2013年05月08日

なぜ、ナガサキが原発に口を閉ざすのか。

広島、長崎市長が核廃絶呼び掛け 「被爆者の声に耳を」
 【ジュネーブ共同】2015年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた第2回準備委員会で24日、松井一実広島市長と田上富久長崎市長が演説に立ち、各国政府代表らを前に「今こそ被爆者の声に耳を傾けるべきだ」などと訴え、核兵器廃絶に向けた新しい動きを呼び掛けた。

 両市長とも、ことし3月にオスロで開かれた「核兵器の非人道性に関する国際会議」で、核の非合法化に向けた国際的な動きが進んだことを歓迎。田上市長は「核廃絶に力を結集すべき時」と強調し、北朝鮮の核開発により緊張が高まっている北東アジアでは「非核兵器地帯創設の努力が必要」と指摘した。
2013/04/24 20:02 【共同通信】


 当然の記事のようにも思えますが、2013年に行われたとしますと、一番大事なことが抜けています。核エネルギーを使ったのは、原爆だけではなく、原発も。ヒバクシャを二度と出さないというためにはとうぜん「原発」に対する言及が必要なはず。しかし、あえて無視しています。この違和感は、ナガサキヒバクシャの経験を聞いたときにも強く感じました。長崎原爆体験の講話会に書きましたが、
 最後に司会の女性の方に「なぜ、福島のことを話さないのですか?」とききましたところ、「立場上言えません。」と返答あり。同じ日本の被曝のことなのに、なぜこんな返答しかできないのでしょうか。原発事故が起き、世界中に核被害が及んでいるにもかかわらず、世界平和しか唱えないのは、本当に片手落ちです。日本の病理の深層を垣間見ました。福島のことなんて、長崎の役人にとっては、本当に人ごとなのです。情けないことです。

非常に憤慨していました。この際に体験談を話しておられたのは、深堀譲治氏
Youtubeに体験がアップされていましたので、ご紹介します。



 体験はすさまじい物ですが、質疑応答の際に留学生から、被曝の胎児への影響を聞かれたときに「被曝では胎児奇形は起きません。起きたとしたら大変なことです。」と答えていました。広島・長崎の共通認識として、被曝では奇形児は生まれないという事実が、科学的には認められているようです。私も講演会で発表したときに、手厳しい指摘を受けました。もっとも、日本以外のヒバクシャは全員が奇形児の問題で苦しめられているのは、すでにご承知の通りで、私自身も広島・長崎の隠された奇形についてはまとめました。裏には、ヒバクシャの差別問題があって、差別されないために、奇形児は生まれない、二世被爆は影響が全くないということになっているのがこの日本という国なのです。

 私はなぜ、原発に反対しないのか本当に不思議だったのですが、先日その理由を教えてもらいました

長崎平和推進協会 被爆体験講話に自主規制要求2006-05-29 17:55:07
憲法九条や環境・人権、イラク問題など「政治的問題についての発言は慎んでほしい」。長崎市の外郭団体「平和推進協会」(推進協)が同協会に所属する被爆の「語り部」に出したこんな要請に、被爆者や市民から戸惑いと怒りが広がっています。マスコミにも広く見られる政府批判の自主規制。日本がアメリカとともに海外で戦争する日が政府によって着々と準備されつつあるいま、戦争が生みだした最も悲惨な原爆被害を語ることから「政治をはずせ」という自主規制要求はきわめて重大です。

事の発端は、今年1月20日、被爆継承部会の総会で「政治的な発言は自粛を」との文書が協会事務局から配布されたことです。総会の配布資料では「政治的問題」として
@自衛隊のイラク派遣、
A憲法(9条等)改正、
B天皇の戦争責任、
C有事法制、
D原子力発電、
E歴史教育、靖国神社、
F環境、人権などの問題、
G一般に不確定な内容の問題(劣化ウラン弾)
の8項目を挙げ、証言活動のなかで言及しないように自主規制を要請。実質上の「言論統制」を行おうとするものです。

長崎平和推進協会は、行政と市民が一体となって核兵器廃絶運動を進めようと1983年に設立。継承部会に登録している協会会員の被爆体験講話は年間千件前後に上ります。長崎で、推進協や被爆者団体に所属・登録しているいわゆる「語り部」は約60人ほどいます。推進協所属の「語り部」(30数人)は、市内外の小中学生への被爆講話を担当し、推進協全体は、被爆講話のほか平和学習、講演会などで、平和意識の高揚を図るために活動しています。


 なるほど、この自主規制なる物があるからこそ、口を濁すのでしょう。三菱のお膝元である長崎では、原発反対の署名をお願いすると嫌がらせを受けると聞きました。哀しいことです。

平和推進協議会 横瀬 昭幸 理事長
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長崎平和推進協会は、昭和58年2月、官民が一体となり、当初は任意団体として設立しました。翌59年4月、永続性のある公益性の高い平和推進体制をきづくために財団法人となり、平成23年4月、公益性が十分にあると認められ、公益財団として認定を受け、新たにスタートしました。

 なるほど、官民が一体になっているからこそ、このような自粛を呼びかけるわけですか・・・うまく、ヒバクシャを体制側に取り組んだものだと思います

この理事長は、開業医であると言うこと以外の情報は何も出て来ません。その他の理事
(初代理事)秋月辰一郎
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(元理事長)長瀧重信
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(この理事はみんな知っているでしょう)

そして、現在の理事長が参加している長崎・ヒバクシャ医療国際協力会(略称 ナシム)
この名簿を見ますと朝長万左男(日本赤十字社長崎原爆病院院長)なる人物が入っています。この人物は、以前私のブログでも取り上げました。

2013050804.jpg
 ほとんどの争点が門前払いで全面的な原告敗訴だ。黒い雨を浴びて髪が抜けた人などが一部いるため、まったく放射線の影響がないとは言えないはずだが、判決では科学的根拠がないことが敗訴につながっている。根拠を新たに証明するのは困難。医療費補助の範囲の狭さが体験者の不満に結びついており、補助対象の精神疾患の拡大解釈を国に要望するよう運動を転換した方がいい。

 一見、被爆者の側に立ったような発言でありながら、その実は放射能の被害を認めさせることをあきらめて、金だけもらって和解しろといった内容です。挙句の果てには別同部隊も「心理的被爆」などいうわけのわからない概念を提唱していることも紹介いたしました。

 長崎の被爆者の置かれている現状に胸が痛みます。被爆当初からがんじがらめなのですね・・

◆関連ブログ
長崎原爆体験の講話会2011年11月19日
長崎の黒い雨とABCC、保険医協会2012年12月09日
原爆と核実験場での放射能と奇形児(600万アクセス)2012年10月04日
長崎原爆訴訟−内部被曝を無視する裁判所により棄却2012年06月26日
被曝を「心理的被曝」、ストレスと言い換えるこの国の医療2012年08月17日
タグ:被曝 原爆
posted by いんちょう at 20:48| Comment(4) | 原子力
この記事へのコメント
院長先生、この問題に言及していただきありがとうございます。

ナシムによる出前講座「放射線をサイエンスする−正しく知ろう放射線−」
青少年ピースボランティア(主に高校生)38名、http://www1.city.nagasaki.nagasaki.jp/peace/japanese/action/youth/volunteer.html
すなわち被爆の実相や平和について語る若者達に、
放射能は安全と、洗脳しています。

http://www.nashim.org/jp/data/201101/
Posted by にるる at 2013年05月09日 00:15
「市の外郭団体」、「官民一体」、胡散臭い言葉が並んでいますな。同じ被爆者を食い物にしている被爆者がいるということでしょうね。また、被爆医療の予算は広島より長崎が莫大とのことですから、長崎の医者たちは単なる金の亡者でしょう。それにしても長瀧重信の顔にはいつも吐き気を催します。
Posted by green at 2013年05月09日 19:06
判決では科学的根拠がないことが敗訴につながっている。根拠を新たに証明するのは困難。


悪影響が無いと否定してるのなら内部被曝の人体実験するから参加してください〜〜とか、出来れば一番いいのですが、
科学的根拠なんか内部被曝した人としてない人の条件をそろえて経過観察の実験してみて初めてわかるのでは?、
精神的影響も調べるために本人には内部被曝してるグループかどうかは教えない、
これなら精神的影響も食事の偏りも無くして比較できます、
裁判で否定するなら裁判官の一族の方も実験参加で解決できるはず、
それが嫌なら影響はあるかもしれないからとりあえず危険物質として取り扱うしかない・・と、徹底するしかない。
Posted by 南部のアホな大阪人 at 2013年05月10日 00:23
こんな話が入ってきています。
事故との関連性はひとまず置いておきますが・・・

http://www.shinmai.co.jp/news/20130508/KT130507ATI090020000.php
口唇・口蓋裂専門センター 長野県立こども病院に設置
>県立こども病院(安曇野市)と信州大病院(松本市)、松本歯科大病院(塩尻市)が連携
Posted by 流しの at 2013年05月10日 01:27
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