期の黒字化は困難となり、再値上げも視野に入る。
また、国は原子力損害賠償支援機構に対し、原発事故の賠償に充てる最大5兆円の交付国債枠を設けた。計画では、この5兆円の枠内で東電が支援を申請することになっているが、賠償額が膨らんだことで東電は過去4回にわたって支援の増額を申請。これにより現在の支援額は約3兆8千億円に達し、上限の5兆円に近づいている。
東電は昨年11月に公表した中期経営計画で、賠償や除染費用が総額10兆円を超え、交付国債枠を突破するとの見方を示した上で、国に新たな支援の枠組みを検討するよう求めた。計画の今後の全面的な見直しでは、国の支援の枠組みも議論される見通しだ。
●社長会見
「取締役会で早期方針」「知事と話し合いたい」
広瀬直己・東京電力社長の会見での一問一答は次の通り。
−地元への説明前に再稼動申請を表明するのは、地元の反発を招くのではないか
「地元を軽視するのではなく、あくまでも地元に十分説明した上で速やかに申請したい。6、7号機で準備が整い、取締役会で早く申請すべきだとなった」
「柏崎刈羽原発については、中越沖地震以降、耐震強化対策をずっとやってきて、福祉まだ1原発事故後は津波対策、新規制基準対応としてフィルター付きベントなどトータルで3200億円の対策をしてきた。経営としては、こうした対策が新基準に本当に適合しているか見ていただきたいという判断がある」
−地元が反発した場合は
「そうならないように説明を尽くしたい」
−柏崎刈羽原発については過酷事故対策が終わったという認識か
「これでいいという安全レベルはないというのが、福島事故の反省点の一つ。現段階でできる限りの施策を盛り込んだ。もちろん規制委の判断もある」
−フィルター付きベントは、設置に県、柏崎市、刈羽村の事前了解が必要との認識か
「安全協定の事前了解については明文がない。事前了解の対象か、そうではないか、一つ一つ話していく。事前了解の対象ではないと言うつもりはない」
−事前了解を取る前に再稼動申請をすることは
「それも含めて地元としっかり話し合いたい」
−泉田裕彦知事は、東電との信頼関係が築けていないとしている。
「とにかくまず話し合いたい。知事の考えも聞き、私どもでできることを丁寧に説明していく」
・・・「私どもでできることを丁寧に説明していく」ですか。恐らく、汚染浄水汚泥の引き取りをはじめとする殆どの事は、今の私ども(東電)にはできません、無理です、と片っ端から拒否してきそうですね(怒)。
●「地元軽視」憤る知事
東電との溝深まる 安全対策説明されず
「信頼関係を完全に破壊する行為だ」。泉田知事は2日、報道陣に対して怒りをあらわにした。
原発の再稼動に向けては、原子力安全協定を結ぶ県、柏崎市、刈羽村の了解が必要とされる。しかし知事は運転再開について「それ以前の話」と突き放した。
新基準で、過酷事故を起こした東電福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉に設置が義務付けられるフィルター付きベント。事故の際、原子炉格納容器の圧力を下げるため、放射性物質を減らした上で蒸気を外部に放出する設備だ。
安全協定には原発施設などの新増設や変更の場合に、事前に立地自治体の了解を得るとの条項がある、泉田知事と柏崎市の会田洋市長はフィルター付きベントが「事前了解」に当たる設備として東電に手続きを求めている。
東電は1、5〜7号機で基礎工事を始めている。この日の会見で広瀬直己社長は「詳細が固まってきて準備ができた」としたが、設計内容や性能については明かさなかった。一方で事前了解について、相沢善吾副社長は「安全審査の申請とは切り離して考えたい」と説明。広瀬社長も「協議させていただきたい」と、申請前に事前了解を得るかについて明言を避けた。
そうした姿勢に対し、泉田知事は「薄めるとはいえ放射性物質を排出する機械を、地元の相談もなく申請するという対応では、立地地域との信頼関係を築けるはずがない」と憤った。
会田市長も「申請後の説明はまずいでしょうね。東電の考えを聞きたい」と困惑気味に話した。
刈羽村の品田宏夫村長は「これまでも事前了解に該当するか話し合いをしてきた。今回もそうなるだろうし、きちんと判断したい」と述べた。
●「福島の反省 全くない」柏崎原発再稼動申請へ
避難者 怒りあらわ
地元「十分な説明を」
東京電力が柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動に向けた安全審査を申請すると発表した2日、地元の柏崎市に加え、同原発から半径30キロ圏内の住民からも「東電は十分な説明を」と求める声が上がった。東電福島第1原発事故で福島県から本県に避難している人は「東電は福島事故を全く反省していない」と怒りをあらわにした。
「東電はこれから説明責任を厳しく問われる」。柏崎刈羽原発を監視する住民組織「透明性を確保する地域の会」の会長を務める新野良子さん(62)=柏崎市=は指摘した。
地域への説明が後回しになることについて「そういう価値観を持っていると受け止めるしかない。あるいは何らかの理由で申請を急ぐ状況に追い込まれたのか」と話し、「再稼動を急がざるを得ないのなら、それを正当化する説明が必要」と訴えた。
同原発から半径30キロ圏内に含まれる上越市柿崎区で農業を営む伴内正男さん(71)は「ここに暮らしている以上、再稼動には反対だ。事故が起きれば私たちも避難する可能性があるので、立地自治体と同じ内容で説明してほしい」と話した。
「一部でも放射性物質で汚染されれば、風評被害は市全体に及ぶ」と懸念するのは、長岡市岩田の養鯉業嘉瀬清さん(64)。東電の発表を「時期尚早」と感じる一方で、「長岡市にも原発に関わる企業がある。それを考えると再稼動への賛否は簡単には言えない」と複雑な心境を口にした。
福島県楢葉町から新潟市西区へ避難している渡辺光明さん(60)は「事故の検証や賠償、除染など福島の問題は何一つ解決していない。この段階での申請は福島県民の思いを無視している。人の造ったものに絶対の安全はない」と憤りを隠さなかった。
●とにかくご理解を 東電副社長
東京電力の相沢善吾副社長は2日、柏崎刈羽原発で記者会見し、安全審査申請へ理解を求めた。地元自治体への説明に先立って申請を決定したことについて、報道陣から「地元の理解を得られるのか」との質問が相次いだ。相沢副社長は「とにかく(泉田裕彦知事らに)説明して、ご理解いただきたい」などと繰り返した。
相沢副社長は「福島事故の教訓、反省を踏まえ最大限の安全対策をしてきた」と強調し、8日の新規制基準施行後に「速やかに申請を行う」と話した。
国への申請と地元説明の順序が逆ではないかと問い続けた報道陣に対し、相沢副社長は「(申請を)急いでいるわけではない。今回は安全を審査していただくための申請。再稼動を目指す物ではない」と述べた。
http://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/
●基準に合うか知りたい 福島原発事故対応が先
柏崎地域の会 再稼動申請に賛否
東京電力柏崎刈羽原発を監視する住民組織「透明性を確保する地域の会」の定例会が3日、刈羽村の生涯学習センターラピカで開かれた。同原発6、7号機の再稼動に向けた安全審査を8日の新規制基準施行後、原子力規制委員会に速やかに申請することを決めた東電に対し、委員からは「安全対策が基準に合っているか知りたい」「東電福島第1原発事故の対応が先のはずだ」などと賛否両論が出された。
会では東電が、2日に決めた安全審査への申請方針を説明。これに対し原発反対派の委員は「福島事故の後始末もできないのに、なぜ申請するのか。まず福島を事故前の状態にするのが義務だ」と指摘した。
一方、「申請したほうがいい」とする委員は「規制委が技術的に当てはまるかどうか調べるだけでも有意義。出さなければ議論が進まない」と主張した。ほかの委員からは「あれだけの対策を取っているのだからいつか動かすと思っている」との意見も出た。
柏崎刈羽原発の横村忠幸所長は「事故を起こした当事者として、これまで進めてきた安全対策が本当に十分かを確認していただきたい。理解をお願いしたい」と述べた。
過酷事故の際に原子炉格納容器の圧力を下げるため、放射性物質を減らした上で蒸気を外部に放出するフィルター付きベントについても発言が集中。「格納容器が破損する事態になるよりはあった方がいい」「建設時は放射性物質を敷地境界から外に出さない約束だったはず」などの意見が出た。
●柏崎市長「東電は性急」 直接説明聞く意向強調
柏崎市の会田洋市長は3日の定例会見で、東京電力が柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動に向けた安全審査を8日の新規制基準施行後、原子力規制委員会に速やかに申請すると決めたことについて、「急いでいるというか、随分前のめり。きちんとステップを踏んでいるのか、どういう状況になっているのかを確認したい」とくぎを刺した。
会田市長は新規制基準で求められ、過酷事故時に原子炉内の蒸気を放出するフィルター付きベントについて、東電との安全協定で定める事前了解に当たるとの認識を示している。
この日の会見でも「少なくとも具体的な説明はない。事前了解の要請前に規制委員会へ申請するのは順番が違う」とした。広瀬直己社長から直接考えを聞く意向を強調し、「安全協定は相互の信頼関係に基づいたもの。必要な手続きを踏まずに進めようとするのなら極めて遺憾だ」と述べた。
新基準で求められる設備や対策の詳細を直接聞く前に、東電が申請を決めたことには「急な話で正直驚いている。信頼関係が崩されることのないよう東電には真摯な対応を求めたい」と注文した。
●東電社長あす来県
東京電力の広瀬直己社長が柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動へ向けた安全審査の申請について説明するため、5日に県、柏崎市、刈羽村の首長を訪問することが3日、各自治体への取材で分かった。
各自治体によると、面会時間について調整しているという。東電は「訪問の日程については現在調整中」としている。
●ベント準備不足けん制
規制委員長 東電審査後回しも
原子力規制委員会の田中俊一委員長は3日の定例会見で、電力会社による原発再稼動に向けた安全審査の申請には、新規制基準で義務づけられるフィルター付きベントを設置できる見通しが立っていることが「前提」との認識を示した。東京電力が早期申請を決めた柏崎刈羽原発6、7号機はベント設置の見通しが不透明で、準備不足のまま申請すれば、審査は後回しになる可能性もある。
東電は2日、6、7号機について、8日の新基準施行後に速やかに申請することを決めた。これに関し田中委員長は「(ベント設備が)できることを前提に申請が出てくると思う」と、準備不足のまま申請することをけん制した。
柏崎刈羽原発へのベント設置をめぐっては、泉田裕彦知事と会田洋柏崎市長が、安全協定上の事前了解が必要としている。泉田知事は、東電との信頼関係が築けていないとし、了解に難色を示している。2日も、地元説明の前に東電が再稼動に向け審査に申請する方針を決めたことで、反発を強めていた。
東電は6、7号機へのベント設置の工期として本年度中との見通しを示しているが、地元の事前了解がない中で本体着工は見通せない情況だ。こうした状況について田中委員長は「規制委が関わることではない。(申請をするかどうかは)事業者の判断だ」と語った。
また、泉田知事が、新基準や原子力災害対策指針の策定過程をめぐり、立地自治体の意見を聞いていないなどと規制委への批判を繰り返していることについて、田中委員長は「かなり個性的な発言だと思う」と不快感を示した。
●柏崎再稼動方針 知事が反発
東電社長 8日申請「難しい」
東京電力の広瀬直己社長は5日、泉田裕彦知事と会田洋柏崎市長、品田宏夫刈羽村長とそれぞれ会談し、柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動に向けた安全審査を原子力規制委員会に速やかに申請する方針を伝えた。地元に説明せずに申請を決めた東電の姿勢に泉田知事が強く反発。広瀬社長は本県での会談後に訪れた経済産業省で取材に対し、原発の新規制基準が施行される8日にすぐに申請するかについては「正直、難しい」と述べ、事実上断念する考えを示した。
広瀬社長は「もう一度(泉田知事に)話をする機会をつくりたい」とも語り、理解を得た上で申請したい構え。ただ再会談の見通しは立っておらず、先行きは不透明な状況だ。
東電が原発の再稼動に向けて地元首長と話し合いを持つのは、福島第1原発事故後初めて。建設中のフィルター付きベント設備について、安全協定に基づく事前了解を各自治体に求めたが、知事は要請文書を受け取らなかった。
広瀬社長は県庁で知事と会談した。知事は地元への説明がないまま申請を決めたことを「不安に思っている人がたくさんいる。なぜ急いだのか」などと批判し、事前了解なしに申請しない確約を求めた。しかし、広瀬社長は「(事前了解の協議と審査を)同時に進めることも可能」とし、主張はかみあわなかった。
広瀬社長は5日、知事との会談に先立って柏崎市役所に会田市長を、刈羽村役場に品田村長を訪ねた。
会田市長は「何の説明もなく申請方針を発表したことは、これまで築き上げてきた信頼関係を損ない誠に遺憾」と批判した上で、「事前了解については検討し返事をしたい」と答えた。
品田村長は「(柏崎刈羽原発が)活用されて初めて福島の復興が進むと思う」と話した。
規制委は申請を8日に予定している電力会社に対し、当日の混乱を避けるため5日に事前連絡するよう要請し、関西電力など4社が申し出たが、東電は連絡しなかった。
フィルター付きベントは過酷事故の際、原子炉格納容器の圧力を下げるため、放射性物質を減らした上で蒸気を外部に放出する設備。新基準で設置が義務付けられる。泉田知事と会田市長が事前了解の対象としていたが、広瀬社長は2日の会見で、了解が必要かどうかも含めて協議していくとしていた。
●柏崎原発安全審査 東電、早期申請に執着
知事「ベント事前了解を」
5日に本県を訪れた東京電力の広瀬直己社長は、柏崎刈羽原発の再稼動に向けた原子力規制委員会への安全審査申請を「できるだけ速やかに行う」という方針を変えなかった。泉田裕彦知事は新規制基準で設置が義務付けられた設備工事について、県の事前了解を得るようと強く求めた。事前了解を得る前に東電が申請を強行すれば、県が一層態度を硬化させることは必至だ。柏崎市、刈羽村の周辺自治体からも東電の説明不足を指摘する声が出ており、東電は難しいかじ取りを迫られている。
「もう少し考える」広瀬社長は県庁での泉田知事との会談後、8日の申請を断念する可能性を報道陣から問われても明言を避け、早期申請へのこだわりをにじませた。
知事は5日、広瀬社長に対し「約束を守ってください。申請前に事前了解を取ってください」と何度も迫った。広瀬社長は5日夜、都内で報道陣に「8日の申請は大変難しい」と述べたものの、申請後に県などへの説明を平行して行いつつ、事前了解を得ていく考えをあらためて示した。
知事が指摘する約束とは、県が東電と締結している安全協定だ。「設備の新増設・変更時は自治体の事前了解を得る」という条項があるからだ。
東電が安全対策として工事を進めるフィルター付きベントは、事故時に原子炉格納容器に圧力を下げるため、放射性物質を減らした上で外部に蒸気を放出する設備。県は事前了解が必要とする。
広瀬社長は知事への再度の説明を「リターンマッチ」と表現し、事前了解を得る努力を続ける考えを示したが、過去に柏崎刈羽原発の設備変更などに関する県の了解まで約2カ月かかったケースもある。
県は東電の事前了解を求める文書を受け取らず、今後の対応は「白紙の状態」(原子力安全対策課)だ。東電は話し合いのテーブルにすら着けない状況だけに、県が事前了解に至るまでの期間は全く見通せない。
知事と同様に事前了解を必要としていた柏崎市の会田洋市長も「十分に検討したい」と語ったが具体的な対応は未定だ。
一連の東電の対応については、周辺市町村も戸惑いを見せる。原発から半径30キロ圏にある長岡市の金子淳一原子力・防災統括監は「大きな動きがあるなら説明してほしい。フィルター付きベントを使う前の連絡体制などを確認したい」と話す。同じ30キロ圏の上越市も安全対策について東電に説明を求めていく構えだ。
●知事「お引き取りを」
東電社長 事前了解要請書渡せず
「話がかみ合わないのなら、どうぞお引き取り下さい」。5日に行われた県と東京電力のトップ会談は、泉田裕彦知事が約30分間で打ち切りを宣言した。フィルター付きベント工事の事前了解と、再稼動に向けた安全審査の申請との順序をめぐり、やり取りが平行線をたどったためだ。広瀬直己社長が事前了解の要請書を手渡す間もなかった。
知事室で多くの報道陣が囲む中、泉田知事は冒頭から、立地自治体への説明が後回しになったことを批判。「なぜ急ぐのか」「経緯の説明を」と繰り返し、広瀬社長を厳しく問いただした。
これに対し、広瀬社長は「もう少しやりようがあった」と口にしたものの、「申請方針は地元の気持ちとは違う視点での決定。準備が整ったから申請をするのは普通のこと」と漏らす場面もあった。
その後も、泉田知事は申請前に県などの事前了解を得るという言質を得ようと、「広瀬社長は社長に就任した1年前、安全第一と言った。約束を守るのか、守らないのか」と迫った。だが、広瀬社長は「申請は原発の安全性を確かめてもらうため。(事前了解)と同時に進めても大きな問題はないと考えている」とし、主張がかみ合うことは一度もなかった。
会談後、広瀬社長は報道陣に対し「何の事前かという点で議論の余地がある」と述べた。申請の手順や時期に関しては「地元を軽視することは避けたい。きょうの話を総合的に判断したい」と、曖昧な答えに終始した。
●主なやり取り
泉田知事 安全よりお金優先か
広瀬社長 説明何度でもしたい
東京電力の広瀬直己社長と泉田裕彦知事が5日に行った会談の、主なやり取りは次の通り。
知事 地元に連絡もせずに(安全審査を)申請すると決断された背景を説明してほしい。
広瀬氏 (柏崎刈羽原発)6、7号機の準備が整い、取締役会にかけた。地元には説明させていただくし、機会を設けてもらいたい。
知事 不安に思う人がいる中で、どうしてその不安の解消に努めないで申請を決めたのか。
広瀬氏 準備ができたということ。地元にどう説明するかは、もう少しやりようがあったかもしれない。
知事 審査の順番を気にしたのではないか。
広瀬氏 準備が整えば申請するというのは普通のことだと思っている。
知事 年度内の黒字化、金融機関の融資を意識したのか。
広瀬氏 もちろん経営なので、それは絶えずしている。
知事 不安の解消や安全よりもお金を優先したということか。なぜ急ぐのか。(申請の)準備ができることと、不安を解消することは違う。
広瀬氏 まだ申請もしていないし、こうして時間をもらいながら、一生懸命やっていかなければならないと思っている。
知事 安全協定というのは県と東京電力との約束。(フィルター付きベント工事の)事前了解なしに申請はしないということでいいか。
広瀬氏 新しい規制基準が8日から施行される。それと平行して、県の技術委員会などで設備面をチェックしてもらうことも可能ではないか。
知事 話がかみ合わないなら、お引き取りください。何度も申し上げるが、約束を守るというのがスタートラインだ。
広瀬氏 何度でも参ります。説明する機会をもらいたい。
●東電社長会談 知事「安全より金優先」
柏崎市、刈羽村は一定の理解
(前略)一方、柏崎市の会田洋市長は「ぎりぎり、事前の措置は取られた。認めるとは言い切れないが。真摯な対応をお願いした」と述べた。刈羽村の品田宏夫村長も、東電と県と市・村との間で結ばれている安全協定を挙げて「市と足並みをそろえて対処したい」と語った。
今日の読売新聞全国版第1面より
●柏崎刈羽 新潟知事東電に反発
再稼動申請方針 広瀬社長と会談
(前略)広瀬社長は泉田知事に先立って会田洋・柏崎市市長、品田宏夫・刈羽村村長と会談した。会田市長は地元が了解する前に再稼動の申請を表明したことを「誠に遺憾だ」と批判したが、申請を容認する意向を示唆した。品田村長は「国は安定した電力のもとで成り立つ」と再稼動に理解を示した。(後略)
・・・私は新潟在住で、新潟日報、読売新聞新潟版も読んでいるから分かるのですが、別に柏崎市長は、申請を容認するような発言まではしていないのですよねぇ・・・。なるほど、これが情報操作というやつなのですね(苦笑)。でも、新潟県以外の都道府県の読者へ情報操作を行っても、柏崎刈羽原発に関しては、我々新潟県が首根っこを押さえている事をお忘れなく。
でも正直、読売は柏崎刈羽再稼動に向けて国と東電を全面的にバックアップするというか、知事叩きを始めるかと思ったのですが、おとなしいですねぇ。まぁ今度の選挙で自民が勝ったら、その先どう出るかは分かりませんけど。
そう、その必要があるのにできてなかったんですよ。そのために沢山の被害者が出た…しかし、それに対しての責任もとっていないし、補償も全然できていない…
>人間が必死に研究すれば克服出来ない技術は無いと思います。
以上の人間が”必死”に研究する訳がないのです。何かあっても責任取らない人間が必死に研究する訳ないじゃないですか。
>日本のエネルギーを支える企業を軽々しく国賊などと言わないで下さい。
というか、以上の無責任な人間達に日本のエネルギーを支える重要な企業を任せることそのものが間違いなのです。
人間の総とっかえをしない以上、日本は滅びます…日本を滅ぼす人間を”国賊”と呼ぶ…当たり前のことでしょ?
教養のレベルが問われるのは、そちらの方かと思いますが?
反論というのは、相手の論理を否定することをいいます。論拠がないただの主張は反論とはいいません。
あらゆる叡智とはどこにありますか。みたことがありません。
人間が必死に研究すればすべてが解決するなら永久機関さえできるはずですね。だったら原発など要りません。最初から矛盾があるものは解決できない、と気づくのが叡智です。
>安全確保技術力を高める必要が有ります。
えーと、福1事故前は、推進派でさえ、「日本で原発事故が起きたらエライ事になる。でもそうならないように、日本の原発には多重の安全装備があるから大丈夫。事故は起きません」てな事をいっていたのですよね。それが福1事故が起きたら、「今度こそ事故を起こさないように更なる安全システムを開発し、装備するから原発は大丈夫です!」てな事を言い出しましたし。推進派でさえ「起きたらエライ事になる」と言っていた事故が既に起き、それにより、日本という国には事実上の死亡フラグが立ってしまっているのですよ。今更遅いです。
>人間が必死に研究すれば克服出来ない技術は無いと思います。
では、その技術が開発されるまでに、どれくらいの年月がかかるのか?もし、その間に、日本でもう一度福1クラスの事故が発生したら・・・。そうなったら、今度こそ日本は完全に終わる、と推進派の方々でさえ認めておりますよね?将来開発されるであろうから・・・といういわゆる見切り発車は勘弁してください。それに、もし、その技術が、人類の英知を集めても結局開発できなかった場合は、果たしてどうなりますかね?
あと、その技術が開発されたとして、それを原発に装備するなどのコストがどれくらいかかるかですよね?場合によっては、推進派でさえ、それにより原発の発電コストは各発電システムの中でも一番高い、と認めざるを得なくなるかもしれません。そうなった場合でも、電力会社は、安全のためにコスト度外視でその技術を原発に採用するでしょうか?それに、余りにも発電コストが高騰してしまえば、原子力発電の存在意義すら怪しくなってくると思うのですが。
私は、年だけ食って知性も教養も品格もなーんにもない軽々しいババアなのだけれど、あなたのコメントには強い違和感を覚える。
なぜか?
あなたの言葉が上っ面だけだから。あなたのコメントが机上の空論だから。
311が原発事故を伴わない地震と津波だけであったなら、亡くなった方々を悼み、被害者を支えながら、人々の生活も国土も取り戻せる。復興ができる。
でも、放射能汚染があるかぎり、どんな神様だって日本をもとに戻すことはできないのですよ。
そして、人間の「叡智」を集めたって、放射能を無毒化することはできないし、汚染は世界に広がるばかり。
あなたは、有形無形の日本刀を携えている。
あなたは、なぜ心を武装しているの? あなたが武装して守りたいものとはなんなの?
日本のエネルギーを支える企業? それとも、あなたの教養や品格?
日本の人々の生活とそのささやかな幸せを守りたいとは思わないの?
2006年12月13日 衆議院議員 吉井英勝
巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a165256.htm
2006年12月22日 内閣総理大臣 安倍晋三
巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問に対する答弁書
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b165256.htm
1-4
Q(吉井英勝):海外では二重のバックアップ電源を喪失した事故もあるが日本は大丈夫なのか
A(安倍晋三):海外とは原発の構造が違う。日本の原発で同様の事態が発生するとは考えられない
1-6
Q(吉井英勝):冷却系が完全に沈黙した場合の復旧シナリオは考えてあるのか
A(安倍晋三):そうならないよう万全の態勢を整えているので復旧シナリオは考えていない
1-7
Q(吉井英勝):冷却に失敗し各燃料棒が焼損した場合の復旧シナリオは考えてあるのか
A(安倍晋三):そうならないよう万全の態勢を整えているので復旧シナリオは考えていない
2-1
Q(吉井英勝):原子炉が破壊し放射性物質が拡散した場合の被害予測や復旧シナリオは考えてあるのか
A(安倍晋三):そうならないよう万全の態勢を整えているので復旧シナリオは考えていない
「叡智」があるはずのお偉いさんたちは、「万全の態勢を整えている」という答弁書を作成された。本当に「万全の態勢」が整っていたら、フクシマは起きなかったはずですよね。
「万全な態勢」にも何らかの弱点があるかもしれないのに、「叡智」がある傲慢な方々は、「復旧シナリオを考えていない」という答弁書を作成された。そして、「叡智」があるはずの国家首脳である安倍総理大臣が、ご自分のお言葉としてその旨仰ったのですよ。
「叡智」などというご大層なものでなくてよかったのです。日本政府とエネルギーを支える企業が、ちょっと頭を使って一歩先を読み、金も労力もケチらずに復旧シナリオを考えておけばよかったのです。そうしたら、フクシマはなかったでしょうね。
●柏崎刈羽の新規制基準適合
なお高いハードル
原発の新規制基準が8日施行された。東京電力は柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動に向けた安全審査について原子力規制委員会への同日の申請を見送ったが、新基準への対応策は整ったとしている。しかし、過酷事故に備え設置が義務付けられたフィルター付きベントの事前了解や、敷地内を走る断層の評価など、新基準をクリアするには高いハードルが残る。柏崎刈羽原発の新基準への対応状況を検証した。
(本紙原発危機取材班)
フィルター付きベントは、原子炉格納容器の圧力を下げるため蒸気を外部に放出する。東電は粒子状の放射性物質を1000分の1に抑えるとしている。1、5〜7号機で基礎工事を始めた。
県と柏崎市は、本体工事の前に安全協定上の事前了解が必要だと指摘する。東電の広瀬直己社長は5日、事前了解手続きの申し出を同市と刈羽村に文書で出したが、泉田裕彦知事には渡せなかった。広瀬社長は再度、泉田知事との面談を要望しているが、実現するかは見通せない。
敷地内にある23本の断層の活動性評価も不透明だ。東電は自主調査で、「20万年前以降の活動はない」と結論づけた。このうち6、7号機直下にある断層は、34万年前〜24万年前に動いたことを認めている。
新基準により、活断層上に原子炉など安全上重要な施設を建設することは禁止された。規制委は活断層を13万〜12万年前以降の活動が否定できない断層と定義。この時期以降に動いたことが確認できなくても、40万年前以降にずれや変形がある場合には調査手法が不適切であるとの立場で再調査を求める方針だ。規制委の評価次第では、再稼動が困難になる可能性もある。
浸水対策では6月に海抜15メートルの津波に備えた防潮堤が完成。1〜4号機には防潮壁を設置した。
電源喪失への備えでは、高台に設置したガスタービン発電車2台で7基分の原子炉の冷温停止に必要な電力を賄い、淡水貯水池で1週間分の注水量を確保できるとする。原子炉建屋の水素爆発を防ぐため格納容器上部を冷やす注水回路や建屋の水素濃度を下げる装置の設置も進めている。
同原発で想定される最大の津波の高さを示す「基準津波」や火山対策など新基準への詳細な対応状況について、東電は「審査申請後に説明する」として明らかにしていない。
●東電、再会談申し入れ
泉田知事「事務折衝行う」
東京電力は9日、柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動に向けた安全審査申請に理解を求めるため、広瀬直樹社長と泉田裕彦知事との再会談を文書で県に申し入れた。これを受けて県は対応を検討している。泉田知事は9日、新潟日報社の取材に「これから事務的なやりとりをする」と述べた。
東電は、設置を進めているフィルター付きベント設備の事前了解と安全審査について協議するため、知事との会談を求めた。県関係者によると、8日に東電から電話で要請があり、9日午後に文書に届いた。東電側から日時の希望はなかったという。
泉田知事と広瀬社長は5日に県庁で会談したが、県など地元自治体への相談なしに東電が早期申請方針を決めたことに知事が強く反発。話は平行線で終わった。広瀬社長は「何度でも説明する機会をつくりたい」とし、再会談の希望を伝えていた。
知事は5日の会談で、県の事前了解なしに申請をしないように強く求めたが、広瀬社長から明確な回答はなかった。
県幹部は9日、取材に対し「東電の考えが変わっていないなら、知事が会っても仕方がない」と話した。
●甘利氏、知事の姿勢に疑問
甘利明経済再生担当相は9日の閣議後記者会見で、泉田裕彦知事が東京電力による柏崎刈羽原発の安全審査申請に反発している問題について、「(原子力規制委員会に)安全かどうかを判断させないというのは、少し誤解ではないかと思う」と知事の姿勢に疑問を呈した。
甘利再生相は「規制委は再稼動の判断をするところではない」とした上で、「安全であるかどうか、一刻も早く国内全ての原発が(同委の)チェックを受けたほうが良い」と強調した。
・・・確か甘利氏は、福1事故後のテレビ東京の取材で、第1次安倍内閣時の原発政策に対する責任(甘利氏はその時の経済産業相でした)を追及されたら、逆ギレして、テレビ東京を名誉毀損で訴えた御茶目な方ですよね。なんでも、取材した記者に対し、「日本なんてどうなってもいいんだ!」と言ってのけたそうで。
ならば、私も言ってしまいましょう。「福1事故のフォールアウトで汚染された東京や、被曝してしまったそこの連中(特に政治家)なんてどうなってもいいんだ!我々新潟県民は、彼らと心中するつもりは毛頭ない。我々は自分達の生存の為の手段を取るだけだ」(笑)
本来なら、土下座でもして新潟県にお願いしなけりゃいかん立場でしょうが、国も東電も。なにしろ、いざとなったら、東京と関東地方のために死んでくれ、と新潟県に言っているのに等しいのですから。
面白い記事が載ってましたよ。
東電の広瀬社長だったと思いますが、その個人メールが一部、入手されて公開されていました。
その中で新潟の県議会議員や市議会議員から「1日も早く原発の再稼働をしてくれ」とお願いされているとか。
ところが、当の議員達が表では「原発再稼働絶対反対」を叫んでいるのだそうで…
俺達は落選したくないから原発再稼働は絶対反対を言い続けるけど、再稼働してくれないと困るから東電の方で何とかしてくれみたいな感じ…現職の議員達は原発関連産業と色々とシガラミがあって抜け出せないみたいですね。
で、東電の社長が、「全く、どうすりゃいいんだ」とぼやいていますが、なに、そういうがんじがらめの状態を造っちゃったのは当の東電(背後は国でしょうが)なんですから自業自得じゃないでしょうかね。
甘利のおっさんは先祖は武田24将の甘利虎泰だそうで…草葉の陰で不肖の子孫を生み出してしまったことで号泣していることでしょう。できることなら生き返って、責任とって掻っ捌きたいとでも思っているのではないかな。
ついでに今年の6月末までに熱中症で搬送された人数は4278人で昨年同時期に比べて約2.2倍だとか…近年で最も暑かったのは2010年ですが、その時でも搬送者は2276人だったそうです…
●柏崎再稼動東電申請方針
地元議会に17日説明
東京電力の広瀬直己社長は17日、柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動に向けた安全審査を早期に申請する方針について説明するため、地元の柏崎市、刈羽村の両議会を訪れる。
過酷事故の際、原子炉格納容器の圧力を下げるために放射性物質を減らした上で蒸気を外部に放出するフィルター付きベントについても計画概要を説明し、理解を求めるとみられる。
フィルター付きベントは、東電が地元と結んだ安全協定に基づく事前了解の対象。放射性物質を含む蒸気を排出する設備だとして、地元には不安の声もある。
広瀬社長は5日にも会田洋柏崎市長、品田宏夫刈羽村長、泉田裕彦知事と面談し、安全審査を申請することに理解を求めた。泉田知事は申請の前にフィルター付きベントに対する地元理解を得るよう強く求めたが、広瀬社長は「(申請と)同時並行的に進めさせてほしい」と主張したため物別れに終わった。
地元議会への説明は柏崎市議会が午後2時から。刈羽村議会は午前10時半から。
・・・まぁ、原発がないと飢え死にしてしまう、裏日本のド田舎の哀れな貧乏人である(笑)、柏崎市と刈羽村は、なんだかんだいって再稼動を認めるでしょうね(笑)。刈羽村長なんて、おらたちは原発と一蓮托生だ、てな発言を福1事故が起きた後も連発しておりますし。ただし、いざ事故が起きた場合は、事故により全てを失ったかわいそうな僕ちゃん達、なんて面はしないでくださいね、柏崎市民と刈羽村民は。それこそ、再稼動に賛同するからには、周辺の市町村の住民から、石を投げられるどころか、殺されても文句は言えないくらいの覚悟を固めてもらわないと。
●「ベント完成時期明示を」
規制委 再稼動申請で認識示す
原子力規制委員会は10日、東京電力が柏崎刈羽原発の再稼動に向けた安全審査を申請するには、新規制基準で義務付けられたフィルター付きベントの完成時期を明示する必要があるとの認識を示した。規制委事務局の原子力規制庁の森本英香次長が10日の記者会見で説明した。
東電は柏崎刈羽6、7号機を速やかに申請するとしているが、フィルター付きベントについては安全協定上の事前了解を得られるめどが立っておらず、完成時期も見通せない状態が続いている。
規制委の田中俊一委員長は10日の会見で、フィルター付きベントに関し「(東電は)新基準の要求を満たせると思わない限り、申請してこないと思う」と、あらためて準備不足のまま申請することをけん制。規制庁の森本次長も「いつまで完成するということをしっかりと明確にしなければ、適切な申請ではない」と述べた。
>Cipher様
>週刊朝日の記事
ほう、そうなんですか。
先日新潟日報に掲載された記事によると、今の県内の各市町村で、柏崎刈羽再稼動に全面的に賛成しているのはご当地である柏崎市と刈羽村以外では、出雲崎町と小千谷市だけなのだそうです。
瓦礫受け入れ問題であれだけ泉田知事と対立していた新潟市長も、再稼動問題に関しては泉田知事を支持しましたし。あと佐渡市長も、昨日だったかな、定例会見で再稼動反対を明言しておりましたし。福1以前は、事故があってもエライ目に遭うのは柏崎市と刈羽村だけ、と思っていたのが、それどころではなくなるのが分かってしまいしましたからねぇ。まぁこれら市長の本音は案外違うのかもしれませんが、公式にはそう言っていることになっているのだから、利用、もとい、支持させていただきましょう。なんか、読売新聞を始めとする大手マスコミは、立地自治体である柏崎市と刈羽村は再稼動を認めているのに、キチガイ知事が一人ゴネているせいで(以下略)という論調を広めようとしているみたいですけど、別に知事だけではなく、再稼動を嫌がっている県内の自治体はかなり多いのですよ。
そういや今夜8時からBSフジで放送されるプライムニュースに、泉田知事が出演されますね。柏崎刈羽再稼動問題に関連してみたいですけど、どれだけ吼えてくれるか?楽しみです。録画、録画。
>甘利のおっさんは先祖は武田24将の甘利虎泰だそうで
先祖は武田24将の一人ですか・・・。
正に越後にとっては不倶戴天の敵(笑)。
我々新潟県民は、上杉謙信の下で、屈強なる越後兵として、川中島やら手取川で戦った者達の末裔ですからね。なめんなよ(笑)。
●東電と再会談「調整中」
泉田知事 甘利氏へ面会申し入れ
泉田裕彦知事は11日の会見で、東京電力が柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動に向けた原子力規制委員会への安全審査申請の説明をするため、広瀬直己社長と知事の再会談を県に申し入れたことについて、会談自体は「阻むものではない」とした上で、「前回(5日)は話がかみ合わなかった。かみ合うように事務調整をしている」と述べた。
知事は「トップ会談するときには調整が必要。内容を調整しなければ、話ができない」と強調。東電が設営を進めるフィルター付きベントの事前了解の扱いや、放射性物質を含む汚泥の引き取り問題など、調整の内容について「交渉ごとなので話せない」とした。
また、東電の申請方針に反発した泉田知事に対し、甘利明経済再生担当相が9日に「(規制委に)安全かどうかを判断させないというのは、少し誤解ではないかと思う」と発言したことについて、「誤解しているわけではない。フィルター付きベントの設置を含め、何が懸念なのかを大臣に伝えたい」と述べ、10日に面会を申し入れたことを明らかにした。
・・・甘利氏に戦を仕掛ますか!?なんか法螺貝の音色が聞こえてきそうですね(笑)。
まぁ知事は色々勉強している方ですから、当然テレビ東京事件もご存知でしょう。あまり大臣を刺激して、名誉毀損で訴えられないよう、気をつけてくださいね(笑)。
●申請と地元説明 並行 柏崎原発所長
東京電力柏崎刈羽原発の横村忠幸所長は11日の定例会見で、6、7号機の再稼動に向けた原子力規制委員会への安全審査申請と、過酷事故時に格納容器の蒸気を外部に放出するフィルター付きベントの設置に関する地元の事前了解について、「審査の状況を確認しながら、ベント設備の運用などを地元と十分相談したい」と述べ、二つの手続きを並行して求めていく考えをあらためて示した。
横村所長は安全審査の申請と事前了解手続きについて「同時並行という言葉にはこだわらない」としながらも、「ベントの強度や性能は技術的、科学的に判断してもらう必要がある。一方で運用面は防災計画にもかかわるため(自治体にとって)非情に重要」と指摘した。
泉田裕彦知事は5日面会した広瀬直己社長に、申請前にフィルター付きベントに関する地元了解を得るよう強く求めており、今後面会が実現しても議論が平行線に終わる可能性がある。横村所長は、社長と知事が再び面会する見通しは立っていないとし、「今のところ先週の内容をあらためてお話ししたいという以上のものを持ち合わせていない」と述べた。
柏崎刈羽原発の再稼動に関して「今回は新基準への適合申請であり、再稼動へはもっといろいろなプロセスがあり全く見通せない」とした。
横村所長は、福島第1原発事故の現場対応を指揮し、9日に亡くなった吉田昌郎元所長の同期。「リハビリ中と聞いていたのでショックだった。繊細で技術的には尊敬していた。事故を収束させるために想像できない巨大なストレスを抱えたと思う」と悼んだ。
●安全審査申請 東電は努力を 東北電副社長
東北電力の佐竹勤副社長は11日、東京都内で記者会見し、東京電力が柏崎刈羽原発6、7号機の安全審査申請を目指しているのに対し同県の泉田裕彦知事が反発している問題に関して、「東電として地元との調整を含めて最大限努力してほしい」と述べた。
東北電は、柏崎刈羽原発の1号機で発電した電力を融通してもらう契約を結んでおり、家庭向け電気料金の値上げ申請でも、2014年度上半期の1号機からの受電を前提としている。
佐竹副社長は審査申請の方針について東電から説明を受けたと明らかにし、「まずは再稼動することが大事だ」と述べた。
●知事、地元2市村に苦言
東電との再会談は不透明
泉田知事は11日の記者会見で、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼動に向けた国への安全審査の申請について、一定の理解を示している柏崎市と刈羽村の対応に疑問を呈した。東電の広瀬直己社長は、17日に市・村議会の全員協議会に出席し、申請への理解を求める予定だが、知事との再会談の実現は不透明で、県と両市村の対応に差が広がり始めている。
東電は、申請後の審査と地元の安全協定に基づく事前了解手続きを並行して進めたい考え。市と村は5日の広瀬社長との会談で容認する姿勢を示しているが、知事は反発している。
知事は、11日の記者会見で、仮に並行させた場合、事前了解の手続きで地元が安全上の観点から修正の希望を出しても、申請後だと希望が反映されず、改善がなされないのではないかと指摘し、「(市と村は)何を考えているのかよく分からない」と語った。
一方、知事は、東電が求めている再会談について「拒むものではない」として、「(開催に向けて)いま事務調整をしている」と述べた。ただ、知事は16〜22日に米国とブラジルを歴訪する予定で、東電が求める早期の再会談には黄信号がともっている。
(以下略)。
※連載記事、「13・参院選 現場から」より
●原発停止 地元に影
廃炉後 見通しもなく
「この状態がずっと続くと生殺しだ」。柏崎市の発電所関連の建設会社「宮崎プラント建設」の上森一利社長は、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の長期停止に触れ、強い口調でそう話す。
同原発が建設中だった1984年に創業。当初は仕事の100%が東電下請け業務だったが、現在は10%を切る。「東電にぶら下がっていても仕事は来ない。外で仕事を取ってくるしかない」と、青森や茨城などの発電所関連業務に手を伸ばし、食いつないでいる。だが、遠方の仕事は宿泊費などで経費がかさむ。「社員を食べさせるには地元の仕事が必要」と訴える。視界にあるのは、柏崎刈羽原発の早期再稼動だ。
同原発にある7基のうち2〜4号機は2007年7月の中越沖地震以降、運転していない。11年3月の東日本大震災後、約1年で残る4基も次々と停止した。
運転時は原発1基あたり約100人、定期検査中であれば、最大2000人の作業員が出入りする。立地自治体への交付金だけではなく、作業員の落とす金が市を潤わせてきた。
「本当に人がいない。ひどいものだ」。柏崎市から市中心部へ続く「駅仲通り」で食堂を営む田辺俊広さん(62)は、店の前を走る乗客のいないバスを見送ってため息をついた。
原発が稼動していた頃は、駅前のホテルに宿泊する作業員が、よく夕食を食べに来た。しかし、全基停止以降、作業員の姿を見ることはほとんどなくなった。
田辺さんの食堂がある柏崎市駅前2丁目は、今年の最高路線価で、下落率が7.5%と県内最大だった。「原発運転停止が長引いている影響も加わっている」。会田洋市長は指摘する。
柏崎刈羽原発の全面停止は中越沖地震後に1年10か月間あって以来だが、今回は新規制基準に基づく安全審査の申請ですら見通しが立たず、停止状態が前回の期間を上回ることは確実な情勢だ。
とはいえ、原発の再稼動にかつてほど地域経済の底上げを夢見ている関係者は多くはない。
8日施行した新規制基準では、原発の運転年数を原則40年までとしている。柏崎刈羽原発は、1985年に運転を開始した1号機が2025年に期限を迎え、順次廃炉としていかなければならないが、廃炉後の将来は見通せていない。
柏崎商工会議所の柳清岳専務理事は「東電は賠償問題などを抱えており、再稼動したとしても、以前のように寄付金など期待できない。再稼動すればバラ色だと思っている人は地元にはいない」とも指摘する。
読売新聞が参院選新潟選挙区の立候補者に行ったアンケートでは、安全性が確認された原発の再稼動について、賛成、反対ともに4人と意見が分かれた。しかし、賛成派の候補から、原発の将来について、明確な発言は聞こえてこない。
柏崎刈羽原発周辺では、再稼動に反対する候補らが支援者と大きな声を上げているが、多くの市民は、争点になり切れていない現状に歯がゆさを感じている。(石橋正洋)
●東電と国
大事なこと忘れては困る
柏崎刈羽原発の再稼動に向けた東京電力の動きが、県内で反発を招いている。地元自治体への具体的な説明もなしに6、7号機の安全審査を原子力規制委員会へ早期に申請する方針を決めたことがきっかけだ。
東電は今回、あくまで規制委に安全性を判断してもらうための申請としている。だが、地元にとっては見過ごすことができない問題だろう。
知事や柏崎市長は、原発へのフィルター付きベントの設置について、地元自治体の事前了解が必要との考えだ。知事は安全審査の申請前に了解を得ることを求めているが、東電は今のところ応じていない。
この設備は過酷事故の際、原子炉格納容器の圧力を下げるため、放射性物質を減らした上で蒸気を外部に放出するものだ。施行されたばかりの新規制基準で義務付けられた。
格納容器損傷などさらなる事態の悪化を回避するため、放射性物質を閉じ込めるという鉄則をあえて踏み越える緊急避難措置といえる。
住民の安全に関わりかねない問題だけに、地元首長が事前に説明を受けて判断したいと思うのは当然だ。
問われているのは手続きの話にとどまらない。
経営改善には柏崎刈羽の再稼動が必要だとして、地元への丁寧な対応を後回しにした経営最優先に見える東電の姿勢そのものだ。国の対応にも首をかしげざるを得ない。
再稼動させるにしても最終的にどこが判断をするのかという責任の所在は依然として曖昧だからだ。たまり続ける使用済み核燃料の最終処分先も決まっておらず、エネルギー政策の将来像も定まっていない。
こうした大事なことを忘れ、再稼動だけを急ぐとしたら本末転倒だ。
(論説編集委員・三島亮)
・・・読売新聞は、新潟版でも、柏崎市は東電の国への安全審査申請を容認する方針、と報じております。その一方、新潟日報は、柏崎市はまだ容認していないと報じておりますし。と、なると、どちらかが情報操作というか、変更報道をしているということになりますね。
新潟日報の場合は、
柏崎市長は、市が事前了解をしない限りは東電の申請を認めないはず。
→柏崎市は、柏崎刈羽原発へのフィルター付きベントの設置について、まだ事前了解を行っていない。
→したがって、柏崎市は東電の安全審査申請をまだ認めていない
という三段論法で報道しておりますが。
一方、読売新聞は、柏崎市長の発言の微妙な言葉尻を捉えて、「容認する方針(のようだ)」と報道し、更にそれを後で、「容認する方針(で確定)」と巧みに変化させて、印象操作を行っている感じがしますね。
ま、読売の報道を信じる限り、17日に東電社長が柏崎市を再訪した際に、柏崎市長が、容認することをはっきりと口にするそうでから、よく観察することにしましょう。
●柏崎原発 ベント事前了解
県技術委の検証検討
東京電力が柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動に向けた安全審査申請のために準備を進めているフィルター付きベント設備について、県が事前了解の手続きとして、県技術委員会による設備の機能や安全性の検証を検討していることが12日、分かった。同設備は設計段階だが、技術委の判断によっては東電に仕様の変更を求める可能性がある。
東電は柏崎刈羽原発の設備変更などでこれまでに、県に文書で6回の事前了解を申し入れ、了承されたが、いずれも技術委の発足前だった。今回技術委が事前了解手続きに関われば、初めてとなる。
県は4日、東電との安全協定に基づき、フィルター付きベント設備に関する申し入れを行った際、「事前了解手続きの中で、必要に応じ設計の変更を行うこと」との項目を盛り込んでいた。
泉田知事はこれまでに、東電が工事を進めるベント設備が原子炉建屋と一体になっていないことを問題視しており、11日の会見でも「地震の揺れで配管が外れる恐れがある。安全性に懸念がある」と強調した。
県技術委は本年度、6月に開かれたが、次回開催は決まっていない。
●「事前了解」めぐり対立
知事 申請前に地元合意
東電 再稼動手続きを優先
東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動に向けた原子力規制委員会への審査申請をめぐり、泉田裕彦知事と東電の考えが対立している。新規制基準で義務付けられたフィルター付きベントについて、安全協定に基づく地元の事前了解を得る時期が、申請の前か後かで考え方が分かれているためだ。対立の背景には、地元の不安に対応することよりも再稼動手続きを優先しようとする東電の思惑がうかがえる。
泉田知事は11日の会見で、事前了解をめぐる東電との対立について問われると、何枚ものパネルを掲げた。2007年の中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発の写真だ。
「何を懸念しているかというと・・・」。こう切り出して語ったのは、ベントの設置位置が中越沖の教訓を生かしていないという疑念だった。
中越沖で発生した3号機変圧器火災は、タービン建屋と変圧器とが離れて設置されていたことが一因。両施設をつなぐ配管の基礎部分が地震の揺れで沈下し、配管の一部が破損して漏れた油に引火した。
建設中のベントも建屋から離れた場所に設置される。この施設は原子炉内の蒸気を、放射性物質を減らすフィルターを通して放出する。泉田知事は「配管が外れたら生で放射能が出てくる。安全性は大丈夫か。(申請前に)事前了解を取ってほしい」と訴える。
一方、東電は今のところ、知事の要求を受け入れようとしない。
「何の事前なのか。申請の前か、供用の前か、詰めなければならない」。泉田知事との会談が物別れに終わった5日、経産省を訪れた広瀬直己社長は記者団に、安全協定の解釈の問題との見方を示した。
東電の主張は申請後に審査を受けながらベントを建設し、地元の意見も同時並行で聞く。地元の了解はベントの「供用前」、つまり再稼動までに得ればいいとの見解だ。
経営改善のため、これらを同時平行で進め、再稼動までの期間を短縮する狙いが透ける。
同時並行で進めることは、東電が地元の意見を聞いているうちに、ベントの審査、建設が進むことを意味する。ベントの設計変更も視野に入れる泉田知事は会見で「後で直してくれと言ったら、申請したものの修正を考えるのか」と不信感をあらわにした。県はベント設備の安全性について、県技術委員会で検証することを検討している。
東電の今回の主張は、これまでの事前了解の慣例とも食い違う。
東電が今まで柏崎刈羽原発関連施設の新増設・変更に当たって地元に文書で事前了解を求めたのは6回。いずれも国に新増設工事などの認可を申請する前に地元の了解を取りつけていた。
今回の申請にはベント新設工事の認可も含まれる。慣例に従えば申請前に地元の了解を得る必要がある。
従来と異なる手続きを取る理由について、柏崎刈羽原発の横村忠幸所長は11日の会見で「福島第1原発事故以降、状況が大きく異なっている」と曖昧な答えに終始した。
●津波想定6メートルに引き上げ
柏崎原発で東電社長 地元議会に説明
東京電力は17日、柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動に向け原子力規制委員会に申請を予定している安全対策の概要を発表した。想定される最大の津波をこれまでの3.3メートルから6メートルに引き上げたことを初めて明らかにし、「6、7号機の敷地は海抜12メートルで影響はない」と評価した。広瀬直己社長は同日、刈羽村議会と柏崎市議会を訪れ内容を説明、早期の審査申請を方針に対して理解を求めた。
議会への説明後、広瀬社長は「当社の安全対策が原発の新規制基準に合っているか、規制委に審査してもらいたい」としたが、申請時期については「まったく見通せない」と述べた。
広瀬社長の本県入りは、同原発の安全審査申請について伝えるため、県、柏崎市、刈羽村の首長を訪ねた5日以来。地元に説明がないまま早期の申請を決めた東電に不信感が広がっていることから、議会への理解を得たい考えだ。
広瀬社長は午前中に刈羽村議会、午後から柏崎市議会を回った。市議会では、「東電福島第1原発事故が収束していないのに申請は認められない」との批判の一方、「安全対策が正しいかどうか調べるためにも速やかに申請を」との声も出た。
この日の説明で東電は、同原発で想定される自然災害の規模を初めて示した。津波は最大6メートルで海抜8.5メートルまでに影響が及ぶ場合がある。台風の最大風速は毎秒40.1メートル、竜巻は風速毎秒50〜69メートルと設定。火山については妙高山など原発から160キロ以内にある火山の火山灰の影響を考慮した。その上で東電は「安全上重要な施設の機能が損なわれないことを確認した」とした。
6、7号機直下の断層については、「約20万年前以降の活動がなく、活断層ではない」とする従来の立場をあらためて示した。
新基準で求められるフィルター付きベント設備についても性能など説明があった。しかし、事故時に格納容器の圧力を下げるため放射性物質を減らした上で蒸気を外部に放出する同設備をめぐって、泉田裕彦知事が審査を申請する前に事前了解を得るよう強く求めている。5日には広瀬社長が審査と事前了解の「同時並行」を主張し会談が決裂した。
広瀬社長は議会への説明後の取材で「知事の考えをあらためてお聞きする機会をいただきたい。何の事前かということも含め、いろいろ協議させていただきたい」と述べた。
●遅きに失した地元説明
(解説)
東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動に向けた審査申請書の概要が明らかになった。申請内容は遅くとも7月初旬にはまとまっていたとみられ、地元に対する説明が遅きに失したとの批判は免れない。
東電は当初、原子力規制委員会に審査を申請するまで、申請内容を明かさない構えだった。柏崎刈羽原発の安全性に大きな関心を寄せる地元への配慮が足りなかったと指摘されても、やむを得ない対応だったと言える。
今回の発表で、東電が福島第1原発事故を教訓にして柏崎刈羽原発の津波想定をどう見直したのかが初めて公になった。福島事故から2年以上も過ぎていた。
津波最大高の想定を引き上げたということは、福島事故前の想定が甘かったことを意味する。それをいつまでも明かそうとしなかった東電の姿勢は、2002年に発覚した原発トラブル隠しで都合の悪いことを隠してきた体質と重なる。
申請書概要の中身にも課題がある。6、7号機直下にある断層の安全性について十分に説明を尽くしていない。新設するフィルター付きベントの耐震安全性に対しては、泉田裕彦知事から懸念が示されている。東電は、申請を急ぐのではなく、地元の不安や疑問に対して丁寧に応えていくことが求められている。
●東電の想定 拭えぬ疑問
東京電力が17日に公表した原子力規制委員会に対する安全審査申請の概要では、新規制基準で設置が義務づけられたフィルター付きベント設備の詳細な仕様に加え、初めて津波想定の見直しや、火山の影響評価が明らかになった。だが、津波想定の根拠となる断層などのほか、火山灰の降下への具体的な対応策は示されなかった。申請内容に関する東電の主張と課題をまとめた。
●ベント 配管の継ぎ手に伸縮性
フィルター付きベント設備が原子炉建屋から離れた場所に設けられることに対し、泉田裕彦知事は中越沖地震で発生した3号機変圧器の火災を例に「(地震の揺れで)配管が外れたら生で放射能が出てくる」と懸念していた。
東電はこの点に関し、原子炉建屋がのる地盤までくいを打ち、ベントを支えると説明。加えて、原子炉建屋とベントとつなぐ配管には伸縮性のある継ぎ手を使うとし、同原発で想定する最大の地震の揺れでも耐えられるとする。
17日に会見した東電の川村慎一・原子力設備管理部長は「(伸縮性のある配管は)初めから設計に盛り込んでいた」と話し、知事の懸念を受けた仕様ではないと強調した。
東電はベントの仕組みについて、フィルター本体底部からガスを噴射し、気泡を細かくする装置を通してから、水で放射性物質を捕らえ、取り切れなかった分は金属製のフィルターを通して外部へ放出するとしている。
●津波 海底の断層数把握せず
東電は柏崎刈羽原発で想定される最大の津波の高さを示す「基準津波」を公表した。これまでは新潟━山形沖にあると仮定した長さ131キロの断層を発生源とした3.3メートルが最大だった。今回の見直しでは、秋田県沖から佐渡島北端(230キロ)までの海底にある断層が連動すると仮定した場合に最も高くなるとし、新たな最大高は6.0メートルとした。地震の規模もマグニチュード(M)7.85から8.4に引き上げた。
ただ、東電はこの海域にどのくらい断層があり、どのように連動するのかについては未解明だという。新潟日報社の取材に対し「この範囲にある断層が連動したらどうなるかということを考えた。今のところ、海底の断層を調査する予定はない」とした。
東北大の今村文彦教授(津波工学)は「どんな根拠に基づいて想定したのか、東電は明確に示さなくてはならない」と述べ、詳細な説明が必要との見方を示した。
●火山 灰除去の作業体制不明
原子力規制委員会が新規制基準で評価を義務づけた火山の影響に関して、東電の川村慎一・原子力設備管理部長は「(原発の敷地周辺で)火砕流の痕跡が見つかっていない」と説明、考慮すべきなのは火山灰の降下だけだとした。灰が降り積もった場合でも屋上などの灰を取り除き、非常用ディーゼル発電機の吸気フィルターの交換で対応できるとしている。
だが、柏崎刈羽原発から160キロ以内にある30の火山のうち、どれが影響を及ぼすのか、実際に火山灰が降り積もった際の作業体制などは具体的に示されなかった。
県の焼山防災協議会委員を務める石原和弘・京都大名誉教授(火山物理学)は「火山灰は扱いにくい。数センチ積もれば、スコップですくうような手作業になる」と指摘。「人員の配置など東電の示した対応で十分だということがしっかりと実証されていないのであれば、対策を取ったとはいえないのではないか」との認識を示した。
今日の読売新聞朝刊新潟版より
●排気設備の配置「安全上問題なし」
※フィルター付きベント設備に関する記事です。
(前略)
一方、同設備ではキセノンなど放射性物質の希ガスを除去できないため、使用する際は原発の5キロ圏内で避難が必要になるという。
(後略)
●「早く対策を」「時期尚早」
東電説明 議員反応真っ二つ
東京電力の広瀬直己社長が柏崎刈羽原発が立地する柏崎市議会と刈羽村議会を回った17日、議員の反応は真っ二つに分かれた。6、7号機の再稼動に向けた安全審査を原子力規制委員会に早期に申請する方針を強調した広瀬社長。議員からは「東電福島第1原発事故は収まっておらず尚早だ」などと批判が出る一方、「対策が国に評価されないと判断できない」と理解を示す声もあった。福島県から同市内に避難する被災者は「一般市民には何も説明がない」と憤った。
市民や報道関係者で傍聴席が埋まった柏崎市議会の本会議場。東電は冒頭、原子力規制委の新規制基準が求める津波や火山、竜巻への対策について6、7号機で準備が整ったと説明した。
原発反対派からは厳しい意見が浴びせられた。高橋新一市議は「福島の人が大変な思いをし、事故の収束もしていない。申請を出すのはお門違いだ」。矢部忠夫市議も「東電は申請の資格も能力もない。地元軽視だ」と切り捨てた。
原発推進派の丸山敏彦市議は「東電は自信を持って審査を申請すべきだ。安全を最優先とするのなら、早く対策を規制委に見てもらわなければ、安全かの議論も進まない」と訴えた。
刈羽村村議会では原発を容認する五十嵐孝一村議が「(申請決定の)事前に地元に話があると期待しており、当惑している。信頼を得るには一歩一歩進まないといけない」と苦言を呈した。
この日は柏崎市内で福島事故の賠償問題に関する相談が行われており、相談に訪れた避難者からは東電への怒りの声が上がった。福島第1原発の地元・大熊町から避難し、求職中の大橋清隆さん(51)は「子どもたちに同じ思いをさせられない。福島の事故が収束していない中、なぜ申請を急ぐのか」と語気を強めた。
「被災者の心情を考えていない」と言うのは双葉町から非難する中野泰さん(63)。自宅は第1原発から約7キロで、帰宅困難地域だ。「双葉には帰れないかとあきらめの気持ちになっている。柏崎刈羽で事故が起きたら、ここの人たちが同じ状況になるのでは」と心配そうに話した。
●福島解決前あり得ない/早めのチェックが必要
17日の柏崎市、刈羽村両議会での東京電力の広瀬直己社長らと議員の主なやり取りは以下の通り。
(柏崎市議会)
宮崎孝司氏
「安全協定の事前了解の対象となるフィルター付きベントの基礎工事が既に始まっている。これは事後ではないか」
広瀬社長
「出来上がる前なのか、設備を使おうとする前なのかを含めて了解をいただく必要があると考えている」
星野星仁氏
「申請を速やかに行い、早く規制基準への適合の合否を知る必要がある。(柏崎刈羽原発で進めている)安全対策が間違っているのかどうか見極めなければ住民も判断できない」
広瀬社長
「原発が動いていなくとも地震などで災害は起きる。安全対策で足りないところがあれば、対策を強化しなければならない。やれることはやったという認識だが、あくまでも独りよがりなところがある。なるべく早く申請し、規制委にチェックしていただきたい」
高橋新一氏
「福島県の十数万人が大変な思いをしており、この先どうなるか分からない。賠償も含め収束の見当が付かない中で申請を出すのはお門違いだ」
広瀬社長
「賠償はしっかりやる。その一方、(柏崎刈羽原発に関し)今の時点で万全の体制を取るべきだと考える。それで十分かどうかを早めにチェックしてもらうことが必要と考える」
池田千賀子氏
「福島事故以前からフィルター付きベントの必要性を感じていたのではないかとの疑念がぬぐえない」
広瀬社長
「欧州の原発で付けているところもあり、規制で要求している国もある。そうした状況を調べ、設置していればよかったと大いに悔やまれる」
(刈羽村議会)
小林一徳氏
「企業としては一日も早く安全審査を受けたいと思うのは当然で、その結果、再稼動に結びつけば良しということだろうと思う」
広瀬直己社長
「とにかく福島の責任を全うする。それと同時に電気を届けるという二つの使命を持ってやりたい」
近藤容人氏
「安全第一という意味ではハード面、ソフト面ともに満足できない」
広瀬社長
「福島事故を経験し、とにかく安全を優先しないと、経営どころではないというのをまさに今、身をもって体験しているところだ」
高橋儀実氏
「福島が解決しないうちは絶対、(柏崎刈羽原発の)再稼動はあり得ない。(福島の)住民を元の生活に戻す工程表は一つも提示されていない」
広瀬社長
「何年後に賠償が終わって、といった計画を示す段階にはなく、見通せていない」
五十嵐孝一氏
「申請を決めた事実を報道で知った。(原発を認める立場でも)当惑しているところがある」
広瀬社長
「7月2日の取締役会以降の唐突感というのは全くおっしゃる通りだと思う。反省しなければいけない点がある」
越後兵の精強さは、よく存じ上げております。
僕も歴史を齧った程度ですが、川中島の戦い以来、信玄配下の将は越後兵恐怖症にかかって戦えなくなったそうですね。厭戦でブルった文書が残っています。一方、謙信配下の兵はまだまだ戦意旺盛で、その後、何度も決戦を仕掛けたものの信玄は逃げ捲ってたとか…(甲斐の人は否定するでしょうが)
関ヶ原の戦いの時に徳川配下の兵に武田の兵が沢山いましたが、当初、上杉と戦うと聞いて、皆、ビクビク怖がってたそうです。
徳川の進軍が遅かったのは上杉との戦いが怖かったのも原因かも(笑)
その後、石田が兵を上げ、上方の弱兵と戦うことになり、皆、一転、楽勝ムードで安心したとか。
また第二次世界大戦の戦記なんか読むと、九州の兵は勝ってる時は勢いに乗って精強だが、負けると総崩れだったのが、新潟の兵は命令がない以上、頑強に撤退しなかったと書いております…
かくいう私は和歌山の出身。
信長との8年戦争は大阪は明け渡したものの東本願寺は守り抜きました。太平洋戦争終了後、終戦を知っていながら29年、一人で戦った小野田少尉も和歌山の出身です。
和歌山県人の特徴として長期にわたって例え一人になろうとも自己の信念を堅持して戦い続ける頑固さが特徴でしょうか。
そんな戦いの中で一段と特筆されるのは関電との40年間にわたる原子力戦争です。
和歌山は保守が強く、自民党の強烈な地盤がありながら5つの原発建設計画を全て頓挫させました。
ちなみに四国電力、及び中部電力による隣の高知、三重の原発建設計画も地元の反対派により潰されています(三重はもともと、紀州)。
新潟も原発建設計画を1つ潰して映画にもなってますね。
是非、必勝の信念を持って戦い抜いてください。心の底より応援致しております。
●東電は「ぬかにくぎ」 知事が対応を批判
柏崎原発安全審査
泉田裕彦知事は25日の会見で、東京電力柏崎刈羽原発5、6号機の安全審査申請をめぐる同社の広瀬直己社長との再会談について、「トップ同士で話し合う内容が現段階で絞れない。東電の答え方次第だ」と述べ、引き続き調整が必要との考え方を示した。
知事は件と東電が行っている事務レベルの調整について「(県からの質問に)正面から答えてもらえていない。やりとりがはぐらかされている。『ぬかにくぎだ』」として東電の対応を批判した。具体的な調整内容は「交渉中なので話さない」として明かさなかった。
これまで県と東電の間では、新規制基準で設置が義務付けられたフィルター付きベントをめぐる事前了解の扱いや、ベント設備の設計の耐震安全性が課題に上がっている。事務レベルではこれらについても調整が行われているとみられる。
一方、甘利明経済再生担当相との面会については、県側から参院選後の22日と24日に申し入れたが、日程は未定とした。知事は「日程を頂ければ、すぐに飛んでいきたい」と話した。
・・・昨日の新潟日報朝刊に掲載された記事によると、今回の参院選での自民圧勝を背景に、この先、県自民党連が原発再稼動に関して知事に本格的に圧力を加える見通しとの事。選挙期間中は、あえて原発問題に触れないようにしていた連中がですよ!ホント、げに狡き男達なり。
●柏崎市長規制委訪問 ベント機能などただす
東京電力柏崎刈羽原発が立地する柏崎市の会田洋市長は25日、原子力規制委員会を訪れ、フィルター付きベントなど原発の新規制基準で求められる過酷事故対策の説明を受けた。今後、東電の再稼動に向けた申請を審査する場合について会田市長は「審査過程、結果を適宜、適切に説明するようお願いした」と述べた。
面会は原子力規制庁の森本英香次長が対応し、非公開で行われた。会田市長はベントを含む過酷事故対策など5月に提出した要望書で質問した7項目をあらためてただした。ベント設備に関しては基準で求められる機能を確認した上で、運用についても放射性物質放出前に住民避難が終わっていることが「絶対条件」と指摘した。
柏崎刈羽原発へのベント設置について、泉田裕彦知事と会田市長は安全協定上の事前了解が必要としている。会田市長は面会後、事前了解について取材に「(規制委の説明も踏まえ)総合的に判断しなければならない」と述べたが、具体的な見通しは示さなかった。
・・・それで、以前読売新聞は、会田市長は東電の規制委への事前審査申請を容認する方針、と大々的に報じておりましたが、まだ市長はそのような事を、公式には言っておりませんねぇ・・・(苦笑)。
●甘利氏、知事30日会談
柏崎原発安全審査めぐり
甘利明経済再生担当相は26日の閣議後会見で、泉田裕彦知事の求めに応じ、30日に会談することを明らかにした。東京電力が柏崎刈羽原発5、6号機の再稼動に向け、原子力安全委員会の安全審査への早期申請を目指していることについて、意見交換する。
甘利氏は会見で、「安全に関わる手続きはできるだけ早く進めた方がいいということは、知事にもご理解いただけると思う」と述べた。
甘利氏との会談について泉田知事は新潟日報社の取材に対し、「何を懸念しているか全部伝える」と語った。
泉田知事は、東電が地元説明前に早期申請方針を決めたことなどに強く反発。5日の広瀬直樹東電社長との会談は物別れに終わり、再面談の見通しは立っていない。
こうした状況を受けて甘利氏は9日の閣議後会見で、「(申請、審査に関し)泉田さんら一部の人は誤解しているところがある」と発言。知事が面会を求めていた。
・・・福1の汚染水の流出が明らかになった今、知事がどのように甘利氏に突っ込むか?大いに期待です(笑)。でも、それが甘利氏(=日本の原子力マフィア連中)の怒りを買い、名誉毀損で訴えられるどころか、国が本格的に前福島県知事のように、泉田知事を抹殺にかかるかもしれませんが(滝汗)。
●柏崎申請 地元対応に苦言
事前説明必要性を指摘 監視委員長
東京電力が柏崎刈羽原発5、6号機の再稼動に向けた安全審査の早期申請を決めたことに泉田裕彦知事らが反発していることについて、東電原子力改革監視委員会のデール・クライン委員長は26日の会見で、「(地元に申請方針を)前倒しで伝えるのがより良い広報対応ではなかったか」と述べ東電の広報対応に苦言を呈した。
この問題では、早期に申請する姿勢の東電に対し、地元では原発の安全性よりも経営を優先しているとの懸念が強まった。しかし、東電は今回の監視委員会でこの問題を議題にせず、委員に報告もしなかった。
クライン委員長は報道などでこの問題を把握しており、「知事、市長、村長に、再稼動に向けた申請の道筋を周知し、安全対策や、今後それをどう強化するかを伝えること」が、東電が採るべき対応だったとした。
会見に同席した東電の広瀬直己社長は「今回は申請なんだからと(地元に伝える前に決定)したことが反省点。もっとやり方があった」と述べた。福島第1原発での汚染水の海洋流出問題については「安全を優先するのか、経済効率を優先するのかという泉田知事の質問に答える際に決していい事例ではない」として、今後の知事との交渉に影響を及ぼすとの認識を示した。
●東電常務執行役
自民県連訪問 窓口役求める
東京電力原子力・立地本部副部長の増田祐治常務執行役が26日、就任あいさつのため、県議会を訪れ、自民県連の星野伊佐夫会長ら県連幹部と面会した。出席者によると、東電から「いろいろお願いする際の接点になってほしい」という趣旨の要望があったという。
増田氏は6月26日の株主総会の承認を得て、立地地域担当の原子力・立地本部副部長に就任した。自民側は星野会長、帆苅謙治幹事長ら県連三役、三富佳一県議団長が出席した。
関係者によると東電側からは自民に対し、窓口役を期待する話があったという。自民側は柏崎刈羽原発の再稼動に向けた安全審査の申請で、泉田裕彦知事が慎重なことを踏まえ「知事が疑問に思う問題にきちんと返答してほしい」と要請した。
増田氏は新潟日報社の取材に「就任のあいさつに伺った」と説明した。
・・・東電の、福1事故の汚染水流出問題でのマスコミ対応を見ている限り、「きちんと返答」なんてまずできないし、しないでしょうね。
●知事、甘利氏「すれ違い」
柏崎原発申請問題で会談
泉田裕彦知事は30日、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動に向けた安全審査の申請問題について、内閣府で甘利明経済再生担当相と会談した。非公開で行われた会談後、知事は報道陣に「(原発の安全性や審査に対する)懸念を伝えた。すれ違いだった」と語った。甘利氏は早期審査の必要性を訴えたが、「すれ違いだった」と述べ、議論がかみ合わなかったことを明らかにした。
知事は柏崎刈羽原発の過酷事故対策であるフィルター付きベント設置について、県が安全協定に基づく事前了解を与えるまで審査の申請をしないように東電に求めており、会談後も考えが変わらないことを強調した。ただ、県内に戻ってからの取材には「(甘利氏に)期待している」と繰り返し、何らかの好感触を得た可能性もある。
会談は「大臣側の意向」(泉田知事)で非公開で行われた。知事は過酷事故の際に放射性物質を放出するベントの設計や、ベントに対する原子力規制委員会の審査が、地元自治体の住民避難計画を踏まえていないなどの問題点を伝えたという。
知事は会談後、「経済産業に長く携わっていた甘利大臣に率直に懸念を伝えた。ただ所管ではないと言われたので、今後は経済産業相や環境相、原子力規制委員長(との会談)を目指したほうがいい」と述べた。
一方、甘利氏は報道陣に「厳しくなった新基準で審査をすることは悪いことではないと伝えた」と話した。知事の懸念については「真摯に受け止めたい」と述べ、会談後に開かれた閣議の前に茂木敏光経済産業相に伝えたという。
柏崎刈羽原発の審査申請をめぐっては、東電が地元に説明せず早期申請方針を決めたことに知事が反発したため、東電は申請を見送っている。
●互いの主張ぶつけ合い
柏崎申請問題 知事、甘利氏に期待も
東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動に向けた安全審査の申請をめぐる泉田裕彦知事と甘利明経済再生相との30日の会談は、互いの見解を主張するだけの平行線に終わった。ただ、両氏が「すれ違いだった」と口をそろえる一方で、知事は甘利氏に対する期待の言葉も繰り返した。自民党県連にはこの問題が進展に向かうことに期待する声も出始めている。
泉田知事との会談を終え、閣議のために首相官邸に入った甘利氏は、控室で茂木敏光経産相を呼び止めた、知事との会談に触れ「すれ違いだった」と伝えたという。甘利氏自身が閣議後の会見で明かした。
知事と甘利氏の主張がすれ違ったのは、柏崎刈羽原発6、7号機が原子力規制委員会審査を受けるタイミングだ。
知事は、原発重要施設の設計変更を東電に求める可能性に言及し、設計内容について協議する前に東電が審査申請しようとしていることを「理解できない」と説明した。これに対し、甘利氏は「審査してもらうことで安全性が高まる。審査を受けて足りない点は後で指摘すればいい」と主張したという。
そもそも会談は、甘利氏が9日の会見で「(規制委に)安全かどうか判断させないのは(知事の)誤解ではないか」と疑問を呈したのに端を発する。泉田知事が反論するため会談を申し入れた経緯から、議論がかみ合う可能性は低かった。
ただ、6、7号機の審査申請をめぐって県と東電との溝が深まる中での会談。しかも、甘利氏は2007年の中越沖地震で柏崎刈羽原発が被災した際に経済産業相として対応するなど電力業界の事情や原発問題に詳しいだけに、会談には注目が集まった。
甘利氏は会談前から記者会見などで「私の所管ではない」と強調してみせた。会談の時間、内容も一切非公開にし、当日は会談場所である内閣府庁舎から一時、報道陣を締め出そうとするなど異例の厳戒態勢まで敷いた。
そして会談後、両氏は成果がなかったことを口をそろえて強調した。自民県連の星野伊佐夫会長は「2人が申し合わせたように『すれ違い』と言っている。何か進展があったのではないか」と逆に期待を強めた。
ただ、泉田知事が期待を寄せる甘利氏は本人が認めるように現在、原発問題については「所轄外」だ。このため知事は次の交渉相手として、原子力防災を担う環境省、原発再稼動問題を担う経産省、そして原発の安全性を担う規制委の各トップに狙いを定める。
特に、重要視するのは規制委の田中俊一委員長だ。知事はこれまで、田中委員長との会談を求め続けてきた。
しかし、田中委員長は立地地域の首長の対応について「容赦してほしい。(事務局である)銀視力規制庁で応じる」として直接会おうとしてこなかった。泉田知事が原発の安全性について国と納得がいくまで議論できる展望はいまだ見えない。
●柏崎、刈羽 ベント設置了解
知事慎重姿勢崩さず
柏崎市と刈羽村は6日、東京電力が柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動に向けた安全審査に必要なフィルター付きベント設備の設置について、安全協定に基づいた事前了解をすることを、それぞれ文書で東電に伝えた。柏崎市は、安全審査で新規制基準への適合が確認されることや、住民避難計画について十分な協議を行うことなどの条件を付けた。会田洋市長は会見で「再稼動を認める段階ではない」とも強調した。
東電は6、7号機について安全審査を原子力規制委員会に早期に申請する方針。しかし「申請前に事前了解」を強く求める泉田裕彦知事との溝は深く、申請のめどは立っていない。
東電の広瀬直己社長は資源エネルギー庁に上田隆之長官を訪ね、両市村から事前了解を得たことを報告した。上田長官は「前進したと受け止めている」と応じた。
報告後、取材に応じた広瀬社長は「市と村から事前了解をもらったのは一つのステップ。こうしたことをきっかけに知事との間合いを詰めたい」と語った。知事との再会談を申し込んだことを明らかにし、県の了解なしの申請は現時点で「考えていない」とした。
一方、泉田知事は都内で「東電が真摯な対応をしてもらえれば先に行けるが、残念ながらトップで話し合うところまでたどり着いていない」と述べた。
この日、柏崎市では会田洋市長が柏崎刈羽原発の横村忠幸所長に、事前了解をするとした回答書を手渡した。市は了解の条件として@規制委の審査で新基準への適合が確認されることA申請内容や審査の過程と結果を市民に分かりやすく説明することB設備の運用方法について住民避難計画との適合を図るため市や関係機関と十分協議すること−を挙げた。
会田市長は会見し、「現時点で国や東電の考え方を聞いて、了解した。しかしこれをもってフィルター付きベントの安全性を確認したわけでなく、今後も説明を求めたい」と述べた。
刈羽村役場では太田正純総務課長が同原発の宗一誠副所長と会い、事前了解を伝えた。村は「フィルター付きベントが安全性を高める設備であることを周知すること」を求めた。フィルター付きベントは過酷事故の際、原子炉格納容器の圧力を下げるため、放射性物質を減らした上で蒸気を外部に放出する設備。新基準で設置が義務付けられた。柏崎刈羽原発では1、5〜7号機で基礎工事が始まっている。
●説明責任徹底が筋
(解説)
東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動に向けた動きが目立ってきた。東電は県民への説明責任を果たすことが、本県に原発を置く企業の責務であることをあらためて確認したい。
再稼動に向けた安全審査に必要なフィルター付きベント設置について、柏崎市と刈羽村が安全協定に基づき事前了解をした。県も協定当事者であるが、了解はしていない。安全協定は罰則のない紳士協定で、県の了解がなくても東電が原子力規制委員会に安全審査の申請をすることは法的には制約されない。
泉田裕彦知事は安全協定に基づき、申請前に県の事前了解を得るよう主張。東電は知事に理解を求める姿勢を見せてはいるが、県の了解を得ないまま申請する選択肢はある。ただ、協定に詳しい東京工業大の西脇由弘特任教授は「法的な問題は生じないが、新潟県に原発を置く企業として県民への説明責任を果たすのが当然だ」とくぎを刺す。
泉田知事は「約束を守れる会社かどうか」と東電の信頼性に疑問符を付ける。東電は福島第1原発の汚染水海洋流出問題で、流出を認めるまで約1カ月かかった。情報共有の不備など社内の体質改善が進んだとは言い切れない。福島事故では約5千人が本県で避難生活を強いられたままだ。
新設備に対しては原発の周辺自治体からも説明を求める声がある。申請前に多くの疑問に丁寧に答えていくことこそが、東電が県民と信頼を築ける一歩になるはずだ。
・・・現在の福1をめぐる状況を知れば、東電と国なんか到底信用できない、と悟るはずなのですが、そこら辺を調べて公表すると、「福島県の人達を傷つけることになる」(爆笑)ので、やらないのでしょうね、新潟日報は。
●知事了解 最大の焦点
柏崎原発 県、申請強行を警戒
東京電力柏崎刈羽原発6、7号機へのフィルター付きベント設置について、柏崎市と刈羽村が6日に安全協定上の事前了解をしたことを受け、経済産業省資源エネルギー庁と東電のトップは「前進だ」と口をそろえた。両基再稼動に向けた安全審査の申請に残されたハードルは泉田裕彦知事の了解に絞られたからだ。市、村の了解を背景に東電は強引に申請しかねない姿勢もうかがわせている。
資源エネルギー庁の上田隆之長官との会談後、東電の広瀬直己社長は記者団に「いつまでも(申請せずに)ずるずる行くわけにいかないのではないか」と問われると、小さくうなずいた。
東電が安全審査の早期申請方針を発表したのは7月2日。広瀬社長は申請の見通しについて「何日までということではないが1カ月たってしまったのは事実。その辺も含めて考えたい」と述べ、これ以上遅らせたくない思いをにじませた。
上田町間と広瀬社長との会談は、市と村の事前了解表明を受けて急きょ設定された。会談の冒頭を公開し、会談後は両トップがそれぞれ記者団の取材を受けるという異例の対応だった。
会談では泉田知事の主張の一部を切り崩す方策も出た。
知事がベントの設計変更を求める可能性を示唆し、申請前に地元と協議するよう求めているのに対して「県から(申請後に)設計変更を求められれば、その指示に従ってやり直す」との方針を確認。県との協議が申請の前でも後でも対応は変わらないことを強調した。
広瀬社長は取材に、知事と再会談するまで申請しない考えをあらためて示したが、今後の対応について、県の了解なしに申請する可能性を問われると「そこまで決まったわけではない」とし、含みを持たせた。
再稼動申請に向けた今後の焦点は、泉田知事と広瀬社長との再会談だ。
県側はこれまで東電に対し、再会談の際にベント設置の事前了解を与えるまで申請しないことなどを約束するよう求めている。だが、東電側から明確な回答はないといい、知事は6日の取材に対し「日本語で聞くとフランス語で返ってくるようなやり取りが続いている」と突き放した。
東電は市と村の事前了解を得て、県に再会談を申し入れた。しかし「面談の日程を設定してくださいという内容だけ」(県幹部)だったという。
協議がかみ合わない中、東電が県の了解を得られなくても申請を強行するのではないかとの見方も出ている。県側からは「強行することは安全協定を踏みにじること。立地地域の信頼を得るのは絶望的になる」とけん制する声も上がっている。
・・・東電としては、柏崎市と刈羽村から了解を得た事で、事実上勝利を収めた、と思っているのではないでしょうか?あとは知事をどうにか、それこそ前福島県知事のように、国にお願いして失脚させてもらえば・・・とでも考えているのではないでしょうかねぇ?
なんか瓦礫受け入れの時と同じで、地元自治体(今回の場合は柏崎市と刈羽村)の了解を得たからと、あとは知事を完全に無視して事を進める・・・なんて展開にこの先なっていきそうな感じですねぇ。
●「被ばくの恐れ」「一歩前進」
ベント了解 柏崎と刈羽
地元反応割れる
東京電力の柏崎刈羽原発への対応をめぐり、また地元が大きく揺れた。再稼動に向けた安全審査に必要なフィルター付きベント設備の設置について、柏崎市と刈羽村が事前了解した6日、住民からは「この装置でも放射性物質を全て除去できない。住民が被ばくする」などと抗議の声が上がった。一方、地元経済界などを中心に早期の再稼動を求める意見も根強く、「一歩前進」と受け止める声も聞かれた。
「フィルター付きベントはガス状の放射性物質を除けない。村民が被ばくするかもしれない設備を許容するのか」。原発に反対する刈羽村の女性グループ代表の近藤ゆき子さん(59)は、同村の対応に怒りをあらわにした。
近藤さんはこの日、仲間2人とともに村役場前で。同原発の宗一誠副所長らに対し「住民は理解していない」「福島事故の問題は解決していない」などと訴えた。
一方、2市村の対応を評価する見方もある。
原発のメンテナンスを手掛ける建設会社の徳間昭則社長(56)=柏崎市=は、2市村が新規制基準に基づく安全審査への申請について容認姿勢を示したことについて「再稼動に向けた一つのステップ」と歓迎。「新基準に適合しているかどうかを調べられるのは原子力規制委員会だけ。審査を受けなければ安全かどうか判断できない」と早期の申請を期待した。
また、今回、県と足並みがそろわなかったことへの懸念も聞かれる。同原発を監視する住民組織「透明性を確保する地域の会」の新野良子会長(62)は「(県と2市村とも)住民の安全が第一という点では一致しているはずなのに、対応がばらばらでは住民が不安になる」と指摘。さらに「トップ同士でよく話し合ってほしい。ただ、原発政策で地元は重い判断を迫られてばかり。国が責任を持って軽減する仕組みを考えるべきだ」と述べた。
・・・「(県と2市村とも)住民の安全が第一という点では一致しているはずなのに、」ですか。臍で茶が沸きますな。2市村は、自分ところ(あえて地域経済とは言いません)の経済目的で審査申請を容認したのが見え見えじゃないですか。あーヤダヤダ、いわゆる麻薬中毒患者は。
http://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/
先日のコメントでも書いた様に、柏崎市長は安全審査申請は容認したが再稼動までは容認していない、と新潟日報は報じているのですが、中央紙は、柏崎、刈羽両市村は再稼動を容認した、あとは知事次第、と報じておりますよねぇ・・・。
しかし私が不思議なのは、福1事故以降、県内の各自治体が原発の再稼動に対して不安を持っているのに、柏崎刈羽両村がそれらの各自治体に何の説明をしない事です。
一度大事故が起きれば、自分達だけではなく、周りの人たちにも大迷惑をかける事が分かっていながら、あくまでも自分達だけの問題としてシラを切る・・・なんか解せません。
ぶっちゃけ、新潟県に住む者として、たかが柏崎と刈羽の連中に、自分の運命を握られていると思うと、すっげー不愉快です(爆)。
前にも言いましたけど、柏崎と刈羽の連中は、もし何かあった場合、それこそ自分たちの命を持って他の県民に詫びるくらいの覚悟がなければ、安易に原発再稼動に同意してもらいたくないです。将来事故が起きた場合、その一因は、あなた方が再稼動に同意した事にあるのは明白なのですから。
●知事「東電は不誠実」
再会談要請 意図不明と批判
東京電力柏崎刈羽原発6、7号機のフィルター付きベント設備設置の事前了解をめぐり、東電の広瀬直己社長が泉田裕彦知事との再会談を文書で要請したことについて、泉田知事は8日の会見で「東電が不誠実な対応しかしないからセットできない。(要請の)意図が分からない。パフォーマンスなのか」と東電の対応を批判した。
広瀬社長と泉田知事の会談は7月5日に行われたが、物別れに終わった。東電側は再会談を求め、県と事務調整を続けているが、今月6日に柏崎市と刈羽村から事前了解の回答を受けたことを受け、6日に再会談の早期設定を求めた。
知事は「(県との)やりとりに早く答えてもらえれば次に行けるが、(東電に)まるで対応する意思がない」と強調。「接触を続けているのだから、まずちゃんと(県の問い掛けに)答えてもらいたい。論点を絞ることが肝要だ」と述べた。
東電側に求めている内容については「東電に通告せずに一方的に公表できない」とした上で、「住民被ばくを避けるために地元と協議をやります、となぜ言えないのか。それを言えば、すっと終わる」と不信感をにじませた。
地元との協議については、東電側は安全審査と同時並行でも可能という認識を示しているのに対し、泉田知事は申請前に県の事前了解を得るよう確約を求めており、溝が埋まっていない。
●全面信頼ではない 規制委判断に柏崎市長
東京電力が柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動に向けた安全審査のため計画しているフィルター付きベント設備の設置について、安全協定に基づいて事前了解をした柏崎市の会田洋市長は8日、審査を行う原子力規制委員会の判断について「全面的には信頼していない。新規制基準についてしっかりチェックさせていただく」と述べた。
フィルター付きベントは原発で過酷事故が発生した際に原子炉格納容器の圧力を下げるため、放射性物質を低減した上で蒸気を外部に放出する設備。新基準では事故があってもセシウム137の総放出量が100テラ(100兆)ベクレルを下回るよう求めている。
会田市長は「フィルター付きベントが使われる事態になったときに周辺はどうなるのか。100テラベクレルは率直に言って膨大だと言わざるを得ない」と語った。
●地元合意までベント不使用 柏崎原発所長
東京電力柏崎刈羽原発の横村忠幸所長は8日の会見で、原発の新規制基準で求められるフィルター付きベント設備について、地元自治体と防災計画を協議して具体的運用が決まるまでは使用しない考えを示した。
柏崎市はフィルター付きベント設置の事前了解に当たって、設備の運用方法について非難計画との整合を図るため、市や関係機関と十分に協議することを条件に挙げた。会田洋市長は住民避難計画を十分に協議するまでは設備を使わせない見解を示している。横村所長は市長の見解に対し、「当然だと思う」とした。
フィルター付きベントは放射性セシウムを99.9パーセント以上除去できるとされるが、放射性の希ガスは取り除けない。横村所長は装置を使う際の条件や、風向きによる避難対応などを自治体と協議する点として挙げ、「防災計画にどう織り込むかが重要だ」と述べた。
同ベントの性能などについて、住民説明会を開く意向も明らかにした。
●柏崎ベント設備事前了解
市長に撤回申し入れ 市民団体
東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動に必要なフィルター付きベント設備について、柏崎市が安全協定に基づく事前了解をしたことに対し、同原発に反対する地元3団体のメンバーらが19日、同市の会田洋市長と面会、了解の撤回を申し入れた。会田市長は撤回に応じなかった。
3団体は7日、「原発からいのちとふるさとを守る県民の会」と連名で、同市と刈羽村に事前了解の撤回を文書で申し入れていた。
19日は6人が市長と面会した。高橋新一・柏崎市議は「(事故時に)放射性物質を放出するフィルター付きベントを設置しての再稼動は絶対に認められない」と、事前了解の撤回を求めた。
会田市長は「原発の新規制基準への適合審査申請に対して了解したが、再稼動を認める趣旨ではまったくない」と理解を求めた。
・・・「再稼動を認める趣旨ではまったくない」この柏崎市長の言葉を皆さんよく覚えていてください。中央のマスコミが、柏崎市長が再稼動を容認しているのに新潟県知事がゴネて・・・てな感じの報道を、最近しておりますので。
まぁそうは言っても、裏日本の哀れな貧乏人であり麻薬中毒者である柏崎市は、最終的には再稼動を認めるというか、それにすがらざるを得なくなるのでしょうけど(苦笑)。でも、市長は、まだ公式には、再稼動を認めておりませんので。
●「再回答は不十分」 泉田知事、質問提出
泉田裕彦知事は19日、原発の新規制基準をめぐり原子力規制委員会から届いた再回答が不十分だとして、あらためて回答するよう田中俊一委員長に文書で申し入れた。田中委員長との面会も重ねて要望した。
規制委の再回答は、県の7日付の質問を受けたもので9日付。東京電力福島第1原発事故の検証・総括なしに、なぜ規制基準がつくれるかという質問に対し、規制委は「政府等の事故調査委員会による報告書において明らかにされた事実を踏まえ、事故を防止するための基準を策定することは可能」と答えた。
規制委の説明責任に関しては「県技術委員会で(柏崎刈羽原子力)規制事務所長が説明している」と回答した。
これを受けて泉田知事は19日、「規制委の責務等を踏まえると不十分な内容」として、あらためて質問を提出した。福島事故の検証が不十分なのに、基準を策定できる理由などを再度ただした。
●日報政経懇 新潟
住民の安全が最優先
泉田知事 原発事故対策に疑問
新潟日報政経懇話会新潟会の8月特別例会が20日、新潟市中央区のホテルオークラ新潟で開かれ、泉田裕彦知事が「原子力安全対策について」と題して講演した。「原子力規制委員会の新規制基準は原発の性能基準を定めているだけ。住民避難といった問題に対応できるのか」と語った。
要旨は次の通り。
一、東京電力福島第1原発事故は、免震重要棟があったから対応できた。免震重要棟は中越沖地震の際、県が柏崎刈羽原発と連絡を取れなかった反省から設けられた。福島事故の反省にも学ばなければ、また同じことが起きることになる。
一、事故が起きれば県内では即時避難区域(原発から半径5キロ圏内)の約2万人の避難が必要だが、400人が参加した県の訓練では大渋滞で高速道への入り口にもたどりつけなかった。安定ヨウ素剤の配布も副作用の責任を誰が取るかはっきり決まっていない。テロへの対応も不十分だ。どう対応するのか、規制委に尋ねても十分な回答がない。規制委は経済産業省から分離してできた組織で、事業者の規制には慣れているが、住民の安全、命を守るという発想がない。
一、津波の避難指示は市町村長が行うが、原子力災害の避難指示は首相が行う。福島事故では避難先を調整せず、取りあえず30キロ先などにして行き先を決めなかったため、混乱した。福島から本県への避難者には避難先が5、6カ所目という人が多いのもそのためだ。法体系を一本化するべきだ国に申し上げてきたが、政権交代もあり、先が見えない状況だ。
●エネ庁長官と面会を
自民県連会長 知事に提言
自民党県連の星野伊佐夫会長は20日、東京電力柏崎刈羽原発の安全審査に関して進展を図るため「泉田裕彦知事が今後、(上田隆之)資源エネルギー庁長官と会ったほうが良いのではないか」と述べ、知事と政府側が折衝を進めることへの期待感を示した。党議後、県議会で記者団に語った。一方、泉田知事は既に上田長官に面会したことを明らかにした。
柏崎刈羽原発の安全審査の申請をめぐっては、東電の広瀬直己社長と泉田知事が7月5日に県庁で会談したが、物別れに終わっている。
星野氏は進展がない現状について「知事も東電も安全性を高めるという目的は同じだ。早く妥協点を見いだすことが県にとっても東電にとってもいいことだ」と強調。「エネ庁長官あたりの高いレベルで意見交換してもいいのではないか」と話した。
一方、泉田知事は20日、報道陣に対し「(上田長官と)最近会った。あいさつのため」とだけ述べた。
新潟日報社の取材では、泉田知事は広瀬社長との会談前日の7月4日午前に経済産業省で上田長官と20分ほど面会した。取材に対し知事は同日、「就任のあいさつです」と答えていた。上田長官は6月28日付で現職に就任した。
●ベント設置 不安の声も
柏崎原発 東電が住民説明会 柏崎
東京電力は26日、柏崎刈羽原発6,、7号機の再稼動に向けて原発の新規制基準に基づく安全審査を原子力規制委員会に申請する方針を決めてから初めての住民説明会を、柏崎市で開いた。市民からは「福島第1原発事故が収束されないうちの申請は許されない」との反発もあった。東電は「柏崎刈羽原発の安全対策を規制委から判断してもらいたい」と理解を求めながらも、申請のめどは立っていないとした。
説明会には姉川尚史常務、横村忠幸柏崎刈羽原発所長ら8人が出席し、7月の申請方針決定後に公表した同原発の安全対策と新基準への対応を報告した。過酷事故時に格納容器内の蒸気を放出するフィルター付きベントの性能や想定される自然災害などを解説した。
質疑応答で会場からは「フィルター付きベントを使う場合、住民は被ばくしないで避難できるのか」「福島原発の汚染水対策ができていないのに再稼動は認められない」との意見が出た。
横村所長は「審査に合致しても再稼動には結びつかない。フィルター付きベントの運用に関する行政との協議が残っており再稼動は見通せない」と強調した。
一方「早期の再稼動を願う」という柏崎市の男性は「柏崎刈羽原発がどういう状況か説明し、国のチェックを早く受けてほしい」と求めた。
安全審査の申請をめぐっては、前提となるフィルター付きベント設置について柏崎市と刈羽村は安全協定上の事前了解をしたが、泉田裕彦知事は反発している。説明会終了後、姉川常務は「申請の具体的スケジュールは決まっていない。知事の理解を得るために最大限の努力をしたい」と語った。
27日には刈羽村で同様の説明会が開かれる。
・・・新潟県民の運命が、たかが、た・か・が、柏崎と刈羽の連中によって決められてしまう悲劇。いや、喜劇というべきでしょうか?
早期の再稼動を願う、と言ってのけた柏崎のおっさん、将来いざという時に全県民に対し責任取ってくれるんだろうな!まぁどうせ、信じていた国と東電に裏切られ、全てを失った可哀想なボクちゃんたち、てな面をするのでしょうけど。
●柏崎安全審査
東電「合格後造り直しも」
再会談へ伝達 県、姿勢を疑問視
東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼動に向けた国への安全審査を巡り、東電が県に対し、審査に合格した後でも県の要請に応じて原発設備を造り直すこともありうるとの考えを打診していたことが27日、分かった。東電は安全性重視の姿勢を見せて泉田知事と広瀬直己社長との再会談にこぎ着けようとしたが、県はこの姿勢を疑問視し、再会談を拒み続けている。
再会談を巡り、両者の水面下のやり取りの一端が明らかになるのは初めて。
関係者によると、早期申請を目指す東電は、7月5日の知事と社長の会談後、フィルター付き排気設備などの安全設備について、申請後の審査と地元の安全協定に基づく事前了解手続きを並行して進めたい考えを改めて県側に伝達し、再会談を要請した。
県は、並行させた場合、県が安全上の観点から東電に造り直しを要請しても、申請後だと受け入れられないとの懸念を抱いている。そのため、東電は、申請後や審査合格後であっても、内容次第では造り直しに応じる意向を示したという。
ただ、再会談に向けて「約束は守るか」「ウソをつかないか」といった質問を東電側に突きつけている県は、あくまでも申請前の協議と事前了解を要求。東電の「譲歩」が事態打開の決め手にはなっていない。
福島第一原子力発電所からの汚染水の海への流出や仮設タンクからの漏出など、最近発覚した問題も県の東電への不信感を増加させており、県幹部は「本当に東電が約束を守る信頼できる会社かどうか疑問が残る」と指摘する。
知事の8日の記者会見で、「申請前に合意しないで造っちゃったものを本当にもう一度造るのか」と東電側の姿勢に不信感を示し、「誠実な対応がない」と語っていた。
東電の姉川尚史常務は26日夜、柏崎市での住民説明会後、記者団に対し、「我々は県の指摘があれば、いつ何時でも(工事などを)やり直す覚悟だ」と県の理解を改めて求めた。
・・・金がない、金がない。経営は火の車だ!とボヤいている会社に、造り直しに応じられるだけの金が本当にあるのですかねぇ?まさかその金も、原発再稼動で生み出すつもりで、獲らぬ狸のなんたらなのではないのですか?
●ベント「性能十分か」
柏崎原発 刈羽でも説明会
東京電力が原発の新規制基準に基づく安全審査申請を目指している柏崎刈羽原発6、7号機について、東電が立地地域で開いた住民説明会が27日、2日間の日程を終えた。過酷事故時に放射性物質を含んだ格納容器内の蒸気を放出するフィルター付きベントについて、住民からは「性能は十分なのか」などと不安視する声が相次いだ。
フィルター付きベントは新基準で設置を義務付けられ、申請の前提となる設備だが、住民の不安は根強いことが浮き彫りになった形だ。
26日の柏崎市、27日の刈羽村で開かれた説明会には合わせて約200人が参加。東電はフィルター付きベントの役割を炉心損傷の防止と敷地外の土壌汚染を減らすためと解説。粒子状の放射性セシウムは99.9%以上除去できるが、放射性希ガスは除去できないことから「一時的な待避が必要」と述べた。
刈羽村の住民から「希ガスが取れないのに安全なのか」との声が上がったのに対し、川村慎一・原子力設備管理部長は「(蒸気を)放出する際に近くにいると危険で、決して安全とは言えない」とし、住民避難のため自治体と情報共有を進める考えを示した。
住民からは「避難計画を自治体任せにしていいのか」「高齢者もいるのに本当に逃げられるのか」との意見が出た。
こうした声が上がっていることについて、原子力規制庁の地元事務所の内藤浩行所長は27日の記者懇談会で、フィルター付きベントの運用に妻子「防災計画や住民避難は自治体が中心になって考える課題なので、設備について東電はしっかり説明してほしい」と注文した。
●原発内で放射能汚染 柏崎、外部への影響なし
東京電力は27日、定期検査中の柏崎刈羽原発1号機原子炉建屋地下4階の一室で26日に、排水口の通水確認作業のためふたを開けたところ、放射性物質コバルト60を含んだほこりが吹き上がり、室内の汚染レベルが社内で定める基準値を上回ったと発表した。室外への汚染は確認されておらず、外部への放射能の影響はないとしている。
東電によると、汚染されたのは原子炉に冷却水を送る配管が集まる残留熱除去系配管スペース室(放射線管理区域)で、広さ約20平方メートル。26日午前10時半ごろ、関連企業の作業員3人が排水口に詰まりがないか点検を始めた。吹き上げたほこりは排水口内のさびや水あかが乾燥したものとみられる。
この部屋の社内基準値は1平方センチメートル当たり4ベクレル未満で、作業前は0ベクレルだったが、最大で同約20ベクレルまで上昇した。東電は部屋をシートで隔離し、ほこりをふき取った。同日午後8時半ごろ、0ベクレルに戻った。
作業員1人の防護服にほこりが付いたが、被ばくはなかったとしている。
●東電破綻処理も選択肢
泉田知事、安全政策を批判 都内で会見
泉田裕彦知事は28日、東京都の日本外国特派員協会と日本記者クラブで記者会見した。東京電力が柏崎刈羽原発で進めている安全対策について、泉田知事は「目先のお金を優先して安全対策を怠るならば、(東電を)一度破綻処理するのも選択肢の一つ」と述べ、東電の姿勢を厳しく批判した。
県は中越沖地震の際、地盤沈下により柏崎刈羽原発で変圧器火災が発生した事例などを基に、フィルター付きベント設備を原子炉建屋と一体化するよう東電に求めているが、現段階で東電は設計変更に応じていない。
知事は一体化していないと地震に襲われた場合は「配管が外れて放射性物質が(フィルターを通さず)直接出る」とあらためて懸念を表明した。
「破綻処理」に言及した理由については、「安全対策を怠り自らの首を絞めるならば、一度破綻処理をすることが、安全を考える会社に変えるための手法の一つになり得ると考え始めた」と説明した。
一方、知事は福島第1原発の汚染水処理での東電のずさんな対応も問題視。「東電は約束を守ることなどができていない。汚染水への対応で本当に原発を運転する資格がある会社なのか。東電の信頼性を判断する要素だ」と指摘し、汚染水問題は今後の柏崎刈羽原発の対応に影響する可能性があるとの認識を示した。
柏崎刈羽原発の再稼動に対しては「福島事故の検証と総括をした上で対策を講じ議論する」と従来の見解を繰り返した一方、原発の再稼動を判断する責任主体が日本でははっきりしていないと指摘。
「安全性の確保は原子力規制委員会だが、一方で誰が自治体に(原発の安全性を)説明するかが決まっていない。原発推進官庁の経済産業相が安全を語っても住民の納得は得られない。責任を負う大臣が曖昧だ」と語った。
●泉田知事 質疑の主なやりとり
日本外国特派員協会、日本記者クラブで28日に行われた泉田裕彦知事の会見での主な質疑応答は次の通り。
【日本外国特派員協会】
−東京電力柏崎刈羽原発の再稼動に反対なのか。
「東電福島第1原発事故の検証と総括をして、その後に判断すべきだと考える」
−再稼動に関して知事に権限はないのか。
「権限はない。東電との間で安全協定があるだけだ。東電が社会的信頼を得られるかどうかが極めて重要だ。本県には専門家を集めた技術委員会がある。県がしっかりチェックし、地元との合意がなければ先に進まないという慣習ができている」
−原子力規制委員会とは冷戦状態だが。
「規制委は住民を守るための権限を持っている。活用して安全性を高める努力をするのか、福島事故の検証なしに基準が作れたのか、ということを確認したい。規制委には基準作りの段階から要望を出したが、無視されたので信頼関係が築ける状況にない」
−甘利明経済再生担当相は再稼動を求めている。会談でプレッシャーはあったのか。
「甘利大臣には私の懸念を理解していただいた。(県の)財政面も含めて何かのプレッシャーを受けたということは記憶にない」
−東電の安全審査申請方針は政治主導だったと思うか。
「政治主導だったということには疑いを持っている。新潟では参院選の争点になり得るテーマだったので、与党が話題にする事は得策でない感覚があったが、東電は突然申請すると宣言したからだ」
「東電の役員構成が変わったことが大きいのではないか。財界から社外取締役にかなり入った。東電生え抜きの役員は地元との安全協定が法律を補完していることをよく知っていたが、ビジネスのみをしてきた人が無視してもいいと考えたとしても不思議ではない。電力消費地の東京都と立地地域新潟の意識の差もあったと思う」
−知事に批判的な報道もあるが、主張を続けられるか。
「冷静な議論をした上で福島の教訓を世界標準にすべきではないか。中越沖地震を受けて福島に免震重要棟を造っていなければ、(事故対応ができず)東京に人が住めなくなったと言われる。東京の危機を救ったという自負もあり、いろいろ言われるだろうが頑張りたい」
【日本記者クラブ】
−東京電力福島第1原発の汚染水漏れが世界的なニュースになっている。知事は東電とどう向き合おうとしているのか
「安全を確保することは東電にとってもプラスのはず。汚染水問題に関して言えば(事故後から)念頭にあったのにうやむやになった。早く対応していれば早く収束に向かって進むことができるのに、それを避けたことによって(東電は)自分の首を絞めている気がしてならない」
−福島事故に対する国の対応は無責任だと思わないか。
「どこが責任を持って原発問題に向き合うのか、安全性を確保するのかという司令塔が国にない。例を挙げると文部科学省、防災という意味で内閣府、原子力規制委員会を設置している環境省、経済産業省も関係するが、全体に責任を持つ司令塔がどこなのかが曖昧だ。今、原発が立地する自治体で政府に窓口をつくらせようとしている」
−原子力規制委員会の田中俊一委員長との今後の対応はどう考えるか。
「規制委は原子力利用の安全確保を任務としている。基本的な考え方を聞きたいと質問を出しているが、答えられないから会ってくれないのではないかという疑いを持たざるを得ない。会って基本的な考え方、運営方針を聞きたい」
−柏崎刈羽原発を稼動しないのは日本経済のためにもったいない。知事の在任中は絶対に柏崎刈羽原発を動かさないということでいいか。
「福島の原発事故の検証と総括をした上で対策を講じ、その上でどうするかと議論をするという順番が必要だと考えている」
●知事「東電 うそつく企業」
外国特派員協会で会見
「過去の経験に学べない企業が原発のオペレーションをできるか不安だ」。28日に東京・有楽町の日本外国特派員協会で記者会見した泉田知事は、東京電力や原子力規制委員会への批判を改めて繰り返し、外国メディアに自らの主張の正当性を訴えた。
外国の特派員ら約50人を前に、泉田知事は2011年の福島第一原発事故でメルトダウン(炉心溶解)が約2か月後に判明したことなどを挙げ、東電は「うそをつく企業」と非難した。東電が柏崎刈羽原発で安全審査申請を進めようとしていることについては「広瀬直己社長の頭の9割は福島の賠償と資金調達。安全な原発を運営できるのか疑問を感じている」と述べた。
また、福島第一原発から汚染水が海に流出している問題などにも言及。「5月の段階で放射性物質の濃度が上がっているので、調べればもっと早く発表できた。広瀬社長は3・11の教訓を学べなかった」と対応の遅れを批判した。
新規制基準を作った原子力規制委員会についても「原発の性能基準のみを任務にして自らの役割を狭めようとしているように見える」と対応を疑問視。法律の規制を超える被曝があった場合の対応など、これまで規制委に出した質問に対して回答がなかったことを挙げて「住民の安全を守るという使命感を持たない組織が、安全を守るのは困難ではないか」とした。
批判の矛先は首都圏の住民にも。2002年に発覚した東電のトラブル隠し問題を振り返り、「地域の生活と国家のエネルギー政策について深い考えを都市住民は持っていないのではないか」と原発立地県との意識の差を指摘した。
知事は同日夜、都内の日本記者クラブでも会見し、東電批判を繰り広げた。
●東電社長インタビュー
自治体と協力姿勢訴え
新潟日報社のインタビューに30日応じた東京電力の広瀬直己社長は、柏崎刈羽原発の立地地域での防災対策などに自治体と一緒に取り組む考えを強調した。ただ、同原発6、7号機の安全審査の申請問題で鍵を握るフィルター付きベント設置について、安全協定に基づく事前了解を得るよう求める県の主張への歩み寄りは見られなかった。東電の経営改善のためには、金融機関などに再稼動時期の見通しを示す必要があるといい、足踏みが続く現状に焦りをにじませた。
・地元防災対策に協力
広瀬社長は、東電が柏崎刈羽原発の地元住民をはじめ県民の理解を得るため「今考えている三つのポイントがある」と切り出した。
一つは、原発事故に備えた地元の防災対策に協力するための体制づくりだ。「今までは『事故は起きません』と言ってきたが、(今後は)どう避難するかについて組織をつくって、しっかり関わっていかなければならない」と話した。
自治体と協力して避難計画を策定したり、屋内退避に備えて地元の建築物一つ一つについて放射線を遮る能力を測定したりすることを挙げた。
さらに、地元に配慮する姿勢を目に見える形で示したいとし、「新潟地域会議をつくり、取締役が自治体の方々と会い、東電をどう見ているのかを勉強しなければいけない」と述べた。
ほかに、立地地域に対する広報体制を強化する方針も語った。柏崎刈羽原発の元所長ら地元事情に精通したOBに、これまで築いたパイプを活用して広報、渉外に当たってもらうという。
・県主張へ歩み寄らず
広瀬社長が今回、立地地域対策について言及したのは、安全協定をめぐる県との意見の食い違いを解きほぐしたいとの思いがあるという。だが、安全審査の申請前に県からベントの事前了解を得るよう求める泉田裕彦知事の主張に対しては、従来の主張を繰り返した。
「原発の強化策を(原子力規制委員会の)新しい基準で早くチェックしてもらい、直すべきは直す方が安全に質する」と強調。申請前に県がベントの性能などを評価することについて「それが県民の安全により貢献するというのは理解できない」とした。
ただ、広瀬社長の主張は、重要施設の設置の際に安全協定に基づいて国への申請前に地元の事前了解を得てきたこれまでの東電の姿勢とは異なる。泉田知事もこの点を問題視し「約束を守ってほしい」と訴えている。
広瀬社長はこの点について「今回のケースは状況が違う。(福島第1原発の)事故があって今回の(対策)がある。前例を踏まえるべきなのか。早く規制委に見てもらうべきだ」と主張した。
・再稼動見通し示さず
広瀬社長は、柏崎刈羽原発の再稼動に向けた審査の申請時期のめどがつかない中で、再稼動そのものの時期についても見通しを示さなかった。
ただ、経営改善に向けて昨年5月にまとめた総合特別事業計画で想定した「今年4月以降に順次再稼動」という見通しは既に崩れている。金融機関の融資約800億円の借り換え時期が10月に迫る中、「金融機関に相談するときはシミュレーションが必要」とし、今後、新たな再稼動時期を設定する必要を挙げた。
広瀬社長は「再稼動の日を設定しても、何が何でもそこに向けて(力を尽くす)という計画ではない」と説明。しかし、「このままずっと(柏崎刈羽原発が)動かないというのでは打つ手が限られてしまう」と焦りもにじませた。
柏崎刈羽の再稼動が遅れれば、電気料金の値上げが必要になる。広瀬社長は「値上げは極力したくない。アベノミクスで景気が良くなり、活発な経済活動が始まるところに水を差すのは避けるべきだ」と話した。
・・・これまでは「事故は起きません」と言っていたのを「事故も起き得ます。だから地元自治体に防災計画について協力します。だから再稼動させて」と言うようになりましたか。しかし、一度事故が起きたら、そこの県は事実上消滅する、と福1事故が示してしまったではないですか。福島県に対しては、事故が起きるまでは、それまで国や東電が広めていた安全神話を盲目的に信じ込んでいたから・・・と同情もできるのですが、事の真相が判明した後でも、新潟県の各自治体や住民が、再稼動に合意するのは、ある意味確信犯といえますよねぇ。何もかも失った後で、後悔しても、国や東電を責めても、遅すぎますし、第一、滑稽ですよ。
●広瀬社長一問一答 県民へ配慮なかった
インタビューへの広瀬直己社長との主なやりとりは次の通り。
−7月2日の取締役会で原子力規制委員会に対する安全審査を早期に申請する方針を決めた理由は。
「福島第1原発事故以降も新潟県に対する考え方に変化はない。会社の経営スタイル、取締役会の構成も含めて東電の政策決定の仕方は変わった。取締役会の決定前に県民への情報提供に配慮がなかった。東電の事情は地元の皆さんには無関係であり、私の責任だ」
−福島第1原発の汚染水問題への懸念は県民の間でも強い。その対応にめどがつくまで申請は控えるべきだとの意見がある。
「きょう、あすに(汚染水の流出が)止まるという簡単な問題ではない。一方で汚染水を保管するタンクの管理は東電に改善すべき点があったのは事実。完全に汚染水が止まるには年単位の時間が必要だ。原因究明をして対策を示し、安心してもらい、理解を得たい」
−柏崎刈羽原発のフィルター付きベント派遣の事前了解を得た上で申請を行うのか。
「知事の了解を得られるのがベストだ。申請は国と東電の間のことだが、申請して安全と判断された後には県の合意が必要になるので、より多くのご理解を頂く必要がある。ベント設備は技術の話だ。東電の対策が不十分であれば、やり直さなくてはならない。専門家に判断してほしい」
−設備の新増設はこれまで自治体と事前に相談してきた経緯がある。白紙に戻して県民の理解を得るべきではないか。
「東電の安全対策が大丈夫というお墨付きを国からもらう必要がある。対策が足りなければやり直す。原発は停止中、運転中にかかわらず核燃料がある。地震と津波はいつ来るかわからない。早く国にチェックしてもらい、駄目ならどんどん直さなくてはいけない」
−福島第1原発の汚染水問題に関連し、柏崎刈羽原発の地下水の状況を調べる考えはあるか。
「残念ながらそこまで手が回っていない」
−検討すべき課題という認識か
「ええ」
−福島第1原発の廃炉や事故の賠償などと、柏崎刈羽原発の安全対策は経営面で両立できると思うか。
「柏崎刈羽原発の耐震関係はある程度進めてきた。事故を起こした事業者が原発を動かそうとするわけなので、新規制基準がしめした項目だけを満たせばいいとは思っていない。相当安全な原発にしたという自負がある」
−原発敷地内の断層が原子力規制委員会から活断層と判断された場合の対応は。
「柏崎刈羽原発は100ガルの揺れに耐えられる。どれだけの揺れに耐えられるように造っているかは考えなくてはならない」
・・・東電社長でさえ、福1の汚染水流出は止めるまでに(『止まれば』の話ですが)年単位の時間が必要だと認めておりますね。ということは、その間の福島県及び太平洋の汚染も止まられないと認めているわけですね。
あと、柏崎刈羽原発の原子炉、つまり心臓部は100ガルのゆれにも耐えられるそうですが、毛細血管ともいえる細かな配管類はどうなのでしょうかね?まぁ福1事故はあくまでも津波のせいという事にしてある以上、その問題に触れるのは東電にとってはタブーなのでしょうが。
●過酷事故対策の詳細説明求める
県、規制委に再質問提出
泉田裕彦知事は4日、原発の安全対策について原子力規制委員会から届いた回答に対し、県技術委員会の意見を取りまとめ、再度質問を提出した。過酷事故対策や重大事項の意思決定などについて詳しい説明を求めた。
県は東京電力福島第1原発の検証を行っている技術委がまとめた中間報告を基に、4月に規制委に15項目の要請を行った。このうち7項目について7月に規制委から回答があり、技術委に内容について意見を求めていた。県によると委員17人のうち8人から意見が寄せられた。
質問では、使用済み燃料の保管体制について「プールに保管する燃料集合体の数を制限するルールを検討しているのか」といった点や、事故時の意思決定について、炉心損傷まで時間が限られる中で「誰が、いつ、どのように事業者の判断を妥当とするのか」などをただした。
未回答の残る8項目についても早期の回答を求めた。
●早期申請に向けあらためて意欲 柏崎原発所長
東京電力柏崎刈羽原発の横村忠幸所長は12日の定例会見で、同原発6、7号機に関する安全審査について「安全対策が十分なのか客観的に評価してもらい、足りない部分に手を打ちたい」と述べ、原子力規制委員会への早期申請にあらためて意欲を示した。
申請にはフィルター付きベント設備の設置が必要だが、安全協定上の事前了解をめぐる県との協議は始まっていない。横村所長は、泉田裕彦知事と広瀬直己社長との再会談のめどが立っていないとし「申請の見通しはない」とした。
東電の設計はベント設備が原子炉建屋の基礎と一体化しておらず、知事は地震で配管が外れる恐れがあるなどと懸念を示している。横村所長は「建屋と異なる基礎の上に置き、揺れを吸収する方がいいと考える。技術的にしっかり説明したい」と述べた。
また東電は同日、柏崎刈羽原発の新たな安全対策として、過酷事故で原子炉建屋が損傷した場合に、高所から使用済み燃料プールなどに放水するための放水車など5台を、10月に配備すると発表した。
●原発技術委で規制庁が初説明
東京電力福島第一原子力発電所の事故を独自に検証している新潟県の技術委員会が開かれ、国の原子力規制庁の担当者が出席し、深刻な事故への対策を盛り込んだ新たな規制基準について説明しました。14日、県庁で開かれた技術委員会には、ことし7月に施行された原発の新たな規制基準の策定に携わった原子力規制庁の担当者が初めて出席しました。
新たな規制基準について、新潟県は原発の設備の規制に偏っているとして▼深刻な事故が起き高い放射線量の中で作業を行う際の安全確保策や▼炉心への海水注入など重大な対応を誰が決めるのかなどについて明確にすべきだと指摘しています。
これについて、規制庁の担当者は被ばく線量の限度を超える前に事故を収束させるのが前提だとした上で、原子炉が危機的な状況に陥った場合は原子力規制委員会が電力会社に必要な措置をとるよう命じることができると説明しました。これに対し、委員からは、あらゆる事態を想定し、高い放射線量での作業に備えるべきだなどといった意見が出されていました。
技術委員会の中島健座長は、「柏崎刈羽原発の安全につなげるためには、国との意見交換は重要で今後も担当者に出席してもらい議論を続けたい」と話していました。
09月14日 19時04分
・・・
>原子炉が危機的な状況に陥った場合は
>原子力規制委員会が電力会社に必要な措置を
>とるよう命じることができる
たとえ規制委員会が命じても、東電にしてみれば、経営が苦しい中、貴重な原子炉をお釈迦にするのが惜しいので、躊躇しているうちに事態がさらに悪化・・・なんてことにはならないでしょうねぇ?
●柏崎刈羽 景気回復に遅れ
知事「原発停止が影響」
東京電力柏崎刈羽原発の立地地域で3年以上操業する600法人のうち、半数近い274法人で直近決算の売上高が減少していたことが20日、県の調査で分かった。個人事業者は対象の5割超に当たる443事業者で売上高が減少し、原発立地地域全体の経済回復の遅れが浮き彫りになった。泉田裕彦知事は「原発停止が一定程度影響している」として対策を講じる方針を明らかにした。
県は同原発で全7基が停止した2012年3月以降の地元経済への影響を初めて調査した。柏崎市か刈羽村だけに事業所があり、昨年12月〜今年3月に決算期を迎えた686法人と795個人事業者の税務データから業種別売上高を分析し、全県の数値と比べた。
法人は12年度の総売上高が1158億6500万円で前期比0.6%増だったが、県全体(1.3%増)より下回った。業種別では「製造業」が6.4%減で全県(1.5%減)を下回る一方、「非製造業」は2.9%増と全県(2.2%増)よりやや高かった。
売上高が前期より30%以上減少したのは18業種の52法人に及び、このうち設備・配管工事や対事業所サービス業など7業種10法人で50%以上減るなど落ち込みが目立つ。
一方、個人事業者の12年度総売上高は115億5900万円で、前期比5.2%減と全県(0.8%減)との差は法人よりも大きかった。売上高が30%以上減ったのは、大工、左官といった請負業や物品販売業など17業種の110事業者に上った。
泉田知事は会見で「同じ業種でもばらつきがあり、全てが原発停止の影響とは言い切れない。ただ、何らかの手当ては必要だ。個別の事情を聞き、支援策の制度設計をしていく」と強調した。
原発停止による具体的な影響について事例を10月末まで県内から幅広く募る考えだ。
●県・原発立地地域調査
経営努力「もう限度」
先行き不安 見えぬ打開策
「個々での抜本的な対策は難しい」「客足が目に見えて減った」−。東京電力柏崎刈羽原発が立地する柏崎市と刈羽村の企業を対象にした県の調査では、県平均に比べ厳しい実情が浮き彫りになった。同原発の全7基が停止して間もなく1年半。調査結果が発表された20日、地元からは原発に頼ってきた地域経済の先行きが見通せないことを不安視する声が相次いだ。
「ここ2年いろいろ努力してきたが限度だ」創業40年余りの市内のビジネスホテルを経営する前田弘美さん(58)は話した。
以前は原発関連企業の宿泊客が3、4割を占めていた。しかし、2011年3月の東電福島第1原発事故と、昨年3月の柏崎刈羽原発全基停止を経て「ゼロに近い」状態になった。
県の調査では。個人事業者のうち旅館業の売上高は県平均で前期比1.4%増だったのに対し、柏崎刈羽地域では10%減だった。前田さんは「10%どころの落ち込みではない。少なくとも震災前の状態に戻して欲しい」と声を絞り出した。
柏崎市内のあるコンビニエンスストアでは、昨年から売り上げと利用客の数がともに大きく減った。経営する男性は「原発関連と思われるお客さんが目に見えて減ったので、全基停止の影響だと思う。減少傾向は続いている」と嘆く。
地域には原発の早期再稼動を求める声がある。ただ、男性は「汚染水が漏れ続けている福島事故の状況を見ると、早期再稼動は簡単ではない。行政には新エネルギー産業の誘致など、原発以外の経済活性化策をお願いしたい」と話す。
柏崎市と柏崎商工会議所は昨年10月、立地地域の振興策や雇用確保策を国に求めた。しかし、今のところ有効な策は打ち出されていないという。
市商業労政課の竹内昇平課長は「先行きがどうなるのか分からず、戦略を練れずに苦慮している企業が多いと思う。県と一緒に支援策を探っていきたい」と話した。
●柏崎商議所・アンケート
7割「取引減った」
柏崎商工会議所(柏崎市)は20日、会員企業を対象に、東京電力福島第1原発事故後の東電柏崎刈羽原発関連の受注状況や景況感を聞いたアンケート結果を公表した。柏崎刈羽原発は現在全7基が停止中で、原発と取引のある企業の7割が取引などが昨年に比べ「減った」と回答した。
アンケートは原発事故の影響を把握するため2011年から始まり3回目。7月22日〜8月20日に会員企業1799社に郵送形式で実施し、704社が回答した。回収率は39.1%。
回答した企業のうち、原発関連の取引があるのは287社(40.8%)。取引などが前年同期と比べ「横ばい」が22.6%だったのに対し、「減少」は68.3%だった。
回答した全企業の業況は「横ばい」が32.1%と最多。「やや悪い」が29.1%、「悪い」が26.6%と続いた。「悪い」は3割超だった昨年より改善したが、商議所は「景気回復の兆しは見えない。先行きを見通せない企業も多い」とした。
・・・なんか来週から県議会が始まるのに合わせて、柏崎刈羽原発再稼動へ向けての、さりげないキャンペーンが始まったような気がします。柏崎・刈羽地域の人たちの生活のために再稼動すべきだ!と、今後話が発展していきそうな予感がします。次の記事のような事もありますし。↓
●東電「協定を順守」
文書提出 知事との再会談要請
泉田裕彦知事が東京電力に対し、柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動に向けた安全審査を国に申請する前に、フィルター付きベントの新設について県との安全協定に基づく事前了解を求めている問題で、東電は20日、県に対し「協定を順守する」とした広瀬直己社長名の文書を提出した。文書を提出した増田祐治常務は報道陣に、引き続き知事と広瀬社長との再会談を求めていく姿勢も明らかにした。
一方で東電は、事前了解の協議と安全審査を同時並行で進めたいとのスタンスは変えておらず、知事の理解が得られるかは不透明だ。
増田常務は20日夕、県庁を訪れ、山田浩之防災局長に文書を手渡した。山田局長は「知事に渡す」と応じた。
増田常務は文書提出時に再会談は直接求めなかったが、その後報道陣に「協定順守の文書提出を機に、社長と再度お会いいただきたい」と、あらためて再会談を求めていく考えを明らかにした。
同時並行を目指す姿勢については「協定順守と申請は別の話」と強調。原発の新規制基準に基づく安全審査の対象は「今までの協定の範囲と少し違う」とも述べ、「(協定の)解釈の問題であり、社長から解釈の内容について会談で説明したい」と、従来のスタンスに変更はないとした。
東電の動きについて泉田知事は20日、取材に対し、「(東電が)今まで言ってきたことと何も変わっていない。確認して何かあればコメントする」と述べた。今回文書を提出した理由について、増田常務は「(知事と社長の会談から)2カ月以上過ぎた。まずは協定を順守して仕事を進めていくことを少しでも早く宣言したかった」と述べた。
知事と広瀬社長は7月5日に会談した際、「事前了解なしに申請はありえない」とする知事に対し、広瀬社長は「事前了解の協議と申請を同時並行に進めることも可能」と述べ、物別れに終わっていた。
●対立解消の糸口になるか
東電 再会談要請
歩み寄り求める自民
東京電力は20日、泉田裕彦知事に宛てた広瀬直己社長名の文書を提出し、社長との再会談を求める考えを示した。柏崎刈羽原発の安全審査申請をめぐり手詰まりとなっている県と東電の協議をめぐっては、県議会最大会派の自民党が知事に歩み寄りを求める構えも見せている。知事が重視する「安全協定の順守」を明記した東電の文書が、対立解消の糸口になる可能性もある。
山田浩之防災局長が受け取った泉田知事宛ての文書には「安全協定を順守いたします」とだけ書かれていた。
知事は20日夜、県庁で報道陣から文書について問われると「(東電が)今まで言ってきたことと変わらないじゃないですか。何が変わったか確認する」と言い残して車に乗り込んだ。
知事は社長との再会談には言及しなかったが、県庁内からは「会う気がなければ文書も受け付けないはずだ」と、再会談への布石とする見方も出ている。
7月5日の知事と社長の会談は、安全協定に基づく事前了解の手続きや、フィルター付きベントの構造などをめぐり物別れに終わった。約2カ月間、十数回の事務折衝でも溝は埋まらず、東電は「社長の判断」(広報部)で文書提出に踏み切った。
事態が動かないことには、原発を推進する立場の自民党も気をもんでいた。星野伊佐夫県連会長は「対立は本県にとっても東電にとってもよくない」として知事に再三、歩み寄りを促した。25日開会の県議会に向けて「安全審査の申請までは容認してもいいのではないか」と知事にただす質問も用意した。
今月に入って県執行部からは「知事のかたくなな姿勢が続けば、自民党としてはやりにくい。議会前に何か動きがあるのではないか」との観測も出始めていた。
新規制基準施行後に、東電が「協定順守」を文書で初めて確約したことで、県にとっては東電とフィルター付きベントの設計変更などを協議する余地も出てくる。
東電トップが託したメッセージは再会談や対立の解消につながるのか。泉田知事は「(東電の真意を)確認してから。慌てない、慌てない」と話した。
●東電「県了解前申請ない」
柏崎原発 知事、対応を評価
東京電力は21日、柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動に向けた原子力規制委員会への安全審査申請について、「新潟県のご了解をいただく前に、規制委へ申請する考えはない」とする見解を発表した。泉田裕彦知事は東電に対し、審査申請前にフィルター付きベント設置に関して安全協定に基づく県の事前了解を得るよう求めており、この主張に東電が歩み寄った形だ。知事も東電の対応を評価しており、今後は知事と東電の広瀬直己社長の再会談日程が焦点となる。
ただ、東電のコメントにある「了解」が知事の求める「事前了解」を示すものかは不透明だ。
広瀬社長は8月末の新潟日報社の単独取材で、泉田知事との再会談で申請方針への理解を得ていく考えを強調していたが、規制委への申請の前提についてはこれまで名言を避けてきた。
東電の評価を受けて泉田知事は「立地地域と十分なコミュニケーションをとるという明確な立場の表明で評価する。今後の対応は決まり次第発表する」との談話を出した。
一方、原発を推進する立場の与党・自民党の星野伊佐夫県連会長は新潟日報社の取材に対し「東電がより安全を求める知事の要望に応えてくれた。あとは知事がどう判断するか。再会談はあるだろう」との見方を示した。
東電の申請方針をめぐっては泉田知事が7月5日、広瀬社長との会談で、フィルター付きベントの設置について、県との安全協定に基づく事前了解を得るよう強く求めた。
これに対し、広瀬社長は事前了解の協議と安全審査を同時並行で進めたいと主張して物別れに終わっていた。再会談が設定された場合、東電が知事の理解をどう得ていくかも注目される。
東電は20日、県に対し「立地地域との信頼関係の根底である安全協定を順守する」とした広瀬社長名の文書を提出。あらためて知事との再会談を求めていた。
21日の東電の見解は、同日付の一部新聞が「東電が柏崎刈羽原発の再稼動を目指し、月内にも規制委へ安全審査を申請する方針を固めた」と報じた内容を否定するホームページ上のコメントの中で明らかにした。
●「知事に会い説明」→「県の了解得る」
東電社長 自ら変更指示
HPコメント 知事側が働き掛け
東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の安全審査申請をめぐり、東電は21日、ホームページ上に発表した申請までの手順についてのコメントを「知事に会い説明」から「県の了解を得る」に変更した。県関係者は「知事サイドから強い働き掛けがあった」とし、東電本店広報部は「社長の指示があった」と述べ、広瀬直己社長の意向を受けて変えたことを明らかにした。
本店広報部によると、午前7時半すぎに掲載した最初のコメントは、月内にも安全審査申請をするとした一部報道について「そうした事実はありません」と否定しただけだった。
午前9時半前に1回目の差し替えを行い、新たに「県知事にお会いしてご説明を行う前に、原子力規制委員会へ申請する考えはありません」との文言を加えた。さらに午後6時半前になり、この部分を「県のご了解をいただく前に申請する考えはありません」と変えた。
県関係者によると、知事サイドが午前中のコメントに不満を示し、東電に対して変更を求めたという。
泉田裕彦知事は東電に対し、柏崎刈羽原発の安全審査申請前に、過酷事故の際に放射性物質の放出を低減するフィルター付きベントについて県の事前了解を得るよう求めている。最終的に加わった「了解」の意味について、本店広報部は「真意は社長しか分からない」とした。コメントの前提として「一日も早く知事にお会いしたいという社長の思いを込めたものだ」と説明した。
・・・今週から始まる県議会に向けての、東電の一策だと思いますけどねぇ。議会では、自民党をはじめとした東電と繋がりのある県議が知事に再稼動へ向けての圧力をかけ始めるでしょうから。それら議員へ向けての援護射撃かと。こうすれば知事も応じざるを得なくなるでしょうし。
まぁ最終的には、知事、東電、県議、国、それぞれの顔を立てた上でというか、極めて玉虫色的に、この先新潟県の事実上の消滅もあり得るとした上での再稼動が決まるのでしょうね・・・。
まさか、新たな安全策を講じる、講じたから、今後絶対に柏崎原発では事故はおき得ない、なんてノーテンキな事は、知事も推進派の県議も、誰も思ってはおりますまい。
そして一度でも事故が起きれば、新潟県は事実上消滅する。ただそれだけです。
●知事、東電社長きょう再会談
安全審査めぐり
県と東京電力は24日、東電柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動に向けた原子力規制委員会への安全審査申請をめぐり、泉田裕彦知事と東電の広瀬直己社長が25日午後に県庁で再会談すると発表した。すれ違いが続いていた安全協定に基づく「事前了解」の解釈や、フィルター付きベントの構造をめぐる問題で溝が埋まるかが焦点となる。東電の説明に知事が納得すれば、同原発が安全審査申請に向けて動き出す可能性もある。
両氏の会談は物別れに終わった7月5日以来。知事は24日、再会談を決めた理由について「前回の会談で一番問題になったのは、(東電が県と結ぶ安全)協定を守るかどうかという点だった。守るという話を(東電から)いただいたので、話を聞くということだ」と述べた。
安全協定上の事前了解をめぐっては、知事と東電の主張に折り合いがついていなかったが、東電が21日に「県のご理解をいただく前に、規制委へ申請する考えはない」とする見解を発表し、知事がこの対応を評価するコメントを発表していた。
再会談について知事は24日、「(東電からの話を)聞いてみるしかない」と話した。
7月の会談では、地元への相談なしに安全審査の早期申請を決めた東電の姿勢や、フィルター付きベントの設置方式に知事が強く反発。安全審査申請前に、安全協定に基づく事前了解を得るよう確約を求めていた。
●「了解」解釈が焦点
東電社長知事会談 ベント歩み寄れるか
東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動に向けた原子力規制委員会への安全審査申請問題で、25日に泉田裕彦知事と東電の広瀬直己社長との7月5日以来となるトップ会談が行われる。これまで両者の間で異なっていた安全協定に基づく「事前了解」の解釈や、フィルター付きベントの構造をめぐっての歩み寄りがあるのかが注目される。
東電と県、柏崎市、刈羽村が結んでいる安全協定では「原発施設の新増設・変更時は事前に自治体の了解を得る」とされている。泉田知事は東電に対して申請前に了解を得るよう求め、東電は設備の供用前に了解を得たいとし、申請後に同時並行で了解手続きを行う方針を示していた。
東電は21日にホームページ上で「新潟県のご理解を得るまで規制委に申請する考えはありません」とのコメントを発表した。この「了解」という言葉は、広瀬社長の指示でコメントに入れられた。「了解」が知事の求める「事前了解」を指すのかについて、東電本社広報部は「真意は社長だけが知っている」としており、広瀬社長がどのような認識を示すかが焦点となっている。
ベントの構造に関する安全性についても、知事と東電の主張はすれ違っている。知事は原子炉建屋とベント設備の一体化を強く求めている。
知事は「地震で配管が外れれば放射性物質が(フィルターを通さず)直接出る」と懸念し、「一番安全なのは(建屋と一体化して)中に造ることではないか」と東電の計画に難色を示す。
これに対し、東電はベントを原子炉建屋の外に設置する計画だ。建屋と同じ支持地盤にベントの基礎くいを打ち込む形だが、基礎は別にしている。
同じ地震動でも建屋や設備などの揺れは異なるためとし、「建屋と異なる基礎の上にベントを置き、揺れを吸収する方がより安全だ」との立場だ。
・・・今日の夕方の県内ニュースは、再会談の話題で持ちきりでした。それについては明日またお知らせします。
●月内にも安全審査申請へ
東電 県の事前了解後 柏崎原発
東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の原子力規制委員会への安全審査申請をめぐる問題で、泉田裕彦知事と東電の広瀬直己社長が25日、県庁で再会談した。知事が構造に強い懸念を示していたフィルター付きベントに対し、広瀬社長は地下に新たなベント設備を増やす追加対策などを表明。安全協定に基づく事前了解を求める要請分を提出した。東電は県からの事前了解を得た上で、9月中にも安全審査を申請する方向で検討に入った。
・知事と再会談 ベント増強示す
要請文に対し泉田知事は回答を保留している。再会談後、広瀬社長は「(知事の)判断を待ちたい。早く申請させていただきたい思いは変わっていない」と強調した。
知事はフィルター付きベントが原子炉建屋と離れて設置されれば、地震の揺れで間をつなぐ配管が壊れる恐れがあると指摘し、東電に耐震性を高める設計変更などを求めていた。
再会談では知事の求めに応じる形で、広瀬社長が6、7号機の建屋脇の地下に新たに「第2フィルター付きベント」を設ける追加対策を提案。「地下を掘り下げて建屋の岩盤に近づける。(地震の)揺れがほとんど同じになる」と説明した。
既に設置を進めているベント設備についても、建屋と継ぎ手部品の予備を確保し、破損に対応するとした。
また広瀬社長は、地元との連携を重視する姿勢も強調した。事故時のベントで避難中の住民が被ばくする恐れがあることに対し、「どの段階で避難の呼び掛けをするかが決定的に大事だと認識している。地元や県と協力し、訓練などをしなければならない」と述べた。
広瀬社長が再会談で「安全を大切にしたい」と述べたことについて、知事は終了後「きょうのやりとりでは、なるほどとは思えない」としながらも、「規制基準をクリアしても住民の安全を確保できないという認識は、東電と共通になったと思っている」と話した。
東電は県の事前了解を得られ次第、9月中にも原子力規制委員会に申請する方針。ただ、広瀬社長は再稼動について、「申請後、対策が安全だというお墨付きを得る必要がある。まだまだ再稼動の話をできる状況ではない」と述べた。
●ベント多重化「もろ刃の剣」
東電 大幅譲歩 経営リスクも
東京電力の広瀬直己社長が25日の泉田裕彦知事との再会談で打ち出した切り札は、フィルター付きベント設備の多重化だった。東電は柏崎刈羽原発6、7号機の安全審査を、県が了解するまで原子力規制委員会に申請しない方針を21日に表明。さらに知事が懸念するベントの問題でも譲歩し、月内にも県から事前了解を得た上で申請する検討に入った。ただ、東電にとってコスト増を伴うこれらの「もろ刃の剣」が知事を動かすかは不透明だ。
「知事の指摘を踏まえてフィルターベントをもう一つ造ることを考えている」。広瀬社長は県庁の応接室で泉田知事と向き合いとあいさつもそこそこに、知事のベント設備への懸念に応える新たな対策を切り出した。
知事はこれまで、東電が計画しているベント設備が原子炉建屋と一体化していないことを問題視してきた。建屋とベント設備とをつなぐ継ぎ手が地震で破損すれば「(フィルターを通さずに)生で放射能が出てくる」との懸念があるからだ。
広瀬社長が打ち出した第2のベントは、原子炉建屋に隣接する地下に設置し、建屋とできるだけ一体化するという。さらに、地下設置のベントには予備の継ぎ手部品を用意する事も明らかにした。
また、これまでベント設備に関する県の事前了解を申請後に同時並行で得たいという考えを示していたが、一転「安全協定を順守する」「県の了解をいただく前に規制委へ申請する考えはない」と説明。申請前に安全協定に基づいてベント設備の事前了解を得るよう求める知事の要請をほぼ丸のみした格好だ。
東電にとって、これらの譲歩は、経営上のリスクを伴いそうだ。
ベントの追加設置には1基当たり「数十億円かかる」(広瀬社長)といい、厳しい経営環境下で少なくない負担と言える。さらに安全協定の順守を文書で約束したことも、原発の安全対策をめぐる今後の県との交渉に影響し、負担増を招く可能性がある。
それでも東電が知事に歩み寄った背景には、安全審査の申請が待ったなしとなっていることへの焦りがありそうだ。10月に地銀を中心とした約800億円の融資借り換えを控えており。それまでにしっかりとした経営改善策を示す必要があるからだ。
広瀬社長は会談後、報道陣に「借り換えが申請とつながっているとは認識していない」と説明した。ただ、一部の金融機関が借り換えに消極的とされ、安全審査をして再稼動の見通しを示すことは、説得材料として大きいとみられる。
東電の大幅な譲歩によって、泉田知事がベントの事前了解を与える環境が整いつつあるようにも映る。自民党県連の星野伊佐夫会長は25日、再会談前から「ベントについて、県が希望している回答が得られれば、もう県がとやかく言う必要がなく、東電は申請できるだろう」と期待を寄せた。
泉田知事も会談後、報道陣に、住民の安全確保という課題について東電と一定の共通認識を持てたとの感触を示した。ただ、今後の対応については「担当部局と相談する」と述べるにとどめた。
●「書面預かります」知事淡々
対応一変 攻撃姿勢なく
前回7月の張り詰めた雰囲気は一変した。25日に県庁で行われた泉田裕彦知事と東京電力の広瀬直己社長による再会談は、両者が落ち着いた口調でやりとりした。広瀬社長は前回、泉田知事に渡すことができなかった事前了解の要請文を手渡し、約40分間にわたる会談後には「受けとってもらい、検討していただける」とほっとした表情を見せた。
「フィルター付きベントの事前了解(の要請文)をお持ちしたので、お受け取りいただきたい」。第2のフィルター付きベントを新たに設置することなどを説明した後、広瀬社長が書面を差し出すと、泉田知事は「お預かりします」と淡々とした様子で受けとった。
周囲を80人以上の報道陣が囲む中で行われた約2カ月半ぶりの会談。前回、「(安全審査申請を)なぜ急ぐのか」「経緯の説明を」などと矢継ぎ早に質問を繰り出した知事の攻撃的な姿勢は影をひそめた。
一方で、泉田知事は放射性物質を含む蒸気を放出するベント設備の運用にこだわりを見せ、住民の避難前に放出する可能性があるのかを繰り返し尋ねた。広瀬社長は「状況をシミュレーションし、なるべく早くお知らせする訓練を積み重ねる」と答えるのが精いっぱいだった。
泉田知事は前回、途中で会談を打ち切り、「話がかみ合わないのであれば、どうぞお引き取りください」と広瀬社長に退室を促した。今回はそのようなこともなく、広瀬社長は「よろしくご配慮を」と述べ、再会談は終了した。
広瀬社長は会談後、報道陣に「(知事の)ご判断を待ちたい」と県の事前了解を得た上で審査を申請する考えを強調した。
知事が重要視するベントの運用については「自治体や住民のみなさんとしっかりやっていかなければならない」と説明した。知事も取材に対し、「課題として残った」と語った。
一方、再会談前には、反原発団体のメンバー約20人が県庁のロビーに集まった。会談に向かう広瀬社長に「柏崎刈羽原発は廃炉にしろ」「帰れ」などと声を荒げる一幕もあった。
●主なやりとり
泉田知事 ベント避難前に実施か
広瀬社長 地元協力得て安全確保
25日に会談した東京電力広瀬直己社長と泉田裕彦知事の主なやりとりは次の通り。
社長 (東電と原発立地自治体が結ぶ)安全協定は、立地地域との信頼関係が大前提という認識を持っている。しっかり順守したい。
知事 あらためて聞く。東電はお金と安全のどちらを大切にするのか。
社長 当然、安全を大切にしたい。
知事 フィルター付きベントでトラブルが発生した場合の住民の被ばく線量はどれくらいか。
社長 知見を使い、これから皆さんと検討しなければならない。
知事 県の試算では260ミリシーベルトで、健康に影響を与える数字だ。
社長 何もせずに(屋外に)いればそうだが、そういうことはまずない。これから対策を立てなくてはならない。
知事 中越沖地震では道路に段差ができて通行できず、渋滞が発生した。車の中でじっとしていれば被ばくする。(事故が起きれば)避難確認できない状態で、ベント実施の判断ををするのか。
社長 その段階に至る前に避難の呼び掛けをすることが、決定的に大事だと認識している。相当混乱するだろうし、避難については真剣に考えている。
知事 自治体と連携し、住民の被ばくを避けることをしないで安全確保は難しい。これは共通認識でいいのか。
社長 おっしゃる通り。福島原発事故の教訓の一つが、深層防護の考え方だが、われわれだけで(対策は)できない。地元住民の協力も必要だ。
知事 原子力規制委員会は、新規制基準は(守るべき)最低限の基準だとしている。同意するか。
社長 基準をぎりぎりでクリアすればいいとは思えない。少しでも最低限を上回り、しっかりしたものを整えたい。
知事 安全審査申請を急ぐのか。
社長 専門的な知識や知見を持っているところにチェックしてもらうことが必要だ。(対策が)足りないとか駄目なら直さなければならない。直すのであれば、急いだ方がいい。
・・・これを書きながら、私は今、虚しい気持ちで一杯です。本日、泉田知事が条件付きで東電の安全審査申請を承認したそうです。これについてはまた明日。
●東電きょう審査申請 知事条件付きで容認
柏崎原発 ベント協議は継続
東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動に向けた安全審査申請について、泉田裕彦知事は26日、東電の原子力規制委員会への申請を条件付きで承認した。フィルター付きベント設備について、安全協定に基づく事前了解とはせず、性能や運用面での協議を続け、必要に応じて改善することなどを求めた。東電は県が示した条件を記した上で、27日午前に規制委へ申請する。
山田治之防災局長が26日夕、承認を伝える文書を東電の増田裕治常務に手渡した。
承認は過酷事故時のフィルター付きベントの排気操作により、住民の健康に影響が出るような被ばくを避けられないと判明した際は承認自体を無効とすることが前提。
その上で@県との協議後、ベント設備に改善が必要な点があれば、修正申請することA地元の避難計画との整合性を持たせ、安全協定上の了解を得ない限り使用しないこと−を申請書に明記する事を条件にした。
県は審査申請は容認するが東電が投書から求めていた安全協定に基づくフィルター付きベント設置の事前了解ではないとしている。
泉田知事は26日夜、承認した理由について「柏崎刈羽原発は停止中だが生きている。事業者が安全性に自身がないと言えば、第三者の確認を拒む理由はない」と説明。「ベントをこのまま使うと(住民の)健康に影響が及ぶ危険がある。現状においてベントを使用することは認められない」と強調した。
広瀬社長は26日夜、2項目の条件について、報道陣に「しっかり満たすようにやらなければならない。(知事の)真意を確認し、誤解のないように申請したい」と話した。
柏崎刈羽原発の安全審査申請をめぐっては、7月に泉田知事と広瀬社長が会談したが物別れに終わった。25日の再会談では、広瀬社長が弁と設備の増強や安全協定を順守することを確約。知事は一定の評価を示していた。
●県歩み寄り 薄氷の合意
東電原発審査条件付き承認
こだわる東電への関与 「事前了解で」火種残す
県の山田治之防災局長は28日夕、東電の増田裕治常務を県庁に呼び、商人の文書を手渡すと「繰り返しますが、安全協定を順守し真摯に取り組んでください」と念を押した。
審査申請は容認するが、安全協定に基づいてベント設置を事前了解したわけではなく、今後の協議によっては変更を求めるという県の姿勢を伝えた物だ。
広瀬直己社長は25日の泉田知事との会談で、ベント設備の増強を提案し「当社だけで住民の被ばくを防ぐことは難しい」として、県などと連携する考えを示した。
これを受け知事は26日午前、条件を付けた上で「承認」する方向で調整を支持。7月の初会談では申請前の「事前了解」にこだわっていたが、「事前了解」を先送りし、結果として東電が当初から主張していた「安全審査と事前了解の同時並行」のような形で歩み寄った。
だがこれに対し、広瀬社長は26日夜、報道陣の「事前了解は得られたか」との問いに「はい」と答えるなど、泉田知事とは認識が食い違う。
分かりにくい決着に、県関係者からは「条件を付けても、東電が審査を申請すれば同じこと」と疑問視する声が漏れる。
知事が「条件」を付けることにこだわったのは、ベント設備の性能確認というハード面にとどまらず、住民の被ばくをどう防ぐかといったソフト面の対策が今後の課題となるからだ。
26日夜、報道陣の取材に応じた知事は、事故時の住民の避難計画について「事業者だけ、自治体だけでは決められない」と強調。ベント設備の性能向上のほか、過酷事故時に住民が屋内退避するための避難施設などを挙げ「費用を誰が持つのか、ということも考えないといけない」と述べ、東電と協議していくことも示唆した。
「承認」という言葉で当面の障壁を取り除いた両者だが、「事前了解」をめぐる火種は残したままだ。
●泉田知事一問一答
安全性確認 拒む理由ない
ベントの埋設 進展と理解
泉田裕彦知事は26日夜、県庁で取材に応じた。主なやりとりは次の通り。
−なぜ東京電力の安全審査申請を承認したか
「事業者が設備の安全性に自信がない、第三者のチェックを受けたいと言うのに拒む理由はない。フィルター付きベントを使わない条件の下で安全性の確認をすることは容認した」
−知事は事前了解にこだわっていたはずだ。
「広瀬(直己)社長から昨日、県の主張に沿って地価に埋設するベントを造る提案があった。進展したと理解している」
−新たに地下に造るベントも使わせないのか。
「それは今後の話だ。ベントは避難中の住民に影響が及ぶ危険があるので、使わないという条件を付けた」
−知事は昨日の会談後「なるほどとは思えない」と語っていた。一晩で気持ちが変化したのか。
「変化はない、より安全性を求めたからだ」
−東電の思惑をくんだのか。
「安全を優先した。私の前で社長が初めて『第三者の目で見てほしい』とはっきり訴えたので、そこはくみとった」
−ベントを使わないのなら安全審査に通らないのではないか。
「むろん、普通はそういうことになるんじゃないか」
−何が整えばベントの供用を認めるのか。
「住民の被ばくが避けられることが一番重要だ。誰が住民の安全を担保するかが規制基準にもなく、政府の態勢もよく分からない。県との協議後に修正申請を行うことが前提だ」
−東電との協議はどう進めるのか。
「(県の)技術委員会に入ってもらう必要がある」
−仮に東電が修正に応じない場合は。
「今回の承認が無効になる」
−事実上の再稼動への前進ではないか。
「再稼動の議論はしない。福島の事故の検証が先だ」
・・・この他にも、知事のコメントや、柏崎市、刈羽村両首長の発言、地元住民へのインタビューなどの記事もあるのですが、それに関してはまた今夜。
※朝の書き込みの続きです。
●泉田知事コメント
条件付き承認に当たり、泉田裕彦知事が26日に発表した談話は次の通り。
昨日の東京電力広瀬社長との会談において、フィルターベントが稼働する状況下では、避難中の住民が健康に影響のある被ばくをする危険があることが確認されました。
また、「新規制基準をクリアしただけでは住民の安全を確保できず、自治体との協議が必要」という点も共通の認識となりました。
加えて残念なことですが、東京電力は、フィルター付きベント以外の設備についても、田中原子力規制委員会委員長が「最低限の基準」と指摘する新規制基準をクリアできるか自信が持てない状況にあります。
柏崎刈羽原子力発電所は、停止していても生きている施設であり、安全確保が必要です。事業者が現状に対しても安全確保に自信を持てず、第三者の目を入れたいという状況を放置することは、地元にとっても望ましくありません。
フィルターベントの性能が十分なのか、避難計画と整合性が取れるのか等については、県技術委員会の場でも検討する必要があると考えていますが、それ以外の設備等については、規制基準適合審査によって、第三者(原子力規制委員会)の確認を求めることは容認したいと思います。
以上により、条件付きの承認を行うこととしました。
●柏崎市長 辛うじて信頼を維持
刈羽村長 避難計画策定進めて
泉田裕彦知事が東京電力柏崎刈羽原発の安全審査申請を条件付きで承認したことに、柏崎市の会田洋市長は26日、記者団に「(会談から)昨日のきょうで、随分速い判断だと感じた」と話した。
東電が早期の申請方針を固めた際、地元自治体に説明がなかったことに「誠に遺憾」と不快感を示していた会田市長。「一番大事なことは東電が地元との信頼関係を築き、理解を得ながら進めていくこと。今回は辛うじて信頼を維持できた」と語った。
刈羽村の品田宏夫村長は取材に「自体が前進したとは思うが、それ以上ではない。住民避難計画の策定には時間がかかる。今後は県と東電が連携し、策定を進めてほしい」と述べた。
●急展開 戸惑う地元 柏崎原発 申請承認
再稼働に向け一歩前進
安全を確認できるのか
東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の安全審査をめぐり、泉田裕彦知事が東電の原子力規制委員会への申請を条件付きで承認した26日、地元では「再稼働へ一歩前進した」と歓迎する声は上がる反面、事故時の被ばくを懸念し「安全を確認できるのか」との不安も出た。早期申請方針に反発していた泉田知事と東電の広瀬直己社長との再会談は25日に行われたばかり。翌日の急展開に戸惑いも広がった。
・福島の避難者 思い複雑
「再稼働へようやく扉が開いた」。原発を推進する柏崎市議の丸山敏彦さん(76)は安堵したように話した。柏崎刈羽原発の全7基が停止して1年半。地域経済に与えるダメージを不安視し「原発を止めておくことで経済的危険度が増す」と話し、早期の再稼働を望んだ。
一方、同原発を監視する住民組織「地域の会」副会長の佐藤正幸さん(69)は原発から5キロ圏内の柏崎市椎谷に住む。「規制委の新基準も住民避難を検証したものではない。避難に対する住民の不安にどう対応するのかが重要だ」と指摘した。
東電福島第1原発事故により本県に身を寄せる福島県の被災者は、複雑な思いを吐露した。富岡町から柏崎市に避難する矢内豪さん(79)は「(再会談があった)昨日の今日なのに」と驚いた様子。「私たちは福島事故で被ばくさせられた。知事はこれまで東電にしっかり主張していただけに、条件付きとはいえ今回の判断は少しがっかりだ」と漏らした。
いわき市から子ども2人と新潟市秋葉区に避難する緑川敦子さん(39)は「何でって思う。福島は汚染水の問題など解決どころか悪化している。その中で再稼働に向けた動きは許せない。知事には安全第一で筋を通してほしい」と訴えた。
柏崎刈羽原発の再稼動の是非を問う県民条例案を直接請求した市民団体「みんなで決める会」の共同代表橋本桂子さん(41)=上越市=は「この手続きは再稼働に直結する物ではないので、冷静に受け止めている。今後も知事と東電がどう責任を果たしていくか、県民はしっかりと見極める必要がある」と話した。
●東電 資金繰り危機回避
借り換え・融資条件整う
収支改善は見通せず
柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動に向けた手続きが一歩前進したことで、東京電力は懸念された当面の資金繰りの危機を回避できる見通しとなった。金融機関が借り換えに応じてくれる条件が整うためだ。しかし、収支を改善する再稼動がいつ実現するかは見通せないままで、厳しい経営が続くことには変わりがない。
東電は10月に約800億円の借り換え、12月には焼く5千億円の融資を予定している。これまでの交渉の中で、一部の金融機関は「再稼動の見通しが立たないなら再値上げすべきだ」と迫っていた。
安全審査の申請にこぎつけることで、東電が示す再稼動を前提にした収支計画が一応の説得力を持つことになるため、金融機関の姿勢も軟化するとみられる。
東電は原発停止に伴う火力発電用の燃料費がかさみ、2013年3月期連結決算の通常損益が3269億円の赤字だった。6、7号機が再稼働すれば燃料費を年間で2千億〜3千億円程度削減できるとしており、収支の大幅な改善を期待する。
ただ、再稼働するまでには不透明さがつきまとう。原子力規制委員会はすでに6原発の審査中で、申請が遅れた柏崎刈羽の審査をいつ本格的に始めるかははっきりせず、審査期間も通常6カ月程度かかるとされている。
東電は再稼働が実現するまでは修繕費の先送りなどで乗り切る方針。しかし、再稼働が遅れれば、福島第1原発の廃炉費用などが膨らむこともあり、再値上げをせざるを得ない状況に追い込まれる可能性もある。
●広瀬社長 本紙インタビュー
「事前了解得られた」 知事の見解と食い違い
東京電力の広瀬直己社長は27日、東電本社で新潟日報のインタビューに応じ、柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働に向けた安全審査申請について「安全協定に基づき、県の事前了解は得られた」との認識を明らかにした。事故時に放射性物質を低減して放出するフィルター付きベント設備の申請を26日に「条件付きで承認」し、事前了解ではないとしていた泉田裕彦知事との見解が浮き彫りになり、今後の県との協議に影響を及ぼす可能性が出てきた。
広瀬社長は「当社は安全協定を順守すると明言しており、協定にのっとって手続きを進めなければならない。今回も流れに沿って事前了解を出したので(県の回答は)了解を頂いたものだと思っている」と述べた。
泉田知事がベント設備の耐震性などを懸念していたことから、広瀬社長は25日の再会談で、第1ベントの強化と第2ベントの新設を伝えた。
広瀬社長は「今回、了解願いを出したのは第1ベント、第2ベントは(新規制基準が施行された)7月8日以降の話でもあり、着工前にあらためて事前了解をお願いする」と説明。第2ベントは着工から完成まで2年かかることも明らかにした。
「まずは第1ベントの審査を通らなければならない。第2ベントは規制要件ではないが、再稼働に向けた地元との協議ではしゃくし定規に(地元説明は不要と)考える必要はない」とし、県などと協議する姿勢を示した。
被ばくを防ぐための避難計画作りについては「自治体や住民の皆さんとの計画作りに参画しなければならない」とし、避難施設の被ばく量の解析、合同の避難訓練などを例に挙げた。施設設備への支援は「資金の余裕がない」とした。
6、7号機のように定期検査で停止した原発は、再稼働の際に地元同意を定めた法令はなく、事業者が判断できる。今後の対応について広瀬社長は「当社は大きな事故を起こした当事者で、心配されるのは当然だ。法律がどうではなく、しっかり理解を頂く必要がある」と強調した。
・・・うわぁ、他ならぬ東電社長が、「もらう物さえもらってしまえばこっちのもの。あとはその内容をとことん拡大解釈させてもらって、好き放題やらせてもらいますわ」と言い出しましたわ。当然それは、東電のバックについている国の意向でもあるのでしょうね。大体、第2ベントの着工から完成まで2年はかかると言っても、それまで再稼働を待つなんて事は絶対しないでしょうしね。そして、知事が東電の拡大解釈の上での暴走に対し、あれこれ怒り出しても、その時は国に、「東京地検」のカードをちらつかせてもらって屈服させてしまえばよい、くらいは思っているかもしれないですし。いや、まさか、東電(とその背後についている国)が今後好き放題することについては、実は知事と東電と国との間で話がついていて、知事には、煩い新潟県民達へのなだめ役が仰せ付けられているのかもしれません。そう考えると、あの玉虫色というか、東電でさえ拡大解釈ができてしまうあの内容にも腑が落ちます。
なんか今回の件では、どういうわけか、大阪冬の陣での豊臣方と徳川方との和睦や、太平洋戦争での海軍軍令部が真珠湾攻撃やレイテ沖海戦で、実行部隊に渡した作戦命令書を思い出してしまいましたわ(謎)。
この際、いっそ国も東電も、そして御用なマスコミも、「首都東京の為に、日本の政界、財界の為、あとは高い電気料金を払いたくない東京都民の為に、新潟県はその捨石となってくれ」とハッキリと言えばよいのです。そして泉田知事も、「そういう事ならば、納得し、了解した」と返答してくれれば、それはそれで(最悪ですけど)納得できます。なんか、太平洋戦争における大和の沖縄特攻でのやりとりみたいですけど(笑)。まぁその後は、あちこち大騒ぎになるでしょうけど(苦笑)。
でも、今の東電と国と御用マスコミ、あと東京都民がやっている事って、事実上そういうことなのですからね。それを、自分達はそこまで鬼畜ではないという面をしているから腹が立つのです。
●原発問題に質問集中
知事「チェルノブイリ教訓に」 県会一般質問
県議会9月定例会は1日、本会議を開き、坂田光子(自民)、青柳正司(同)、高橋直揮(同)、小山芳元(社民民主県民連合)、竹島良子(共産)、志田邦男(公民)の6氏が一般質問を行った。事故を起こしたウクライナのチェルノブイリ原発を8、9月に視察した議員らから質問が相次ぎ、泉田裕彦知事は「被災者の生活再建や情報公開の在り方などを教訓にすべきだ」と述べた。
8月に県議会の視察団に参加した志田氏は、発電量の半分を原発でまかなっているウクライナの現状を紹介した上で、「事故後もエネルギーの安定確保や国民生活を維持するため原発が必要だった」と指摘。日本のエネルギー供給体制の在り方を質問した。
知事は「エネルギー供給計画は人口や経済環境など、さまざまな要素の中で専門的な議論を通じて決まるものだ」と述べるにとどめた。
自民県連や経済関係者でつくる「エネルギー対策県民会議」のメンバーとして9月に視察した高橋氏は「国際原子力機関(IAEA)は日本の新規制基準を高く評価している」と報告した。これに対し知事は「東京電力福島第1原発事故の検証がなされていないのに、どういう根拠があるのか不思議でならない」と反論した。
また小山氏と竹島氏は脱原発の立場から、知事が9月26日に東電柏崎刈羽原発の安全審査申請を条件付きで承認した理由をただした。知事は「東電の独りよがりより、説明責任を負う原子力規制委員会が関与した方がましだ」と答弁した。
小山氏が承認に当たって外部からの圧力があったのではないかと追求すると、知事はそれに直接答えず、「東電が安全確保に自信がないという中、地元住民から不安を訴える声があった」、「地域に寄り添った判断だ」などと答えた。
・・・県議の視察団もわざわざチェルノブイリまで行って、何を見てきたのやら。まぁこの視察に関しては、あくまでも原発再稼働の為だと、県議団がチェルノブイリ行きを発表した際に、私は指摘しましたけどね。
話は変わりますけど、ちょっと気になる事が。
新潟日報の読者投稿欄、知事が東電の安全審査申請を承認した事についての投稿がぜんぜん掲載されません。知事が承認する前には、その是非について、結構投稿があった物なのですが。
ひょっとして、その知事の承認については、県民の誰も何の意見も持っていないのですかね?それとも、その件に関しては、投稿は一切掲載しないという新潟日報の方針なのですかねぇ?
●事故当事者に「不信感」
規制委 柏崎審査なお不透明
原子力規制委員会は東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の実質的な審査に入ろうとしている。設備面の安全対策の審査が先行申請した原発で手一杯な中、審査体制を見直すことで対応する構えだ。ただ、福島第1原発事故の当事者であり、事故収束、汚染水対策に追われる東電からの申請だけに、規制委の委員は厳しい視線を向けている。
「私の意見は言いません」。2日、東京都港区の規制委で開かれた田中俊一委員長の記者会見。東電が柏崎刈羽の審査を申請したことへの感想を問われた田中委員長は、コメントを避けた。理由についても「誤解を招くし、支障もある」と言葉を濁した。東電の申請に複雑な思い抱えていることをうかがわせた。
会見前の規制委会合では、委員から東電の申請に対して厳しい意見が相次いだ。中村佳代子委員は東電の放射性物質に関する知識、技術力不足を指摘し、「そんな会社が原子力について申請したことに驚きを感じる。技術力には非常に不信感がある」と語気を強めた。
ただ、規制委は法律上。電力会社から申請があれば受理して審査しなければならない。設備面の審査は各チームが手一杯のため田中委員長は会合で「規制委の能力を考えると審査体制を含めて検討する必要がある」と体制を見直す考えを示した。
規制委の現在の審査体制は、各原発の地震・津波対策をチェックするチームが1班、設備面の安全対策をチェックするチームが3班ある。設備チームはそれぞれ加圧水型原子炉3〜5基を抱えており、炉の型が異なる柏崎刈羽の審査を新たに担うのは負担が大きい。
このため、規制委は柏崎刈羽のような沸騰水型炉の設備を審査するチームを新設することを視野に入れている。これは当面、「柏崎刈羽専用」の審査チームになりうる。
それでも、柏崎刈羽の審査がスムーズに進むかどうかは不透明だ。
申請した2基の直下にある断層は、新規制基準に照らせば活断層の可能性が残る。規制委には、東電が柏崎刈羽の審査対応によって福島第1原発の収束、汚染水対策をおろそかにすることへの警戒も強い。
資金繰りに苦しみ、実質国有化された東電に安全対策を実行できるだけの財務基盤があるかどうかも問われそうだ。田中委員長はこの日の会見で「東電に国の金が入っている状況をどう判断するかが、今後の(審査で)議論になるだろう」と話した。
●更田委員インタビュー
備えの多様性を重視
原子力規制委員会の更田豊志委員(56)は2日、新潟日報社のインタビューに応じた。更田氏は、新規制基準づくりで設備面や過酷事故対策の議論をリードし、申請があった全原発の設備面の安全審査を担当する。近く始まる東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の審査に臨む基本姿勢などを聞いた。
−東電が柏崎刈羽6、7号機の安全審査を申請しました。
「あれだけの事故を起こした事業者が再び別の原発を(動かそう)、というのは複雑な思いだ。行政機関として申請があれば審査をするのが役割だが、個人的には福島第1と柏崎刈羽が別物とは割り切れない」
−審査体制はどうなりますか
「(東電の)申請内容次第。今、それを吟味している」
−今後の東電を含め、新規制基準に基づき、どのような姿勢、視点で審査に臨んでいますか。
「基準への適合という合格ラインに達しているかどうかだけを見るわけではない。規制委が要求したものがそろっているので安全だと言うのであれば、安全神話の復活になる」
「事業者がどのような(安全に対する)思想、姿勢で基準適合を達成しようとしているかを見ようとしている。大事なのは原発メーカー任せになっていないか。自ら考え、その原発の弱点を克服するのか説明を求めている。これまでの審査でも、基準は満たしているが、安全に対する姿勢が不十分との指摘はいくつかしている」
−新基準では、過酷事故対策が新たに事業者に義務付けられました。
「福島事故の技術的な最大の教訓は、(津波という)共通要因で非常用発電機などの機器が根こそぎ故障したということだ」
「これに対する備えとして、同じ機器を二つ置くという『多重性』ではなく、『多様性』に重点を置いた。非常用発電機を置く位置を分散させるとか、動作の仕組みが異なるものを(複数)用意するとか。一つの要因で(多くの機器が)共倒れになるシステムを回避しようというのが、大きなポイントになっている」
●「原発停止の影響 深刻」
県会産経委 詳しい調査求める声
県議会9月定例会は3日、4常任委員会の審議を始めた。産業経済委員会では、県が東京電力柏崎刈羽原発の立地地域で景気回復が遅れているとの調査結果をまとめ「原発停止が一定程度影響している」と分析したことに対し、委員から「影響はもっと深刻だ」として、詳しい実態把握を求める声が上がった。
県は、柏崎市と刈羽村にだけ事業所を置く法人と個人事業者を対象に、直近決算の税務データから全7基が停止した2012年3月前後の売上高を分析。対前期比で法人は0.6%増(全県1.3%増)、個人事業者は5.2%減(同0.8%減)と、いずれも全県を下回った。
柏崎市・刈羽区選出の三富佳一氏(自民)は「協力企業を含む同原発関連の雇用はピーク時の約1万人から半減している。生活への影響は非常に大きく、数字に隠れている実態がある」と指摘。斉藤隆景氏(同)は「泉田裕彦知事が本会議などで『原発停止以外にもさまざまな要因がある』と発言した根拠は何か。売上高だけで柏崎刈羽地域の経済実態は分かるのか」とただし、同地域の人口動態や消費動向、空き家・空室率などの現状調査を要請した。
武本清志・産業政策課長は「10月末までに窓口を設けて個別事例を受け付けている。柏崎市と刈羽村、商工会議所の協力も得て具体的な事例を聞き取り、それを踏まえて必要な支援策の制度設計をしていく」と述べた。
・・・ま、オラたちの生活のために原発動かせ!と言っていた連中に限って、一度事故が起きて全てを失ったら、それまでの自分達の事を棚に上げて、全ての責任を国と東電に負わせて被害者面しだすのですよねぇ。今我々は、そのよい例を見ている真っ最中ではないですか・・・。自らの生活のために原発再稼働を望むのなら、もし万が一何かあっても黙ってそれを甘受する、当然だと思いますけどね。どうせ柏崎・刈羽地域の連中は、将来原発事故が起きても、自分達の巻き添えにした他の新潟県民達に対して、絶対に責任は取らないでしょうし。
●「東電は自信がない」知事発言
「説明不正確」批判も 厚生委員会
東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の安全審査申請を承認した理由について、泉田裕彦知事が「東電が安全確保に自信がないとしている」などと説明したことに対し、3日の県議会厚生環境委員会で、柏崎市・刈羽区選出の東山英機氏(自民)は「東電は(自信がないとは)言っていない」と述べ、知事の説明が不正確だ批判した。
9月25日に行われた泉田知事との再会談で東電の広瀬直己社長は「(対策が)独りよがりにならないように、しっかりしたところ(原子力規制委員会で)チェックしてもらいたい」と述べた。
知事は同27日の県議会本会議で「新規制基準をクリアできるかどうか自信がないという旨の発言があった。第三者の目でチェックしてほしいという気持ちになるのは当然だ」などと答弁した。
東山氏は「知事が『自信がない』と言ったのであって、東電は言っていない。本会議など公式の場で知事が訴えるのはおかしい」と指摘した。
須貝幸子・原子力安全対策課長は「独りよがりになるのは好ましくないので、審査を受けたいという話だった。結果として(県には)自信がないと受け止められた」と説明した。
泉田知事は東電の安全審査申請を承認した同26日にも報道陣に「事業者が安全性に自信がないと言えば、第三者の確認を拒む理由はない」と説明。「独りよがりではいけないということは、絶対大丈夫ですと東電としては言えないということ。自信がないということだ」と述べていた。
・・・私もあの再会談を見て、「東電は『自信がない』なんて言っていないじゃないの???」と思いました。知事のあの発言は、影でさまざまな圧力を受け、不本意ながら承認せざるを得なかった負け惜しみ、と思っておりますが。もっとも、今のところの知事の行動はある種の遅滞戦術、と指摘もありますし。さて。
●ベント了解に市民から抗議
「安全認めたわけではない」
柏崎市長が会見
柏崎市の会田洋市長は9日の定例会見で、東京電力が柏崎刈羽原発6、7号機の安全審査を原子力規制委員会に申請したことに関連し、「(新規制基準が求める)フィルターベント設備の事前了解は、設備の安全性を認めたという意味ではない」との認識をあらためて示した。事前了解をめぐって市に抗議が寄せられていることに触れ、「真意が伝わっていない」と、自らの考え方をまとめた文書を先週末、全戸配布したことを説明した。
柏崎刈羽原発の6、7号機の安全審査申請を前に東電は、安全協定を結ぶ県、柏崎市、刈羽村に対し、フィルター付きベントについて事前了解を求めた。柏崎市は8月6日、3条件を付けて事前了解を伝えた。
その前後から市に対して抗議の手紙や電子メールが届くようになった。市によると、大半が事前了解への抗議や「再稼働を認めるな」とする内容だった。
会田市長は「事前了解は再稼働を認めたものではないが、誤解が広がっているので、市民に説明したかった」と文書を出した意図を説明。文書では、事前了解が原発の安全性を認めたということではなく、「現時点で原発の再稼働について議論する段階にはない」としている。
・・・市長はそう申しておりますが、柏崎、刈羽地区とつながりの深い、市議と村議、県議、国会議員は、再稼働に向けてやる気満々ですよね(笑)。
●風向き考慮した原発避難訓練
ことし9月、原発の運転再開の前提となる安全審査の申請が行われた新潟県の柏崎刈羽原子力発電所で事故の際住民が被ばくを避けるために風向きを考慮しながら避難する初めての訓練が長岡市で行われました。
この訓練は、福島第一原発の事故のあと長岡市が初めて行ったもので、原発から10キロ程の地域に住む住民や市の担当者などあわせておよそ6400人が参加しました。訓練は柏崎刈羽原発で事故が起き、放射性物質が放出されるおそれがあるという想定で始まりました。はじめに、住民たちは被ばくを避けるために家の中に入って身を守る「屋内退避」を行い、外の空気が入らないよう窓を閉めたり、換気扇を止めたりしていました。続いて、避難訓練が行われ、市の対策本部は風向きや気象条件を分析した結果南東向きの風が予想されることから、風下を避けて北の方角にある避難所に逃げるよう避難指示を出しました。
住民たちは避難先が示されると、バスなどに乗り込んで原発からおよそ30キロ離れた避難先に向かっていました。訓練では、13日の風向きの傾向を重視して避難先が決められましたが、住民たちが避難を始めてから避難所に着くまで長岡市の観測地点では北向きの風が吹いていました。
観測地点や地形によっても風向きは刻々と変わるため、風下に避難してしまうこともあり原発事故の際は避難先を決めるタイミングや経路の選定が課題となっています。長岡市原子力安全対策室の小嶋洋一室長は「たとえ風向きと同じ方向に逃げても短時間に避難できれば次の行動がとれる。情報を早くつかんで判断ができるよう訓練を重ねていきたい」と話していました。
10月13日 19時51分
・・・訓練開始時に風向きを調べ、その風上に避難するように指示を出したら、最終的にその避難先が風下になっていたという・・・笑えませんね。
しかし、自治体が原発事故の避難訓練をする事自体、この先原発は再稼働され、尚且つ原発事故も起きえて、この地域の事実上の消滅も有りえると、自ら認めているという事なのですよね。私なんかは正直ですから、だったら原発を再稼働させなければ、そのような事態へのリスクも大幅に減るじゃんか、と思うのですが。
結局、このような訓練を行う事自体、お上が住民に、「この先原発事故も起きえますし、皆さんの住んでいるところが事実上消滅する事も有りえます。でも原発を止める気はさらさらありませんから、皆さんお国の為に捨石になる事に対し、腹をくくってくださいね(ハァト)」と言っているようにしか思えないのですけど・・・。
さて、訓練を行った結果、避難自体そんなに上手くはいかない、という結果が出ました。これをどう取るかですね。どう避難計画を立てようと、実際にはどうやっても住民全員の安全な避難は保障できないから、原発再稼働は待ってくれ、とそこの自治体長が言い出すか、それとも適当な事を言ってそこら辺の問題をうやむやにしたまま再稼働を認めるか。さぁどうします?
でもですね、これでもこちらの避難訓練は、中越沖地震の教訓を踏まえた上での物なのですよ。先日行われた九電川内原発の避難訓練は、中越沖地震の教訓など全然生かしていない酷い代物だったようです。
●柏崎再稼働 来年7月想定
東電 再建計画見直し
東京電力が柏崎刈羽原発の再稼動時期を来年7月と想定していることが6日、分かった。今月中にも見直す「総合特別事業計画」(再建計画)に盛り込む方向で調整している。現在の総合特別事業計画では、柏崎刈羽原発はことし4月から順次再稼動するとしていた。しかし、原子力規制委員会への安全審査申請が9月になるなど、当初の計画通りに再稼動はできず、東電は計画の見直しを迫られている。
東電は柏崎刈羽原発6、7号機の安全審査を9月27日に原子力規制委員会に申請したが、規制委は、東電福島第1原発の汚染水問題への取り組み状況を見極めるとし、本格的な審査に入っていない。
東電の広瀬直己社長は中間決算を発表した10月31日の会見で、審査会合入りの見通しについて、「われわれが(汚染水対策を)ちゃんとやれば早くなるだろうし、今のような状況ではどんどん遠のくだろう」と述べ、汚染水対策への取り組みに全力を挙げる考えを示していた。
東電は6、7号機に続き、1、5号機の再稼動も目指している。規制委の審査状況を踏まえ、再稼動時期を提示することで、2015年3月期の収支改善の展望を示し、ことし12月に5千億円の融資を控える金融機関の理解を得たい考え。
コスト削減と柏崎刈羽原発の再稼動で利益を確保し、電気料金の再値上げは当面行わない方針だ。
しかし、規制委の議論次第では再稼動の想定時期はさらに遅れる可能性もある。さらに本県では、県技術委員会が独自に福島第1原発事故の検証作業を進めているだけに、東電が実際に再稼動にこぎ着けられるかは不透明だ。
東電本店広報部は6日、新潟日報社の取材に対し「柏崎刈羽原発の再稼動を来年7月と想定していることを含め、現時点で決定した事実はない」としている。
●知事「絵に描いた餅だ」
東京電力が近く見直す総合特別事業計画(再建計画)で柏崎刈羽原発の再稼動時期を来年7月としていることについて、泉田裕彦知事は6日午前の会見で「何の根拠もない。絵に描いた餅だ」と述べ、東京電力福島第1原発事故の検証を優先すべきとの考えをあらためて示した。
知事は福島事故について「東電がメルトダウン(炉心溶解)を認めるのになぜ2カ月もかかったのか。誰が指示をしたのか。人的な判断ミスはすぐに検証できる」と指摘。「検証をやらずに再開はあり得ない。(東電の体質を)直さないと同じことが起こる」と強調した。
東電は原子力規制委員会に安全審査を申請した6、7号機に加え、1、5号機の再稼動も目指している。知事は1、5号機申請の承認を東電から求められた場合、認めるかについて「原子力規制委で(6、7号機の本格的な)審査をしていない。意味がない。(対応は)今は決めていない」とした。
柏崎市の会田洋市長は6日午前の定例会見で「(ことし4月の再稼動を盛った)これまでの事業計画の枠内に収まらないので見直しは避けられないと考えていた。来年7月というのは仮置きだと思う」とし、「原子力規制委員会による(柏崎刈羽6、7号機の)審査も始まっていない中で、再稼動の議論はできない」と述べた。
刈羽村の品田宏夫村長は「再稼動は安全性の確保が前提。原子力規制委員会の審査で安全性が立証されれば発電してもいいのではないか。汚染水の対策や避難者の賠償は当然行うべきだが、電力の安定供給についても考えなくてはならない」と話した。
●柏崎刈羽原発6、7号機の審査
汚染水対策確認後か
規制委委員長
原子力規制委員会の田中俊一委員長は6日の会見で、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の本格的な審査に入るタイミングについて「福島第1原発の汚染水対策が国民から見て進んでいると安心感を得られる状況が、一つのメルクマール(指標)」と述べた。汚染水対策の進展状況を一定期間確認してから判断する意向を示唆した。
東電は、田中氏から先月求められた汚染水対策の「ドラスチック(抜本的)で長期的な計画」を提出していない。規制委が計画をチェックするだけでなく、進展状況まで見極めることになれば、本格審査入りはさらに遠のきそうだ。
会見で田中氏は、本格審査入りの時期について「考えていない。常識的なところで判断したい」と話した。個人的見解と断った上で「口先(の計画)だけでいい、というわけにはいかない」とも強調した。
柏崎刈羽6、7号機審査をめぐっては、東電が9月下旬に申請したが、規制委は東電の汚染水対策に不信感を示し、本格審査となる審査会合の開始を見送った。東電が10月中旬に示した対応強化策にも「問題を解決できる心証が持てない」(田中氏)としていた。
●柏崎原発 本格調査へ
規制委 近く初会合
原子力規制委員会(田中俊一委員長)は13日、定例会合を開き、東京電力が再稼動を目指して安全審査を申請した柏崎刈羽原発6、7号機について、公開の場で審査会合を開く本格審査に入ることを決めた。近く初回の会合を開き、まずは東電から申請内容の説明を受けた上で問題点の有無などを確認する方針だ。
規制委は東電福島第1原発の汚染水対策で人為ミスが相次いだことなどに不信感を抱き、柏崎刈羽の本格審査を見送っていた。だが、東電がこれまでに汚染水問題の対応で強化策を示したことを一定程度評価し、「審査をいつまでも止めておくと法的に問題がある」(田中氏)との事情もあることから審査入りに踏み切った。
田中氏は会合の最後に柏崎刈羽の審査について「まず申請内容の聴取と審査の前提となる問題点の指摘までを対応することで進めたらどうか」と提案。ほかの委員たちは賛意を示した上で「柏崎の審査に入るからといって、福島第1の手を抜くことは許されない」などと、汚染水対策を引き続き厳しく監視する必要性を強調した。
規制委が審査入りを決めたことで、柏崎刈羽原発の再稼動に向けた手続きが一歩前進することになる。ただ、田中氏は会合で「柏崎はこれまで審査した炉と違う沸騰水型原子炉だし、(東電の)技術力などいろいろ問題がある。実際にはすいすいと進むようなことは考えられない」とも指摘しており、審査期間は見通せない状況だ。
また、田中氏は会合後の会見で「福島第1で非常に困った事態が起こったときには審査の中断もありうる」とも述べた。具体的には「相当しっかり取り組まないと乗り切れない事態」を想定し、東電に福島第1の対応に集中させるためだと説明した。
柏崎刈羽6、7号機の審査をめぐっては、東電が9月中旬に、事故を起こした福島第1と同じ沸騰水型炉では初となる審査を申請。規制委は審査会合の開催を見送っていたが、東電に対して申請書類上の説明不足などを指摘する事務レベルのヒアリングを10月中旬から計10回行い、「既に初回会合の下準備は終わった」という。
東電は来年4月の再稼動を見込んでいるが、今月中にも見直す再建計画では来年7月に延期する方向で調整している。
●不信抱え審査入り 柏崎刈羽原発
原子力規制委員会が定めた新規制基準に東京電力柏崎刈羽原発6、7号機が適合しているかどうかの本格的な審査が始まる。規制委は福島第1原発の汚染水問題などの不手際を理由に見送っていたが、一転してゴーサインを出した。ただ、行政機関としていつまでも審査を棚上げできないという消極的な理由で、委員たちの東電に対する不信感は以前根強い。審査が順調に進むかは不透明だ。
・法的義務理由に転換
安全性 断層論議長期化か
規制委
「柏崎刈羽原発の審査の進め方だが・・・」。13日の規制委定例会合で予定の議題がすべて終わった後、田中俊一委員長が突然切り出した。公開の場での審査会合を始めることの提案だった。
規制委は、東電が福島第1での汚染水対策で人為ミスを相次いで起こした原因として、作業現場における管理体制の弱さや労働環境の悪化などがあるとみていた。福島の問題と柏崎の審査について「あれはあれ、これはこれというわけにはいかない」(更田豊志委員)などとし、柏崎の審査入りを凍結して福島での改善を求めていた。
これを受け、東電は10月と今月8日の2度にわたって管理体制や労働環境の改善策を示した。だが、13日の規制委会合でも委員からは「本当に全社一丸でやっているのか」(島崎邦彦委員長代理)、「実行して見せてもらわねば納得がいかない」(中村佳代子委員)と厳しい意見が相次いだ。
規制委が審査入りを決めたことに泉田裕彦知事は「汚染水漏れが止まらなくてもOKということなのか。(規制委は)何をやっているのか」と首をかしげた。規制委はなぜ、東電の汚染水対策に不信感を抱きながらも、審査入りへとかじを切ったのか。
田中氏は会合で「審査をすることは規制委に課された法的義務だ」と説明した。審査の棚上げを続ければ、違法性を指摘されかねないとの懸念があったとみられる。
また、透明性を掲げる規制委がこれまで、東電に対する事務レベルの非公開ヒアリングを10回も重ねた事も大きい。更田氏は会合で「(審査)プロセスの透明性からしても、一度も公開の会合を開かずヒアリングを積み重ねているのは好ましくない」と指摘した。
審査の行方は予断を許さない。両基は事故を起こした福島第1と同じ沸騰水型の原子炉で、しかも運転するのが事故当事者の東電。規制委は福島事故の教訓を踏まえて機器の性能や安全性、東電の技術力などを厳しくチェックする方針だ。
さらに、両基の原子炉建屋など重要施設直下には断層があり、将来ずれ動く可能性があるかどうかが議論になる見通し。田中氏はこの日の会見で「地盤の問題も議論されているし、それに基づく耐震性評価もある。そんなに簡単に、すぐ答えを出せない可能性がある」と話した。
・東電、収支計画策定を加速
原子力規制委員会が柏崎刈羽原発6、7号機の本格審査入りを決めたことを受け、東京電力は、総合特別事業計画(再建計画)に盛り込む収支計画の策定作業を加速させる。同原発の再稼動を織り込んで最終的な数値を固め、今月中に金融機関に説明する見通しだ。
東電の試算では、6、7号機が再稼動した場合、年間で最大4320億円の費用削減になる。最稼働時期について東電は2014年7月を想定しており、15年3月期以降、安定して経常黒字を確保できる状況を整えたい考えだ。
規制委の本格審査入りは、12月に5千億円の融資実行を求められている金融機関にとってプラスの判断材料になるとみられるが、実際には東電の想定どおりに状況が進展する保証はない。
規制委では沸騰水型の安全審査は初めてで、作業は難航が予想される。また、再稼動に際して了解が必要となる本県の泉田裕彦知事が慎重姿勢を崩していないなど、現時点で東電が再稼動を見通せる状況にはない。
このため東電ではコスト削減が引き続き課題となる。すでに子会社と不動産の売却は計画をほぼ達成し、人件費などの経費削減も計画達成にめどが付いた。
・「規制委分からぬ」泉田知事
原子力規制委員会が東京電力柏崎刈羽原発の本格審査入りを決めた13日、泉田裕彦知事は報道陣に「福島第1原発の汚染水漏れが止まっていないのに、なぜ審査をするか分からない」と批判した。柏崎市の会田洋市長は「シビアアクシデント(過酷事故)が起きないように対策が取られているか注目したい」と述べた。
知事は審査について、「適合したからといって住民の安全を確保できるものではない。再稼動とは関係ない」と強調。汚染水対策に進展がみられないとして「汚染水漏れが止まらなくても(審査入りが)OKということなのか。それならば審査をなぜ止めたのか。規制委は何をやっているのか、よく分からない」と疑問を示した。
柏崎市は規制委に対して、過酷事故時の対応や活断層の定義、集中立地問題など7項目について説明を求めている。会田市長は「原発の安全確保が第一。規制委は今後、審査の過程で地元が納得のいく説明をしてほしい」と要望した。
刈羽村の品田宏夫村長は「審査をうけるために申請したのだから、審査に入るのは当然の流れ。規制委にしっかり審査してもらい安全だと評価されれば、発電するのが原発の本来の姿。審査入りは再稼動への一歩だ」と話した。
●ルール通り審査を
判断 理解できない
柏崎原発 住民ら評価、批判
原子力規制委員会が東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の安全審査について本格審査入りを決めた13日、地元の柏崎市や刈羽村では「ルールにのっとった審査をしてほしい」と評価する声が上がった一方で、「規制委の判断は理解できない」との批判も聞かれた。福島第1原発事故で本県に避難する人たちは、東電が汚染水問題に十分対応できていない現状を挙げ「福島事故は収束していないのに」不満を口にした。
9月末に安全審査を申請した東電に対し、規制委は福島第1原発の汚染水問題への対応を批判し、公開で行う審査会合を見送ってきた。しかし、東電の示した対応強化策13日の会合で一定程度評価し、本格審査入りを決めた。
2012年3月に柏崎刈羽原発が全基停止して以降、地元では経済の停滞が懸念されている。柏崎商工会議所西川正男会頭(57)は「状況を見れば本格審査入りに時間がかかったのはやむを得ない。柏崎刈羽原発が新規制基準を満たしているかきちんと審査して、再稼動の判断材料にしてほしい」と前向きに捉えた。
一方、原発に反対する刈羽村生命を守る女性の会のメンバー、田村栄子さん(70)は=刈羽村=は「福島事故は収束しておらず、東電は信用できない」と強調。「審査は再稼動へ向けたステップの一つだと思う。東電は原発を運転する資格がない」と批判した。
夫や子供3人と福島県郡山市から新潟市江南区に避難している高島詠子さん(44)は「福島事故で原発が危険だと知った。事故後は放射線量がどれくらいなら本当に安全なのか分からず、安心して子育てできない。世界最大級の柏崎刈羽原発も心配だ。慎重に審査してほしい」と話した。
結局、すべては国と東電と柏崎市と刈羽村の問題とされてしまい、それ以外の者達、特に新潟県民の意思は無視されるという現実。そのくせ、この先いざという時には、御国の為の捨石となる事を強要されるのですから・・・。
乾いた笑いしか出てきませんよ。
●柏崎原発21日にも審査
規制委 断層評価が焦点
東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働に向けた安全審査について、原子力規制委員会が21日にも公開の審査会合を開き、本格的な審査に入る方針であることが18日、関係者の話で分かった。
柏崎刈羽原発は過酷事故を起こした東電福島第1原発と同じ沸騰水型原発で、規制委が新規制基準に基づいて沸騰水型原発を審査するのは初めてとなる。沸騰水型原発に設置が求められているフィルター付きベントや、原子炉建屋直下の断層評価などが焦点になる見込みで、審査の長期化も予想される。
新規制基準は、活断層上に原子炉など安全上重要な施設の建設を禁止している。規制委は活断層を13万〜12万年以降の活動が否定できない断層と定義。規制委はこの時期以降に動いたことが確認できなくても、40万年前以降にズレや変形がある場合には調査方法が不適切であるとの立場だ。
東電は自社の地質調査で、原発直下の断層について「約20万年以降の活動がない」とする結果を発表している。規制委が東電の調査結果を同判断するかが注目される。
泉田裕彦知事は13日の会見で、規制委が近く審査入りする方針を示したことに対し「福島第1原発の汚染水漏れが止まっていないのに、なぜ審査するのか分からない」と反発していた。
●柏崎原発 再稼働探る
地元市議ら あす新組織結成
全基停止が続く東京電力柏崎刈羽原発の地元柏崎市、刈羽村の議員らが呼び掛け人となり、原発推進・容認の立場で活動する「柏崎・刈羽明日のエネルギーのまち研究会」が20日、発足する。同原発の再稼働を目指して会合などを開き、地域活性化の方策を探るとしている。
商工関係者もも含む約20人が発起人となり、発起人共同代表を霜田彰柏崎市議会議長、丸山敏彦市議、佐藤一三刈羽村村議会議長が務める。
柏崎刈羽原発は東電福島第1原発事故の影響で2012年3月から全7基が停止。地元には地域経済や雇用への影響を懸念する声もある。
20日は柏崎市文化会館アルフォーレで設立総会を開く。企業などの関係者ら約100人が出席する予定で、後援会も行う。丸山市議は「地域活性化には再稼働が一番の近道だが、新エネルギーなども調査したい」と話している。
・・・我々新潟県民は、この先柏崎市と刈羽村の連中に殺されると考えておいた方が良さそうですね。
そしてその殺人者共が、最悪の場合には、被害者面して我々に助けを求めて避難してくるのですから・・・(以下自粛)。
●東電再建計画の料金値上げ
柏崎4基稼働が前提
東京電力が、柏崎刈羽原発の再稼働により収益が改善した場合の対応として総合特別事業計画(再建計画)に盛り込む電気料金の値上げに関し、原子力規制委員会が審査中の6、7号機に加え、今後審査を申請予定の1、5号機を合わせた計4基の再稼働を前提にしていることが19日、分かった。
6、7号機だけでは値下げが可能になるまでの収益効果は出ないとみているためだが、1、5号機の申請の見通しは立っていない。実現可能性が不確かな施策を盛り込めば、再建計画の妥当性に疑問が出そうだ。
東電は先週、6、7号機の再稼働時期を来年4月以降で複数パターン仮定した収支計画の原案を取引金融機関に提示した。来年7月の再稼働を最有力シナリオとしてとしており、詰めの作業を進めている。これに対し規制委は、福島第1原発の汚染水対策の状況などをみながら6、7号機の審査を慎重に進める方針だ。
東電は4基が再稼働すれば、燃料費を年間で約5520億〜7680億円削減できると予想している。東北電力への電力供給の再開による電力販売収入も見込まれ、値下げの原資が確保できるとみている。
柏崎刈羽原発の2、3、4号機は2007年の新潟県中越沖地震後、点検中の扱いになっており、一度も稼働していない。このため他の4基に比べて再稼働に時間がかかるとみられている。
東電は原発停止に伴い火力発電用の燃料費が急増して収支が大幅に悪化。昨年、家庭向けを平均8.46%、企業向けを14.9%それぞれ抜本値上げした。
●4基再稼働「地元無視」
東電再建計画 経済考慮、複雑な声も
東京電力が将来、電気料金を値上げする際、原子力規制委員会に安全審査を申請している柏崎刈羽原発6、7号機だけではなく1、5号機を含めた4基の再稼働を前提としていることが分かった。県内の関係者からは19日、「東電は地元無視」などの声が聞かれた。
柏崎刈羽原発に反対する地元3団体の矢部忠夫柏崎市議(70)は「地元を無視していることに憤りを感じる。しかし現実を見れば、再稼働できるはずがなく、そうした再建計画を国や金融機関が認めるとすればおかしい」と話した。
福島県富岡町から柏崎市に避難している石原政人さん(51)は「避難が続く中、再稼働してほしくないという思いはあるが、柏崎刈羽地域の人たちと接すると原発の停止が地域経済に与える影響も分かるので複雑」と心境を語った。
泉田裕彦知事は秋田市内で新潟日報社の取材に対し、「東電が再稼働(の方針)を決めるなんてあり得ないと思う。まずは事実関係を確認したい」と述べた。
●柏崎原発 あす審査
規制委正式発表
東京電力が再稼動を目指す柏崎刈羽原発6、7号機の安全審査について原子力規制委員会は19日、公開の審査会合を21日に初めて開き、本格的な審査に入ると正式に発表した。
初回の審査会合には、地震、津波対策をチェックする島崎邦彦委員長代理、設備面を担当する更田豊志委員の2人がそろって出席。規制庁の審査班とともに東電から申請内容の概要を聞き取る。
柏崎刈羽原発は過酷事故を起こした東電福島第1原発と同じ沸騰水型原子炉で、規制委が新規制基準に基づき沸騰水型を審査するのは初めて。
沸騰水型には過酷事故の際に原子炉格納容器の圧力を下げて破損を防ぐ「フィルター付きベント」の設置が義務づけられており、過酷事故対策の妥当性が審査される。柏崎刈羽では原子炉直下にある断層の活動性評価も焦点になりそうだ。
規制委事務局の原子力規制庁の 森本英香次長は記者会見で、審査会合の進め方に関し「初回は(直下断層などの)論点について、直ちに議論に入るとは聞いていない」と説明。聞き取りを基に論点を整理した上で、具体的な議論が始まるのは2回目以降の会合になるとの見通しを示した。
●「海水注入迷わず」
東電から聞き取り 県技術委
東京電力柏崎刈羽原発の安全性の検証を行っている県技術委員会は19日、東電福島第1原発事故の課題を少人数で議論する作業グループの会合を新潟市中央区で開いた。原子炉への海水注入の判断過程などで意見が交わされ、東電は「現場の判断でちゅうちょはなかった」と説明した。
会合は海水注入やベント(排気)など「重大事項の意思決定」がテーマで、非公開で行われた。長岡技術科学大の三上喜貴副学長ら4委員が、東電の五十嵐信二原子力運営管理部長らから聞き取りをした。
委員側は廃炉につながる海水注入に判断の遅れがなかったかどうかや、首相官邸、本店とのやりとりの詳細をただした。これに対し東電は、最終的に現場所長の判断だったなどと答えたという。
会合後、三上委員は「どのような事故対応の手順書を使い、何が不足していたのか、さらに説明を求めた。次回はそれに基づいて議論する」と話した。
●東電再建計画の料金値上げ
柏崎4基稼働が前提
東京電力が、柏崎刈羽原発の再稼働により収益が改善した場合の対応として総合特別事業計画(再建計画)に盛り込む電気料金の値上げに関し、原子力規制委員会が審査中の6、7号機に加え、今後審査を申請予定の1、5号機を合わせた計4基の再稼働を前提にしていることが19日、分かった。
の部分を
●東電再建計画の料金値下げ
柏崎4基稼働が前提
東京電力が、柏崎刈羽原発の再稼働により収益が改善した場合の対応として総合特別事業計画(再建計画)に盛り込む電気料金の値下げに関し、原子力規制委員会が審査中の6、7号機に加え、今後審査を申請予定の1、5号機を合わせた計4基の再稼働を前提にしていることが19日、分かった。
に、
●4基再稼働「地元無視」
東電再建計画 経済考慮、複雑な声も
東京電力が将来、電気料金を値上げする際、原子力規制委員会に安全審査を申請している柏崎刈羽原発6、7号機だけではなく1、5号機を含めた4基の再稼働を前提としていることが分かった。県内の関係者からは19日、「東電は地元無視」などの声が聞かれた。
の部分を
●4基再稼働「地元無視」
東電再建計画 経済考慮、複雑な声も
東京電力が将来、電気料金を値下げする際、原子力規制委員会に安全審査を申請している柏崎刈羽原発6、7号機だけではなく1、5号機を含めた4基の再稼働を前提としていることが分かった。県内の関係者からは19日、「東電は地元無視」などの声が聞かれた。
に、それぞれ訂正させていただきます。
院長先生及び、ここのブログをごらんの皆様には、謹んでおわび申し上げます。
●原発再稼動へ議員ら研究会 柏崎、刈羽
東京電力柏崎刈羽原発が立地する柏崎市、刈羽村の議員らが原発推進・容認の立場で活動する「柏崎・刈羽明日のエネルギーのまち研究会」の設立総会が20日、柏崎市の文化会館アルフォーレで開かれた。地域活性化のため、全基停止が続く同原発の再稼動を求めていくことを確認した。
総会には両市村の議員や企業関係者ら約100人が出席。会長に丸山敏彦柏崎市議を選出。副会長に霜田彰柏崎市議会議長、佐藤一三刈羽村議会議長を選んだ。
丸山会長は「福島第1原発事故が起こり、原発に対して国全体が厳しい姿勢だが、地域振興、日本の国力維持には取りあえず原発が必要。まず市民に対して原発の大切さを認識していただく活動から始めたい」と述べた。
会は今後、原発の必要性や新エネルギーなどについて、専門家を招いた懇談会や視察のほか、国や県への要望活動も検討するとしている。
・・・でもこの会の、原発再稼動への活動が、原発事故という最悪の結果を迎えたとしても、その責任は絶対に取らないのでしょうね(苦笑)。それどころか、おめおめと被害者面して、自分達の巻き添えにした、柏崎・刈羽以外の県内他地域に避難して来るのが目に浮かびます。
丸山会長は、日本の国力維持のためには原発は必要、と言っておりますが、どうせ、その日本の国益の為に自分達が殉ずる覚悟は、ハナっからないのでしょうし。
●柏崎刈羽原発 規制委審査始まる
弁と設備に質疑集中
東京電力が再稼働に向けて安全審査を申請した柏崎刈羽原発6、7号機について、原子力規制委員会は21日、初めての本格審査となる会合を開いた。新規制基準で設置が義務づけられているフィルター付きベントに規制委側の質問が集中し、「機能の信頼性や運用手順など非常に重要なテーマになる」と指摘した。規制委は具体的な論点を整理し、来週に予定される次回審査で示すとした。
過酷事故を起こした東電福島第1原発事故と同じ「沸騰水型」原発の審査は、柏崎刈羽原発6、7某機が初めて。
審査では過酷事故時に原子炉格納容器の破損を防ぐため、放射性物質を減らした上で蒸気を放出するフィルター付きベントの性能評価が問われる。さらに、原子炉直下の断層が活断層かどうかも大きな焦点になる見込み。規制委は福島第1原発の汚染水対策に東電がどう取り組むかも厳しく監視する姿勢で、審査の長期化も予想される。
審査会合には、地震津波対策を担当する島崎邦彦委員長代理と、設備面が専門の更田豊志委員のほか、規制庁の審査班約10人が出席。東電は原子力・立地本部副本部長の姉川尚史常務らが申請内容を説明した。
審査の冒頭、姉川常務は「事故の当事者であり安全意識の欠如、組織の在り方、技術的能力、経営について不安や不信があることを自覚している」と述べた。
東電が申請に当たり。フィルター付きベントの使用は「県の了解を得ない限り使用できない」と記載したことについて、更田委員は「条件付き審査のように思える」と疑問視。東電は「自治体は慎重な防災計画につなげたいと考えている」と応じた。屋外に設置したベント設備に航空機などが衝突し破損した場合の対応や、蒸気を放出した際の屋外作業への影響なども確認していくとした。
東電は柏崎刈羽6、7号機の審査を9月下旬に申請。規制委は福島第1の汚染水対策を問題視し、審査を見送っていた。その後東電が示した改善策を一定程度評価し、本格審査入りを決めた。
●「県の了解」鍵握る
ベント運用 手順固まらず
東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の原子力規制委員会による本格審査が21日、始まった。規制の質疑は、東電福島第1原発と同じ沸騰水型に義務づけた「フィルター付きベント」に終始した。東電がベントの運用開始を県の了解後と申請書に書き込んだことに対し、規制委は具体的な運用が固まっていないのではないかと疑問視。今後の東電と県の協議の行方が、審査の進展に影響する可能性も浮上している。
「場合によっては運用できないこともあるのか。これは審査に耐えうるのか」
会合で規制委の審査担当者がフィルター付きベントに関し「立地自治体の了解の後に運用を開始する」とした東電の申請書の一文を読み上げた上で繰り返し尋ねた。
フィルター付きベントは実際に運用が可能で、使用の手順も固まっていることが審査を進めるための前提となる。規制委側の質問は、東電が県の了解が得られていない段階で申請したのは準備不足ではないかと指摘するものだった。
東電が「県の了解」を申請書に書き込んだのは、県の求めに応じたからだ。泉田裕彦知事は東電の申請を承認するにあたり、@県との協議後、ベント設備に改善が必要な点があれば修正申請するA地元の避難計画との整合性を持たせ、安全協定上の了解を得ない限り使用しない−と申請書に明記することを条件にした。東電は屋外だけでなく、原子炉建屋に隣接した地下にも「第2ベント」を設置する方針も示した。
会合では、今後の東電と県の協議次第で申請内容が大幅に変更される可能性についても規制委側から懸念が示された。東電の姉川尚史常務は「万が一、審査の前提が崩れるような変更を考えなければならないときは、再び申請する」と応じざるを得なかった。
会合ではフィルター付きベントの性能、運用面に関する指摘も相次ぎ、過酷事故対策の有効性を慎重に判断しようとする規制委の姿勢が鮮明になった。
設備面の審査を担当する更田豊志委員は、使用に至る判断やタイミングなど「そもそも運用に関する手順を整備するのが非常に難しい。審査の中で大きなテーマになる」と強調した。
泉田知事は21日、取材に対し、審査については「把握していない、確認する」と語ったが。「(ベントを使用すると)健康に影響ある被ばくが起きうる」とも述べ、ベント運用の了解に慎重な姿勢を崩していない。また規制委に対しては同日の会見で「何のための審査なのか」とあらためて不信感を募らせた。
・知事 「規制委の判断能力疑う」
原子力規制委員会が東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の審査会合を始めたことについて、泉田裕彦知事は21日午前の会見で、福島第1原発の作業員の労働環境が改善されていないとし、「東電のどこに管理能力があると評価したのか、規制委の判断能力が疑われる」と指摘した。
新規制基準で設置が義務付けられているフィルター付きベントに関し、知事は避難計画との整合性が取れなければ運用できないことを審査の申請条件にした。
知事は同日午後にも報道陣に応え、「機器の性能だけでなぜ安全と言えるのか、委員長に説明してもらいたい。立地自治体に説明責任を果たさない中でゴーサインを出そうと考えているのか」とし、規制委の姿勢に重ねて疑問を投げた。
また、柏崎市の会田洋市長は21日、「原発の安全確保は国の責任だ。結果を市民が理解することが大前提で、説明を求めていきたい。審査の進展を見て課題と思うことは質問していく」とし、再稼働については「審査が始まったばかりで議論の段階にない」と述べた。刈羽村の品田宏夫村長は「規制委はしっかり審査してほしい」と話した。
●活断層問題が最優先
再稼働へ議論順調に
丁寧な説明求める声も
原子力規制委員会による東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の本格審査が始まった21日、立地地域の柏崎市や刈羽村では規制委へのさまざまな要望が聞かれた。原発に批判的なグループは「敷地内断層の詳しい調査を」と慎重な審査を求め、推進派からは「スムーズな審査を期待したい」との声が上がった。審査内容を住民にも同時並行で伝えてほしいとの注文も出ていた。
柏崎刈羽原発に反対する地元3団体の武本和幸さん(63)=刈羽村=は、自宅で審査会合のインターネット中継を見守った。最も注視しているのは原子炉直下の断層問題。この日の審査では事故時に放射性物質の放出を低減するフィルター付きベントが議論の中心になり、断層問題に関して詳しい議論はなかったが、「きちんと審査されれば、活断層だと認定されるはず。最優先で議論してほしい」と期待した。
20日には同原発の再稼働を推進・容認する立場の「柏崎・刈羽明日のエネルギーのまち研究会」が設置された。再稼働に反対する立場の住民からは、こうした動きが規制委の審査に影響することを懸念する声もあるが、同研究会の丸山敏彦会長(76)=柏崎市議=は「率直に言って意外と早く審査が始まった」と歓迎した。「再稼働は停滞している地域を活性化する一つの手段だ。審査を順調に進め、安全性を確認してもらいたい」と考えている。
「規制委の信頼を高めるためにも、審査の過程を住民に随時説明する事が必要だ」。同原発の透明性を確保する地域の会の新野良子会長(62)=柏崎市=は要望する。「審査結果が出てからまとめて説明されても理解が追いつかない。住民への説明を同時並行で行うなど工夫してほしい」と求めた。
・・・しかし、東電が「フィルター付きベントの運用開始は県の了解後」と申請書に書き込んだ事が、結構な問題に発展するとは。
まさか泉田知事は、このような事態に誘導すべく、あえて東電にそう書かせるよう事に仕向けたのではないのでしょうね?
だとしたら、とんだ策士ですわ。
あと、丸山会長は規制委に安全性を確認してもらい(早期の再稼動に持ち込んでもらい)たいと述べているようですが、その規制委が、再稼働に待ったをかけたらどうするのですかね?その時は、規制委を激烈に批判しますかねぇ?(笑)
●柏崎原発ベント運用
条件付きなら不認可
規制委員長 審査進行に影響か
原子力規制委員会の田中俊一委員長は27日の記者会見で、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の審査申請書で過酷事故時の重要設備「フィルター付きベント」を運用するのは地元の了解が必要としていることに対し「そうした前提条件で(申請を)認可することはないだろう」と述べた。地元の意向で変更される余地を残したままの申請に否定的な考えを示した形で、審査の進行に影響する可能性が出てきた。
規制委員会は28日の第2回審査会合で、今後の審査の具体的な論点を示す予定にしている。初回会合でもベントについて東電側に集中的に質問しており、28日の会合ではこの問題に対する厳しい姿勢を示すとみられる。
田中氏は会見で、柏崎刈羽原発のベントの設備、運用が規制委の審査後に地元の意向によって変更されかねないことについて「地元が安全規制をやることはありえない。勝手に安全施設の運用を変えられては困る」と問題視した。変更された場合は再審査が必要になるとの見方を示した。
田中氏の発言について東電広報部は新潟日報社の取材に「明日の審査会合で提示される論点を踏まえてしっかりと対応したい」と答えた。
一方、泉田裕彦知事は「規制委の審査は住民の安全を考慮していない。フィルター付きベントは地元の了解が得られるまで運用できないことを踏まえて議論してほしい」と文書でコメントした。
フィルター付きベントは、事故で原子炉格納容器内に蒸気が高圧で充満して容器が破損することを避けるため、蒸気の放射性物質を減らした上で外部に排気する設備。東電はベントの運用と住民の避難計画との整合性を懸念する県の求めに応じ、申請書に「立地自治体の了解後に使用を開始する」と明記した。
●規制委、ベント運用に疑念
手順変更ならやり直しも
東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の安全審査をめぐり、過酷事故対策として新たに設置が義務づけられた「フィルター付きベント」の運用開始にあたっての県の了解があらためて焦点として浮上した。原子力規制委員会の田中俊一委員長は27日の記者会見で、県と東電の協議次第で実際に運用できるのか定かではない状況では申請を認可できないと強調。28日の審査会合で東電が具体的な運用の見通しを示せなければ、ベント設備に関する審査が保留となる可能性もある。
「(フィルター付きベントの問題は)明日議論になるだろう」。27日の会見で田中氏は、東電がベント設備を県の了解後に運用すると申請したことについて、28日の審査会合で主要な論点になるとの見方を示した。
21日の初回会合では、規制委側の質疑がフィルター付きベントに集中。運用開始に県の了解が必要という前提条件に対し、規制委は実際に運用できるのかという疑念をあらわにしていた。ベント設備が運用できなければ、過酷事故に対応できないからだ。
規制委はさらに、東電が今後、県と協議の上でベント運用の手順を定めるとしていることも、審査の進行に影響すると懸念する。規制委は運用手順も含めて審査するが、今後、東電と県の協議で手順が大きく変更されれば審査をやり直す必要が出てくる。
規制委の審査担当者は「後戻りする可能性があるならば、もう少しきちんとしてから(審査を進める)という話になる」と説明し、東電が運用手順を固めるまでベント設備の審査を保留する可能性も示唆。田中氏の27日の会見での発言も、こうした見方が背景にあるとみられる。
今後の審査の進行を大きく左右しそうな県の了解だが、規制委は「自治体と事業者の関係には関与しない」(田中氏)と突き放す。ベント設備の審査が進まないようであれば、東電は地元了解に関する文言について県と協議する必要に迫られそうだ。
ただ、泉田裕彦知事は「ベントをこのまま使うと住民の健康に影響が及ぶ危険がある」として、地元了解が必要との立場を強調している。県は、ベント設備の性能や使用時の影響を調べる調査チームを庁内に設置しており、今後、調査結果を基に県技術委員会で住民避難との整合性を検証する構えだ。
●規制委が断層調査方針
東電のデータ「不十分」
原子力規制委員会は28日、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機に関する2回目の審査会合を開き、敷地内断層は活断層ではないとする東電のデータが不十分だとして、敷地内や周辺断層の現地調査を行う方針を示した。
規制委は地層断面を確認するため、試掘溝を掘るよう東電に求める考え。東電は同原発の再稼動を来年7月と想定して経営再建を進める姿勢だが、活断層かどうかをめぐる審査は長期化する可能性が高い。
現地調査は6、7号機直下に限らず敷地内全ての断層が対象。東電への聞き取りを踏まえ、年内に計画を作成。年明けに規制庁の担当者が現地を訪れ、試掘溝の場所などを詰めた後、島崎邦彦委員長代理が加わる本格的な審査を行うという。
会合では、地震、津波の評価方法や、重要施設の性能など東電に詳細な説明を求める27項目の主要な論点を挙げた。
更田豊志委員が事故時の重要設備「フィルター付きベント」の運用方法について、自治体との協議次第で手順が変更されることへの懸念をあらためて示し、審査を進める前に大きな変更がないことを担保する資料の提出を求めた。
東電の姉川尚史常務は会合後、記者団に「論点に対し適切な回答ができるよう臨む。(断層問題は)用意しているデータをまず示したい」と話した。
●活動の可能性見極め
敷地内全体を対象に評価
原子力規制委員会が東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の審査会合で示した27項目の主要な論点で、焦点となる断層の活動性評価は両号機直下だけでなく敷地内全体を対象とし、東電がこれまで活動性を否定した周辺断層についても根拠となるデータを要求した。フィルター付きベントでは、放射性物質を除去する装置の実験結果や耐久性になどについて説明を求めた。
規制委は活断層を13万年〜12万年前以降の活動が否定できない断層と定義。この時期以降に動いたことが確認できなくても、40万年前以降にずれや変形がある場合は調査手法が不適切との立場だ。
東電は敷地内断層について、自社調査の結果として「約20万年前以降の活動がない」と説明している。しかし、規制委は新たに試掘溝調査を行う考えで、将来活動する可能性があるかを慎重に見極める姿勢だ。
中越沖地震の断層断面とされる海域の「F-B断層」や敷地内を走る「真殿坂断層」、海域に存在が指摘される「佐渡海盆東縁断層」について、活動性を否定する根拠となるデータを求めた。
過酷事故の際、原子炉格納容器の破損を防ぐためフィルターを通した蒸気を外部に放出するベント設備に対し、規制委は運用手順が重要なテーマだと指摘。さまざまな事故ケースに対して、使用するタイミングがどう周辺環境に影響するかなどをチェックする。
航空機が衝突しベント設備が破損した場合に格納容器の破損を防ぐ対策や、フィルターで除去できない放射性希ガス低減策もただす。
津波では、規制委は地方自治体による日本海東縁部断層を基にした津波評価結果を反映させるよう指摘した。竜巻や火山灰による機器への影響や防護策の妥当性も審査のポイントに挙げた。
●早くも長期化の様相
断層、ベント運用に不信感
原子力規制委員会による東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の審査が28日の第2回会合で早くも長期化の様相を見せている。規制委は東電の申請のうち「敷地内断層の活動性」と「フィルター付きベント設備の運用」に疑念を抱き、納得できる説明がなければ審査を進めない構え。東電は今あるデータや計画を示せば乗り切れるとの強気な姿勢をにじませ、認識の違いが浮き彫りになった。
規制委が示した審査の「主要な論点」は27項目に上がった。これまで申請した他原発が十数項目だったことに比べ、ほぼ倍の多さだ。
しかも、その入り口に重い課題を突きつけた。地震・津波分野の審査を取り仕切る島崎邦彦委員長代理は会合で「敷地周辺の断層の活動性のデータが十分得られているのか。まず現地調査が必要だ」と強調した。
これまでの他原発での敷地内断層調査では、電力会社に調査計画を立てさせていたが、柏崎刈羽では規制委自らが計画づくりに乗り出す。規制委事務局、原子力規制庁の小林勝管理官は会合後、記者団に「敷地内と周辺に断層が多いためだ」と説明した。
規制委は敷地内断層の試掘溝調査を指示する方針も示した。同調査は、関西電力大飯原発(福井県)で規制委の指示から終了まで10カ月かかっており、長期化は必至だ。
設備分野を担当する更田豊志委員は会合で、事故時の重要設備、フィルター付きベントの運用手順について「十分な確からしさがないと審査に入れるかどうか疑念を持たざるを得ない」と述べた。審査後に地元自治体の意向で変更される可能性がある場合は審査に入らない考えを示した。
規制委の厳しい審査方針にも、東電の姉川尚史常務は会合後の取材に強気な姿勢を見せた。
断層の調査については「最終的なデータの確認のための現地調査だと受け止めた」と話した。「東電のデータでは不十分」(小林管理官)とする規制委とは認識が大きく食い違った。
姉川常務は規制委のベント設備に対する懸念にも、「地元と協議して運用を変更するということがあれば、再び審査してもらう」とし、当面は変更含みの運用計画のまま審査に臨む考えを示した。
●性能よりも住民の安全
知事が規制委批判
東京電力柏崎刈羽原発6、7号機に関する原子力規制委員会の審査会合で、フィルター付きベントの運用が焦点の一つに浮上していることについて、泉田裕彦知事は28日の会見で「(ベントの)性能だけ見たってしょうがない。事故はさまざまな要因で起きる。住民の安全をどう守るかという使命感を持ってやってもらいたい」と述べた。
規制委はベント設備の運用手順が県との協議により変更される可能性があることに懸念を示している。
知事は「被ばくを避けられるかどうかの避難計画が先だ」とあらためて強調。「規制委に多くの意見を言ってきたが、一切受けてもらえなかった。だからこういう事態になっている」と批判した。
●フィルター付きベント運用手順
協議後、規制委に説明を
柏崎6、7号 県、東電に申し入れ
東京電力柏崎刈羽原発6、7号機に対する原子力規制委員会の審査でフィルター付きベントの運用が焦点の一つとなっていることを受け、県は2日、運用に関する立地自治体との協議を終えるまで、規制委に運用手順を説明しないよう東電に要請した。東電側は受け入れる考えを示した。
山田治之防災局長が東電の伊東真一立地地域部長を県庁に呼び、要請文を手渡した。文書では「ベントの際の住民被ばくを避けるため、避難準備などに十分な協議が必要」と指摘した。伊藤部長は「規制委に提出した申請書でも自治体と協議するとしている。それに沿ってきちんと実施したい」と述べた。
要請後、山田局長は報道陣に「緊急時の運用を何より重視している。確実に自治体の合意を取っていただく」と強調。東電が追加対策として示した地下埋設型の第2ベントに関しては、まだ審査対象ではないが、「当然見ないといけない」と述べ、協議の対象となるとの見解を示した。
文書ではまた、「ベント運用や住民避難の協議を円滑に進めるため」として、規制委の田中俊一委員長と泉田裕彦知事の面会が実現するよう東電側からの働き掛けを求めた。
●ベント運用基準
「規制委審査確認したい」 柏崎市長
柏崎市の会田洋市長は4日の定例会見で、原子力規制委員会による東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の審査で焦点の一つになっているフィルター付きベントの運用手順について「規制委がどこまで責任を持ってチェックするのか、どう審査を進めるのか確認したい」と述べた。
フィルター付きベント過酷事故の際、原子炉格納容器の破損を防ぐためフィルターを通した蒸気を外部に放出する装置。柏崎市は設置に当たり、見直し中の住民避難計画との整合性を図るため、運用について協議するよう東電に求めている。また県は立地自治体との協議を終えるまで、運用について規制委に説明しないよう東電に申し入れた。
市の担当課はこれまで2回、東電からベント設備の機能や使用が想定される状況について説明を受けたという。会田市長は「どういう手順で運用し、その結果どのような影響が出るのかが重要なポイントだ。住民が安全に避難できるよう、東電を含む関係機関で十分調整しなくてはならない」と説明した。
●東電、ベント手順書提出
柏崎原発 規制委は不備指摘
東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の審査で、東電が9日に原子力規制委員会と事務レベルで面談し、規制委から求められていた、事故時の重要施設「フィルター付きベント」の運用手順書を示していたことが10日、分かった。規制委側は、手順内容に不明確な部分があるほか、資料の不備もあるとして不足分を示すよう求めたという。
ベントの運用手順をめぐっては、運用に関する立地自治体との協議を終えるまでは規制委に手順を説明しないよう県が東電に求めていた。東電は当初受け入れる考えを示していたため、反発を招く可能性もありそうだ。
規制委側によると、東電が9日の面談で示したのはベントを運用する際の運転員の操作手順書。ただ、「肝心な部分は『(原発)所長の指示を仰ぐ』となっていて、その所長がどう対応するかのマニュアルもなかった」という。
また、規制委が設備面の審査に入る前提としている、ベントの運用手順が自治体との協議によって大幅に変更されることがないことを担保する資料も示されなかった。
ベントの運用手順を示したことについて、東電広報部は10日、新潟日報社の取材に「担当者がいないので答えられない」と説明した。一方、県の山田治之防災局長は「手順を示すとは聞いていない。事実関係を確認したい」とコメントした。
フィルター付きベントは、過酷事故の際、原子炉格納容器内に蒸気が充満して容器が破損するのを防ぐため、放射性物質を減らした上で排気する装置。東電福島第一原発事故の教訓に基づく新規制基準で、柏崎刈羽のような沸騰水型原子炉に設置が義務付けられた。
今日の新潟日報朝刊より
●核廃棄 県内に適地
旧動燃報告書 村上など7ヵ所
高レベル放射性廃棄物の処分地選定を担った旧動力炉・核燃料開発事業団=動燃、現日本原子力研究開発機構(JAEA)=が1980年代に本県を対象に航空写真などによる地質調査を行い、県内は村上市や魚沼市にある7地点を、廃棄物を地下に埋設する地層処分の「適地」とする報告者をまとめていたことが10日、分かった。動燃は87年に処分地選定の役割を外れたが、その後も90年代に佐渡市北鵜島でボーリング調査などを実施。新潟日報社の取材に対し、地元の住民や首長は目的や結果について「(動燃から)説明を受けていない」と話している。
・・・ちなみに、その7ヵ所とは、
脇川(村上市)
桑川(村上市)
前ノ岳(村上市)
湯蔵山(関川村)
赤谷地区(新発田市など)
宝珠山(阿賀野市・阿賀町)
大石山(阿賀町)
高鼻山(魚沼市)
北鵜島(佐渡市)
です。
詳しい事は、明日以降、少しずつお知らせしていきます。
●核廃棄 県内に適地
旧動燃報告書 村上など7ヵ所
高レベル放射性廃棄物の処分地選定を担った旧動力炉・核燃料開発事業団=動燃、現日本原子力研究開発機構(JAEA)=が1980年代に本県を対象に航空写真などによる地質調査を行い、県内は村上市や魚沼市にある7地点を、廃棄物を地下に埋設する地層処分の「適地」とする報告者をまとめていたことが10日、分かった。動燃は87年に処分地選定の役割を外れたが、その後も90年代に佐渡市北鵜島でボーリング調査などを実施。新潟日報社の取材に対し、地元の住民や首長は目的や結果について「(動燃から)説明を受けていない」と話している。
高レベル廃棄物の処分地は現在も未定のままだ。現在、経済産業省の放射性廃棄物の処分を検討する作業部会で処分方法の見直しを含めた議論が行なわれており、今後の原子力政策の焦点の一つとなっている。安倍晋三首相は10日、高レベル放射性廃棄物問題の解決に国が前面に立って取り組むため、新たな方針の作成を検討するよう関係閣僚に指示した。
現在、処分地選定を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)は動燃の調査結果について「報告書は既に公開している。(処分地選定に向け)収集する資料の一つとする可能性はある」と、選定に際して判断材料とする可能性を示唆している。
新潟日報社が入手した本県に関わる調査結果をまとめた報告書は2種類。本県の調査内容の詳細が判明したのは今回が初めて。航空写真などを基に地形を判読した「広域調査」と、現地で実際に地下の状況を調べた「地質環境調査」があり、いずれも動燃が民間に調査を委託していた。
広域調査は本県を含む28道府県を対象に行い、県内7地点を含む88地点を「適地」に挙げていた。県内の調査は86〜87年に行われ、ほぼ全域が写った航空写真などから地形を分析。7地点は花こう岩類でできており、市街地やガス田が近くにないなどの一定条件を満たしたとされる地域が選ばれていた。
地質環境調査では、佐渡でボーリングなどの調査が94〜96年に実施された。動燃を前身とする核燃料サイクル開発機構(サイクル機構)の資料によると、ボーリングは他に全国16カ所で行われた。
佐渡では最深で435メートルの地下まで掘り進め、地下水の成分も調べた。報告書には岩盤に対する評価として「地質は複雑。さらに深部の地質環境データの取得が望まれる」との記述があった。新発田市などでも電磁波を利用して地下の状況をみる調査が行われ、89年に報告書が作成されている。
動燃、サイクル機構の後続組織、JAEAは調査について「全国のさまざまな地質データの取得が目的だった。地点を選ぶ際の当時の考え方など詳しいことは分からない」(地質処分研究開発部門)と説明している。
(解説)
県内7地点が「適地」とされていた高レベル放射性廃棄物最終処分地の選定に向けた1980〜90年代の調査のやり方は、透明性を欠いたものと言わざるを得ない。旧動燃の調査は、地元住民や自治体に調査の目的や結果について十分な説明がなされていなかった。
国は、東京電力福島第1原発事故後に停止した原発の再稼動を進める上で鍵とする最終処分の方針策定を急ぐ考えだ。しかし、同様な方法で臨めば理解は到底得られないだろう。
放射性廃棄物の最終処分の問題は、これまでの国と電力会社の無責任ぶりを象徴しているともいえる。原発を増設する一方、最終処分地の選定を先送りにしてきたからだ。その結果、国内原発には使用済み核燃料が構内の貯蔵プールにたまり続けてきた。
東電柏崎刈羽原発は全7基が稼働した場合、約3年で貯蔵プールがいっぱいになる計算だ。原発が「トイレなきマンション」と批判される要因になっている。
東日本大震災に伴う福島原発事故により、国や電力会社へ国民は厳しい視線を注いでいる。本県では2004年の中越、07年の中越沖と大きな地震が続いた経緯もある。
放射性廃棄物の最終処分は原発を再稼働するか、脱原発を進めるかにかかわらず、避けては通れない課題だ。透明性の高い国民的な議論が不可欠であり、国など説明責任が問われる。
国が原発再稼働のためだけに最終処分の方針策定を急ぐとしたら、本末転倒になりかねない。
・・・この極秘調査に関する記事は、昨日の朝刊だけでもあと2つ、今日の朝刊でも複数掲載されているのですが、時間がありませんので、また明日以降お知らせします。
●県内に核廃棄物「適地」
「なぜ秘密」地元不快感
一方的調査 報告もなし
旧動力炉・核燃料開発事業団(動燃)が1980〜90年代に県内を対象に実施した地質調査は、地元に目的が説明されず、結果の報告もなかった。本県の住民や首長らは新潟日報社の取材に、詳細を明かさないまま調査を進めていた動燃の手法に対して「なぜ秘密にしたのか」と不快感をあらわにした。
94〜96年にボーリング調査などが行われた佐渡市北鵜島(旧両津市)の区長、北村佐市さん(59)は取材を通じて「調査から約20年たって、初めて何の調査をしていたか分かった」と驚く。
ボーリング調査は地層処分の技術開発が目的で、北村さんが所有する土地で行われた。現場の作業監督は目的について「地質調査」とだけ説明。北村さんは結果をまとめた報告書をもらうことを条件にボーリングを許可したにも関わらず、今も報告書は届いていない。口約束は今もほごにされたままだ。北村さんは「それだけ内密の調査だったのか」と厳しい表情を見せた。
95年に旧両津市長選に当選した川口徳一さん(74)も「市の代表者に説明してもらえなかったのは残念。そういう進め方が今(処分地が決まらない現状)につながっているのでは」と批判した。
航空写真などを基にした広域調査の対象地域はいずれも、調査が行われていたことすら「知らなかった」と口をそろえる。適地とされた地点がある市の市長は動燃の体質を非難し、処分地への応募を完全否定する。
宝珠山が適地とされた阿賀野市の田中清善市長は「国民に知らせず一方的に行うことにあぜんとしている」と不信感を募らせた。3地点が挙げられた村上市の大滝平正市長は、調査について見聞きしたことは「ない」と説明。処分地への応募についても「全くあり得ない」と断言した。
・・・11日付の極秘地質調査に関する記事はまだあるので、明日お知らせします。
この他にも、昨日一昨日と、新潟日報には、柏崎刈羽原発関連や、県内の浄水場から発生する汚染汚泥の処理に関する記事などが出てきているのですが、それらに関しては、この終末に一括してお知らせします。
●核廃棄物処分地 都市部は調査対象外
本県分一部ネット非公開
住民の閲覧難しく
高レベル放射性廃棄物の処分地選定を担った旧動力炉・核燃料開発事業団=動燃、現日本原子力研究開発機構(JAEA)の広域調査は、人口の多い都市部があらかじめ対象から外されていたのが特徴だ。原発同様、リスクを伴う施設の候補地選定では都市部を避けたいという意図が透けて見える。JAEAは調査に関する報告書を「公開している」とするが、県内分は一部が岐阜県に保管されているなど、住民が簡単に見ることができない状態になっている。
航空写真などを基に県内7地点が処分地「適地」とされた「広域調査」は、既存の文献なども参考にして「活断層が予想される」と断層の位置や方角を示しているほか、地形や植生、岩の種類などについて分析した。
この報告書で動燃は「人工構築物の建設にとって望ましくないと考えられる」として、適地を選ぶ際に除外する地域の要件を示した12項目を記している。
項目には「人口密集地(主要市街地)」との記述があり、新潟市や長岡市、上越市など県内主要都市の人口を記載。7地点はいずれも都市部以外に位置し、結果的に県内では山間部が適地として選ばれた。
JAEAは「都市部を外そうとしていたかどうかは分からない」(地層処分研究開発部門)と説明する。除外する地域の項目にはほかに「石油・ガス田地域」や「鉱山密集地」、「ダム・発電所建設地」などがある。
地層処分を研究する杤山修・原子力安全研究境界処分システム安全研究所長は先月下旬、日本記者クラブでの会見で「日本のたいていのところは(地質的に地層処分が)できる」との見解を表明。「社会的な問題でどこがいいとか悪いという話しもある」とも語った。
リスクを伴う処分地の選定には、情報公開が欠かせない。JAEAの前身の核燃料サイクル開発機構が調査対象の市町村名を公開したのは、市民団体が起こした情報公開訴訟で敗訴したことがきっかけだった。
JAEAは調査結果の報告書をインターネット上で公開しているものの、膨大な数がある。数を絞り込むには、JAEAのホームページの検索システムで表題や著者名などを打ち込まなければならない。
佐渡でのボーリング調査に関する報告書の名称は「北日本中・古生代斑レイ岩類の深部地質環境データ」。キーワードなどを正確に把握していないと、探し出すには困難さも伴う上、手間がかかる。
また、本県の広域調査の報告書については、ネット上では著者や簡単な調査目的など基本的な情報しか載せられていない。県内のどの地域を対象にどんな調査をしたのかなど、具体的な内容を記した報告書の本体は岐阜県土岐市の施設にだけ保管されている。
JAEAは、本県の広域調査の報告書をネット上で公開していない理由を「引用部分が多く、インターネットで公開するには著作権の関係で問題が多いと判断した」と説明している。
●地方へ押しつけあってはならぬ 泉田知事
泉田裕彦知事は10日、原発の高レベル放射性廃棄物の最終処分地について、「国主導の選定で自治体に押しつけることがあってはならない」と述べた。県議会12月定例会で答えた。
最終処分地の選定をめぐっては、経済産業省が6日に示したエネルギー基本計画の素案で、従来の自治体による応募方式から、国が科学的に適正の高い地域を示す方式への変更を示した。
知事は「原発は国のエネルギー政策として進められてきた。最終処分場の問題は国の責任で対応すべき重要な課題だ」と指摘。一方的な選定を防ぐため、「全国知事会と協議しながら国に取り組みを求めている」と話した。
・・・隠蔽のそしりを受けたくないから、一応ネット上でも公表する、しかし、かなりのネットスキルがないと見つけられないところにこっそりと。まぁよくあるやり方ですな。
これも、特定機密保護法が成立したので、今後は「国家安全保障上の機密に該当するので」という理由で公開すらされなくなるのでしょうね。
12月12日付新潟日報朝刊より
●核廃棄物処分、佐渡で調査
知事「説明求めたい」
旧動力炉・核燃料開発事業団(動燃)が高レベル放射性廃棄物の地層処分の技術開発のために1990年代に佐渡市でボーリング調査を行っていたことについて、泉田裕彦知事は11日、「承知していないので説明を求めたい」と述べた。県議会12月定例会で答えた。
動燃が80年代に航空写真などを基に地質調査を実施し、県内7カ所を「適地」としたことについては、2005年の県議会6月定例会の本会議で取り上げられており、知事は11日の取材に「当時と(考え方は)同じ」と答えた。当時、知事は「本県は首都圏に電力を供給する原発を抱えており、一定の社会的責任を果たしている。最終処分地になることは県民感情からして極めて問題が多い」と答弁していた。
また知事は11日の県議会で、国が福島県内で進める東京電力福島第1原発事故による汚染廃棄物の中間貯蔵施設建設計画を「環境省が一方的に発表して大混乱になった」として例に挙げ、高レベル放射性廃棄物の処分地についても「同じように進めて地域社会のコンサンセスを得られるか疑問を感じざるを得ない」と懸念を示した。
●東電・規制委と非公開面談
被ばく対策軽視も
地元配慮欠く対応相次ぐ
東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の審査で、東電は原子力規制委員会との事務レベルの面談の中で、地元自治体や住民への配慮を欠いていると受け取られかねない対応を重ねている。県と協議せずに、事故時の重要設備「フィルター付きベント」の運用手順を示したほか、住民への被ばく対策を軽視するかのような発言もあり、地元で反発が高まりそうだ。
柏崎刈羽原発審査の下準備のために2日開かれた規制委と東電との非公開面談。東電は、4日前に規制委が示した審査の論点に疑問を示した。
規制委は論点の一つとして、ベントを使って放射性物質を放出する際に住民被ばくをできるだけ低減する方策を説明するよう求めていた。東電はこれに「新規制基準には記載されていない」として、論点に関する規制委の考え方を質問したのだ。
面談に臨んだ審査担当者は「なんで規制基準に入っていないことが審査の論点になるのか、という質問だった」と話す。面談では「住民の被ばくをできるだけ低減させるのは当然だ」と突き放したという。
東電の発言は、広瀬直己社長が公言している「規制基準を上回る対策を用意する」との言葉とも食い違う。しかも住民の被ばく低減という立地にとっての重要課題をまぐる発言。県の山田治之防災局長は11日、「被ばく低減は住民のことを考えれば当然。規制委に求められるまでもなく取り組むべきことだ」と苦言を呈した。
東電は9日の面談で、県と協議しないままベントの運用を含む「事故時操作手順書」を提出。泉田裕彦知事は11日の議会答弁で東電に対する不信感を示し、記者団にも「事前に協議してほしかった」と不満を口にした。
東電広報部は新潟日報社の取材に対し、住民被ばく低減策に関する面談での発言については「規制委から低減策の説明を求められていた(ベントで放出される)ガス状放射性物質とは何を想定しているのかが基準に書いていなかったので尋ねた」と釈明。ベントの運用手順を規制委に示したことについても「ベントをどう操作したらどう動くのかを示しただけ。(県との協議が必要な)住民の避難状況の確認を含む手順まで示したわけではない」と主張している。
●県、再度申し入れ
ベント手順の事前説明
県は11日、東京電力が柏崎刈羽原発6、7号機の審査に関し、事故時のベント(排気)操作を含む手順書を原子力規制委員会に提出したことを受け、立地自治体に事前に説明するよう再度申し入れを行った。
県庁で原子力安全対策課の須貝幸子課長が、東電新潟事務所の菅沼郁哉所長に文書を手渡した。
文書では、東電が規制委に提出した資料について「提出済みの申請書の要約版であっても新たに作成し、非公開のヒアリングの場で説明したもの」と指摘。「住民の健康に影響を及ぼす可能性のある事項を説明する場合は、立地地域の不信を招かぬよう事前に説明する」ことを求めた。
泉田裕彦知事は11日の県議会12月定例会の答弁で、「要約版だとしても(公開の)委員会ではなく、密室で提出することは立地地域の不信を増幅する」と話した。
ベントの運用手順をめぐっては県が2日に立地自治体との協議を終えるまで規制委に説明しないよう東電に申し入れていた。
12月13日付新潟日報朝刊より
●ベント「県に説明したい」
柏崎刈羽所長 性能や事故想定
東京電力柏崎刈羽原発の横村忠幸所長は12日の定例会見で、原子力規制委員会による同原発6、7号機の安全審査で焦点となっている過酷事故時の重要設備「フィルター付きベント」の運用をめぐり、県が東電に規制委への説明前の協議を要請していることについて「設備の性能や事故想定などを県に説明させてもらいたい」と前向きな考えを示した。
先月の審査会合で規制委は、フィルター付きベントの運用が自治体との協議次第で変更される事を問題視し、「十分な確からしさがないと審査に入れるかどうか疑念を持たざるを得ない」としていた。一方で県は立地自治体との協議を終えるまで、規制委に運用手順を説明しないよう東電に求めている。
横村所長は「事故時にどのくらいの時間でどれだけ放射能が出るのかを自治体に説明し、避難計画との整合性を話す中で、『確からしさ』が出てくるか規制委と相談したい」と述べた。
東電が規制委との非公開面談で県との協議なしにベントの手順書を提出したことについて、横村所長は「(規制委に提出済みの)申請書に書かれている文書との認識だった。県の不信を招いたなら申し訳ない。これからは調整してやりたい」と語った。
規制委は原子炉直下の断層評価のため、敷地内や周辺断層の現地調査を行う方針を示している。横村所長は「まずはこれまで調査してきた地質データを説明し、その後に現地調査の日程が決まるだろう」と話したが、具体的なスケジュールは示さなかった。
●東電、ベント使用法説明
柏崎原発 県技術委 検証始まる
東京電力柏崎刈羽原発の安全性を検証する県技術委員会の全体会合が19日、新潟市中央区の朱鷺メッセで開かれ、過酷事故時の重要装備で安全審査の焦点の一つになっているフィルター付きベントの検証が始まった。東電は事故で原子炉格納容器の圧力が使用限度の2倍に達したり、容器の温度が200度に上昇したりしたときに、ベントを実施するとの想定を明らかにした。
東電の川村慎一原子力設備管理部長が性能など設備の概要や、容器の破損を防ぐために条件に達した際、原発所長の責任でベント操作を行う考えを説明した。事故シナリオも示し、冷却水や全交流電源の喪失が重なった最悪の場合にベントが必要になるとした。
委員が「直ちに炉心損傷が始まり、通報や避難の時間がないのではないか」と指摘したのに対し、川村部長は「20〜30分で損傷が始まると考えている。外部からの代替注水の有効性などを今後説明したい」と述べた。
技術委は今後、ベントの性能や使用時の放射性物質の拡散予想、地元の避難計画との整合性などを検証する方針を決めた。また、東電福島第1原発事故の検証のため、六つのテーマごとに行った作業グループの議論を踏まえ、約180項目の疑問点をまとめた。既に東電に回答を求めている。
会合後、中島健座長は「重要なのは住民被ばくを抑えられるどうかだ。被ばく量が大きいとの結果が出れば、柏崎刈羽の運転ができないということになる。避難計画との整合性が問題になるだろう」と述べた。
・・・以前、県内自治体で行われた原発事故の避難訓練の際にもコメントしたのですが、考えてみれば、県技委と東電が、柏崎・刈羽地域最期の日について討論しているのですよねぇ。物凄いシュールな光景というか、ブラックジョークというか。で、それに対して何の疑問も抱かず再稼動を叫んでいる柏崎刈羽地域民・・・。自分達の故郷が事実上消滅するかも知れないというのに、その時には避難すれば良い、で話が終わってしまっているのが凄すぎます。
●原発避難計画策定4割
30キロ圏 県内9市町村はゼロ
原発の半径30キロ圏にある21都道府県の135市町村が事故に備えて策定する住民の避難計画について、策定済みは4割の53市町村にとどまるとの集計(12月2日時点)を政府がまとめ、原子力防災会議に20日報告した。東京電力柏崎刈羽原発の30キロ圏に9市町村は全てが未策定だった。再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査が進む四国電力伊方(30キロ圏は8自治体)と九州電力玄海(同)は全自治体が策定を終えた。(以下略)
●広域避難先 調整進まず 県内
本県の東京電力柏崎刈羽原発から半径30キロ圏にある9市町村では、いずれも住民避難計画の策定が終わっていない。県による広域避難先の調整が進んでいないためだ。市町村は「早く調整してもらわないと策定できない」と口をそろえる。県は2014年3月までに計画の方向性を示したいとしている。
柏崎刈羽原発が立地する柏崎市と刈羽村は、原発と5キロ圏内などが即時避難地域(PAZ)になるが、一時避難先などについて県の計画との整合性を図らねばならず具体的な住民避難の方策を定めることができない。全域がPAZの刈羽村は「県の計画が策定されないと、決めることができない」と漏らす。
市域の多くが30キロ圏に入る長岡市は原子力災害に備えた避難訓練を行うなど、策定に向けた作業に取り組んでいる。小嶋洋一・同市原子力安全対策室長は「市外への避難先について県による広域調整が必要だが、遅れている」と話す。一部が30キロ圏の上越市の笠原浩史・防災計画課長は「市町村がやれる部分はやっている。県の調整を急いでほしい」と強調した。
県は冬季の除雪や避難車両の確保など、国に問題提起しているという。須貝幸子・原子力安全対策課長は「13年度中にできるところから示し、新たな要素を順次加えて実効性のあるものにしていく」とした。
・・・昨日ああいうコメントをしたら、今日のこの記事ですよ。
住民避難計画を策定しているというと聞こえが良いですが、要は、「自分達の住んでいるところの消滅も覚悟した上で、原発再稼働を容認する」という意思表示をしている事になるのですよね。国と電力会社は内心ほくそ笑んでいる事でしょう。
しかし、自粛して詳しくは語りませんけど、刈羽村のコメントには口アングリですわ。
どのような論議を進めておられるのか詳細については存じ上げませんが、核廃棄物問題は未解決のままで処分地や処分方法に関しての東電側の説明はどのようなものなのでしょうか。考えてみればこの問題について、事故前からなにひとつ進展したようには聞いておりません。再処理技術が相変わらず危険で未完のまま、地方にリスクを押し付けるだけで思考停止している核廃棄物問題を指摘すれば再稼働などありようがないと思えるのですがいかがでしょうか。
●柏崎原発 地下ベントで東電
県などに事前了解要請
東京電力は24日、柏崎刈羽原発6、7号機の原子炉建屋脇の地下にそれぞれフィルター付きベント設備を増設するとして、安全協定に基づく事前了解を県と柏崎市、刈羽村に求めた。同様の設備は両号機の原子炉建屋脇の地上にも建設中だが、より地震の揺れに備えるとして新たに造る計画。設計から完成まで約3年かかるとしている。
フィルター付きベントは、過酷事故の際に原子炉格納容器の破損を防ぐため、内部の蒸気をタンク内の水を通し放射性物質を減らした上で外部に放出する装置。泉田裕彦知事が揺れで蒸気を通す配管が破損する恐れがあると指摘しており、東電は追加対策として「地下式」を検討していた。
新たなベントは原子炉建屋と同じ地下約30メートルの岩盤に固定。地震の際、建屋と設備の揺れ方は最大2センチ程度のずれに収まると試算され、配管は破損しないという。放射性セシウムを「99.9%以上取り除く」などとするフィルター性能は、地上の設備と同じとした。
県はフィルター付きベントを使う場合の避難計画への影響などを示すよう求めており、19日には県技術委員会でも運用方法が議題になった。県原子力安全対策課の須貝幸子課長は「避難計画の整合性は地上と地下の設備を総合的に考える。詳細を聞き、技術委員会に諮りたい」と話した。
既に地上の設備への事前了解を出している柏崎市、刈羽村は「内容を確認する」とし、回答時期や条件は未定とした。
●柏崎原発
地下式のベント「技術委で検討」
泉田知事
東京電力が設置の事前了解を求め、県に資料を提出した柏崎刈羽原発6、7号機の地下式の第2フィルター付きベントについて、泉田裕彦知事は25日の会見で「まずは県技術委員会で検討してもらう。評価はその後になる」と述べ、技術委の検証作業を待つ考えを強調した。
地下式のベントは既に技術委での検証が始まっている。今後は地下式も合わせ、性能と地元住民の避難計画との整合性などを検証することになっている。知事は検証について「要援護者の避難や停電の中での情報伝達など、学問的な面だけでなく、行政の課題も議論してもらう必要がある」とした。
東電は、地下式は設計から完成まで約3年かかるとしている。
・・・第2ベントが完成するまで約3年と申しておきながら、来年7月に柏崎再稼動とはこれ如何に???
●知事 年内最後も東電批判
県政重大ニュース問われ
泉田裕彦知事は年内最後となった25日の会見でことしの県政重大ニュースを問われ、「東京電力は(福島第1原発)事故の当事者でありながら、メルトダウン(炉心溶解)を隠蔽したことを相変わらず説明しない」と東電の対応を批判した。事務当局が作成した原案には入っていなかった項目で、知事があらためて不満を表した格好だ。
知事は「暗い話題」として、台風や豪雨災害に次いで東電の対応を挙げ「これ(隠蔽)が全ての元凶。当事者が反省しないということは道徳的にも許されない」と語気を強めた。(以下略)
●柏崎「ベント」検証
県技術委、結論見通せず
課題山積、国の協力不十分
東京電力柏崎刈羽原発の安全性を検証する県技術委員会で、福島第1原発事故の課題を明らかにするための議論が続いている。今月中旬に開かれた技術委の全体会合では、東電に対し175項目にも上がる膨大な疑問点が示された。東電は新たな総合特別事業計画(再建計画)で柏崎刈羽6、7号機の2014年7月の再稼動を想定。泉田裕彦知事は「再稼働の議論は福島事故の検証・総括が先」との姿勢を貫いているが、課題が山積する技術委ではいつ結論が出るのか見通せない状況だ。
(報道部・安達傑)
技術委は事故検証を効率的に進めるため10月に「重大事項の意思決定」など課題別に六つの作業グループを設置した。各グループによる東電への聞き取りが一巡し、今回の全体会合で175項目の疑問点が報告された。
疑問点は、「なぜ事故から2カ月が経過してからメルトダウン(炉心溶解)を認めたのか」「責任者が電話に追われ、事故対応がおろそかになったというが、なぜそんな体制を取ったのか」など細部にわたる。
技術委での福島事故の検証は泉田知事の要請を受けて12年7月に始まった。今秋には柏崎刈羽原発6、7号機に設置される過酷事故時の重要設備「フィルター付きベント」の検証も加わり、問題点は多岐にわたる。
だが、関係機関から十分な協力を得られず、議論が進展しない面もある。技術委は検証には原子力規制庁の協力が不可欠とし、今回の会合にも出席を求めたが規制庁は欠席。委員からは「柏崎刈羽原発の安全性に関わる検証を進めているのに顔を出さないのはおかしい」との声が漏れ、座長の中島健・京大原子炉実験所教授も「オブザーバーでもいいので出てほしい。今日も規制庁のコメントがほしい場面があった。今の対応ではやや不満がある」と訴えた。
疑問点を検証する上では東電の対応も課題になる。技術委は今後、東電の回答を待ち、175項目の疑問を一つずつ解消していく。東電の川村慎一原子力設備管理部長は「基本的に全ての項目に対し、しっかり説明していくしかない」とするが、委員からはこれまでも東電が公表しているデータについて信頼性を疑う指摘が多く出されており、委員が納得するには時間がかかると見られる。
泉田知事は25日の会見でも「再稼働の議論は福島事故の検証・総括が先だ」「地下式のフィルター付きベントは技術委で評価してもらう。それを踏まえコメントしたい」と、技術委の議論を待つ考えを強調した。
今回の会合で、東電の審査申請の際に知事が「地元避難計画との整合性が取れない限り、運用しない」との条件を付したフィルター付きベントも初めて議題になったが、検証の対象となる地元の避難計画自体、当該9市町村全てで策定できていない状況だ。
技術委の中島座長は「技術委は福島事故の検証委員会ではない。あくまで福島で得られた教訓を柏崎刈羽にどう反映するかということだ」と強調。技術委は14年3月に13年度分の議論を取りまとめる予定だが、「東電の回答待ちもあり、本格的な議論はこれからだ。14年度に引き継ぐところは、当然残るだろう」との見通しを示した。
第二社説欄「座標軸」より
●核廃棄物処分 小手先の対応では済まぬ
原発政策のひずみの象徴ともいえる問題の行方が来年、焦点の一つになりそうだ。使用済み核燃料を再処理する際に出る高レベル放射性廃棄物の最終処分のことである。
原発を利用してきた一方、それに伴う核のごみへの対処は遅れ続けてきた。難題だけに本来は最優先で取り組むべき課題だったはずだ。
政府は「最終処分関係閣僚会議」の初会合で、最終処分地の選定について国が候補地を示す方式に切り替えることを決めた。自治体が応募する従来方式からの転換だ。
政府は来年1月に閣議決定するエネルギー基本計画に方式転換を盛り込む。来春をめどに新方式の具体的な仕組みをまとめる考えという。
しかし、こうした小手先のような対応で最終処分問題が果たして前に進むのか。これまでの経緯を踏まえればにわかには信じがたい。
国は2000年、高レベル放射性廃棄物を地下深くに埋めて処分する方針を決めた。電力会社などでつくる原子力発電環境整備機構が02年に全国市町村を対象に公募を始めた。
だが、第1段階の文献調査でさえ応募したのは07年の高知県東洋町だけだ。当時の町長は辞職に追い込まれ、出直し選挙で反対派が当選して応募を取り下げる事態となった。
国主導に切り替えたとしても候補地選定は難航が必至だろう。東京電力福島第1原発事故後、原発政策への国民の不信は根強い。
そんな中で「トイレのないマンション」批判が勢いを増すのは、原発の再稼働を進めたい政府にとって不都合な要因に違いない。
新方式導入で最終処分問題への積極姿勢を強調し、再稼動への逆風を押さえ込むつもりなら、本末転倒だ。
(論説編集委員・三島亮)
新潟県民様 いつも貴重な情報アップありがとうございます。
このことはこれを拝見するまで知りませんでした。なんてこと。
政府は米軍施設・区域への立ち入りを禁じる刑事特別法を適用、海保や県警を積極投入し辺野古の抵抗者を即検挙へという記事が昨日出ていましたが、もはや形式もかなぐり捨ててなんでもやっちゃうって感じですね。
処分場問題でもおそらく市民の抵抗は同じように押さえつけられるのは目に見えていますので、新潟県の委員さんたちの理を尽くしての問いかけの意味はますます大きくなっていると思います。どうぞお力を。
●放射性廃棄物地層処分
関川で「勉強会」設立支援
NUMO 震災後に中断
高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定を担う原子力発電環境整備機構(NUMO・東京)が2011年3月に起きた東日本大震災の前に、地域活性化を目的に設立された関川村の住民有志による任意団体と連携し、廃棄物を地下に埋設する「地層処分」について学ぶ「勉強会」の設立に向けて動いていたことが30日、新潟日報社の取材で分かった。11年度中の発足を目指して準備を進めたが、大震災と東京電力福島第1原発事故を受けてNUMOが中断を申し入れた。現在、この任意団体は活動していない。
NUMOは具体的な支援先について「支援先との信頼関係を損ねる」(広報部)として公表していない。NUMOが現地に出向いて働き掛けた自治体、団体が明らかになるのは県内で初めてとみられ、全国的にも珍しい。
NUMOは10年度から、地層処分に関する地域の理解を広める目的で「勉強会支援事業」を実施している。広報部によると、全国で10年度は9件、12〜13年度は10件の実績があった。関川村のケースは活動が停止したため件数に含まれていない。
関川村では地域活性化の探る目的で、09年から地元住民ら約15人が勉強会の準備を進めていた。NUMOの担当者と連絡を取りながら、原子力関連施設の視察や、地層処分に関する学習会を開催する計画を立てていた。
だが、大震災発生直後にNUMOの担当者から、関川村の勉強会関係者に「原発に関する事業を全て中断する」という趣旨の連絡があったという。
高レベル放射性廃棄物の処分地選定をめぐっては、旧動力炉・核燃料開発事業団=現日本原子力研究開発機構(JAEA)=が1980年代に本県を対象に航空写真などによる地質調査を行い、関川村の湯蔵山を含む7地点を地層処分の「適地」とする報告者をまとめていたことが分かっている。
来年は国が候補地選定に主体的に関わる方針で、原発の再稼働問題とともに大きな焦点となる。
●処分地選定 先行き不透明
初期の調査にも進めず
原子力発電環境整備機構(NUMO・東京)が関川村で東日本大震災前に、高レベル放射性廃棄物地層処分に関する「勉強会」の設立に動いていたことが30日、明らかになった。東京電力福島第1原発事故後、原発関連施設に対する国民の見方はさらに厳しくなり、候補地選定は難航している。
NUMOの勉強会支援事業に決まると、自治体は年間最大600万円、団体は同200万円が活動資金として支払われる。2013年度までに延べ19件が支援を受けている。11年度は大震災で事業が中断し、12年度に再開された。
NUMOは2002年12月から、全国の自治体を対象に処分地の公募を始めた。応募に関心があるとして、福井県や鹿児島県、熊本県などの一部市町村名が取り沙汰されたものの、いずれも応募には至らなかった。
3段階ある処分地選定過程のうち、第1段階の「文献調査」にすら進めた事例はない。07年1月に高知県東洋町が一度応募したが、賛否をめぐり町が二分し、町長選で反対派候補が当選して応募を白紙撤回した。その後、応募した自治体はない。
東洋町の事例を受け、NUMOは07年に従来の応募方式に加え、国から自治体に申し入れる方式を追加した。だが、これまで申し入れた実績はない。
長年の懸案となっている高レベル放射性廃棄物の処分地選定では、来年1月に閣議決定される予定のエネルギー基本計画案で、国が候補地を示す方式に転換した。来春にも処分地選定の具体的稲手順などを明らかにする方針だ。
公募開始から10年以上経過しながら成果を出せないNUMOの組織見直し論も浮上している。選定作業から処分場の操業まで30年はかかるとされる中、先行きは不透明だ。
・・・皆様新年明けましておめでとうございます。
2014年も明けましたが、私としては、いよいよ福1事故から3年目のデッドゾーンに突入することもあり、まるで新春の京の町をどくろを持って練り歩き、民衆に向かって、
「新しい年が明けたということは、それだけ己の死に1年近づいたということだ。何がめでたいのだ?」
てな事を説教した一休禅師の様な心境です。
さて、我が家は、親が読売、兄弟が朝日、そして私が新潟日報を購読しているのですが、いわゆる中央紙と新潟日報との原発関連報道の温度差に唖然としております。
ですから、今年も新潟県以外にお住まいの皆様に対する情報発信に邁進いたしますので、よろしくお願いいたします。
●過疎の村に「お金出す」
関川幻の勉強会
NUMO゛適地゛念頭か
2011年3月11日に起きた東日本大震災の数日前のことだった。まだ雪の残る関川村を男性2人が訪れた。「支援申請書」と記された資料を示しながら、住民に説明した。
「この様式に沿って記入してもらえれば問題ありません。お金は出ます。大丈夫です」
2人は、高レベル放射性廃棄物の処分地選定を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)立地部の部長と課長だった。
「一種の確定通知だな」。関川村で勉強会の設立準備を進めていた住民有志の一人は支援金が受け取れると確信した。「これで勉強会が勢い付く」
NUMOは、核のごみを地下深くに埋める地層処分について理解を求めるため、10年度から全国各地で自主的な「勉強会」の開催を働き掛けてきた。住民の理解が進めば、勉強会は処分場建設の「入り口」になり得る。
勉強会の設立に向け、NUMOと関川住民との接触が本格化したのは09年ごろだった。しかし、大震災後、すぐにNUMO側から電話が来た。「原発に関する全ての事業を中断します」
関川村は市町村合併をせず、自立の道を選んだ。現在の人口は約6千人。1947年をピークに半減した。「このままでは村がなくなる」。村の財政や雇用状況を危惧し、地層処分施設に関心を示す自営業者を中心とする有志が目を付けたのが、NUMOの勉強会支援事業だった。
「もともとは村の活性化を探る目的で集まった。お金があれば、水力発電所の視察などにも行けると思った」。住民約15人が集まり、村の自然を生かした地域づくりを目指していた。
「交付金」「経済効果」「地域活性化」−。NUMOから届いた地層処分の説明資料には、村が潤うことをうかがわせる言葉が並んでいた。とはいえ核のごみを処分するだけに、有志の一人は「本当に進めるとなると覚悟がいる」と感じた。
準備会合を4、5回重ねた。NUMOとの連絡手段は専ら電話だった。書類でのやりとりはほとんどなかった。
有志は「NUMOは記録が残る文書を嫌ったんじゃないか」と推測する。NUMO側から受け取った数少ない文書の一つが、支援申請書だった。
勉強会の名称は「関川村活性化研究会」に決めた。「原子力」や「処分場」という言葉はあえて入れなかった。NUMO側から「周りがびっくりするから、使わなくていい」との助言を得ていた。
関川村のほぼ中心には湯蔵山がある。80年代、NUMO発足前に最終処分地の選定を請け負った旧動力炉・核燃料開発事業団(動燃)が航空写真などで本県の地質を調べ、湯蔵山を含む7地点を地層処分の「適地」とする報告書をまとめた。
「NUMOは言及しなかったが、湯蔵山のことが念頭にあったかもしれない」。準備会合に参加した住民は振り返る。
勉強会をめぐる動きはうわさとして一部に流れた。それを聞いた村議の平田ゆかり(50)は11年6月の村議会で、村長の平田大六(80)にただした。「住民から誘致の要望があったら。どう対処するのか」
平田は答えた。「経済的豊かさの代償として住民の安心安全を失いたくない」
村長の平田は取材に対し「村役場を通さずに、勉強会の準備が進んでいたようだ」としつつも、詳細は知らないと語る。最終処分場については「誘致する気はない」と断言した。
関川村の勉強会について、NUMOは「個別のケースは支援先との信頼関係を考慮して回答しない」として明らかにしていない。
(文中敬称略)
(以下略)
●付帯決議
人口集中地域は対象外
国会で議論した形跡なし
「核のごみ」の最終処分場選定に向けた動きは、地方の過疎地が舞台になっている。本県では、原子力発電環境整備機構(NUMO)が関川村で地層処分の勉強会開催を目指していた。1990年代には旧動力炉・核燃料開発事業団(動燃)が佐渡市北鵜島で地質調査を行っていた。「低人口地帯」が対象とされるのはなぜなのか。
NUMOが「尊重している」とする国会の付帯決議がある。
「概要調査地区等の選定に当たっては、人口密度等の社会的条件についても十分配慮する」 2000年に成立し、NUMOの設立を定めた「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」(最終処分法)に付された決議だ。適地かどうかの調査段階で都市圏は対象から外すことを意味する、事実上の「人口要件」である。
最終処分法案が審査された2000年5月の衆院商工委員会の最終盤。付帯決議は法案可決後自民、公明、民主など5会派共同で提案され、賛成多数で決議された。
当時、委員会運営に関わり、決議案の作成や各会派との事前調整に当たったみられる与野党の理事8人の多くは「経緯を覚えていない」と口をそろえる。
手がかりは議事録の中にあった。決議の趣旨説明をした大阪が地元の元民主衆院議員吉田治(51)の言葉だ。
「決議案の内容は、審査の経過によってご理解いただける」。審査の過程で人口要件を求める意見が合ったことを示唆している。
議事録を追うと、福岡県を地盤とした元民主衆院議員、故島津尚純が「人口密度などについても考慮するべきだ」と発言している。島津は11年に死去しており、その真意は今では分からない。
商工会では、この発言に対する賛同も反論も出ていない。人口要件を設けることについて議論された形跡がないのだ。
「人口の多い所はみんな(処分場立地を)嫌がる。単純な話だ」。衆院と同様に決議した参院経済・産業委員会の委員だった本県出身の元参院議員渡辺秀央(79)は推測を交えつつも言い切る。
原発の立地指針も「低人口地帯」を挙げ、都市部での立地は避けるべきだとしている。同委の理事だった元民主参院議員で。東京を拠点に政治活動を続ける円より子(66)は「(処分場も)人口の多い所に建てるという発想が最初からなかった」と振り返り、続けた。「今思えば、(リスクを引き受けることになる)地方がどう感じるか、考えなくてよかったのか」
当事者たちすら経緯をあまり覚えていない付帯決議。しかし、法律の運用に対する立法府の注文として、処分場の立地選定に強く作用している現実がある。
●動き出す政治
小泉発言契機に本腰
急激な展開 識者から懸念
臨時国会の会期末が迫っていた昨年12月初旬、東京・永田町の参院議員会館会議室。約50人の国会議員に福島県選出の民主党参院議員増子輝彦(66)が呼び掛けた。
「(原発が)『トイレなきマンション』と言われる状況を一歩でも二歩でも改善していきたい。政治家の覚悟と信念が重要だ」
原発の「核のごみ」である高レベル放射性廃棄物の最終処分推進を目指す自民、公明、民主の3党による超党派議員連盟の設立総会でのことだった。
増子は処分場が未定のまま全国の原発で使用済み核燃料がたまり続けていることに危機感を抱いていた。東京電力福島第1原発事故では4号機の使用済み核燃料プールが原子炉建屋の爆発でむき出しになり、プールで保管し続けることの危険性が明らかになったからだ。
有志による議連だけではなく、自民の党内組織でも処分問題の検討が始まっている。
「特定放射性廃棄物最終処分法」成立から13年がたち、なぜ政治が突然動き始めたのか。
議連の幹部に名を連ねる公明党の衆院議員斉藤鉄夫(61)は、昨年からメディアに取り上げられ始めた元首相小泉純一郎(71)の発言の影響を認める。
「10年以上見つけられなかった処分場のめどを付けられると思う方が無責任で楽観的だ。即、(原発を)ゼロにした方がいい」
昨年11月、日本記者クラブの会見で小泉は「即時原発ゼロ」に踏み込んだ。安全性が確認された原発の再稼動を目指す首相安倍晋三(59)が「今の段階で原発ゼロを約束することは無責任だ」と反論するなど、政府や与党は対応に追われた。
斉藤は処分場立地が進まなかったことに「焦りはあった」と明かし、こう振り返る。「国会の中に関心を持っている人が少なかった」
政治が動き始める中、与党では処分場を原発と同様に地方へ立地しようとする意見も出ている。
「処分場を選ぶときは人口密度が低く、地層が分かっている所で見当がつくのではないか」
昨年12月の自民党資源・エネルギー戦略調査会で比例東海選出の衆院議員桜井宏は(57)は地方の過疎地での立地を主張した。
こうした動きに呼応するかのように経済産業省は昨年12月、国のエネルギー基本計画案を公表し、最終処分に関して国主導を強く打ち出した。
一連の急激な動きに対し、昨年7月から経産省が開いている有識者の作業部会委員からは懸念の声が出ている。部会では、処分の実施体制の見直しなどに関する議論がまとまっていないからだ。
エネルギー基本計画案公表後に開かれた作業部会の会合で、委員の東京電機大助教の寿楽浩太(33)は指摘した。
「有力な政治家から発言があった途端に物事が動き出し、何か決まってしまうこと自体が国民の不信を招くのではないか」
(文中敬称略)
●政策転換
国、科学的に適地選定
専門家「首都圏でも可能」
前衆院議長で民主党衆院議員の横路孝弘(73)は北海道知事時代(1983〜95年)、苦い経験がある。
北海道北部に位置する幌延町は当時、原発から出る「核のごみ」を地下深くに埋める「地層処分」の施設誘致をめぐり揺れていた。その研究の先進地だった米国のペンシルバニア州立大を訪ねた時のことだ。
現地の研究者から幌延町が処分地の候補に選ばれた理由を尋ねられた横路が「町長が手を挙げたから」と答えると、米側から失笑が漏れた。
幌延町の施設は横路が知事退任後、核のごみを持ち込まないという条件の研究施設として完成、調査や実験が続いている。
海外では、地層の性質など科学的な根拠から適地を提案する国もある。自治体の意思表示をひたすら待つ日本の「手挙げ方式」とは異なる。
日本では処分地の調査にすら手が上がらない状況が続いてきた。2007年1月、選定過程の第1段階となる「文献調査」に高知県東洋町が一度は応募したものの、賛否をめぐって町が二分し、町長選で反対派候補が当選して取り下げた。
「手挙げ方式」から国主導による選定への「政策転換」が決まった昨年12月17日の最終処分関係閣僚会議後、経済産業省資源エネルギー庁放射性廃棄物等対策室長の伊藤正雄(41)は新たな方針をこう説明した。
「国が科学的な観点から有望と考えられる地域を絞り込んで提示する」
ただ、伊藤は現段階での有望地について「まったく目星は付いていない」とも述べた。
かつて処分地選定を担った旧動力炉・核燃料開発事業団(動燃)は80年代に航空写真による地質調査を行い、村上市など県内7地点を含む全国88地点を「適地」に挙げた。本県も候補地になる可能性は否定できない。
動燃の調査は人口が多い都市部を対象から外していた。原発関連施設が集中する地方に、さらに処分場という負担が加わりかねない。
核のごみ処分の在り方を議論している経産省作業部会の委員で東京電機大助教の寿楽浩太(33)は「(選ばれた地域の)拒否権をどう担保するか。慎重な議論が必要だ」と国主導に慎重論を唱える。
処分場の立地は、都市部では不可能なのか。同じ作業部会の委員を務める原子力安全研究協会処分システム安全研究所所長の杤山修(69)は、首都圏での処分も技術的には可能だとみる。
杤山は核のごみを運ぶ際の安全性など社会的な状況を考慮する必要があるとしつつも、「(東京でも)処分してしまった後の安全は担保できる」と話す。
国主導の新選定方式は春に具体化する予定だ。地方が原発のリスクを担う一方で、都市部はそこで発電された電気を利用してきた。とりわけ東京電力柏崎刈羽原発は首都圏の繁栄を長年支えてきた。原発だけでなく、核のごみ処分まで「まず地方ありき」で議論が進むとしたら、公平さを欠くのではないか。
(文中敬称略)
●NUMO
実績ない「混成部隊」
責任不明確、国の支援薄く
高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)は2000年の発足から10年以上が経過した。しかし、処分地選定の調査に入ったことはない。実績を挙げられないNUMOは今、組織見直しの俎上にある。
昨年12月中旬、NUMOが主催した「核のごみ」の最終処分に関するセミナーが開かれた仙台市のホテルに、市内を中心とした教員の男女約20人が参加した。
教員を対象にしたのは、長期にわたる処分事業への理解を、次世代を担う子どもたちにも広げる狙いがある。各電力会社の管内で順次開催している。
このセミナーは広告代理店が実務を担った。NUMOは今後予定しているシンポジウムなどの一部事業も運営を外部に委ねる予定だ。
東京電力福島第1原発事故では原発の保守管理などを関連会社に頼っていたために事故対応が後手に回った東電の体質が問題になった。NUMOの姿勢は、東電の外部依存体質とも重なる。
NUMOはなぜ実績を挙げられないのか。
NUMOは職員の6割以上を電力会社からの出向者が占める。役員には経済産業省OBも名を連ねる。さまざまな組織の出身者で構成する「混成部隊」だ。
出向者は数年で異動し、生え抜きも少ない。経産省出身の副理事長西塔雅彦(55)は「一致団結して進むイメージができていなかったかもしれない」と組織運営を振り返る。
一方で西塔はNUMOだけの責任ではないとこぼす。文献調査に応募後、取り下げた高知県東洋町などを例に「調査の話が表に出ると、とにかく周りが反対する。それで消えてしまうことの繰り返しだ」と語る。
NUMOの評議員を務める前柏崎市長の西川正純(70)はこうした意識を批判する。多くの職員の出身団体である国や電力会社に気を使うNUMOを「処分地を決める難題をやり抜く悲壮感と使命感が十分ではない」とみる。
原子力政策は国策で進められてきた。しかし、国は原発の推進に不可欠な「核のごみ」の処分事業について積極的に関わることなく、「NUMO任せ」にしてきた。内閣府の原子力委員会が12年12月に発表した「見解」には、そうした事実を物語る指摘がある。
「最終処分事業は国としての総合的取り組み。すべての行政機関が連携して知恵を出すべきであるにもかかわらず、そのような取り組みは行われてきていない」
昨年12月、経産省の放射性廃棄物に関する作業部会。議題はNUMOの組織改革だった。委員で柏崎刈羽原発の透明性を確保する地域の会会長の新野良子(62)は「NUMOだけに責任があるのではない」と述べ、国にも厳しい視線を向ける。
「NUMOの役割と責任を明確化することが必要。中途半端なことはやめて、(今後の処分事業について)根本的な議論をすべきだ」
(文中敬称略)
●7月再稼働想定 「仮置き」を強調
柏崎原発所長
東京電力柏崎刈羽原発の横村忠幸所長は9日の定例会見で、昨年末、国に申請した新たな特別事業計画に6、7号機が7月に再稼働するとの想定を盛り込んだことについて、「会社の収支の計算をするための仮置きという位置付けは変わらない。再稼働のプロセスは全く見通せていない」と述べた。
6、7号機は昨年11月に原子力規制委員会の新規制基準に適合しているか審査が始まった。横村所長は敷地内の断層問題について自社の調査結果を規制委に説明しているとし、「データが十分かや、どんな現地調査が必要かが今後絞られてくると思う」と話した。
6、7号機に続いて安全対策を進めている1、5号機の審査申請の時期に関しては「未定。6、7号機の審査対応に専心しており、これから考えたい」とした。2〜4号機は中越沖地震後の機器点検や系統試験が終わっていない。
・・・この記事ですが、前日の1月9日付朝刊のトップを、「原子力規制委員会のある委員が、関電高浜原発を今夏に再稼働させるのは不可能ではない、と発言」(これって、全国の地方紙にも掲載されましたかね?)という記事が飾った事に関連してではないかと。
●中間貯蔵
「なぜ青森へ」憤る声
立地地域と新たな摩擦も
原子力関連施設が多く立地する青森県下北半島のむつ市に昨年8月、東京電力と日本原子力発電が出資するリサイクル燃料貯蔵(RFS)の中間貯蔵施設「リサイクル燃料備蓄センター」が完成した。
RFS広報グループマネージャーの安藤達也(54)は「運ばれる使用済み核燃料は、当面は東電柏崎刈羽原発からが最多になるだろう」と見込む。貯蔵プールの8割が埋まる柏崎刈羽原発の使用済み核燃料はここに運ばれ、再処理されるまで一時保管される。使用済み核燃料を再処理する核燃料サイクルが実現しなければ、「核のごみ」になってしまう。
中間貯蔵施設から2キロほどに住む男性(80)は取材に対し、声を荒らげた。
「新潟では何で自分たちのところで処理せず、下北に持ってくるのか」
柏崎刈羽原発に関してはリスクを担う本県の立地地域と、電気を使う首都圏など消費地との間で意識のギャップを生んできた。「核のごみ」の処分をめぐっては、今度はそれを受け入れる地域と原発の立地地域との間で新たな摩擦を生む可能性がある。
むつ市が2003年に中間貯蔵施設誘致を決めたのは、財政難を解消するためだった。市長の宮下順一郎は(61)は「貯蔵施設は原発に比べ安全だ。市財政の累積赤字は10年度に解消した」と強調する。
一方、地元市民団体「核の『中間貯蔵施設』はいらない!下北の会」代表の野坂庸子(66)は「(施設が)百パーセント安全ということはない。輸送時の事故の危険性もある」と使用済み核燃料自体の受け入れに反対する。
下北半島では六ケ所村にある核燃料サイクル施設で放射性廃棄物も受け入れている。
ただ、青森県が高レベル放射性廃棄物を受け入れるのはあくまで一時保管のためだ。歴代知事は「最終処分地にしない」との約束を何度も政府と確認してきた。国が進める核燃サイクルがとん挫すれば、使用済み核燃料を各原発に返却する意向を示している。
再処理工場は完成が度々延期され、中間貯蔵施設に入る使用済み核燃料の保管期限後の具体的な搬出先は未定のままだ。野坂は表情を曇らせる。
「中間という名の下に永久貯蔵されてしまうのではないか」
原発だけでなく核のごみの処理をめぐっても利害が複雑に絡み合う。日本学術会議は12年9月、内閣府の原子力委員会に出した提言で「受益圏」と「受苦圏」という用語を使ってこう指摘した。
「これまで処分場の候補地は人口の少ない周辺地域ばかりで、電力の大消費地の大首都圏ではない。『受益圏』である中心部が生み出す核廃棄物を周辺部に負わせる構造は『受益圏と受苦圏の分離』で不公平である。
提言をまとめた東京工業大大学院教授の今田高俊(65)は言う。
「中央が『益』の見返りにお金を払うことで地方に『苦』を与え続ける構造を崩さなければならない」
(文中敬称略)
●暫定保管論
柏崎 永久化に危機感
東電否定、施設拡張は進む
「核のごみ」の行方が定まらない中で、使用済み核燃料の扱いについて注目を集めている考え方がある。高レベル放射性廃棄物の最終処分地が決まるまで取り出し可能な場所に置く「暫定保管」だ。
2012年9月に日本学術会議が提唱した。最終処分問題解決までのいわば時間稼ぎの措置とも言える。だが、原発の構内で保管した場合、事実上の「最終処分地」になる恐れをはらむ。地元では不安の声が出ている。
東京電力柏崎刈羽原発から約3キロの柏崎市宮川に暮らす陶芸家吉田隆介(64)は「最終処分地にされる可能性はあると思っている」と危機感を募らせる。
今月閣議決定される予定のエネルギー基本計画案には、「キャスク」と呼ばれる金属性容器に使用済み核燃料を入れ、水に漬けずに保管する乾式貯蔵施設などの建設促進が盛り込まれた。
柏崎刈羽原発には1万4千体近くの使用済み核燃料が原子炉建屋内のプールに保管されている。
使用済み核燃料の再処理を前提にした核燃料サイクルの要となる高速増殖炉は実用化のめどが立っていない。日本原燃が7日、原子力規制委員会に審査申請した青森県六ケ所村の再処理工場もこれまでトラブルが続いてきた。
吉田は東電福島第1原発事故を挙げ「使用済み核燃料の危険性も明らかになった」と不安を隠さない。
柏崎刈羽4号機の海側に凹型屋根の建物がある。使用済み核燃料を青森県へ移送するためのキャスクを一時保管する施設だ。1998年に完成し、現在は保管できるキャスクの数を2倍の20基にするための工事が行われている。
02年度から運んでいる六ケ所村の再処理工場に加え、むつ市の中間貯蔵施設への移送を想定したものだ。こうした動きは暫定保管を先取りしたものではないか。
柏崎刈羽原発燃料グループマネーシャーの星川茂則(46)は「あくまで一時保管のため。すぐに貯蔵に使えるものではない」と説明する。
柏崎刈羽原発の透明性を確保する地域の会会長の新野良子(62)は、経産省の放射性廃棄物処分の作業部会委員を務める。
新野は「原発構内での暫定保管は否定しない」とした上で「仮にそうなるなら大きな方針転換なので地元への説明が欠かせない」と強調した。
柏崎市内で昨年12月にあった移動市長室。「核廃棄物についてどうお考えか」柏崎刈羽原発に反対する市民が柏崎市長の会田洋(66)に尋ねた。
会田は「処分の問題は未解決。核燃料サイクルが止まれば、使用済み核燃料を持っていく場所がない状態だ」と指摘し、続けた。
「柏崎刈羽は発電所であって処分地ではない」
柏崎刈羽原発の再稼働に向けた審査がことし本格化する。再稼働問題は原発の安全性だけにとどまらず、動かすことに伴う使用済み核燃料の処分問題と不可分と言える。ともに中央と地方の在り方を問い直す大きな課題だ。福島事故を踏まえれば、核のごみの後始末を先送りしたままの再稼働は本末転倒だ。
(文中敬称略)
・・・以上、本年1月1日から8日にかけて、新潟日報朝刊にて連載された「再考原子力・新潟からの告発『狙われる地方』」からでした。
●脱原発 国政への影響不明
県内 自民反発、民主も慎重
東京都知事選への立候補を表明した細川護熙元首相が「脱原発」を掲げていることについて、東京電力柏崎刈羽原発が立地する本県の政界関係者からは14日、「都政と国政は違う」「国政への影響は分からない」などと推移を注視する声が聞かれた。
原発問題の争点化について柏崎刈羽原発がある新潟2区の自民党、細田健一衆院議員は「原発は国政問題だ。都知事選で脱原発を公約に掲げたところで、どう実現するか分からない。無責任ではないか」と批判する。
自民県連の星野伊佐夫会長は「理解できない。都政と国政は違う」とし、細川氏が支持を集めたとしても「原発政策に影響はない」との見方を示した。小泉純一郎元首相が細川氏を支援することには「小泉氏の個人プレーだ。自身がリーダーだった(自民)党の政策を否定している」と退けた。
一方、細川氏を実質的に支援する方向で調整している民主党。菊田真紀子県連代表は「自民1強状態が続く中、政治に緊張感が出てきた」とした上で、「自民との対立軸ができたとは思うが、国政にどう影響するかはまだ分からない」と慎重な見方をした。
民主県連関係者は「(支持組織である)電力、電機関連の労組は党に一定の影響力がある」とし、脱原発では党がまとまり切れないとみる。小泉氏については、労働規則緩和などの構造改革を進めたことから、市川政広県連幹事長が「私どもの考え方と相反する人。脱原発だけで協力するかといえば、いろいろ思う人がいる」と話した。
宇都宮健児氏を推薦する共産、社民両党は脱原発の争点化を評価する。共産党県委員会の樋渡士自夫委員長は「元首相2人が脱原発を決断したのは国民世論を反映している」と述べた。社民党県連の小山芳元代表は「選挙戦の結果は柏崎刈羽原発の今後にも影響を与える」と語った。
●東電社長 あす本県知事と会談
東京電力の広瀬直己社長が16日に本県を訪れ、泉田裕彦知事や地元首長と面会することが14日、分かった。関係者によると、面会は「年始のあいさつ」が目的だが、柏崎刈羽原発の再稼動を盛り込んだ東電の新たな総合特別事業計画(再建計画)が15日にも政府に認定されることから、意見が交わされるとみられる。
広瀬社長は泉田知事の面会は同原発6、7号機の審査申請をめぐり、昨年9月に行われて以来。柏崎市の会田洋市長、刈羽村の品田宏夫村長とも面会する予定だ。
東電が政府に申請している再建計画では、柏崎刈羽原発が7月以降、順次再稼働することを前提に収支改善を見込んでいる。知事は「絵に描いた餅だ」と批判しており、対応が注目される。
●柏崎 7月再稼働明記
政府、東電再建計画を認定
政府は15日、国による支援拡大を柱とする東京電力の新たな総合特別事業計画(再建計画)を認定した。柏崎刈羽原発全7基のうち、1、5、6、7号機を7月以降、順次再稼動すると明記した。福島第1原発の廃炉を着実に進める一方、持ち株会社制の導入や電力販売の全国拡大など経営強化に向けた主要政策を2016年度までの3年間で集中的に実施し、経営再建を軌道に乗せることを目指す。
東電が原子力規制委員会に申請した柏崎刈羽6、7号機の審査は進んでおらず、泉田裕彦知事も15日の会見で、新計画について「絵に描いた餅だ」と反発を強めている。東電の広瀬直己社長は認定後の会見で「あくまで収支計画上の過程で、再稼働の時期に余談を与えるものではない」と説明した。
4月1日に会長に就く数土文夫JFEホールディングス相談役は記者会見で「3年間が勝負。信頼を確立しなければならない」と所信を述べた。
新計画では、すでに審査入りしている7号機が7月、6号機が8月、審査申請を目指している1号機が15年1月、5号機が同2月に順次再稼働すると仮定し、約1千億〜2千億円の経常利益を安定的に確保できると予想。ただ、6、7号機の審査は長期化の様相をみせており、終了の時期は見通せない。再稼動が大幅に遅れた場合は電気料金を最大10%値上げする可能性を示した。
07年の中越沖地震以降、停止したままの2〜4号機については再稼動時期を未定としたが、16年度以降の順次再稼動を想定した収支改善の試算を盛り込んだ。
東京都知事選脱原発が争点化し、柏崎刈羽原発の再稼動を前提とした再建が計画通り進むか一段と不透明になっており、計画は再び見直しに追い込まれる可能性もある。
また、中間貯蔵施設の整備を急ぐため1兆1千億円の費用が国の負担になったほか、除染費の一部2兆5千億円を原子力損害賠償支援機構が保有する東電株の売却益で賄うことになり、東電の負担が軽減された。
このほか@グループで2千人規模の希望退職A16年4月の持ち株会社制移行と発送電分離B16年度中の社債市場への復帰−も盛り込んだ。
16年度までの3年間で事故対応や経営改革の進展が確認されれば、機構が保有する議決権比率を過半数から3分の1超に引き下げる。
・実現に疑問符
(解説)
東京電力の新たな特別事業計画(再建計画)は、実現性に疑問符が付く不確かなものになった。最大の不確実要素は柏崎刈羽原発の再稼動だ。金融機関の融資継続に必要な経常黒字の安定確保に一定の根拠を示すために盛り込まれたが、あと半年で原子力規制委員会の審査が終わり、東電に不信感を抱く泉田裕彦知事の同意を得るというスケジュールは現実的ではない。
東電が後ろ盾にするのは、原発推進の立場を取ってきた安倍政権のエネルギー政策だ。政府が昨年に案をまとめたエネルギー基本計画でも原発の活用方針が明記され、東電は、柏崎刈羽の再稼動を前提とする再建計画に自信を深めた。
しかし、風向きが変わりつつある。基本計画の閣議決定が自民党内の反対で先送りにされたほか、東京都知事選で脱原発が争点化した。東電に対しても逆風が強まる可能性がある。
福島第1原発事故対策で今回、1兆円超の国費投入が決定。政府・与党が、福島の復興加速の名目で合意し決まったが、十分な国民議論を経たわけではなく、「なし崩しの東電救済」との批判も出ている。
●知事「絵に描いた餅」
東電再建計画認定 内容精査へ
泉田裕彦知事は15日、柏崎刈羽原発の7月以降の順次再稼動を前提にした東京電力の新たな総合特別事業計画(再建計画)が政府に認定されたことを受け、「計画を入手し、内容を精査したい」とするコメントを発表した。16日に知事と東電の広瀬直己社長が面会することから、再建計画についても意見が交わされるとみられる。
知事は15日午前の会見で再建計画について「面会で話があれば聞くが、絵に描いた餅としか受け止められない」と述べ、計画が現実的ではないとの見解を強調した。理由として従来の再建計画を例に挙げ「昨年4月の再稼動としていたが、やはり絵に描いた餅になった」と指摘した。
知事は面会に関して「東電からのオファー(申し出)なので、まずは話を聞くことに尽きる」とした。原子力規制委員会への審査申請をめぐる昨年9月の面会を振り返り、「安全をどれくらい考えるのか、うそをつかない会社なのか、まともな答えがなかった。追加で情報があれば話してもらいたい」と東電の姿勢を再確認する意向を示した。
柏崎市の会田洋市長は15日の会見で、再建計画について「除染、賠償、廃炉を含めた費用が枠にとどまらず大きくはみ出している。改定は当然と受け止めている」と述べた。柏崎刈羽原発の再稼働時期に関しては「東電は仮置きと言っており、一応の計画を作るための仮定条件だと理解している」と話した。
広瀬社長は16日、泉田知事のほか、会田市長、刈羽村の品田宏夫村長と面会する。
●審査に影響ない 規制委員長
東京電力が新たな特別事業計画(再建計画)で柏崎刈羽原発を7月以降、順次再稼働させるとしたことについて、原子力規制委員会の田中俊一委員長は15日の会見で「私どもの審査が影響を受けるものではない」と述べ、規制委による柏崎刈羽6、7号機の審査の進め方には影響しないと強調した。
審査期間の見通しについて田中氏は「分からない」とした上で、「そんなに短く終わるような審査はできない」との見方を示した。
田中氏は柏崎刈羽原発が事故を起こした福島第1原発と同じ沸騰水型原子炉だと指摘。この型に過酷事故対策として新たに設置が義務づけられた排気設備「フィルター付きベント」や、敷地内断層が活断層かどうかの評価などをあらためて今後の審査の焦点に挙げた。
●原発頼み「黒字1千億円」
東京電力は新たな総合特別事業計画(再建計画)で、柏崎刈羽原発の7月以降の順次再稼動を前提に2015年3月以降1千億円台の経常利益水準が定着する収支予想を示し、料金値上げによる利益還元方針も打ち出した。
東電によると、同原発の燃料費削減効果は1〜5号機で1基当たり年間1千億〜1450億円。再建計画では、中越沖地震後一度も動いていない2〜4号機の再稼働なしでも同水準の利益を確保できるとしたが、その場合「値下げ余地が縮小する」とした。
6、7号機の安全審査申請で再稼働に向けた手続きが進み、将来にわたり黒字経営が維持される見通しが示されたことで、金融機関にとって融資を実行しやすい外形的な状況が整った。
東電は東日本大震災の影響で12年3月期4083億円、13年3月期3776億円と2年連続で大幅な経常赤字を出した。
14年3月期は271億円の経常黒字を確保する見通しで、金融機関から融資の条件に課された3年連続経常赤字回避の目標はクリアしそうだ。
しかし、この黒字も修繕の先送りによる費用圧縮で捻出した数字で、安全操業上、繰り返し使える手法ではない。東電は原発頼みの不確実な再建シナリオから抜け出せずにいる。
●東電会見一問一答
再稼働 値下げ原資に
東京電力の新たな再建計画が認定された15日、広瀬直己社長と4月に会長に就任する数土文夫JFEホールディング相談役の記者会見での主な一問一答は次の通り。
広瀬氏 事故からまもなく3年。福島の(復興への)責任をしっかり果たすことがすべてと思っている。国が前に出たので、われわれも3歩も4歩も前に出る。電力改革の競争の中でも顧客に選んでいただき、福島の(復興に対する)責任を果たす体力をつけたい。
−柏崎刈羽原発の再稼動を仮定したのはどういう意味があるのか。
広瀬氏 再稼動で電気料金の値下げ原資が生まれる。電力会社としては安定供給のため(発電手段の)オプション(選択肢)を持ちたい。
−脱原発が東京都知事選の争点になっている。
広瀬氏 選挙で(原発の再稼働計画に)影響があるかもしれないが、やらなければならないことを粛々とやりたい。
−会長として取り組むべきことは。
数土氏 福島第1原発事故で失った国民の信頼を取り戻したい。
−原発再稼動についての考え方は。
数土氏 原子力政策で東電はプレーヤー。審判とルールづくりは国だ。審判とルールに従い誠心誠意やる。
−東電の経営課題は。
数土氏 これまで総括原価方式をやってきた結果、電気料金が高額になった。(一層のコスト削減が必要で、そのためには)これまで敵対していた相手とも、協力していく。
−原発事故の被災者に直接会って話しを聞く考えはあるか。
数土氏 努力したい。
●都知事選 原発争点化
電力生産地 考える契機
本県首長 歓迎の声も
細川護熙元首相が東京都知事選への立候補を表明し「脱原発」が争点に浮上していることについて、東京電力柏崎刈羽原発が立地する本県の首長からは15日、「電力生産地と消費地の関係を都民に考えてほしい」など、東京都と地方の関係を含む議論が深まることに期待する声が相次いだ。
泉田裕彦知事は会見で「東京は電力の大消費地だ。過半数を国が握っているとはいえ、(東電の)株主という立場で都はさまざまな提案ができる。国民的課題を大いに議論してほしい」と歓迎した。
柏崎市の会田洋市長も会見で「これまでは必ずしも立地地域に対する消費地の関心が十分ではなかった」と指摘し、「エネルギー確保の観点だけでなく、原発をめぐるさまざまな問題が議論され、理解が深まるのは意義のあることだ」と語った。
自治体選挙の都知事選で国策である原発問題が論じられることについて、新潟市の篠田昭市長は取材に「東電が原発を持ち、災害時の対応が問われているので違和感はない」とした。「脱原発依存は日本全体の大きなテーマだ。どういう手法でやっていくのか、選挙の中で安倍政権も考えるのではないか」と述べた。
上越市の村山秀幸市長は取材に対し「(東電福島第1原発のような)事故が起きる可能性について都民が考える契機になるのではないか」とする一方、「自治体選挙なのだから、五輪や景気対策も含め、東京都全体の将来が語られることが重要だ。争点を一つに絞った選挙にはならないだろう」との見方を示した。
長岡市の森民夫市長は「全国市長会長の立場であり、発言が影響を与える懸念があるため、コメントできない」とし、刈羽村の品田宏夫村長は「都知事選はよその地域のことで、何が争点なのかは都民の問題だ」と話すにとどめた。
今日の新潟日報社説
●東京都知事選
原発通じ一極集中考えよ
一極集中が進む首都の住民が、どのようなライフスタイル、都市づくりを目指すのか。地方との関係をどうとらえるのか。そのことは、未来の日本の姿のありように大きな影響を与える。
電力消費者として脱原発を選択するかどうかも、そのような課題を象徴するテーマの一つというべきだ。
首都圏へ電力を供給する大原発が立地する本県にとっても関わりの深い重要な選択だ。堂々と争点に掲げ、論議を尽くしてほしい。
23日に告示が迫った東京都知事選(2月9日投票)に細川護煕元首相が脱原発を掲げて立候補することを表明した。民主党都連が支援する。
都知事選には自民、公明両党が支援する舛添要一元厚生労働相、共産、社民両党が推薦する宇都宮健児前日弁連会長らがすでに出馬の意思を明らかにしている。選挙戦の構図がほぼ固まった。
原発ゼロを訴える小泉純一郎元首相が細川氏を支援することもあり、原発政策が選挙戦の最大テーマとして浮上した。
これに対し、原子力発電は国のエネルギー政策の根幹に関わる問題であり、原発も立地しない自治体の首長を選ぶ選挙の争点としてふさわしくないという声もある。
だが、そうだろうか。東京都は全国の人口の1割強、GDPの2割近くが集中する、電力の最大消費地である。その供給の多くを、福島や新潟県など周辺に依存してきた。
その象徴的存在が事故を起こした福島第1原発であり、停止中の柏崎刈羽原発だ。それらを運転している東京電力の本社は東京都にあり、都は東京電力の大株主でもある。
福島の事故の教訓を踏まえなお、従来型の大量エネルギー消費の暮らし方を続けるのか。全国の原子力発電の再稼働が議論となっている今、都民にこそその課題が突きつけられているのではないだろうか。
単に原発の安全性や、使用済み核廃棄物の処分問題にとどまらない、国土づくりそのものにかかわる問題であることを忘れてはならない。
全国的に人口減に歯止めがかからない状況の中で、けん引役としての巨大都市東京をさらに発展させ、効率や国際社会の中での存在感を高める。人、モノ、金を吸い寄せながら、地方はその波及効果に甘んじるという方向を選ぶのか。
それとも、均衡ある発展の中で、エネルギー生産も消費も分散し、多様性や個性、地域の活力を尊重する、多極分散型の国づくりを目指すのかという選択である。
都政の課題として掲げられている他の問題。どのような東京五輪を開催するのか。首都圏直下地震などの防災対策をどうするのか。都市の高齢化への対応といったテーマも、原発問題が提起する国づくりのあり方と直接つながる。
首都の選挙で原発が争点となることを避けようとする動きには納得できない。それぞれの立場での主張を闘わせてほしい。私たち地方の未来とも密接に関わる選挙として、その内容を注視していきたい。
1月16日東京新聞 東電再建 税金なし崩し 除染負担軽減で刈羽再稼働
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014011602000113.html
政府は東電にジャブジャブと税金をつぎ込んでいるものの、東電は実質的に「中身の無い会社」であることは、国際社会がとうに見抜いており見切りをつける大手ファンドが続出。こんな東電に一方的に有利な再建計画を信じるほど日本人がオバカでないことを望みます、新潟知事さん、頑張ってください。
ファイナンシャルタイムズによると、オランダの年金基金ABPは東電を「投資禁止銘柄」に指定、東電の全株(日本円約25億)を投げ売り(=dump)したと報告しています。さらに過去6ヶ月間にアメリカのOdyssey Re や AllState Corp、カナダの Montrusco Bolton、ルクセンブルグの DGIなども東電株をすべて売却。どれも有名な大手の保険会社や投資会社です。
FTの記事でABPのスポークスマンはこうコメントしています。
“We decided to cut the engagement short because we had no trust that the company was shoring up its practices,” said Harmen Geers, a spokesman.“我々はこの会社(=東電)が業務をきちんと支えているという信頼が全くないので、関わりを中断することにした”
1月9日付 ファイナンシャルタイムズ
“ABP dumps €18m Tepco stake after safety concerns”
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/883aea7e-7849-11e3-831c-00144feabdc0.html#axzz2qY2DZ5p1
(PRポップの関係で全文読めなかったらごめんなさい)
●再建計画「倫理観欠く」
東電社長と会談 知事が批判
東京電力の広瀬直己社長は16日、県庁で泉田裕彦知事と会談した。広瀬社長は柏崎刈羽原発の7月以降の再稼動を明記した新たな総合特別事業計画(再建計画)を説明し理解を求めたが、知事は「モラルハザード(倫理観の欠如)の計画で、安全性について会社が変わったとは受け止められない」と厳しく批判した。広瀬社長は会談後、同原発の再稼動時期に関し「議論できるタイミングではない」との認識を示した。
会談では広瀬社長が、再建計画に盛った再稼働時期について「収支に何らかの形で盛り込む必要があり、仮置きした。再稼働の計画を示すものではない」と説明。「地元への説明がまだ足りない。防災計画や避難計画をまずはやっていきたい」と述べた。
知事は東電の株主や資金を貸し付けている金融機関の責任が再建計画で問われていないと指摘し「免責されれば事故が起きても責任をとらなくていいことになる。安全文化の観点でも極めておかしな計画だ」と主張した。
また知事は、東電が福島第1原発事故から2ケ月後にメルトダウン(炉心溶解)を認めた経緯について追求。広瀬社長は「国との調整で結果として2カ月かかった」と釈明した。今後、国との詳細なやりとりを説明する考えを示した。
知事は福島事故の検証を進めている県技術委員会でも東電の説明が不十分だとし、「きちんとした答えがもらえず空白だらけだ。真摯な対応をお願いしたい」と求めた。
広瀬社長は知事との会談に先立ち、柏崎市と刈羽村で会田洋市長、品田宏夫村長とも会談した。
会田市長は原子力規制委員会が審査している柏崎刈羽6、7号機だけでなく、1、5号機の再稼働も計画に盛られたことに触れ、「6、7号機の安全確認が最優先だ。1、5号機はそれを踏まえてと考えている」と再稼働を急ぐ動きをけん制。品田村長は「再稼働の先行きは見通せないが、計画が絵に描いた餅にならないようにしてほしい」と着実な推進を求めた。
広瀬社長は自民党県連役員とも意見交換した。
●広瀬東電社長インタビュー
柏崎原発1、5号機
審査申請時期は未定
都知事選日程とは無関係
東京電力の広瀬直己社長は16日、新潟市で新潟日報社のインタビューに応じ、柏崎刈羽原発1、5号機の原子力規制委員会への審査申請時期について「決めていない」と述べ、申請済みの6、7号機の審査状況を見極めながら判断する考えを示した。原発政策が争点となる見通しの東京都知事選(23日告示、2月9日投開票)の日程とは無関係との認識も示した。
15日に政府が認定した東電の総合特別事業計画(再建計画)では、柏崎刈羽原発全7基のうち、7、6、1、5号機を7月から順次再稼働させるとの方針を盛り込んだ。2007年の中越沖地震後、停止中の2〜4号機は再稼働時期を「未定」とした。
広瀬社長は1、5号機の審査申請について「6、7号機と同様、まずは県、柏崎市、刈羽村に事前了解をお願いする」と語った。
2〜4号機については「中越沖地震以降動いていない。もう少し工事が必要かもしれない。その辺をしっかり見極めたい」と話した。
東京都は東電の大株主で、都知事選の結果次第では経営再建のカギを握る柏崎刈羽原発の再稼働に影響が及ぶ可能性もある。
広瀬社長は都知事選について「東電は課題山積だ。われわれはやるべきことを抱えている」と述べるにとどめた。
●泉田知事・東電社長会談 主なやりとり
16日に会談した泉田裕彦知事と東京電力の広瀬直己社長の主なやり取りは次の通り。
社長 新しい総合特別事業計画(再建計画)が認定された。柏崎刈羽原発については収支に盛り込む必要があったので、仮置きという形で(再稼働の)時期を示した。決して再稼働の計画を示すものではない。
知事 安全文化の観点から今回の計画は極めておかしい。社長のリーダーシップで福島第1原発事故の検証をしてほしい。
社長 福島に対する責任を果たさないといけない。安全については事故を踏まえ、最優先で進めていく。
知事 福島第1原発のメルトダウン(炉心溶解)は(2011年)3月11日の時点で予測されているのに、なぜ2カ月も隠したのか。外部からの力が働いたということだが、誰にどういう話があったのか。
社長 どういう指導があったかははっきりしている。
知事 広瀬さんはどう認識しているのか。
社長 国とのやり取りがあったのは事実だ。
知事 国からの圧力でメルトダウンを認められなかったのか。
社長 発表について調整をしなければいけないという状況にあった。調整の結果、2カ月かかったのも事実だ。
知事 国とはどこか。
社長 そこはレポートで説明させてほしい。
知事 (メルトダウンを)予測していたにもかかわらず発表できなかったのは、いろんな圧力がかかると真実を話さない会社だということになる。
社長 避難されている方々に一番早く情報を出すべきところを官邸や旧経済産業省原子力安全・保安院などとの調整を優先したというのは、我々にも本当に非がある。
知事 県の技術委員会でもきちんとした答えをもらっていない。
社長 出せるものは全部出して、しっかり事故の検証をしたい。
●信頼関係改善 道遠く
知事 東電への不信感あらわ
「うそをついていたのか」−。冷静な表情ながらも不信感をあらわにする泉田裕彦知事の追及に、東京電力の広瀬直己社長は弁明に追われた。東電の新たな総合特別事業計画(再建計画)をめぐり、16日に県庁で行われた約4カ月ぶりのトップ会談は、両者の信頼関係改善の難しさをあらためて浮き彫りにした。
「どうぞ」。会談は応接室の入り口で泉田知事が広瀬社長を出迎え、席へ促す形で始まった。
だが、広瀬社長が冒頭、柏崎刈羽原発4基の再稼働を盛り込んだ再建計画に理解を求めると、泉田知事は「モラルハザード(倫理観の欠如)の計画だ」と一蹴、会談の空気が緩むことはなかった。
一方、泉田知事は福島第1原発事故でメルトダウン(炉心溶解)の公表が事故発生から約2カ月後だったことをあらためて指摘し「うそをついていたのか」と追及した。説明しようとする広瀬社長の言葉を遮り、「早く検証してほしい」と強調した。
これに対し広瀬社長は釈明した。
「発表について国と調整しなければならなかった」
事故直後にメルトダウンを認めなかった経緯を社長の口から引き出した知事は笑みを浮かべ、さらに文書での詳しい説明を要請した。
口調は厳しいが、泉田知事の表情は落ち着いていた。だが、再建計画をめぐる金融機関の責任に話題が及ぶと一転、知事は語気を強めた。
「東電の経営が苦しいのは事故を起こしたからだ」
広瀬社長に事故を起こさない企業体質への転換を繰り返し求めた。
会談中、広瀬社長の声は終始小さく、伏し目がち。約20分間の会談で両者が目を合わせる回数は少なかった。
広瀬社長は会談後、報道陣に対し、柏崎刈羽原発の再稼働時期の見直しについて「時期をうんぬんできるタイミングではない」と声を絞り出した。
その読売新聞の、昨日の社説や今日の朝刊を読むと色々興味深いです。推進派に不利な情報はとことんシャットアウトして報道しているという点で。
●原発再稼働問題めぐる知事対応
自民県連 くすぶる不満
良好な関係にひび?
東京電力の広瀬直己社長が県庁を訪れ、新たな総合特別事業計画(再建計画)を泉田裕彦知事に説明した16日、会談で「おかしな計画だ」と不信感をあらわにした知事に対し、県会最大派の自民党から不満が漏れている。安全が確認された原発の再稼働に理解を示す自民県連の幹部は「知事はいつまで同じ対応を続けるのか」とこぼす。他の県政課題では知事と良好な関係を保つ半面、主張が違う原発問題では影響力を発揮しきれない自民県連。静かな駆け引きは当面、続きそうだ。
16日夜、自民県連の中心となる自民県議団と泉田知事ら県幹部との恒例の新年会が新潟市内のホテルで開かれた。表向き和やかな雰囲気が漂ったが、じくじたる思いを抱える県議もいた。
この新年会の5時間ほど前に行われた知事と広瀬社長の会談で、星野伊佐夫県連会長の゛要請゛が知事にほごにされたとの思いがあったからだ。
知事と広瀬社長の会談に先立つ午前11時ごろ、知事と星野会長は2人だけで、知事室の奥へ姿を消した。
2人は取材に「新年のあいさつをしただけ」(星野会長)「雑談」(知事)として内容を明かさなかったが、自民県議の1人は「広瀬社長との会談には慎重姿勢で臨むように星野会長が知事にくぎを刺した」と解説してみせる。
だがその後の広瀬社長との会談では「知事は冷静な表情を浮かべていたものの、従来の姿勢にほとんど変化はなかった」(東電関係者)と指摘する声が多い。
東電柏崎刈羽原発の再稼働問題をめぐり、知事と自民県連との姿勢の違いが鮮明になり出したのは、原子力規制委員会への6、7号機の審査申請について知事と広瀬社長の会談が物別れに終わった昨年7月以降のこと。
知事が申請を条件付きで承認した9月25日の再会談に至るまで、星野会長が中心になって「審査くらいさせるべきだ」と、知事に強く働きかけてきた経緯がある。
しかし知事はその後も柏崎刈羽原発の再稼働を柱とする再建計画を「絵に描いた餅だ」と批判するなど、東電の姿勢に疑問を投げるスタンス変えず、自民県連には不満がくすぶっていた。
今後、規制委による審査が進み、柏崎刈羽原発の再稼動が現実味を帯びてきたとき、自民県連はどう対応するのか。
星野会長は言う。「知事(の言動)は、県民のトップとして原発の安全性を求めていくということ。仮に『脱原発でいい』となれば、われわれと大きな食い違いができる」
そのときには、自民県連も正念場に立たされることになる。
●柏崎刈羽の断層
「厳正に調査を」
県内研究者 規制委に要請
県内の地学研究者らでつくる「柏崎刈羽原発断層問題研究会」(新潟市中央区)は17日、県庁で会見し、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機を審査している原子力規制委員会に同原発敷地内や周辺の断層について、厳正に調査するよう要請したと発表した。
要請は15日付で規制委の田中俊一委員長宛てに郵送した。
研究会は中学や高校、大学の元教員らで構成する。会見や要請文では、研究会の母体となるグループが1990年代に行った調査を踏まえ、同原発から約600メートルにある刈羽村寺尾の断層が数万年前までに動いた可能性がある活断層だと主張。地すべりによる断層とした東電や旧通産省資源エネルギー庁の結論は科学的根拠に乏しいとしている。
規制委は13万〜12万年前以降の活動が否定できない断層を活断層と定義している。会見で研究会の大野隆一郎代表は寺尾の断層について「当時のエネ庁の結論は東電の調査をうのみにしたものだった」と強調した。
メンバーの1人で、県技術委員会委員の立石雅昭・新潟大名誉教授は「寺尾の断層は13万〜12万年前より新しい時期に動いている。原発への影響を詳しく調べないといけない」と述べた。
見てお分かりのように、私はネットで見つけた情報ではなく、もっぱら新聞記事を引用しておりますが、これについては、福1事故以降のマスコミが、「自分達の報道する情報のみが真実。他の情報、特にネットのそれは悪質なデマ」というスタンスを取っておりますので、わざとそういう方針で書き込んでおります。
つまり、「他ならぬあんたら新聞に書いてあった事だぞ。文句あるか?」という事なのですよ。
●高線量下の作業 分析を
県技術委 福島事故の課題議論
東京電力柏崎刈羽原発の安全性を検証する県技術委員会は18日、東電福島第1原発事故を課題別に議論する作業グループの会合を県庁で開いた。事故による放射線量の上昇が現場対応にどのような影響を与えたかなどをテーマに、委員が疑問点を東電にただした。
会合は非公開で行われ、技術委からは放射線医学総合研究所(千葉市)の立崎英夫氏ら2委員が出席。東電の五十嵐信二原子力運営管理部長らが事故後の原子炉建屋や免震重要棟内の線量変化、作業員の被ばく量について説明した。
被ばく量に関し、東電は累積で100ミリシーベルトを超えた社員や協力企業の作業員が173人いたとする資料を提出し、原子炉に注水する消防車に燃料を補給した人らの被ばく量が多かったとした。
会合後、立崎委員は「被ばくのデータはある程度示されたが、高線量でできなかった作業や事故直後の(2011年)3月中の被ばく状況に関し、さらに分析や整理が必要だ」と話した。
16日の泉田裕彦知事と東電の広瀬直己社長との会談では、知事が技術委への東電の情報公開が不十分だと指摘していた。この点について五十嵐部長は「情報公開は常に重要と捉えている。今まで通り、しっかりと提供する」と強調した。
日本の上行く新潟県行政に誇りを持ってください、市町村首長のみなさま。
●東電再建計画
収益優先に偏ってないか
収益優先に偏っていないか。そう指摘せざるを得ない。
政府は、国の支援拡大などを盛り込んだ東京電力の新たな総合特別事業計画(再建計画)を認定した。
経営基盤を強化するため、持ち株会社制の導入や他社に先駆けた発送電分離、電力販売の全国拡大のほか、ガス事業の本格展開といった施策を打ち出している。
2016年度までの3年間に集中的に実施することで、経営再建を軌道に乗せたい考えだ。
その大前提として、東電は柏崎刈羽原発7基のうち、1、5、6、7号機を7月から来年2月にかけ、順次再稼働することを明記した。
これにより、約1千億〜2千億円の経常利益を安定的に確保できると想定している。
広瀬直己社長は泉田裕彦知事との会談で「仮置きという形で時期を示した。再稼働の計画を示すものではない」と説明した。
金融機関からの融資を継続して受けるには、黒字を確保できる根拠について明確に示す必要があるのは確かだろう。
ただ、あまりにも現実と懸け離れていないか。柏崎刈羽原発は過酷事故を起こした福島第1原発と同じ沸騰水型原子炉である。
東電は原子力規制委員会に6、7号機の安全審査を申請している。
だが、設置が義務づけられた排気設備フィルター付きベントや、敷地内の断層が活断層かどうかの評価で長期化の様相を見せている。1、5号機は申請もしていない。
見過ごせないのは、柏崎刈羽原発の再稼働が大幅に遅れた場合、電気料金を最大10%値上げする必要があると示したことだ。
広瀬社長は、再稼働が遅れたとしても14年度は値上げを見送る可能性に言及したが、先行きは不透明だ。
新計画では1兆円を超える国費の投入が決まった。このままでは電気料金を含め、なし崩し的に国民負担が膨らんでいく恐れがある。
脱原発が大きな争点になるとみられる東京都知事選の結果次第では、政府が推進する原発政策にも大きな影響を与えよう。
いま東電が最優先で取り組まなければならないのは、足元を見つめることではないか。
いまだに事故で約14万人が故郷を追われ、本県を含む地域で避難生活を強いられている。賠償も進まず、生活再建はおぼつかない。
4号機の使用済み燃料プールからの燃料取り出しが始まり、廃炉への一歩を踏み出したとはいえ、溶け出た燃料の状態は分かっていない。廃炉技術の開発もこれからだ。汚染水対策もまだ道半ばといえる。
まず、こうした問題にきちっと対処していくことが何より求められているはずだ。
電力料金高止まりの要因とされる地域独占や総括原価方式などに依存した高コスト体質から脱却することも不可欠だ。
安全神話に寄りかかった、従来の経営姿勢を抜本的に転換できるかどうかが問われているといえよう。
●東電 柏崎刈羽で断層追加調査
東京電力は、運転再開を目指す、新潟県にある柏崎刈羽原子力発電所で、断層の活動状況を調べるため、深さ30メートルほどの大規模な縦穴を掘る、追加調査の計画を明らかにしました。
東京電力は、「少なくとも数か月かかる」としていて、調査が長引けば、運転再開の前提となる国の審査が長期に及ぶ可能性があります。
柏崎刈羽原発では、東京電力が運転再開を目指す6号機7号機を含む、原子炉建屋の直下に23本の断層があり、原子力規制委員会は東京電力に対し、動く可能性があるかを確認する追加調査を求めています。
東京電力は24日、運転再開の前提となる規制委員会の安全審査の会合で「断層は将来動く可能性はない」と改めて主張した上で、活動状況を調べる追加調査の計画を示しました。
計画では、直径4メートル、深さ最大30メートルの、大規模な縦穴を少なくとも4か所掘るほか、ボーリング調査を敷地の中や外で行うことにしています。
規制委員会は、2月にも現地調査を行って、東京電力の追加調査の内容を決めることにしています。東京電力の川村慎一原子力設備管理部長は「追加調査は少なくとも数か月かかる」としています。
柏崎刈羽原発を巡って、東京電力は新たな事業計画で、ことし7月以降順次運転を再開させると仮定し収支の見通しを示していますが、規制委員会は審査で、断層についての調査方針が決まるまで、津波など自然災害への対策を確認しないとしていて、東京電力の追加調査が長引けば、審査が長期に及ぶ可能性があります。
01月24日 17時53分
●柏崎原発 避難に29時間半
30キロ圏 事故想定で試算
最長は浜岡63時間
人口多いほど難航
法大講師
全国の原発を対象に、事故時に半径30キロ圏の住民がマイカーやバスで圏外に避難するまでにかかる時間を試算したところ、8時間から2日半程度になるとの結果を、法政大の上岡直見非常勤講師(環境対策)が24日までにまとめた。対象人口が多い中部電力浜岡原発(静岡県)と日本原子力発電東海第2原発(茨城県)は2日間以上かかる。
2005年国勢調査を基にした30キロ圏の人口が約74万人の浜岡が、63時間と最も時間がかかる結果となった。93万人の東海第2が52時間、44万人の中国電力島根原発(島根県)が45時間半と続き、人口が多い地域ほど時間がかかる傾向だった。人口44万人の柏崎刈羽原発は29時間半だった。
再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査が進んでいる原発では、14万人の関西電力大飯原発(福井県)が8時間で、全原発の中でも最短だった。四国電力伊方原発(愛媛県)は9時間半だが、九州電力の玄海原発(佐賀県)と川内原発(鹿児島県)は20時間程度かかるとした。
東京電力福島第1原発事故の避難は、地震や津波で普通になった道路もあり、渋滞などで混乱。現在も多くの住民の避難が続いている。
試算は、住民がマイカーやバスで国道や県道、高速道路を使って避難し、マイカーの半数などが事故後一斉に避難を開始すると仮定した。
上岡講師は「道路の整備のほか、バスを増やせば避難時間は短くなるが、短期間では難しい」と指摘している。
避難計画の想定に職員が多大な時間を費消。
まあまあ、なんとも国が強いる政策はいったいどれだけのコストと時間をむだに費やさせるのやら。。。
知事をはじめ新潟県職員や技術委のみなさんは、それがどんなに消耗させられることであっても粛々とお付き合いして持久戦で持ちこたえていただいているようで、他県の国民として申し訳なく思いますが、理を尽くしての変革でなければ、定着するのはむずかしいし、急がば回れの忍耐のときなのでしょうか。お疲れさまでございます。
大阪では辺野古への基地移設抗議行動が行われていますが、JR職員さんが多数警備に動員されておられる様子。JR西日本は経営優先姿勢をつよめたあげくに尼崎の事故を起こして、口先では安全最優先をアピールしていますが、駅員の配置は間に合っていないにもかかわらず、警備員には動員できちゃうのかなと、まったく、権力は結びつくものだなあと呆れております。
どこもかしこも、不条理だらけですね。
●「外部意見で現場混乱」 福島第1事故
海水注入の仮定議論 県技術委
東京電力柏崎刈羽原発の安全性を検証する県技術委員会は31日、東電福島第1事故を課題別に議論する作業グループの会合を新潟市中央区で開いた。原子炉への海水注入の意思決定過程について、委員と東電の担当者が議論。東電は「首相官邸や本店からの意見で原発所長に混乱を与えた」としたが、「注入の判断に遅れはなかった」と強調した。
会合は非公開で行われ、委員側は長岡技術科学大副学長の三上喜貴氏ら4委員、東電は五十嵐信二・原子力運営管理部長らが出席した。
会合に提出された書面などによると、東電は海水注入の一時停止を本店が現場に指示したことについて、首相官邸の理解を得られなかったことなどが要因とし、「責任者である所長の判断を超えて外部の意見を優先し、現場を混乱させた。大いに反省するべきだ」などと説明した。
会合後、三上委員は「廃炉が心配で海水注入をためらったとの見方もあるが、現場は『冷やすことが先決』という強い危機感を持って対応したことが分かった。国との意思疎通は大事だが、事故収束という点で国と事業者間の仕組みに課題を感じた」と述べた。
・・・ひょっとして東電は、事故時に原子炉冷却をめぐって現場を混乱させたのは当時の政府のせい、と言っているのですかねぇ・・・?
●「官邸の了解圧力に」
福島第1メルトダウン公表遅れ
東電、県技術委で経緯報告
東京電力は4日、柏崎刈羽原発の安全性を検証する県技術委員会で、福島第1原発事故の際にメルトダウン(炉心溶解)の公表が遅れた経緯をまとめた資料を提出した。公表が2カ月後の2011年5月になった経緯を「国に確認できた事実を正確に伝えるため、メルトダウンという用語を使ってはいけないという空気が醸成されていた」と説明。ただ「メルトダウンという言葉の使用を禁止するという具体的な指示はなかった」とした。
公表過程をめぐっては、泉田裕彦知事が1月に東電の広瀬直己社長と面会した際、国とのやりとりを明らかにするよう要求していた。
資料で東電は「首相官邸から情報公開前に事前確認を取るよう指示があった」と説明。それを受けて「官邸の事前了解が必須との考えが社内で支配的になった。責任を持って説明できなければならず、データに基づかない推測は避けるという圧力になっていた」とした。結果的に「メルトダウンがデータ上で確認できたのは2カ月後だった」と記した。
資料は4日、新潟市中央区で開かれた技術委の課題別作業グループの会合で説明された。
非公開の会合後、多摩大情報社会学研究所教授の山内康英委員は「圧力と感じられる何かが政府側からもたらされたというのは踏み込んだ見解だ。ただ空気という説明では納得できない。圧力とは何だったのか、政府側の人間にも聞く必要が必要が出てきた」と述べた。
東電の五十嵐信二原子力運営管理部長は「今後も求めに応じて丁寧に説明していきたい」と話した。
2月4日付新潟日報朝刊より
●広域避難先 県が提示
柏崎原発 事故想定し素案
●地下ベント事前了解 刈羽村
・・・昨日のこの二つの記事に関しては、詳しい内容はあえて書きません。
広域避難先の記事に関しては、柏崎刈羽が事故った場合、県内の各自治体はその時の風向きに応じて地図の上やら右やら下の地域に避難する、というだけの話ですし。それに何度も書いてますが、私は避難計画に関しては、「自分達の住んでいる所の事実上の消滅も覚悟した上で原発再稼働を容認する」という意思表示を国に対して行っているに過ぎない、と思っておりますし。
あと、下の記事に関しては、刈羽村が原発ベッタリなのは、今に始まった話ではないですから。でも、事故った場合は、真っ先に逃げ出すのですと。あの村長、そうなった場合は、どの面下げてやってくるのでしょうね?
自身のネット体験でも思い当たることがありましたね。
エビデンスを出せって。
データないのになに煽ってるんだとか。
もうメルトダウンは確実ってわかってるのに報道されない。
わたしらも被ばくしてるのに福島の何キロ圏だけ危なくって、それより東北のたいへんな津波被害を心配しろって、あ、そのへんは大丈夫なんだし放射能とかアスベストとか言って被災者傷つけんなよって絆側からへんな圧力いっぱいあった。
死ぬまで忘れないんだろうなあ。
東電は圧力って言うけど結託してたし、原子力安全委員会の斑目さまのおっしゃる通りで従順にも「はい、注入しません」、一刻も早くすこしでも被害を抑えるためになにがなんでもメルトダウンを回避するまともな責任感覚は「カイシャ」にはなかったし、政府ガー、宗主国様ガー、核利権を手放さない亡者様ガーとかいわれても理解しません。免責できません!
東電も再稼働したい首長さんも恥を知っててもぜんぜん平気なんですよ。責任なんて思ってないし。恥を知れーってシュプレヒコールは「また言ってるよ うるさいな」って聞いてると拝察いたしますよ。だからって免責?それはありません。この恨み、書き残しちゃいますし。イナゴの数だけ証言あるんで一応十字架背負っていってもらいましょう。
●地下式フィルターベント
「事前了解の時期未定」 柏崎市長
柏崎市の会田洋市長は5日の定例会見で、東京電力が安全協定に基づく事前了解を求めている柏崎刈羽原発6、7号機の地下式フィルター付きベントについて、「県の技術委員会の議論などを見て判断したい。事前了解の時期は決めていない」との考えを示した。
フィルター付きベントは、過酷事故の際に原子炉格納容器の破損を防ぐため、内部の蒸気をタンク内の水を通して放射性物質を減らした上で外部に放出する装置。6、7号機では地上式の建設工事が行われている。
泉田裕彦知事が自身で配管が破損する恐れがあると指摘したことを受け、東電は地下式の増設を決め、昨年12月に県と柏崎市、刈羽村に事前了解を求めた。刈羽村は今月3日、了解することを東電に伝えている。
会田市長は「地上式と地下式は同じフィルター付きベントでも違う設備だと見ている」との認識を示し、「設置しなくてもいいとはならないが、設備の役割や機能などをさらに確認しないと判断できない」と話した。
今日の新潟日報朝刊より
●東電のメルトダウン説明
知事「評価できない」
東京電力福島第1原発のメルトダウン(炉心溶解)の公表が事故から2カ月後になった経緯をめぐり、東電が4日に県技術委員会に提出した説明資料について、泉田裕彦知事は6日の会見で「(社内の)空気だったとか、情報がよく分からなかったという説明で通ると思ったら、あまりにもばかにした話で、全く評価していない」と批判した。
資料で東電は事故直後の首相官邸とのやりとりについて「情報公開は官邸の事前了解が必須との考えが支配的になっていた」「メルトダウンという用語を使用してはいけないという空気のようなものが醸成され、圧力と感じていた」などとしていた。
知事は「(経緯を)まとめたことになっていない。『官邸』という人はおらず。誰から誰に話があったかが全く明らかになっていない。空気だとか、組織の名前を挙げただけで説明したことにはならない」と述べ、東電に引き続き説明を求める考えを強調した。
●規制委、17日から現地確認
東電の断層調査計画 妥当性検討へ
原子力規制委員会は7日、東京電力柏崎刈羽原発の敷地内の断層が活断層かどうかの評価をめぐり、東電の追加調査計画の妥当性を検討するため、17、18日の両日に現地確認する方針を決めた。島崎邦彦委員長代理と規制委事務局の原子力規制庁の担当者が現地に入る。
柏崎刈羽6、7号機の審査の一環。規制委は両号機直下をはじめ敷地内の断層に関する東電のデータは不十分と指摘しており、1月24日の審査会合で東電から追加調査計画案の報告を受けた。
東電の計画案では断層の活動性を調べるため敷地内の少なくとも4カ所で縦穴を掘るほか、複数の断層が存在する敷地外でのボーリング調査などを検討している。
規制委は17、18日、試掘箇所が適切かなどを現地で確認し、東電に追加調査に本格着手するように求める。東電は追加調査期間として数カ月程度を見込んでいる。
東電の追加調査とは別に、規制委も縦穴などの地層を実際に見て断層の活動性を検討する現地調査を行う。
新規制基準は。活断層の真上に原子炉などの重要施設を設置することを禁じている。活断層は「13万〜12万年前以降の活動が否定できないもの」と定義し、「明確に判断できない場合は40万年前以降までさかのぼって評価する」としている。
東電のこれまでの調査では敷地内に23本の断層が確認されているが、東電はいずれも「20万年前以降の活動がない」として活動性を否定している。
●ベントまで最短8時間
柏崎原発 過酷事故で東電試算
東京電力は11日、柏崎刈羽原発で過酷事故が起きた場合、事故発生から最短で18時間後に原子炉格納容器の内の蒸気をフィルター付きベントを通して外部に排出することになるとの試算を明らかにした。
県庁で同日開かれた柏崎刈羽原発の安全性を検証する県技術委員会の会合で、県側の求めに応じて示した。県は試算を基に放射性物質の拡散予想をする方針を技術委に提案し、承認された。
東電は試算で、原発施設の原子炉を冷却する設備がすべて使えなくなり、消防車でも注水に失敗するという最悪の事態を想定した。ほかに、冷却水を供給する配管破断と電源喪失が重なった場合ではベントまでは25時間になるとした。
県の拡散予想は、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)を使用し、風向きと風速に応じた計9パターンを調べる。原発を中心にした50キロ四方を対象に、2011〜13年に実測した気象条件から、北西、南西、北東の3方向の風向きと、それぞれ最大、平均、最小の三つの風速パターンを抽出。ベントを通じて放出された放射性物質の84時間後までの広がり方を試算する。
会合後、東電の川村慎一原子力設備管理部長は「新規制基準の審査のための設定より、厳しい試算も提示した。予測結果を見守り、地域の安全のために何ができるか、一緒に考えたい」と述べた。
技術委の中島健座長は「地元避難計画との関連を総合的に見ていきたい」と話した。
・・・東電の部長の発言、イカしたジョークですね。地域の安全の為でしたら、そこに原発がないのが一番に決まっているではないですか。
ははん、舛添勝利で、そういうこじゃれた発言をする余裕も生まれたという事ですか(怒)。
●「早期ベント想定を」
泉田知事 東電試算を疑問視
柏崎原発
東京電力柏崎刈羽原発で過酷事故が起きた場合、最短で18時間後にフィルター付きベントを通じて放射性物質を外部に放出するとした東電の試算について、泉田裕彦知事は12日の会見で「事故から2時間以内に緊急事態は起き得る」と述べ、早期の放出も想定する必要があるとの認識を示した。
知事は「冷却材を喪失すれば2時間以内にメルトダウン(炉心溶融)する。フィルター付きベントを通さず、放射性物質が出るケースもあるという問題意識を持たざるを得ない」と想定を疑問視した。「18時間後まで放射性物質が出ないというのは実態が違う。技術的検討の必要がある」と話した。
東電は11日の県技術委員会で過酷事故の想定シナリオを提示。原子炉を冷却する設備がすべて使えなくなり、消防車による注水も失敗した場合、18時間後のベントが必要になると説明した。
●柏崎原発断層調査
所長「数ヵ月はかかる」
東京電力柏崎刈羽原発の横村忠幸所長は13日の定例会見で、原子力規制委員会の指示により敷地内外で実施する断層の追加調査について「少なくとも数カ月はかかるだろう」との見通しを述べた。
追加調査は、規制委が柏崎刈羽原発6、7号機の審査で敷地内外の断層が活断層かどうかをめぐり、東電のデータが不十分と指摘し、求めた。東電は先月の審査会合で、敷地内の少なくもと4カ所で縦穴を掘り、ボーリングも行う追加調査案を示した。
横村所長は「大規模な調査になる。規制委は断層などの年代を慎重に判断すると理解している。真摯に対応したい」と説明した。
東電の新たな総合特別事業計画(再建計画)では、同原発を7月以降順次再稼働させるとしている。横村所長は「(再稼働時期は)仮置きであり、期限やスケジュールありきではない」として、調査への影響を否定した。
規制委は17、18日に追加調査場所の妥当性を検討するための現地確認を行う。
・・・今回の記事とは直接関係ないのですが、今日の朝刊にはこんな記事も。
●すぎょい!大物またも
体長4メートル カグラザメ捕獲
(以下略)
佐渡沖で、普段は深海に生息する珍しい鮫が定置網にかかった、日本海側で発見されるのは2例目、という内容の記事なのですが、佐渡沖ではここ2ヶ月ほどの間に、これまためずらしい深海生物であるダイオウイカが、2匹も発見されております。
http://www.asahi.com/articles/ASG193JD2G19UOHB003.html
http://news.livedoor.com/article/detail/8525803/
そういえば昨年は県内の上越地方で、これまためずらしい深海生物であるリュウグウノツカイ(某むろみさんに出てくるあれです)が生きたまま捕獲されました。
https://www.city.joetsu.niigata.jp/site/sea-museum/ryuuguunotukai.html
もしかしたら、日本海の海底で何かが起きつつあるのかもしれませんね。中越、中越沖に続き、新潟をまた大地震が襲うかも?その時、柏崎刈羽原発はどうなる?
●規制委 断層を現地確認
東電追加調査計画「おおむね妥当」
東京電力柏崎刈羽原発6、7号機が新規制基準に適合しているかを審査している原子力規制委員会は17日、原発敷地内外の断層を評価するために東電が計画した追加調査場所の確認作業を18日までの日程で始めた。規制委で地震・津波分野を担当する島崎邦彦委員長代理は、敷地外断層の調査場所を視察後、計画について「おおむね妥当なものだと思う」と述べた。18日は原発構内を調査する。
調査団は島崎邦彦委員長代理をはじめ原子力規制庁、原子力安全基盤機構(JNES)の職人ら16人。東電は姉川尚史常務、横村忠幸同原発所長らが対応した。追加調査計画案が妥当と判断されれば、東電は追加調査に入る。
17日は原発敷地外の調査場所など12地点を調べた。東電によると、ボーリング本数の追加を求めるなどの指摘があったという。
この日の調査後、島崎委員長代理は「調査場所を少しずらした方がいいなどの指摘をした。ここで計画を固めても、正しい結果が出るとは限らない。調査はある程度柔軟にやることが重要だ」と述べ、今後得られるデータを踏まえ柔軟に計画を修正するよう東電に求めた。
姉川常務は報道陣に「まだ計画案に大きな変更が出る状況ではないと受け止めている。(調査団の)意見を集約して確認したい」と述べた。追加調査にかかる期間は3カ月〜半年程度との見通しを示した。
新規制基準では活断層を「13万〜12万年前以降の活動が否定できないもの」と定義し、「明確に判断できない場合は40万年前以降までさかのぼって評価する」としている。東電はこれまでの自主調査で敷地内の断層23本についていずれも「20万年前以降の活動がない」として活動性を否定。しかし規制委は東電のデータが不十分と指摘し、追加調査を求めた。
東電の追加調査計画案で、敷地内の少なくとも4カ所で直径4メートル、深さ20〜30メートルの縦穴を掘るほか、敷地内でボーリング調査を行うとしている。
●断層調査開始認める
規制委 現地確認作業を終了
原子力規制委員会の島崎邦彦委員長代理は18日、東京電力が作成した柏崎刈羽原発の周辺断層に関する追加調査計画案の現地確認作業を終え、「計画案はおおむね妥当」と述べ、調査開始を認める考えを示した。これを受け、東電の姉川尚史常務は「できるだけ速やかに始めたい」と調査に着手するとした。
追加調査は、原発敷地内の断層は活断層ではないと主張する東電に対し、規制委がデータが不十分として指示した。規制委は今回追加調査の計画を認めたが、活断層かどうかの評価は今後のデータを踏まえて行われるため、審査の長期化は避けられない状況だ。
東電は敷地内の4カ所で直径4メートル、深さ30〜50メートルの縦穴を掘り、敷地内外でも試掘溝を造って、断層の活動性や年代などを調べる。また敷地内外で数十本のボーリングを実施。準備から分析結果を出すまでの期間を3カ月〜半年程度と見込む。
調査団は18日、原発敷地内で縦穴を掘る場所などを視察し、2日間の現地確認を終えた。計画に大きな修正点はなく、調査地点から断層の連続性が確認できるように調べることを求めたという。
島崎委員長代理は報道陣に「試掘溝調査のデータなど現場で確認が必要なものが準備できた段階で再び現地調査を行なう運びになる。出たデータを見ながら、柔軟に計画を変えるなど対応する必要がある」と述べた。
現地を案内した東電の姉川常務は「断層の年代特定についてさらに精密な分析を求められた。得られたデータを随時規制委に報告して議論させていただきたい」と語った。
・・・考えてみれば、原発を再稼働させないと我が社は潰れてしまいます!と言っている東電自身が調査するのですから、当然再稼動ができなくなるようなデータは出さないでしょうね。で、柏崎刈羽の再稼働は国策でもありますから、国も、再稼動できなくなるようなデータに関しては手を打つ事でしょうし。
ぶっちゃけデキレースですね。アホくさ。
●エネ基本計画政府案
福島自己検証なく
知事「妥当でない」
泉田裕彦知事は28日、原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、再稼働を進めるとしたエネルギー基本計画の政府案に対し、「東京電力福島第1原発事故の検証と総括がない中、今後の政策の方向性を決めることは妥当ではない」と述べた。県議会本会議で代表質問に答えた。
知事は「どの程度の(事故の)リスクがあり、コストが掛かるのかが見通せない中で、将来の計画を決めることは妥当ではない」と指摘。「事故検証がないまま再稼働の手続きを進めれば、国の原子力行政や電力業界は国民の信頼をさらに失う」と強調した。
・・・余談ですが、今日から新潟日報の文字が大きくなりました。当然その分文字数が減り、読者に伝わってくる情報量も減りました。
まぁ今後も、中央紙よりは原発関連の報道が多い事は代わらないでしょうが、我々に入ってくる情報量は確実に減るわけでして・・・。
新社屋ができて浮かれているのかもしれませんが、どうかこれ以上県民を白痴化させないでくださいね!
●原発再稼働 容認2割
30キロ圏自治体 半数が「避難困難」
全国の原発の半径30キロ圏にある自治体のうち、原子力規制委員会が審査を終えれば原発の再稼働を「容認する」と答えたのは、条件付きを含めても約2割の37自治体にとどまることが1日、共同通信社のアンケートで分かった。「判断できない」との回答も約4割の66自治体に上がっており、再稼働に向けた手続きは難航しそうだ。
半径30キロ圏内の自治体の内訳は21都道府県と135市町村で、原発事故を想定した対策を求められている。事故時の住民避難を尋ねたところ「どちらかといえば難しい」も含め、半数近い72自治体が困難とし、避難への準備が整わない実態も明らかになった。
再稼働の判断は、規制委が審査中の原発の周辺自治体に絞っても、同様の結果だった。
政府は規制委の審査を「お墨付き」にして再稼働を進める方針だ。しかし安全性への不安が強いことに加え、政府が自治体や住民への説明方法、将来的な原発の位置付けを曖昧にしていることから、自治体の慎重姿勢が目立つ結果となった。
「容認」は13自治体、「条件付き容認」は24自治体に対し、「容認しない」は32自治体だった。
東京電力福島第1原発事故後、政府は原子力災害対策の重点区域を、従来の半径10キロ圏からおおむね30キロ圏に拡大し、対象は15都道府県と45市町村から大幅に増加した。再稼働の同意を得る必要がある「地元」の範囲を聞いてみたところ、「立地自治体のみ」が30自治体だったのに対し、「30キロ圏の全自治体」を求める回答が58自治体に上った。
前電源に占める原発の比率は「段階的に減らし将来ゼロ」を求める答えが78自治体と半数に上った。「即時ゼロ」も3自治体で、「一定比率を維持」(25自治体)など政府方針と同様に原発活用に前向きな自治体よりも「原発ゼロ」を求める自治体が多かった。
原発別では、東京電力柏崎刈羽原発で再稼働を容認すると答えたのが1自治体で、5自治体は「判断できない」とした。
アンケートは2月中旬から下旬にかけて実施。自治体名を公表しない前提で、156全ての自治体から回答を得た。
●原発周辺自治体アンケート
曖昧な国の姿勢に不満
再稼働判断 地元意向慎重求める
(解説)
原発立地や周辺の自治体を対象にしたアンケートで、原発再稼動に対する自治体の慎重姿勢が目立ったのは、地元同意をどう得るかなど、再稼動までの手続きや政府の関わり方が不透明なためだ。
政府が前面に立つように求める立地自治体や、なし崩し的に再稼働を進めることへの警戒感を示す周辺自治体も多く、政府の曖昧な姿勢に対する不満が反映された形だ。
政府から独立する原子力規制委員会は、原発が新規制基準に適合するかを審査するが、再稼働の是非は判断しない。しかし「脱原発」が根強い世論を刺激したくない政府は「規制委の判断を尊重する」と繰り返し、審査終了後の手続きに関する言及を避けている。
原発事故に対する住民の不安が強い中、再稼働に前向きな自治体でさえ、住民の理解を得るのは難しいと感じている。一方、原発事故が起きれば、避難を強いられる周辺自治体は「地元」として意見を反映できるように求めているが、政府は地元の範囲を不明確にしたままだ。
アンケートでは、政府がまず再稼働に対する判断を示した上で、地元の意向を十分尊重すべきだとの意見が大半を占めた。東京電力福島第1原発事故の収束作業や住民の避難生活は続いており。放射性廃棄物の処分などさまざまな問題も解決されていない。政府は再稼働を判断する重みや、難しい選択を迫られる自治体の立場をもっと認識する必要がある。
●要支援者避難計画
4割「全施設で未策定」
原発から30キロ圏の156自治体を対象にしたアンケートで、病院の入院患者や老人ホーム入居者など「要支援者」の避難計画について、4割近くの56自治体が「全ての施設で未策定」と回答した。48自治体は施設の策定状況を「把握していない」としており、要支援者が避難中に亡くなった東京電力福島第1原発事故の課題が解消されていない実態が浮かび上がった。
医療や介護面で特別な対応が必要な要支援者は避難先も同様の施設が望ましいが、こうした施設は現状でもほぼ満員で避難先の確保は困難。移動手段も救急車や車いすに対応する車両が必要になる。
具体的な避難先やルートを盛り込む避難計画は施設側が策定し、自治体が施設間の調整役となるが、「全ての施設が策定した」は5自治体、「一部施設が策定」も15自治体にとどまった。
現時点で原発事故が起きた場合、住民の避難が可能かどうか尋ねたところ、「難しい」が28自治体、どちらかと言えば難しいが44自治体で、合わせると半数近くに達し、「可能」(15自治体)、「どちらかと言うと可能」(53自治体)の合計を上回った。
避難に関する不安要因(複数回答可)については「要支援者の避難方法が未定」(105自治体)が最も多かった。
●最終処分場「応じる」ゼロ
原発の自治体アンケートでは、政府が高レベル放射性廃棄物の最終処分場受け入れを申し入れた場合、約4割の61自治体が「応じない」と回答し、「応じる」はゼロだった。政府は国主導で科学的に適地を示し、候補地を絞り込む方針だが、自治体の拒否感は強く、選定は難航しそうだ。
政府は昨年、受け入れ先が長年見つからないため、自治体が応募する従来の方式の見直しを始めた。政府が火山や活断層などの影響を受けない候補地を示し、住民説明などを経て、処分に向けた調査を申し入れる仕組みの検討を進めている。
ただ新方式は、現時点では詳細が不透明で、42自治体が「無回答」など明確な回答を避けた。
一方、2割近い31自治体は「政府の説明や調査後に判断する」と回答しており、政府の対応を見守る姿勢を示した。
また14自治体は「原発の敷地内で当面保管」と回答。核燃料サイクルが実現せず、再処理工場や全国の原発に使用済み核燃料が留め置かれている現状を踏まえたとみられる。
「電力の消費地で当面保管」は4自治体、「電力の大消費地での受け入れ」が2自治体で、廃棄物処分をめぐり、原発が立地する地方から電力供給の恩恵を受ける大都市の負担の在り方に不満を示した。
・・・以上の記事は、新潟日報独自の物ではなく、共同通信社作成の物と思われますので、全国の地方紙にも掲載されたと思います。
これを見ると、再稼働には様々な問題が山積み状態なのに、あえてそれに触れないようにしているというか、隠したうえで声高に再稼働を叫ぶ政界、財界、御用マスコミという構図が浮かび上がってきますね。
以前もコメントしたのですが、避難計画の策定一つ取ってみても、私のような素人が少し頭の中でシミュレートしただけで、とてもじゃないが避難なんて無理!と分かってくるのですがね・・・。
だから、上に挙げた連中が、どうしても原発を再稼動させたいのなら、きれい事というか曖昧な事は一切言わないで、「国益のため、原発再稼働のために、立地自治体及びその周辺地域の住民は皆死んでくれ」というしかないでしょうね・・・。
●エネ計画政府案 あいまいな点が多すぎる
これでエネルギー政策の将来像を描いたと言えるのか。あいまいな点があまりにも多い。
政府は関係閣僚会議を開き、新たなエネルギー基本計画案を決めた。3月中の閣議決定を目指すという。焦点となったのは原発の扱いである。
経済産業省の分科会が了承した昨年12月の当初案で「基盤となる重要なベース電源」としていた位置づけを、「重要なベースロード電源」と書き換えた。
ベースロード電源とは、常時一定量の発電を続けることを意味する専門用語だ。原発重視のイメージを、少しでも薄めようと考えたのだろうか。
だが、茂木敏充経済産業相は閣議後の会見で、当初案と比べ「基本的に方向性が変わったとは認識していない」と説明した。
表現を変えただけで、原発重視の姿勢をあらためて明確にしたと言っていい。
東京電力柏崎刈羽原発6、7号機を含め、原子力規制委員会が規制基準に適合していると判断した原発については、再稼働を進める考えを強調したのである。
政府はもともと今年1月に当初案を閣議決定する予定だった。しかし、都知事選で原発問題が争点となり、先送りした経緯がある。
今回決まった計画案を見れば、都知事選の告示と合わせるかのように見直す姿勢を示したのは、反原発の世論が高まることを警戒したにすぎなかったといえる。
政府与党の自民党は一昨年の衆院選で「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立」を訴えたはずだ。安倍晋三首相も国会答弁で「可能な限り依存度を低減させていく」と繰り返している。
それなら、具体的にどう比率を下げていくのかといった工程表が不可欠だ。将来の電源構成も示していない。
茂木経産相は計画案決定後、全電源に占める原発の比率を東日本大震災前の3割から引き下げると明言したが、実現性は不透明だ。
一方で、計画案では安定供給、コスト低減、地球温暖化対策といった観点から、確保していく原発の規模を見極めるとしている。
電力各社など経済界が求めている原発の新増設に道を開く内容だ。選挙公約や、依存度を低減させていく方向と明らかに矛盾しているのではないか。
保管場所が満杯になりつつある使用済み核燃料対策は具体策には乏しい。変更が迫られる可能性が大きい核燃料サイクルについても、抜本的見直しを先送りした色合いが強い。
原発政策への前のめりな姿勢が目立つが、福島第1原発事故の現状をもっと直視すべきだ。
多くの人が故郷と生業を奪われた。貯蔵タンクから大量の高濃度汚染水が漏れ出る事案は続いている。廃炉への道筋は見えない。
そもそも万一の事態が起きたとき、被害を食い止められるのか。どんな状況にも対応できなければ、それこそ無責任である。それとも、再び「安全神話」に寄りかかるのか。政府には現実を踏まえた対応を求めたい。
第2社説欄「座標軸」より
●汚染水問題 東電の体質改善が見えぬ
東京電力の汚染水への対応能力に強い疑問を抱かざるを得ない。福島第1原発でまた汚染水漏れがまた起きた。
高濃度の汚染水をためる地上タンクがあふれ、約100トンがせきの外の土壌に流れ出た。漏えい量は昨年8月に発生した300トンに次ぐ多さだ。
汚染水処理では昨年、人為的ミスによる漏えいや機器の停止が相次いだ。問題なのは、それらを経ても危機管理能力が高まったとは見えないことだ。
漏れが見つかったのは2月19日深夜だった。実は、その9時間余り前にタンクの水位が高いことを示す警報が出ていた。この段階で実際の水位を確かめなかったことが、事態の拡大を招いたことは間違いないだろう。
だが、東電は当日そのタンクに移送する予定などがなかったため、計器の異常と判断した。現場確認はタンク周りの目視点検にとどまっていた。
東電は汚染水を別のタンク群に移送する計画だった。配管の弁の人為的な操作により問題のタンクに流れたことが判明している。
過酷な現場で働く作業員の安全を確保する上でも、トラブルを早期に発見して的確な対応を行うことは不可欠だ。調査を尽くして問題点を洗い出し、再発防止を徹底してほしい。
今回の事態を受け、原子力規制委員会は、水位の監視を怠ったのは漏えい拡大防止の観点で問題だったなどとして東電の管理体制を批判している。
柏崎刈羽原発で使用済み核燃料プールにある燃料集合体の一部が変形し燃料棒同士が接触した問題でも、規制委は安全に対する東電の企業体質に問題があると指摘している。
そういた体質を改めない限り、再建はほど遠いのではないか。
(論説編集委員・三島亮)
・・・こうも汚染水に関して、ミスが連発されるのはなぜなのでしょう?
まさか、高放射線下に居続けている為に、皆脳に影響が出始めているとか?
第2社説欄「座標軸」より
●「霞ヶ関文学」 どこまでけむに巻くのか
そういう言い回しがあるのか、と思わず感心してしまった。
重要な「ベースロード電源」。国の新たなエネルギー基本計画案に登場する文言だ。原発の位置づけを表す。
初めて聞いた人は多かったのではないか。常に一定量の発電を続ける電源を専門用語でそう呼ぶのだという。投書案の「基盤となる重要なベース電源」という表記に比べ、原発重視の色合いが薄まったようにも感じる。
ところが、経産省幹部は「意味を変えた認識はない」と淡々と答えた。何のことはない。より国民に分かりにくい表現に変えたにすぎない。
「前向きに検討」といったあいまいな表現を「お役所言葉」というが、政治を事実上コントロールしていると言っていい官僚たちの用語は「霞ヶ関文学」ともいわれる。
特徴は官僚の裁量次第でどうにでも解釈できるということだろうか。
東日本大震災では多額の復興予算が無関係の事業につぎ込まれた。基本法の「日本の再生を視野に」などの記述が流用につながったとされる。特定機密保護法案では「等」が至る所に登場し、拡大解釈の懸念が強まった。
原発でいえば、東京電力福島第1原発事故直後に政府が繰り返した「直ちに影響はない」か。冷温停止「状態」と同様、事故を小さく見せたかったのだろうが、現実には多くの人が無用の被ばくをしたとされる。
福島原発周辺の町は今、事故の除染で出た廃棄物を保管する「中間」貯蔵施設の建設問題が持ち上がっている。中間がそのまま「最終」になるのではないかという懸念は強い。
国は霞ヶ関文学でどこまで国民をけむに巻くのだろう。
(論説編集委員・馬場幸夫)
・・・ただ、汚染がれきの受け入れ・焼却が大問題となった時に活発に出た意見ですが、いわゆる「福1事故により発生した放射性の汚染物」は福1周辺に永久保管するのがベストだと思うのですがね。あそこは半永久的に人の住めない地帯と化してしまいましたし。
それを、福島の復興を連呼して、福島県民はおろか、日本国民に、下手な希望を持たせているからややこしくなっているのです。
あなたは、原発がなくとも立ちゆくといってますが、立ちゆいたのは赤字覚悟で化石燃料をかって、動かしたからですよ。事実、今年は電気料金値上げによる赤字が増えました。これでは、子供たちは電気不足で苦しむでしょう。数字の赤字などを見ずに、安易な原発批判を行うのは愚の骨頂ですよ。
例えばトヨタ
ttp://response.jp/article/2012/07/03/177226.html
トヨタが自家発電設備に力を入れているのは自動車エンジン開発に注いだ技術を応用して高効率で発電できるシステムを造る自信があるからですよ。
電力販売に打って出ないのは電力業界を敢えて敵に回したくないからでしょ。
そもそも地域独占という体制そのものが非常に非効率化する原因となっています。
水力(¥6−/kwhで売ってる)で県内十分賄おうとしています。
電力網が難しいのですが
まだ、こんなこと言って通じると思っている人がいるんだ。子供たちは、電気不足で苦しむでしょうて、子供たちは家電ですか?とツッコミ入れたくなるほどチープなコメント乙です。ここでは、通じませんが。と釣られてみました。
特に、己の危機管理能力と学習能力のなさを棚に上げて、より苛酷な環境に生きている者達に同情を求め、それを拒否されると逆切れする、自己愛の強い甘ったれである東京都民の為に、自分は犠牲になるつもりなど毛頭ございません。
が整備出来てないから 無理
富士山噴火、東南海地震が有っても
日本の歴史は刻まれたが
原発が稼動してたら未来は無いです。
福島原発「爆発」さえなければすでに復興
三陸津波など何回も有った訳です。
日本海大津波も有るでしょう
一番最初に再稼動する原発が、福1から一番離れた、日本の南の果てにあるそれとは。国の意図が見え見えですね。
恐らくその後も、福1から遠い原発から順に再稼動していき、「原発再稼働はあたりまえだよね!異論を唱える人はおバカさんw」という空気を醸成した上で、その大トリを、こちらの柏崎刈羽原発が務めるのでしょう。
>戦争の格好の標的ですし危険。
北朝鮮もそうですが、中韓ともきな臭くなっている今、日本海側に原発があるのはかなり危険だと思うのですがね。
>戦争したい人たちなはずなのに理解不能???
日本政府としては、日本が潜在的核兵器開発能力を持っていると国際社会に認識させる事は日本の国防に繋がる、との認識らしいですしね。まぁ、極秘に核兵器を保有する、という選択肢のためにも、原発は手放せないのでしょうね。
でも、日本がこうなってしまった今、核兵器なんか所有しなくても、
「いざとなったら福島第1原発4号機建屋を倒壊させて、全世界を巻き添えにするぞゴラァ!」
と、意思表示すれば済んでしまうような気もしますが(汗笑)。
身体にバクダン巻きつけて金出せゴラァってむちゃくちゃなこと言ってる血迷った銀行強盗みたい。。。わあ 恥ずかしすぎるよ。なんてことやってるんだろ。あかん、日本。さむい。
>日本がこうなってしまった今、核兵器なんか所有しなくても、「いざとなったら福島第1原発4号機建屋を倒壊させて、全世界を巻き添えにするぞゴラァ!」と、意思表示すれば済んでしまうような気もしますが(汗笑)。
これ、私も昔から言っていました。まあ、自虐ネタではありますが、核兵器持たずとも、「世界を再起不能に陥れるだけの原発」は日本にありますので気持ち一つです。F1だけで、この状況ですから、あと、40数機の原発が破壊されたら・・・。
いや、本当は、そんな事、考えたくもありませんけどね。(笑)
どこが、先進国なのだろう?
●川内再稼働有力
安全対策に盲点はないか
安全対策に重大な見落としはないのか。スケジュールや結論ありきではなく、慎重に審査を進めてもらいたい。
九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)の審査について原子力規制委員会は、他の原発より優先して進めることを決めた。
田中俊一委員長はこれまで、優先審査の原発は「合格の見通しが立ったということ」との見解を示しており、新規制基準の再稼働第1号となる見通しだ。
再稼働には立地自治体の同意が必要だが、地元自治体に強い反発はないため、今夏にも運転を再開するとみられる。
東京電力福島第1原発事故から3年、原発再稼働問題は節目に差し掛かったと言っていい。
優先の理由は、新規制基準で最も基本となる過酷事故や地震、津波対策に大きな問題がないと確認できたことを挙げている。
一方で問題点は少なくない。
川内原発は付近に火山が集中している。過去の巨大噴火では敷地に火砕流が及んだ可能性が高いという見方が強い。
数百度の高温ガスから成る火砕流が猛スピードで原発に流れ込んだりすれば、防御することはほぼ不可能といえる。
ところが、新規制基準で定める対策は、火山の「監視」にとどまり、審査でも突っ込んだ議論はほとんどなかった。
原発から5〜30キロ圏内の病院や福祉施設にいる要援護者は約1万人に上るというのに、避難計画は手つかずのままだ。
計画の策定は、2014年度以降になるといわれている。災害弱者などへの対応が整わないうちに見切り発車することは、理解が得られまい。
柏崎刈羽原発6、7号機は敷地内外の断層調査が始まったばかりだが、川内1、2号機以外にも北海道の泊など5原発の審査が先行しているとされる。
懸念されるのは、「原発ゼロ」状態が3月で半年となり、政府や自民党、財界の規制委への風当たりが強まっていることだ。
安倍晋三首相は、再稼働に前向きに取り組む考えを再三にわたって明言しており、前のめりな姿勢が目立つ。
しかし、高レベル放射性廃棄物の最終処分場は未定のままだ。安易に再稼働すれば、原発構内に使用済み核燃料がたまり続けることになろう。
とりわけ問題なのは、福島事故の原因究明がまだ道半ばにすぎないことだ。一歩間違えば、首都圏にも甚大な被害が及んだと推測されている。
安全神話をうのみにしたことが過酷事故を招いたのである。経済を優先するあまり、規制委に圧力をかけることは許されない。
日本世論調査会が今月実施した全国面接調査では、再稼働反対は54%に上り、「即時ゼロ」などを含めた脱原発派は69%を占めた。
安倍政権は、この数字を謙虚に受け止めるべきだ。再稼働が見通せないと、すぐに電気料金の再値上げをちらつかせる電力各社も同様である。
●柏崎原発 全基停止2年
審査終了見通し立たず
断層・ベント長期化必至
東京電力福島第1原発事故に伴い、東電柏崎刈羽原発の全7基が停止してから26日で2年となった。東電は6、7号機の再稼働を目指し、原子力規制委員会の新規制基準に適合しているかどうかの審査を受けている。しかし、敷地内の断層の活動性評価や「フィルター付きベント」の運用をめぐる県との協議は長期化が必至で、終了の見通しは立っていない。
規制委の新規制基準が昨年7月に施行され、東電は9月に両号機の審査を申請した。規制委は審査で、敷地内外の断層について「データが不十分」として東電に追加調査を指示。東電は大規模な立て坑や数十本のボーリング調査などを進めていて、調査終了まで「3カ月〜半年程度かかる」としている。
フィルター付きベントは過酷事故の際、原子炉格納容器の破損を防ぐために放射性物質を減らした上で蒸気を外部に放出する装置。県は審査の前に、装置運用と地元の避難計画との整合性を図るよう東電に要求し、県技術委員会の検討が続いている。
長引く全基停止は、地域経済に影を落としている。昨秋に県が実施した調査では、柏崎刈羽地域で3年以上操業する法人の45%が「売上高が減少した」と答えた。
柏崎市の会田洋市長は25日、取材に対し「地元企業は先行きが分からず困っている。審査の状況や先の見通しについて規制委に確認したい」と述べた。
●福島に学ぼう 廃棄物の残せぬ 早く再稼働を
柏崎全基停止から2年
地元住民思い交錯
東京電力柏崎刈羽原発の停止から26日で丸2年となった地元では、住民が止まったままの原子炉をさまざまな思いで見詰めている。大学で原子力防災を研究する学生は「福島第1原発事故から何を学ぶのか」と模索を続ける。母親は「子どもに核のごみは残せない」と考えるが、原発で働く人は「生活のために再稼働を」と求めている。
「生まれたころから原発があって事故も想像できなかった。もっと福島事故から学ばないといけない」。柏崎市の新潟工科大3年の福崎貴仁さん(21)は率直に話した。
福島事故では放射性物質の拡散情報が正確に住民に伝わらなかった。「人ごとではない」と原子力防災に関心を持ち、複合災害時に避難道路などを割り出す原子力防災情報システム「TiPEEZ」(ティピーズ)を開発している研究室に入った。
今月14日には柏崎刈羽原発を見学した。防潮堤など津波への備えを見て「安全対策がどんどん改善されている」と感じた。一方で「しっかりとした防災対策や、(使用済み核燃料から出る)高レベル放射性廃棄物の最終処分の問題も大切だ」と考えている。
柏崎市はティピーズの導入を検討している。福崎さんは就職の第1志望を市役所に決めた。大学での研究成果を地域の役に立てたいと思っている。
「福島事故は収束していない。柏崎刈羽を動かしていけない」。市内の主婦(36)は力を込める。福島事故当時、都内に住み、原発に反対する官邸前デモに加わった。2年前に柏崎の実家に戻ってからも地元の反対集会に顔を出した。ただ、昨年長男が生まれてから。子育てのため参加できなくなった。「福島原発を扱うニュースも減っていると感じる」。事故の風化を懸念している。
一方で、一日も早い再稼働を望む人もいる。柏崎刈羽で長年メンテナンス作業をしている同市の30代男性は「再稼動して安定した電気を送りたい。それは自分たちの生活にも返ってくる」と明かす。
現場では東電から「柏崎刈羽から負の情報は出せない」と言われプレッシャーを感じ続けている。給料も減った。「転職は難しい」のが現実だ。事故を目の当たりにした今、「100パーセントの安全はない」と思う。しかし、「東電は100パーセント近づく努力をしている」と信じている。
・・・柏崎刈羽への原発誘致が決まったその時から、とてつもない十字架を背負い込んだ事を、柏崎刈羽地域民は、自覚し、忘れないでいただきたいですね。
と、いざ原発に何かあったら巻き添えを食らう、新潟県内他地域民として申し上げておきます。
少なくとも、その時になって東電と国に全ての責任を押し付けて(どうせ、我々は「事故を起こさない安全な原発」を条件を再稼働を望んだのだ!とか言い出すのでしょうけど)、被害者面だけはしてくださるな。
できれば避難などせずに(いざという時には、真っ先に逃げ出す算段をしているようですが・・・)、その場にとどまり、潔く責任を取ってくださることを希望いたします。
●農業特区に新潟市
政府 大規模化を推進
政府は28日、地域を絞って規制を大胆に緩和する国家戦略特区の第1弾として、新潟市など6地域を指定することを決めた。新潟市は「大規模農業の改革拠点」として、農地集約や企業参入の拡大による経営基盤の強化、農産物の生産から加工、販売まで手掛ける6次元産業化などを進める。政府は今後、特区ごとに地元自治体や民間事業者との会議を設け、具体的な規制緩和策などを策定。早ければ今夏から特区を順次スタートさせる。(後略)
・・・まさか、新潟県に特区という特典を与えるみかえりとして、柏崎刈羽原発の再稼働を新潟県に迫る、という国の目論見ではないでしょうね?
それで怖いのは、泉田知事という人は、ある意味現実主義者でもありますから、そういう新潟県にとってお得な状況になったのならば・・・とあえて再稼働に目を瞑る可能性が出てくる事です。
知事は、柏崎刈羽原発の再稼動というカードを使う事により、国から新潟県をエネルギー特区として認めてもらおうとしている、という噂も囁かれておりましたし。
あ、でも、「農業」特区で、原発が稼働しているなんて、ある意味イメージダウンですから、再稼働容認なんて事はないですか(笑)。
●田中角栄氏の元秘書官・小長氏インタビュー
石油危機で原発依存
交付金創出、立地に拍車
1972年に発足した田中角栄内閣によって日本は原発大国への道を本格的に歩み出し、その後、続々と地方に原発立地が進んだとされる。それを可能にしたのが、当時成立した「電源三法」だ。通産相、首相時代を通じて田中氏の秘書官を務めた小長啓一氏に(83)に、電源三法が原発立地に果たした役割などを聞いた。
(論説編集委員・横井裕)
−田中内閣の時に日本は原発大国への道を本格的に歩み出しました。
「当時の時代背景が後押しした。田中内閣が発足した翌年の1973年10月、日本は石油ショックに見舞われた。突然の原油生産の削減と情報不足もあって『中東から石油が来なくなるかもしれない』という風評が広がり、国中がトイレットペーパー騒ぎに代表される買い占め、売り惜しみなどで大騒ぎになった」
「このままでは日本経済が大変なことになると、田中首相はアラブ石油輸出国機構(OAPEC)に日本を友好国として認めてもらう、いわゆる『油乞い外交』を進めた。一方、首相の『日本列島改造論』でも触れていた原発について、あらためて脱石油依存の本命との思いを強くし、国会で『原発の必要性はもう議論の余地はない』と発言された。われわれはすぐ電源三法の立方作業に入った」
−電源三法の狙いは。
「原発の立地が進まなければ電力供給が需要に追い付かないため、国が積極的に乗り出す必要があった。三法の発想は、首相が議員立法でつくった道路特定財源と同じ。つまり、電気料金に税金を上乗せし、それを特別会計で受け取り、立地市町村に交付する。国による地域振興の必要性について、声を大にしていたのが当時の柏崎市長・小林治助さん(故人)だった。三法の内容について相談を受けたことを覚えている」
「そのころから、首相の元に『原発誘致のため電力会社を紹介してほしい』と、市町村長が訪れるようになった。人、モノ、カネの流れを大都会から引き戻そうという列島改造論は喝采を浴びたが、現実は必ずしもそうはならなかった。首長らは首相に『工場は来ないし、若者は都会に行ってしまう。この曲面を打開するには原発しかない』と異口同音に訴えた」
−電源三法が地方と大都市を、立地地域と消費地の関係に固定化させたとの見方があります。
「逼迫する電力需要をどう賄うかが大都市と地方の共通の課題で、立地までは互いに血の通った話だった。だが、いったん原発が動き出すと電気に色はないから、都市部の消費者は立地地域にありがたみを感じることはなくなっていった」
−立地を急ぐあまり、安全性が置き去りにされたのではないでしょうか。
「決して安全性を無視していたわけではないが、東京電力福島第1原発事故を目の当たりにすると、当時は安全神話に埋没していたと思う。原発誘致を進めていた町長さんの言葉を思い出す。『電力会社の若手社員の安全に関する説明に゛お任せ゛の気持ちだった。一流大学を出て米国で技術研修を積み、しかも立地地域に住んで通勤するというので自分も納得しました』と。その辺が実態だったのではないか」
●東電 新潟総支社設立へ
情報提供強化 柏崎再稼働にらむ
東京電力は31日、柏崎刈羽原発の再稼働に向け、地元への情報提供能力を強化するため「新潟総支社」を2015年7月をめどに設立すると発表した。4月1日付で会長に就任する数土文夫氏は31日の記者会見で設置を明らかにし、「地元の十分な理解が必須だ」と述べた。
新潟総支社は、現在は原子力・立地本部の下にある新潟事務所(新潟市中央区)を切り離し、社長直轄の組織とする。数土氏と共に会見した広瀬直己社長は具体的な体制について「これから検討する」と述べるにとどめたが、現在、社員15人が常駐している新潟事務所を「強化する」とした。
設置理由について広瀬社長は、地元説明前に柏崎刈羽6、7号機の審査申請方針を発表し、泉田裕彦知事から「地元軽視」と猛反発を受けたことを挙げた。「反省を踏まえ、しっかりとした体制で地元に情報提供をし、声を聞いていかなければならない」と語った。
具体的な業務内容は、現在、新潟事務所が担っている県など地元自治体や議会への説明対応、商工団体への情報提供が中心となる。ことし6月末をめどに、増田祐治常務執行役が総支社設立準備担当に就く。
東電は、新総合特別事業計画で柏崎刈羽原発の再稼働を収支改善に向けた取り組みの柱に位置づけている。原発再稼動が想定より遅れた場合の電気料金の再値上げについて数土氏は「少なくとも12月までは一層の合理化を努力する」と説明し、年内は実施しない考えを示した。
東電は、日本原電に役員を派遣する方針も明らかにした。原電は保有する3基の原発が再稼働できず、会社の存続が不透明になっている。東電は筆頭株主として経営を支える。
社外取締役に元総務相の増田寛也氏、元最高裁判事で弁護士の須藤正彦氏、芝浦工業大学長補佐の国井秀子氏を迎える人事も発表した。6月の株主総会後に就任する。
●「カネ勘定を優先」
知事が東電会長批判
泉田裕彦知事は2日の会見で、1日付で東京電力会長に就任した数土文夫氏について、昨年東電が地元説明前に柏崎刈羽原発6、7号機の審査を原子力規制委員会に申請することを主導した1人だったとして、「(安全より)カネ勘定を優先した」とあらためて批判した。
知事は当時を振り返り、「県と東電の間の安全協定破りをやろうとした。(東電の)借金をどうするかということが優先的に判断された」と指摘した。
当時社外取締役だった数土氏について「東電のプロパー社員と十分擦り合わせをしない中で社外取締役として(申請を)主導した1人だ」と述べ、「安全をどう考えているのかを説明してもらう必要がある」と重ねて強調した。
面会するかどうかは「東電が決めることだ」と述べるにとどめた。
●避難指示区域の解除基準に疑問
東京電力福島第1原発事故で指定された避難指示区域の解除の条件となる年間積算線量20ミリシーベルト以下の基準について、泉田裕彦知事は2日の会見で「年間約5ミリシーベルト(を超える恐れのある場所)は労働法制で放射線管理区域として扱われる。なぜ20ミリシーベルトで赤ちゃんを育てていいということになるのか」と疑問を呈した。
政府は年間積算線量の値など解除条件が満たされたと判断し1日、福島県田村市都路地区の避難指示区域を旧警戒地域の中で初めて解除した。残る10市町村でも除染の終了など環境が整い次第、解除が検討される。
泉田知事は管理区域では18歳未満の就労が禁止されていることに触れ、「もし20ミリシーベルトで安全と言うのなら、管理区域の基準を引き上げないといけない。日本でそんなことができるのか。説明責任を果たしていない」と国の対応を批判した。
●「当然だ」「共感できぬ」
大間原発中止訴訟
県内首長から賛否
電源開発(Jパワー)が青森県大間町で建設中の大間原発をめぐり、一部市域が半径30キロ圏の「緊急防護措置区域」(UPZ)内にある北海道函館市が建設中止などを求めて訴訟を起したことに対し、東京電力柏崎刈羽原発のUPZ内にある県内自治体の首長からは4日、「函館市の気持ちは理解できる」「共感できない」などと賛否の声が上った。
函館市の工藤寿樹市長は3日の記者会見で、大間原発で過酷事故が起きれば水産業や観光業が大打撃を受ける主張した。小千谷市の谷井靖夫市長は「原発から距離が遠くても被害を受けることもある。(函館市と)気持ちは一緒だ」とする。
原発立地自治体と異なり、周辺自治体は原発の稼動に関する意思決定に参加できない。工藤市長は「計画凍結を国や事業者に再三要請してきたが、聞き入れてもらえなかった」と強調した。
見附市の久住時男市長は「函館市の意見を反映指定くれる場所がないから『地元の声を聞いてくれ』と裁判になったわけで、住民の命を預かる市長としては当然だろう」とおもんぱかる。
一方、十日町市の関口芳史市長は「周辺自治体を含む県全体の主張は、知事が代表してするべきだ」とする。
一方、出雲崎町の小林則幸町長は「(函館市には)共感できない」ときっぱり。「原発の安全性は、原子力規制委員会はあらゆる角度から審査しており、UPZの市町村が原発の稼働を判断する必要はない」と述べた。
長岡市の森民夫市長は「司法の場で冷静な議論がなされると思うので、裁判の経過を注視したい」とコメント。上越市の村山秀幸市長は「事業者との関係をどうつくるかは、行政としての課題だ」と話した。
・・・これは函館市が、大間原発の建設差し止め訴訟を起したことに関係する記事です。
函館市のそれに関しては、新潟日報や朝日新聞は大々的に報道していたのに対し、読売新聞は一切報道しておりません。我が家の家族も、さすがに読売のその姿勢には呆れておりました。いくらバリバリの推進派とはいえ、露骨過ぎますよねぇ(苦笑)。
で、上の記事について。
出雲崎町の町長は、刈羽村長並の男ですねぇ(笑)。良寛様も草葉の陰で泣いている事でしょう。
長岡市長は、全国市長会会長であるから(その為に、汚染がれきの受け入れやら、涙ぐましい努力をしたのですから)、まぁあんまり物は言えないでしょうしね。
もっとも長岡市民は、戊辰戦争、太平洋戦争中の大空襲、そして中越地震と、己の不幸自慢をするのが大好きですから、もし将来柏崎刈羽原発が事故れば、更なる不幸自慢のネタが増えますね(脱兎)。
これって「状況から原発再稼働を判断するのでなく、状況を原発再稼働に合わせられるように努力しろ」って言っているのですよね。まるで、支給された軍服、軍靴のサイズが合わない場合は、服や靴を取り替えるのではなく、自分の身体をそれに合わせろ、と言っていた旧日本陸軍みたいですね(苦笑)。
でもなぁ、地方の原発立地地域に対してはそう言ってのけた首相ですが、首都東京に関してはどうなのよ?もし原発事故が起きた場合、都民1200万人の避難は可能なのか?できないとは言わせませんぞ。あ、避難なんかできなかったから、福1事故ではフォールアウトにより都民は被曝してしまったのでしたよね。往生せいや。合掌。
刈羽原発事故の際には売れなくなるでしょうね。魚は他所から仕入れと言われたところで、焼いて売る人間が居れなくなる距離の近さが突っ込みどころ。町長殿は保証を見込んでの考えなのか。ならば「綱渡り政策」の一言に尽きる。
函館市と出雲崎町の危機意識能力の差を見せつけられたと言う率直な感想。
●大間原発提訴
「周辺」の声に耳を傾けよ
東京電力福島第1原発事故から何を教訓として得たのか。国と電源開発(Jパワー)はやみくもに原発建設へ突き進むのではなく、住民の訴えに耳を傾けるべきだ。
北海道函館市は、Jパワーが青森県大間町に建設している大間原発の建設中止などを求め、東京地裁に提訴した。
自治体が原発差し止め訴訟を起こすのは初めてのことだ。
函館市と大間原発は津軽海峡を挟んで23キロしか離れていない。地域防災計画の策定が必要な半径30キロ圏の「緊急防護措置区域(UPZ)」にかかっている。
福島原発のような過酷事故が起きれば、主要産業である水産業、観光業が壊滅的な打撃を受ける距離だ。近隣自治体を合わせると、約35万人が避難しきれない恐れがあるという。
立地自治体並みのリスクを負っているにもかかわらず、原発の稼働・再稼働をめぐる意思決定に参加できない。
訴訟に踏み切った背景には、周辺自治体が置き去りにされている現実への不信感がある。
大間原発だけでなく他原発も含め、周辺自治体やUPZ外に影響を与える可能性がある。政府は重く受け止める必要があろう。
原告側が問題視しているのは、景気浮揚などを最優先に原発推進へ前のめりになっている政府の姿勢そのものといえる。
大間原発は、使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を世界で初めて全炉心で使用できるよう設計されている。
実用化への見通しが全く立たない高速増殖炉に代わるプルサーマル計画の柱という位置付けだ。
核兵器の材料となるプルトニウムの大量保有を解消し、国際的な疑念を払拭(ふっしょく)する狙いもある。
MOX燃料は通常の燃料に比べて制御が難しい。
原子力規制委員会の田中俊一委員長は昨年、「フルMOXは経験がなく、しっかりしたデータを取って判断すべき問題だ」との見解を示している。
トラブルが起きた場合に、国や事業者がどう対応していくのか、十分に議論が尽くされているわけでもない。
さらに、使い終わった燃料の処分方法はまだ決まっていない。一昨年には、大間原発の南西40〜50キロの海底に活断層があることも分かった。原告側が安全性に懸念を抱くのは当然だろう。
国は、原子炉設置許可を既に受けており、新増設にも当たらないとして建設を継続する考えだ。
しかし安全神話にあぐらをかいた結果、福島では国際評価尺度で最悪の「レベル7」の事故が起き、深刻な被害を今ももたらし続けていることを忘れてはなるまい。
国とJパワーがやらなければならないのは、まず住民に説明責任を果たすことではないか。安全・安心が担保されない限り、建設を続けるべきではない。
裁判では、函館市に争う資格があるかどうかも争点になるとみられる。福島事故を受け、裁判所がどう判断するか注視したい。
●柏崎原発の再稼働 「議論段階にない」
泉田知事
政府が11日にも閣議決定するとみられるエネルギー基本計画案で、原子力規制委員会の審査を終えた原発は再稼働を進める方針としていることを受け、泉田裕彦知事は9日の記者会見で「東京電力は(福島第1原発事故の)事実を隠蔽した。それがどうしてかに踏み込まずして、柏崎刈羽原発は(再稼働の議論の)入り口に立てない」と述べた。
知事は「東電は福島の事故当初からメルトダウンを認知していて、実際に認めたのは5月。2カ月間隠蔽した。いざというときに住民の安全を確保するための情報開示すらできていない」と東電を批判した。
その上で「東電はいまだに真実を語らない。だれがどういう指示で隠蔽したのか。組織運営を含め事故の検証と総括なくして安全議論は意味をなさない。再稼働は手続きも含めて議論する段階に至っていない」と強調した。
●福島事故検証本年度も継続 県技術委
座長が知事に報告
東京電力柏崎刈羽原発の安全性を検証する県技術委員会の中島健座長は10日、泉田裕彦知事に2013年度の検討状況を報告した。中島座長は東電福島第1原発事故の検証作業などで多くの課題が積み残されているとして、14年度も検証作業を継続すると伝えた。知事は「これからどうしていくかはまだ緒についていない」と、期限を定めない考えを明らかにした。
技術委は柏崎刈羽原発の安全対策に反映させるため、12年7月に福島事故の検証を始めた。13年度はシビアアクシデント(過酷事故)対策やメルトダウン(炉心溶解)時の情報発信などテーマごとに六つの下部組織をつくり、東電から説明を受け、議論した。
10日に柏崎刈羽原発7号機で本体工事が完了したフィルター付きベントについても話し合い、過酷事故が起きた際にベントを通して放射性物質を外部に放出するまでの時間の試算を検討した。だが、東電と県とそれぞれ示した時間に隔たりがあり、議論は14年度に持ち越しになった。
中島座長は知事に冊子を手渡し、地震の揺れが福島第1原発の重要機器に与えた影響や、メルトダウンの公表が遅れた経緯など、14年度の検討課題を説明した。面会後、中島座長は報道陣に、14年度は技術委の会合に原子力規制委員会の出席を求める意向を明らかにし、「納得できるところまでやりたい」と話した。
知事は、報道陣から技術委の検証を終える時期を問われ、「しっかり検証してもらうのが重要で、時期が先に立つことはない」と答えた。再稼働の議論をいつ始めるかについては「今やるべきは福島事故の検証と総括だ」と述べるにとどめた。
●柏崎原発
7号機ベント完成
東京電力が原子力規制委員会に新規制基準による審査を申請している柏崎刈羽原発7号機の「フィルター付きベント」の本体工事が10日、完了した。過酷事故の際に原子炉格納容器の圧力を下げるため蒸気を放出する設備で、国内の原発では初めてとなる。
フィルター付きベントは、事故時に格納容器内の蒸気を、水や金属フィルターを通して放射性物質を減らして外部に放出する。東電によると、放射性セシウムを99.9%以上除去できるが、放射性の希ガスは取り除けない。
7号機のフィルター付きベントは昨年7月に土台と壁を造る工事を始めた。同10月に千葉県の工場で製造したフィルターとなる円柱タンクを運び込み、据え付け工事を進めていた。今年3月29日から、溶接部からの漏れがないかの確認や、弁の作動試験を行った。この日は配管に窒素を長し、詰まりがないことを確認し、全ての性能試験を終了した。
7号機とともに審査申請した6号機のフィルター付きベントも建設中だが、完了時期は未定としている。
同原発の横村忠幸所長は10日の定例会見で「今後も安全対策に取り組んでいく。ベントの運用については、県との調整の上で規制委に説明したい」と述べた。
●検証なしでは信頼失う
泉田知事
政府が11日に閣議決定したエネルギー基本計画で原発の再稼働を進める方針が明記されたことについて、泉田裕彦知事は「福島事故の検証と総括なしに力で進めれば、エネルギー政策は信頼を失う」と批判した。東京電力柏崎刈羽原発が立地する地元首長は、今後の展開に関心を寄せた。
基本計画では、原子力規制委員会が規制基準に適合すると認めた原発は、国が再稼働を進めるとした。知事はこれまで、規制委の適合基準について住民の避難など安全確保が考慮されてないと批判しており、この日も「設備の性能だけに特化した評価を行うなら(立地自治体から)全く信頼を得られない。設備の性能だけで方針を進めるなら大きな問題だ」と批判した。
また将来の電源比率が示されなかった点を挙げ、「何も決まっていないということではないか。論理的には(原発)ゼロもありうる」とした。
柏崎市の会田洋市長は「計画では原発依存を可能な限り低減させるとし、将来の電源構成を速やかに示すとしているので今後の動きを注視したい」と語った。立地地域支援も盛られていることについては、「地域経済は疲弊している。国には引き続き、支援を求めていく」とした。
一方、刈羽村の品田宏夫村長は「国民のための決断を支持したい。民主党政権が決めたエネルギー基本政策は2030年代までに原発ゼロを唱えたが、そのプロセスを示していなかった。今回の計画は現実的な方針を示したと思う」と述べた。
・・・相変わらず強気の刈羽村長(笑)。なんか、我が村はお国のため、日本国民のために犠牲になることも厭わない雰囲気すらうかがわせておりますが、実は刈羽村民の大多数はそんな覚悟なんてしていないと思いますが(笑)。まぁこんな村長を選んだのは他ならぬ刈羽村民ですから、なんかあった場合は村民全員に責任を取っていただきましょう(怒)。決して被害者面はしないように。
ところでこの記事が、読売新聞新潟版にかかるとこうなります。↓
●原子力発電関する記載に知事「妥当」
政府が11日に閣議決定した新たな「エネルギー基本計画」について、泉田知事は、原子力発電に関する記載を妥当と評価した。
計画では「重要なベースロード電源」に位置付けたが、総発電量に占める割合は数値で示さなかった。知事はこの点を挙げて、「異例の計画だが、(自身が必要性を強調する)福島第一原発事故の検証と総括をしないと数字は当然入らないので、結論としては妥当だ」と述べた。
安全が確認された原発の再稼働方針も明記されたが、「立地自治体の理解と協力を得る」ことも併せて盛り込まれたため、知事は「(自治体の判断によって原発が)ゼロということもあり得る」と国などをけん制。その上で、「書かれた内容をどう実現するかが重要だ」と指摘した。
でも、これまでも私が何度もコメントしてきたことですが、事故が起きた場合の被害や後々まで与える影響の度合を考えた場合、原発のそれは他の発電システムのそれとは比べ物にならないのですけどね。まぁ福1事故で発生し、現在も進行しつつある被害を、あくまでも「気のせい」としてしまえば、「原発は絶対安全とは言えないがさほど危険ではない」くらいの代物に認定できてしまうかもしれませんが(苦笑)。
あ、あと言っておきますが、電力消費地、特に己の自己管理能力のなさを(以下略)の東京都民が、いくら原発擁護をしても説得力ないですから。原発を電力消費地である地元東京に建てずに、数百キロも離れたこちら新潟に造っておいて、何をかいわんや、です。こちら新潟は被害担当艦か?ふざけんな!
>どんな事態になっても電力を供給できる体制を保つか。これが全てです。
そうですね、大事ですね。それで、まだ、緊急時の発電網に期待しているんですか?学習してませんね。それよりも、バックアップ電源設備が電力を止めんれない施設に必要な事がわかりましたよね。送電網がダメージを受けても自家発電設備が動いていたら、いや地域で持っていたら。リスクの分散化が、いかに大事か・・。今、各地域に大型太陽電池発電所等がたくさん作られていまあすよね。
地震で・・・で、火力も原発も被災するわけでよね。で、原因は津波のみでOK?
>メディアや無責任な素人目線の批判に踊らされているんじゃないかと私は思います。
反論するのも何ですが、3年経ってもなお素人目線の書き込みをされているのは、情弱な素人工作員さん?(一部にはカルト教の方もいらっしゃるようですが・・名前は書きませんが!(^^)!)
定型文章でもあるのでしょうか?
まだ、この手の書き込みする人がいるんだなあ〜びっくりした!事故後ならいざ知らず。
●地震探査を開始
柏崎原発 起震車使い構造確認
東京電力は20日、柏崎刈羽原発周辺の地下構造を解明するため、人工的に地震を起こす「起震車」を使った調査を開始し、刈羽村での作業を公開した。6、7号機再稼働に向けた審査で、原子力規制委員会が求めた追加の断層調査の一環。調査の目的について東電は「(断層に)活動性がないことを確かめるため、より多くのデータを集めたい」と話している。
調査を始めたのは、原発から東北東へ約3キロ地点で、刈羽村十日市から柏崎市西山町五日市までの約900メートル。東電によると、今回の調査は「反射法地震探査」と呼ばれる。数十センチおきに計器が置かれた農道を移動しながら起震車で地表をたたき、振動の伝わり方を調べた。
周辺の3カ所でも同様の調査を行う予定。山林など起震車が入れない場所は火薬を使い振動を起こして調べる。過去の調査では地下約1キロの深さを調べたが、今回は地表から300メートルほどが対象。
東電の総合特別事業計画(再建計画)は、柏崎刈羽原発の7月以降の順次再開を盛り込んでいる。追加の断層調査は3月から本格的に続いているが、同原発の嶋田昌義副所長は「数カ月はかかる」と述べ、あらためて7月までに断層調査が終わるかどうかの見通しは立っていないとした。
●柏崎原発事故時のベント開始
3パターンで拡散予想
県技術委
東京電力柏崎刈羽原発の安全性を検証する県技術委員会は22日、新潟市中央区で全体会合を開いた。同原発で過酷事故が起きた際にフィルター付きベントを通し外部に放射性物質の放出を始める時間の想定について、県が求めていた「事故後6時間」を「参考値」として加え、6、18、25時間の3パターンとすることを決めた。今後、時間ごとに放射性物質の拡散予想をして、事故時の避難計画に反映させる方針。
同ベントは、事故で原子炉格納容器の圧力が高まった際に、容器の損傷を防ぐため放射性物質を減らした上で蒸気を外部に放出する設備。
これまでの会合で、ベント使用までの時間想定として、東電は冷却が一部できることなどを前提に18時間と25時間の2ケースを提示した。これに対し、県は全く冷却できない状況を想定し、最短で6時間のケースも加えるべきだと主張していた。
会合で県は、一切冷却できない場合はより短時間で容器損傷に至る可能性があるとし、「極限のケースを想定したい」と求めた。これに対し、東電は県の想定について「全く注水できなければ、ベントをしても熱で容器が損傷して、そこから直接放射性物質が漏れてしまう。ベントの事故想定ではなくなる」とした。
技術委は6時間想定を参考値として補足的に扱うことで合意。次回以降、県が3パターンの拡散予測を提示する。
終了後、中島健座長は6時間想定について、「あくまで参考としたい。県の防災対策にどう反映するかは県と相談したい」と述べた。
●原発規制委人事 中立、公正を保てるのか
政府からの独立性を保ちながら、原発の新規制基準を満たしているかどうかを厳しく判断できるのか。疑念が拭えない。
政府は、原子力規制委員会委員に、日本原子力学会の会長を務めた田中知東京大大学院教授と、石渡明東北大教授を新たに充てる人事案を衆参両院に提示した。
地震学が専門で断層問題などに厳格な姿勢を貫いてきた島崎邦彦委員長代理と大島賢三委員は、9月の任期満了に伴って退任する。
再稼働へ前のめりになっている安倍政権の意向が強く反映されたといえよう。
菅義偉官房長官は人事について「科学的中立、公正な立場から職務を遂行できるベストな人選だ」と胸を張る。
だが問題点は少なくない。
田中氏は原発推進の立場を明確にしてきた、いわば「原子力ムラ」を代表する一人だ。
東京電力福島第1原発事故後の2011年11月に開かれた、国のエネルギー基本計画の見直しを議論する会合の席でも原発の必要性を説き、批判された。
電力会社とともに安全神話にあぐらをかき、推進の立場で規制していた旧原子力安全・保安院時代に逆戻りするという懸念の声が上がるのは当然だろう。
さらに田中氏は、東電の関連団体である東電記念財団から報酬50万円以上を受け取っていた。福島事故後の11年度のことだ。
当時の民主党政権は、委員候補について、原子力関連団体から一定額の報酬を受けた人を除外する基準を設けていたが、これに抵触する恐れがある。
原発メーカー日立GEニュークリア・エナジーなどからも研究費として110万円受領していた。
政権が交代したとはいえ、中立、公正と断言する以上、まず報酬や研究費の実態を明らかにする責務があるのではないか。
人事案は国会の同意が必要だ。野党側の反発は必至だろう。
島崎氏らについて官房長官は「今期限りでの退任の意向が強かった」と説明する。
しかし、経済を優先する自民党の一部や電力業界から、島崎氏への反発があったのは間違いない。
島崎氏は電力会社の姿勢を「安全文化が不十分」と批判、日本原子力発電敦賀原発2号機の原子炉直下を走る断層の活動性を認めるなど、電力会社と一貫して厳しく相対してきたからだ。
規制委に審査を申請した原発は東電柏崎刈羽原発6、7号機を含め、9電力の11原発18基に上る。
自民内には委員交代で再稼働が加速すると歓迎の声もあるようだが、民主政権時に規制委の独立性を迫り、実現させたのは他ならぬ自民党である。
関西電力大飯原発の裁判で、福井地裁が原発の稼働という経済活動は人格権より低いなどとして、再稼働を認めない判決を言い渡したのは記憶に新しい。
原発推進を前提とするかのような委員会の在り方は国民の理解を得られまい。直視しなければならないのは、3年たっても事実上変わらない福島事故の現実である。
・・・例の福島での「鼻血」の問題でもそうですが、自分達が野党の時言っていた、やっていた事と、正反対の事を、今行なっている、行なおうとしている、そして言っているのを、当の本人たちはどう思っているのでしょうね?
●柏崎原発の推計
本年度内の公表目指す
東京電力柏崎刈羽原発が立地する本県では、県が原発事故時の住民避難にかかる時間の推計を進めている。まだ作業中で、本年度内の公表を目指している。
これとは別に県は3月、事故を想定した住民の広域避難について行動指針を策定。同原発から30キロ圏の9市町村の住民が避難する先の市町村を示した。これを受け、具体的な避難先施設や避難所運営など、詳細を市町村間で詰めている。ただ移動手段や経路などの検討は未着手で、現段階での緊急時の避難対応は実効性を伴っていない。
一方、放射線量が高まる中、バスの運転手をどう確保するか、安定ヨウ素剤をだれがどう配るかなど、労働法制との関わりで不明確な点もある。県原子力安全対策課は「法改正がないと地方ではできないものもある。適切な対応を国に求めたい」としている。
●県内アンケート
再稼働の地元同意
「法制化を」自治体半数超
東京電力福島第1事故後に停止し、原子力規制委員会の審査を終えた原発の再稼働問題について、新潟日報社は7日までに、県内の全30市町村長と泉田裕彦知事を対象としたアンケート調査を実施した。再稼働の際に必要とされる「地元同意」への意思表示について、半数を超える17市町村が権限や仕組みを「法律で位置付けるべきだ」と答えた。
現行制度では、再稼働の際の「地元同意」は法律上の位置付けがなく、原発を運転する電力会社と立地自治体が結ぶ安全協定が事実上、その根拠となっている。
法制化を求めたのは長岡市や十日町市など17市町村。森民夫長岡市長は取材に対し「安全協定は強制力がない。地元理解や同意にはきちんとした根拠が必要だ」と語った。
現行の安全協定での対応が望ましいとしたのは、東電柏崎刈羽原発が立地する柏崎市など3市町。会田洋柏崎市長は取材に「安全を守るための手続きは協定で機能している」と話した。
再稼動への地元同意をどこが求めるべきかについては、政府とする回答が17市町村に上り、現行の電力会社との答えは2市町にとどまった。
同意を求める「地元」の範囲に関しては、6市町が「立地市町村と県」としたのに対し、「原発から半径30キロ圏内の市町村と県」、「県とその県内の全市町村」とする回答が計16市町村となり、従来より広げるべきだとの意見が多かった。
規制委が審査中の柏崎刈羽原発6、7号機が新規制基準に適合した場合、「再稼働を認めるか」との設問には、刈羽村と聖籠町が「認める」、7市町が「条件付きで認める」とした。加茂市など5市村が「認めない」としたほか、新潟市など13市町村は「判断できない」と答えた。
アンケートは郵送で行い、全自治体が回答した。
(解説)
原発問題に関するアンケートで、県内の多くの市町村長が「地元同意」の法制化を求めたのは、再稼動の是非をめぐる地元の意思表示を明確な形で反映させたいとの意向が表れたものと言える。
東京電力福島第1原発事故では被害が立地自治体にとどまらず、広範囲に及んだ。防災対策を重点的に行う範囲が原発の半径30キロ圏内に拡大され、原発はもはや立地自治体だけの問題ではなくなった。再稼働をめぐる手続きが福島事故前と同様の方法で妥当なのかどうか、議論を求める声が今後強まる可能性がある。
アンケートでは、政府が地元自治体に同意を求めるべきだとする回答が多かった。2002年に発覚したトラブル隠しや07年の中越沖地震で柏崎刈羽原発が全基停止した後、再稼働した際は東電が立地自治体の同意を得てきたが、福島事故を起こした東電への不信感の根深さがあらためて浮き彫りとなった形だ。原発は国策として進めてきた経緯があり、国はこれまで以上に真剣に原発を抱える地域と向き合い、住民の不安に応えていかなければならない。一方、自治体側も国の対応を見守るだけではなく、原発問題に主体的に関わり、住民の声を国や電力会社に届けていく役割がさらに重要になってくる。
●県内アンケート「地元同意」
30キロ圏内外で意識に差
圏外 範囲拡大を
圏内 従来通り
新潟日報社が実施した原発問題に関する県内全30市町村長と泉田裕彦知事を対象としたアンケート調査で、原発再稼働に必要な「地元同意」を求める範囲について、東京電力柏崎刈羽原発から半径30キロ圏の内外で市町村長の意識に差がある傾向が表れた。下越地方など30キロ圏外の市町村長からは立地自治体以外にも範囲を広げるべきだとする回答が多かった半面、30キロ圏内では従来と同じ「立地市町村と県」とする答えが目立った。
地元同意を求める範囲について、魚沼市など6市町村が「県と原発から半径30キロ圏内の市町村」、新発田市など10市町村が「県とその県内の全市町村」と回答し、従来より広範囲にするべきだとの考えを示した。
「全市町村」とした佐渡市は「原発事故の状況によっては、被害の広域化も想定されるから」と理由を挙げた。関川村は県内の全市町村だけでなく、「県外の周辺自治体」も加えた。30キロ圏に近い魚沼市は「少なくとも30キロ圏の自治体には、立地自治体の安全協定に近い権限を与えるべきだ」とした。
一方、柏崎市と刈羽村を除く30キロ圏内の7市町村のうち、小千谷市や十日町市など4市町が「立地市町村と県」を選んだ。残る3市の回答にも、同意を得る範囲を広げるべきだとの意見はなかった。
30キロ圏内の市町村は原発事故を想定した地域防災計画や避難計画の策定が義務付けられ、事故が起きれば大きな影響を受ける可能性がある。だが、同意を求められる地元自治体に加われば、大きな責任を負うとともに、判断するための体制整備も必要になる。
小千谷市の谷井靖夫市長は取材に「高い専門知識を持ち、原発が生活や経済に必要な立地自治体が判断すれば十分だろう」との考えを示す。その上で「日本でトップの原子力専門組織である原子力規制委員会を超えるものは、自治体では持てない」と事情を説明する。
十日町市の関口芳史市長は「立地市町村以外の意見は広域自治体である県が取りまとめ、判断してほしい」とした。
●柏崎原発 地元に本社を
知事 東電から分離要求
泉田裕彦知事は10日、新潟日報社のインタビューに応じ、東京電力柏崎刈羽原発について、東電から分離し、緊急時の責任体制を明確にするため地元に本社を設置することを求めていく考えを明らかにした。原子力防災に最低限必要な対策として放射線防護の拡充などの項目と合わせ、既に与党自民党側に文書で伝えた。東電は柏崎刈羽原発の再稼働を経営再建の柱と位置付けており、論議を呼びそうだ。
泉田知事は取材に対し、分離を求める理由について、「東電は(福島第1原発の)汚染水処理、廃炉、賠償に加え資金調達で頭の中がいっぱいになっており、安全対策が考えられない。ぜひ分離をしていただきたい」と説明。「世界では原発の敷地内に本社を持つ電力会社がある。緊急事態が起きた時に責任を持って対処するためだ。国の政策としても発送電分離の方向に動きだしている」として分離が必要だとした。
分離を含めた要望全体を再稼働論議の前提条件と考えているかとの質問には「再稼動とは関係ない。原発がある限り必要だという認識だ」と強調。福島第1原発事故の検証と総括が最優先と挙げ、再稼働論議をする状況にはないことをあらためて示した。
新潟日報社は自民党側に提出された文書を入手した。要望は、福島原発事故を踏まえ@指揮系統が混乱しないようにするための災害対策基本法と原子力災害対策特別措置法の一元化A高線量下での緊急対応のための法整備B福祉施設や病院などの放射線防護対策C安定ヨウ素剤の配布、服用で緊急時に実効性のある対策を可能とするための法改正−など約20項目。
自民党資源・エネルギー戦略調査会会長を務める山本拓衆院議員は10日までの取材に党側の窓口として、知事の要望項目を文書で受け取ったことを認め、関係省庁に検討を求めているとし、柏崎刈羽原発の東電からの分離については「東電は民間企業だ。政治が強制する立場にはない」として現状では困難との認識を示した。
原子力規制委員会による柏崎刈羽原発の適合審査は継続中だ。今年1月に政府が認定した東電の新たな総合特別事業計画(再建計画)で東電は6、7号機の7月以降の再稼働を目指すとしたが、原発敷地内にある断層の追加調査などのため、事実上困難となっている。
本当ですか?だったら除染に税金を使わないで東電だけでやらせて下さい。どこの企業もそうですが、自分とこの会社が事故を起こして毒をまき散らしたら責任負いますよ。今更こういう言い訳を言うとはね。
●柏崎分離で攻防
知事の提言
自民県連が反発 幻に
知事泉田裕彦(51)が自民党衆院議員で党資源・エネルギー戦略調査会会長の山本拓(61)に宛てた3月14日付の文書がある。表題は「原子力防災に最低限必要な対策」。4枚にわたり約20の要望項目が並ぶ中で、後段に目を引く文書が記されていた。
「安全確保のために東京電力から柏崎刈羽原発を分離すること」
実はこの分離という考え方をめぐって2月、泉田と自民党県連との間で水面下で攻防が展開されていた。原発政策を争点の一つにした東京都知事選の投開票(2月9日)を目前にした時期だ。
複数の関係者によると、泉田は柏崎刈羽原発の分離に関する提言を経済産業相茂木敏充(58)に出そうとしていたという。柏崎刈羽を東電から切り離し、完全に独立した会社とするよう求める、3月の文書より踏み込んだ内容だった。
書面にして用意したものの提出には至らず、幻に終わったとされる。自民党県連が押しとどめたからだ。
泉田が提言をしようとした背景には、国が1月、東電の新たな総合特別事業計画(再建計画)を認定したことへの不満があったとされる。再建計画は柏崎刈羽原発の再稼働を前提としたもので、泉田は常々「東電福島第1原発事故の検証が先」として再稼働論議に入る状況ではないと強調してきた。
また福島事故を受けて、泉田は災害対策基本法と原子力災害対策特別措置法の一元化を含む要望を知事会などさまざまな機会を通じて国に求めてきた。
ところが遅々として対応が進まず、そうした状況にいら立ちを募らせていたとの見方もある。
この提言への自民党県連の反発は激しかった。
「原発だけの問題ではない。県全体が自民党本部や霞が関にそっぽを向かれる」。2月早々、県側から泉田の考えを知らされた県連は、会長星野伊佐夫(74)ら幹部が緊急に集まり対応を協議。「提言は絶対に認められない」と泉田に申し入れたという。
安全性が確認された原発は再稼働を認める政府方針に理解を示す県連にとって再稼働のハードルを上げるような分離独立は許容しがたい。東電を破綻させず巨額の賠償金を負担させるスキームを根底から揺るがすことになり、東電にとっても虎の子の柏崎刈羽を手放せるわけはなかった。
しかも、元首相細川護熙(76)が脱原発を掲げて立候補した都知事選の期間中に提言を行えば注目を集め、党が支援する元厚生労働相舛添要一(65)の情勢に影響を与えるのは必至だ。県連幹部は「新潟が都知事選を妨害していると受け止められかねない」と憤った。
こうした経緯から提言は幻となり、3月の文書の伏線になったとみられる。
自民党本部は泉田が求める柏崎刈羽原発の分離独立を冷ややかに見ている。党の窓口として文書を受け取った山本拓は、幹事長石破茂(57)から「知事の相手をするよう指示を受けた」と、新潟日報社の取材に明かした。
文書は各省庁に検討するよう求めているとするが、その後の対応は見えてこないのが現状だ。
提言や自民党県連などとのやりとりに関する取材に対し、泉田は「調整過程について否定も肯定もしない」と答えた。
柏崎刈羽原発の今後をめぐる泉田と自民党県連の水面下での駆け引き。それは東電が柏崎刈羽の再稼働に向け新規制基準の審査申請を原子力規制委員会に行った昨年から続いていた。
(後略)
●非公式会談後歩み寄り(※全回のコメント記事の続きです)
柏崎刈羽原発の再稼動を経営再建の最優先事項とする東京電力は昨年9月、原子力規制委員会への6、7号機の審査申請の見込みが立たないことに、焦りを深めていた。7月2日に申請方針を表明したものの、3日後にあった知事泉田裕彦(51)と社長広瀬直己(61)の会談で、泉田が「お金を優先した」と猛反発した。10月の約770億円に上がる融資の借り換え前に申請にこぎつけ、金融機関の信用をどうしても得る必要があった。県側には「9月27日がタイムリミット」と伝えられていた。
だが、泉田は9月25日の広瀬との再会談を経て、申請容認に傾く。この間に何があったのか。複数の関係者は、9月中旬に2度、泉田と広瀬の非公式会談が行われたと証言する。
関係者によると、会談は昨年9月16日夜と、2日後の18日夜にあったという。
16日は当初、泉田が東京・日比谷で開かれる拉致被害者の救出集会に出席後、都内で会う予定だった。だが、台風18号が県内に再接近し、泉田は警戒のため上京を取りやめて県庁で指揮を執った。代わりに広瀬が急きょ、新潟市中央区の知事公舎を訪ねた。しかし、議論は平行線のまま、広瀬はいったん東京に戻ったという。
18日の知事公舎での会談には、立会人がいたとされる。知事の支持基盤である自民党県連の会長星野伊佐夫(74)だ。星野もまた一向に進まない県と東電の協議に気をもんでいた。原発を推進する立場の党県議団には泉田への不満がたまっていた。
「(25日開会の)県議会までに社長と握手しないと、知事はもう終わりだよ」。星野は、このままでは泉田が自民の支持を失うとの懸念を漏らし、泉田と東電に歩み寄りを求めていた。
星野は非公式会談に同席したとの指摘について「記憶にない」と否定する。
2度の非公式会談では、泉田は事故に備えたフィルター付きベントの構造への懸念を広瀬に伝え、広瀬は地下に第2ベントを増設する計画などを説明したとみられる。
多くの報道陣に囲まれた9月25日の再会談。第2ベント設備の増設を切り出した広瀬に対し、「(申請を)急ぎますか」と泉田。初めて東電の立場に配慮したともとれる言葉に、広瀬は「時期を考えていただけている。いいサインだと思った」と周囲に語った。
泉田は翌26日に、安全協定に基づく了解が得られない限りベントを使用できないなどの条件を付けて審査申請を承認する意向を表明し、東電は27日に規制委に申請した。「タイムリミット」の当日だった。
政治の世界では、水面下の交渉で物事が決まることは珍しくない。ただ、県民の受け止めは複雑なものだろう。
一方で、新規制基準に柏崎刈羽原発が適合しているか確認する審査自体は必要だとの声も地元を中心にあり、泉田の姿勢を疑問視する見方も出ていた。
審査申請は、再稼働に向けた手続きの第一歩にすぎない。今後、柏崎刈羽原発の再稼働問題をめぐって難しい判断を迫られる場面も予想される。泉田はどう対応するのか。広瀬との非公式会談について、泉田は「根回しについては一切コメントしない」と語る。広瀬も東電広報部を通じ「個別の面会者や面会場所についての質問には答えられない」とした。
原発を抱える地域は、再稼働問題をめぐって常に矢面に立たされる。一方、国策として原発を推進してきた国の姿は見えにくい。この構図は、東電福島第1原発事故から3年以上経過した今も、変わっていない。
(文敬称略)
●柏崎原発に本社設置
知事「安全性を考慮」
泉田裕彦知事は11日の記者会見で、東京電力の安全対策が不十分だとして、柏崎刈羽原発について「東電は(福島第1原発事故後の)資金調達や賠償の問題があり、安全が後回しになっているため、分離してほしい」と述べ、あらためて柏崎刈羽原発を東電から分離し、原発敷地内に本社を置くべきだとの考えを示した。
知事は、福島事故時に東電本社が現地所長に過度に干渉したとして、「本社が別にあることが緊急時に対応できない足かせになっているのは、福島事故のビデオをみれば明らかだ」と批判した。
北欧では電力会社の本社が原発敷地内に置かれている事例を挙げ、その理由を「敷地内でなければ緊急時に責任を持って対応できないからだ。安全を考えれば(本社が)サイト内にある方が望ましい」と強調。「日本も発送電分離に一歩踏み出しているのだから、分離すべきだ」と話した。
分離する場合、東電からの完全な資本分離や社内分社化などが想定されるが、具体的な考え方については「まだ先の話。いまは総括的な段階だ」と述べるにとどめた。分離後の運転体制についても「一方的に決められる
話じゃない」と述べた。
これに対し、東電本社広報部は11日、「知事から直接、具体的な話は聞いていないので、コメントは差し控えたい。今後とも柏崎刈羽原発の安全対策や緊急時対応訓練に着実に取り組んでいきたい」と述べた。
何しろ首相自らが、「再稼働後の原発が事故を起こしたら、その責任は国ではなく電力会社にある」と言っているのですから。
国策として原発再稼働を進めているのに、いざという時にはその責任だけは取りたくないのでしょう(呆)。
●責任の所在
国の原災担当 専任ゼロ
ヨウ素剤問題機に露呈
4月22日午後、公舎にいた知事泉田裕彦(51)に県危機管理監の坂井康一(58)から電話が入った。東京電力柏崎刈羽原発の事故に備える安定ヨウ素剤の備蓄を怠っていた−。報告を聞いた泉田は落ち着いた声で坂井に指示した。
「事実関係を国に連絡するように」
同日夕、会見を開いた県医療薬事課は「原子力規制庁に報告した」と報道陣に説明した。規制庁は原子力規制委員会の事務局だ。
翌23日にあった規制委の定例会見。委員長の田中俊一(69)は、ヨウ素剤など自治体の対策が適切に実施されているかを今後、チェックしないのか問われ、淡々と答えた。
「それは規制委員会の仕事ではない」
実は、この問題を所管するのは内閣府原子力災害対策担当室だった。環境相の石原伸晃(57)がこの組織のトップの原子力防災担当相を兼務している。その石原は4月25日の閣議後会見で「内閣府としてたぶん、新潟県に詳細な情報を求めている。報告を受け、適切な対応を望む」と述べるのみだった。
ヨウ素剤の服用は、原発事故時に放出される放射性ヨウ素による甲状腺被ばくを低減する。住民の安全にとって重要な対策だ。それにもかかわらず、備蓄を怠った県だけではなく、国の原子力防災に関わる各組織も当事者意識が高まっていないように映る。背景には何があるのか。
内閣府原子力災害対策担当室は、東電福島第1原発事故後、政府の組織改革に伴い新設された。自治体の地域防災計画策定に対する支援が主な業務だ。
しかし、ここに内閣府の専任職員は一人もいない。大部分を規制庁との兼任職員が占めている。県から報告を受けた同室職員も、規制庁職員というもう一つの肩書を持っている。県職員が「規制庁に報告」と言ってしまった原因はここにあった。
同室参事官で規制庁原子力防災政策課課長の森下泰(47)はこうした国の体制について政府内の事情を明かす。
「政府内で専門的な人材を最大限集めても、規制庁にいる陣容がせいぜい。もうワンセットを(専任職員で)内閣府に設けるのは難しい」
とはいえ、実務を担う森下は兼任しているからこそ「(いずれの責任からも)逃げない覚悟がある」と強調する。ただ、規制庁次長の森本英香(57)は同室について実態が見えにくいとし、「自治体からは(責任の所在が)分かりにくい」と認める。
原子力防災に関しては、組織の在り方だけでなく、法体制の不備を指摘する声も出ている。
(文中敬称略)
●知事 法体系整備訴え
「法体系が自然災害と原子力災害で二重になっており、一体化をぜひお願いしたい。現場が混乱する」
5月28日、参院原子力問題特別委員会に参考人として出席した知事泉田裕彦(51)は訴えた。
泉田が「二重」と指摘するのは災害対策基本法(災対法)と、その特別法である原子力災害対策特別措置法(原災法)のことだ。
地震など自然災害による避難の判断は、災対法に基づき自治体の役割となっている。原子力災害時は、原災法で専門性のある国が避難対応の先頭に立つ。
東京電力福島第1原発事故で初めて原災法が適用された。ところが自然災害と原発事故が重なる複合災害となったため、政府内に対策に当たる「本部」や「会議」が乱立。自治体も含めて指揮系統が混乱した。国から連絡がなかったことから、福島県は避難を自ら判断せざるを得なかった。
泉田は、現場に土地勘のない首相が避難の判断をするという原災法の枠組みが実効的ではないとみた上で、緊急時の司令塔の明確化を求めているのだ。
2007年の中越沖地震で東電柏崎刈羽原発が被災した時に、泉田は住民避難の判断を国に委ねた。
3号機変圧器が火災で黒煙を上げる中、県には原発敷地内の放射線計測機器のデータが届かなかった。結果的には原子力災害には至らなかったが、国と県のどちらが指揮するべきなのか、明確に判断がつかない状況が生じた。
実は、国会の福島事故に関する調査委員会も12年7月の最終報告書で、泉田と異なる形で法体系を見直すよう提言している。
「原災法は複合災害を想定し、災対法から独立した一群の法規制として再構築される必要がある」
国会事故調の報告書は、福島事故時の政府の対応を「避難の判断を住民個人に丸投げしたともいえる」と断じている。
しかし、立法府にはこうした提言に対応する具体的な動きは見えない。自民党内には課題と捉える向きもあるが、詳細な検討にはつながっていない。
原発をめぐる自民党内の議論を取り仕切る党資源・エネルギー戦略調査会会長の山本拓(61)は3月、党の窓口として泉田から文書で要望を受けた。山本は「確かに責任が明確ではない」と認める。
ただ、当面は運用面での改善を促すとし、続けた。「法改正はこれから研究する」
複合災害となった東日本大震災を受けてもなお、原子力防災上の根本的な課題が残されているのはなぜなのか。
福島事故後、原子力に関する政府の組織改革が議論された。その中で事務方の中心的な役割を果たした原子力規制庁次長の森本英香(57)は「原子力防災については主要な論点にならなかった」と振り返る。
原発事故の被害から住民を守るには、防災や避難を含めた敷地外の対策も重要だ。だが、敷地内の対策に規制機関がどう取り組むかが焦点になり、住民にとってより身近な敷地外の対策についての議論が置き去りにされた印象は否めない。
森本は現状をこう認識している。「原子力防災に関する政府の体制は発展途上。今後の検討課題だ」
(文中敬称略)
でも推進派は、まるでそのような問題は一切存在しないかのように振る舞い、その事を指摘されると、今度は「今後の課題」として先送りにする・・・。結局福1事故以前と何も変わっていないのですよね。
あ、福島事故を教訓に、推進派、特に政治家達は、いざという時に自分達が責任を取らないで済むよう、裏で色々手を打ち始めているみたいですが(唾棄)。
●避難の実効性
複合災害の想定不十分
自治体 計画策定に苦慮
東京電力柏崎刈羽原発の事故に備え、柏崎市長の会田洋(67)は12日、県内の自治体で初となる広域避難計画案を発表した。会田はその会見で、積み残した課題が多いことを素直に認めた。
この計画はあくまで原発の過酷事故対策に特化し、東電福島第1原発事故のような自然災害と原発事故が同時に発生する複合災害には踏み込んでいない。複合災害への対応について問われると、苦渋の表情を浮かべて言葉を選んだ。
「複合災害への対応をどうするかは、課題として残っている」
2007年の7月の中越沖地震では、道路網に大きな被害が出た。自然災害による打撃に原発事故が加わった場合、住民避難に困難が伴うことは容易に想像できる。会田は「まずは原子力災害の計画を作ることが必要だ」と説明するにとどめた。
福島事故後、国は原発から半径30キロ圏にある自治体に避難計画の策定を義務付けた。実効性のある計画をどう作ればいいのか。柏崎市と同様に悩む自治体は少なくない。
全国組織「脱原発をめざす首長会議」が5月下旬、避難計画に関する勉強会を京都市で開いた。愛媛県西予市長の三好幹二(63)が苦しい胸の内を明かした。
「避難計画を作ったが、それが有効に機能するかは難しい。忸怩たる思いがある」
西予市は四国電力伊方原発(愛媛県)から半径30キロ圏内に人口の約7割が集中する。山が海岸線に迫り、避難ルートが少ない。
三好は近い将来の発生が懸念される南海トラフ巨大地震や、台風などとの複合災害を想定すべきだと考えている。しかし、矛盾を承知の上で「複合災害を無視して計画を作らざるを得なかった」と語った。
隣の同県宇和島市もリアス式海岸が続き、津波があれば広範囲に浸水することが予想され、避難路の確保が難しくなる。市長の石橋寛久(63)は「(複合災害時に)市長としてどう対応できるか答えがあるかというと、首をひねる以外にない」と漏らす。
原子力規制委員会に夜と、避難計画策定の対象となる全国135市町村のうち、3月末時点でほぼ半数の64市町村が策定に至っていない。本県では9市町村が対象だが、策定済みなのは柏崎市だけだ。
「脱原発−」事務局長で元東京都国立市長上原公子(65)は、勉強会で語気を強めて訴えた。
「自治体は非常に困難なことを計画しろと言われている」
住民避難の最前線に立つ首長自身が、計画の実効性に疑問を抱かざるを得ない状況が生じている。しかも、避難計画を審査する国の機関はない。
(文中敬称略)
●「試験」で見極め必要
「もっと政府全体でアドバイスをする体制が必要じゃないか」
5月28日、自治体の避難計画策定について議論した原子力規制委員会の定例会合で、委員の大島賢三(71)が切り出した。
元国連大使の大島の念頭にあったのは米国の事例だ。米国では「連邦緊急事態管理局(FEMA)」が原発を建設する際に事業者と地元自治体で作る防災計画の妥当性を審査しているとして、こう指摘した。
「わが国にはそれがない。福島事故でいろいろ教訓を学んだが、大きなところは変わっていない」
これに対し、規制委事務局の原子力規制庁長官、池田克彦(61)は気色ばんで反論した。「内閣府を中心に、相当な支援をしている」
規制庁はこの日の会合で、木造家屋に屋内退避した場合、何をしない状態より被ばく線量を25%減らせるとする試算を公表した。自治体が避難計画を作る上で参考となる情報提供などの支援は行っているが、計画の審査は規制庁の役割ではないとの立場を崩していない。
「規制委が審査する(原発の)機器の性能だけでは、安全は確保できない。アメリカでも当然、避難計画とセットになっている」
知事泉田裕彦(51)は施設の耐震性や機器の性能を審査するハード面と、避難計画などのソフト面が一体でなければ、住民の安全は守られないとの主張を繰り返す。
東京電力福島第1原発事故当時に官房長官として対応した民主党衆院議員の枝野幸男(50)は、計画作りに国が責任を負うべきだとする。
「自治体の一次案をベースに、国が最終的な責任を持たないといけない。『逃げられること』は、再稼働に当たっての前提だ」
複合災害を想定すれば、自衛隊の出動など国としての対応も避難計画に書き込まなければならない。国はこうした点から、自治体の計画作りに関与する必要性自体は認めている。
それでも規制庁次官の森本英香(57)は言う。
「計画が本当に実効性あるものになるためには、地域の実情に即していなければならない。そこはどこまでいっても自治体にみてもらうしかない」
避難計画が機能するかどうかをチェックするには、訓練は不可欠だ。
昨年3月、東電柏崎刈羽原発の過酷事故を想定した住民の広域避難訓練が初めて行われた。穏やかな天候で、原発周辺から避難した住民は約400人だった。それにもかかわらず、一部道路では渋滞が発生した。
福島事故の政府事故調査・検証委員会で委員長を務めた畑村洋太郎(73)は、もはや訓練だけでは十分ではないと指摘する。
「その計画でいいかどうか、訓練ではなく試験をするべきだ」
畑村は福島事故前に国、自治体が行っていた避難訓練を「形式的だった」と断じた。その上で、今後は訓練で計画が本当に機能するかどうかを、国や規制機関が厳しく見極める必要があると強調する。
「そこまでやらなければ、福島事故の教訓を学んだことにはならない」
(文中敬称略)
●核燃料被害防止へ対策
県技術委 東電が計画説明
東京電力柏崎刈羽原発の安全性を検証する県技術委員会は13日、新潟市中央区で、東電福島第1原発事故の課題別会合を開き、シビアアクシデント(過酷事故)対策について議論した。東電が福島原発事故の反省を踏まえ、溶け落ちた核燃料による被害拡散防止策を柏崎刈羽原発で進めていることを説明した。
会合は非公開。出席者によると、東電は柏崎刈羽原発の格納容器の下部に落ちてきた燃料を注水して冷やす設備を造ったことを報告。このほか、格納容器の被害を軽減させるため、容器の下部に耐火材を敷く計画を進めているとした。
東電は、福島事故前には原子炉建屋内での水素爆発を想定していなかったことを認め、柏崎刈羽原発の建屋上部に、水素を減らす装置を取り付けたことも報告した。
日本原子力研究開発機構の鈴木元衛委員は「東電がさまざまな対策を考えているのは分かったが、細かく見る必要がある」と話した。
●市避難計画案
「協力したい」
柏崎原発所長会見
東京電力柏崎刈羽原発の横村忠幸所長は13日の定例会見で、柏崎市が同原発の事故に備えた広域避難計画案を出したことについて「拡散予想や事故シナリオなど計画の妥当性を高めるために協力していきたい」と述べ、市と連携していく考えを示した。
市の避難計画では、事態の進展に合わせた、避難の具体的な在り方や、住民への情報伝達など10項目の課題が挙げられている。
横村所長は「こういう課題が残っていると提示された。精査して、どういう協力ができるか相談し、提案していきたい」と語った。
泉田裕彦知事が東京電力柏崎刈羽原発を東電から分離し、原発構内に本社を置くよう求めていることについては「緊急時の態勢や責任、権限の見直しを行っているがそこまで検討したことはない。事故時は全社で対応する」と話すにとどめた。
敷地内外で行われている断層調査については、計画通り進めているとの認識を示した。
●復興への視点
「生活再建まで道筋を」
新都市構想 後押し弱く
「福島はあまりにも不幸な状態だ。政府の対策には復興の視点が欠けている」
東京電力福島第1原発事故後の福島県の復興を考えるシンポジウムが1日、東京都内であった。主催した日本保全学会会長で北海道大大学院教授の奈良林直(62)=原子炉工学=は、自戒を込めて参加者にこう呼びかけた。
原発を製造するメーカーの技術者だった奈良林は、今でも「原子力は人類に必要」との信念を持つ。だが、同時に「その原子力が福島を不幸にした」との負い目も感じている。
今も福島県民のうち約13万人が避難生活を強いられている。奈良林はその現実を見て、こう考えるようになった。
「地域住民の生活再建までを含む復興計画なしに、再稼働を議論することはありえない」
きっかけは2012年12月、ウクライナのスラブチッチ市を訪問したことだった。世界を震撼させた1986年のチェルノブイリ原発事故後、旧ソ連が移住先として同原発から約50キロ離れた地域に新設した都市だ。
奈良林の講演でこの市の例を聞き、昨年9月、実際にウクライナを訪れた女性がいる。福島県広野町で地域づくり活動に取り組むNPO法人理事長、西本由美子(61)だ。
スラブチッチ市で西本の印象に残ったのが、住民の笑顔だ。旧ソ連は事故後、子どもへの放射線の影響を懸念した。母子が安心して住める街を目指し、7カ所の幼稚園を400メートル間隔に配置した。子ども3人以上の世帯には、一戸建て住宅が提供されていると聞いた。
何よりも西本が驚いたのは事故後、1年8ケ月で新しい都市が建設され、生活の基盤ができたことだった。社会主義の旧ソ連と日本では体制が異なるにせよ、復興のスピードが違った。
帰国後、西本は奈良林と一緒に、子どもに優しい新都市を福島県双葉郡に建設する運動を始めた。原子力の専門知識を学ぶ教育機関の設置などを核にした「夢の街特区構想」である。
西本は訴える。
「避難者に限らず、全国から移住したくなるような都市をつくりたい」
西本は現在、福島第1原発から半径30キロ圏に住む。地元の広野町は津波と原発事故の影響で海岸部は更地のままだ。「事故から3年たってもなにも変わっていない」。スラブチッチ市と福島の関係に疑問を感じている。
西本と奈良林は何人かの政治家に同市の例を説明し、ニュータウン構想への協力を求めた。「素晴らしい話ですね」との反応は返ってきた。しかし、実現に向けて本気で動いてくれる政治家はいまのところいない。
(文中敬称略)
●地域の崩壊こそ深刻
東京電力福島第1原発事故に関する政府の事故調査・検証委員会がまとめた最終報告には、提言の最後にこんな一節がある。
「未曾有の原子力災害を経験したわが国としてなすべきことは、被害がいかに深く広いものであるか、その詳細な事実を後世に伝えることであろう」
調査委の委員長を務めた東大名誉教授の畑村洋太郎(73)=生産加工学=は、委員長の退任後も手弁当で福島に通う。長期にわたる除染、地域社会の破壊、家庭の崩壊−。住民との直接対話で、困難で重苦しい現実を知り、自問自答を繰り返している。
「この事故を十分に調べたのだろうか。原発の内部より、原発の外で起きている生活破壊こそが、事故の本質ではないか」
畑村は避難指示区域の福島県飯館村などで、地元住民と一緒に新たな除染方法の実験に携わっている。国が直接除染する11町村のうち、福島第1原発が立地する双葉町は5月時点でも本格的な除染に着手できていない。原発の過酷事故がもたらす被害の大きさを前に、畑村は問う。
「事故後の地域の復興計画まで準備することは再稼働の前提条件ではないか」
福島第1原発の周辺では住民の帰還が進んでいない。双葉郡8町村は事故前、約7万4千人が暮らしていた。だが、現在は事故前の1割に満たない。
1日の福島復興シンポジウムでは、福島県広野町在住のNPO法人理事長、西本由美子と地域づくり活動を通じて交流がある大学生が「双葉郡消滅の危機」を訴えた。
東北大3年の日置友智(20)は「時間がたつほど避難先での生活が安定する。除染が終わる段階では、双葉郡に住民が戻らない可能性がある」と指摘した。
帰還に向けては、表面化しにくい課題もある。西本が住む広野町は、廃炉や除染などに携わる作業員約2500人が生活する。町内ではトラブルも見聞きする。
西本は「表には出にくい治安の問題もある。事故が起きれば、柏崎刈羽原発がある新潟県も同じことになる」と漏らす。
安倍政権は4月に閣議決定した「エネルギー基本計画」で、原子力規制委員会が新規制基準への適合を判断した原発の「再稼働を進める」と明記した。
東電柏崎刈羽原発は2002年に発覚したトラブル隠しや、07年に起きた中越沖地震による全基停止後、工学的な安全性を基に再稼動した。安倍政権の方針は福島事故を経ても、基本的には変わっていない。
畑村は「事故は起きる」との前提に立ち、事前にあらゆる事態を想定しておくことの大切さを強調する。
「避難も復興も、起きる前に考えていたことしかできない」
復興計画の必要性を説く北大大学院教授の奈良林直も「事故が起きた後に人々の生活が復活できる方策を、平時に用意しておくことだ」と警鐘を鳴らす。
国は現在、事故後の地域復興計画の準備までは求めていない。原子力規制庁原子力防災対策課長の森下泰(47)は言う。
「今の仕組みは復興まで必要というスタンスに立っていない」
(文中敬称略)
・・・今回の記事は、レベル7レベルの原発事故が発生した福島県の復興は可能、という認識に基づいて書かれているのが、自分にはなんとも・・・。
原発事故被災者の為の新都市建設の提案には、大いに同意しますが、その建設地として、福島県双葉郡を挙げているとは・・・。しかも、原子力の専門知識を学ぶ教育機関の設置などを核にした「夢の街特区構想」とか、「避難者に限らず、全国から移住したくなるような都市をつくりたい」との提言!?これってギャグ?それとも、英国人に勝るとも劣らないブラックジョークですか???
あと、酷な言い方ですが、新都市建設への提案に、政治家達が乗り気ではないのは、当の政治家達自身が、福島県は事実上終わった、と胸の内で思っているからではないでしょうか?昨日のタウンページの兄の失言からも、そう思えるのですが・・・。
●意思表示
周辺自治体は権利なし
安全協定 法制化を要求
5月30日、原子力規制庁で滋賀県知事の嘉田由紀子(64)が穏やかな口調で迫った。
「原子力事業者と結んでいる安全協定の法制化をお願いしたい」
向き合った規制庁長官の池田克彦(61)は原発の安全・防災対策を詳細に説明した後、「努力したい」と答え、席を立った。
滋賀県内に原発はない。だが、隣接する福井県の若狭湾周辺には13基の商業用原発がある。嘉田が規制庁に働き掛けたのは、紳士協定である安全協定を法制化することで、原発周辺の自治体の発言力を高めたいとの狙いからだ。
東京電力福島第1原発事故を受け、国は原発から半径30キロ圏内の自治体に避難計画の策定を義務付けた。滋賀県長浜市から日本原子力発電敦賀原発までの最短距離は13キロほどだ。嘉田は取材に、周辺自治体の憤りを吐露した。
「県境があるから再稼動について何も言えない。万が一事故が起きたら、被害は立地自治体と変わらないはずなのに」
滋賀県と、福井県に接する長浜、高島両市は昨年4月、電力会社と安全協定を締結した。協定は情報提供の在り方などを定めたものだ。再稼働に際して必要とされる「地元同意」に関し、立地自治体が事実上有している意思表示の権利はない。電力会社との調整がつかず、盛り込むことができなかった。
嘉田は原発から30キロ圏内を「被害地元」と呼び、危機感を募らせる。
「滋賀県はいわば無権利状態。これでは県民の命と財産、近畿圏の水源である琵琶湖を守れない」
本県では昨年1月、締結済みの県、柏崎市、刈羽村を除く県内28市町村が柏崎刈羽原発を運転する東電と安全協定を結んだ。とはいえ、原発の運転に影響するような意思表示の権利は入っていない。市町村側が立地自治体並みの権利を求めなかったからだ。
新潟日報社が県と県内全30市町村を対象に実施したアンケート調査では、17市町村が意思表示の在り方を法制化すべきだと答えた。
一方で、紳士協定でも十分に電力会社への抑止力になるとの指摘もある。柏崎刈羽原発がある柏崎市の市長会田洋(67)は「これまでの(再稼働の)事例を踏まえると、安全協定で対応できる」とみる。
かつて福島第1原発所長を務めた元東電常務の二見常夫(71)も「協定は自治体との信頼関係で成り立つ。法律以上に重い」と、地元同意なしには再稼動は強行できないと話す。
茨城県にある日本原電東海第2原発は、30キロ圏の人口が全国の原発で最多の100万人近くに及ぶ。
全国知事会の原子力発電対策特別委員会委員長を務める茨城県知事の橋本昌(68)は言う。
「どこまでの範囲を関係する自治体と見なし、その意見をどう扱うのか。政府は考えをはっきり示すべきだろう」
(文中敬称略)
●「地元同意」範囲拡大を
国は原子力規制委員会の新規制基準に適合した原発について、「地元同意」を得て再稼働を進める方針だ。だが、同意が必要な「地元」の範囲に関しては、依然として明確にしていない。再稼働論議に関わる自治体の範囲はどこまでか−。県内市町村では意見が分かれている。
新潟日報社が行ったアンケート調査では、再稼動で「地元同意」を求める範囲を従来と同じ「立地市町村と県」と回答したのは6市町だった。これに対し、「県と原発から半径30キロ圏内の市町村」は6市町村、「県と県内全市町村」10市町村で、計16市町村が範囲を広げるべきだと答えた。
過酷事故を想定した避難計画の策定を義務付けられる一方、同意手続きの対象外とされていることへの不満は訴訟の形でも表れている。北海道函館市は周辺自治体として。青森県に建設中の電源開発大間原発の建設差し止めを求めて提訴した。そんな中で、注目を浴びた司法判断があった。
福井地裁は5月21日、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を認めない判決を出したのだ。東電福島第1原発事故で検証された最悪の避難シミュレーションを考慮し、大飯原発から半径250キロ圏内の住民に「人格権の侵害」を受ける可能性があるとした。
判決を法廷で聞いた元首相菅直人(67)は、その意義を強調する。
「行政手続きを直接縛るものではないが、再稼働の是非についても250キロ圏の人には発言権があると認めたことを意味する。これは大きい」
福島事故対応の指揮を執った管は「事故は国の責任」と認めた上で「脱原発にかじを切ることが責任の取り方だ」と話す。
規制委による審査が終了した後、国は再稼働に向けた地元との調整で「前面に立つ」との方針だ。
優先的に審査されている九州電力川内原発(鹿児島県)が適合と認められた場合、どのような手続きで再稼働へ進むのか。多くの関係者が関心を寄せる。
旧通産省時代、米国の原子力規制委員会(NRC)への出向経験もある東京工業大特任教授の西脇由弘(60)は「米国は手続きを定めて、それを重視する。再稼動や原発の計画変更の際は自治体、住民などさまざまなレベルで公聴会を開く」とし、事前に手続きを決めておくことを提案する。
福島事故の国会事故調査委員会委員を務めた弁護士野村修也(52)は、国が手続きを示す前に地元から声を上げるべきだと指摘する。
「地元が無防備だと、国から再稼働を押し切られる可能性がある。その前に手だてを講じることだ。地元のしたたかで、戦略的な対応が必要となる」
県内では現在、再稼働手続きのルール化を求める声はあまり聞こえてこない。知事泉田裕彦(51)は「福島事故の検証、総括なくして再稼働の議論はありえない」としている。
新規制基準は設備などハード面に偏っているとの指摘は少なくない。避難の実効性確保や事故からの復興といったソフト面の備えも合わせて講じなければ、福島事故の教訓をいかしたことにはならない。
(文中敬称略)
●新規制基準や事故対応 泉田知事に聞く
規制委 安全の説明放棄
ヨウ素剤 高線量下 配布は困難
東京電力柏崎刈羽原発をはじめ、全国の原発で再稼働に向けた原子力規制委員会の審査が行われている。東電福島第1原発事故を受けてつくられた新規制基準は、原発を抱える地域の住民の安全確保に十分と言えるのか。泉田裕彦知事に新規制基準や、事故に備えた法体系の問題点などについて聞いた。
(報道部・長野清隆)
−福島事故から3年余りたちました。この間、日本の原子力政策をめぐる構造は変化したと思いますか。
「震災後、いくつか形式的な取り組みがあった。一つの例が原子力規制委員会の発足だ。(前身の)原子力安全・保安院は同じ経済産業省の内に原発を推進する立場の資源エネルギー庁があった。推進と規制が一人の大臣の下では組織として十分機能しないのではないかと、本県は問題提起してきた。確かに規制委は(独立性の高い)三条委員会になった。だが、原発の設備が新規制基準に適合しているかどうかは判断するが、住民の生命、安全の確保に関する点については説明責任を放棄している」
−新規制基準のどこに問題がありますか。
「例えば、初めて基準に盛られた免震重要棟は、2007年の中越沖地震をきっかけにして柏崎刈羽原発や福島第1原発に設置された。それなのに、スタート段階では暫定的措置として設置しなくてもいいことになっている。逆に緩んだ部分もある。原発1基当たりからの(事故時の)放射性物質の排出上限が100テラベクレルになった。これは甲状腺等価線量で300ミリシーベルト以上の被ばくをする可能性があることになり、住民の健康に影響を与える前提の基準だ。住民目線というより、規制当局がいかに責任を回避するかという形の基準に変えた」
−福島事故を踏まえ、法制度や事故への備えについて現状をどうみていますか。
「福島第1原発事故では当初、特に4号機で線量が高くなり、作業員が中に入れない状況だった。高線量下の作業を誰がするのか。チェルノブイリ原発事故では民間事業者だけでなく、国の機関の出動して収束させた。日本は今、事故が起きたら、どうやって原子炉をどうやって冷やすのか決まっていない。消防なのか、警察なのか、それとも自衛隊なのか。民間事業者は労働安全衛生法上、制約があって上限線量が決まっている。民間同士の労働契約で作業を強いることはできない。そうした議論を避けているのは極めて問題だ」
−事故時に服用する安定ヨウ素剤の配布についてはどう考えますか。
「国が責任の所在を回避している事例の一つに、ヨウ素剤の配布がある。福島事故では福島県三春町がヨウ素剤を配ったが、国が服用指示を出さなかった。理由は副反応があるからだ。国はこの副反応を抑えるため、医師から問診を受けて配るとしたガイドラインを作った。過酷事故が起きると、原発から半径5〜30キロ圏には屋内退避の指示が出る。柏崎刈羽原発では約40万人以上が対象だ。屋外の線量が高い中で誰が配るのか。中越沖地震では道路が通れなくなった。緊急車両がたどり着けない混乱の中、医師の説明付きで配れるのか。国は不可能な事を求めている」
・・・他ならぬ首相自身が「再稼働後の原発で事故が起きたら、その責任は電力会社にある」と言っているくらいですからねぇ。
恐らく、事故に伴い地元住民が被ばくしてしまった場合、その責任は住民を的確に退避・避難させられなかったそこの自治体にある、ということにしてしまうのでしょう。
国というか政治家と官僚は、今後国策として再稼働は進めるが、それに関する責任は、全く取る気はないみたいですね。
●知事と自民県連 すきま風強まる
共産集会に異例のメッセージ
原発政策 共産は「共闘」と歓迎
泉田裕彦知事が、6月下旬に新潟市で開かれた共産党の集会にメッセージを送り、県議会に波紋が広がっている。共産党が「脱原発へ共闘姿勢を見せた」と歓迎する一方、泉田知事を約10年間支えてきた自民党県連内では異例の言動に「到底、認められない」と不満が渦巻く。知事は、県議会6月定例会の代表質問でも安定ヨウ素剤未配備問題で、民主党県議の答弁にだけ「おわび」を入れ、自民党県議に対しては謝罪を盛り込まなかった。自民党内の反発は強まる一方で、知事との間に吹くすきま風は当分、やむ気配はなさそうだ。
知事のメッセージは6月28日に開かれた共産党県委員会の演説会に送られた。「東京電力は福島第1原発の事故処理などで安全対策が二の次になっている」「柏崎刈羽原発の敷地内に本社を置くべきだ」などと東電や国を批判する内容で、詰め掛けた約1700人の共産党員らから大きな拍手が起きた。
来賓の小池晃参院議員は原発の再稼働を進める自民政権を批判し、「演説会に知事がメッセージを送る時代になった。知事を再稼働反対の立場に立ち続けさせよう」と訴えた。
過去3回の知事選で、自民は一貫して泉田知事を支援してきた。前回知事選では他の政党も推薦したが、共産は3回とも候補を立ててきた。
関係者によると、自民側は演説会前に知事の動きを察知し、思いとどまるよう説得したが不発に終ったという。星野伊佐夫県連会長は「全国集会でないだけ、ましだ。激励の言葉も入っていないし、知事に他意はないと思う」と冷静な風だが、知事の姿勢を批判する自民県議は多い。
ある自民県連幹部は「なぜ敵候補の政党におもねるようなことをするのか。理解できない」と首をかしげる。
当の知事は取材に対し、「首長が自分に投票してくれた人(のため)だけの政治や行政をやるのは適切ではない。共産党には行政の立場としてメッセージを送った。県のスタンスを説明した」と話す。
折しもこの集会の前日にあった県議会代表質問では、ヨウ素剤問題について知事が民主県議への答弁にだけおわびを入れ、自民県議の間で批判が高まったばかりだった。自民党県議団内には「共産党にもいい顔をして、完全なオール与党体制にしたいのか」といかぶる声もある。
自民県連と知事とでは、特に原発への考え方に差があるとされ、安倍政権が原発再稼働にかじを切る中、今後両者の溝は深まる可能性もある。三富佳一県議団長は「どこに軸足を置いて県政運営に当たるのか注視したい」とけん制する。
・・・そりゃあ自民県連はバリバリの推進派ですからねぇ。県内各自治体が再稼働に反対や不安の立場を表明している中、自民県連と柏崎市と刈羽村の議会が推進派なだけで。
あと知事は、県民からは「中央にハッキリ物を言ってくれる人」と絶大な支持を得ておりますから。自民県連にそっぽを向かれてもこちらには県民が付いているという自信があるのでしょう。
●政治の役割・再稼働問題
元国会事故調委員 野村修也氏(中央法科大学院教授)に聞く
国会の厳密な監視必要
安全協定 法制化検討も
東京電力福島第1原発事故から3年が過ぎたが、政治の動きが見えない。事故調査を担った国会事故調査委員会は、国会に対して7項目にわたり原子力行政などの改善を促したが、たなざらしにされている項目もある。政治が原子力行政で果たすべき役割や再稼働問題をめぐる論点を、国会事故調で委員を務めた中央法科大学院の野村修也教授(52)に聞いた。
(報道部・仲屋淳)
−国会事故調は報告書で、国民の健康と安全を最優先するため、事故対応の指揮命令系統など二重になっている法体系の一元化を提言しましたが、実現していません。
「原子力災害対策特別措置法と災害対策基本法の一元化は、国会が動かないとできない。日本は何事も行政が処理をしてきた行政肥大国家だ。国会の力が弱すぎて法体系を再構築できない」
−国会は行政を監視する国権の最高機関です。
「米国は議員提案の法律によって行政を監視するという考え方が強い。米国の国会議員は自分の提案した法律が制定され、その通称として自分の名前が付されることを目標としている。一方、日本の国会議員は行政の一員である大臣になることを目指す。その近道は省庁との間で太いパイプを持つことなので、どうしても族議員化して役所に歯向かえなくなる。行政のとりこだ。国会は骨抜きとなり、行政を厳しくチェックする力を持てなくなる。立法が行政をコントロールするという自覚を持たないと、事故調の提言は実現されない」
−事故の想定範囲をどう考えますか。
「人為的に線引きをした行政区画単位で事故想定をするのは明らかに不合理で、発送の乏しさを感じる。福島事故をみても、放射能は行政区画通りに県境でとどまるものではない。想定をどの範囲で考えるか、議論を深める必要がある」
−本県はいずれ、柏崎刈羽原発の再稼働問題に直面することが予想されます。
「新規制基準は設備の面ばかりを重視しているが、それが果たして合理的なのか疑問がある。設備の安全性だけではなく、地域住民の避難体制の整備がセットで整わないと安全は確保できない。それらは車の両輪だ。新基準は住民避難に重点を置いていない。この基準のままで、政府が再稼働にゴーサインを出すのは疑問だ」
−自治体が再稼動に対する意思表示をする根拠は安全協定しかありません。
「再稼働の法律上の問題点をきちんと整理することが必要だ。再稼働の手続きに法的根拠がなければ政争の具になる。協定は自治体と電力会社が結ぶものだが、原発を国策で進める国に責任を負わせるためにも、国を加えるべきだ。国に逃げ道を与えてはいけない」
「事故から3年が過ぎたのだから、協定の中で法制化する部分があるかどうかも検討しなくてはいけない。その作業をしなければ再稼動には進めない。過去の再稼働時のように大臣が立地地域に頭を下げてお願いする形がいいとは思わない」
●「川内」再稼働へ
新規制基準は満たしたが
東京電力福島第1原発事故を教訓とした新規制基準下では初となる原発の再稼働が、秋にも行われる見通しとなった。
九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)の過酷事故、地震、津波対策を審査していた原子力規制委員会は、合格証の原案となる審査書案を了承した。
再稼働へ向けた事実上のゴーサインである。今後、審査書案への意見を募集した後、工事計画認可の手続きに移る。地元同意が得られるかどうかが焦点となろう。
川内を最優先したのは、厳しい地震想定をクリアできず足踏みする電力会社が相次ぐ中、新規制基準に素早く対応したからだ。福島第1原発とは異なり、加圧水型炉だったことも大きい。
だが、「合格」とはいえ、最低限必要な安全基準を満たしたにすぎないということを九州電力は肝に銘じるべきだ。
安倍晋三首相が「状況はコントロールされている」と公言した福島第1原発事故は、汚染水処理で手探りが続くなど収束の見通しは全く立っていない。
これは、いったん深刻な事態に陥った場合、日本にはそれを封じ込めるだけの技術がいまだに確立されていないということだ。
そもそも、福島事故は何が原因だったのか、その究明はまだ道半ばといえる。
あらゆる事態をどこまで想定しているのか。一刻を争う切迫した状況の中で、的確な判断や対応ができるのか。
川内原発の周りは火山が多く、過去の噴火で原発敷地内に火砕流が押し寄せたとの見方も強い。
安全対策に盲点はないのか。九州電力だけでなく規制委側もハード、ソフト両面から、チェックし続けることが不可欠といえる。
原発の安全対策と両輪であるはずの自治体の避難計画や防災対策にも課題が残る。
鹿児島県では、原発から10キロ圏外にある病院の入院患者らを対象にした避難計画が進んでいない。
福島事故では、患者や施設入所者らの避難先が見つからなかったため、過酷な環境下で多数の高齢者が犠牲になった。
事故時に甲状腺被ばくのリスクが最も高いといわれる乳幼児向けの服用しやすい安定ヨウ素剤の開発はこれからだ。
いずれも早急に対応しなければ再稼働はおぼつかない。
規制委の審査対象は川内と東電柏崎刈羽原発6、7号機を含め、12原発19基に上る。
政府と電力業界は原発再稼働に前のめりになっているが、安全より経営を優先して規制委に圧力をかけたり、見切り発車したりすることは許されない。
懸念されるのは、安全神話が復活しつつあることだ。福島事故が起きた背景に何があったかを思い起こしてもらいたい。
高レベル放射性廃棄物の最終処分場もまだ決まっていない。再稼働だけが進めば、原発構内に使用済み燃料はたまり続ける。
再稼働よりも解決しなければならないハードルがあることを、政府と電力会社は自覚すべきだ。
・・・あと問題なのは、詳しくは書きませんけど、規制委員会、政府、そして地元首長が、「自分は川内原発に関しては、明確に安全だとは言うつもりはないが、他の組織(規制委or政府or地元首長)が安全だと言っているので安全なのでしょう・・・」と、お互いにいざという時の責任を擦り付け合っているところですかね。
前から指摘している事ですが、結局、利権やら何やらで一刻も早く再稼働したいが、その責任だけは自分は取りたくはないのでしょうね。
結局、規制委、政府&政治家&官僚、原発立地自治体首長が福1事故から学んだのは、「今後再び原発事故が起きたら今度こそ自分達が責任を追及される。それだけは避けなければ」ということだけだったと(呆)。
まぁ今後事故が起きたら、全ての責任を電力会社に押し付けてしまえば良い、と。
私は原発政策に関しては電力会社も嫌いですが、この点だけは電力会社に同情しても良いかな?と思います(苦笑)。
●非公開のまま「進展」
規制委・東電 計72回面談
透明性に疑問符も
原子力規制委員会が16日に九州電力川内原発の新規制基準への適合に関する審査書案を了承したことで、他原発の審査が加速する可能性が出てきた。東京電力柏崎刈羽原発については既に水面下の動きもある。6、7号機は、規制委と東電が非公開の面談を重ねてきており、実質的な審査が進んでいるのが実態だ。
「徐々に元の審査体制に戻していく」。16日、規制委の定例会見で片山啓審議官は、川内原発の審査に人員を集中投入してきた体制を解消し、他原発も並行して審査を進める体制に戻すと説明した。
柏崎刈羽も川内のあおりで審査会合が開かれてこなかった原発の一つだ。
規制委はこれまで計4回、審査会合を開いたが、2月17、18日の両日が最後だ。規制委の審査担当官はそれ以降、審査会合を開かなかった理由として川内原発の審査を優先してきたことを挙げ、「他の原発の審査会合が停滞しているのは事実」と認める。
規制委は3月中旬、川内原発が最初に審査に合格するめどが立ったとし、優先審査を決めた。この間、四国電力伊方原発など柏崎刈羽より先行する川内以外の原発の審査会合も大幅にペースダウンしている。
柏崎刈羽は、公式会合だけを見れば審査は滞っているが、規制委は非公開で計72回もの面談を行っている。最後の審査会合後も31回開いた。
面談といっても、規制庁側と東電側の10人前後が参加し、規制委の委員が加わらないだけで、陣容は審査会合とあまり変わらない。会合に向けた論点整理などを行う場との位置づけだが、規制委は審査の一部であることを認めている。
柏崎刈羽の審査は、敷地内外の断層の活動性評価が定まっていないため、設備の耐震安全性に関する議論に入れない。ただ、審査担当者は「それが影響しない部分で、できるところから進めている」と説明する。
規制委のホームページで公開されている面談の議事要旨によると、主に原発で起こり得る事故の可能性を数値化して安全対策に生かす「確率論的リスク評価」や、過酷事故対策として設置が義務づけられた排気設備「フィルター付きベント」の性能に関する議論を進めている。実際、面談では東電の説明に対し、規制庁側が指摘、指示を行うなど、審査会合と同様のやり取りが繰り返されている。
情報公開の徹底をうたう規制委が非公開のまま実質的に審査を進めることを疑問視する声もある。
原子力規制に詳しい東京工業大の西脇由弘特任教授は透明性が不十分と見る。面談も審査会合と同じ出席者で議論しているならば「面談も公開すべきだ。議事録もきちんと作り、事業者側、規制側それぞれの考えを明らかにしなければならない」と指摘する。
しかし、田中俊一委員長は16日の会見で、面談の議事要旨を公開していることで「最大限、透明性は確保している」との考えを示した。面談では審査上の判断を下さないと説明し「公開は難しい」とした。
●柏崎原発審査に「不透明」と疑義
泉田知事
原子力規制委員会が東京電力柏崎刈羽原発で行っている新規制基準への審査で、規制委と東電が非公開の面談を重ねていることについて、泉田裕彦知事は17日の記者会見で「水面下で接触しているのは不透明だ」と述べ、審査の在り方に疑問を呈した。
柏崎刈羽の審査会合は2月を最後に開かれていない。ただ、規制委は東電と非公開に面談して実質的な審査を進めており、問題視する声も出ている。
(以下略)
●自民県連 姿勢を明確化
柏崎原発再稼働へ決議
知事との溝 深まる懸念も
自民党県連は12日の県連大会で、原子力規制委員会の審査を前提に柏崎刈羽原発の再稼働を求めていくことを決議した。再稼動へのスタンスをはっきり示したのは東電福島第1事故後初めてだ。規制委が九州電力川内原発の審査に事実上の合格を与え、柏崎刈羽の審査が再開する可能性も取り沙汰される。ただ、県民の賛否が分かれる問題だけに、県連内には来春の統一地方選への影響を懸念する声もある。泉田裕彦知事は「福島事故の検証と総括なくして再稼働の議論はしない」と繰り返しており、両者の溝が深まる可能性もはらんでいる。
大会決議は県連で最も重い組織決定で、大きな指針。北朝鮮による拉致問題の解決や党員の確保、直近の選挙での勝利などを盛り込むのが通例だ。ことしはあえて柏崎刈羽原発の再稼働の項目を設けた。
「原子力規制委員会が安全を確認したものから順次、再稼動を求めていく」−。12日の大会では決議案が読み上げられ、異議はなかった。終了後、中越地方の党支部幹部は「これまで頬かむりしてきた問題だが、国のエネルギー事情を考えれば当然だ」と評価した。
福島事故後、県連は再稼動への考え方を示してこなかった。県議も支持者も容認から慎重派まで幅が広く、集約が困難だからだ。
今回゛封印゛を解いた背景には、4月に政府が閣議決定したエネルギー基本計画で原発を「重要なベースロード電源」と位置づけたことがある。中央の環境が整ったと判断した。柏崎・刈羽地域の経済の疲弊が進んだとして、県連内でも再稼働を認めるべきだとの声も強まっていた。
ただ、所属県議の思いはなお複雑だ。ある県議は「まだ県連内で意見がまとまっていないのに突然すぎる。党本部と地方では事情が違う」と声を荒らげ、「県連が再稼働推進と思われると、来年の選挙にも影響する」と危機感を募らせる。
「知事がより安全性を求めているのは間違っていない」「われわれも安全性をより求めていく」。大会後の記者会見で県連会長の星野伊佐夫県議は決議に触れ、知事の考えと隔たりがないことを強調した。原発をめぐって東電や規制委を厳しく批判し続ける知事と、再稼働容認を明確にした県連との亀裂が深まらないよう、予防線を張りたい意向があったとみられている。
しかし、県連内では原発容認の議員を中心に、知事への根強い不満が以前からあった。今回の狙いをある幹部は「これまで知事に気を使いすぎたところがあった。これで県連の姿勢がはっきり伝わった」と、決議はけん制の意味合いが強いと解説。ベテラン県議は「県連は、原発の再稼働を語らない知事と一線を画しているんだと、国や党本部に対してアピールすることにもなる」と語る。
原発をめぐっては、知事が6月下旬、再稼働に反対する共産党の集会に東電や規制委を批判するメッセージを送り、県連内で知事批判が強まったばかり。九電川内原発の審査が動いたことで、柏崎刈羽の審査が再開する可能性も出てきた。今後、再稼働の議論をめぐって双方の距離がさらに広がることも否定できない。
泉田知事は17日の会見で自民県連の決議について尋ねられ、表情を変えずに答えた。「再稼働の議論をする前に福島事故の検証と総括が先だ。それをしないと同じことを繰り返す可能性がある」
・・・我々は、自民党福島県連という良い例を、この3年ほどの間に見てきたはずなのですがねぇ。
まぁ原発政策について、自民党なんぞハナっから信用している人など少ないでしょうけど。
あと、相変わらずブレない泉田知事。漢(おとこ)だねぇ。某南国のアホ知事とは大違いです。
●19都道府県 原発30キロ圏脱出時間試算
避難計画に反映3割
事故時 整備の遅れ浮き彫り
事故時の住民の避難にかかる時間を試算している原発から半径30キロ圏の19道府県のうち、市町村が道府県と協力して作る避難計画などに試算結果を反映したのは、約3割の6府県にとどまることが20日分かった。秋にも再稼動が見込まれる九州電力川内原発(鹿児島県)など原子力規制委員会の審査が進む原発でも遅れが目立っており、防災面の整備が置き去りにされている実態があらためて浮き彫りになった。
30キロ圏の住民が圏外に出るのにかかる時間は、東北電力東通原発がある青森県で、全国でも最長となるほぼ丸3日間の70時間50分などと厳しい試算ケースもあり、避難計画への活用が難航しているとみられる。
試算は「避難時間推計」。避難計画の実効性を高める狙いで、国が交付金で支援しており、結果を公表した17道府県に市町村の避難計画などへの反映状況を取材した。本県と福井県は試算結果を公表していない。
一部でも「反映した」と回答したのは石川、富山、滋賀、鳥取、愛媛の5県と京都府。6府県は対象となる住民の数が比較的少なかった。
原子力規制委員会が審査書案を示し、事実上再稼動を前提にした審査に「合格」した川内1、2号機がある鹿児島県は「計画修正の必要があれば、できるだけ早く反映させたい」と回答。5月下旬に試算結果を公表したばかりで、活用がすすんでいないとみられる。
川内に続き、審査が進んでいる関西電力高浜3、4号機(福井県)や九電玄海3、4号機(佐賀県)の関係県でも、反映するには時間がかかる見通し。
玄海原発が立地する佐賀県は「反映作業中」と回答。30キロ圏に一部が入る長崎県は「県警との協議など避難の効率化に向けた検討はこれから」と答えた。
30キロ圏に含まれるのは21道府県だが、岐阜県と山口県は対象人口が少ないなどの理由で試算を実施していない。
●本県は推計作業続く
東京電力柏崎刈羽原発が立地する本県は、県が原発事故時の住民避難に要する時間の推計を進めている段階で、まだ公表していない。
県は3月に策定した広域避難についての行動指針を基に、避難先や避難所運営などを市町村間で詰めている。しかし、移動手段や経路などの決定には至っていない。
●道路渋滞 離島半島
最長3日を想定
難題に頭抱える
自治体対応
原発事故時に住民避難にかかる時間を17道府県が試算した結果では、半径30キロ圏の住民が圏外に出るまでに最長3日かかるケースもあり、避難の困難さが鮮明になった。道路事情など根本的な課題を抱えているところもあり、避難計画への反映も難航。自治体は苦しい対応を迫られている。
早ければ今秋にも川内原発の再稼動が見込まれ、対応が急がれる鹿児島県。避難に最も長く時間がかかる場合、28時間45分との試算結果を5月下旬に公表したが、半径30キロ圏に入るいちき串木野市の担当者は「市町ごとの避難時間や経路は記載がなく、計画に反映できる内容かどうかも分からない」と指摘。「がっかりだ」と憤る。
離島の避難などに定期便の船だけを使うなど極端な想定を除き、17道府県で最長となる70時間50分の試算をした青森県は、半島の避難という難題に直面する。
東通原発の半径30キロ圏の人口は7万3千人と比較的少ないが、大半の約5万人が下北半島中心部のむつ市に集中。主な避難ルートが半島の狭まった部分を通る2本の国道に限られる中、原発と反対方向の北側への避難が効率的だが、大型の駐車場や避難施設が少なく「現実的ではない」(県担当者)という。
避難計画ではいったん原発周辺を通り過ぎ、さらに南下する想定だが、交差点や踏切などの影響で、大規模な渋滞が発生する試算結果だった。
対象となる人口が86万人と2番目に多い静岡県は、最長で39時間25分と試算。渋滞緩和のため1時間に3千世帯ずつ避難指示を出す手法を目指しており、県担当者は「道路を有効に利用でき、被ばくする恐れがある車での移動時間も減らせる」と見込む。
内閣府原子力災害対策担当室は「試算は全住民でできない訓練に代わり、避難計画の実効性を確認する有効な手段」としているが、試算で浮かび上がった課題は重く、計画への反映にはさらに時間がかかりそうだ。
●「事故は起こる」前提に
政府事故調元委員長・畑村洋太郎
再稼動前に避難訓練を
九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)が原子力規制委員会による新規性基準の適合審査に事実上合格し、秋以降に再稼働される可能性が出てきた。東京電力柏崎刈羽原発の審査も再開される。再稼働論議が高まりつつある中で、東電福島第1原発事故を踏まえ、本県など立地地域が考えるべきことは何か。福島事故の政府調査・検証委員会委員長を務めた畑村洋太郎・東大名誉教授(73)に聞いた。
(東京支社・山田功)
−福島事故から3年以上がたちました。
「事故調の最終報告をまとめてからも2年近くたつが、いまだに考えることは多い。多くの人は原発内の出来事に目を向けているが、その外で起こっていることを見ていないと強く感じる。外で起きている放射能汚染と避難による生活破壊こそが事故の本質だ」
「事故調としての活動後も自分なりに事故を調べ続けてきた。被災地の飯館村などに行き、避難者と議論もしている。地域社会や家庭が崩壊し、ひどいことになっている。こうした状況が固定化することを危惧している」
−川内原発が審査に「合格」し、再稼働論議が本格化しつつあります。
「まずは事故は起こり得ると理解するべきだ。電力会社や規制委がどんなに考え、調べても気付かないことは残る。人は見たくないものは見ないものだ。福島事故前は地震にばかり目がいき、津波を考えていなかった。事故が起きたらどうするかを議論し、今から共有しておかなければならない。具体的には事故直後の避難、除染、住民の帰還についてどうするかを考えておくべきだ」
−国は原発から半径30キロ圏の自治体に避難計画の策定を求めています。
「計画の検討、策定だけでは不十分だ。再稼働の前には、30キロ圏で実際に避難をする訓練をやってみなければならない。それは、計画が本当に実行可能かどうかの『試験』と位置付けるべきだ。試験をして初めて気付くことがある。計画に欠けていた部分を補うため、知恵を働かせることもできる。そうしたことをせずにいるのであれば、福島事故から学んだことにはならない」
−柏崎刈羽原発が新基準に適合すれば、本県も再稼働に同意するかしないかの判断を迫られます。
「福島事故の前は日本全体が安全神話の上に乗っていた。しかし、原子力は危ないものだと分かった。危ないものを危ないと認める文化にならない限り、この国に原子力を扱う資格はないのではないか」
「事故が起きることを前提にすれば、事故後に避難し、復興できるかという問題に行き着く。そうした対策が打たれていなければ駄目だと県民が考えれば、同意には何年もかかるかもしれない。避難計画などの実効性が見えた段階で、覚悟を決めて原発を使ってもいいと言うのであれば、それも一つの選択肢だ」
・・・「避難計画などの実効性が見えた段階で、覚悟を決めて原発を使ってもいいと言うのであれば、それも一つの選択肢だ」ですか。いや新潟県民、特に原発がある柏崎や刈羽の連中で、そこまで腹をくくっている者はほぼ皆無ですから(笑)。彼らにとっては原発はあくまでもご飯を食べていくための手段に過ぎないわけで。ですから、ひとたび事故が起きれば、これまでの「オラたちの生活のために原発を再稼働させろ!」が一転して、被害者面して涙や鼻水ダラダラ流しながら、国や電力会社を猛烈に批判し、罵りはじめますから(苦笑)。おそらく自民党新潟県連の議員たちも同じようになるでしょうね。それこそ今から予言しておきます。
さて、以前から新潟日報が疑問を呈している原発事故時の住民避難に関する問題ですが、あの読売新聞では、この問題に関しては殆ど触れたことがないですね。例の川内原発が新規性基準に「合格」した際の社説で、ほんの1行だけ、それもへそで茶が沸くレベルでその問題に触れていただけで。
あと政府は、避難計画の策定に合わせて再稼働を決めるのではない、再稼働に間に合うように避難計画を策定しろ!と各自治体のケツを叩いている状況ですからねぇ。
しかも首相自身が、避難計画の策定ができないというのは後ろ向きの考え、とまで言っておりますから。だったらあんたが自分で策定してみろよ!と思いますけど。あくまでも自分は命じるだけ!しかも責任は取らない!!というのですから気楽なものです。
●柏崎原発審査を再開
東電、炉心の損傷の頻度示す
原子力規制委員会は22日、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機審査会合を約5カ月ぶりに再開した。原発で起こりうる事故の可能性を数値化して安全対策に生かす「確率論的リスク評価(PRA)」を議題とし、設備面では具体的な審査項目を初めて公開の場で議論した。
審査会合は2月に規制委の地震班が開いて以来。今回は設備班が行い、柏崎刈羽のほか東北電力女川原発などについても各社からPRAに関する説明を受けた。規制委はこれまで九州電力川内原発の審査を優先していたが16日に事実上合格となったため、他原発の審査を再開した。
審査会合で東電は柏崎刈羽のPRAに関し、運転中に危機の故障が原因で100万年に3.3回の頻度で炉心損傷事故が起きる可能性があると報告。非常用発電機の冷却に使うポンプなどの故障のリスクが特に大きいとした。
今回の評価では、福島第1原発事故後の安全対策については考慮していない。今後、東電の安全対策によってどの程度リスクが減らせるかなども議論するとみられる。
規制委は、東電が提出資料で商業機密として伏せた部分について「できる限り公開して議論できるようにしてほしい」と求めた。
審査会合に出席した東電の姉川尚史常務は「規制委の指摘に応じながら。今後も丹念に回答していきたい」と述べた。
設備班は今後、過酷事故に備える排気設備「フィルター付きベント」の性能などについても審査会合を開く方針だが、東電が「ベントは立地自治体の了解後に運用を始める」としていることを問題視している。東電の説明がなければベントの審査が止まる可能性がある。
今日の新潟日報朝刊より
●柏崎原発の審査会合再開
知事「アリバイづくり」
原子力規制委員会が東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の審査会合を再開させたことについて、泉田裕彦知事は23日の記者会見で「規制委の審査はハードに偏っている。それでは安全を確保できない。審査は規制委がアリバイづくりをやっているとしか思えない」と批判した。
知事は規制委の審査体制について「設備班と断層班しかない」と指摘。福島第1原発事故で炉心溶解(メルトダウン)を隠蔽したとして東電の体質を批判した上で「組織の安全文化を全くみないような審査をやってなんのためになるのか」と話した。
22日の審査会合では、福島事故後の安全対策をしていない状態の6、7号機の場合、運転中に危機の故障が原因で100万年に3.3回の頻度で炉心損傷事故が起きる可能性があると東電が報告した。これについても知事は「テロや長距離巡航ミサイル(の危険性)をどう考えたのか」「めったに起きませんという数字を出すことにどれだけの意味があるのか」などの疑問を呈した。
・・・知事じゃありませんが、100万年に3.3回ねぇ。だから?その100万年に数回起きるかどうかのことが明日起きるとも限らないし、そうなったらどうなるのか?我々はこの3年間の間に、それを逐一見てきたはずなのですが・・・。
いっそのこと姉川常務、同じセリフを福島県に行って仰ってみたらいかがでしょうか?更に、「そういうことなので、皆さんはとっても運が悪かっただけなのです。残念でした」とでも言ってみたら?
あと、知事のテロや巡航ミサイル云々の発言。そういや、集団的自衛権の問題で、首相は何かとあれば「国民の生命と財産を守るため・・・」と言っておりますが、原発政策に関しては「国民の生命と財産を守る」様子が全く見受けられないのはどういうことでしょうか?
いや、集団的自衛権での発言自体、単なる建前でしかないのは重々承知しておりますが(笑)。
ですから、読売新聞もそうですが、原発を再稼動したければ、やれ国のエネルギー政策がとか、日本経済の今後がとか、事故が起きる確立は100万年に数回とか、変に知性派ぶった誤魔化しの説明はやめて、「国益のためだ。原発立地地域の住民はいざという時には捨石となってくれ」と本音を言わないと駄目でしょうね。もっとも、そう発言したら最後、次の選挙では大敗するでしょうけど(苦笑)。
●エネ基本計画 基経産官僚・古賀氏に聞く
原発の見通し 楽観的
柏崎再稼働押し切る懸念
政府は東京電力福島第1原発事故後に見直したエネルギー基本計画で、原子力規制委員会の新規制基準に適合した原発の再稼働を数める方針を示し、前面に立って地元理解を得るとしている。原発の推進官庁である経済産業省が中心となってまとめた基本計画の問題点や、今後の国の対応についての見方などを元経産官僚の古賀茂明氏(58)に聞いた。
(東京支社・山田功)
−新たなエネルギー基本計画をどう見ますか。
「原発の発電コストは安いとしているが、欧州の先進国では安全基準を強化してきた結果、逆に高いということが常識になっている。ばく大な補助金を出さなければ民間ベースでは建設できなくなってしまった。核燃料サイクル政策で何十年かかるか分からない技術開発をさらに継続するというなど、原子力に関して非常に楽観的な見通しを示している。一方で、再生可能エネルギーの導入促進には悲観的だ」
−原子力をはじめエネルギー政策の基本方針は福島事故前とあまり変わっていないように映ります。
「私の経験上、官僚には大方針の転換は無理だ。規制基準の微修正が限界で、推進から脱原発へかじを切ることなど思いもよらないのだろう」
「経産省の政策の源泉は産業界の声だ。毎日のように業界から話を聞いて予算を取り、規制を設けたり緩めたりしている。電力関係であれば、情報源は基本的に電力会社と原発メーカーである重電大手だ。彼らは原発を止めて再エネを進めようと言うはずもない。官僚も自分たちの大事な天下り先のために原発推進となってしまう」
−本県もいずれ東電柏崎刈羽原発の再稼働問題に直面することが予想されます。
「福島事故後、国民の原発への不信感は高まったが、安倍政権は安全神話の復活を進めているかのようだ。東電は実質国有化されており、経産省は必死に東電を後押しする可能性が高い」
−本県の泉田裕彦知事は、福島事故の検証、総括なしに再稼働の議論はしないとしています。
「政府は、県を除く市町村の了解を先に取りつけ、泉田知事の孤立化を狙うはずだ。規制委が新基準に適合していると判断した原発を法律上、止めておく根拠はないとして最後は押し切られるのではないか」
「再稼働に関する最大の問題は、自治体が作成している避難計画に致命的な欠陥があることだ。道路が壊れない、渋滞しないなど、あり得ない想定を置いている。その実効性を客観的に評価する仕組みがないから、再稼働へと進んでしまう。避難計画を規制基準に入れて客観的に評価をやり直すべきだ。そうすれば、おそらく日本中の原発は再稼働できないだろう」
●福島廃炉「公社・公団」で
泉田知事
東電の人員管理批判
泉田裕彦知事は12日の記者会見で、東京電力福島第1原発の廃炉作業について、人員確保が課題になっているとして「東電から切り離して国家として廃炉に取り組むべきだ。本来望ましいのは公社・公団(の設置)」との考えを示した。
知事は、同原発の事故処理に携わる作業員について「身分を確認できない人が動員され、累積放射線量がたまっている人もいる」と東電の人員管理のずさんさを指摘。一方で古里の復興のために地元の人が多く従事しているとして「危険な作業に従事する人の待遇が十分ではない。人が集まらなければ廃炉作業がうまくいかない」と懸念を示した。
その上で、「公社・公団にして公務員給与並みの待遇にする。それで必要数の何倍かを集めてローテーションで被ばく線量の限度を管理すべきだ」と述べた。
また、福島原発のがれき撤去で飛散した放射性物質が昨年8月、数十キロ離れた水田のコメなどを汚染した可能性が出ている問題について、知事は東電による飛散の情報公開が遅れたとして、「飛散を知りながら隠蔽した。隠蔽されたら対策が取れない」と批判。原子力規制委員会に対しても「それを知っていた規制委も全く動かなかった。住民の健康と安全を守る気があるのか」と語気を強めた。
●エネ基本計画 元経産官僚・古賀氏に聞く
原発の見通し 楽観的
柏崎再稼働 押し切る懸念
政府は東京電力福島第1原発事故後に見直したエネルギー基本計画で、原子力規制委員会の新規制基準に適合した原発の再稼働を進める方針を示し、前面に立って地元理解を得るとしている。原発の推進官庁である経済産業省が中心となってまとめた基本計画の問題点や、今後の国の対応についての見方などを元経産官僚の古賀茂明氏(58)に聞いた。
(東京支社・山田功)
−新たなエネルギー基本計画をどう見ますか・
「原発の発電コストは安いとしているが、欧州の先進国では安全基準を強化してきた結果、逆に高いということが常識になっている。ばく大な補助金を出さなければ民間ベースでは建設できなくなってしまった。核燃料サイクル政策で何十年かかるか分からない技術開発をさらに継続するというなど、原子力に関して非常に楽観的な見通しを示している。一方で、再生可能エネルギーの導入促進には悲観的だ」
−原子力をはじめエネルギー政策の基本方針は福島事故前とあまり変わっていないように映ります。
「私の経験上、官僚には大方針の転換は無理だ。規制基準の微修正が限界で、推進から脱原発へかじを切ることなど思いもよらないのだろう」
「経産省の政策の源泉は産業界の声だ。毎日のように業界から話を聞いて予算を取り、規制を設けたり緩めたりしている。電力関係であれば、情報源は基本的に電力会社と原発メーカーである重電大手だ。彼らは原発を止めて再エネを進めようなどと言うはずもない。官僚も自分たちの大事な天下り先のために原発推進となってしまう」
−本県もいずれ東電柏崎刈羽原発の再稼働問題に直面することが予想されます。
「福島事故後、国民の原発への不信感は高まったが、安倍政権は安全神話の復活を進めているかのようだ。東電は実質国有化されており、経産省は必死に東電を後押しする可能性が高い」
−本県の泉田裕彦知事は、福島事故の検証、総括なしに再稼働の議論はしないとしています。
「政府は、県を除く市町村の了解を先に取りつけ、泉田知事の孤立化を狙うはずだ。規制委が新基準に適合していると判断した原発を法律上、止めておく根拠はないとして最後は押し切るのではないか」
「再稼働に関する最大の問題は、自治体が作成している避難計画に致命的な欠陥があることだ。道路が壊れない、渋滞しないなど、あり得ない想定を置いている。その実効性を客観的に評価する仕組みがないから、再稼働へと進んでしまう。避難計画を規制基準に入れて客観的に評価をやり直すべきだ。そうすれば、おそらく日本中の原発は再稼働できないだろう」
●柏崎原発で重大事故発生時
30キロ圏避難 最長37時間 県推計
県は26日、東京電力柏崎刈羽原発で重大事故が起きたと想定し、住民の避難にかかる推計時間のシュミレーション結果を発表した。自家用車で逃げることを前提に算出し、半径30キロ圏の全ての住民約49万5千人が圏外に避難し終える時間は標準で18時間、最長で37時間40分と推定。最短では11時間10分だった。県は市町村が作成を進める避難計画に推計時間を活用させたい考えだ。
国の指針では、原発事故時は5キロ圏の住民が即時避難し、5〜30キロ圏の住民は屋内避難する。これに対し県の推計は5〜30キロ圏の一部住民が5キロ圏住民の避難完了を待たず、自主的に避難することを前提にした。
標準ケースは、平日の日中に避難指示が出され、5〜30キロ圏の40%の住民が自主避難した場合で、5キロ圏の全住民約3万1千人が避難するのに5時間半、30キロ圏の全住民が避難するには18時間を要するとした。
これをベースに自主避難者の割合や自家用車の利用状況、イベントの有無、天候条件など七つのシナリオで計26パターンを示した。
全住民が避難し終える所要時間が最長となる37時間40分は、5〜30キロ圏で休日に花火などのイベントがあったと想定。5キロ圏内でイベントがあった場合も26時間50分かかるとした。
全住民が避難する最短ケースとなる11時間10分は、自家用車を使う割合が60%と最も少ない場合。乗り合いをして圏内の車が少なくなり移動がスムーズになることで時間が短くなった。
地震の被害も想定した。中越沖地震と同規模の通行止めがあり、5キロ圏内でイベントがあった場合は、全住民の避難に31時間半とした。また、5キロ圏住民の避難車両で最も渋滞するエリアは南へ向かう人が集中する柏崎市街地、5〜30キロ圏住民の避難車両で混み合うのは北、北東方面に向かう人が多い長岡市街地とした。
県原子力安全対策課の須貝幸子課長は記者会見で「推計時間を基に避難時間がさらに短縮できるよう関係自治体と広域避難の具体策を検討したい」と話した。
●原発事故でシミュレーション
避難に時間 高まる懸念
標準ケース「非現実的」
東京電力柏崎刈羽原発が重大事故を起こした際の住民避難で、県が26日示した推計では、半径30キロ圏外に全員が逃げ終わるまで最長37時間40分かかるとの結果が出た。福島第1原発事故では最初の避難指示から18時間後に爆発が起きており、柏崎刈羽の地元からは懸念の声が上がった。5〜30キロ圏の住民の6割が圏内にとどまるという県の「標準ケース」の想定に対し、福島事故の被災者は「現実的ではない。みんなすぐ逃げる」と疑問視した。
最も避難に時間がかかるのは、休日の日中に5〜30キロ圏で16万6千人規模のイベントがある場合。避難車両が5万8500台増え、30キロ圏外への非難が37時間40分と1日半余りかかる。
柏崎刈羽原発から約5キロの距離にある柏崎市椎谷地区の町内会長、佐藤正幸さん(70)は「放射性物質の放出前に避難が完了しない」と指摘。さらに「もっと細かなシミュレーションが必要だ」と地震や津波など複合災害についての想定を求める。
柏崎刈羽原発を監視する住民組織「透明性を確保する地域の会」の会長、新野良子さん(63)も「避難は過酷だということを知らしめる重い数字」と受け止めた。その上で「原子力防災について議論する材料が整ったことは好意的に受け止めたい」と述べた。
国会事故調査委員会の調査結果などを基に、5〜30キロ圏の住民の6割が圏内にとどまるとした標準ケースの想定にも異論が出た。
福島事故で福島県富岡町から避難し、同県須賀川市で暮らす元日本原子力発電理事の北村俊郎さん(69)は「6割が屋内避難をするとは思えない」と批判。「福島では避難指示の前に、原発関係者から危ないという話が広まり、友人や家族が慌てて逃げ始めた。情報の伝わり方についても福島に学んだ方がいい」と話した。
県は今後の課題として、避難手段の確保や避難経路の選定、高齢者ら配慮が必要な人の避難体制などを詰める必要があるとした。
原子力安全規制が専門の東大公共政策大学院の非常勤講師、諸葛宗男さん(67)は「豪雪時や中越沖地震の際の状況を盛り込んだのはよかったが、まだ第一歩だ」と話す。県が挙げた課題について「県だけでは要援護者への支援などには限界がある。市町村と連携し、国も巻き込んで、シミュレーションや避難計画の精度を上げることが大事だ」とした。
●30キロ圏内 自治体反応
たたき台として検討
より細かい試算必要
東京電力柏崎刈羽原発の重大事故を想定し、住民避難に要する時間の推計を県が発表した26日、対象となる30キロ圏内の自治体は「避難をどう進めるか考えるたたき台になる」と評価する一方、要支援者への対応などを含めた「より細かい条件で試算してほしい」と求めた。
同原発から5〜30キロ圏内の避難準備区域(UPZ)の自治体は原発事故の際、原則屋内退避し、避難指示後に避難するよう住民に呼び掛けている。推計では避難指示前に自主避難するUPZの住民が増えると、5キロ圏内の即時避難区域(PAZ)の住民の避難が長時間化した。自家用車の利用台数が減るほど、避難にかかる時間は減少した。
同原発が立地し全域がPAZに入る刈羽村は「逃げ遅れをなくすためにも、乗り合いを呼び掛けたい」とする。同じ立地地域の柏崎市は「どこで渋滞が起きるのか、どうしたら改善できるかを考えたい」と話した。
ただ今回の推計では全住民が自家用車で避難したと想定。要支援者への対応やバスによる避難などは考慮されておらず「あくまで参考」「特殊な設定だ」との声も。十日町市は「要支援者へのサポートなど、避難時間が延びる要因を拾い出して、推計の熟度を上げてほしい」と求めた。
長岡市原子力安全対策室の小嶋洋一室長は「推計は議論するための素材になる。住民への情報伝達や交通規制などを工夫して、避難時間を短縮する対策に結びつけるのが大事だ」と話した。
●規制委、「不適合」と指摘
6・7号機審査 ベント対策不足
原子力規制委員会は26日、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の審査会合を開き、重大事故時に原子炉格納容器内の圧力を下げるために蒸気を放出する設備「フィルター付きベント」の機能について審議した。規制委は、ベントに航空機が衝突して機能を失うことへの備えが不十分だとして「これでは(新規制基準に)不適合になる」と指摘した。
規制委は、ベントに航空機が衝突しても機能を保てるだけの強度を持たせるか、離れた場所に追加設置するなどの対応が必要との見解を示した。東電がこれを満たすためにはかなりの時間がかかるとみられ、6、7号機の審査が大幅に長引く可能性が出てきた。
弁とは、原子炉格納容器内の圧力を下げるだけではなく、熱を逃す除熱機能を持つ。既にある、海水を使って格納容器内を冷やす残留熱除去系(RHR)だけでは除熱できなくなった緊急時のための設備だ。
東電は会合で、6、7号機の除熱設備であるベントとRHRがそれぞれ離れた場所にあることを説明し、どちらかが航空機衝突によって壊れても、除熱機能は保たれると評価した。しかし規制委はRHRだけで除熱できなくなった重大事故の際に、航空機衝突によってベントまで機能しなくなることへの懸念を示した。
これに対し、東電は「RHRの機能とベントの機能が二つ同時になくならないことを示せればいいのではないか」と反論した。
規制委の事務局、原子力規制庁の山形浩史管理感は会合後、取材に対し「RHRにプラスしてもう一つの除熱機能が保たれていることが規制としての要求。東電の主張は認められない」と話した。
●九電・川内原発の避難訓練
政府、実効性確認へ
政府は原子力防災会議(議長・安倍晋三首相)で、今冬にも再稼働する可能性がある九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の周辺自治体が作る避難計画の実効性を、国として確認する方向で検討していることが2日、分かった。茂木敏光経済産業省は2日の閣議後の記者会見で、川内原発の地元自治体に、経産省の職員5人を派遣する方針を明らかにした。
原子力防災の要となる避難計画作りは「自治体の責務」とし、国は計画策定の支援にとどめていたが、再稼働が迫る中、従来の姿勢から踏み出す。再稼働への地元同意を円滑に得る狙いもあるとみられる。
12日にも約9カ月ぶりに開く原子力防災会議で、川内原発の防災設備の現状などについて報告を受ける方針。避難計画の内容に合理性があるか同会議で確認することも検討している。
政府はこれまで、地域ごとに関係省庁も交えた作業チームを設置し、自治体による計画策定を支援してきた。今後は、事故時の住民避難の移送手段や関係機関の協力の在り方などに関し、避難計画で必要な車両や要員の数などを具体化して資料にまとめた上で、実効性を点検する。
当面は、原子力規制委員会の審査に事実上合格した川内原発がある鹿児島県の自治体の計画を対象とし、ほかの原発への拡大も今後検討する。
●ベントの操作 東電にただす
規制委
原子力規制委員会は2日、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の審査会合を開いた。重大事故時に原子炉格納容器内の圧力を下げるための排気設備「フィルター付きベント」について審議し、線量が高い厳しい環境で手動の作業が可能かどうかなどを東電にただした。
会合で東電はベントの操作方法を説明した。電源喪失時の弁の開閉や作動状況の監視について、作業員が格納容器やベント設備に近い現場に出向いて手動で行う作業もあるとした。
東電福島第1原発事故では高線量下での作業になったこともあり、ベントに手間取った。
規制委は「(現場での)作業が本当に成立するのかを詳しく説明してほしい」と指摘。ベントは炉心損傷が起きている事態での仕様が想定されるため、作業員の被ばくを低減するための放射線防護対策なども明らかにするよう求めた。
出席した東電の姉川尚史常務は会合後、「データを整理し、(規制委の)質問に一つ一つ答えていく」と述べた。
フィルター付きベントをめぐり規制委は前回会合で、航空機が衝突して機能を失うことへの備えが不十分とし、航空機衝突に耐える強度を持たせるか、離れた場所に追加設置するなどの対応が必要との考えを示した。2日の会合ではこの点について議論されなかった。会合後、審査担当者は「(東電への)宿題として残っている。今後の会合で東電の対応方針を聞いていく」と説明した。
●報道発表「国が関与」
県技術委 課題別会合
東電、福島事故で証言
東京電力柏崎刈羽原発の安全性を検証する県技術委員会は2日、東電福島第1原発事故の課題別会合を県庁で開いた。東電の担当者が、報道発表をめぐり国の関与があったと証言した。
課題別会合は前回初めて公開したが、今回はテーマの内容を踏まえ「東電が真実を話せるように」と県が非公開にした。
出席者によると、福島事故時に東電は、報道発表の内容を事前に原子力安全・保安院(当時)と調整。文案を保安院がチェックして双方で複数回やりとりし、結果的に発表まで時間がかかったという。
また、3号機の格納容器の圧力が上昇した際、福島県の求めに応じ東電が公表しようとしたにもかかわらず、官邸が了解しなかったため発表が遅れたことも明らかにした。
終了後、委員の山内康英多摩大教授は「保安院や官邸は本来現場をバックアップすべき立場だ。前線に出て統制するのは、迅速な対応を阻害するのではないか」と述べた。
●原発事故 刈羽村が避難計画案
県内2例目 ルート指定見送り
刈羽村は3日、東京電力柏崎刈羽原発の事故に備えた広域非難計画案を公表した。東電福島第1原発事故を受け、計画策定を求められた県内9市町村では柏崎市に続いて2番目。計画案では、県が示した広域避難先自治体の大規模公共施設に集合し、避難所に再移動するとした。再移動先や避難ルートについては「災害時に臨機応変に対応する」などとして指定を見送った。
刈羽村は飛び地も含め、全域が原発から半径5キロ圏内の即時避難区域(PAZ)として扱われている。対象者は約4800人。柏崎刈羽原発で事故が発生した場合、放射性物質の放出前に避難を開始する。
県がことし2月に示した刈羽村の広域避難先は村上市と糸魚川市で、計画では、全村民が災害状況や風向きなどに応じていったん村上市の神林総合体育館か糸魚川市民総合体育館に避難する事を明記した。移動手段は基本的に自家用車とし、自家用車で避難できない高齢者らは自宅近くの指定集合場所から県が確保したバスなどで移動することとした。自家用車の避難では乗り合いを呼び掛ける。
避難計画は3日、村のホームページ上に公開された。10月3日までにパブリックコメント(意見公募)を実施し、同日に開かれる区長の連絡協議会でも説明する。10月中に開催予定の村防災会議を経て正式に決定する。
刈羽村の品田宏夫村長は「福島事故を受け、現実に即した安全策をまとめたが、決まっていない部分は多い」とし、「避難用のバスの手配や安定ヨウ素剤をどのように配布するかなど、県や国に(方針を)示してもらいたい」と求めた。
・・・ちなみに、刈羽村のHPはこちら↓
http://www.vill.kariwa.niigata.jp/www/publiccomment/detail.jsp?id=3179
まぁ私に言わせれば、日頃から声を大にして、「オラたちの生活のために原発再稼働しろ!」と言っている者たちが、いざとなったら真っ先に逃げ出す算段をしていると。しかも、再稼働問題で対立している県を当てにしていたりするのだから呆れます。
だから、刈羽や柏崎の連中は避難なんかしなくてよいですよ。原発がダメになったら、市村民のお仕事やら財源そのものが消滅しちゃうんでしょ?だったら、生きていたって仕方がないじゃないですか。皆その場に留まり、被曝して、自分たちが愛してやまない柏崎刈羽原発と運命を共にするのがよろしいかと。
第一、そうでもしないと、再稼働を叫んでいた柏崎市民と刈羽村民の巻き添えを食らう事になる、他地域の県民が納得しませんよ。
少なくとも私は同情はしません。
●原発廃炉検討
再稼働と切り離し対応を
電力各社が老朽化の進む原発の廃炉を、相次ぎ検討していることが分かった。
透けて見えるのは、廃炉を進めることで、世論の反発が根強い原発再稼働への理解を得たいという政府と電力会社の思惑だ。
だが、原子力規制委員会は昨年7月に決めた新規制基準で、原発の運転期間を原則40年に制限している。廃炉と再稼働は切り離して考えるのが筋ではないか。
廃炉が検討されているのは、稼働から40年以上たった関西電力美浜原発1、2号機(福井県)と、38年経過している九州電力玄海原発1号機(佐賀県)だ。
中国電力も島根原発1号機について選択肢の一つとして検討、日本原子力発電は国内最古の敦賀原発1号機(福井県)の廃炉を既定方針としている。
東京電力福島第1原発事故後、廃炉が決まった福島第1の1〜6号機を除くと、現在停止中の原発は国内に48基ある。
このうち、焦点となるのは1970年代に運転を開始した美浜など8原発12基だろう。
各社が廃炉へ動きだしたのは、再稼働を目指すには時間と巨額の対策費が必要となり、投資に見合う費用が回収できない可能性が高いからだ。
新規制基準では40年が経過しても、20年を超えない範囲で1回だけ延長を認めている。その場合、原子炉圧力容器などの劣化を詳細に調べる特別点検が必要だ。
さらに、70年代の12基は可燃性の電源ケーブルなどを使っている。新規制基準を満たすには、数千億円ともいわれる大規模な改修費用がかかり、経営をさらに圧迫しかねない。
経済産業省は電力各社に、老朽原発をどうするか年内にも計画を提出するよう求める方針だ。各社の対応を注視したい。
廃炉を決めた場合、経産省は支援策を講じる方針だ。その一つとして浮上しているのが、廃炉費用などを確保するため、原発でつくる電気の価格を一定水準以上に保証する仕組みである。
これは利用者の負担増を意味し、原発の新増設も視野に入れている。世論の反発は必至だろう。
他にも課題は山積している。
原子炉などの解体を進めるには長い歳月をかけて放射線量を下げなければならない。放射性廃棄物や使用済み核燃料をどこでどう処分するかも決まっていない。作業員の確保も不可欠だ。
雇用や税収面で深刻な影響を受けることが予想される立地自治体との調整も必要になってこよう。
4月に閣議決定したエネルギー基本計画で政府は、規制基準に適合した原発の再稼働を進めるとした一方、原発依存度を可能な限り低減させる方針を示した。
しかし、エネルギー比率はいまだに決まっていない。
政府は、個別の廃炉は事業者が判断するとの立場だが、原発は事実上の国策である。場当たり的な対応は許されないはずだ。
廃炉を含め、エネルギーの将来像をどう描くのか。早急に明示することが求められる。
●川内原発 審査書を決定
規制委 新基準 初の適合
原子力規制委員会は10日、定例会合を開き、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の審査結果をまとめた「審査書」を正式決定した。再稼働の前提となる新規制基準への適合を認めるのは初めて。
(中略)
鹿児島県の伊藤祐一郎知事は審査結果の住民説明会を10月9日から開くと発表した。対象は原発の30キロ圏内の5市町。原発事故時の避難計画の実効性を懸念する声は多く、安全性や再稼働の必要性に関し、政府の説明責任が問われる。
会合後の記者会見で田中俊一委員長は
(中略)
周辺自治体が策定した避難計画の実効性を疑問視する声が上がっていることについて「住民が納得できる状況をつくらないと事業者が稼働したいといっても許してもらえないと思う」と述べ、周辺自治体の防災態勢充実が不可欠との見方を示した。
(後略)
●川内原発
バス確保 除染 見通せず
避難計画の実効性に課題
鹿児島県や周辺自治体は九州電力川内原発の事故に備えた避難計画を策定している。ただ、バスなどの移動手段の確保や放射性物質の除染場所の選定は進んでおらず、実効性に課題が多い。
病院の入院患者らの避難には車両の確保が欠かせない。県は県バス協会と重大事故時に車両を手配する協定の締結を目指しているが、原発から半径30キロ圏内で必要な台数を示しておらず、調整が遅れている。
バス協会は、圏内の貸し切りバス約800台のうち、30キロ圏内用に準備できるのは約400台としている。県は10キロ圏内だけでも420台が必要と見ており、台数不足は明らかだ。
県は運転手の被ばく対策として、防護服や線量計の配備などを検討中だが、協会の川原徹郎専務理事は「運転手にも断る権利がある。協定があっても機能しないことも想定できる」と危ぶむ。
原発から30キロ圏外へ避難する車両や住民を対象とする放射性物質の付着検査や除染も問題を抱える。県は避難先で実施する方針を示しているが、検査場所の選び方や除染に使った水の処理方法などが具体化されていない。
避難先の一つ、鹿児島県霧島市は、放射性物質が付いた車への対応をどうするか頭を悩ませており、「県から正式な話を待っている段階だ」と困惑気味だ。水俣市など3市町が避難先となる熊本県は「鹿児島県からの説明はまだない」という。
県は4〜8月間でに周辺9市町と合同で避難計画の住民説明会を開催。これまでの25回に参加した住民は計約2740人で、対象の約21万6千人の1%にとどまった。
会場では「家畜はどうしたらいいか」など多くの質問が出されたが、県や市町の担当者は「今後の検討課題」とし明確に答えられない場面が多かった。住民が十分に納得できる説明がないまま、10月9日から再稼働の前提となる審査結果の説明会が開催される。
●柏崎原発 重大事故対処施設
来月着工、18年完成
東京電力柏崎刈羽原発の横村忠幸所長は11日の定例会見で、テロ行為などで中央制御室が使えなくなった場合のために第2制御室などを備える「特定重大事故等対処施設」について、10月から同原発敷地内で工事を始めると発表した。原発の新規制基準が求める2018年7月までの完成を目指す。
新施設は@原子炉の減圧A炉心の冷却B格納容器の冷却減圧−などの機能を持つ。横村所長は「安全対策上非常に効果がある」と強調したが、核物質防護の観点から建設場所や詳しい仕様については「非公開」とした。
新基準ではテロや航空機衝突対策として、原子炉から離れた場所に第2制御室や電源、注水ポンプなどを備えたバックアップ施設を、13年7月の施行から5年以内に造るよう求めている。
原子力規制委員会の求めで柏崎刈羽原発の敷地内外で行っている活断層調査について、横村所長は「9月中には終了しない」との見通しを示した。
・・・またもや設備投資ですか。福1事故以降、これまで東電は、柏崎刈羽原発にいくらつぎ込んだのか。福1事故の処理やら賠償やらも含めると、一体東電のどこにそんな金があるのか?と思えて仕方がないのですが。
まさか、柏崎刈羽原発を再稼働させられれば回収・補填できる、とでも思っているのでしょうかねぇ?なんか、目的と手段が入れ替わりつつあるような気が。
そこで紹介するのが次↓の記事。
今日の新潟日報朝刊、第2社説欄「座標軸」より
●喉元過ぎれば・・・
「熱さ」を忘れ去ったのか
缶コーヒーのCMを借りれば「この惑星の政治家は『喉元過ぎれば・・・』ということわざがよく似合う」といったところだろうか。
東京電力福島第1原発事故が起きてから、11日で3年半がたった。ここへ来て老朽原発の廃炉を検討する動きが出てきている。
原子力規制委員会は新規制基準で原発の運転を40年に制限しており、その期間を超えるには巨額の経費をかけて新基準をクリアしなければならないからだ。
気になるのは、廃炉と引き換えに再稼働への理解を得たい政府と電力業界の思惑と同時に、原発の新増設を進めたいという本音が見え隠れすることが。
電力自由化をにらみ、国が原発で発電した電気に一定の価格を保証する制度を検討しているのは、その表れだろう。負担するのは、もちろん消費者だ。
政府は原発輸出にも意欲を示す。成長戦略の一つとして新興国にトップセールスを展開している。
世界最高水準の安全をうたいながら。福島事故収束のめどは立っていない。廃炉の技術開発はこれからだ。核燃料サイクルも確立されていない。どこが世界最高なのだろう。輸出すれば核拡散の懸念もある。
万が一のときに日本がどう責任を果たすつもりなのか。「東日本壊滅」の危機から救った発電所員らの決死の覚悟が、輸出先でも再現されると考えているのだろうか。
CMに登場する宇宙人なら「この国は、いつまで『安全神話』にすがりついているのだろう」と、つぶやくに違いない。
(論説編集委員・馬場幸夫)
・・・まさに巨額の経費をかけて、新規制基準をクリアするために必死になっている柏崎刈羽原発や、横村所長に対してこのような見解を述べていた方がいたというのが、次のこの↓記事。
今日の新潟日報朝刊より
●柏崎原発の集中立地懸念
吉田調書
政府の事故調査・検証委員会の聴取に対し、吉田昌郎元所長は柏崎刈羽原発に全7基の原子炉が集中立地していることや、東電社員らの事故対応能力に懸念を示していた。
吉田氏は、全6基を備えた福島第1原発の事故対応について触れながら「会社(東電)はずっと集中立地をしてきた。福島第2(原発)のように(原子炉が)4つくらいでこぢんまりやっているのが運用上も一番楽なんです」と答えた。
その上で、中越沖地震で変圧器火災が発生するなど広範囲に被災した柏崎刈羽原発のケースに言及し「6個、7個となってくると、大混乱になりました」と振り返った。多数の原子炉を備えた原発で、電源が一度に失われた場合は「大変な事になる」と話した。
東電社員らの能力についても語った。福島第1原発のスタッフの事故対応について「(東電の)3発電所を見ても、今まで一番トラブルも経験していますから、これだけのことができたんだと思います」と評価する一方、「柏崎で(福島第1原発と)同じことがもし起こったとした時に。彼ら(柏崎刈羽原発のスタッフ)がそういう風にできるかどうか」と述べた。
公開された調書について東電は「コメントは差し控えさせていただきたい」と話している。
・・・まぁ安全性確保のために、多額の金をかけて柏崎刈羽原発にいろんな設備を増設すれば、当然その分所員たちの負担も増えるのですよね。本当にいざという時には対応可能なのかどうか・・・?
●柏崎原発審査
規制委 序盤戦の議論一区切り
安全性への姿勢疑問視
ベント設備の対策
東電に再検討要請
原子力規制委員会が7月下旬に再開した東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の審査会合は、設備面についての序盤戦が一区切りを迎えた。機器の安全性や重大事故対策などを議論した計4回の会合では、東電の安全性向上への姿勢を疑問視する指摘も目立った。
「現時点で議論できる範囲では一通り東電から説明を受けた」。2日の審査会合後、規制委の山形浩史管理官は柏崎刈羽原発の審査状況について、こう説明した。
規制委はこの間の会合でいくつもの項目について東電に説明を求めてきた。山形氏は「宿題を20〜30個出している」と話した。
「宿題」の中で特に大きな論点になっているのは、重大事故時に原子炉格納容器内の圧力を下げるための排気設備「フィルター付きベント」だ。規制委は8月26日の会合で「このままでは(規制基準に)不適合になる」と再検討を要請した。
東電は建屋外に「地上式」のベントを設置したほか、「地下式」も設ける考えだが、現時点では地上式のみで基準適合を目指している。この方針に対し、規制委は会合で、地上式の航空機衝突に対する安全性に懸念を示した。
地上式は天井がなく、航空機衝突で機能を失い可能性がある。ベントが壊れても事故対応できると主張する東電に対し、規制委は「(ベントは)別の場所にもう一つ必要」と求めた。
柏崎刈羽と同じ「沸騰水型原子炉」を持つ電力会社は東電を除いて建屋内や地下に設置している。「『地下式でも(基準適合を目指す)』というなら、こんな議論は必要ないのだが・・・」と山形氏。東電があえて外部から影響を受けやすい地上式を設置し、それだけで事故対策上問題ないとする姿勢に首をひねる。
規制委が東電への安全への姿勢を厳しくただした場面もあった。機器の安全性に関して審議した8月5日の審査会合でのことだ。
「社として安全性の向上をどう考えているのか」
規制委は、事故を起こした東電福島第1原発に2系統あった一部機器が柏崎刈羽6、7号機では1系統になっていることで、安全性の低下はないかと指摘。必要以上に機器を切り詰めているのではないかとの疑念をにじませ「基準さえクリアすればいいと考えているのか」と繰り返し迫った。
規制委の厳しい見方の背景には何があるのか。
福島事故の国会事故調査委員会は2012年7月の最終報告で、東電が事故前、安全対策よりコストカットを優先するかのような経営方針を採っていたと厳しく批判している。
規制委の田中俊一委員長もこれまでの会見などで、福島第1原発の汚染水問題での不手際なども踏まえ「(東電は)安全文化に問題がある」と指摘してきた。東電に安全追求の姿勢が欠けていたことが事故の一因とみられているにもかかわらず、その体質が事故後も改められていない懸念が残っているのだ。規制委は審査で、東電の体質が改善されたかも慎重に見極める方針だ。
柏崎刈羽6、7号機の研究開発に携わった法政大大学院の宮野広客員教授=原子炉システム工学=は、今後の審査について「(東電は)設備が壊れることを前提に、どんなリスクがあり、どう手を打つのかをしっかり説明する必要がある」と注文した。
・・・これに比べれば、川内原発の審査なんて「ザル」ですな。
原発によってもたらされる不安な感情は理解できます。
皆さんはその不安に突き動かされて、原発の危険性を真剣に訴えようとしています。
では、火力発電は不安のない安心できる発電方法なのでしょうか。
地球温暖化によって実際に気候の変化が見え始め、被害も出てきています。
私たちの生活や産業活動によって排出され続けているCO2によって、地球温暖化はゆっくりとしかし確実に進んでいます。
この「ゆっくりと」が災いして多くの人たちは温暖化を実感できずにいます。
火力発電はCO2の大きな排出源ですが、それによってもたらされる大きな災いに不安な感情を抱くことができずにいるのです。
しかし地球上にいるすべての人々は、将来姿を現す温暖化の災いから逃れることはできません。
地球規模の災いである温暖化から非難できる場所はないのです。
車のガソリンエンジンをはじめとしてあらゆる燃焼機関・エンジンはCO2を排出します。
CO2を減らすために燃焼エンジンから電気モーターへの転換が考えられます。
しかしモーターに必要な電気を火力発電に頼るのでは意味がありません。
そのために原子力発電は必要不可欠です。
原子力発電は危険です。
原子力発電の事故が起きると、周囲に放射性廃棄物をまき散らします。
しかし私たちの子孫にとって火力発電は、通常の運転で排出されるCO2に伴う温暖化の災いを世界の隅々まで間違いなくもたらす、より危険な発電方法ではないでしょうか。
世界的な動きとして、新しい原子力発電所が建設され続けていることを無視してはいけません。
なんか、原発停止による即物的な経済的デメリットは声高に主張するが、原発稼働によって生じるそれこそ万年単位で続く高レベル放射性廃棄物の処分・管理、そしていつか必ず直面する廃炉にかかる費用といった、緩慢かつ半永久的な経済的デメリットには一切触れようとしない、某新米経産相を思い出してしまいます(笑)。
あ、もしかしたら、時たまそういう意見が脱原発系の掲示板に書き込まれるのは、それへの脱原発派の返答をデータとして集めて、今後の原発推進への戦術に応用しようという国の策略なのかも知れませんが(笑)。
少し脱線しましたが。
では、私はあえて答えましょう、地球温暖化による即物的な被害の方を選択します。たとえそれにより億単位の人的被害が生じたとしても、その後の「再生」という物に希望が持てますから。これが原発事故だと、その影響は半永久的に残りますからね。
それとも、たとえ原発事故が起きても、その被害は半径30キロ圏内のみに限定されるから別に問題はないと?なるほど、それなら30キロ圏外に住む人達にとっては大した問題ではないかもしれません。でも、30キロ圏内に住んでいた人達に、それを面と向かって言えますかね?これに関しては、そう遠くない場所に柏崎刈羽原発がある私にとっても人事ではない問題なのですけど。
そして何よりも私が嫌なのは、積極的消極的な違いはあれど、日頃から原発推進を容認していた者達が、ひとたび事故が起き、まして自分に損失が生じると、激高し、被害者面し始めるのが簡単に予想できてしまうところなんですよね。
もしそうなっても、それはある意味自業自得なのだし、自分は支持してきた国のエネルギー政策のために犠牲になったのだからあえて被害は甘受する、くらいの気概を見せてくれればまだ尊敬できるのですけどね。でも人間って、ある意味いい加減というか、無責任なところがありますからねぇ(苦笑)。
●柏崎原発審査
申請きょう1年
課題山積 終了見通せず
ベント、断層評価 論点に
東京電力が柏崎刈羽原発6、7号機の審査を原子力規制委員会に申請し、27日で1年となった。九州電力川内原発(鹿児島県)の優先審査の影響で柏崎刈羽の審査会合は約5カ月間滞ったことに加え、設備面の安全性と地震、津波対策に関する審査も長期化している。いまだ審査終了の時期は見通せない状況だ。
規制委は1年間で柏崎刈羽の審査会合を計8回開いた。
設備面で大きな論点となっているのは、重大事故時に原子炉格納容器内の圧力を下げるための排気設備「フィルター付きベント」だ。ベントは事故を起こした福島第1原発と同じ「沸騰水型原子炉」に設置が義務付けられた。
規制委は、建屋外の地上に設置したベントで新規制基準への適合を目指す東電に対し、航空機衝突で機能が失われることを懸念。「このままでは不適合になる」と再検討を促している。
また、県が申請審査を認める条件として挙げ、東電が申請書に書き込んだ「ベントは立地自治体の了解後に運用を始める」との記載を規制委が疑問視。現在は運用面に関する県の了解がない状態で審査が進んでおり、県の了解が得られなければ、いずれ審査が止まる可能性もある。
地震、津波対策では、原発の敷地内外に多数存在する断層の活動性に関する評価が焦点だ。規制委は1月の会合で、東電に追加の地質調査を指示。一定の調査結果がまとまるまで、地震、津波対策に関する会合を見合わせている。
東電の姉川尚史常務は追加調査の状況を「8割程度の調査ポイントでデータを得つつある」と説明。「できるだけ早い時期に(規制委に)現地を見てもらい、意見を聞きたい」とする。
これまでの審査会合では、規制委が東電の安全追及の姿勢をただす場面も目立った。安全対策よりもコストカットを優先した東電の経営方針が福島事故の一因との指摘があり、規制委はこうした体質が改善されているかも見極める考えだ。
●東電・姉川尚史常務に聞く
安全対策 丹念に確認
東京電力の申請から1年となった柏崎刈羽原発6、7号機の審査について、東電原子力・立地本部長の姉川尚史常務に今後の審査に臨む姿勢などを聞いた。
−申請から1年がたちました。
「1年を特に長いとも短いとも捉えていない。自分たちの安全対策が新規制基準にどれだけ合致しているのか。(規制委から)意見をいただきながら、一つ一つ丹念に確認している状況だ」
−東電が新総合特別事業計画(再建計画)で想定した7月以降の再稼働は実現していません。
「(再稼働の想定は)財務上の収支のために一つの仮定として置かざるを得なかった。それ以上のものではない」
−審査では原発敷地内外の断層の活動性や「フィルター付きベント」が大きな論点になっています。
「断層については自分たちなりに分析に努めてきたが、さらに丁寧に追加データを取るよう規制委から指示があった。データ収集を進めており、そろそろ規制委に現地を見ていただく時期が来ると思う」
「福島第1原発事故で、ベントは必要性が高い設備だったという反省がある。東電としても新基準の施行以前から導入したいという思いがあり、審査はその設計が適切かを見ていただく機会だ」
−審査会合では規制委が東電の安全追求の姿勢をただす場面もあります。
「福島事故の反省の一つは、規制側が要求していない対策はしないという心構えだったこと。事故当事者として、どれだけ心構えを改めて審査に臨んでいるのかは注目されるポイントだと認識している。ただ、審査では規制委の指摘にすべてうなずくのではなく、東電としての考えを封印せずにしっかり議論していかなければ安全性は高まらないと考えている」
−泉田知事は東電の姿勢を批判し続けています。
「知事をはじめ県民がいろいろ心配されるのは当然で、真摯に受け止めたい。新潟県が東電の電力供給管内ではなく、われわれの姿が見えにくいことも不信を招く原因だと思う。(来年7月をめどに新潟事務所を改組、強化する)新潟総支社化はそういたギャップを埋めていく努力の一つだ」
●再生エネ中断 安定供給図り普及促進を
電力各社が、再生可能エネルギーの買い取り契約の手続きを相次いで中断している。
先月25日の九州電力に続いて、東北電力が1日から数カ月間、太陽光、水力、地熱、バイオマスの出力50キロワット以上の発電施設と契約しないことを明らかにした。
太陽光を中心に、民間事業者や自治体などによる参入計画が急増しているためだ。
太陽光などに携わる本県の事業者らに動揺が広がっている。とりわけ影響が大きいのは、復興事業の一環として取り組んでいる東日本大震災の被災地だろう。復興に水を差す可能性がある。
再生エネを優遇して導入の促進を図る「固定価格買い取り制度」が始まってから、わずか2年余りで、制度は大きな曲がり角を迎えたといえる。
急増の背景にあるのは、4月からの買い取り価格引き下げを前に見られた駆け込み需要だ。
東北電力の場合、国の認定を受けた太陽光発電設備の出力は、2月まで500万キロワットに満たなかったが、3月に倍増した。
6月末現在、全再生エネ1172万キロワットのうち、1087万キロワットを太陽光が占める。このうち、送電網への接続が済んでいるのは1割にも満たない。
ただ、全て接続した場合、天候による出力変動に送電設備が対応できず、安定供給に支障を来す恐れがあるのだという。
こうした事態は、当初から想定できたことではないか。
国が定めた買い取り価格はドイツなどの約3倍といわれ、外国企業の参入といった「太陽光バブル」の状況を生んでいたからだ。
露呈したのは、政府の無計画ぶりと、電力会社の対応の鈍さと言っていい。
安倍政権は4月に策定したエネルギー基本計画で再生エネの導入加速を掲げながら、将来の電源構成比率さえ決めていない。
国連気候変動サミットでは、温室効果ガスの削減目標と時期を示すこともできなかった。
各社の買い取り中断を受け、政府は2017年ごろと見込まれる制度改定を早める方針だ。
あらゆる費用を電気料金の原価に算入できる総括原価方式の廃止前倒しなど、国民の負担増をできるだけ抑えながら、発電した電気をためておく蓄電池の整備や送電網の増強を進めてもらいたい。
買い取り価格の算定方法見直しや、買い取り量の上限設定なども検討課題だろう。
気に掛かるのは、多くの電力会社が再生エネへの対応をめぐって足並みをそろえたことだ。
九州電力川内原発が、原子力規制委員会の新規制基準に国内で初めて適合した時期と重なる。
買い取りを義務付けられた再生エネより、原発再稼働を意識しての対応だとするなら、反発を招くだけだろう。
東京電力福島第1原発の過酷事故をみれば、再生エネの普及にブレーキをかけるべきではない。
再生エネを将来どう生かしていくか。問われているのは、国と電力会社の本気度だ。
●柏崎刈羽ベント設備
市長が経緯説明希望
原子力規制委員会が、8月の審査会合で柏崎刈羽原子力発電所のフィルター付き排気(ベント)設備に修正を求めたことについて、柏崎市の会田洋市長は1日の記者会見で「規制委がどう考えて何を要求しているのか、見えないところがある」と述べ、詳しい経緯の説明を求める考えを示した。
会田市長は、規制委がフィルターベントの機能が航空機の衝突などで損なわれる恐れがあるとし、テロ対策を理由にその後の議論を非公開にしようとしていることについて、「原発の安全性がどうなのか理解できないし、市民にも説明ができない。確認をしていただきたい」と語った。
●今月下旬にも現地確認
追加地質調査 東電、途中経過を報告
規制委
原子力規制委員会は3日、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の地震、津波対策に関する審査会合を開いた。原発敷地内外に多数存在する断層の活動性を評価するため、縦穴を掘るなどしている東電の追加調査について、今月下旬にも現地確認し、詳細な説明を受ける方針を決めた。
規制委の地震班による会合は、追加調査の妥当性を現地で確認した2月中旬以来。
3日の会合で東電は追加調査の途中経過を説明。敷地内の竪穴やボーリングによる調査の一部が終了しているとした。地層のスケッチをなどを示しながら、従来通り「約20万年前以降の活動はない」と結論付けた。また、1、2号機直下の断層について、地震を引き起こす断層ではない主張し、6、7号機への影響を否定した。
規制委は、活動性の評価には、より詳細なデータや現地での確認が必要と判断した。
会合後、東電の川村慎一原子力設備管理部長は、規制委の現地確認について「われわれは受け入れられる状態だ」と述べた。
規制委は、新規制基準で活断層を「13万〜12万年前以降の活動が否定できないもの」と定め、真上に原子炉などの重要施設の設置を禁じている。
「総理!御嶽山が噴火しました!」
「とにかく原発再稼働させるんだ」
「総理!桜島が噴火して川内が危険です!」
「とにかく原発再稼働させるんだ」
「総理!フクシマの汚染で太平洋諸国から巨額の賠償請求が!」
「とにかく原発再稼働させるんだ」
「総理!富士山が噴火して東京が危険です!」
「とにかく原発再稼働させるんだ」
「総理!南海トラフ地震で浜岡が爆発しました!首都圏2400万人避難です!」
「とにかく原発再稼働させるんだ」
「総理!隣国からミサイルがきて福井原発が爆発しました!関西圏1700万人避難です!」
「とにかく原発再稼働させるんだ」
「総理!太陽が西から昇っています!」
「とにかく原発再稼働させるんだ」
「総理!地球がなくなりました!」
「とにかく原発再稼働させるんだ」
「総理!宇宙がなくなりました!」
「とにかく原発再稼働させるんだ」
「総理!一番ヤバイです。宇宙が無くなりましたが、【自民党のはくち政治、基地外政治】は続いているみたいです!」
「良かった!とにかく原発再稼働させるんだ」
たしかに この荒唐無稽さの域に達してしまっています。日本政治の今ということで世界に発信して理解(エクスキューズ)を求めたいほどです。
●柏崎原発の避難計画
「未定」多く住民困惑
柏崎市 5〜30キロ圏で説明開始
東京電力柏崎刈羽原発の重大事故に備え柏崎市が策定した「広域避難計画」について、原発から半径5〜30キロ圏の避難準備区域(UPZ)24地区の自主防災組織幹部らを対象にした説明会が今月始まった。UPZは具体的な避難先が決まっていないなど、半径5キロ圏の即時避難区域(PAZ)以上に未定の項目が多く、住民側からは困惑の声が上がる。
放射性物質の放出前に避難するPAZと異なり、UPZは放射性物質が放出された際、屋内退避が原則となる。県の試算では、UPZの住民が「4割」自主避難した場合、PAZの住民が5キロ圏外に出るまで5時間半、「8割」となると9時間20分に拡大する。
市担当者は、原子力規制委員会による屋内退避効果試算などを基に屋内退避に理解を求め「換気機能をすべて切り、屋内に外気を取り込まない」など注意点を解説した。
地域ぐるみで防災・減災活動に力を入れる北条地区での6日の説明会では「5キロ圏の人が目の前を逃げていくのに、待っていられるか分からない」など、屋内退避に対する疑問や、福祉施設入所者ら要配慮者の避難方法に対する意見が相次いだ。
UPZは安定ヨウ素剤の配布についても決まっていない。泉田裕彦知事が県議会で、UPZでの安定ヨウ素剤の事前配布を検討すると表明したのに対し、柏崎市の会田洋市長は1日の定例会見で「緊急事態の中で配るのは難しいが、事前配布は対象者が相当多くなる。よく県と調整したい」と話すにとどめた。
UPZは柏崎市のほか長岡や上越など7市町におよび、約50万人が対象となる。未定となっているモニタリング方法の詳細や避難時の交通規制など県の調整が欠かせない項目が多い。避難先の選定では、県内自治体で避難者を受け入れきれないことが想定され、県外の自治体とも調整が必要となる可能性が高い。
北条地域防災会の江尻東磨会長は「どこに逃げるのかはっきり決めてほしい。長期の避難となれば拠点も必要になる。過去の事例をしっかり研究して計画に取り入れてほしい」と話した。市は年内に説明会を終わらせる予定だ。
短期集中連載記事
どうみる泉田流
就任10年 全県議に聞く(3)
●原発
再稼働「容認を」58%
検証優先 自民は不満大
東日本大震災による東京電力福島第1原発事故を受け、東電柏崎刈羽原発が2012年3月に全号機停止となってからおよそ2年半。泉田裕彦知事は県議会の答弁や記者会見で「福島事故の検証と総括なくして再稼働の議論はしない」と繰り返している。
10月25日で就任10年となる知事。「検証と総括」を強調する姿勢を県議はどうみているのか。全53県議のうち、「評価できる」は49%(26人)、「評価できない」は51%(27人)とほぼ同数だったが、会派によって大きな偏りがある。
自民党内には不満が大きい。自民県連は7月の大会で「原子力規制委員会が安全を確認したものから、順次再稼働を求めていく」ことを決議している。アンケートでは所属する33人のうち、3分の2に当たる23人が知事の姿勢を評価しなかった。
中堅県議は「何を持って『検証』というのか、具体的に示さない」と不満を漏らす。ベテラン県議は「ああだこうだ言っていたら、何年たっても結論は出ない。逃げ口上だ」と知事を批判する。
これに対し、評価できるとした中堅県議は「福島事故の検証と総括がまだ終わっていない。このままでは同じことが繰り返される」と理解を示した。
自民以外の民主党、社会民主県民連合、公明党、共産党、無所属の計20人では80%(16人)が知事の姿勢を評価し、自民との差が明確に出た。
あるベテランは「県民の命を守るために当然の姿勢」と話し、別の若手も「何が悪かったのか、きちんと見た上で判断したいというのは正論だ」と支持する。
「柏崎刈羽原発の再稼働について、知事が将来取るべき判断」を聞いたところ、県議全体では「再稼働を容認すべきだ」が58%(31人)に上った。「容認すべきではない」は15%(8人)にとどまり、「分からない・無回答など」が26%(14人)だった。
再稼働を知事に求めるのも自民県議が多い。自民県議のうち82%の27人が求めた。中越地方選出の県議は安全性は担保すべきだとした上で「原発は地元経済や県財政を支えてきた。柏崎刈羽原発が動かなければ、日本経済への影響も大きい」と強調する。自民では再稼働を容認すべきではないとの回答はゼロで、18%(6人)が分からない・無回答などだった。
柏崎刈羽原発の再稼働の前提となる適合審査が規制委で進む中、アンケートで浮き彫りになった自民と知事の温度差。党内には「再稼働に応じる条件を示してほしい」(中堅)との意見もあり、再稼働論議に今後どう影響するのかが注目される。
一方、第2会派の民主(6人)には無回答や態度をあきらかにしない県議が目立った。ある県議は「民主の政策は30年代に原発をなくすこと。それまでは原発を動かすという選択肢もあり、すぐ全廃とはいかない」と胸の内を語った。
・・・仕方のない事ですが、この記事で意見を述べている県議が一体誰の事なのか?分からないのがもどかしいですね。
もし分かれば、そしてそれがこちらの地元の県議であるならば、次の選挙で落としてやるのですが・・・。
まぁこう言っている県議達が、もしひとたび柏崎刈羽原発で重大事故が発生したらどう豹変するのか?大変興味深い事ではあります。
●原発審査を批判 泉田知事
泉田裕彦知事は15日、東京都内の日本外国特派員協会で講演し、原子力規制委員会が進める原発の審査について「原子力利用の安全を図ることが組織の目的だが(原発の新規制基準への)適合性を見ているだけだ」などと批判した。
泉田知事は昨年7月に施行された新基準について、国際原子力機関(IAEA)の安全基準に示されている多重防護やテロ対策が不十分だと指摘。「世界最高水準の基準ではない」と述べた。
また炉心溶解(メルトダウン)が起きた場合に備えた専門部隊がある米国などと比べ、「日本は法律を含めて対応を考えていない」と懸念を示した。
東京電力柏崎刈羽原発の再稼働については、福島第1原発事故の際に「東電はメルトダウンを隠した」として「東電に原発を運転する資格があるのかという議論が先だ」と指摘した。
昨日帰宅しましたので、それまでの分を含め、新潟県関連の原発報道の紹介を再開いたします。
まずは今日の新潟日報朝刊社説。
●川内再稼働同意
住民置き去りでいいのか
全基の営業運転停止が続いている国内原発が、年明けにも動きだす見通しとなった。
鹿児島県の伊藤祐一郎知事と県議会は7日、九州電力川内原発1、2号機の再稼働に同意した。
東京電力福島第1原発事故を教訓に原子力規制委員会が定めた新規制基準下では初めてとなる。
ただ問題点は積み残されたままだ。住民を置き去りにした同意と言わざるを得ない。これでは不安が募るだけだろう。
懸念される一つは、避難計画の実効性に不備があることだ。
原発から半径10キロ圏外の高齢者や入院患者ら要援護者は避難先が確保されていない。福島事故では避難先が見つからず、犠牲者が多数出たことを肝に銘じるべきだ。
甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤は、5キロ圏の住民に事前配布することになっているが、配布が終わったのは7割弱にとどまる。
避難住民を受け入れる30キロ圏外の自治体も準備が遅れている。避難所運営に備えた職員派遣の調整や物資の備蓄は進んでいない。
いざという時に住民の命を守る避難計画をしっかり整えてから、再稼働の是非を議論するの
が筋ではないか。拙速にすぎよう。
「地元」の範囲をめぐっても不満が出ている。再稼働への理解を求めるため先日、宮沢洋一経済産業相が鹿児島県を訪れた。
しかし、立地自治体に足を運んだだけで、再稼働への反対署名が人口の過半数に達した周辺自治体は素通りした。
福島事故が広範囲にわたって深刻な影響を及ぼしたことを踏まえれば、周辺自治体にも理解を得るのが当然だろう。
川内原発の周囲に分布する活火山群への不安も高まっている。
この辺りでは、カルデラというくぼ地ができる巨大噴火が繰り返し起きている。
数百度の高温ガスが時速100キロで押し寄せる火砕流から原発を守ることは不可能といわれる。川内原発の敷地内もかつて火砕流に襲われたとの見方が強い。
九電は噴火の兆候があれば核燃料を運び出すとしているが、御嶽山は突然噴火し、甚大な被害が出た。予知できない現実に目を向ける必要があろう。
福島事故から約3年8カ月たっても原因の究明は道半ばだ。事故の収束も見えない。避難住民の帰還や生活再建も進んでいない。
宮沢経産相は伊藤知事に「万一事故が起きた場合は、国が責任をもって対処する」と約束したが、この現状をどう見るのか。
使用済み核燃料を再処理した後に発生する高レベル放射性廃棄物については、最終処分場のめどが立っていない。再処理工場の完成も遅れに遅れている。再稼働が進めば、原発構内に使用済み核燃料はたまり続けるだけだ。
こうした問題は何ら解決していないのに、政府、自民党はなぜ前のめりになっているのだろう。経済を優先するあまり、また安全神話に寄りかかってはならない。
そもそも全原発が停止していても、電力は足りているのだ。国民への説明が少なすぎる。
●福島から避難の男性
事故全容が未解明
「福島事故の全容も解明されていないのに、なぜ動かすのか」
九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働について、東京電力福島第1原発がある福島県双葉町から鹿児島市に避難している自営業遠藤浩幸さん(48)は「想定はしていたが、残念だ。反対が叫ばれる中でどうしてこういう結果になるのか。理解できない」と語気を強めた。
妻、子どもと避難生活を続けている遠藤さんは10月、鹿児島県日置市で開かれた住民説明会に参加した。
「事故が発生した場合に誰が責任を取るのか」。その質問が出た際、答えられなかった九電や原子力規制委員会の担当者の姿に疑問を持った。
「もし数十年後に事故が起きた時、つけを払うのは若者。知事や県議、市議たちは現役を退いているだろう。彼らは果たして責任を取るのか」と言う。
双葉町で消防団員だった。原発事故直後、高齢者の避難の補助や交通整理をしたが、道路は渋滞し、ガソリンも次第になくなっていった。その経験から、鹿児島県がまとめた避難計画について「パニックになれば、あんなものは役に立たない」と切り捨てた。
・・・あと今日の新潟日報朝刊に掲載された、こちらの柏崎市長の川内原発再稼働に関する発言。
「今回の手続きが一つのモデルケースになると思うが、柏崎刈羽原発は審査の過程にあり、鹿児島とは状況も違うため、事態の推移を見ながら適切に判断していきたい」
・・・これが読売新聞だとこうなります。
「立地自治体の状況はそれぞれ違うが、今回の手続きは、今後の一つの尺度になる」
・・・なんか、この読売の書き方、柏崎市長が柏崎刈羽原発再稼働に乗り気のような発言と感じられるのは私だけ?
鹿児島県知事は、にこにこと笑っていました。
街頭インタビューでは、タクシーの運転手さんが「お客が戻って来る」と喜んでいました。
お店の人達は、原発で働く2000人が戻って来たら、楽になるという話をしていました。
原発推進派の人はよく『地球温暖化』を引き合いに出しますが、海水を温める一番の原因は原発ですよね。それに、原子力の仕事に携わることが出来るくらい勉強の出来た人は、氷の融点を考えたら温暖化なんて本当は信じていないはずです。
原発がないと生きていけないと思い込んでいる人達がいるのも事実です。
福島を見て、原子力は人の手におえないと気付いた人もいます。
微力ですが、自分に出来ることをするしかないです。
11月6日付新潟日報朝刊より
●情報共有を重点に
11日原発防災訓練 県など地元説明
東京電力柏崎刈羽原発の事故を想定して11日に行う原子力防災訓練について、実施主体の県と柏崎市、刈羽村は5日、柏崎市で開かれた住民組織「透明性を確保する地域の会」の定例会で訓練概要を示した。県の担当者は「(県や市村などの)各対策本部が情報を共有して意思決定ができるかどうかが主眼」と訓練の目的を説明した。
訓練は震度6強の地震によって福島第1原発事故と同程度の重大事故が起きると想定して行われる。柏崎市、刈羽村が原子力災害に備えた広域避難計画を策定してからは初の訓練で、住民避難や情報伝達、社会福祉施設での屋内退避などの訓練を行う。
避難訓練には柏崎市高浜地区(3町内会)の約130人と刈羽村の約60人が参加する。いずれも原発から半径5キロ圏の住民。刈羽村はバスなどを使い計画で策定された避難先の村上市へ移動する。地域の会の委員からは県に対し「福島事故前と変わらない訓練に見える。原子力災害ということをもっと意識してほしい」といった意見が出た。
柏崎市の会田洋市長は5日の定例会見で、訓練を通して広域避難計画を検証する考えを示した。
●詳細シナリオ事前開示せず
知事方針
11日に県などが実施する東京電力柏崎刈羽原発の過酷事故を想定した原子力防災訓練について、泉田裕彦知事は5日の定例会見で、詳しいシナリオを事前に公開しない「ブラインド訓練」にすると説明した。
知事は「何時何分に何があったかというシナリオを読み上げるのが訓練ではない」と強調。その上で「情報伝達がメーン。ちゃんと事態に対応して判断ができるかどうかという訓練をやる」と、事前の情報を制限する意義を話した。
国も参加することについて「屋内退避が指示される原発から半径5〜30キロ圏の住民に安定ヨウ素剤を誰がどう配るか課題がある。現場に立ち会って認識してほしい」と説明した。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%89%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC%E6%B5%B7%E6%88%A6#.E5.9B.B3.E4.B8.8A.E6.BC.94.E7.BF.92
それを考えると、こちら新潟県が11日に行う原子力防災訓練が、いわゆる「ブラインド訓練」であるのはまさに適切だと思います。
でももし今後、訓練を行った結果、とてもじゃないけど原発事故時の全住民の避難なんて無理!という結果が出たら国はどうするのでしょうね?
まぁ、それを突き詰めていくと、「原発再稼働は不可能」という結論に達しざるを得なくなるので、「それは今後の課題」という事にしてうやむやにしちゃうのでしょうけど。
まぁ以前から私が再三申している事ですが、そもそも避難計画やら訓練なんて、所詮は、「いざという時にその地域の事実上の消滅を覚悟した上で原発を再稼働させる」と国が意思表示をしているのに過ぎないのですよね。
そして、それについて疑問も持たず、ましてや何の異議申し立てもしない地元自治体やそこの住民・・・。茶番ですな。
10月31日付新潟日報朝刊より
●規制委が断層現地調査
東電の報告を確認へ
原子力規制委員会は30日、東京電力が柏崎刈羽原発内で実施している追加の断層調査について、現地で確認する調査を始めた。敷地内の断層が活断層であるかどうかや、地層の年代などを調べる。規制委で地震・津波分野を担当する石渡明委員は初日の調査を終え「審査会合で示されたデータや写真について実物を見ることができ、審査にとっていい材料になる」と話した。
調査は6、7号機の適合審査の一環で、31日までの2日間行われる。石渡委員ら12人の調査メンバーは30日午前、敷地外の地層などを見て回り、周辺の土地の成り立ちや性質、特徴を確認した。その後、東電が敷地内外で行ったボーリング75本のうち、30本分の土を見たり、触ったりして硬さや性質を確かめた。
東電は敷地内外の断層について、規制委から追加調査を求められている。審査対象の6、7号機だけでなく敷地すべてが対象で、これまでに結果の一部を規制委に報告している。今回の調査は、東電の報告内容を審査するために実施する。
1-4号機側の立て抗はまだ工事中で、出そろっていないデータは今後、追加して規制委へ報告する。
石渡委員は「追加調査が完全に終わったわけではない」とし、記者団からの地層年代や断層の評価に関する問いにも「審査会合の場で議論していくので、ここでの回答は差し控えたい」と話すにとどめた。
31日は、5-7号機側に掘った立て抗3本に入り、地層や断層の様子を目視で確認する。
11月1日付新潟日報朝刊より
●「地層の区分不確定」
規制委、断層調査を終了
東京電力柏崎刈羽原発の敷地内外にある断層の活動性を調べている原子力規制委員会は31日、同原発での2日間の調査を終えた。規制委で地震・津波を担当する石渡明委員は調査後、「(東電に)地層の区分が不確定で詰めた方がいいと指摘した」と明らかにした上で、今後の審査で東電の主張の妥当性を判断する方針を示した。
現地調査は同原発6、7号機の適合審査の一環。この日は規制委の12人が3班に分かれ、東電が5-7号機側に掘った3本の立て抗に交代で入り、地層や断層の様子を目視で確認した。
立て抗は原発敷地内の断層の活動性を確認するため、直径4メートルの穴を掘り、地下の地層構造を見る。今回調査された3本の立て抗は深さ22〜50メートル。底部をさらに横に掘削し、壁面を削って地層を観察できるようにしてある。
石渡委員は31日午前、7号機南側の深さ34メートルの立て抗に入った。細い階段を下り、約18平方メートルの空間で、東電の担当者から説明を受け、地層の様子を確認していた。石渡委員は調査後、「地下深くの断層を間近に見ることができた。今後の審査に生かしたい」と述べた。
東電の断層調査では、1-4号機側でも立て抗1本を掘削中で、完了のめどは立っていない。石渡委員は「(1-4号機側の)立て抗ができれば調査に来る」とし、「これで判断の材料が出そろったということはない」と話した。
東電の川村慎一・原子力設備管理部長は「今回の調査は大きな前進だが、安全確認全体ではまだまだ道半ばだ」との認識を示した。
・・・柏崎刈羽原発内を走る断層に関しては、このコメント欄の上の方で書いているので、詳しい事を知りたい方はご覧になってください。
第2社説欄「座標軸」より
●清志郎さんの歌
反原発の歌詞その通りに
2009年に亡くなったボーカリスト・忌野清志郎さんの歌は、私のカラオケの十八番だ(下手ですが)。個性的な歌が多いが、中でも「サマータイム・ブルース」を聴いたときは、ここまで言っていいのかと驚いた半面、嬉しかった。
それもそのはず。原発反対をうたったこの歌は1988年、発売中止に追い込まれた。レコード会社が原発メーカーの関連会社だったため、圧力が掛かったといわれている(その後、別会社から発売)。当時の社会面に大きく扱われたのを鮮明に覚えている。
歌詞にある「それでもテレビは言っている。『日本の原発は安全です』。さっぱり分かんねえ。根拠がねえ」は、不幸にも福島第1原発事故でその通りになった。
この夏、全原発が停止している中、電力需給の逼迫が予想されたが乗り切った、節電効果や天候不良もあったというが、これも歌にある「電力は余っている」との歌詞と一致するのではないか。「原子力は要らねえ。危ねえ。欲しくねえ」のフレーズは原発に反対する人たちの共通の思いだろう。
福島の原発事故のため多くの人が古里に帰れない中、安倍内閣は原発再稼働へ明確にかじを切っている。九州の川内原発は年明けにも再稼働の見通しだ。
おまけに、原発に代わるとされた太陽光など再生エネルギーの買い取り中断を、電力会社が次々と表明している。
清志郎さんが生きていたら、こう叫んだのではないか。「あきれたもんだぜ、ベイビー!」
(論説編集委員・間狩隆充)
●柏崎原発事故想定
5キロ圏内住民 避難訓練
東京電力柏崎刈羽原発での過酷事故を想定した原子力防災訓練が11日、柏崎市や県庁で行われた。原発から半径5キロ圏内の即時避難区域の住民がバスなどで避難先の村上市に向かい、途中でスクリーニング検査などをした。一方5〜30キロ圏の避難準備区域(UPZ)の甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤配布をめぐって泉田裕彦知事と国の担当者の意見が食い違うなど、今後の安全対策に課題が残った。
県、柏崎市、刈羽村をはじめ、県内全市町村、内閣府、原子力規制庁、東電など88機関、約1500人が参加。東電福島第1原発事故後の訓練としては昨年3月に続き2回目で、柏崎市と刈羽村が広域避難計画を策定してから初めて。詳細を事前に伝えない「ブラインド訓練」として行われた。
午前8時半、柏崎刈羽地域で中越沖地震と同じ震度6強の地震が発生、その後柏崎刈羽原発7号機の全電源が喪失して原子炉が冷却できなくなり、福島並みの事故が起きるという複合災害を想定した。
県庁に災害対策本部が設置され、関係機関が参加してテレビ会議を開催。UPZでのヨウ素剤配布をめぐって災害対策本部の泉田知事は「避難所へ行かないとヨウ素剤がもらえないのは、被ばくしながら行くことになる」などと主張。原発から放射性物質が放出される前に住民がヨウ素剤を服用できるよう求めた。
これに対し、県柏崎刈羽原子力防災センター(柏崎市)では内閣府の担当者が、国の指針で、UPZでは放射性物質放出後に線量の高い地域を対象に服用を指示することを基本にしていると反論。配布に向けた行動確認の訓練は一部しか実施できなかった。県はヨウ素剤の配布計画を策定しておらず、今回の訓練での対応が焦点だった。
訓練後、泉田知事は「適切にヨウ素剤を服用してもらうことが難しいと訓練で明らかになった。国には現実が単純ではないところを見てもらえた」と述べた。内閣府の山本哲也審議官は「ヨウ素剤の配布方法は地域の実情を踏まえた形が重要。県に考えてもらい、国も技術面で指導する」と話した。
その他の訓練では、即時避難区域の刈羽村と柏崎市では、住民約180人がバスなどで避難し、大きな混乱はなかった。
●原子力防災訓練 避難準備区域
ヨウ素剤配布は困難
知事と国、意見割れる
東京電力柏崎刈羽原発での過酷事故を想定した11日の原子力防災訓練では、原発から半径5〜30キロ圏内の避難準備区域(UPZ)で、甲状腺の被ばくを防ぐための安定ヨウ素剤の配布・服用の困難さが浮き彫りになった。原発事故で放射線量が高まった危険な状態で誰がどう配るのか詰められていない状態で訓練が行われた上、配布のタイミングをめぐって泉田裕彦知事と国が対立。多くの課題を残した。
県庁の災害対策本部と県柏崎刈羽原子力センター(オフサイドセンター)をつないだテレビ会議で、時間を多く費やしたのは、ヨウ素剤の配布をめぐる議論だった。
「対応は無理なのでこの議論は飛ばします」。会議の終盤、泉田知事は不快感をあらわにしながら、ヨウ素剤配布のタイミングについて議論を打ち切った。
国の指針では原発から半径5キロ圏内の即時避難区域(PAZ)の住民はすぐに避難する。一方、UPZの住民は屋内退避をして、原発から放射性物質が放出された後にヨウ素剤を飲むことになっている。
知事は屋外の線量が高まった中では避難者が外にヨウ素剤を取りに出ることや、第三者が配って回ることは困難だと主張。服用のタイミングについても「風向きを見ながら(放射性物質の放出前に)飲めないか」と訴えた。
しかし、原子力防災を担当する内閣府の担当者は「風向きだけで(服用対象地域を)判断するのは不可能」と強調。放射性物質の放出後、周辺の放射線量を計測し、高かった地域の住民に服用を指示する国の指針を繰り返した。
原発から放射性物質が放出される事態になった際、周辺地域での物資補給や避難支援を誰が行うのかという課題も明らかになった。
泉田知事は何度か30キロ圏内での災害対応に民間事業者の協力を得られるかを県の担当者にただした。その回答は「難しい」だった。
一方、自衛隊の担当者も「われわれのみでは困難」として民間などとの協力が欠かせないことを強調した。
内閣府の担当者は一般人の年間被ばく線量限度のの1ミリシーベルトの範囲内で民間にも協力してもらう認識を示しつつ「制度面の対応が十分ではない。持ち帰って検討したい」と認めた。
・・・昨日のNHK新潟放送局の夜のニュースで、この訓練の一部が報道されたのですが、泉田知事がとにかく「風向き」にこだわっていたのが印象に残りました。
「一刻も早く避難を開始させて欲しい!」と要請してくる刈羽村長に対し、「避難先が風下だったという福1事故の二の舞を踏むわけにはいかない。今、気象台に風向きを聞くので5分待って欲しい」というようなやり取りが流れましたし。
なお、先ほどのNHK新潟放送局のローカルニュースによりますと、泉田知事が定例会見で、国に対し、SPEEDIの復活を希望する旨発言したそうです。あと、上の記事でも書かれていた「放射性物質の放出後、周辺の放射線量を計測し、高かった地域の住民に服用を指示する」という国の指針に対し、「では誰が高線量下で測定をするのか?」と疑問を述べたとも。
これに関しては、明日の新潟日報朝刊に詳しい記事が載るでしょうから、また明日紹介します。
●原子力防災訓練
特養「夜なら労力大きい」
人手や時間 課題浮き彫り
東京電力柏崎刈羽原発の事故を想定した11日の原子力防災訓練では、原発から半径5キロ圏の住民が集団で避難した。参加した住民からは「実効性があるのか」と疑問の声も上がったが、災害避難を切実な問題と捉え独自の取り組みをする町内会もあった。原発から半径5キロ圏の内の即時避難区域にある特養施設では屋内退避を実践。ベットや車いすの利用者を、放射線を防ぐ機能を備えた部屋に移した職員からは「職員が減る夜間になるとかなりの労力だ」との声が漏れた。昨年に続き福島第1原発後、2度目の訓練だったが、山積する課題が浮き彫りになった。
(以下略)
・・・ただ、昨日のNHK新潟放送局の夜のニュースで触れられていたのですが、今回の防災訓練、柏崎市のそれは、今日が訓練という事で、事前にすべて色々用意した上で行われた物だったそうです。
ですから、ある地域の防災会長さんが言っておりました、「実際の原発事故は突発的に起きるはずだ。今回のような事前にすべてお膳立てした訓練のようには上手く行かないはずだと思うが、本当に大丈夫なのか?」と。
http://ja.wikipedia.org/wiki/国際エネルギー機関
が圧力をかけてきていますね。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF06H12_W4A101C1EE8000/
アメリカの原油価格も低下していて、日本国内の電力需要も十分満たしている現在、大きなお世話以外の何物でもないのですが。
事務局がパリにあるのが嫌な感じですね。
田中伸男http://enercon.jp/topics/6009/?list=contribution 再稼働を強く訴えております。
日本の原子力は復活すると。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1312/02/news014.html
勝戦国のイギリス、フランス、アメリカに日本は原子力政策において、いいように使われていると考えるのは妄想でしょうか、、、。
●SPEEDI活用を
住民避難で必要性強調
原発などで事故が起きた際に放射性物質の拡散を予想する緊急時迅速放射能影響予想ネットワークシステム(SPEEDI)について、泉田裕彦知事は12日の記者会見で、11日に行われた原子力防災訓練を踏まえ「(避難などの)判断をするときにあった方がしやすくなる。復活させてほしい」と述べ、住民避難に活用すべきだとの考えを示した。
SPEEDIは東京電力福島第1原発事故で本来の機能を発揮できず、原子力規制委員会は10月、避難などの判断では使わないとする運用方針を示した。
柏崎市や県庁などで行われた11日の訓練でもSPEEDIは使われず、泉田知事が、住民の避難や安定ヨウ素剤の配布を検討する際にSPEEDIの必要性を訴える場面があった。
知事は会見で「(訓練で)6時間後に(放射性物質を外部に放出する)ベントすると分かっても事前準備ができない。SPEEDIを使わないのは、避難活動に足かせをはめるということだ」と強調。
「国の担当者はSPEEDIの判断で避難できませんと言っていたが、あなたたちの使い方が悪いからできないんでしょ」と不快感をあらわにした。
また、緊急時に屋内退避となる原発から5〜30キロ圏へのヨウ素剤の配布について、放射線量が高い中では困難だとして、国の指針を見直すべきだとした。国に対し「人員の配置や交付税措置も含めて財源措置をしてほしい」と主張した。
●高浜原発「合格」
周囲の意見にも耳傾けよ
関西電力高浜原発3、4号機(福井県)が、原子力規制委員会の審査に事実上合格した。
東京電力福島第1原発を教訓とする新規制基準を満たしたのは、九州電力川内1、2号機(鹿児島県)に続いて2例目となる。
今後、工事計画の審査や地元同意手続きなどを経て、来年春以降に再稼働される見通しだ。
事実上の合格といっても、絶対的な安全が担保されたわけではない。技術的な基準をクリアしたにすぎない。
福島第1原発と異なる加圧水型の高浜原発は、原子炉格納容器の損傷を防ぐフィルター付きベントの設置が猶予されている。
制御棒の効きが悪くなるといわれるプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使うプルサーマルも想定している。安全性への懸念は根強い。
規制委の田中俊一委員長が示した「(合格)イコール事故ゼロではない」との見解を重く受け止めるべきだろう。
審査の過程では、最終的に規制委側の要請に応じたとはいえ、再稼働を急ぐあまり、対策工事につながる想定の見直しを拒む場面があるなど、関電側の徹底抗戦が目に付いた。
審査に合格したその日、関電は来年4月からの電気料金の再値上げを表明した。電気料金を盾に、再稼働への早期同意を迫ったと受け取る向きもあろう。
関電には経営優先ではなく、あらゆる事態を想定し、安全への不断の努力を続けていくことが何より求められていることを肝に銘じてもらいたい。
再稼働へ最大の焦点となるのが地元同意の範囲だ。
住民の避難計画策定が必要な原子力災害対策の重点区域(原発の半径30キロ圏)は、立地する福井県に加え、京都、滋賀の両府県にもまたがる。鹿児島県だけだった川内原発と事情が大きく異なる。
福島事故は広範囲に甚大な被害をもたらした。事故から3年9カ月が経過した現在も続いている。関西圏で同様の事故が起きれば、影響は計り知れない。
ところが、重点区域が3県にまたがっているにもかかわらず、国も関電も立地自治体だけの同意手続きで済ませようとしている。両府県が再稼働への動きに反発を強めるのは当然だろう。
立地地域と同等の安全協定を早急に結び、地元同意の対象に加えるべきではないか。
忘れてはならないのは住民の避難計画だ。
高浜原発の場合、避難に使うバスの確保や受け入れ施設の準備はまだ整っていない。川内原発では問題点を積み残したまま、同意手続きが行われた。
万一の時、最も大切なのは住民の命を守ることだ。それが、なおざりになってはいないか。
事故発生時に国が責任を持って対処するというなら、避難計画にも積極的に関わる必要がある。再稼働の是非を議論するのはそれからだろう。
拙速な対応はエネルギー政策への信頼を失うだけだ。
●原発再稼働で交付金増
16年度にも
停止中は削減
●原発建て替え検討を
経産省小委
維持へ積極姿勢
●再稼働なければ赤字
東電
収支計画原案で試算
・・・これらの記事で紹介されていた、国や電力会社のどの計画も、突っ込みどころ満載で、馬鹿野郎!父ちゃん情けなくって涙が出らぁ・・・!!(東野英心の声で)と言いたくなくなる代物なのですが。
これらに掛かる費用だけを考えても、どう考えても原発の発電コストが安いだなんて言えませんよね。
そして、もはやそれが明らかになっているのに、原発という発電システムを続けるためには形振り構わなくなっている国と電力会社・・・。もはや目的と手段が完全に入れ替わっておりますね。まるで太平洋戦争末期に行われた航空特攻を髣髴させます。
閑話休題
この1年、県内のローカルニュースでは、東電の姉川常務の顔を見る機会が本当に多かったのですが、それに対し、某マムちゃん風の毒舌を。
「なんだよ、木彫りの絶叫人形みたいな顔しやがって!」(爆)
●原発再稼働の地元同意
立地自治体のみ妥当2割
30キロ圏アンケート
原発再稼働の手続きについて、対象を九州電力川内原発の立地自治体の鹿児島県と薩摩川内市に限定した「川内方式」を「妥当」としたのは、全国の原発の半径30キロ圏に入る自治体のうち、約2割の35自治体にとどまることが4日、共同通信のアンケートで分かった。
本県での調査対象は県、柏崎市、刈羽村、長岡市、小千谷市、十日町市、見附市、上越市、出雲崎町の10自治体。「川内方式」には小千谷市と出雲崎町が「どちらかといえば妥当」、見附市が「どちらかといえば妥当ではない」と回答した。他の6自治体は「分からない」または「その他・無回答」。
政府は他の原発の手続きも「川内原発の対応が基本的」(管良義偉官房長官)としているが、3割強の55自治体が「妥当でない」と回答。立地以外の自治体も事故時に被害が及ぶ恐れがあり、同意手続きに加われないことへの不満が強いことが浮き彫りになった。
同意を求める地元の範囲も、事故時の避難計画を策定する必要がある「30キロ圏の自治体」(42自治体)との回答が「立地自治体のみ」(29自治体)を上回った。本県では「立地自治体のみ」が小千谷市、十日町市、燕市、出雲崎町。6自治体は「その他・無回答」
また原子力規制委員会の審査に合格した原発の再稼働に関し「容認する」と「条件付きで容認する」は計36自治体と約2割にとどまった。本県では出雲崎町だけが「条件付きで容認」。他の自治体は「判断できない」や「その他・無回答」。
川内原発の地元同意は、薩摩川内市議会、市長、鹿児島県議会、知事の順で了承。手続きは比較的順調に進み、今春以降の再稼働が見込まれる。
アンケートは昨年11月の鹿児島県知事の同意表明後、年末にかけて実施。建設中の電源開発大間原発(青森県)も含め、各原発の30キロ圏に入る21道府県と139市町村を対象にした。
●40年超運転 賛成1割
原発自治体アンケート
原発の30キロ圏の160自治体に対するアンケートで、運転開始から40年を経過した原発について、原子力規制委員会が運転延長を認めた場合に「運転しても構わない」と23自治体と1割強にとどまった。また再処理工場などの運転開始まで、使用済み核燃料を原発敷地内で「中間貯蔵」する手法も「容認」は30自治体と2割弱だった。
原発の運転期間は、福島の事故後の法改正で原則40年に制限されたが、規制委の厳しい審査を通ると、最大20年の延長が認められる。審査合格後「運転しても構わない」が12自治体、「どちらかといえば構わない」が11自治体に対し、「好ましくない」(29自治体)と「どちらかといえば好ましくない」(27自治体)が計56自治体で、否定的な意見が上回った。本県では見附市が「どちらかといえば好ましくない」。他自治体は「その他・無回答」。
関西電力は高浜原発1、2号機(福井県)の運転延長を申請する方針で、立地自治体の高浜町は「構わない」と回答したが、周辺の宮津市など京都府の6市町は「好ましくない」や「どちらかといえば好ましくない」と答えた。
仕様済み燃料の敷地内での中間貯蔵は「容認」が6自治体、「どちらかといえば容認」が24自治体に対し、「容認しない」(22自治体)と「どちらかといえば容認しない」(8自治体)も合せると計30自治体だった。本県では県と刈羽村が「容認しない」で、8自治体が「その他・無回答」だった。
●柏崎原発再稼働
「県技術委の検証が先」
泉田裕彦知事は5日の年頭会見で、ことし原子力規制委員会による審査がヤマ場を迎えるとみられる東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題について「(福島第1原発事故で)東電内で誰がどういう判断をして、なぜうまくいかなかったのかを総括していない。引き続き県技術委員会で検証してもらうのが先決だ」と述べ、再稼働の議論に応じない姿勢をあらためて示した。
知事は柏崎刈羽原発の再稼動についてこれまでも「福島事故の検証と総括なくして議論しない」と述べており、県議技術委が検証を進めている。
知事は技術委の検証作業について「関係者の証言で徐々に明らかになっている」とした上で「ハードに偏らない(事故対応の)マネジメントや法制度などを(技術委で)しっかり見ていく必要がある」と語った。
また、国の事故時の対策が不十分だとして「(放射性物質が放出され)高線量下で作業を強いられる場合はどう対応するのかや、避難をどうするのかというのは、およそ先送り感がある」と指摘した。
6日に東電の広瀬直己社長が県庁を訪れることについては「定例の(年頭の)あいさつと受け止めている」と述べた。
●知事、再稼働議論に応じず
東電社長 1年ぶり会談
柏崎、刈羽でも面談
東京電力の広瀬直己社長は6日来県し、泉田裕彦知事、会田洋・柏崎市長、品田宏夫・刈羽村長とそれぞれ会談。柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働を前提とした原子力規制委員会の審査状況を報告した。県庁では知事が「福島第1原発事故の原因究明をしっかりやるのが第一歩」と述べ、再稼働の議論に応じない姿勢をあらためて強調。政府事故調査・検証委員会での東電関係者の調書が一部しか公開されていないことを挙げ、「原因究明に後ろ向きで極めて残念だ」と批判した。
広瀬社長と3首長との面談は2014年1月以来、1年ぶり。
知事との会談で広瀬社長は、住民向け説明会を今月22、23の両日、柏崎市と刈羽村で開くことを説明。「県民に原発の中を見てもらい、懸念があれば説明したい」と述べた。
知事は福島事故の検証が先だとした上で「(事故時に)初歩的ミスをいくつも起こした。設備をいかにうまく動かしても、人や組織の問題がクリアされないとトラブルは起きる」と指摘。「東電関係者が政府事故調の調書の公開に応じていない。それすらせずに信頼を得られるかは疑問だ」と批判し、社長命令で公開するよう求めた。
これに対し広瀬社長は「(社員に)ああしろこうしろと言う立場にはない」と主張し、議論はかみ合わなかった。
さらに知事は、事故に関する社内処分をすべきだとし「社内のけじめをつけていない。東電に過失はなかったのか」と強く迫った。
また、昨年12月に津南町で起きた東電の水力発電所導水路からの水漏れ問題について、広瀬社長は「原因を究明し再発防止策をとりたい。ご迷惑をおかけして申し訳ない」と謝罪した。
柏崎市役所での会談では会田市長が「規制基準に適合するのは当然だが、基準をクリアすればいいということではなく、より安全を高める取り組みを」と注文した。
刈羽村役場では、原発推進の立場を表明している品田村長が「夏ごろには(再稼働への)目鼻を付けてもらいたい」と求めた。
会田市長との面談後、報道陣の取材に応じた広瀬社長は再稼働の時期について「われわれは審査を受ける側なので、申し上げる立場にない」と話した。
●主張平行線 溝なお深く
東電社長と会談
知事「原因究明を」
「とても信頼できる組織にはならない」。1年ぶりに会談した東京電力の広瀬直己社長に対し、泉田裕彦知事は不信感をあらわにした。柏崎刈羽原発の審査や県民への理解活動を説明しようとする広瀬社長と、福島第1原発事故の調書公開などを求める知事の主張は平行線で、溝の深さを再び印象づける結果となった。
17分間の会談はすべて公開された。穏やかだったのは新年のあいさつを交わし、冒頭に広瀬社長が水力発電所の水漏れや柏崎刈羽原発の現状などを述べたところまでだった。
知事は水漏れについて社長が「原因を究明したい」と述べたことを引き合いに福島原発事故に話題を向け、「原因究明に後ろ向きだ」と批判。「(柏崎刈羽原発の)安全性を議論するスタートラインに着けない」として東電関係者の事故調書公開を再三求めたが、社長は「公開は個々の判断」とするにとどめた。
知事は最後、おもむろに懐から紙を取り出し、「メルトダウンの隠蔽は誰の指示か」「海水注入のちゅうちょ、淡水注入の優先を決定した責任の所在は」「ベント実施を住民に周知することなく行ったのは誰の判断、責任か」などと疑問点を読み上げ、検証するようくぎを刺した。関係改善の兆しは見られなかった。
●「再稼働は安定経営への道」
必要性を強調 本紙に東電社長
東京電力の広瀬直己社長が6日、 新潟日報者の取材に応じ、東電柏崎刈羽原発の再稼働が電力の安定供給だけでなく、東電再生のためにも欠かせないことを強調した。東電が経営を安定させ、競争力を付ける必要性を説明し「柏崎が動くことが、その(経営安定の)方向に進められる道」と話した。
東電の経営をめぐっては、泉田裕彦知事が「安全よりお金を優先した」と不信感を示したこともある。会社を守るために再稼働を進めると受け取られれば、県民の反発を招きそうだ。
東電の数土文夫会長は昨年12月の会見で、東電が深刻な現金不足に陥る懸念を表明している。広瀬氏は「金融機関に(再稼働の見通しを)説明しないとお金を貸してもらえないのも現実だ」と明かした。
経営課題としては、2016年に電力小売りが全面自由化され、消費者が電力会社を自由に選べるようになることへの対応を挙げた。「誰かが東電の代わりをやるのは無理。安定経営をしてわれわれが競争に勝たなければならない」と 述べた。
地元から再稼働への理解を得るため、原発からの距離にかかわらず安全対策などを説明する考えも示した。ただ、自治体、議会から同意を得る範囲については「柏崎市と刈羽村の同意なくして(再稼働に)踏み切ることは考えにくい」としたが、そのほかの周辺自治体を含めるかは「はっきりと言える段階にない。その場その場で考えたい」と回答を避けた。
一方、原発事故から4年近いにもかかわらず、本県でも約4千人が暮らす福島県からの避難者への対応については「(福島県での)雇用などの環境整備を国や福島県などと協力しながら進めていきたい」と述べ、事故当事者として帰還を前提とした支援を行う考えを示した。
ただ、避難者の中には放射線が健康に及ぼす影響を懸念し、「原発事故前の線量にならないと戻ることは不安」と考え帰還をためらっている人は多い。帰還を念頭に置く東電トップの考えと避難者との認識の違いが明らかになった。
国の避難指示がない自主避難者も本県に約1800人いるが「(避難は)個人の選択だが、自主避難者の地元の状況が改善されていることを発信していかなければいけない」とした。
避難者の意見を直接聞く場を設けることについては「難しい」とし「ホームページに電話番号を公開し、アクセスできるようになっているので活用してほしい」と述べるにとどまった。
●IAEA、柏崎原発調査へ
6、7号機の安全性を評価
経済産業省は7日、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機で、国際原子力機関(IAEA)の運転安全評価チームによる調査が実施されることが決まったと発表した。近く準備会合を開き、具体的な実施時期を決める。
同チームは原発などの安全性向上のため、加盟国の要請を受けてIAEAが派遣。国際的な基準に照らして安全対策などを評価し助言する。
東電は2013年9月、柏崎刈羽6、7号機の再稼働を目指し原子力規制委員会に新規制基準への適合審査を申請した。しかし過酷事故を起こした福島第1原発と同じ沸騰水型原発で、審査には時間がかかりそうだ。
経産省は今回の調査について「審査と直接の関係はない」としている。調査では福島第1原発事故を踏まえた各対策がどう実施されているかが焦点となる。
経産省によると、福島第1原発事故以降、同チームの調査が国内で実施されるのは初めて。昨年、経産相が各事業者に受け入れを呼び掛けたところ東電が応じたという。
柏崎刈羽原発は東電のトラブル隠し発覚後の2004年と06年にIAEAの安全調査を受けている。福島第1原発を受け、13年3月に調査を予定していたが、原子力規制委員会の新規制基準が策定中だったので延期を発表していた。
東電は「国際的な知見や経験に基づいた評価をいただき、安全対策のさらなる改善を図りたい」とのコメントを出した。
また、IAEAの調査団が2月中旬、福島第1原発の廃炉作業を検証することも決まった。13年11〜12月に続き3回目となる。
・・・ようは、政府や規制委、東電の言う事などイマイチ国民に信用されていないから、ここで国際的(この呼び名に日本人は弱いのですよねぇ(苦笑))機関のお墨付きをもらって、一気に再稼働に持っていきたい・・・という事なのでしょうね。
ただ、政府や東電は、ハード面に関してIAEAのお墨付きを得れば、なんとか国民を騙せるだろうと踏んでいるみたいですが、それ以外の、避難計画などのソフト面は全然対策が得られていないしていないと思うのですけど。
あと何よりも、福1事故により明らかになった政府と財界の胡散臭さすぎる暗黒面に、国民が気付いてしまった事には、何の考慮もしていないみたいですね。
すべてを地震と津波のせいにして、関係者が誰も裁かれないなんて、怪しさ大爆発過ぎますよね。ただエネルギー政策と東電の経営問題だけ声高に叫んでいれば何とかなると思ったら大間違いです。
●「IAEAと考え共有を」
柏崎原発所長
受け入れ目的説明
東京電力柏崎刈羽原発の横村忠幸所長は8日、手入れ会見で同原発6、7号機が国際原子力機関(IAEA)による運転安全評価を受けることについて「福島第1原発事故後にとった安全対策を紹介し、IAEAと考えを共有したい」と目的を語った。
6、7号機は現在、再稼働に向けて原子力規制委員会から新規制基準に適合しているかの審査を受けている。
横村所長は、調査の実施時期や調査団の規模、内容については今後、IAEA側と協議して決める考えをあらためて示した上で「運転中、停止中の状態にかかわらず組織や設備、運用を見てもらいたい」と話した。
IAEAによる調査は経済産業省が7日に発表した。IAEA加盟各国の専門家による調査団が発電所に駐在し、発電所の活動を評価するもので、東電が受け入れを希望した。横村所長は「評価ミッションを通じて国内だけでなく国際的な対策を知り、安全対策につなげたい」と説明した。
同原発の敷地内外で行っている断層調査については、これまでボーリングなどの作業は1月中にも終了するとの見通しを示していたが、「もう少し時間がかかる」とし、明確な終了時期は見通せないとした。
・・・やっぱり、国際的(笑)機関のお墨付きを得る事で・・・ということですね。
●福島事故のベント
2回目以降連絡なし
県技術委会合
東京電力柏崎刈羽原発の安全性を検証する県技術委員会は8日、東電福島第1原発事故の課題別会合を県庁で開いた。原子炉格納容器の圧力を下げるために放射性物質を含む蒸気を外部に放出する緊急措置「ベント」をむぐり議論。東電は初回のベントは国に連絡したが、2回目以降は連絡せず繰り返し行ったと説明した。
会合は非公開。東電によると、事故後に1号機で1回、3号機で計9回のベントをした。1、3号機の1回目のベントは法律に基づき国に連絡した。しかし3号機の2回目以降は連絡せず繰り返しベントをした。
当時は連絡義務がなかったのが、現在はベントのたびに通報が義務づけられているという。
終了後、東電の五十嵐信二・原子力運営管理部長は「現場が混乱し、ベントがうまくいかず何回もやった。その都度連絡しなかった。反省点だった」と説明した。委員の三上喜貴・長岡技術科学大副学長は「ベントは住民に多大な影響を与えるので毎回通報すべきだった。当時の法律も不十分だった」と述べた。
・・・当時の法的には裁かれないからと、東電も今更しれっと凄い事を言っておりますね(怒)。
だから、ハード面の充実をだけを掲げて再稼働を主張しても、国民的には理解されませんよ。それを動かしている会社自体が「人間のクズ」なのですから。
結局、「社益(と国益)のためには地元住民には捨石になってもらおう」としか思っていないのでしょう。
本当に再稼働したいのなら、かつての身内を切り捨ててのける位の気概を見せろってんだ。
結局国が守ってくれるから(というか、守ってくれるように、国に圧力かけているのでしょうけど)と、それに甘えているだけじゃないか!
●柏崎原発で事故なら県民にも責任
小説「東京ブラックアウト」
著者・若杉冽さんに聞く
日本の政官財が原発再稼働に突き進む姿や、原発事故がもたらす悲劇を描いた小説「東京ブラックアウト」(講談社)を昨年末に出版した現役官僚の若杉冽さんが11日までに、新潟日報社のインタビューに応じた。若杉さんは現在国が進めている東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働について、「安全性の神話が崩壊したのに再稼働を容認するなら、事故が発生した場合は新潟県民が責任の一端を問われることになる」と訴えた。
「若杉冽」はペンネームで、公表している経歴は「東大法学部卒、国家公務員T種試験合格、霞が関の省庁勤務」だけ。柏崎刈羽原発や本県関係者をモデルにした前作「原発ホワイトアウト」はベストセラーになった。
新作「東京−」は、柏崎刈羽がモデルの原発が重大事故を起こし、周辺地域や首都圏に甚大な被害をもたらすストーリー。
若杉さんは「新潟県で原発事故が起きれば、放射性プルーム(雲)の行方しだいで被害は新潟にとどまらず、首都圏にも及びかねない。柏崎刈羽の再稼働は、地元自治体が同意すれば容認されるというものではない」と強調。再稼働を判断する前提条件として、同原発で事故が起きた場合、放射能による被害を受ける可能性がある東京など大都市住民の同意を得る必要性があると指摘した。
●政府、避難計画より再稼働
若杉冽さん一問一答
霞が関の役人は地方軽視
地元、納得いくまで考えて
1月上旬の東京都内。窓の外はすっかり暗くなっていた。現役官僚の覆面作家、若杉冽さんは午後6時すぎ、待ち合わせ場所に現れた。伏し目がちに部屋に入り、黒っぽいコートを素早く脱いだ。レコーダーなどで音声を記録することはやめてほしいと話した。「新潟県民には失礼なことを言うことになるが、反発されたとしても、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働についての議論が深まれば、それでいい」。若杉さんは淡々とした口調で語り始めた。
(報道部・仲屋淳)
−「東京ブラックアウト」には避難計画をめぐり、政府と自治体、さらには政府内部で責任を押しつけ合う様子が描かれています。
「政府にとっては避難計画より再稼働が大切だ。避難計画を議論するあまり、再稼働が進まないようでは『本末転倒』というのが本音。避難計画の策定は、再稼働を進めるためのアリバイにすぎない。政府からすれば、適当なところで住民が避難計画に納得してくれないと再稼働ができない。それが一番困る
「しかし建前では、国と地方は少なくとも法律上は対等だ。国からの脅しに屈することなく、新潟県は納得するがいくまで避難計画の充実を求めるべきだ」
−作品には中央官僚の胸のうちが赤裸々に記されています。
「再稼働を進めることについて良心の痛みを感じている役人もそれなりに存在するが、電力会社から便宜供与を受けている政治家と、それにおもねる省庁幹部の意向を忖度し、結局は電力会社の意向が国政を左右する」
−昨年末、原発が再稼働した立地自治体に電源三法交付金を重点配分することを経済産業省が検討していることが分かりました。「難問はカネで解決」というのが霞が関の基本姿勢なのでしょうか。
「霞が関の役所が政策を実行するときに何をするのか。法律で規制をかけるか、カネを出すかとなる。地域で生きる人のプライド、誇りなどは考慮しない。国の役人は地方を非常に軽視している」
「官僚は頼み事をするときは慇懃だが、結局はカネさえ与えれば地方は言うことを聞くだろうと考えている。そのことを多くの新潟県民に知ってもらいたいし、気づいてほしい」
−東京に電気を送る柏崎刈羽原発の再稼働についてどう考えますか。
「新潟県民が再稼働を容認した場合は、仮に福島第1原発のような事故が今後起きたとしても、もはや同情の余地はない。福島県民は過去の「安全神話」にだまされていたと言える。しかし、神話が崩壊したにもかかわらず再稼働を容認するならば、新潟県民は原発事故の責任の一端を問われることになるだろう」
「新潟に事故が起こっても、もう国を挙げて『新潟復興』ということにはならない。日本の国力もパワーは残っていないだろう」
−柏崎刈羽原発の再稼働を容認するのなら、事故が起きれば自己責任だと。
「新潟県民には厳しい言い方になり申し訳ないが、国民感情としても『新潟県民は目先のカネに目がくらんで再稼働を容認したのだから、自業自得だ』という声が強まるはずだ」
「原発から電力を供給することで、新潟県民は中央に貢献していると考えているだろうが、事故後も東京の住民は『電気のふるさと』には無関心。もう東京のことをおもんぱかる『お人よし』はやめた方がいい」
−「福島事故の検証が先。再稼働の話はしない」と繰り返す泉田裕彦知事をどうみてますか。
「泉田知事が県民の安全を厳しく要求する限りは、政府と東電にとって『目の上のたんこぶ』となり続けるだろう。スキャンダルなどを仕組まれて、知事が失脚してしまうことを私は本気で心配している」
・・・時間がないので引用はいったんここで打ち切りますが、この記事の続きはまだありますので、また後で。
しかし、若杉氏が言っている事って、日頃ここで私が喚いている事とほぼ一致してますやん(汗)。
※現役官僚である覆面作家、若杉冽氏へのインタビュー記事の続きです。
・原発政策、事故前に回帰へ
−昨年の衆院選で大勝した安倍政権の原子力政策はどうなると予測しますか。
「福島事故に対する国民の記憶が薄れていくペースに合せて、事故前の原子力政策を復元させていくだろう。九州電力川内原発を統一地方選挙前に再稼働させ、ほかの原発は統一選後、集団的自衛権関連立法の審議で世の中が大騒ぎになっている裏で粛々と進めるはずだ」
−政府は原発から出る「核のごみ」の最終処分場の選定を進めています。
「原発を推進する限りは『核のごみ』の問題に直面し続ける。政府は使用済み核燃料を再処理する核燃料サイクルにも取り組んでいるが、実現性は低く、やめたいのが本音だ。そのため血眼になって最終処分場の候補地を探している」
−金属性の容器に使用済み核燃料を収容し、原発敷地内で保管する「乾式貯蔵」の案も浮上しています。
「乾式貯蔵を受け入れたら、原発敷地内に未来永劫『核のごみ』が置かれることになる。これは間違いない」
−地域経済の活性化には原発は必要という声があります。
「原発は、再生可能エネルギーや超電導などが実用化されるまでの過渡的な技術だ。原発で地域経済が活性化するというのは一時的なことにすぎない」
・・・以上、ここまでが若杉氏へのインタビューでした。
続いて、同じ枠内に掲載されていた、柏崎刈羽原発の避難計画に関する新潟日報の説明記事です。
・策定済み自治体
柏崎と刈羽だけ
「東京ブラックアウト」では、重大事故の際の避難計画がストーリーの重要な背景として描かれている。
東京電力福島第1原発事故後、国は原発から半径30キロ圏の自治体に避難計画の策定を義務づけた。本県で対象となるのは9市町村。東電柏崎刈羽原発が立地する柏崎市と刈羽村をはじめ、長岡、上越、小千谷、十日町、見附、燕の6市と出雲崎町で、30キロ圏の総人口は約47万人だ。
県内全30市町村でつくる「原子力安全対策に関する研究会」の事務局を務める長岡市によると、本県で策定を終えたのは柏崎市と刈羽村の2自治体にとどまっている。
県内のある自治体担当者は計画策定が遅れている理由を「市町村が単独で決定できないことが多い」などと打ち明ける。
国は自治体に対し、避難計画を策定する上で、参考となる情報を提供するなどの支援はしているが、自治体が策定する計画の妥当性を審査する国の機関はない。
●「東電は二枚舌」
知事 柏崎原発再稼働で批判
泉田裕彦知事は14日の記者会見で、東京電力の広瀬直己社長との柏崎刈羽原発をめぐる6日の会談について、東電が6、7号機の再稼働に向けて話を進めているとして「本心を隠して二枚舌で進めていくという印象が強い」と批判した。
会談で、広瀬社長は柏崎刈羽原発の再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査状況や、県民への理解活動などを説明した。知事は「(東電は)もともと第三者の目を入れて安全を確保したいという理由で規制委に審査申請をしたが、(会談では)再稼働へ向けての説明をされた。最初に県に説明した趣旨と違ってきているのではないか」と主張。東電福島第1原発事故の「原因究明が先だ」と述べ、政府事故調査・検証委員会での東電関係者の調書を社長命令ですべて公開するように求めた。
また、東電湯沢発電所タービン建屋の屋根が崩落した事故について、除雪体制に不備などを指摘し、「管理体制、組織としての管理能力に疑問符がつく」と批判。福島事故の対応でも「現場が危険と思ってもお金が絡むとストップがかかる会社の体制になっている」として、「崩落事故も同じ根を持って起きているのではという疑問は消えない。組織、運営、管理体制などをしっかり検証する必要がある」と強調した。
・・・ちなみに知事が記事の中で触れていた湯沢発電所の屋根崩落についてはこちらを参考にしてください。
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20150110156267.html
まぁ、東電の事ですから、「これも今わが社に金がないのが一因なので、そのためにもいち早く柏崎刈羽の再稼働を!」と、いけしゃあしゃあと言い出しそうで怖いです(苦笑)。
しっかし、東電も国も1年前、2年前には自分達がどう言っていたかも忘れているのですかねぇ?色々と簡単に記録できる今の時代、しらを切るなんてできないのに。
●「信頼は地に落ちた」
知事、原子力規制委を批判
泉田裕彦知事は21日の記者会見で、原子力規制委員会の田中俊一委員長が知事との面談に応じず、地方の意見を無視しているとして「なぜ電力会社と意見交換して、地方自治体とはしないのか。規制委に寄せられる信頼は地に落ちている」と批判した。
知事は以前から田中委員長との面談を要望しており、19日にも国の指針見直しなどを要請するためあらためて申し入れをしている。知事は「なぜ現場の(トップ)とは意見交換しないのか全く説明されていない。規制委は機能不全の状況ではないか。見直して国民から信頼される機関になるべきだ」と述べた。
また、規制委が原発の施設しか審査していないとして「原子力の安全利用を確保するための組織なので、本来であれば安定ヨウ素剤をどう(配布)するかや副作用のリスクをどうするかを(関係省庁に)勧告すべきだ」と主張した。
その上で、委員に地方自治の現状に詳しい専門家を入れるべきだと訴えた。
一方、田中委員長は21日の記者会見で「指針や規制基準がおかしいという話になると、泉田さんと会ったからといって必ずしも前進するかどうかは判断できない」と述べ、あらためて面談に消極的な姿勢を示した。田中委員長は福島県知事とは会談している。
今日の読売新聞朝刊新潟版より
●不協和音 知事と規制委
(前略)
一方の田中委員長は同日の記者会見で、「絶対会わないなんて言っていないが、都道府県知事の中で彼だけがさかんに(会いたいと)言っている」「自分の言う通りにならないから『おかしい』と言うのは勝手だが・・・・・・」などと不快感を示した上で、「会ったから何か前進することがあるのかどうか、現段階では何とも判断できない」と語った。
●柏崎原発再稼働
十分な避難計画前提
東電住民説明会 常務が認識示す
東京電力は22日、柏崎市の産業文化会館で、柏崎刈羽原発6、7号機に対する新規制基準への適合審査の状況について住民説明会を開いた。姉川尚史常務は参加者の質問に答える形で「自治体が避難計画は十分でないと考えるなら、原発を再稼働すべきではない」との認識を示した。
住民説明会は、東電が適合審査に申請する方針を示した2013年8月以来で、原子力規制委員会による審査上場を報告するのは初めて。22日午後に柏崎市議会で説明したほか、23日には刈羽村でも説明する。
ことしは九州電力川内原発(鹿児島県)、関西電力高浜原発(福井県)で運転が再開される見通し。東電も広瀬直己社長が6日に来県した際、柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働に向け、住民の理解を得る活動を積極的に進めていく考えを示している。
柏崎市の住民説明会には市内外から約140人が参加。東電から姉川常務ら8人が出席し、項目別に審査状況やポイント、今後の方針などを示した。
原発から半径30キロ圏内に含まれる自治体からの参加者も目立ち「再稼働の際、立地自治体以外には同意を求めないのか」など、東電の事業者としての姿勢にも質問が出た。福島県浪江町から柏崎市に避難している男性(47)は「まだ福島に帰れない状態が続いているのに、なぜ別の原発を再稼働しようとするのか」とただした。
説明会で示した避難計画に対する認識について、姉川常務は説明会終了後の取材に対し「自治体が不十分と思う状態で避難計画を策定することはないと思う。避難計画が策定されていなければ、法令上、原発を動かせないという意味だ」と話した。
NHK新潟放送局のニュースサイトより
●柏崎市議会で東電「再稼動を」
東京電力は、原子力規制委員会が行っている柏崎刈羽原子力発電所の安全審査の状況について地元の柏崎市議会で説明し、再稼働への理解を求めました。
東京電力の姉川尚史常務らは柏崎市議会の全員協議会に出席し、現在原子力規制委員会が行っている柏崎刈羽原発の安全審査の状況を説明しました。
このなかでは、原発の敷地内の断層は「活断層」ではないことや、重大事故への対策が新しい規制基準に適合していることを、規制委員会に示しているなどと説明したうえで、原発事故を教訓に日々安全性の向上を図っているとして再稼働への理解を求めました。
これに対し発言を求めた議員からは「福島の事故の原因がはっきりしていないのに現実に即した安全対策が取れるはずがない」といった原発の運転再開に難色が示す意見が相次いで出されていました。
姉川常務は、「反対が多い自治体がひとつでもあれば再稼働は難しいと考えている」と述べて、あくまでも地元の同意を得られるように努めていく考えを示していました。
東京電力は23日、刈羽村の村議会でも説明を行うことにしています。
01月22日 17時27分
それは、
・福1事故の教訓を元に、更なる多重の安全対策を施しまして、あれだけの事故は2度と起き得ませんので、地元住民の皆様は安心して再稼働に同意して欲しい。
というのか?それとも、
・色々な安全対策は施すが、絶対に事故が起きないとは断言できないので、地元住民の皆様は、いざと言う際にはそこが事実上消滅する事も覚悟した上で、日本の国益、東電の社益のために、腹をくくって再稼働に同意して欲しい。
とでもいうのですかねぇ?
どちらにせよ、ちょっと考えれば、国や東電や読売の言っている事ってそういう事としか思えないのですが。でも、三者とも人非人の謗りを受けたくないのか、極めて曖昧な言い方しかしませんよね。
まぁどちらにせよ、地元住民を舐めきった考え方であるのは変わりませんけど。
●福島原発汚染水
廃炉へ確実な処理が急務
汚染水処理の遅れは廃炉作業に支障を来す。東京電力と国には、確実に処理を進められるよう全力を挙げてほしい。
福島第1原発構内のタンクに保管している高濃度汚染水について東京電力は、目標としていた年度内の全量浄化処理を断念した。
トラブル続きが原因である。原発事故から間もなく4年がたつ。地下水が建屋に流れ込むなどして、毎日約400トンが新たに発生している汚染水処理の難しさをあらためて示したといえよう。
東電が期限を設けたのは、安倍晋三首相が第1原発を視察した2013年9月のことだ。
20年東京五輪招致活動の最終段階にあり、国際的に汚染水問題が注目されたことを受けての設定だったといえる。
直前の8月には、タンクから約300トンの高濃度汚染水が漏れていたことが判明していた。どこまで期限の根拠があったのか、疑問と言わざるを得ない。
第1原発構内のタンクには約27万トンの汚染水が保管されている。
東電は当初、汚染水からトリチウム以外の62種類の放射性物質を取り除く多核種除去設備(ALPS)で浄化処理を進めた。
昨年には増設ALPSと高性能ALPSを設置した。だがトラブルの頻発で、稼働率は6割程度にすぎない。いかに稼働率を上げるかが問われよう。
高濃度汚染水をタンクで保管することによるリスクを低減させようと、汚染水に最も多く含まれるストロンチウムだけを除去する装置も投入した。
ただ、この装置でストロンチウムを除去しても、いずれALPSで処理しなければならない。
東電は現状のペースで処理を続ければ、5月中に浄化処理が完了するとの見通しを示している。
予定通りに進んだとしても、ALPSで処理した後のトリチウムを含んだ水をどうするかという問題が残る。扱いがまだ決まっていないからだ。
原子力規制委員会の田中俊一委員長は希釈して海洋放出することを主張するが、風評被害への地元漁業者の懸念は強い。慎重な対応が求められよう。
汚染水を根本的に解決するには、建屋への地下水の流入を防ぐことが不可欠といえる。
鍵を握るのが、既に実施している、建屋流入前の地下水をくみ上げて海洋放出する「地下水バイパス」と、3月末までの運用を目指す「凍土遮水壁」だ。
凍土遮水壁は、1〜4号機建屋周囲の地盤を凍らせて地下水の流入を遮断し、汚染水が増えるのを食い止める。
「国が前面に立つ」として国費を300億円以上投入するが、前例のない大規模工事であり、世界初の試みだ。どこまで効果を上げるかは未知数と言っていい。
特定の対策に固執するだけでなく、あらゆる知見を結集して対処することが急務だ。
汚染水処理にめどが付いたとしても、溶け出た大量の核燃料取り出しというさらなる難題が待ち受けている。
・・・まぁ、汚染水の処理やら核燃料の取出しやらが終了するまで、日本という国が果たして無事でいられるかどうかですね。
地震などの天変地異もそうですが、今後国内でのテロが発生する確率が桁違いに跳ね上がってしまいましたから。
原発、それも収束作業中の福1が狙われないと誰が保証できるのでしょうか?当然今後の原発テロの可能性が上がったということは、そう遠くないところに柏崎刈羽原発がある私自身の安全も危なくなってきたわけで。「東京ブラックアウト」さながらの事態なんて勘弁してくださいよ(汗)。
まぁ原発だけではなく、今後は首都東京でテロが発生する確率も段違いに高くなりましたしね。
ただでさえ福1事故のフォールアウトにより汚染され、ほぼ毎年発生している数センチの降雪にすらまともに対応できず、しかも今後テロに巻き込まれる可能性も上がった。
やはり東京へは行くべきではないですね(笑)
●柏崎原発
市、地下ベント事前了解
柏崎市の会田洋市長は4日の定例会見で、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機に増設する地下式のフィルター付きベント設備について、安全協定に基づき事前了解したと発表した。了解は3日付。会田市長は「設備が原発の安全性と信頼性を向上するものであることが確認できた」と述べた。
フィルター付きベントは、過酷事故の際に原子炉格納容器の破損を防ぐため、蒸気をフィルターを通して放出する装置。
東電は泉田裕彦知事の指摘を受け「地上式」に加えて地下への設置を決め、2013年12月、県、柏崎市、刈羽村に事前了解を求めていた。刈羽村は14年2月に了解している。
柏崎市では先月22日、東電が審査状況を市民や市議会に説明した。会田市長は翌23日に原子力規制庁を訪問して「フィルター付ベントの有効性が確認できた」とし、これを踏まえて今回の事前了解となった。
柏崎市は3日、市役所で内山保明・危機管理官が同原発の宗一誠副所長に文書を手渡した。市は@審査で新規制基準への適合が確認されることA申請内容や審査の過程と結果を市民に伝えることB運用方法について住民避難計画との整合性を図るため市や関係機関と十分協議すること−との条件を付けた。
県は地上式と地下式のどちらのベントにも事前了解しておらず、県技術委員会が避難計画との整合性などを検証している。
県原子力安全対策課の須貝幸子課長は「現段階で事前了解するともしないとも言えない。検証を踏まえて対応したい」としている。
東電の広瀬直己社長は「具体的な運用について、国や自治体のみなさまと十分に調整させていただきます」とのコメントを出した。
●柏崎原発 市、地下ベント事前了解
県対応 技術委検証が鍵
柏崎市が4日、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の地下式のフィルター付きベント設備の建設について事前了解したと発表した。これで東電は地上式、地下式とも柏崎市と刈羽村の事前了解を得たことになる。今後は了解していない県の対応が焦点となるが、ベントで放出される放射性物質の影響などについての検証が長引いており、先行きは見通せない。
ベント設備は重大事故時に放射性物質を含む蒸気を外部に放出する装置。泉田裕彦知事が地上式ベント設備の安全性に強い懸念を示したことを受け、東電が地下式も建設することを決めた経緯がある。
東電は2013年9月、最稼働に向け原子力規制委員会の適合審査を申請するに当たり、ベント設備の建設について安全協定に基づく事前了解を県に求めた。しかし県はベント操作で住民が被ばくする可能性があるため了解を先送りし、今後の県との協議後に修正することなどを条件に審査申請は承認していた。
今後、県が正式に了解するかどうかは県技術委員会の検証作業が鍵を握る。
県技術委は知事の要請を受け、ベントが住民避難に与える影響について13年12月から議論を開始。事故の程度に応じた放射性物質の拡散予測をする予定だが、東電が設定したシナリオに委員から異論が出るなどして議論はストップしている。
避難計画についても作成したのは柏崎市と刈羽村だけ。作成を求められている他の原発から30キロ圏内の自治体はまだで、議論の前提条件も整っていない。
泉田知事は4日、「放射性物質を薄めるとはいえ外部に放出する設備であり、避難計画との整合性がとれるのかについて県技術委で検討いただいている」とのコメントを出し、議論を見守る姿勢を示した。
今日の読売新聞朝刊新潟版より
●柏崎市 地下式ベント承認
条件付き 「有効性確認できた」
(前略)
地下式施設は県の技術委員会での議論が済んでいないが、会田市長は「県は(地下式設備を設置するという)条件付きで(安全審査申請を)承認した。すでに認めているというふうに受け止めている」と述べ、県に先んじた了解には当たらないという考えを示した。
(後略)
●IAEA 6月下旬から調査
柏崎原発 安全対策を評価
国際原子力機関(IAEA)は5日、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機を対象とした運転安全評価チームによる調査を6月29日〜7月13日に実施することを決めた。IAEAのメンバーに外部の専門かも加えた10〜12人程度のチームになる。福島第1原発事故を受けた安全対策や緊急時対応などついて評価し報告書をまとめる。
調査に先立つ準備会合が2日に東京都内の東電本店で、3〜5日に柏崎刈羽原発で開かれていた。IAEAからは英国人でチームリーダーのピーター・タレン氏ら2人が参加、調査項目の調整などを話し合った。原子炉建屋内で現場を確認したほか、非常用の発電設備の様子などを視察した。
5日の会合でタレン氏は「大変、生産性のある時間がすごせた。本番を楽しみにしている」と講評した。
6月からの調査では、原発の管理・運営や運転、保守の体制、過酷事故対応などを総合的に評価、助言する。今回は東電からの要望で、緊急時に備えた電源確保や原子炉の冷却など安全対策に力を入れて調査する。調査後、約3カ月後に最終報告書がまとまる予定だ。
柏崎刈羽原発で安全運転評価チームの調査が行われるのは2004年11月以来で2回目。福島事故意向、国内の原発では初となる。
・・・ということは、この先どんなに早くても今年の秋まで、柏崎刈羽の再稼働はあり得ないという事ですか。
●原発事故対応 法整備を
県、規制委などに要望書
県は6日、原子力規制委員会などに対し、原発事故時に自治体職員や民間業者が高い放射線量下で災害対応に当たる場合の課題を解決するよう要望した。
県の坂井康一危機管理監が規制委と厚生労働省、防衛省、内閣府に要望書を提出した。
要望書には、昨年11月に県などが実施した原子力防災訓練で浮き彫りになった課題を踏まえた6項目を盛り込んだ。高線量下の災害対応については、被ばく線量の限度や指揮系統、賠償のあり方などに関し、法整備が必要と指摘した。
また事故時に甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤について、原発から半径5キロ圏だけではなく半径30キロ圏でも事前配布を原則とするよう原子力災害対策指針の見直しを提案した。自治体の放射線防護対策への財政支援なども要望した。
坂井危機管理官は規制委への要望後、「意見が平行線の課題もあるが、今後も問題意識をぶつけ合って(原子力防災体制の)良い方向を探りたい」と話した。
県は今回の要望に当たり、泉田裕彦知事と規制委の田中俊一委員長の面談も求めていたが、規制委は応じなかった。
●事故対策所計画に懸念
規制委、設置場所めぐり
原子力規制委員会は10日、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の審査会合を開いた。事故時の対応拠点となる「緊急時対策所」を3号機の中央制御室そばに設置する東電の計画に対し、3号機の管理作業と事故対応が並行し、混乱しないか懸念を示した。
会合で規制委は、東電が福島第1原発事故を経験した会社であることを踏まえ「対策所の重要性は身に染みていると思う。審査側から見て(東電の計画は)ちょっと違うのではないか」と安全性向上に向けた姿勢にも苦言を呈した。これに対し、東電は「慎重に考えたい」と述べた。
東電は2007年の中越沖地震の教訓から、震度7クラスの揺れにも耐えるとする免震重要棟を設け、対策所を置いている。ただ、想定する地震の揺れ方によっては被害を受ける可能性があるため、3号機の中央制御室近くにも対策所を設け、使い分ける考え。
規制委側は6、7号機の事故時、3号機の使用済み燃料プールへの対応などが重なった場合に混乱なく事故に対応できるかを疑問視。規制委の青木一哉管理官は会合後、「3号機の対策所を使うのであれば本当に機能するのか、今後、納得いく説明が必要だ」と話した。
●重大事故時のバス避難計画
運転手の確保 未解決
住民ら実効性を疑問視
東京電力福島第1原発事故では放射性物質が広範囲に飛散、多くの住民が避難を余儀なくされ、混乱も起きた。東電柏崎刈羽原発をはじめ、今後再稼働を目指す各原発の立地地域にとっては、重大事故の際の避難は最重要課題の一つだ。輸送手段の柱となるのが民間企業などのバス。しかし、事故時に運転手を確保できるかどうかという根本的な課題すら解決されていないのが実情だ。関係者からは、避難計画の実効性を疑問視する声が上がっている。
(報道部・川上あすか)
「中越沖地震の際は運転手は自宅や家族が心配で、業務に就くことはできなかった。まして原発事故となれば、従業員が納得できる避難計画じゃないと動かせない」。柏崎刈羽原発から半径30キロ圏内にあり、バスの運行を手掛ける会社の社長はこう漏らした。
同社の地元自治体は、市外へ避難する場合の交通手段としてバスや自家用車を想定している。社長は同社もバス避難を担う可能性があると考えているが、現段階では自治体から正式な協力要請はなく、社内でも原子力災害時の対応を定まるマニュアルは作っていない。
福島事故の際には福島県からの避難者の送迎をしたが、福島県に入ることをためらう運転手もいたという。社長は「今後、避難計画が具体的になれば従業員に説明していくが・・・」と言葉を濁した。
事故時に民間企業の社員に住民避難バスの運転を命じる強制力は現行法にはない。
県原子力安全対策課の須貝幸子課長は「民間業者が高い放射線量下で作業できるのか」と運転手の確保を疑問視する。高線量下で作業に当たる人の安全は国が確保するべきだというのが県の主張だ。須貝課長は「国が労働に関する法制度を整備しないと、バスの避難計画の実効性は確保できない」と強調する。
県は原子力規制委員会に対し、高線量下で民間事業者が救助活動をするための法整備などを求めた要望書を提出しているが、今のところ回答はないという。
他の立地地域も、運転手の確保については結論が出ていない。九州電力川内原発(鹿児島県)の再稼働に同意した薩摩川内市の避難計画は、運転手の確保は「支援を要請する」と表記しているだけだ。
鹿児島県は一定の線量を超えない範囲で民間に協力を依頼するとしているが、民間に協力を求める線量の範囲については「国のガイドラインを基に検討中」だ。
自治体が策定する避難計画が妥当かどうかを判断する国の機関はない。運転手確保をめぐる立地地域の戸惑いをよそに、国は「法律上、避難計画を作るのは自治体」として、「助言者」の立場を崩していない。
内閣府で原子力防災を担当する森下泰参事官は「被ばく量が1ミリシーベルトを超えた場合、自衛隊や警察などの国の機関が作業に当たる」と説明する。一般人が浴びても健康に害がないとされている年間被ばく線量1ミリシーバルトまでは「民間が頑張るということ」と話す。
しかし、新潟県などが求める法整備については、所管する省庁が多岐にわたるとして「簡単ではない」としている。
・・・そういや先日、新潟県内でこういう物が開催されました。http://www.city.nagaoka.niigata.jp/shisei/cate01/nuclear-safety/kensyu_20150127.html
あのねぇ、川内原発のザルザルな避難計画を参考にしてもねぇ・・・(呆&怒)。
逆に言えば、国からしてみれば、「川内原発の避難計画レベルのザルザルな物でかまわないから、立地自治体に早く策定してもらわないと、再稼働ができないからそれで頼みますわ、いや、つべこべ言わずにさっさと作りやがれ!」という事なのでしょうね。
そうなると思い出されるのが、以前紹介した現役官僚の覆面作家氏の発言、「政府にとっては避難計画より再稼働が大切だ。避難計画を議論するあまり、再稼働が進まないようでは『本末転倒』というのが本音。避難計画の策定は、再稼働を進めるためのアリバイにすぎない。政府からすれば、適当なところで住民が避難計画に納得してくれないと再稼働ができない。それが一番困る」が、ひしひしと身に染みてきますね。
・周辺に著しい影響を及ぼす恐れがある事故で原子炉を停止した場合、再稼働の事前説明を受け、意見を述べることができる。関電には回答義務がある。
あの〜。そのレベルの事故が起きてしまえば、事実上の関西壊滅で、再稼働の事前説明うんぬんどころじゃなくなっていると思うのですが・・・。
原子力災害の避難計画と同じで、それが起こりうると想定している時点で原発の極まりない危険性を認めているというのに、福1事故の教訓を生かしたので今度こそ原発は安全、と主張して再稼働を進める・・・矛盾しまくってますね。
●進む原発回帰
現実と乖離していないか
国際評価尺度で最悪のレベル7とされた東京電力福島第1原発事故から4年が過ぎた。
事故収束への道筋はいまだ手探りにもかかわらず、発生直後にあった原発政策見直しの動きは百八十度転換したように映る。
事故が住民に何をもたらしたのか。それはどう克服され、どこまで住民の帰還が進んだのか。政府や電力各社は、現実にしっかり目を向けてもらいたい。
除染で出た廃棄物を受け入れる中間貯蔵施設への搬入が、13日からようやく始まる。
ただ、現在の保管場所はわずかにすぎない。それ以外の2300人を超える地権者との用地交渉は始まったばかりだ。
肝心の事故の収束は、見通しが全く立っていない。廃炉への最初のハードルともいえる汚染水対策は道半ばだ。
溶け落ちた燃料を冷却するために注ぐ水と、建屋下に流れ込む地下水で汚染水は増え続けている。 建屋流入前の地下水をくみ上げ外洋に放出する地下水バイパスに加え、1〜4号機の建屋周囲を凍らせ地下水を遮断する「凍土遮水壁」の設置が進む。
世界初の試みとはいえ、期待通りの効果が上がるかどうかは未知数と言っていい。
先日、第1原発2号機の原子炉建屋屋上から、汚染雨水が排水路を通じて外洋に流出していたことが分かった。
東電はこの事実を1年近く公表しなかった。地下水の外洋放出で協議を続けている漁業者を裏切る行為だ。信頼関係が築けなければ汚染水処理は遅れるだけだろう。
汚染水問題の先に待ち受けるのが溶融燃料の取り出しである。
だが取り出しは5年間先送りされた。溶融燃料の取り出し方法は技術的に確立されていない。処分方法も決まっていない。
廃炉までの工程は30〜40年とされるが、その根拠は何もないと言わざるを得ない。
原発事故の処理費用は、被害者への賠償や廃炉・汚染水対策などを合わせ、最低でも11兆円に上るとみられている。
しかし、数字はあくまで東電や政府の試算だ。最終的にどこまで膨れ上がるかは見当がつかない。
こうした状況にあるというのに、政府と電力各社は柏崎刈羽原発をはじめ、原発再稼働へと大きくかじを切っている。原発輸出にも積極的だ。あまりに現実と乖離(かいり)していないか。
原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分地をめぐる議論はこれからだ。核のごみをどうするつもりなのか。
忘れてはならないことがある。省エネの普及などで、消費電力の多い夏、冬とも全国的に電力が足りているという事実だ。
温暖化防止のために原発を推す声もあるが、いったん事故が起きれば甚大な被害を及ぼすことを忘れてはならない。
新規だけでなく、既存の火力発電所などでも二酸化炭素(CO2)の排出量を抑制することは日本の技術力なら可能なはずだ。
事故の風化は許されない。
●東電、新潟本社を設置
来月
柏崎再稼働へ体制強化
東京電力が新潟事務所(新潟市中央区)を大幅に拡充した新潟本社を4月1日付で設置する方針を固めたことが16日、関係者への取材で分かった。当初、7月をめどにしていた新潟総支社の設置を前倒しし、本社に格上げする。原子力規制委員会の審査を受けている柏崎刈羽原発の再稼働に向け、本県への理解活動を強化する狙いがあるものとみられる。
関係者によると、本店の原子力・立地本部の下にあった新潟事務所を切り離し、新潟本社として独立させる。社長直轄の新潟本部を設け、新潟本社を統括する。地元への情報提供機能を高め、本県との結びつきを強めることを目指す。
現在、新潟事務所の人員は常駐21人だが、新潟本社はその3倍以上となる70人程度の規模とする。
新潟本社の具体的な業務内容は、県など各自治体や議会への説明対応、商工団体への情報提供が中心となる。
運転管理に高い専門性が要求される柏崎刈羽原発は、引き続き原子力・立地本部の下に置かれる見通し。
泉田裕彦知事は柏崎刈羽原発について、緊急時の責任体制を明確化するため東電から分離し、現地に本社を置くように主張している。東電が新潟本社を設置しても、泉田知事の理解が得られるかは不透明だ。
東電が本社と位置付ける社内組織は、社長直轄の福島本部が統括し、福島第1原発事故の被害保証などを担当する福島復興本社がある。
東電は昨年3月の会見で、ことし7月までに新潟事務所を新潟総支社として地元対応を強化することを表明し、準備を進めていた。
●東電、新潟本社設置を発表
代表就任の木村常務
理解得る活動強化
東京電力は17日、新潟事務所(新潟市中央区)の広報機能を拡充した新潟本社を4月1日付で設置することを正式に発表した。新潟本社代表に就任する木村公一常務は17日、新潟市で記者会見し、柏崎刈羽原発の再稼働を見据え「皆さまのご理解を得ることが最大の目的」と述べ、県民への理解活動を強化する方針を示した。
7月をめどに新潟総支社の設立を予定していたが、新潟本社に格上げした上で4月に前倒しした。理由について木村常務は、柏崎刈羽原発の安全対策で「地元理解が得られていないため」と説明。今冬、東電の水力発電所でトラブルが相次いだことを受け、迅速に事故対応できる体制整備も理由に挙げた。
柏崎刈羽原発の再稼働に関しては「言及する立場にないが、原発の保有は経済、環境面で日本にとっては重要」と強調した。
新潟本社は、社長直轄の独立組織として設置。内部に現在の新潟事務所を増強した新潟本部を置き、職員を3倍の約70人に増やす。
柏崎刈羽原発のほか信濃川発電所(小千谷市)の広報活動を統括。避難計画を策定する市町村への支援や住民説明会なども行う。
新潟事務所がある新潟市中央区のビルに入り、木村常務は常駐する。
一方、泉田裕彦知事は新潟本社設置について「企業統括上必要な権限や財務機能を持たない、『本社』とは名ばかりのものだ」と批判するコメントを発表した。
●再稼働急ぐ事情隠さず
審査中の地ならし 反発も
東京電力が新潟本社を設置して取り組む最大のテーマは、柏崎刈羽原発の再稼動について県民から理解を得ることだ。代表に就く木村公一常務は17日の会見で設置目的について「県民に寄り添うため」と強調したが、経営改善のために再稼働を急ぎたいという東電側の事情も隠さない。原子力規制委員会が安全性を認めてもいないうちに地ならしへと踏み出したことに反発も上がっている。
県庁近くのビルで会見に臨んでいた木村常務は事務所から1枚の紙を渡され、表情を曇らせた。泉田裕彦知事の「『本社』とは名ばかり」とのコメントが書かれていた。
記者から所管を問われた木村氏は、「名ばかりとならぬよう努力したい」と答えるのが精いっぱいだった。
泉田知事はこれまでも、柏崎刈羽原発を東電から切り離して別会社などにし、その本社を原発敷地内に持ってくるよう求めていた。だが、東電がこの日発表した「新潟本社」は、東電の社内組織の一つにすぎなかった。
本社設置の狙いも見えにくい。東電が建前と本音を使い分けているからだ。
木村氏は会見で「再稼働のために新潟本社を設置するわけでない」との建前を繰り返した。一方で、本音とも聞こえる事情を語った。
「柏崎刈羽原発の停止が長期化すると、近く経営が立ち行かなくなり得る。新潟の皆さんに再稼働を目指す取り組みを理解してもらう必要がある」
柏崎刈羽は現在、規制委による新規制基準の適合性審査の最中だ。県原子力安全対策課の須貝幸子課長は「再稼働を目指しているとは絶対に言ってはいけないのに・・・」とあきれる。
東電福島第1原発事故で福島県南相馬市から避難している後藤素子さん(50)も東電の姿勢に憤る。「福島はまだ収束せず、私たちも帰れない。そんな状況で再稼働を目指すなんてなぜ言えるのか」
・・・でましたね、推進派の口癖「理解を得る」
だからその理解ってどういう意味なの?
「福1事故の教訓を生かし、更なる安全対策を原発に施しましたので、もはや福1事故並みの原子力災害は起きえませんので、皆様安心して再稼働を容認していただきたい」
というのか、それとも、
「更なる安全対策を施しましたけど、絶対に事故が起きないとは断言できませんので、皆様には、地元の事実上の消滅も覚悟した上で、国益、電力会社の社益のために腹をくくって再稼働に容認していただきたい」
とでもいうのですかねぇ・・・?
まぁ今回の木村常務の会見を読む限り、それがどちらかは一目瞭然ですが(苦笑)。
しかし、自分としては「だが断る」
自分の命や財産を担保に、東電の連中に給料、ボーナスという名の金を恵んでやるなんてまっぴらごめんです。
●柏崎原発
断層 3回目の現地調査
規制委
活動の有無 議論本格化
東京電力が柏崎刈羽原発の敷地内外で調べている断層について、原子力規制委員会は17日、現地調査を行った。同原発6、7号機の新規制基準への適合性審査で、断層の現地調査は今回で終了する見通し。審査で地震・津波面を担当する石渡明委員(地質学)は調査を終え、「大きな工事をして得るようなデータは大体出そろった」との認識を示した。
今回の調査で論点が大まかに整理されたことから、規制委は今後、東電と非公開のヒアリングで議論を重ねた上で、公開の審査会合で敷地内外の断層について活動性の有無など本格的な議論を行う。しかし、審査の終了は見通せていない。
断層調査は今回が3回目で、昨年10月の現地調査以降にデータがそろった場所が対象。調査団は、2月に東電が審査会合で説明した同原発敷地内1〜4号機側の立て抗など敷地内外の断層について調べ、ボーリングで採取した地層も直接確認した。
石渡委員は「納得した部分や完全に納得しきれていないところがある」とし、刈羽村寺尾のトレンチで見た断層を例に「地滑りではないように思われる部分もあり、もう少しデータの拡充が必要」などと課題を挙げた。
東電の姉川尚史常務は「(議論になりそうな)大きなものについては回答しているつもり」とし、より詳細に分析するために工事を行う必要性については規制委から「具体的な指示はなかった」とした。
東電はこれまで「断層に活動性はない」と説明してきたが、規制委から追加調査を求められた。当初見込んだ半年を超える1年がかりで分析調査を行い、一通りの説明を終えた。
新規制基準では、13万〜12万年前以降に活動した断層の上に重要施設を建てることができない。同原発の敷地内には23本の断層が確認されているほか、敷地外の断層の活動年代も議論となっている。規制委がどのような評価を下すかが焦点となる。
●納得しきれぬ部分も
石渡委員 一問一答
柏崎刈羽原発敷地内外での断層調査を終えた原子力規制委員会の石渡明委員と、記者との一問一答は次の通り。
−現地調査は今回で終了か。
「そう願いたい。こちらから要求したものと、もともと計画されたものについては、だいたい全部やってもらい、現地で説明いただいた。ただし、ヒアリングや審査会合の場で問題点が出てきた場合はその限りではない」
−東電の解釈には納得したのか。
「納得した部分もあるが、どうしてこういう解釈ができるのかという点について、完全には納得しきれていない部分もある」
−今後の審査会合のスケジュールは。
「今回、調査官からいろいろな質問が出た。今後ヒアリングの場で答えてもらい、ある程度まとまったら審査会合を開きたい。(審査会合開催の時期は)今、私の口から申し上げることは適当ではない」
−断層評価のデータはそろったと考えるか。
「大きな工事をして得るようなデータはこれでそろったのではないか。ただデータの解釈と事実の記載の上で、不十分なところ、多少問題があるところもあった。そういう点は検討し直していく」
●県議選立候補予定者 本社アンケート
柏崎再稼働 賛否が拮抗
新潟日報社は3日に告示される県議選(投開票12日)の立候補予定者73人全員を対象に、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題に関するアンケートを実施した。新規制基準に適合したと原子力規制委員会が判断した場合、条件付きも含め再稼働を「認める」が23人、「認めない」が20人とほぼ拮抗した。再稼働に必要な地元同意の範囲は従来の「柏崎市、刈羽村と県」より拡大すべきだとした候補予定者が44人と6割を占めた。
・地元同意範囲 6割、拡大求める
アンケートは3月19〜27日、原則面接で行った。柏崎刈羽原発は現在6、7号機が再稼働の前提となる規制委の審査中。次期県議の任期中に、県議会が再稼働の判断を求められる可能性もあり、候補予定者の考え方が注目されている。
規制基準に適合した場合の対応は、再稼働を「認める」が6人(8%)、「他の条件付きで認める」が17人(23%)で、計23人(32%)が容認姿勢。うち自民党は9人、民主党は3人だった。
一方、「規制委に安全の判断が委ねられず、認めない」としたのは3人(4%)、「認めない」が17人(23%)で、計20人(27%)が否定的だった。社民党、共産党は計7人全員が再稼働に反対した。
「回答できない」「選択できない」は30人(41%)。うち自民党が25人で、主に規制委でまだ議論中であることを理由に挙げた。
地元同意の範囲は「従来通り」が8人(11%)。これに対し「原発の半径30キロ圏内の9市町村と県」が22人(30%)、「県内全市町村と県」が22人(30%)に上った。30キロ圏内の長岡市・三島選挙区の候補予定者は8人全員が広げることを選んだ。
再稼働の是非を問う県民投票の実施は「実施すべきだ」「条件付きで実施してもいい」が計33人(45%)。「実施すべきではない」は24人(33%)だった。
(小数点以下を四捨五入したため、合計は合わない場合がある)
●県議候補予定者原発アンケート
再稼働にも条件多く
避難計画、地元同意を重視
3日告示、12日投開票の県議選に向け、新潟日報社が実施した東京電力柏崎刈羽原発に関する立候補者アンケートでは、再稼働に対する賛否がほぼ並んだ。ただ再稼働に容認姿勢をみせた候補予定者の多くは新規制基準の適合に加え、避難計画の策定や地元の意向も重視した。地元同意の範囲拡大を訴える候補予定者も6割と多く、県議選後の顔触れによっては同意が必要な自治体の範囲が焦点となる可能性がある。
原発再稼働について、容認姿勢だったのは候補予定者73人中23人。規制委だけの判断で再稼働を認めるのは6人で、17人は他の条件も必要とした。
条件としては、地元自治体の同意や避難計画の策定が挙がった。「周辺住民の理解、避難計画の策定が前提だ」(下越地方の自民若手現職)、「県技術員会などで安全が担保できれば認める」(新潟市の自民ベテラン現職)といった指摘がある。
一方、再稼働を「認めない」としたのは社民党系や共産党の候補予定者ら。「規制基準に問題上がり、事故が起きない保証がない」(共産新人)、「規制基準はハードのみを判断する。ソフトの判断も必要」(中越地方の無所属現職)といった批判が上がった。
党派別では自民党の候補予定者に「規制委員会や県技術委員会が議論中なので答えられない」とした反応が目立ち。態度未定は25人に上った。改選を前に、党県連が原発問題で同趣旨の見解をまとめたことも一因とみられる。再稼働の是非を明確に示したのは34人中9人だった。
民主党は公認7人中3人が「他の条件次第で認める」、1人が「規制委に安全の判断が委ねられる、認めない」、3人が「回答できない」と割れた。
再稼働の地元同意を求める範囲は従来の柏崎市、刈羽村より広範囲にすべきだとする候補予定者は計44人(60%)。党派別では自民党の34人中11人、民主党の7人中5人が拡大を求めた。社民党2人、共産党5人、公明党2人は全員が拡大を訴えた。
原発の半径30キロ圏内の長岡市・三島選挙区に出馬予定の8人は自民党県連会長や現職議長も含む全員が拡大を求めた。県議選後、自民党をはじめ各会派の対応が焦点となりそうだ。
柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票は、自民党系を中心に24人が「実施すべきではない」との立場。2013年1月の臨時県議会で否決された経緯があることから「既に県議会で決定した事」(自民ベテラン現職)との意見が多かった。「原発は国策」「有権者から負託を受けた議員が判断すること」との見解も目立った。
「実施すべき」は18人。下越地方の無所属新人は「県民の意見を聞くのは当然だ」と求める。「条件次第で実施してもいい」としたのは15人で、「県民への十分な情報提供と判断できる時間が必要」(民主現職)などの声があった。
●県議選アンケート
柏崎市・刈羽区 原発再稼働問題
三富氏 万全な安全踏まえ判断
池田氏 国説明と住民納得必要
鷲尾氏 地域の信頼獲得が条件
3日告示の県議選で、柏崎市・刈羽選挙区(定数2)では現職と新人計3人が出馬する予定だ。同選挙区は東京電力柏崎刈羽原発の立地地域で、再稼働や原発の在り方をめぐって有権者の間にさまざまな考えや意見があるため、描く立候補予定者は原発について問われると慎重に説明。新潟日報社が実施したアンケートでも同様に回答した。3人の回答理由をまとめた。
原子力規制委員会が適合と認めた原発の再稼働を容認するかという問いには、自民現職で10期目の当選を目指す三富佳一氏(76)が「認める」と回答。社民推薦の新人、池田千賀子氏(54)と民主推薦の新人、鷲尾百合子氏(33)は「他の条件次第で認める」とした。
三富氏は原子力規制委は法に基づき設置され、独立性を保った機関と位置づけ「定められた手順を踏み、安全性が確認されなくてはならない。県技術委の検討結果を踏まえるなど、万全な安全性の確認の下で判断されるべき」とする。
池田氏は「選択肢には抵抗がある」とした上で「条件次第で判断するということ。設備面と避難計画を含めた防災面で安全性が相当程度高まったと国が説明し、住民が納得をして動かしてもいいという判断をしていることが必要」とした。
鷲尾氏は「地域の信頼を得ながら」との条件付きで「再稼働は必要と考える」とした。将来像として「柏崎を日本のエネルギー環境未来都市として、代替エネルギーや廃炉技術の研究・開発拠点として考えていくことが必要」と加えた。
再稼動について同意を求める自治体の範囲では、三富氏と鷲尾氏が「従来通り、立地する柏崎市、刈羽村と県」、池田氏は「半径30キロ圏内の9市町村と県」とした。
三富氏は「周辺市町村の住民の不安解消、安心安全の理解促進については国が説明責任を果たすべき」と国に説明を求める。
鷲尾氏は「立地自治体の合意を得ながら進めるべきで、一律に距離で計れるものではない」とし、距離による線引きに否定的だ。
池田氏は「住民の暮らしと安全を守るため住民の意見が反映されるべきで、立地自治体だけの範囲では狭い」と拡大を訴える。
県民投票の実施では、池田氏が「実施すべき」と回答。「住民がしっかりと説明を受け、理解をしているという状態で」と前置きし「住民の声を聞き、判断を求める」との考えだ。
「すべきではない」とした三富氏は「既に県議会で議論され結論が出ている。新たに直接請求がなされた場合は定められた手続きに従い審議が行われるものと考える」と述べた。
同じ回答の鷲尾氏は「県民の方の関心・意識は高いと思う」としながらも「立地地域の想いや状況が加味されるか分からず、偏った議論になる可能性もあるため」と理由を語った。
●県議選立候補予定者アンケート
原発再稼働の地元同意範囲
周辺区回答者全員「拡大」
3日の県議選告示を前に、立候補予定者に対して新潟日報社が実施した東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に関するアンケートでは、6割が再稼働に必要な「地元同意」の範囲を今より広げ、原発から半径30キロ圏か県内全市町村にすべきだと答えた。東電福島第1原発事故で放射性物質が広範囲を汚染した現実を踏まえ、より広く同意を求める声が多い実態が浮き彫りになった。今後の県や市町村の対応に影響を与えそうだ。
現状では再稼働の地元同意に法的根拠はなく、東電と安全協定で運転再開について事前協議の約束をしている県と柏崎市、刈羽村が「地元」とされている。昨秋の九州電力川内原発の再稼働手続きでは立地市と県だけの同意にとどまり、周辺自治体から反発も出た。
アンケートでは、柏崎市・刈羽区を除く30キロ圏の6選挙区の候補予定者のうち、有効回答した13人全員が「地元」の範囲拡大を求めた、特に大半が30キロ圏に入る長岡市・三島区では、自民党県連幹部を含む8人全員が拡大を望んだ。
同区の自民現職は「国の指針では30キロ圏内も防災対策を行うべきだとしている。同意も30キロ圏を視野に検討すべきだ」とし、法的位置付けの明確化も訴えた。民主党の新人も「住民は原発問題に関心が高い。たくさんの住民を巻き込んで議論すべきで、従来通りでは不十分だ」と主張する。
上越市区では複数の候補予定者が「福島事故の被害は30キロ圏にとどまらなかった」などとして全県に広げるべきだとした。
ただ、柏崎市・刈羽区では意見が分かれた。自民現職と民主推薦の新人が従来通りとし、社民推薦の新人は30キロ圏とした。
●電源構成比率
原発回帰ありきの議論だ
国際評価尺度で最悪の「レベル7」とされた東京電力福島第1原発事故を経験したのは、わずか4年前である。
原発回帰ありきの議論と言わざるを得ない。
自民党は2030年の電源構成比率に関する提言を、安倍晋三首相に提出した。
原発や石炭火力、水力、地熱の「ベースロード電源」を、現在の約4割から東日本大震災前の約6割に戻す内容だ。
与党協議を経て5月に正式決定する。政府はこの電源構成比率を基に、6月の先進国首脳会議(サミット)までに、温室効果ガスを05年比で20%以上削減することを提示する見通しだ。
焦点となったのは原発の比率である。提言では全体の約2割を占める方向性をにじませたものの、電源別の具体的な比率は明らかにせず、ベースロード電源としてひとくくりにした。
脱原発の世論が根強い中、統一地方選での批判をかわすために、明示をあえて避けたと受け取られても仕方ないだろう。
問われるのは約2割とみられる比率だ。事故後に定めた新規制基準を厳格に適用し全原発が40年間で運転を終えれば、30年の比率は15%まで低下する。
2割を切る18〜19%にとどめたとしても、40年間を超えて運転するか、その場での建て替えや新増設が必要になる。
多くの住民がいまだ避難生活を強いられているにもかかわらず、経済優先を理由に原発依存をなし崩し的に続けるとしたら、国民の反発は免れないだろう。
昨年の関西電力大飯原発3、4号機の再稼働をめぐり、福井地裁が憲法上、原発の稼働という経済活動は人格権より低く、生存権と電気代を並べて論じること自体許されない−と断じた判決を思い起こしてもらいたい。
国は今夏も節電の数値目標を見送る方針だ。これは国内の全原発が停止していても、電力が足りていることにほかならない。
必要なのは、二酸化炭素といった温室効果ガスの排出を削減することだろう。
30年の電源構成比率に占める再生可能エネルギーの割合で、20%台半ばとする経済産業省と、最大35%まで高められるとする環境省が対立している。
世界の潮流は、再生エネの拡大と言っていい。
再生エネの導入と一層の省エネを進めれば、大量の新規雇用と多様な技術革新を生み、いずれ電気料金が下がるとの見方がある。ビジネスチャンスにつながる可能性もあろう。
火力発電は最新鋭の天然ガス発電やコージェネレーション(熱電併給)を取り入れれば、高効率化できるはずだ。
大規模な発電所でつくるエネルギーに頼らなくても、各地域に豊富にある海や川、温泉といった再生エネの資源を有効活用する方法も考えられよう。
問われるのは将来をいかに見据えるかだ。原発への依存度を着実に下げていきたい。
●再稼働差し止め
安全神話に警鐘鳴らした
東京電力福島第1原発事故が収束していないのに、再び「安全神話」にすがり、再稼働を進めようとしている政府と電力会社への警鐘といえよう。
関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の安全対策に問題があるとして周辺の住民らが再稼働の差し止めを求めた仮処分申請で、福井地裁の樋口英明裁判長は再稼働を認めない決定をした。
仮処分で原発の運転を禁止するのは初めてのことだ。関電は不服を申し立てる見通しだが、主張が通らなければ11月に想定する再稼働は不可能になる。
樋口裁判長は昨年5月の関電大飯原発3、4号機(福井県おおい町)をめぐる訴訟でも、地震対策の構造的欠陥を理由に再稼働を認めない判決を言い渡しており、再び厳しい判断を示した形だ。
高浜3、4号機は、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使う「プルサーマル」を前提としている。
今年2月、九州電力川内1、2号機(鹿児島県)に続き、原子力規制委員会の審査に合格した。
仮処分決定の理由として樋口裁判長は、福島事故後に定めた規制委の新規制基準について「合理性を欠く」とし、適合しても安全性は確保されていないと断じた。
規制委の審査を根本から否定したといえる。
さらに想定を超える地震が起きれば「250キロ圏内の住民に、人格権が侵害される具体的な危険がある」と指摘した。
そもそも問題点は少なくない。規制委は高浜3、4号機で同時に事故が起きても対応できることを確認したとしているものの、1、2号機の原子炉に燃料がなく、停止していることが前提だ。
高浜原発のある若狭湾沿いには原発が全国最多の14基あるが、複数にまたがって事故が起きた場合どうなるかといった集中立地の問題は考慮されていない。
避難計画の実効性も疑問視されている。福島事故の教訓から、3府県にまたがる30キロ圏の全自治体を再稼働の同意対象に加えるべきだとの声は強い。多くの問題を積み残したままなのが実情である。
政府は原発を「ベースロード電源」と位置づけ、2030年の電源比率で割合を18〜19%とする方向で検討している。
2割を切ることで、原発に批判的な世論への配慮をにじませているようにも見える。
だが、この数字は再稼働だけにとどまらず、新規制基準で定めた40年を超えて運転するか、建て替えや新増設をして初めて達成可能となるものだ。
核燃料サイクルや放射性廃棄物の最終処分といった重要な問題も事実上、先送りとなったままだ。
今回の仮処分決定は、経済を最優先するあまり、原発回帰路線へと前のめりになっている政府のこうした姿勢にも、疑問を呈したといえよう。
政府は再稼働方針に変更はないとしているが、福島事故がもたらしたものに正面から向き合い、仮処分決定の重みを厳粛に受け止めるべきだ。
春の行楽シーズンを迎えた。国によると、中国人観光客1人当たりの旅行支出額は約23万円だ。みずほ総合研究所の調査部長、長谷川克之さんは「人口減少社会にある日本にとっては無視できない存在となっている」と先月の本紙「経済私評」に書いていた
▼日本人気の背景には「安い」だけでなく、「安全」や「安心」もあるに違いない。一方で気掛かりなこともある。台湾の衛生福利部(衛生省)は、福島第1原発事故で汚染された食品の輸入を防ぐ新規則を近く導入するという
▼既に実施している福島、茨城など5県からの食品輸入禁止に加え、都道府県ごとの産地証明や乳幼児向けなど一部食品の放射性物質の検査を義務付ける。日本側は「導入は遺憾」としているが、新規制が始まれば、影響は大きい
▼いくら安全を訴えても、「日本に行く、行かない」「日本から買う、買わない」を決めるのは顧客の側である。経済のために原発再稼働を急いだ結果、再び重大事故が起きれば、観光産業も輸出産業も根底から揺さぶられるのではあるまいか
▼きのう福井地裁は、関西電力高浜原発3、4号機の再稼働を認めない決定を下した。安全対策が不十分というのが理由である。地元では原発が再び稼働することで潤う業界もある。半面、福井に近い京都や奈良の観光地で、この決定はどう受け止められているだろうか
▼県議選では、柏崎刈羽原発の再稼働は大きな争点にならなかった。福井地裁の決定を機に、あらためて議論を深めたい。
●仮処分「当然の指摘」
泉田知事
関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の再稼働を認めないとした福井地裁の仮処分決定について、泉田裕彦知事は15日の記者会見で「(仮処分決定で新たな)規制基準の問題を指摘したというのは合理性があり、当然の指摘だ」と評価し、新規制基準を策定した原子力規制委員会をあらためて批判した。
知事は原子力規制委について「福島(原発事故)の検証と総括をしておらず、国民、県民にはなぜ事故が起きたのかが伝わっていない」と指摘。規制委は福島事故の原因分析で、津波到達より先に地震の揺れで電源喪失が起きた可能性を否定しているが、知事は「津波だけ対応すればいいというふうに見えるが本当にそうか」と疑問を呈した。
泉田知事が求めている田中俊一規制委員長との面会が実現していないことを挙げ、「県はいざというときに住民の安全確保をする任務がある。立地地域との話し合いを拒み続けているのは異常としか言いようがない」と重ねて非難した。
今日の新潟日報朝刊より
●柏崎原発の早期再稼働
刈羽村議会、請願を採択
・・・詳しくはまだ後で。
どうやら刈羽村の連中は、
「いざという時にも自分達の命がどうなろうとかまわないから、さっさと原発を再稼働させろ。日本経済のためなら我々はそれに殉じる覚悟はある!」
との意思表明をした模様です。
●柏崎原発の早期再稼働
刈羽村議会、請願を採択
刈羽村議会は18日、本会議を開き、刈羽村商工会が提出した東京電力柏崎刈羽原発の早期再稼働を求める請願を、賛成多数で採択した。原発の再稼働にあたっては地元の同意が必要で、柏崎刈羽原発について地元同意の一つとなり得る議会の意思が示されたのは初めて。
請願をめぐっては当初、採択によって議会の同意とする意向があったが、議会終了後の取材で、この請願で再稼働の同意とはしないとの意見も議会内にはあり、今後の議会の対応が注目される。
請願についての討論では、賛同する議員から「地元経済は疲弊している。待ったなしの切実な訴えだ」などの意見が示され、反対派は「住民の安全確保に関し議論が尽くされていない。あまりにも採決は早すぎる」と訴えた。
討論終了後、議長を除く11人で採決が行われ、賛成8、反対3の賛成多数で採決された。
請願は地元経済への影響から、柏崎刈羽原発が原子力規制委員会の新規制基準に適合すると判断された場合、早期に再稼働するよう求めている。同原発6、7号機は規制委による適合審査が続いている。
原発再稼働の際に必要となる地元同意の手続きに法的な定めはなく、新規制基準を初めてクリアした九州電力川内原発の場合、立地する鹿児島県薩摩川内市議会は地元経済団体が提出した陳情を採択する形で同意した。
刈羽村村議会の横田信子議長は「請願の採択は再稼働に対する議会の同意。今のところさらに議会の意志を示す予定はないと話した。
同様の請願が提出されている柏崎市議会では18日、総務委員会が開かれ、請願を出した西川正男・柏崎商工会会頭が「このままでは日本経済が破綻しかねないと危惧している。柏崎地域も看過できない状況にある」と請願の趣旨説明をした。採決は請願以外の議案審議が長引いたため、19日に延期された。
・判断材料にせず
品田宏夫刈羽村長の話
議会の同意として受け止めた。原発再稼働に対する地元同意を求められた場合、首長の判断は議会の判断とは別なので、総合的に判断をしたい。この請願の採択を自身の判断の材料にはしない。
●柏崎刈羽原発早期運転再開に関する請願(全文)
刈羽村議会が採択した「柏崎刈羽原子力発電所の早期運転再開に関する請願」の前文は次の通り。
(趣旨)
柏崎刈羽原子力発電所が新規制基準に適合すると判断された場合には、一日も早い運転再開を求めることを請願します。
(理由)
刈羽村議会が昭和44年6月に原子力発電所の誘致実現に関する決議をして以来、村内において東京電力(株)柏崎刈羽原子力発電所は、地域活性化の一翼を担ってきました。また、原子力発電は資源の乏しいわが国において、貴重なエネルギーとして電力の安定供給を通じて日本の経済発展ひいては国民生活の向上に寄与してきました。
しかしながら、平成23年3月11日に発生した東日本大震災に起因する福島第1原子力発電所の事故のより、全国の原子力発電所は現在運転停止の状況が続いています。
原子力発電停止による電力不足を補うための火力発電偏重は、エネルギー供給基盤の脆弱(ぜいじゃく)化を招き、日本経済発展の足枷(あしかせ)となっています。さらには化石燃料の輸入増加による国富の流出、電気量値上げによる国民生活や事業経営への圧迫および地球環境問題など看過できない状況です。
くわえて、当商工会が昨年実施したアンケート調査によると、村内においても柏崎刈羽原子力発電所の運転停止による負の影響は村内全業種に及んでおり、特に商業・サービス業においては顕著な様相を呈し、かつてないほどに地域経済の疲弊が懸念されています。
これらのことから、当商工会では地域の今後の振興・発展を図る上で、新規制基準適合による安全確認がなされることを前提とした柏崎刈羽原子力発電所の正常な事業活動は重要と考え本県を請願します。
つまり、「我々は自分達の生存のためなら、他の新潟県民はおろか、日本国民すら犠牲にするつもりだ!文句あるか?」と宣言しているような物ですね。
でも、刈羽村や柏崎市が策定した避難計画も概要としか言えない様な代物で、あらゆる状況に対応できるように練り上げた綿密な物ではまだないはず。それなのに、「それよりも再稼働だ!」と言っているのですから、刈羽村民は最悪の状況下での自分の命より再稼働の方が大事なのでしょう。
ちなみに、自治体の避難計画が妥当なものかどうかを審査する国家機関は今のところ存在しません。規制委は「自分達にその義務はない」とかなり前から断言しております。
しかし、再稼働を望んでいる一番の理由が、ぶっちゃけ自分達の生活のためなのに、あえてそれを請願書の一番最後に持ってくるとは。「オラたちは、日本経済のため、地球環境のため、しいては日本国民の生活のために再稼働を請願するのだ!」ですと!(呵呵大笑)
いやはや刈羽村民の祖国を、いや地球を思う真摯な姿勢、つくづく感心いたしました。だったら重大事故発生時には避難なんかせずに、村民義勇作業隊でも編成して、皆で柏崎刈羽原発で収束作業に当たっていただきたいですね。
いや、こういう請願をした刈羽村民が重大事故時に避難したところで、暖かく迎えてくれるところなんか県内にはないでしょうから。
刈羽や柏崎の連中って、やれ日本経済がどうだとか地球環境がどうだとか、大仰な事は言うくせに、この請願が重大事故という最悪の結果をもたらした場合の、他地域民に対する自分達の責任という問題には一切触れないのですよね。
逆にそこまで触れた上で、「それでも自分達には再稼働しかないんだ!他地域民には伏して願い奉る」とでも言い出せば、ある意味まだ尊敬もできるのですが。
まぁそれに触れたら最後、いざという時には国と東電と規制委にすべての責任を押しつけ、自分達はひたすら被害者面をするというパフォーマンスが出来なくなりますからねぇ(苦笑)。
県内のマスコミにもこれ以上は期待できないでしょう。この問題を突き詰めていけば、県民の分裂を招きかねないというか、柏崎・刈羽地域民を完全に敵に回すのは営業上まずいでしょうから。
●柏崎市議会も請願採択
原発早期再稼働
特別委設置を決定
柏崎市議会は23日の本会議で、柏崎商工会議所を中心とする団体が提出した東京電力柏崎刈羽原発の早期再稼働を求める請願を、17対8の賛成多数で採択した。本会議に先立ち開かれた議会運営委員会では、重大事故時の避難計画などを議論する特別委員会を今後設置することを決めた。
刈羽村村議会も同様の請願を18日に採択している。柏崎刈羽原発の立地地域の議会が、そろって再稼働に対する意思表示をした形だ。
再稼働に際しては地元議会の同意が求められる可能性があるが、両議会では一定数の議員が今回の請願採択は「議会同意には当たらない」としている。柏崎市議会では今後、特別委などでの議論を経て議会同意についての判断を示すとみられる。
請願の討論では、賛成する議員が「原発停止による負の影響は市内全域に及んでいる」と強調。反対する議員は「1回の委員会の議論だけで賛否を問うのは拙速だ」などと主張した。
討論終了後、議員から採決延期を求める動議が出されたが否決された。議長を除く25人で採決が行われ、賛成17、反対8の賛成多数で採択された。
請願は地元経済への影響から、柏崎刈羽原発が原子力規制委員会の新規制基準に適合すると判断された場合、早期に再稼働するよう求めている。同原発6、7号機は規制委による適合性審査が続いている。
議会運営委では、請願付託先の総務委員会から提案された特別委の設置について審議し、特別委の早期設置について合意した。設置機関や議論の内容については今後協議する。
再稼働の際に必要となる地元同意の手続きに法的な定めはなく、新規制基準を初めてクリアした九州電力川内原発の場合、立地する鹿児島県薩摩川内市議会は地元経済団体が提出した陳情を採択する形で同意した。
・業界の意思反映
会田洋柏崎市長の話
地元商工業界の気持ちが反映された請願だと受け止めている、しかし、柏崎刈羽原発は原子力規制委員会の適合性審査が行われている過程にあり、再稼動について議論できる段階ではない。避難計画については国や県と協議し不十分な点を詰めていきたい。
・安全確保が先決
泉田裕彦知事の話
まずやらなければならないのは原発の安全確保だ。責任の所在を含め、福島第1原発事故の検証・総括が不可欠であり、それがなければ、再稼働については議論しない。原子力規制委員会には地域の安全をいかに確保するかという本来の目的を果たし、実効性のある対策を速やかに構築してほしい。
・・・なんか刈羽村村議会のビッグマウス的な請願に比べると、ボロを出さない巧みな請願ですかね。もっとも、柏崎商工会会頭というお人は「柏崎刈羽原発をさっさと再稼働させないと日本経済が破綻してしまう!」と常日頃喚いているそうですが(笑)。
●川内原発再稼働
基準を安全神話にするな
国際評価尺度で最悪レベルの過酷事故となった東京電力福島第1原発事故から4年5カ月、九州電力川内原発1号機(鹿児島県)が11日にも再稼働する。
事故を受け、地震や津波など自然災害の想定を厳格化した新規制基準の下では初めてとなる。
安倍晋三首相は「世界で最も厳しいレベル」の新規制基準に適合した原発について、再稼働させる考えをあらためて示した。
しかし、事故収束の鍵を握る汚染水対策は道半ばだ。廃炉への道筋は全く見えない。いまだに多くの人が避難生活を余儀なくされている。この4年余、実質的に変わりがないと言っていい。
基準は絶対の安全ではないことを原子力規制委員会は自ら認めている。基準適合を新たな「安全神話」とし、現実から目をそらすことは許されない。
◆火山活動を過小評価
川内1号機は11日に原子炉を起動した後、14日に発電と送電を開始し、9月中旬にも営業運転に入る見通しだ。
基準を満たしているとはいえ、懸念材料は少なくない。重要施設がテロなどの標的になっても、炉心の冷却を継続できる施設がまだ整備されていないからだ。
事故時に原子炉格納容器内の蒸気を外部に排出して損傷を防ぐフィルター付きベントも設置が猶予されている。これらに関わる重大な事故が起きたら、どう対応するつもりなのか。
火山を過小評価していることも大きな問題だ。
川内原発の周囲には、過去の巨大噴火で地表が陥没したカルデラが五つもある。川内原発の敷地内には噴火による火砕流とみられる痕跡が残っている。
巨大噴火は国内で1万年に1回程度起きるとされる。規制委は13万〜12万年前以降の活動が否定できない断層を活断層とし、その上に重要施設設置を認めていない。それより短い頻度である。
九電は巨大噴火の可能性は小さいと指摘、兆候があった場合、核燃料を運び出すので問題ないとの姿勢だが、噴火予測は現状では困難と専門家は口をそろえる。
福島事故で国会が設置した事故調査委員会は、事故を「明らかに人災だった」と断じた。自然の脅威を甘く見た結果、事故につながったことを肝に銘じるべきだ。
◆責任の所在あいまい
過酷事故が起きた際の避難計画が規制委の審査対象になっていないことも今後の課題だろう。
あらゆる事態を想定した避難計画がなければ、住民が無用の被ばくをする恐れがある。早急に策定を進めてもらいたい。
安全対策や避難計画をはじめ、わが国の原子力政策を通していえるのは、国、電力会社、立地自治体など、どこに責任の所在があるのかあいまいなことだ。
「トイレなきマンション」といわれる核のごみ問題もその一つである。使用済み核燃料は全国で約1万7千トンあり、原発の貯蔵プールは満杯に近づきつつある。
川内原発はまだ猶予はあるが、今後再稼働が進めば、3年程度で容量を超える原発も出てくるのは間違いない。
政府は使用済み核燃料を再処理し、ウランやプルトニウムを再利用する核燃料サイクルを目指す。
だが、青森県六ケ所村の再処理工場は稼働のめどが立っていない。再処理した後に出る高レベル放射性廃棄物の処分場選定は緒に就いたばかりだ。
自治体の応募から国主導で科学的に有望地を選ぶ方針に変えたが、反原発の世論は根強い。自治体の了解が得られるかは甚だ疑問だ。核燃料サイクルの前途は極めて多難といえる。
◆新増設の思惑のぞく
安倍首相は、原発への依存度を可能な限り低減させていくとの考えを再三示している。
しかし、2030年の電源構成比率は再生可能エネルギーが22〜24%に抑えられる一方、原発は20〜22%とした。
新規制基準で定めた原発の運転期間40年を超えるか、新増設しなければ到達できない数字である。原発輸出にも乗りだした。
経済を優先させた「原発回帰」にほかならない。福島事故後、ドイツやスイスなど脱原発にかじを切る先進国が相次いでいるのとは対照的と言わざるを得ない。
今夏の猛暑でも電力は足りている。温室効果ガス削減や電気料金の抑制といった課題があるのは確かだ。だが、省エネや再生エネの一層の推進と多様な技術革新で克服は可能だろう。
住民の平穏な暮らしと地域を奪う過酷事故は、もう二度と繰り返すわけにはいかない。脱原発に転換すべきだ。
熱気が体にまとわりつくような暑さが続く。郊外で風通しが良いはずの拙宅でもエアコンが欠かせない。気温35度以上を猛暑日と呼ぶようになったのは8年前だ。今や北から南まで至る所で観測されている
▼東京電力福島第1原発事故を受け、全国の原発は停止したままだ。しかし、歴史的といわれる猛暑でも、計画停電という言葉を聞かない。政府は4月の段階で夏の節電の数値目標を見送った。3年連続である
▼家庭や企業の節電、省エネが定着、電力消費量は減少し安定供給を確保できると判断したのだという。原発の稼働がゼロでも支障はないことを示していると言っていい
▼にもかかわらず、鹿児島県の九州電力川内原発1号機がきょう11日にも起動する。事故を教訓にした新規制基準下では再稼働第1号となる。川内原発の特徴は、周囲に巨大噴火でできたくぼ地が五つあることだ
▼その一つ、阿蘇カルデラは世界有数の規模で東西18キロ南北25キロにも及ぶ。想像を絶する噴火だったに違いない。鬼界カルデラを生んだ噴火では、南九州に人が戻るまで千年かかった。火山災害で原発が破壊され、大量の放射性物質が放出されたら人は戻れまい
▼川内原発敷地内には火砕流が押し寄せたとされる痕跡がある。ところが九電は巨大噴火の可能性は小さいとの見方を変えていない。噴火予測の技術はいまだ道半ばだ。経済の論理を優先するあまり、自然への謙虚さを忘れたらどうなるか。福島の現実をあらためて見詰めなければならない。
まぁ私にしてみれば、今更別に目新しさもなく、それこそ中学の頃から色々な書籍から得ていた情報を再確認するだけに過ぎない内容なのですが。
でもそれらの番組を見て今、何ともいえない気分になっているのも事実です。
いや、あの頃の軍部や政府等の支配者層はおろか、庶民も含めた日本人その者が、実は70年経った今も全然変わっていないことが、福1事故後の日本の様子からハッキリと分かってしまったからです。
ですから、今後再度原発で、重大事故が発生した場合、政府、電力会社、そして推進派がどう弁解というか理由にもならない理由を喚いて責任逃れを謀るか、そしてそれを庶民がなんとなく不問にしてしまうかが、簡単に予想できてしまいましたので・・・。
●柏崎刈羽 再稼働「認める」2首長
知事と9首長アンケ 慎重意見多く
九州電力川内原子力発電所(鹿児島県)に合わせ、読売新聞は東京電力柏崎刈羽原発(柏崎市、刈羽村)の再稼動について知事と半径30キロ圏内の9市町村長計10人にアンケートを行った。原子力規制委員会が安全審査を終えた場合、再稼働を認める考えを示した首長は「条件付き」を含めて2人しかおらず、多くは慎重な考えを示した。
■知事「議論せず」
原子力規制委は6日、柏崎刈羽原発6、7号機の審査を優先して進めることを決めた。申請から約2年を経て、審査は大詰めを迎えることになるが、必要な手続きを終えた場合に再稼働を認めるかを聞くと、厳しい回答が相次いだ。
泉田知事は、再稼働の「手続き論」をすると再稼働の是非に関心が集中し、安全確保の議論が散漫になりかねないと指摘。福島第一原発事故の検証・総括がない限りは「手続きを含めて議論しない」とした。
「原発事故の検証」は他の首長も指摘した。燕市の鈴木力市長は検証がされていないとして「再稼働のための議論以前の問題」と記載。十日町市の関口芳史市長も再稼働の議論は「検証が終わり事故原因が明確になってから」と答えた。
立地自治体の両首長は考えが分かれた。柏崎市の会田洋市長は、自治体や住民に説明して理解を得るプロセスが「不明瞭」とし、「今は判断できない」と回答。一方で刈羽村の品田宏夫村長は再稼働を認めるとし、「認めない理由が見あたらない」と答えた。
■「地元」範囲は?
地元同意の範囲については、複数の首長が定義のあいまいさを指摘した。
柏崎市の会田市長は「定義が不明瞭で法的な根拠がない」とし、「市として見解を持ち合わせていない」と回答。刈羽村の品田村長も「多分に政治的判断で、時の政府の考えに任せる」とした。「今後は同意の必要な自治体の範囲を法律で定める必要がある」(小千谷市・大塚昇一市長)との回答もあった。
■安全対策で注文
国への要望を聞いたところ、より一層の安全対策を求める意見が相次いだ。
泉田知事は避難計画について「高線量下での防災業務に従事する人が活動できる根拠法や賠償制度、財源措置などの解決なくしては計画の実効性は確保できない」と記した。
原発から変形5〜30キロ圏内の緊急時防護措置準備区域(UPZ)に位置する出雲崎町の小林則之町長は「避難することが困難な方もいる。UPZ圏内の医療施設や要配慮者が屋内退避するための設備の充実も必要」と答えた。
・・・この手のアンケートって、新潟日報がかなり前から頻繁に行ってきましたね。あれですかね?川内原発の再稼働が始まるまでは゛寝た子を起こすな゛でその手の記事は一切載せなかったが、まぁ再稼働が始まったのでここらで越後の田舎者共のガス抜きでもやっておくかwてなところなのでしょうか?(笑)
ちなみに、柏崎刈羽の再稼働を認めるとした2首長とは、刈羽村長と出雲崎町長です。皆さん、この二人の名と彼らが治めている自治体の名をよく覚えておきましょう。
●新基準自体を疑問視
本県有識者「柏崎原発とは別問題」
11日に再稼働した九州電力川内原発は、東京電力福島第1原発事故を受けて原子力規制委員会がつくった新規制基準を初めてクリアした原発だ。しかし、本県で東電柏崎刈羽原発の安全性に向き合ってきた関係者からは、新規制基準自体への疑問の声が上っている。「柏崎刈羽原発とは別の問題だ」。柏崎刈羽原発の運転差し止めを求めた住民訴訟の原告側弁護団長の和田光弘弁護士は言い切る。
和田氏は「東電は今後、川内原発が動いた実績や経済効果を強調し、柏崎刈羽原発の再稼働を早めたいと考えるだろう」とみる。だが、柏崎刈羽は耐震安全性など個別の問題を抱えているとして、川内の「実績」と関係なく、しっかり安全性を確認するよう求める。
今回の再稼働の前提となった新基準が、自治体の避難計画をチェックしないことにも疑問を呈す。「今の避難計画では大量の放射性物質が放出された際の移動方法も曖昧。機能しないのではないか」と懸念する。
柏崎刈羽原発の安全性を検討する県技術委員会の委員、立石雅昭・新潟大名誉教授(地質学)も規制委の新基準に疑問を抱く。
県技術委では、今も福島原発事故の原因について検証を続けている。「規制委の基準は福島事故の検証が不十分な中で拙速につくられた。それを基に原発を動かすことには安全性への危惧がぬぐえない」と話す。
地質の専門家として特に気に掛けるは、規制委が「妥当」と判断した川内原発の火山対策だ。巨大噴火を繰り返した火山が周辺に集中しているが。九電は「(巨大)噴火の可能性は十分小さい」と想定した。
柏崎刈羽原発は2007年の中越沖地震で、東電の想定を大きく上回る揺れに襲われた。
福島原発事故も想定を超える津波に襲われたことが原因とされている。「自然の力は先端技術による想定を超える可能性もある。もっと自然の怖さと向き合うべきだ」と訴えた。
●新基準を批判 泉田知事
九州電力川内原発1号機の再稼働を受け、泉田裕彦知事は11日午前の記者会見で、再稼働の前提となる原子力規制委員会が策定した新規制基準について「東京電力福島第1原発事故の検証と総括を実施しないで策定された規制基準では安全を確保できない」と批判した。
泉田知事は、川内原発の再稼動について「(九電と)安全協定を締結しているわけでもないのでコメントを控えたい」とし、直接の評価は避けた。
その上で、新規制基準は国際原子力機関(IAEA)が示す「深層防護」の考え方を一部満たさず、過酷事故への対応が不十分と指摘。
国に対しては「原発事故に対する最終責任の所在が明確になっていない。現行制度は無責任体制だ」と語った。
●「柏崎」の安全注視
柏崎市の会田洋市長のコメント
川内原発の再稼働は福島第1原発事故を踏まえた新規制基準に適合したものだが、詳細を知らずコメントは差し控えたい、銀視力規制委員会で審査が進められている柏崎刈羽原発6、7号機の安全確保について、注視していきたい。
●国には良いこと
刈羽村の品田宏夫村長のコメント
川内原発の再稼働は電力の安定供給に貢献するという意味で、国にとって良いことだ。柏崎刈羽原発はきちんと審査をした上で、所定の手続きを踏んで安全に動かせるのであれば動かすのは当たり前だ。
●知事「SPEEDI活用を」
規制委員長と面会
全国知事会の危機管理・防災特別委員長を務める泉田裕彦知事は24日、原子力規制委員会の田中俊一委員長と東京都港区の規制委で面会した。知事が原発事故時に、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)を活用するよう求めたのに対し、田中委員長は「混乱のもとになる」と懸念しつつも、自治体が自主的に使うことについては認める考えを示した。
泉田知事はこれまで、原発再稼働の前提となる原子力規制委の新規制基準や安全対策をめぐり、規制委を批判。原発の安全強化を訴えるため、田中委員長に面会を要請してきたが、実現していなかった。面会は公開で、約30分間行われた。
泉田知事は事故時に甲状腺被ばくを抑える安定ヨウ素剤について、放射性物質の放出前に配る必要があることを強調し、SPEEDIによる予測ができない場合、「どう対応していいか。自治体としては困ってしまう」と述べた。
これに対し田中委員長は「自治体がSPEEDIを使うのであれば構わない。否定するつもりはない」とした上で「福島事故の経験を踏まえ、避難に伴う(被ばくによる)二次的な被害を出さないよう、屋内退避や待避所を準備してもらいたい」などと応じた。
また、泉田知事は「知事会と規制委員会が恒常的に協議する場を設けて欲しい」と求めたが、田中委員長は「なかなか難しい。即答しかねる」と答えた。
このほか、泉田知事は各省庁が縦割りになっているため、原子力防災対策が不十分なままであることを指摘し、規制委が持つ勧告権を行使するよう求めた。しかし、田中委員長は否定的な考えを示した。
東京電力福島第1原発事故後、国は事故時の避難をめぐり、SPEEDIによる予測値ではなく、原発周辺のモニタリングの実測値に基づいて避難の判断をする方針に転換した。
一方、知事会は実測値が得られるのを待つと住民の被ばくリスクが高まるとして、SPEEDIの活用を盛り込んだ要望書をまとめた。
●規制委への不信感根強く
泉田裕彦知事が以前から強く望んでいた原子力規制委員会の田中俊一委員長との面会が24日、実現した。知事が規制委に不信感を募らせていた理由の一つが片付いた格好だ。政府も、知事が東京電力柏崎刈羽原発の再稼働論議以前に解決が必要だと指摘する課題をクリアしようとする取り組みを強めている。ただ、知事は面会後、「住民の生命や安全を守る観点がなかなか感じ取れなかった」と語り、不信感が根強いことが浮き彫りになった。
「地方自治体の声を聞く仕組みをつくり、対策を講じていただけないか」。知事は課題を図解した資料を持参し、田中氏に要望項目を説明した。
その内容は複合災害時の指揮命令系統の明確化や、高い放射線量下で住民の避難対応に当たる民間バス業者らの安全確保に関する法整備など、以前から繰り返し国に対応を求めてきたものだ。住民避難時の緊急迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の活用も、あらためて要望した。
田中氏は明確な回答を避ける場面もあったが、「具体的な方法を提言してもらえれば、内閣府と規制委でできるだけの対応をしたい」と回答。地方自治体の声を尊重する意向を示した。
自治体の避難計画策定支援を担う内閣府でも、泉田知事対策ともいえる対応が進む。内閣府の森下泰参事官は「泉田知事の指摘を踏まえ、対応している」と認める。
高い放射線量下における民間業者の安全確保に関して、内閣府は7月に有識者らによる検討会を設置した。複合災害時の指揮命令系統についても政府は、自然災害と原発事故それぞれの対策本部が合同会議を開いて意思決定することを防災基本計画に盛り込むなど、知事への配慮をうかがわせる対応を加速させている。
今回泉田知事が以前から強く望んでいた田中氏との面会も実現し、国は柏崎刈羽原発の再稼働に向けた環境整備を着々と進めているようにも映る。
ただ、泉田知事は慎重な姿勢を崩さなかった。面会後、知事は「現行法に矛盾が多々あることを認識してもらえたのは一定の前進」と評価したが、規制委や国の取り組みについては「対応できているという認識にはならない。福島事故の検証と総括が必要だ」と強調。再稼働論議に入る段階にはないとの従来の見解を繰り返した。
●知事・規制委員長主なやり取り
知事 「事前配布」指針に
委員長 柔軟に取り組んで
泉田裕彦知事と原子力規制委員長の田中俊一委員長との主なやり取りは次の通り
・泉田知事
避難計画を作る際の指針となる原子力災害対策指針と(民間業者の上限線量を定めた)労働安全衛生法との矛盾があり、計画が作れない状況だ。この辺は規制庁の仕事だと理解していいか。
・田中委員長
私の一存で決められることではない。労働安全衛生法は厚生省の所掌なので、よく協議しないといけない。
・知事
規制委が持つ勧告権を(各省庁に対して)行使していただけないか。
・委員長
一応私どもも持ってはいるが、それなりに意味のある勧告でないと、勧告しましただけで終わるのは本意ではない。
・知事
そうであれば、原子力災害対策指針の中に選択肢として(ヨウ素剤の)事前配布を加えて欲しい。
・委員長
指針はそこまで縛っていない。基本的な考え方を示している。知事や首長に柔軟に取り組んでいただきたい。
・知事
国が定めた指針に(表記が)ないと予算が取れない構造がある。指針に書いてないことを独自に行えば、自ら予算措置をしなさいということになる。
・委員長
お金の面で不可能だということはあってはならない。そのつもりで私も取り組んでいきたい。
・知事
地方自治体の声を聞く仕組みをつくり、対策を講じてほしい。
・委員長
地方自治体の声を聞けというのはその通りだ。各地から良いと考える方法を具体的に提言していただければ、できるだけ対応したい。
福1事故でSPEEDIを有効活用できなかった事を後で色々責められたので、今後原発事故が起きた場合にまた同じような事で責任を追求されるのを避けるため
だと勝手に勘繰っております。つまり、次の原発事故が起きる前に自分達にとっての不安要素を排除したのだと。
なんか今回の田中委員長の「自治体がSPEEDIを独自に使うのは別にかまわない」との発言はそれを裏付けているような気もします。
自治体が勝手に使うのであるならば、国や規制委の責任にはなりませんからね。
●原発避難計画
住民視点に立った議論を
原子力規制委員会が策定した新規制基準をクリアした、九州電力の川内原発(鹿児島県)が再稼働した。
東京電力福島第1原発事故後、原発から30キロ圏の自治体に避難計画の策定が求められ、川内原発周辺の自治体も計画を作った。
しかし、住民の命を守る避難計画は規制委の審査の対象外だ。川内原発の計画は多くの課題を抱えたままだが、政府が実効的だと了承し、責任の所在が曖昧なまま稼働した。
しかも、計画に基づいた避難計画は一度も行われていない。理由の一つが「九州電力が再稼働の準備で忙しいから」。住民軽視も甚だしい。
米国では避難計画が十分でない場合、原発を動かせないという。実際、避難計画が不十分なため廃炉になった原発もある。この違いは何なのだろうか。
柏崎刈羽原発も規制委の審査が続いている。柏崎市が策定した避難計画は、広域避難体制など10の課題を挙げた。市は計画を初版とし、今後改善させていく予定だ。
「実効性のある避難計画は作れるのか」。柏崎市の海岸沿いの町内会長が不安視する。避難路は二つしかない。雪の時や津波が来たらどうなるのか、中越沖地震のように山肌が崩れて通れなくなったら・・・。
多くの住民が不安視する避難計画のままでは、再稼働はあり得ない。稼働前に大規模な避難訓練を行い、疑問点を一つずつ解消することは住民の当然の権利だと思う。
柏崎市議会が原発に関わる調査特別委員会を設置した。避難計画を議論し、市に提言する方針だ。住民の視点に立った議論をお願いしたい。
(論説編集委員・高橋渉)
同日付新潟日報朝刊、読書投書欄「窓」より
●福島検証して避難計画を
上越市(※以下、投書者の、氏名、職業の記述は省略させていただきます)
柏崎市に隣接する上越市の原発事故避難計画の説明会に参加し、その内容にがくぜんとした。上越市の30キロ圏内の住民の避難先はおよそ原発から35キロの地域なのだ。そこは安全か?
規制委員会の指針に従い、県が策定した指針に基づくもので、「避難の対象は30キロ圏のみ。30キロ圏外は避難の受け入れ地域」つまり、「危険なのは30キロ圏内のみであり、30キロ圏外は安全」という新安全神話からできあがっている。
福島原発の30キロ圏外には全村避難の飯館村や自主避難者の多い二本松市、郡山市、そして、本紙の放射線量欄に事故から4年たっても毎日上越市の3倍の放射線量を記録している福島市がある。福島市は原発から60キロ離れている。
泉田知事の指示の下、県は福島の検証を進めている。しかし、それは再稼働議論の前提となる「事故原因」の検証だ。それより、停止していても起こり得る事故に備えた避難計画の前提となる、福島の「汚染状況、被ばく状況」を優先して検証すべきだ。福島の汚染状況、被ばく状況の検証なくして実効性ある避難計画の策定などできない。
●東電、設計図確認で不備
柏崎原発 保安規定違反の疑い
原子力規制庁柏崎刈羽規制事務所は29日、東京電力柏崎刈羽原発に対する保安検査で保安規定違反の疑いがある事例が見つかったと発表した。安全性に問題はなかったが、新規制基準の適合審査を受けている6、7号機での安全対策などの設計図について、国が認可した自社マニュアルの手順通りに実施していなかった事例が抽出して検査した12件のうち7件あった。
東電は要求した材料が使われているかなどを図面上で検証する必要があるが、規制事務所の平田雅己所長は取材に対し「極めてずさん。保安規定違反だと思う」と話した。規制事務所は不備がほかにないか東電に調べるよう指示した。
規制事務所によると、ケーブル耐火工事など3件では確定版の設計図で検証をしていなかった。緊急時に使用する配管の修繕工事など3件は、確認に使うと定めたものと別の図面で検証していた。外部から原子炉に注水する際に使用する電動弁の新設工事では、一部で確認の漏れがあった。
東電によると、7件は2011年の福島第1原発事故後に行った安全対策や新基準へ対応する工事で、14年3月末までに終了している。同様の工事は400件近く実施している。
保安検査は年4回実施され、今回は本年度2回目として8月31日〜9月11日に行われた。
検査結果は今後、原子力規制委員会で違反かどうか議論される。違反と判断された場合は改善が求められ、規制事務所が監視するなどの対応が取られる。
東電は「確認の手順をしっかりする認識が不十分だった。13年に社内の運用方法を改善しているので徹底したい」としている。
NHK新潟放送局のニュースサイトより
●知事「東電を信頼できない」
柏崎刈羽原発で、東京電力が国が求めている施設の安全対策工事の確認作業を怠っていたことについて、泉田知事は、「東京電力がみずから定めたマニュアルに基づく対応がなされていないというずさんな対応で、許されるものではない。このような状況では、東京電力を信頼することは困難です」とするコメントを出しました。
09月30日 16時54分
●知事、チェルノブイリ視察
18日から 柏崎再稼働に影響も
泉田裕彦知事は9日、チェルノブイリ原発事故の現状を視察するため18日から始めてウクライナを訪れることを決めた。1986年に事故を起こした4号機と周囲の状況を確認し、ウクライナ政府や医療機関の関係者らから話を聞く予定。知事は東京電力福島第1原発事故をめぐって東電への批判を繰り返しているが、今回の視察は東電柏崎刈羽原発の再稼働問題への対応に影響する可能性もある。
視察は知事のかねてからの希望で、今回、イタリアのミラノ万博で開かれる新潟米PRイベントに出席するのに合わせて日程を組み入れた。県議会も2013年8月に現地を視察している。
知事は「チェルノブイリ原発事故がその後どうなったか見てきたい。200万人が影響を受けたという報告書もあることから、実態を聞いてくる」としている。
知事はこれまで東電を厳しく批判し、柏崎刈羽原発の再稼動について「福島事故の検証と総括がなければ議論しない」と強調している。今回の視察に対して県議会の自民党議員からは「なぜ今行くのか分からない。原発が悪いと宣伝したいためか」「さらに東電批判を強めるのでは」との見方も出ている。
知事は18日に出国し、19日にチェルノブイリ原発を視察。4号機を覆う石棺や、ゴーストタウン化した周囲の状況を確認する。20日には首都キエフで非常事態省、国立放射線医学研究センター、国立博物館を訪問。子どもの甲状腺がんの状況を尋ねたり、事故の処理作業の様子を聞いたりする予定だ。
20日夕にウクライナをたちミラノ万博のイベントに出席、23日に帰国する。
・・・一昨年、県議団がチェルノブイリを訪問した事については、上の方で当時の新潟日報の報道を紹介してありますので、参考にしたい方は見てください。
まぁ、あの県議団の訪問は、あくまでも柏崎刈羽原発再稼働へ県議会としてお墨付きを与えるための布石みたいな物でしたからねぇ。これで帰国した泉田知事が、連中と正反対な事を言い出したら、大いに荒れる事になるでしょう。まぁそうなる可能性大ですが。
●チェルノブイリ原発視察
「県施策の参考に」
泉田知事 報告書作成の意向
泉田裕彦知事は30日の記者会見で、19、20日の両日に視察したウクライナのチェルノブイリ原発について「厳格な放射能管理をしていた」などと指摘。「県の施策の参考にしたい」と述べ、報告書にまとめる意向を示した。
会見で知事は、ウクライナでは地下水汚染の問題が生じなかったことや放射性物質の飛散防止対策が講じられていること、廃炉に携わる作業員が英雄として扱われていることなどを強調し、「(爆発事故から)30年を経て、以前と厳格な放射能管理をしている。(政府は)影響を受けた人に対する(補償)制度を作っている。地下水については汚染が広がらなかった」などと感想を述べた。
県は11月中にも報告書をまとめる方針。
泉田知事はイタリアのミラノ万博への出席に合わせて、1988年に史上最悪ともいわれる爆発事故を起こしたチェルノブイリ原発を視察。石棺で覆われた4号機や首都キエフのウクライナ政府などを訪問し、原発事故の影響のほか、その後の対応状況について関係者と意見交換した。
●福島原発
被ばく量を懸念 視察に慎重方針
泉田知事
爆発事故を起こした東京電力福島第1原発の視察について、泉田裕彦知事は30日の記者会見で「1日で8ミリシーベルト被ばくする。チェルノブイリ(原発)に行っても千分の一だ。漠然と見に行くのがいいのかどうか」などと述べ、慎重な姿勢を示した。
泉田知事は18、19日の両日にウクライナのチェルノブイリ原発を視察し、その際、県議会から「福島第1原発に行かないで、なぜ先にチェルノブイリなのか」といった疑問の声が上っていた。
会見で泉田知事は、今後福島第1原発を視察するかどうかを問われ、「チェルノブイリは放射能を管理しているせいもあり、被ばく(量)は8マイクロシーベルトくらいかなと思う」と指摘。その上で福島第1原発を視察した県技術委員会の委員は「1日で8ミリシーベルト被ばくした。チェルノブイリに行っても千分の一だ」と述べた。さらに福島事故の収束作業で15.7ミリシーベルトの被ばくをした後に白血病を発症した男性が労災認定された事例を挙げ、「リスクをどう考えるのか。さまざまな要素を含めて判断が必要だ」と話した。
●原発交付金4億円減
柏崎市 経産省見直し受け試算
電源3法に基づいて柏崎市に交付される電源立地対策交付金が2016年度は約4億円減るとみられることが5日、分かった。経済産業省が交付金の算定基準を見直す方針を打ち出したことを受け、柏崎市が減額幅を試算。同日の市議会原発調査特別委員会の部会で報告した。
東京電力柏崎刈羽原発は現在、全7基が停止している。経産省はこれまで停止中の原発は、全国一律で81%の稼働率とみなして算定してきた。来年度以降は稼働実績に応じて計算する方針だ。柏崎刈羽原発は福島事故の前年までの10年間も、トラブル隠しと中越沖地震で全号機が停止した時期があり、稼働率は50%を割り込む。市の試算では、本年度約25億円あった交付額は来年度約4億円減る。
経産省資源エネルギー庁は、制度変更について「原発を再稼働する自治体が出てきた。稼働率の差による公平性を確保するため」としている。柏崎市の本年度の一般会計当初予算額は496億円。市幹部は「交付金は一般財源と同じ扱いなので4億円は大きい。来年度の事業を精査しなければならない」と話した。
・・・そう、確かに4億円という額は大きいです。それがゆえに、今後柏崎市が、形振り構わぬ原発再稼働容認に進むのが、容易に想像できますね。
●チェルノブイリの放射線量「福島の1000分の1」
知事発言 波紋広げる
「差別につながる」批判も
泉田裕彦知事が10月30日の記者会見で、自身が視察したウクライナ・チェルノブイリ原発での被ばく放射線量は事故を起こした東京電力福島第1原発の「千分の1」だとした発言が波紋を広げている。史上最悪とされる原発事故を起こしたチェルノブイリ原発より福島原発の方が危険だと取られるためで、インターネットのツイッターでは「誤解を与える」と批判が相次いだ。福島事故の影響を調べている専門家は「福島の差別につながりかねない」と指摘している。
知事は事故から30年近くたつチェルノブイリ原発を10月19日に視察したが、2011年3月に事故を起こした福島第1原発には行っていない。福島事故に関連して東電や原子力規制委員会を厳しく批判しつつ現地視察には赴かないことに、県議会などでは「なぜか」と疑問の声が出ていた。
30日の記者会見でも福島原発視察の意向を問う質問が出され、これに対して知事は「県から(福島第1原発に)派遣した調査委員の先生は、1日で8ミリシーベルト被ばくしている。チェルノブイリに行っても(被ばく線量は福島第1原発に比べ)千分の1だ」と発言。
さらに福島事故の収束作業で15.7ミリシーベルトの被ばくをした後に白血病を発症した男性が労災認定された事例をなどを説明した上で、「ただ漫然と見に行くことがいいのかどうか」と、視察に慎重な姿勢を示した。
こうした発言を報じた新潟日報の記事を引用する形で、波紋が広がった。
ツイッターでは「福島原発の視察がチェルノブイリ原発の視察よりもずっと危険であるかのような誤解を与える」との意見が出た。
福島第1原発1号機の炉心に近い場所に入った県の技術委員の被ばく線量と、炉心には近づけないチェルノブイリに被ばく線量とを単純に比べることは「不適切」との批判が上る。
「被ばくとの因果関係が証明されなくとも労災認定される白血病の例を挙げ、視察のリスクとする発言も誤解と差別を広げる」との訴えも載った。
知事の発言について、社会学者の開沼博・福島大学特任研究員は「被災者の神経を逆なでするものだ。福島への差別にもつながりかねない。福島の被災地を利用している」と影響を懸念する。
発言が波紋を広げたことについて、新潟日報が今月5日の記者会見で知事に所感を聞いたが、明確な回答は得られなかった。
・・・これをきっかけに「泉田降ろし」が始まらなければよいのですが・・・。
しかし、個人的にいつも疑問に思うのはチェルノブイリについて「史上最悪の原発事故」と銘打つ事です。これって、福1事故はチェルノブイリよりは遥かに軽微なものに過ぎなかった、と言っているようで。何か違和感を感じます。
事態を収束させ、石棺による封じ込めに成功したチェルノブイリに比べ、収束は今だ実現せず、汚染水はだだ漏れ、それどころか事故を起こした原子炉内の様子すら把握できていない・・・
これのどこがチェルノブイリより軽微だといえるのでしょうかね?
●原発停止「影響ない」67社
柏崎・刈羽100社 本社調査
定期的受注1割余
東京電力柏崎刈羽原発が地域経済に与えた影響や貢献度を調べる目的で、新潟日報社は12日までに、地元企業100社を無作為抽出して聞き取り調査を行った。現在、柏崎刈羽原発は全7基が停止中だが、3分の2の企業が、全基停止による売り上げの減少について「ない」と回答し、経営面への影響を否定した。1号機が運転を始めてから今年で30年となったが、原発関連の仕事を定期的に受注したことがあると答えた地元企業は1割余にとどまった。30年間で会社の業績や規模が「縮小」したとの回答が4割を超え、原発の存在が地元企業の成長にはつながっていない実態も鮮明になった。
東電福島第1原発事故後、柏崎刈羽地域では、原発が約3年9カ月にわたって停止している。このため、経済界を中心に地域経済への影響が指摘されている。地域経済活性化の期待から原発の早期再稼働を求める声があるが、柏崎刈羽原発の再稼働が地域経済を押し上げる原動力となるかどうかについては、疑問符が付く結果となった。
調査によると、原発の長期停止によって売り上げが減少していると答えた社は33社で、現象はないとする社は67社に上った。売り上げが減少したと回答した33社のうち、具体的な減少額については1社が「5割」と答えた。次いで6社が「1〜3割」とし、それ以外は「1割未満」「分からない」などだった。
また、原発の再稼働をしてほしいかとの問いには、66社が「はい」と答え、「いいえ」が16社、「判断できない」「どちらでもいい」が合わせて18社だった。
原発関連の仕事を定期的に受注したことがあるという社は14社、何回か受注したことがある社は20社で、合計しても全体の3分の1にとどまった。
1号機営業運転開始から30年間で、会社の業績や規模がどう変化したとの問いには4割余りが「縮小した」と答え、「拡大した」を上回った。
特に原発の恩恵で拡大したという企業は少なく、原発が地元企業の成長にほとんど結びついていない実態も浮かび上がった。
調査は柏崎商工会議所の会員などを対象に10〜11月に実施。柏崎刈羽原発1号機が営業運転を始めた1985年以前に創業した企業を対象に、柏崎市の産業別就労人口(2010年国勢調査)の割合に応じて産業別に無作為抽出した。
(以下略)
・経済効果の検証必要
(解説)
柏崎刈羽地域の地元企業100社調査では、原発が地元企業に及ぼす経済効果は限定的であることが浮き彫りになった。東京電力福島第1原発事故後の再稼働論議では、九州電力川内原発など各地で「長期停止で地元経済が疲弊している」と言う説が自明の前提のように語られてきた。そうした説は具体的な根拠に基づかない゛神話゛だったと捉えることができる。
柏崎刈羽地域が原発を誘致したのは、地域経済活性化への期待だった。6月、柏崎商工会議所が中心となり、柏崎市議会に提出した早期再稼働を求める請願は「運転停止による負の影響が市内全業種に及んでいる」と強調されていた。
ただ、原発が地元企業の経営にどの程度影響してしているのかという調査実例は少なく、原発立地地域では、原発と地域経済は密接な関係にあると考えられてきた。しかし、今回の調査では立地地域でも、経営上、原発関連の仕事に大きく依存する企業は少ないという結果が出た。
柏崎刈羽原発6、7号機は、再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査が終盤に入っており、来年は再稼働論議が本格化するとみられる。原発は地域経済の発展に貢献するのか。そもそも原発は必要なのか。今後、これらを議論するためには、冷静かつ正確な現状把握と、事実の客観的な分析から始める必要がある。
●柏崎・刈羽100社調査
関係の薄さ浮かぶ
長期停止 影響は限定的
新潟日報社が行った柏崎刈羽地域の地元企業100社への聞き取り調査から浮かび上がったのは、柏崎刈羽原発と地元企業との関係の薄さだ。福島第1原発事故を受けた3年9カ月にも及ぶ柏崎刈羽原発の長期停止も、地元企業へのダメージは限定的だった。
調査では原発着工から30年以上の間、原発関連の仕事を受注したことが「ない」「記憶する限りない」と答えた社がサービス業、卸売・小売り業を中心に全体の3分の2となる66社に上がり、原発立地地域の企業が原発関連の仕事を受注するケースが少ない実情が分かった。
こうした背景があるため、原発の長期停止の影響を感じていないと答えた企業が多かった。
原発全7基停止による売り上げの減少は「ない」と回答した企業も67社で。やはり3分の2だった。
長期停止の影響を感じていない企業の中には、原発関連の仕事を定期的に受注したことがある14社のうち9社も含まれていた。
影響がない理由について、機械器具製造業の社長(54)は「原発が止まっていても、仕事の発注は止まっていない」と話す。原発構内の仕事がある建設業の社長は「むしろ売り上げが3〜5倍に伸びている」と明かした。
残りの5社は、全基停止による影響が「ある」と答えた。ただ、年間売上高に占める売り上げ減の割合は「5%に満たない」(農業)、「1%以下」(建設業)などと見立てており、決して大きくはないようだ。
一方、原発関連の仕事をこの30年間に「定期的に受注」「何回か受注」と答えた企業計34社のうち、多くの社の受注額が年間売上高に占める割合は低かった。原発関連が売上高全体の6割以上という社が3社、1〜4割という社が7社あったが、20社は「数パーセント」「わずか」などと答えた。
地域経済に対する原発の貢献度は決して大きいとは言えないにもかかわらず、再稼働を望む企業の多くが「原発が動けば、柏崎が活性化する」と期待する。柏崎市の経済団体が6月に市議会に提出し、採択された請願でも「柏崎地域の今後の振興・発展を望む上で原子力発電所の正常な事業活動は重要である」として早期再稼働を求めている。
しかし、冷めた見方もある。日本経済のために再稼働が必要と考える60代の建設業社長は「原発の再稼働で町が活性化するなんてことはない。(経済の疲弊は)単純に人口減少と高齢化が原因だ」と言い切った。
●関係者インタビュー
新潟日報社が柏崎刈羽地域の企業100社に対して行った聞き取り調査の結果について、地域経済のかじ取り役を担うトップ2人はどう受け止めるのか。柏崎商工会議所の西川正男会頭、柏崎市の会田洋市長に聞いた。
・柏崎商工会議所会頭 西川正男氏
減収で危険信号の会社も
−柏崎地域経済の現状をどう捉えていますか。
「決して良い状況ではない。原発が止まっている影響がすべてだとは思わないが、原発関連の仕事をしている人もいる。影響はゼロではない」
−原発停止に伴う売上高の減少幅について、5割以上だったのは1社、1〜3割が6社でした。
「1〜3割といっても大きな数字。普通は3割も落ちたら危険信号となる。数は多くないかもしれないが、(売上高の)減少はあるということだ。
−柏崎刈羽原発が再稼働した場合、売り上げが増えると考えている社は23社でした。
「商工会議所の景況調査では製造は上向いてきているが、卸・小売りやサービスは伸びていない。業績が良くないから、再稼働に期待感を持っているのだと思う。現在行われている原発の安全対策関連工事が終了し、(再稼働して)通常の運転サイクルに戻ると、原発関連の労働に従事する人数は減るだろう。そう楽観できない」
−再稼働を求める声が66社という数字はどう受け止めますか。
「ほとんどが(商議所の)会員だと思うと少ないかもしれない。今までなら再稼働に賛成だった人が、東京電力福島第1原発事故後に『分からない』などに変わったのだと思う」
「原発にも寿命がある。原発運転終了後の地域経済の在り方について、真剣に考えなくてはいけないことに気が付いている人は増えている」
−柏崎刈羽の経済界は今後何をすべきだと考えますか。
「原発の運転終了後の街づくりを商議所自体も考えないといけない。まずは原発があることや、原発関連の財源を使って地域活性化を進めていく必要がある」
・柏崎市長 会田洋氏
産業界全体には波及せず
−柏崎刈羽原発は地域経済にどの程度貢献したと受け止めていますか。
「原発の建設が進んだ一時期は、地域経済や市の財源にとって非常に恩恵があった。その後も一定の波及効果はあったが、柏崎の産業界全体でなく、ある程度限定的なものだったとも言える」
−いま原発は長期間止まっています。100社調査では、その影響で売り上げが減ったという企業が3割以上ありました。
「もちろん原発が止まっている影響も一部にある。ただ地域経済の厳しい状況が続いている原因は、それがすべてではない。日本経済全体の立ち直りが地方の中小・零細企業に及んでいない影響の方が大きい」
−原発構内で働く作業員の数が「減っている」という回答がありました。
「今の原発は発電していないが、常に(設備を)動かしている。補強したり、工事したりで作業員は大勢いる。平常時と同じか、多いくらいだろう。『作業員が減ったから経済が大変だ』という声を聞くが、それは正しくない」
−地元企業の回答では、原発の再稼働を願う声が3分の2を占めました。
「市民全体の意向とは違う結果だと思う。経済が停滞していることへの不安感から、その停滞が原発停止に起因しているという思いが強く出ているのだろう」
−再稼働の是非を判断するに当たって、住民投票を行う考えはないのですか。
「賛成と反対でまちを二分しかねない。慎重に考えなければならない」
−今後のまちづくりの在り方をどう考えますか。
「将来的には原発に依存しないまちにしていかなければならない。そのためにも今から、原発に変わる産業おこしや、地場産業の活性化を親権に考えたい」
・・・柏崎商工会議所の会頭。このオッサン、原発再稼働に関連した集会などではどのような発言をしているのかを伝え聞いている者としては、「なにを今更言ってんの?誤魔化しようのないツッコミをされたら、自己保身もかねた事を言い出しやがって!」と思いますね。稀代の詐欺師というか、山師というか・・・。なんか、「はだしのゲン」の町内会長を思い出しますな。
●成長基盤になっていない
藤堂史明・新潟大経済学部準教授
新潟日報社が実施した柏崎刈羽地域企業100社への聞き取り調査結果について、原発と経済の問題を研究する新潟大学経済学部の藤堂史明準教授(43)に聞いた。
−調査結果から、どんなことが読み取れますか。
「地元企業の業績に対する原発の貢献度は思ったより低かった。それにもかかわらず、再稼働を積極的に進めてほしいとの答えが多い。原発が地域経済にプラスの影響を与えるという思い込みが形成されているのではないか」
−原発には地域経済への波及効果があると答えた企業は多い。
「原発の維持にかかわる作業員の購買行動によって売り上げが増えたと感じているようだ。ただ、その効果について、多くの企業は売り上げの1割にも満たないと答えている。地域経済を支え、成長させる基盤にはなっていないと感じる」
−今回の調査では、事故のリスクと、経済への恩恵との関係で悩んでいる思いをよく聞きました。
「ひとたび重大事故が起きれば、一般企業には膨大な損失が生じ、再起は難しい。それを上回る恩恵などあるのか。今、事故が起こりうるという前提で安全対策や防災対策が行われている。事故が起きないという安全神話の上で『恩恵がある』と言うのは、経済神話とも呼べる主張だ」
「もし本当に事故が起こらなかったとしても、原発には長期的に地元経済を拡大するという効果はないということが今回の調査で明らかになった。それは、30年前に比べて規模・業績が『縮小した』と答えた企業が多いことからも分かる」
−それでも、やはり再稼動効果への期待は高い。
「再稼動によって原発作業員が増えることに期待しているようだが、それは原発が止まる前にもあった経済効果。再稼動しても地域経済へのプラス効果はごく限られたものだろう」
http://www.pref.niigata.lg.jp/genshiryoku/1356828270087.html
はい、県内のどこにいようと、たとえベントシステムのフィルターを使ったところで、風向きしだいで皆被ばくし、その土地が汚染されてしまう事が確認されましたね(乾笑)。
あと気になるのが、最近相次いで、原発から30キロ圏内の自治体が重大事故時の避難計画の策定を終え、公表しましたが、どの自治体の計画も、住民の圏外への避難手段が、自家用車の相乗りとなっているのです。これって事故時に幹線道路に何の問題もなく、渋滞などが一切発生しないというある種の神話に基づいているとしか思えないのですけど。中越、中越沖地震の時はどうだったのかを忘れているとしか・・・。
さらに、今、30キロ圏内の自治体が足並み揃えて避難計画の策定を終えたということ自体、来年中に規制委員会の審査が終了する柏崎刈羽原発の、この先1、2年内での再稼動を見据えた結果ではないかと勘繰っています。つまり、30キロ圏内の自治体が、国から何が何でもこの先1、2年内に再稼動させると裏で通知を受け、ケツを叩かれた結果がこれではないかと?
結局、原発が地位経済に貢献するのは、建設時に、それも土建屋さんが儲かるくらいで、実際に稼働を開始した後は、ごく一部の保守・点検を請け負う会社しか儲からないとのことです。地元の製造業が原発関連の仕事を求めても、要求される精度などが厳しすぎて、結局中央の大手メーカーにしか発注が行かないとの事。さらに、儲かっている保守・点検会社とて、社員を地元住民から雇用しているとは限らないというのがなんとも(苦笑)。
結局、柏崎市の経済の発展や人口の増減は、原発のない他の地域と何ら変わりない物だったそうで・・・。
推進派だった前柏崎市長が、新潟日報社からそのデータを見せられて、絶句しておりましたわ・・・。
まぁ原発再稼動なんて、自分が以前から指摘しておりましたけど、実は国益というか、政治家と官僚、それと彼らの大事な金蔓である産業界、特に電力会社の利益のために過ぎないわけで。いいかげん、政府も読売新聞も本音をズケっと言ったらどうなんでしょうね?「それらのためには何が何でも原発は再稼動させる。だから立地地域住民はいざという時には死んでくれ」と。
しかし、事故や殺害で人が死ぬと大騒ぎするのに、国益による殺人には目を瞑るどころかむしろはやし立てるマスコミ・・・胡散臭いったらありゃしませんな。
しかし、事態は悪い方向に向かっておりますわ。新潟県議の8割が条件付きも含めて、柏崎刈羽原発の再稼動に賛成しているそうです。特に自民党県議連は「柏崎刈羽の再稼動は日本のためだ!」息巻いているとの事。あれれ?いつの間にか「県経済のためだ」とは言わなくなりましたね?(笑)
こうなると、泉田知事も苦境に立たされるでしょうね。かつて田中康夫氏が、長野県知事時代に、ダムという物をめぐって議会と対立し、知事を続けられなくなったように。このまま行くと、泉田さんは次期知事選には出馬しないんじゃないですかね。まぁそうなれば、国にとっては願ってもないことでしょうけど。
しかし、自民党新潟県連の連中が「柏崎刈羽原発の再稼動は日本のためだ!」と息巻いているそうですが、これって「日本のためには新潟県が滅んでも構わない。自分達はそれに殉じる覚悟はできている」と言っているのも同然だと思うのですけど。
あと、以前東電社長が、新潟日報のインタビューで話しておりましたけど、電力自由化の暁には、東電も新潟県向けの特別格安料金プランを引っさげてこちらに乗り込む方針なのだそうです。つまり、「新潟県民のあなたとて、わが社の電気を使っている以上、柏崎刈羽の再稼動には文句は言わせませんよ」という風に持っていきたいのでしょうね。
●原発は必要か 検証経済神話(1)
人口は増えたのか
全県より減少幅大きく
人口が10年間で倍近くに増える−柏崎市が゛人口倍増構想゛を打ち出したのは、戦後初のマイナス成長となった1974年のことだった。
当時の人口は約8万人。市がこの年に発表した「長期発展計画」の基本構想では、85年度の人口が最大で14万6千人に増えると推計した。
74年は1年前の石油危機が国内経済に影を落とし、高度経済成長が終わったとされる年でもある。県の長期展望は逆に、柏崎圏域の人口は85年に向って暫減すると見込んでいた。市が強気の推計を出した理由は何か。
「原発の設置を前提とした計画だった」
そう明かすのは元収入役の田中哲男(82)。80年代、市企画調整課長として長期発展計画の策定を担ったこともある。
市が計画を策定していた70年代前半、東京電力柏崎刈羽原発の立地計画は着々と進み、原発に対する期待感は強かった。
ただ、田中は言う。「現実の人口推移からは出るはずのない数字だが、原発が来て産業が振興し、雇用も所得も増えると見込んだ」
現実は違った。
原発建設期の87年から5年半、柏崎市長として原発財源を活用した都市基盤整備に力を入れてきた飯塚正(87)も現実とのギャップに戸惑う。
「思ったほど人口は増えなかった。産業も全然。どういうわけか(期待とは)みんな逆さまになった」自宅の一室でつぶやいた。
飯塚が指摘する通り、旧柏崎市域の人口は2015年12月末、1974年以降で初めて8万人台を割り込んだ。市は約8万7千人いる現市域の人口が、2060年には4万2千人台にまで落ち込むと推計する。
原発のプラス効果がなかったわけではない。1978年から97年までの原発建設期、柏崎市はほとんどの年で転入者数が転出者数を上回った。人口が同規模で、転出者が多かった三条、新発田の両市との違いははっきりしている。
ただ、柏崎も全7基完成を翌年に控えた96年以降、転出者数の方が多い状態が続く。
結果として、柏崎の人口総数は75年〜2015年で7.0%減少した。同時期に県全体では2.3%減、三条で3.6%減、新発田は微増。柏崎の減り方は激しかった。
地域経済を人口の観点から研究する日本総合研究所主席研究員、藻谷浩介(51)はこう指摘する。
「データを見れば原発があることだけでは転入者の数が増える要因は見当たらない・人口増加に貢献していない」
(文中敬称略)
●原発は必要か 検証経済神話(2)
雇用は生まれたか
建設期も伸び目立たず
原発が地域に多くの雇用をもたらすと信じている人は少なくない。実際はどうか。
東京電力柏崎刈羽原発の建設は1978年に始まった。新潟日報社は、柏崎市の72〜2012年の40年間にわたる民間事業所の従業者数(臨時雇用者を含む)を調べた。人口がほぼ同規模の三条、新発田の両市と比べると、3市とも推移がほぼ同じという興味深い結果が浮かび上がった。
しかも、1978〜97年の原発建設期も柏崎に際だった伸びはなかった。
「原発がない他の市と同じ歩みになるなんて…」
本社がまとめた各種統計データを見た前柏崎市長の西川正純(72)は一瞬、絶句した後につぶやいた。
原発建設が続く92年から3期12年、市長を務めた西川は全国で初めて使用済み核燃料税を導入するなど、原発行政に詳しい。原発に出勤する作業員の長い車列を実際に見て、原発が地元の雇用を支えていると実感していたという。
それを否定するデータを前に、西川は何度も首をひねりながらも、認めた。
「加工されていないデータだけに、反論する根拠を見つけるのが難しい」
ただ、原発が一定の雇用を生むことは確かだ。構内には東電社員約千人が常駐する。これに原発構内で働く作業員の数が加わる。
東電によると、ことし1月現在の作業員数は約5600人だった。そのうち柏崎市内在住者は約4割の2400人強だという。
だが、このすべてが柏崎に生まれた雇用とはいえない。東電社員をはじめ、県外から一時的に住所を移した人が含まれるとみられるからだ。
新潟日報社は柏崎刈羽原発構内に事務所を構え、原発の作業を請け負う会社を中心に、地元採用者数を聞いた。
本社が東京でも「従業員の多くが地元採用」と話す社は複数あった。東電から空調設備工事などを受注する清田工業(東京)の柏崎事業所長、川口卓也(46)は「常駐者8人のうち5、6人は柏崎市と長岡市の出身」と話した。一方、回答拒否や、「分からない」という社も多く、実態は不透明な部分がある。
原発内の仕事が増えても、地元の新規雇用に直結しないことを示すデータもある。
2007年の中越沖地震後の復旧工事では、09年に構内作業員数が月8千人超と建設期をしのぐ水準となった。原発が順調に稼働していた06年は約4千人だった。
しかし、市内従業者数をみると、06年に比べて09年は約700人の増加にとどまる。
データが物語るのは、東電が公表する構内作業員数が、地元からの雇用を正確に反映していないということだ。
原発と地域経済の関係を研究する京都大大学院教授の岡田知弘(61)=地域経済学=も、月単位で構内作業員数が大きく増減する原発に「安定的な雇用を生む効果はない」と指摘し、続けた。
「原発は完成すれば、基本的に保守管理に関する雇用しかない」
(文中敬称略)
●原発は必要か 検証経済神話(3)
産業に貢献したか
持続的な発展 期待外れ
東日本大震災の翌年である2012年、柏崎市の経済規模を示す「市内総生産」が急減した。前年の2割にあたる約781億円が失われた。
柏崎と人口がほぼ同規模の新発田、三条の両市は1%未満の減り幅だった。
柏崎で何があったのか。
「東京電力の売上高が減った」。データをまとめた県統計課は説明する。
柏崎市の総生産額のうち、「電気・ガス・水道業」部門に、柏崎刈羽原発の発電量分が入っている。震災に伴う東電福島第1原発事故を受けて柏崎刈羽全7基が順次停止したため、この部門だけで864億円も減ったのだ。
その他の産業の総生産額を合計すると、12年は逆に前年より2.6%増えていた。
新潟日報社は柏崎の地域経済の実体をつかむため、東電の発電収益に大きく左右される「電気・ガス・水道業」分を除いた市内総生産額の推移をまとめた。そこに浮かび上がったのは原発の効果よりも、新発田に追いつかれ、三条に引き離されるという厳しい現実だった。
「柏崎はもともと、新発田や三条と比べて商圏の規模で劣っていた。原発建設期には何とか力を付けたのだが、完成後に失速してしまった」
悔しそうに振り返るのは、柏崎商工会議所の元専務理事、内藤信寛(76)。40年以上も勤めた商議所で原発立地をばねに地域を発展させようと尽力してきた。
失速の原因は、原発建設期の「特需」がなくなった後も発展できるような産業を育てられなかったためとみる。
「製造業などに、原発の定期検査の仕事に参入するよう呼び掛けたが、乗ってこなかった」。内藤は、市の基幹産業である製造業が原発の存在をほとんど活用できていない実情を嘆く。
一方、製造業者たちには複雑な思いがある。
市内で金属製品を製造する阿部製作所の社長、阿部孝一(66)は30年以上前の苦い思い出をはっきりと覚えている。建設中の原発で大手プラントメーカーの担当者に「何か手伝える仕事はないか」と相談したときのことだ。
担当者はこう本音を漏らしたという。「市や商工会議所に『地産地消』と言われて地元業者のバルブを使っているが、本当はそんなところのは使いたくないんだ」
阿部は淡々と語る。「地元とは付き合いたくない−と言いたかったのだろう。ひどい言い方だった。それからは原発の仕事をもらおうと思ったことはない」
新潟日報社が昨年12月にまとめた柏崎刈羽地域の地元企業100社調査でも「原発の仕事は手続きが煩雑で小さな会社には無理」などと参入を諦めたケースが複数あった。
柏崎では、原発が地元企業を巻き込むことで、地域の産業全体が発展することが期待されていた。しかし、高度な技術と管理が求められる原発は、地域産業の持続的な発展に貢献する存在ではなかった。
(文中敬称略)
●原発は必要か 検証経済神話(4)
波及効果はあったか
利益の地元循環見えず
東京電力柏崎刈羽原発の停止による柏崎市の経済的損失は「約3400億円」とする試算がある。
地元の新潟産業大講師、宇都宮仁(35)が2014年柏崎商工会議所の依頼を受けてはじき出した数字だ。
この試算が今月、柏崎市議会で物議を醸した。
8日、市議会が原発の経済効果を調べる目的で開いた研修会。外部有識者として招かれた宇都宮は力を込めた。
「原発停止の地域経済への影響は大きい」
だが、原発の経済効果に懐疑的な議員から疑問が続出すると、歯切れが悪くなった。
「あくまでも試算。必ずしも実態とは一致しない」
再稼動を望む地元経済界にとって追い風といえそうな試算だが、再稼動に慎重な市議は「数字が独り歩きしかねない」と懸念する。
新潟日報社は、この試算について、同様の手法で地域経済を分析したことがある複数の専門家に意見を聞いた。
「原発が市外に電力を売って稼いでいるという前提の計算だ。だた、実際は東京に流れている利益が相当ある」
東日本大震災の被災自治体の経済状況を分析した経験がある立命館大教授、本田豊(64)はそう指摘する。
東電の本社は東京にある。実際に東京の本社に流れた利益が、柏崎にどの程度戻って波及するかは「試算から明確に見えない」と本田は言う。
観光地の経済波及効果を試算したことがある京都大大学院教授、岡田知弘(61)は「(原発の場合)地域で生み出された価値が地域で循環しない」とみる。その上で試算方法自体を批判する。
柏崎市内の企業に対し「どこから何を仕入れ、どこで販売するか」を聞き取るなど「現実の根拠となるデータ」で補強されていないからだ。「実態と隔たりがある間違った計算だ」とした。
宇都宮は取材に対し、岡田が指摘したような調査はしていないと認め、「地元に落ちるはずのお金がどれだけ失われるのかまでは分からない」と話した。
実際、柏崎刈羽原発は地域にどれだけの波及効果をもたらしてきたのか。
新潟日報社は、地域の消費と密接につながる小売業の年間販売額について、原発建設が始まる前の76年から2012年までの柏崎市の推移を調べ、人口が同規模の三条、新発田の両市と比較した。
柏崎は1978〜97年の原発建設期も三条、新発田とほぼ同じ推移だった。全基が停止した2007年、12年も三条、新発田と比べて目立った落ち込みはなかった。
本社が行った各種統計データの分析でも、原発建設期に建設業への一時的な恩恵が見られたが、サービス業と卸売・小売業の市内総生産額は三条、新発田の推移とほとんど変わらなかった。
本社と共同で分析した新潟大準教授、藤堂史明(43)はこう見る。
「原発による経済効果は建設業には一時的にあったものの、その他の業種に波及せず、雲散霧消してしまったようだ」
(文中敬称略)
●原発停止の経済的影響試算
地元への波及 未解明
新潟産業大の宇都宮仁講師が示した「約3400億円」という数字は、東京電力柏崎刈羽原発の再稼動に伴う柏崎の地域経済全体への波及効果を示した試算ではない。あくまでも、再稼動によって柏崎市内にある事業所の生産活動がどれだけ促されるのかについて、金額で示したものだ。実際に、その生産活動で得られた収益が、どこで使われてどこに波及効果を及ぼすのかまでを詳細に追ってはいない。
今月8日に宇都宮氏が市議会の研修会で試算を説明した時も、複数の市議から「どの程度、地元に波及するのか」とただす質問が相次いだ。宇都宮氏は「分からない」と答え、議論はかみ合わなかった。
こうした状況を招いた原因は、宇都宮氏が「柏崎経済への経済波及効果」と題して「約3400億円」という数字を発表したからだ。地元経済界や市民にもたらされる恩恵を示した試算だと受け止められかねない側面があった。
原発関連企業は、東京に本社を置く社が大半を占める。再稼動によって、それらの企業が生産活動で得た利益は東京の本社に送られるとみられる。
京都大大学院の岡田知弘教授=地域経済学=は「原発産業間の取引関係は非常に特殊だ」と指摘。地元への波及効果の実態をつかむためには、地元にある各企業への緻密な聞き取り調査必要とする。
宇都宮氏は新潟日報社の取材に対し、「試算は(原発がある)柏崎市固有の背景を十分に踏まえていない」と認める。その上で、今回の試算を通じて柏崎市における経済分析手法の一つをまとめたことを強調し、「議論の足がかりにしてほしい」と話した。
●原発は必要か 検証経済神話(5)
再稼動効果はあるか
作業員数停止時に多く
「東京電力柏崎刈羽原発が再稼動すれば原発作業員が増え、街が活気づく」
こうした期待を語る声が柏崎市の経済界には根強い。地域経済が停滞しているのは原発が止まり、作業員が減っているのが原因というのだ。
「そんなことはない」
柏崎市長、会田洋(68)はその見方を強く否定する。
1月中旬、柏崎市役所。年始のあいさつに来た東電社長の広瀬直己(63)に、会田はあえて水を向けた。
「今は大勢の作業員が原発に入っているようだが…」
広瀬は「今は7千人ぐらい」と答え、付け加えた。
「何基か稼働したり、定期検査している時よりもにぎやかだ」
広瀬が挙げた人数は約1千人の東電社員と6千人近い作業員の合計だ。作業員数は原発構内の工事量によって大きく増減している。
「原発が止まれば仕事がある。動けば仕事はない。(作業員は)全国の止まっている原発を回る」
原発構内の仕事を請け負う建設業男性(73)は、新潟日報社が昨年12月にまとめた地元企業100社調査の際、こう話していた。
実際、東電の公表資料を見ると、作業員数は原発稼働時に減り、止まっている時期にはむしろ増える傾向にある。
東電に資料が残っている2005年以降で、原発全7基が順調に稼働していたのは05、06年だ。作業員数は4千人前後の水準だった。
これが8千人前後まで増えた時期がある。08〜10年だ。07年の中越沖地震に伴い全基停止に陥り、復旧工事がかさんでいた。
東電福島第1原発事故後に全基停止した柏崎刈羽原発の作業員数は、14年以降伸びを見せながら、15年12月には6千人近くに上った。その理由は明快だ。東電が再稼動を目指して安全対策工事を進めているからだ。
仮に原発が再稼動すれば、作業員数が減るのは必至だ。
そもそも、柏崎市の景況は作業員数に大きく左右されてきたのか。
100社調査では、卸売・小売業、サービス業の経営者から1978〜97年の原発建設期に大きな恩恵があったとする声が多く聞かれた。
しかし、柏崎商工会議所が原発立地までの経緯などをまとめた冊子のデータによると、78〜87年の作業員数は多くても5千人強で全基完成後と比べ多い方ではなかった。
一方、中越沖地震後の2009年は作業員数が一時約9千人になった。09年の柏崎市の市内総生産額を見ても、作業員数が4千人だった06年と比べ、卸売・小売業は微増、サービス業は6%減で、作業員数が増えた影響は見られなかった。
作業員数と柏崎市の景況との関係が深いとは言えない。
柏崎市の経済と原発との関係について本社と共同分析した新潟大準教授、藤堂史明(43)は、市内の消費動向は主に日本全体の情勢に左右されているとみる。「原発が動けば何とかなると期待するのは、自らの経営努力を怠ることにもつながり、競争力の低下を招くおそれがある」と警鐘をならす。
(文中敬称略)
●原発は必要か 検証経済神話(6)
巨大財源は役立ったか
産業育たず地域は停滞
東京電力柏崎刈羽原発の1号機着工から38年。その間、国や東電から交付金、税金として柏崎市の財政にもたらされた恩恵は計2838億円に上る。
「原発財源のおかげでやりたい事業はすぐにやれた。大学の誘致や総合病院の移転などいろいろなことができた」
原発建設期に市長を務めた飯塚正(87)は懐かしそうに振り返る。予算を組んだ1988年度から92年度までで計約373億円もの原発関連財源に恵まれた。
原発立地自治体の恩恵として知られるのは、いわゆる「電源三法交付金」など国の交付金や補助金だ。原発を地域に受け入れてもらうための「アメ」の役割を担ってきた。
柏崎市は昨年9月、この交付金が市のどの事業にどれだけ使われたかを示す資料を議会に示した。合併前の高柳、西山両町分を除いても総額的約728億円が170件超もの事業に投じられていた。
市道、浄水場、体育館、野球場、博物館、文化会館、図書館、コミュニティセンター…。市民生活の向上につながる多くの施設が対象だった。
交付金以上に多いのが固定資産税など原発関連の税収だ。総額は交付金の3倍近い2109億円。交付金のような使途の制限がないため、どう使われたかは定かでない。
ただ、関連税収だけで100億円を超えた94〜98年度、市の建設事業費は人口が同規模の三条市の2倍前後で推移している。やはり公共施設の整備に活用されたようだ。
使い道は適切だったのか。
原発立地自治体の財政問題を研究する青山学院大教授の西川雅史(46)は「固定資産税収入はいずれ減る一時的なボーナス」と指摘し、東電福島第1原発事故の教訓としてこう語る。
「その短期的収入は原発事故の際、住民の命を守るためのものにもっと投資しておくべきだった。行政はそこに目を向けてこなかった」
柏崎市の市民にも使い道に対する疑問は少なくない。
その一端を示す学術調査がある。北九州市立大の準教授、加藤尊秋(46)らが柏崎刈羽の地元住民を対象に2005年、10年、11年の福島事故後と3回にわたって行った意識調査だ。西川も分析に参加している。
「原発関連収入が住民に役立つ使い方をされていない」11年の調査でそう答えた人は柏崎市で46%に上った。05年は50.7%、事故前の10年は38.3%だった。
その背景には、公共設備は充実した一方、地域経済は近年、停滞が続いていることもありそうだ。
柏崎商工会議所元専務理事の内藤伸寛(76)は痛感する。
「他市と比べて発展したわけではなかった。あれだけのお金があったのだ。新しい産業を興せれば良かった」
市が手を打たなかったわけではない。情報処理産業の拠点化へ、1987年に約9億円の交付金を使って「ソフトパーク計画」を打ち出した。
しかし、産業は集積しなかった。当時、市幹部の一人として期待を寄せていた田中哲男(82)はつぶやく。
「夢ははかなく消えた」
(文中敬称略)
●原発は必要か 検証経済神話(7)
財政は潤ったのか
借金と施設維持に苦悩
原発を抱える自治体の財政は裕福だと思われてきた。
「柏崎さんはいいねぇ」。
前市長の西川正純(72)は在任時、市長会などの集まりでよくこう声を掛けられたという。東京電力柏崎刈羽原発の立地に伴い、国からの交付金などの財源がある柏崎は他市がうらやむ存在だった。しかし、当の西川は早くから危機感を抱いていた。
「原発の財源は永久にあるものではない」
実際、柏崎の財政は西川が退任する前年の2003年度には借金が多く、自由に使えるお金が少ない状況だった。原発関連の税収は、ピーク時の約130億円から、半分ほどにまで落ちていた。
財源に恵まれながらも、財政が悪化する。この減少の背景には、巨額な原発関連財源がはらむ危うさがある。
原発県連財源が入り始めた1978年以降、市は複数の公共施設の整備を一気に進めた。公共事業に掛かる経費「建設事業費」が歳出に占める割合は、80年代前半から90年代前半まで3割超の水準で推移した。同規模他市の建設費の比率は20%台だった。
ただ、交付金や税収だけで公共事業に掛かる経費全額を賄えない。当然、不足分は借金で補うことになる。公共施設の整備を進めるほど借金が積み上がっていく構図だ。
整備した施設は、時間がたつと維持補修が必要になる。その経費も増大した。
加えて、原発関連税収の多くを占める固定資産税は年々減少する。原発自治体の収入は減り続ける一方、必要経費は増え続けることになった。
原発関連財源がありながら。2000年代に財政破綻寸前となった自治体がある。事故があった福島第1原発が立地する双葉町だ。
「就任後、予算を組もうとしたら総務課長から『お金はありません』と言われた」
前町長の井戸川克隆(69)は振り返る。双葉町もかつて、豊富な原発関連財源を活用して都市基盤を整備するため借金を重ねた。
「本当に借金をしまくって自主財源をつくったが、返済するための財源がまた必要になった」。井戸川はため息交じりに語った。
双葉町は福島事故で全町避難を強いられた。現町長の伊沢史朗(57)は町の課題について「もう財政の問題にとどまらない。コミュニティーの破壊が大きい」と語る。
一方の柏崎市。収入に対する借金返済の割合を示す指標によると、14年度末で県内20市でワースト2位だ。
特に、07年の中越沖地震の直後、市財政は危機的状況に陥った。
柏崎市長、会田洋(68)は04年の市長就任後、常に財政健全化という課題に向き合ってきた。16年度予算を発表した15日の会見では財政状況について「今後さらに改善される」と胸を張ったものの、将来の見通しは依然として厳しさを拭えない。
会田は言う。「財政が豊かな時代に造ったものを。ずっと維持できるのかは大きな課題だ。健全財政を維持しながらだと、さらに厳しい」
(文中敬称略)
●財政運営を聞く 西川正純前柏崎市長
財源増え事業拡大
税収減の補てんに奔走
柏崎市に1978年からもたらされた東京電力柏崎刈羽原発立地による原発関連財源。95年の約150億円をピークに減少傾向にある。2007年の中越沖地震の影響もあり、柏崎の財政は今、厳しい状況に置かれている。財源が増加から減少へと大きく変わった時期に市政を担った西川正純前市長(72)に、当時の財政運営について聞いた。
−柏崎市は巨額の原発関連財源を何に使ったのでしょうか。
「建物を含めて、街に欠けていたインフラ整備に随分充当できた。インフラ整備が進んだ後は、将来に還元できるような使い方が必要だという議論になった。評価は分かれるが、人材育成のために大学の誘致なども行った。将来の負担に備えて積み立てもした」
−国からの、いわゆる電源三法交付金は、当初は公共施設などの整備事業に限定され、使い勝手が悪かったと言われます。
「交付金が出た当初は不便を感じなかったはずだ。整備が必要なインフラがたくさんあった。だが、整備が進むと徐々に交付金の要件に合致する事業が減ってくる。財源はあるけど、事業がない状態になる。一方で交付金は期限内に使いきれなかった分は無効になる。無駄にしたくないからいろいろ考えた」
−豊富な財源があるのに、財政が厳しくなっていったのはなぜですか。
「財源が増えれば(行政事業の)拡大を目指す。その長年の繰り返しによって財政の規模を大きくしたのが原因だろう。大きくなった分は何らかの形で市民に還元されるのだから、必ずしも悪いことではない。ただ、その規模を維持するためにはコストがかかる」
−そうして必要経費が増える一方、原発関連財源の大部分を占める固定資産税は減っていきます。
「減っていく財源を少しでも補てんするためには新しい財源を探すしかない。使用済み核燃料税はその一つだ。国に対しては制度の変更をしつこく要望し、実現してきた。そういう手当だけでいつまで持つかは別だが、何とか泳いでこられた」
●原発は必要か 検証経済神話(8)
事故が起きたらどうなるか
再建困難 問われる覚悟
東京電力福島第1原発事故の発生から3月11日で5年となる。この原発が立地する福島県の大熊町と双葉町は、今も町の大半が「帰還困難区域」になっている。
原発で重大事故が起きると、立地地域の経済はどうなるのか。現地を訪ねた。
大熊町で養鶏場を営んでいた大柿純一(54)は事故から数カ月後の2011年夏、ようやく鶏舎に入った。事故で町内への立ち入りが制限されていたからだ。
鶏舎では約10万羽のニワトリが死んでいた。卵を産んだまま、ほこりをかぶっていた。「申し訳ないことをした」と言葉少なに振り返った。
大柿は事故後、原発から5キロ圏内にあった鶏舎を閉め、全従業員を解雇した。現在はかつての10分の1の規模ながら、福島県いわき市で鶏舎を再建した。「もう一生、養鶏をできないかと思った」と事業再開を喜ぶが、再建先探しに「半年かかった」という。
福島県商工会連合会の調べでは、1月20日現在で大熊、双葉の両町にあった事業所の「事業再開率」は各業種平均で約47%だった。原発や復興関連の仕事を担う建設業は約72%と高い反面、生活に欠かせない飲食・小売業の再開率は約25%にとどまる。
事業を再開できたとしても厳しい現実が待ち受けている。
いわき市で洋菓子店を営む真柄正洋(45)は、事故で双葉町の本店を失った。いわき市内で店を再建したが「父の代から続く客は全国に散った」。地元客中心だった店が他の地域でかつてと同じ水準の売り上げを確保するのは「正直厳しい」と話す。
1月末、柏崎市議会の議員24人が、双葉町役場いわき事業所(いわき市)を訪れた。同じ立地地域の経済と原発の関係を調べるためだ。
「国のエネルギー政策に協力した結果、こうなった」
双葉町長の伊沢史朗(57)は柏崎市議を前に語った。
双葉町は事故発生前、原発が地域経済にもたらした恩恵について検証していた。
伊沢は淡々と話した。
「実感として町に対するメリット、経済効果というものはさほどなかった」
もう一つの立地町、大熊町の役場や商工会は、避難先の福島県会津若松市で業務を続けている。事故前から町商工会会長を務める蜂須賀礼子(63)は訴える。
「自分の家に入れない、家に入る場合は、行政におうかがいを立てなくてはならない。この現実を他の原発立地地域の人に知って欲しい」
福島第1原発の立地地域は、事故から5年近くを経ても現状復帰には至っていない。その現実を横目に、政府は原発の再稼働を進める。本県でも柏崎刈羽原発の再稼働を求める声が出始めている。
地元にとっての最大の理由は「地域経済のため」という。しかし、柏崎の経済に関するデータは、原発による地域振興が「神話」にすぎなかったことを示している。
蜂須賀は再稼働を望む立地地域の想いを理解しつつも、こう続けた。
「事故が起きたらこのざまになる。それでも経済のために原発を動かしたいと言うのなら、それだけの覚悟を持ってやればいい」
(文中敬称略)
3月11日付新潟日報朝刊より
●柏崎市長
原発の経済効果「限定的」
市議会で答弁
柏崎市の会田洋市長は10日、東京電力柏崎刈羽原発の経済波及効果について「限定的だった」との見方を示した。市議会2月定例会議の一般質問で飯塚寿之氏に答えた。
原発と地域経済をめぐり新潟日報社が新潟大経済学部の藤堂史明准教授と各種統計データを共同分析したところ、原発立地による経済効果は限定的で、多くの業種への波及はあまりみられなかった。質問は今回の分析結果に触れながら、原発とまちづくりとの関係についてただした。
会田市長は「さまざまな業種で波及効果があったと思う」とする一方、「人口の増加は建設期にとどまり、経済波及効果は限定的だった」と述べた。2002年に発覚した東電の「トラブル隠し」などで原発の停止が相次いだことにも触れ、「市の産業経済が原発の状況で左右されるのは好ましくない」と述べた。
しかも社会面で新潟産業大の宇都宮仁講師が2015年に試算した、柏崎刈羽原発の停止が地元経済に与えた影響を今更紹介する始末。
これに関しては、今年の2月に新潟日報紙が詳しく分析しておりますので、再度紹介しておきます。
読売もセコイマネはやめろや!
2月19日付新潟日報朝刊より
●原発は必要か 検証経済神話(4)
波及効果はあったか
利益の地元循環見えず
東京電力柏崎刈羽原発の停止による柏崎市の経済的損失は「約3400億円」とする試算がある。
地元の新潟産業大講師、宇都宮仁(35)が2014年柏崎商工会議所の依頼を受けてはじき出した数字だ。
この試算が今月、柏崎市議会で物議を醸した。
8日、市議会が原発の経済効果を調べる目的で開いた研修会。外部有識者として招かれた宇都宮は力を込めた。
「原発停止の地域経済への影響は大きい」
だが、原発の経済効果に懐疑的な議員から疑問が続出すると、歯切れが悪くなった。
「あくまでも試算。必ずしも実態とは一致しない」
再稼動を望む地元経済界にとって追い風といえそうな試算だが、再稼動に慎重な市議は「数字が独り歩きしかねない」と懸念する。
新潟日報社は、この試算について、同様の手法で地域経済を分析したことがある複数の専門家に意見を聞いた。
「原発が市外に電力を売って稼いでいるという前提の計算だ。だた、実際は東京に流れている利益が相当ある」
東日本大震災の被災自治体の経済状況を分析した経験がある立命館大教授、本田豊(64)はそう指摘する。
東電の本社は東京にある。実際に東京の本社に流れた利益が、柏崎にどの程度戻って波及するかは「試算から明確に見えない」と本田は言う。
観光地の経済波及効果を試算したことがある京都大大学院教授、岡田知弘(61)は「(原発の場合)地域で生み出された価値が地域で循環しない」とみる。その上で試算方法自体を批判する。
柏崎市内の企業に対し「どこから何を仕入れ、どこで販売するか」を聞き取るなど「現実の根拠となるデータ」で補強されていないからだ。「実態と隔たりがある間違った計算だ」とした。
宇都宮は取材に対し、岡田が指摘したような調査はしていないと認め、「地元に落ちるはずのお金がどれだけ失われるのかまでは分からない」と話した。
実際、柏崎刈羽原発は地域にどれだけの波及効果をもたらしてきたのか。
新潟日報社は、地域の消費と密接につながる小売業の年間販売額について、原発建設が始まる前の76年から2012年までの柏崎市の推移を調べ、人口が同規模の三条、新発田の両市と比較した。
柏崎は1978〜97年の原発建設期も三条、新発田とほぼ同じ推移だった。全基が停止した2007年、12年も三条、新発田と比べて目立った落ち込みはなかった。
本社が行った各種統計データの分析でも、原発建設期に建設業への一時的な恩恵が見られたが、サービス業と卸売・小売業の市内総生産額は三条、新発田の推移とほとんど変わらなかった。
本社と共同で分析した新潟大準教授、藤堂史明(43)はこう見る。
「原発による経済効果は建設業には一時的にあったものの、その他の業種に波及せず、雲散霧消してしまったようだ」
(文中敬称略)
●原発停止の経済的影響試算
地元への波及 未解明
新潟産業大の宇都宮仁講師が示した「約3400億円」という数字は、東京電力柏崎刈羽原発の再稼動に伴う柏崎の地域経済全体への波及効果を示した試算ではない。あくまでも、再稼動によって柏崎市内にある事業所の生産活動がどれだけ促されるのかについて、金額で示したものだ。実際に、その生産活動で得られた収益が、どこで使われてどこに波及効果を及ぼすのかまでを詳細に追ってはいない。
今月8日に宇都宮氏が市議会の研修会で試算を説明した時も、複数の市議から「どの程度、地元に波及するのか」とただす質問が相次いだ。宇都宮氏は「分からない」と答え、議論はかみ合わなかった。
こうした状況を招いた原因は、宇都宮氏が「柏崎経済への経済波及効果」と題して「約3400億円」という数字を発表したからだ。地元経済界や市民にもたらされる恩恵を示した試算だと受け止められかねない側面があった。
原発関連企業は、東京に本社を置く社が大半を占める。再稼動によって、それらの企業が生産活動で得た利益は東京の本社に送られるとみられる。
京都大大学院の岡田知弘教授=地域経済学=は「原発産業間の取引関係は非常に特殊だ」と指摘。地元への波及効果の実態をつかむためには、地元にある各企業への緻密な聞き取り調査必要とする。
宇都宮氏は新潟日報社の取材に対し、「試算は(原発がある)柏崎市固有の背景を十分に踏まえていない」と認める。その上で、今回の試算を通じて柏崎市における経済分析手法の一つをまとめたことを強調し、「議論の足がかりにしてほしい」と話した。
http://www.nhk.or.jp/niigata/program/b-det0001.html
県内ローカルなので、他県の方々は見られなかったと思いますが、何とか手を尽くして見てみてください。
まぁ見ていて個人的に呆れた場面をいくつか。
・東電新潟本社の広報活動
広報部員が街角で、新潟県民相手に、柏崎刈羽原発再稼働の必要性を懸命に説明しているシーンを放送。でもさぁ、やれ日本のエネルギー政策がどうのだとか、東京の電力需給が現状では限界に近いので、とか言われても、結局は「新潟県民はそのための犠牲になってくれ」と言われていることと変わりはないのだよね。だからといってハイそうですねと、あえて多大のリスクを自ら抱え込むほど新潟県民はというか、人間という生き物は聖人君子ではないです。そこら辺を根本的に分かっていない。
・番組最後の東電新潟本店長の発言
「新潟県民全員の理解を得られない限り(道義的には)再稼働は無理である」てな意味の事を発言しておりましたが、県民全員の理解を得るなんて絶対無理でしょう!(呆)ですからどうせ結局は、県知事、県議会、柏崎市・刈羽村議会の承認を得た時点で、県民の理解を得たという理論を振りかざして再稼働させてしまうのがミエミエなんですけどね。
というかですね、いざとなれば自らの利益のためには権謀術を駆使して県知事すら抹殺するような企業に対し、一般市民が理解を示すわけなんてないじゃないですか(呆笑)。
まぁせいぜい「再稼働のためには今は靴すら舐めてやる」的頑張りを続けてくだされ。こちとら「そこで気を許せば、仕舞にはこちらの尻の毛すら抜かれるぞ」と思い続けますから(笑)。
「なかなか正しく、ちょっと失礼な言い方かもしれないけど、ニュートラルな情報ではなく、ジャッジされている人も大勢いらっしゃるので、そういうところは事実は事実としてしっかりお伝えしていきたいと思う」
・・・なんだよこの上から目線は。結局我々新潟県民を愚民扱いしているのではないのか?
まぁ「失礼な言い方かもしれないけど」と言っている事から、ハナっから新潟県民を見下した、ある種の確信犯的発言なのでしょうね。