2013年05月15日

放出放射能がチェルノブイリの1/7だから、健康被害は起きない−放出放射能量を再度計算

フクシマの放出放射能量は、実際よりも遙かに低く見積もられています。それについては、90万テラベクレルのウソに示しました。

鈴木眞一氏は2013年2月の甲状腺疾患―診断と治療(日本医学会雑誌2456-2457)のなかで次のように述べています。
5.東京電力福島第一原発事故後の福島の現状
2011年3月11日の東日本大震災に引き続き起こった東京電力福島第一原発事故の規模は,国際原子力事象評価尺度においてチェルノブイリと同じレベル7とされたが,環境中に放出された放射性物質の量は約1/7程度であった.福島の住民には原発作業員以外では100mSvを超えるような高い外部被ばく線量は推計されていない.また事故直後から汚染原乳の廃棄,飲料水や食品の安全基準管理も厳格に実施されたため,内部被ばくも100mSvに達すると推定される人はいない.
SPEEDIによる試算で甲状腺等価線量が100mSvを超える可能性のある地域の小児の甲状腺線量の実測でもスクリーニングレベルを超える人はいなかった.この結果から一般論としては,前述したような外部被ばく,内部被ばくによって甲状腺がんが発症することは考えにくいが,I131は半減期が8日と短くすでに大気中には存在していない.したがって,厳密には全員の正確なI131の甲状腺線量を測定することは不可能であり,多くの保護者の心配を払拭するためにも将来にわたり甲状腺がん発症の増加がないことを確認するため,福島県県民健康管理調査の詳細調査の1つとして長期にわたる甲状腺検査を実施しているところである.


 チェルノブイリの放出量の仮に1/7としましょう。あのチェルノブイリの惨状は、放出放射能量が1/7であれば、全く生じない健康被害でしょうか。そんなことはありません。桁が2つ程度異なったとしても、一体どうなったかと感じるほどです。この鈴木教授の根拠は、これほども不明確だとは私自身知りませんでした。そして、このような文章を読んでも、おかしいと感じない医師が大半などは一体なぜでしょうか。放射能が1/7というのは、オーダーが同じ。つまり、それほど大きな差はないわけですが・・(それが、核物理の常識)

放出放射能量を計算するには、まず各圧力容器内にどれだけの放射能があるかを概算する必要があります。原爆放射能量の基礎知識から、100万Kwの原発1日で

U235 3125g = 8 x 1024 個の核分裂生成物ができる。

核分裂収集率を参考に一日あたりどれだけの放射能凌駕できるか計算してみます。

100万キロワット・一日あたりに生成される死の灰(PBq/day.1000MWe)
物質 半減期 収率 8.00E+24 1日あたり(g) PBq/day
Xe−133 5.2d 0.067 5.36E+23 118.8 824
Cs-134 2.1y 0.0619 4.95E+23 110.6 5.2
Cs-137 30.0y 0.057 4.56E+23 104.1 0.333
Sr-90 29.1y 0.0283 2.26E+23 34.0 0.173
I−131 8.0d 0.0283 2.26E+23 49.4 227


圧力容器および3号機燃料プールに含まれていると想定される放射能(PBq)
物質 半減期 1号機 2号機 3号機 燃料プール 合計
Xe−133 5.2d 7,581 12,920 12,920 0 33,421
Cs-134 2.1y 111 198 198 198 707
Cs-137 30.0y 107 191 191 286 774
Sr-90 29.1y 56 99 99 149 402
I−131 8.0d 3,341 5,695 5,695 0 14,731

*炉心には、半減期の4倍の放射能が含まれていると概算。炉心の燃料は3年ですべて交換されるため、長半減期の元素は、2年分が含まれていると概算(ここは、ちょっと教えてもらいたいですが)Cs-134/Cs-137の比を類推して、貯蔵量は調整。燃料プールは長期間放置していたため、短周期の元素は0として計算(1g程度の核分裂反応では、ゼノンの形成は0.3PBq程度)

経産省の放出量試算表(PBq)
物質 半減期 1号機 2号機 3号機 合計
Xe−133 5.2d 3400 3500 4400 11300
Cs-134 2.1y 0.7 16.0 0.8 18
Cs-137 30.0y 0.6 14.0 0.7 15
Sr-90 29.1y 0.0 0.0 0.1 0
I−131 8.0d 12.0 140.0 7.0 159


以上を比較してみると、いろいろ見えてきます。

-キセノンは全炉心に産生されている希ガス量の約1/3が放出されたと見積もっている。それなのに、ヨウ素は1/100程度の放出と試算している。たぶん、1桁はさばを読んでいそうだ。

-セシウムに至っては、全炉心の50分の1程度と試算しており、しかも最も多くの放射能を放出したと思われる3号機の放出はほとんどなかったことになっている。すなわち、3号機燃料プールの核爆発と黒い煙を出した日の放出を計算に入れていない。

-ストロンチウムの概算に関しては、さらにおかしい。炉心内にあると想定される量の1/1000程度しか漏洩を認めていない。計算自体がナンセンス

 因みに、チェルノブイリのセシウム-137の放出量は、85PBqであるから、炉心内にある半分のセシウムが大気に拡散したと計算していることになる。
1号機(460MWe)と3号機(784MWe)の漏洩量がほぼ同じであるはずがない。出力が倍なのだから、同じように炉心が溶けたとしても、少なくとも倍の漏洩があったはず。しかも、3号機の燃料プールは核爆発であり、修理中のジョージワシントンが逃げ出した21日の3号機からの黒煙発生が全く含まれていない。すなわち、保安院の見積もりは極端な過小評価である。

この過小評価のセシウム、ヨウ素でさえ1/7。フクシマで健康被害が起きないとすれば、核兵器の安全性さえ証明できることでしょう。

◆関連ブログ
90万テラベクレルのウソ2012年05月30日
原爆放射能量の基礎知識2013年02月15日
3号機の爆発−どう考えても核?(50万アクセス)2011年08月10日
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posted by いんちょう at 23:03| Comment(3) | 原子力
この記事へのコメント
1日 400g*常時稼動30機以上=
12kg以上の死の灰
これは掃除できないみたいですね。

格納容器ごと燃料漏れて
溶けて水からは放射能化水+放射性ガス
これは7分の一でも誤差の範囲で危険

ベクレル詐欺は体内に均一に取り込まれる
事を実効線量と称して ごまかしている

やっと親戚の放射線治療の専門家は
気が付いたようです。

娘家族も医療界に居るのですが
全くこの詐欺に気が付きません。
平気でいわき 日光、デズニーに行きます。

厚生労働省の資料を鵜呑みにしています。

1bqでも
(心筋の要に取り付けばという意味だと思う)
危ないと北海道がんセンター医師が
言われているそうですね。 
Posted by 農家 at 2013年05月17日 09:36
核分裂収率とプルームから計測された核種の量比から、ある程度のことは分かるはずですね。
東電の公表量は、2号機の合法的「ベント」で放出されたものがほとんどで、過失責任が問われる爆発飛散したものはほとんどないのだ、というシナリオにそって数合わせをしたものだと想像します。

もちろん、3号機の放出物がもっとも多いのは映像から自明だと思えます。これがまずいと思ったからこそ、youtube画像を消しまくったのでしょう(最近、力つきたようですが)。関東に降り注いだのは、14日夜の3号機大爆発、及び20日のものであることは、時間と風向から、隠し様もないことです。
14日の三号機大爆発のプルームは、15日朝、関東に襲来し、各県モニター、高崎CTBT、日本分析センターに捕捉されたわけです。

ここで、注目すべきなのは、千葉にある日本分析センターのものです。
これは、キセノン133を見事に捉えています。特に14日夜の爆発で放出され15日午前に千葉に襲来した最大ピークは大部分がキセノン133で占められています。その日午後の爆発プルームでは、キセノン133が一番多いですが、それ以外のものと21日のプルームではキセノン133は脇役になっています。
http://www.jcac.or.jp/lib/senryo_lib/insitu_2011_3.pdf

さすがに、専門機関です。何がいつ起きたのかを客観的にはっきり示していると思います。ちなみに、千葉はプルームの本筋からかなり外れている場所で、直撃された茨城南東部、千葉西部、東京、埼玉は、これよりはるかに激しいものだったでしょう。

次に注目すべきなのは、東京都の新宿のデータです。東京都では、キセノンは計測していないようですが、別の短命核種を対象とし、それらを明瞭に計測できています。これは、緊急の短時間計測に切り替えたため可能になったもので、東京の危機管理能力が優れていることを示すものです。他の県では、そのような体制をとらずに漫然と長期間計測をしたため、短命核種を全部見逃したと思われます。多分そんな能力がないのでしょう。
東京都のデータをみれば、ヨウ素の各核種と短命核種が崩壊してできたヨウ素の短命種が、報道され信じ込まされいるよりはるかに膨大な量であり、それが新宿を通り、人の上に降り注いだことが分かります。最終的にヨウ素となる核種を合算すると、東京ではものすごい量の放射性ヨウ素を吸い込んだことになります。他の地域の公表値は大分減少したあとのヨウ素131の値を示しているのですが、実際には、はるかに多い内部被曝をしたに違いないわけですね。
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2011/12/DATA/60lcq101.pdf

収集率 収率ではないですか?
Posted by つきのわっくま at 2013年05月17日 15:17
中がどういう状態なのかわからないのに放出量の推定なんて困難な事を・・、
台湾沖航空作戦の大本営の敵艦撃沈数の発表の時もおかしいな?と考える軍内部の人も多かったとか言いますからねぇ、
この数値発表も内部でどういう反応なのか・・、まあ聞くと後悔しそうな気がしますけどね・・。
Posted by 南部のアホな大阪人 at 2013年05月18日 15:35
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