新たに6人が甲状腺がんの診断
原発事故をうけて、福島県がすべての子どもを対象にすすめている「甲状腺検査」で、新たに6人が甲状腺がんの診断を受けたことが分かり、がんの診断を受けた子どもはこれで18人となりました。検査を行っている県の委員会では「原発事故による影響と判断できるものはない」としながらも、新たに専門の部会を設けて、がんの原因などについて検証を進めていくことにしています。
これは、20日に開かれた健康管理調査の検討委員会で明らかにされました。
それによりますと事故当時、18歳以下だったおよそ36万人のうち、7月末までにおよそ21万人の検査が終わり、新たに6人が甲状腺がんと診断されたということです。
がんと診断された子どもは、これまでに分かっていた12人とあわせて、18人となりました。
さらにこのほかにも、細胞を検査したところ、がんの疑いがある子どもは、10人増えて、25人となったということです。
乳児を含む子どもが、甲状腺がんになる確率は通常、数十万人に1人とされています。
検討委員会では「現状では原発事故の影響と判断できるものはない」としながらも、ことし秋までに専門家で作る部会を立ち上げて、がんと原発事故に関係があるのか検証していくことにしています。
検討委員会の星北斗座長は「これまでの情報に加え、個別の症例についてしっかりと検証し、責任をもって県民に説明したい」と話していました。08月21日 10時22分

甲状腺がん悪性、悪性疑い43人〜福島県民健康管理調査ourplanet 08/20/2013 - 13:29
まとめますと、結局21万人中、43名の甲状腺癌が見つかったことになります。
これに対して、鈴木眞一教授は、

・ゆっくり育つガンだから、常識的に原発事故とは考えられない
・福島の被曝はチェルノブイリと比較するとたいしたことはない
だから、フクシマの事故とは関係ないから、安心?してください。
と言うわけがわからない結論になっています。
第12 回福島県「県民健康管理調査」検討委員会 を見ても、私には理解不能でした。
当日配布された資料前回と比較して、男女の割合がめちゃくちゃだと思ったのですが、それを鋭く指摘しているブログがありました。
甲状腺検査の結果についての大幅な訂正。県立医大のカウントエラー!?(おしどりマコ)2013年08月21日から
(今回の資料)

(前回の資料)

18歳のところを見てください。最初の発表(本年5月)では、男が2名だったにもかかわらず、今回の発表では女性のみ7名に変わっています。このように、男女もまともに区別できないような大学の作った資料−実際は、データを捏造したと思われますが−を信用できるのかどうか。
そもそも、この甲状腺癌が鈴木眞一の言うとおりに、もともとあったガンというならば、小児甲状腺癌は、1万人に2人程度発症する大人のガン並みであると証明されたことになりますから、フシクマだけではなく、当然全国に広げて検査をすべきでしょう(成人女性では1000名に1〜2名、検診で見つかると言われています)そして、さらに全世界に向けて、この情報を発信するのが、医師としての役割だと私は思いますが、フクシマとの関連性を否定することだけに全勢力をつぎ込んでいるようにしか思えません。「フクシマ」とは無関係だから安心してくださいと言われて、安心するのは患者およびその家族ではなく、賠償をしなくて済む東電と政府に他なりません。
1.もともと100万人に1〜2人程度だから、甲状腺癌は見つからない(見つかったという報告があったとしてもデマ)
2.健診だから、もともとあった癌が見つかっただけ
3.少し数は多いが、チェルノブイリと比較すると被曝量が少ないから、フクシマが理由ではない。
ミスターゼロベクレルといわれる早野龍五

は、甲状腺がん10万人に2〜3人−ICRPの過小評価手法のみで非専門家が論文発表を真に受けて、

(甲状腺がんの)患者数は極僅かで、賠償所要額は裁判で争うよりもはるかに少ないと予見される
とそのスライドの中で発表しています。事実はこれの10倍以上であるわけですから、ICRPの評価手法自体もおかしかったことが証明されたことになります
本日の福島民友には、次の記事が掲載されました。

遠藤啓吾(京都医療科学大)

患者数について「予想以上の数」としながら、「チェルノブイリと比べて放射性ヨウ素の被曝量ははるかに少なく、事故の影響とは考えにくい」との見解を示した
この人は、医師のはず。なぜ、ヨウ素被曝量がはるかに少ないと言えるのか。福島医科大学周囲で、100万ベクレルを超える放射性ヨウ素汚染が見つかり、福島医科大学の関係者がヨウ素剤を内服した知っているのでしょうか。原発の事故の状況など、なにも理解していない人間が、このようなでまかせを平気で述べる。どうにも隠しようがなくなってから、この人物は、「私も東電に騙されていた」と平気で、前言を翻すでしょう。
それにしても私が信じられないのは、戦前の大本営発表を垂れ流したのと全く同じように、明らかに増えている甲状腺癌をデマ解説とともに垂れ流しているマスコミです。呆れ果てます。
◆関連ブログ
激増する小児甲状腺がん−原発の影響ではない(大本営発表)2013年06月06日
口裏を合わせる福島健康調査の闇2012年10月13日
甲状腺がん10万人に2〜3人−ICRPの過小評価手法のみで非専門家が論文発表2012年03月24日
ミスターゼロベクレル 神の手を持つ男2013年03月14日
ヨウ素119万Bq/kgの汚染でヨウ素剤を飲んだ福島医科大学の医師・看護師2013年06月16日
タグ:甲状腺
放射性物質などからは、できるだけ離れるというのが、被ばくから逃れる鉄則ですが、仕事の問題もあり、厳しい選択にならざるを得ない、ある意味、自然現象ですので、2000年、三宅島が噴火した時、数年間、全員避難したのと同様な厳しい状況だと言わざるを得ないと思います。
私も「第12 回福島県「県民健康管理調査」検討委員会」の中継を見ましたが、本当に頭にきたのが、こいつら(下品ですみません)談笑しているんですよ。
この様な深刻な話でなくても まじめな会議であれば、こんな雰囲気にはならないはずです。
まー、笑ってごまかすしかないほどひどい状況という事なのかもしれません。
36万人の検査対象者に対し、1次検査済みが17万6千人で、その中で
2次検査要の対象者が1140人の内の 625人が2次検査を終了した結果が43人の「甲状腺がんとがんの疑い」ですから ざっとこの4倍が実の患者数という事になります。
また、すでに検査が終っている子供達は、次の検査は2年後になりますが、この状況ではそちらも心配です。
「娘の喉に嚢胞があると言われた」と、言うのです。
姪は、20代半ばです。
お医者様からは、様子を見るようにと話があったそうです。
小野先生の記事と新聞で、甲状腺癌の増加を知り、言葉が見つかりません。
あの時になぜもっと強く、せめて京都まで避難して来いと言わなかったのかと悔やまれてなりません。
歯の治療は長いことかかりましたが終わり、今は慢性の胃腸炎でガスで腹が膨れ
いつも満腹感でもう2年近く下痢です・・。ちょくちょく激しい痛みがあります・・。
震災前に上腸間膜動脈乖離をやっているので、そのうち「ぽっくり」逝きそうです・・・。
「動脈解離」だけなら「降圧剤」と日々血圧の変化や食事に気をつければ
再発は無いだろうけど、これに被曝の病状がプラスされ・・・・。
もうホトホト弱りました・・。
ほんとこの国の政府の無策と、こうゆう「医師や学者」の言葉には腹が立ちます。
苦しんでいる人は、ものすごく多くいるのに、この人達は一体何なんでしょうか・・。
http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/eea26e037975d2b78bb6bb6a6aeccede
書くまでもありませんが、ドイツ南部はチェルノブイリで汚染され、いまだにイノシシとか、キノコとかすごい数値が出てます。
また冷戦時は、核戦争にそなえ、ドイツ国民はシェルターの準備やヨウ素も各家庭に備えていて、戦後は一般の人でも核や被ばくに対する意識が高まった、そんな彼らからしたら、今の日本の状況は、ちょっと謎のようで・・・。
東電さんもめちゃくちゃで何が何だかわからないほど破壊された原発に、一生懸命対応しておられるのはわかりますが、すでに殺人犯罪会社のような扱いをうけてます。
海で泳いでいる映像は、ドイツ人からしたら、
日本人は本当に何もしらされていないのか?
無知なのか?
情報源がないのか?それともわかっているけど本当に今日だけがよければよいという思想なのか?あきらめているのか?いったい何なのか、等々疑問しかうかんでこないようです。
私もなぜ、海で泳いでいる人がいるのかわからないので、考えています。稚拙な文章ですみません。
甲状腺癌をデマ解説とともに垂れ流し本当に怒りしかわいてきません。悲しいことです。
http://www.ardmediathek.de/das-erste/weltspiegel/japan-badespass-am-strahlenstrand?documentId=16554912
放射能はうつるのか?という質問が相次いだときも、放射能はうつりませんから大丈夫、という回答がありました。でも被爆者が拡散させる「誘導放射能」はやっぱりあるじゃないですか。
一般の人たちはよく知らないから「うつる」という表現を使ったのであって、誘導放射能の影響を説明せず、言葉尻りだけとらえて回答してごまかしているのと似ているような気がします。
私たちが知りたいことの本質をもう少し考えて発信してほしいですよね!がんばってください。
>この人物は、「私も東電に騙されていた」と
>平気で、前言を翻すでしょう。
将来ありうると思うのが、御用といわれる医師、学者、報道機関などなどが、
「地震と津波、そして原発事故で多くの物を失った人達に対し、これ以上酷な報告はできなかった・・・」
と、あくまでも福島の人達を思っての事であった、という理屈を持ち出す事ですね。
http://twilog.org/magosaki_ukeru/date-110315
http://twilog.org/magosaki_ukeru/date-110316
http://twilog.org/magosaki_ukeru/date-110317
米軍対応1:米軍横須賀、厚木で漏洩放射線観測、室内に留まること勧告;15日星条旗新聞「海軍は横須賀、厚木で放射線観測、各指令官は基地住民に用心に室内に留まるよう指示。厚木で0.5 millirems 観測。横須賀も同レベル。9時25分「全て避難し、換気を閉じ、窓閉めるよう」指示
https://twitter.com/magosaki_ukeru/status/47623781866418176
重要。米国が自国に適用する基準に基づけば、避難勧告は20KMではなく、80KMであるということ。米国は現在の日本政府の処理に以前のように信頼を置いていないこと。これが国務省ブリーフィングで明確になっている
https://twitter.com/magosaki_ukeru/status/48211452254887936
米軍家族避難:17日星条旗新聞:東京地域の海軍基地は木曜日にも家族の自主的避難を開始する。バスで厚木基地及び成田に向かいここから韓国へ。避難は放射線への懸念の中実施。海軍は一日1万人輸送可能。追加確保できれば1万8千人可能。避難は本日オバマ大統領の承認得る。海軍極東施設司令官は
https://twitter.com/magosaki_ukeru/status/48302582334103552
原子力、米側設定避難区域:米国は50マイル(80KM)の外からの避難を勧告しているが、17日星条旗新聞はこの範囲(80km)内では体に1レム、甲状腺に5レムを超える可能性があると報道
https://twitter.com/magosaki_ukeru/status/48549547500244993
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1358176308
http://www.kantei.go.jp/saigai/senmonka.html
(関連)▼首相官邸の原子力災害専門家グループがこっそり書き換え。
http://pfx225.blog46.fc2.com/blog-entry-945.html
「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」第31条に
「何人も、次の各号のいずれかに該当するものに放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染された物の取扱いをさせてはならない。
一、 十八歳未満の者」
とあります。放射性同位元素とは、放射線を発する物質でセシウム等の放射線物質のことです。
また、第52条に
「第31条に違反したものは、一年以下の懲役、若しくは50万円以下の罰金に処し、
又はこれを併科する」となっています。
子供も放射性物質に必要以上にさらされる状況だと思います。
この法律は何のためにあるのか、放射能物質を扱うのは危ないので、あるはずなのですが、この法律に問われた人がいないのは、納得できない状況です。
御用学者の皆様に対しては、ホントに感心しきりです。勿論悪い意味で。
小野先生や小出裕章先生のように、本気になってくれとは言いません。
大学、果ては大学院まで学んだ優秀な頭脳の半分…いや3割でいいから、放射線障害で苦しむ子供たちのために何かが言えるのではないのか…と考えてはもらえないのでしょうかね。
高望みでしょうか。カネか。全てはカネですか。
それと、『日本の警察は世界一優秀』なんて言葉がよく吹聴されますが、私に言わせれば、『日本の警察は世界一権力に従順』の方が正しいんじゃないかと思いますね(笑)
現在エジプトでは、まさしく正視に堪えない、マスコミに『銃撃戦』なんてカッコイイ名前のつけられた市民の虐殺が起こっています。
youtubeで虐殺の動画を視ました。(視たくなかったけど)
私には何の躊躇いもなく無抵抗の人たちを撃ち殺すクーデター軍の姿が、原発廃絶デモで薄汚い罵声をデモ隊の人たちに浴びせていた日本警察の姿に重なって見えました。
日本の特に右翼と呼ばれる層の中には、中韓の侵略を防げ!憲法改正して国防軍創設だー!なんて息巻いてる人たちがいるみたいですが、私からすると、アンタら今の状況で何言ってるんだ?と。
外圧だの侵略だの経済復興だのと叫ぶ前に、まずは自国の子供たちを全力で放射線から守るのが筋なんじゃないのかと。
私は、近い将来、仮に日本が外国に飲み込まれて消滅することになったとしても、正直自業自得だと思います。
こんな国、美しくもなんともない。手前勝手に自然を破壊した挙句経済も国民もギリギリまで追い詰められた、ただの弱小国家。
最後に一言。『うつくしいくに』を逆から読むと・・・?(笑)
大事を成すには小事を切る。為政者の本音です。
小事の中には大した資産を持たない我々庶民の健康と生活はもちろん、フクイチの現状維持管理、引いては日本の将来までもが入ってしまっているようです。
放射性物質による汚染の無かった日本での癌化の速度と、
汚染環境での癌化の速度が違うということぐらい予見可能だと思うのですが。
前例が常識の全てだと考え、常識通りに行動することは、
事故後の環境においてはあまりにもリスクが大きいと思います。
前例踏襲主義者は、
その前例・常識がどういう状況でつくられたのかを理解するべきだと思います。
食べて応援・瓦礫焼いて応援させる311以前のデータで比べないと・・・
御用学者と推進派の子供孫親戚で安全証明実験してみれば良いですよ
不正が有ってはいけないので小野先生が監修で
それにしても男女間違うとは・・・
複数で間違いが無いか調べたりしないんでしょうかねぇ個人で運営してるんじゃないんだから・・・
●福島のがん発病
「直ちに避難しなくてはならない状況ではない」−。東京電力福島第1原発事故の発生当初に、当時の政府が繰り返した言葉だ。
最近では東電の「海への流出はない」「海水に影響は出ていない」といったところだろうか。
結果はどうか。原発の炉心は事故直後に溶融しており、多くの住民が無用の被ばくをした。極めて高濃度の汚染水が地上タンクなどから海に流出していたのである。
福島県の18歳以下を対象に放射線の影響を調べている委員会が先日、甲状腺がんと確定した子どもが18人になったことを明らかにした。6月時点から6人増加した。がんの疑いも10人増え、25人になった。
対象となる36万人のうち19万3千人の検査が終わったにすぎない。今後、さらに増える可能性がある。
一般的に子どもの甲状腺がんは100万人に1〜2人とされる。19万3千人に18人は、これをはるかに上回る数字だ。ところが「事故の影響は考えにくい」という見方が専門課らの大勢を占めているという。
放射性ヨウ素の被ばく量が少ない点や、チェルノブイリ原発事故による甲状腺がんの増加が事故後4〜5年だったこと、検査の精度向上などが理由だ。
本当だろうか?そんな疑念が湧いてくる。無関係にしては、発生頻度が高いように見える。たまたま福島で多発しているのか。
「将来見つかる可能性があったのが前倒しで見つかった」という国の説明も、ふに落ちない。
実際の被ばく状況や低線量被ばくの影響など、分かっていないことは多いといわれる。固定観念は一度捨て去る必要があるのではないか。
(論説編集委員・馬場幸夫)
・・・地方紙とはいえ、マスコミ側からこんな意見が出てきた事に正直驚愕しております。
でもこれまで、新潟日報は、
・食べて応援
・がれき受け入れ
・旅行へ行こう
・オリンピック招致
を能天気にキャンペーンしてきた事をお忘れなく。
あ、これはこれ、それはそれ、ですか(笑)。
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/e080601ed58cc9ba4afd501f1fce5a81#comment-list
上記を参考にして平成25年8月20日に発表された甲状腺検査の結果を分析してみます。
検診で発見される甲状腺癌の割合は、有病率と同じように、甲状腺癌の一時点における頻度であり、単位の分母に年を含む罹患率とは異なります。罹患率(発生率)をI、エコー検診で発見される癌の割合をQ、検診で発見されてから臨床的に発病するまでの平均期間をKとすると、Qが小さい時には、Q=IKの関係が成り立ちます。「チェルノブイリ被害の全貌」(岩波書店)によると甲状腺癌の罹患率は事故の4年後に上昇しているので、癌確定例のKの期待値を2とすると、福島とチェルノブイリのデータが整合します。疑い例を含む場合には臨床的に発見されるまでの時間が更にかかると考えられ、Kの期待値は3前後でしょうか。
上記コメントより、原発がない岩手県での19歳以下の甲状腺癌の罹患率は11人/608万人年=1.8人/100万人年です。福島県でも岩手県と同じような癌登録事業があると思いますが、資料がないので、岩手のデータを対照にできるように福島のデータを分析します。
2次検診時の年齢構成人口を求めます。8月20日の資料2の平成23年3月11日時点の年齢度数表より、18歳までの受診者は213366人ですが、その内15歳以下は189461人です。したがって、2次検診受診時の年齢構成を2年後の平成25年3月11日の人口分布で代用すると、その時の年齢構成は、2歳以上17歳以下で189461人となります。
エコーで発見された癌の症例数を求めます。報告書中の癌ないし癌疑いの症例をまとめた2次検査時点の年齢分布のグラフより、2歳から17歳までは24例となります。18名の癌確定者の年齢分布グラフが発表されていないため、均等に18/44の癌確定例の比を用いると、甲状腺癌確定者の人数は、2から17歳で9.82人と推定できます。(44例の詳細な一覧表を示すのが医学的常識ですが、遺憾ながら報告書にはありません。)
福島県での19歳以下の小児甲状腺癌罹患率を求めます。今、癌確定例のKの期待値を2年としたので、検診時2歳から17歳までの集団が、2年後4歳から19歳になって臨床的に癌と診断されることになります。この観察人口は189461人ですから、罹患率はI=Q/K=9.82÷189461÷2より、26人/100万人年となります。
岩手のデータから対照値を求めます。上記の岩手の罹患率1.8人/100万人年は、0歳から19歳までの観察集団のものです。Harrison’s Principles of Internal Medicine18th ed.の甲状腺癌の章に引用されている甲状腺癌の罹患率を年齢によって示しているグラフを見ると、一般的な甲状腺癌は、10歳までは皆無に近く、10代後半より罹患率が上昇し始めます。また、福島の報告でも検診時7歳以下の症例はありません。そこで、岩手の観察集団のうち、0歳から3歳までには癌はなかったと仮定し、さらに、岩手での0歳から19歳までの人口構成は均等と仮定すると、岩手の報告は4歳から19歳の4864000人年に対して11人の罹患率、つまり、2.26人/100万人年となります。(小児甲状腺癌の罹患率の数値を、各分野の専門家と称される医学者が時々コメントしています。しかし、小児と言っても10代から甲状腺癌の罹患率は年齢が上がるにつれてどんどん上昇するので、観察した集団の年齢構成まで言及しないコメントは医学的ではありません。)
2つの県の罹患率より、岩手県のデータを対照として、福島県の相対危険(リスク比)を求めます。これまでの分析で得られた二つの罹患率を比べる前に仮定しなければならないことは岩手県と福島県の年齢構成がほぼ同じであることです。一方で幼児の割合が多く、もう一方で思春期の青少年が多ければ、先に述べた理由で思春期が多い集団の甲状腺癌罹患率は、放射線暴露に無関係に高くなります。しかし、どちらも東北にあり同じような産業構造ですから、人口構成をほぼ同じとすることに抵抗はないと思います。福島のデータは年、9.82人/378922人(189461人の2倍)、岩手のデータは年、11人/4864000人の罹患率でしたので、これをArmitage& Berry のStatistical Methods in Medical Research に記載されている方法で検定します。すると、リスク比は11.5で、その95%信頼区間は4.85から27.1となり、5%の危険率で有意です。
リスク比が11.5であるということは、18名の甲状腺癌の症例中、約16.4例が放射線暴露によって発生した癌ということになります。医学統計に少し興味を持つ開業医でもこの程度の考察ができますから、まっとうな疫学者が検討委員会にいれば、もっと正確な値を算出したり、年齢毎のリスクを考慮したモデルで解析したりして報告するはずですが、公表を渋っているのでしょうか。
岩手県地域がん登録事業報告書[平成2−平成21診断例](岩手県、岩手県医師会)を閲覧できたので、岩手県のデータを対照群として、第12回福島県「県民健康管理調査」検討委員会の資料を分析し直しました。「人間と放射線」の著者、ジョンWゴフマンは、「科学は誰にでも理解できるし、科学者は自分の専門を誰にでもわかるように説明せねばならない。専門家を信じるのではなく、自分自身で考えて判断せよ。」と述べています。人年などの疫学用語に不慣れな方は、Googleで、「疫学、人年」とすると解説が検索できますし、津田敏秀著「市民のための疫学入門」にも解説があります。良書で検討委員会の委員の方は必読だと思います。
一斉検診で発見される甲状腺癌の割合は、甲状腺癌の一時点における頻度であり、単位の分母に年を含む罹患率とは異なります。罹患率(発生率)をI、エコー検診で発見される癌の割合をQ、検診で発見されてから臨床的に発病するまでの平均期間をKとすると、Qが小さい時には、Q=IKの関係が成り立ちます。したがってKの値が決まればエコー検診の結果から罹患率を求めることができます。
岩手県の報告書より5歳階級別罹患率を求めます。平成2年から平成21年までの20年間に観察した集団の人口は、報告書の中に推定人口または確定人口(国勢調査)として5歳階級毎に記載があります。また、19歳以下の甲状腺癌の症例数は平成8年までは5歳階級毎に集計され、平成9年以後は0から19歳まで1階級にまとめられています。0−14歳と15−19歳については平成2年から平成8年までの観察集団での罹患率を再提示します。
平成2年より平成21年までの期間中の岩手県甲状腺癌罹患率
年齢(歳); 症例数(人); 観察人年(人年); 罹患率(人/百万人年)
0-19; 11; 6079000; 1.81
20-24; 21; 1424000; 14.7
25-29; 32; 1550000; 20.6
30-34; 44; 1656000; 26.6
35-39; 93; 1748000; 53.2
40-44; 136; 1912000; 71.1
45-49; 144; 1968000; 73.2
50-54; 169; 1982000; 85.3
55-59; 198; 1971000; 100.5
平成2年より平成8年までの期間による甲状腺癌罹患率
0-14; 0; 1752000; 0.00
15-19; 4; 689000; 5.81
平成2年から平成21年の期間中、15−19歳の観察人年を求めると1723000人年です。この期間中、0−19歳の甲状腺癌の症例は11人ですが、このうち10人が15−19歳とすると、15−19歳の罹患率は年当たり5.80人/百万人となり、平成2年から8年までの罹患率5.81と一致し、罹患率5.81は20歳以上の罹患率と同等の妥当性があると考えられます。上記表より年齢が上がるにつれて罹患率が上昇することが読み取れます。
次に福島県委員会資料より、福島県の調査対象の年齢人口を、資料にある階級内で均等に分割して求めます。44例の悪性ないし悪性疑いの症例数のうち、19例が手術と確定診断を受け、正しく診断できている割合は18/19=94.7%であり、全例乳頭癌でした。現在、一般的に、細胞診およびエコーで癌または疑いとされた乳頭癌の診断率は96%前後と報告されていますが、福島の検診の結果も同様です。94.7%の値で補正した悪性症例数を求めると以下となります。
年齢; 症例数; 補正悪性数; 検診数
0; 0; 0.00; 9519
1; 0; 0.00; 9519
2; 0; 0.00; 9519
3; 0; 0.00; 9519
4; 0; 0.00; 9519
5; 0; 0.00; 9519
6; 1; 0.95; 13894
7; 0; 0.00; 13894
8; 0; 0.00; 13894
9; 1; 0.95; 13894
10; 0; 0.00; 13894
11; 2; 1.89; 12576
12; 4; 3.79; 12576
13; 7; 6.63; 12576
14; 4; 3.79; 12576
15; 4; 3.79; 12576
16; 8; 7.58; 7968
17; 6; 5.68; 7968
18; 7; 6.63; 7968
合計; 44; 41.68; 213366
これで、岩手県のデータを対照群、福島のデータを暴露群として分析する準備ができました。
2013年8月20日時点の福島県立医科大学教授が主張する仮説ですが、「福島エコー検診で発見された甲状腺癌は原発事故以前から発生していたものである。未成年の甲状腺癌も非常にゆっくり育つと考えたい。」というものです。まず、この仮説に従って分析します。
癌が臨床的に見つかるまでの時間は、発癌物質(誘因)に人間が暴露されてから、1個の癌細胞ができるまでの誘導期間と、その癌が分裂し大きくなって見つかるまでの潜伏期間との合計です。
暴露→(誘導期間)→癌細胞発生→(潜伏期間)→ 発見
誘導期間と潜伏期間を合わせて「潜伏期間」と言っている医学者が多いのですが、ここでは明確に分けて使います。エコー検診で発見された癌はかなりの大きさ(5mmから34mm)になっていますので、癌細胞発生後の潜伏期間中に検診で発見されたものです。X線照射による外部被爆では被爆後10年してから甲状腺癌が発生するとのことですから、福島委員会の「非常にゆっくり育つ」の意味とは、K値(検診で発見されてから臨床的に発病するまでの平均期間)が10年であることとします。K値が10年であることは、誘導期間と潜伏期間を合わせた期間は少なくとも10数年以上になることを意味します。
福島医大仮説によると、癌は以前から同様にあったのですから、福島の検診で発見される癌の発生は、時間を横軸にして、下のように発生年がずれた一つ一つの横線で表されます。横線の始点は、エコー検診で発見できる大きさに癌が到達した時点、横線の終点は、臨床的に癌が発見される時点を表します。横線の長さがK値です。垂直な線で縦に切った時に交差する横線の数が検診で見つかる癌の数です。
――――――
――――――
――――――
――――――
――――――
――――――
すると福島の癌検診の集団はKの半分の5年後の岩手の集団と人口構成が対応することがわかります。被爆時13歳から17歳の集団は、2年後のエコー検診で15歳から19歳となっており、その平均値として5年後に20歳から24歳となって臨床的に発見されます。被爆時13歳から17歳の集団人口は53665人、癌の症例数は27.5人ですから、罹患率は27.5/53665/10より、年当たり51.2人/百万人となります。岩手県の20歳から24歳の罹患率は年当たり14.7人/百万人で、相対危険(リスク比)は51.2/14.7=3.47(95%信頼区間は2.0から6.1)となり、この年齢層で約3.5倍、福島県で甲状腺癌が多発してきたことになります。医学部で教育に携わる医師であれば、少なくても2倍ほどの多発で気がつきます。福島県立医科大学の医師は過去に多発を観察したと報告していませんので、「福島エコー検診で発見された甲状腺癌は原発事故以前から発生していた。」という仮説の反証が得られ、仮説が誤っていることがわかります。
「未成年の甲状腺癌も非常にゆっくり育つと考えたい。」については成人の甲状腺癌での診療経験を、未成年の集団に外挿した推論上の誤りです。未成年の甲状腺癌のデータ集積は十分ではなく、どのような早さで大きくなるのかまだ不明です。鈴木眞一氏も名を連ねる甲状腺腫瘍診療ガイドラインには、「小児の乳頭癌はびまん性硬化型乳頭癌や濾胞型乳頭癌など特殊な組織型を示すものが多い。その臨床的な特徴は成人のそれとかなりの差異を示す。頸部リンパ節転移が激しく,腫瘍の局所浸潤が多く,治療後の再発も多い。」と記載されているので、「非常にゆっくり育つと考えたい」は失言でしょう。
以上より、福島県のエコー検診で発見された小児および青少年の甲状腺癌の多発は、原発事故の放射能汚染によるものと考えてよいことになります。
以前に投稿したコメントよりも厳密に分析し直します。チェルノブイリ原発事故後の甲状腺癌の多発のデータは、被暴した全集団のうち、誘導期間と潜伏期間が短い集団の中から、被爆後4から6年後に発病する患者が現れると読むことができます。福島でのエコー検診は被爆の約2年後に行われていますので、検診後2から4年の間にその中から癌が多発してくる集団があるということになり、K値として3年が適当と考えられます。すると、被爆時10から14歳の集団については、補正症例数16.1人、観察人口64198人ですから、16.1/64198/3より、罹患率は83.6人/百万人年となり、5年後、15歳から19歳となって臨床的に発症します。岩手県の対照群15歳から19歳までの罹患率5.81人/百万人年と比べると、リスク比は14.4になります。福島県の被爆時15から18歳の集団については、補正症例数23.7人、観察人口36481人ですから、23.7/36481/3より、罹患率は216.4人/百万人年となります。この年齢層に対しては、岩手県の対照群を20歳から23歳ではなく、20歳から24歳の集団で代用します。この場合、対照群に年齢が高いものがはいっているので対照値は過大評価になり、リスク比は過小評価になります。すると、対照群の罹患率14.7人/百万人年より、リスク比は14.7(95%信頼区間は8.2から26.4)になります。2つの異なる年齢層でのリスク比がほぼ一致し、小児および青少年の甲状腺癌の多発は、原発事故の放射能汚染によるものであるという仮説を支持する結果になりました。
発生までの期間が短く、外部被爆ではなく、原発事故後の内部被曝による癌の多発であることはチェルノブイリと同様ですが、ヨウ素135に注目すべきだという私論を持っています。CTBT高崎観測所によるとヨウ素131の大気中濃度が1.5Bq/m3の時に、ヨウ素135は370Bq/m3の濃度でした。後に何故か誤報と取り消されますが、ヨウ素135の半減期は6.6時間ですので26時間に15/16の崩壊が生じます。このヨウ素135が呼吸によって体内に取り込まれ多量の被爆を受け、これが原因で甲状腺癌が多発したのではないかとか推測しています。
以上まとめますと、福島県および福島県立医科大学による県民健康管理調査の結果を分析すると、福島第一原発事故による放射線被曝により、福島県では、小児及び青少年(未成年)で甲状腺癌の発生(罹患)が多発しており、対照群に対するリスク比は約15と考えられます。つまり、15倍の甲状腺癌多発が福島県の未成年に起きており、福島県の甲状腺癌患者の93%は放射能被爆が原因である癌だということです。
今後必要なことを列記します。
1 エコー検診の対象者を被爆時19歳から30歳まで広げること。18歳で影響があるのですから少なくとも30歳まで調査すべきです。
2 エコー検診は最低1年毎に行い、エコーの画像結果は必ず本人に渡すこと。今後も多発が予想されるので、転移前に発見しなくてはなりません。また、セカンドオピニョンを自由に求められるようにしなくては人権侵害です。
3 甲状腺癌を発症した住民の方に対して、即刻、被害の補償が東電と行政から行われなければなりません。
4 IAEAと、IAEAの圧力に屈したWHOは、チェルノブイリ原発事故の健康被害を未成年甲状腺癌の増加のみと結論しましたが、近い将来、健康被害を矮小化して報告したIAEAとWHOの悪行は誰の目にも明らかになるでしょう。放射能による甲状腺癌以外の健康被害についてもヤブロコフ氏たち以上の詳細な研究が必要です。勿論、IAEAが福島県、外務省、福島県立医科大学に締結させた覚書のなかにある、「両当事者は、他方の当事者によって秘密として指定された情報の秘密性を確保する」は、すぐさま破棄されなくてはなりません。IAEAが甲状腺癌以外は調査するな、データがあっても公表するなと言えば、甲状腺癌以外の健康被害は一切なかったとIAEAとWHOが発表できることになります。勿論、騙される人間はわずかだと思いますが。福島第一原発事故の収拾というIAEAの本業の仕事ができないのに、健康被害の調査に横槍を入れるとは、国際連合下にある国際機関とは名ばかりのものです。IAEAは「Improper Atomic Economic Agency」ですね。
5 日本医師法第一条、医師の任務、「医師は、医療及び保健指導を掌ることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。」掌るとは、職務として行い業務を支配管理するということです。医師以外の誰かに追従することではありません。水俣病と真摯に取り組んでこられた、原田正純先生をはじめとする熊本大学医学部の哲学と行動に学ぶことが、福島県立医科大学や福島県の医師に求められていることなのではないでしょうか。
国立がん研究センターがん対策情報センターのHPに、地域癌登録事業の高精度地区とされる宮城・山形・福井・長崎の4県の地域がん登録による甲状腺癌罹患データ(1985年―2007年)が掲載されています。
http://ganjoho.jp/professional/statistics/index.html
4県の甲状腺癌罹患率(1985-2007年)
年齢; 症例数; 観察人年; 罹患率
0-4; 1; 6942509; 0.14
5-9; 4; 7759667; 0.52
10-14; 27; 8647172; 3.1
15-19; 66; 8870104; 7.4
20-24; 164; 8244898; 20
25-29; 243; 8344527; 29
30-34; 391; 8695346; 45
35-39; 606; 9262279; 65
40-44; 880; 9411616; 94
45-49; 1098; 9441105; 116
50-54; 1198; 9346720; 128
55-59; 1270; 8938982; 142
60-64; 1184; 8212242; 144
65-69; 1076; 7419571; 145
70-74; 1001; 6285663; 159
75-79; 691; 4788407; 144
80-84; 397; 3057670; 130
85以上; 276; 2257551; 122
この4県を対照群にしてリスク比を計算し直します。
福島県立医科大学教授仮説の「福島エコー検診で発見された甲状腺癌は原発事故以前から発生していたものである」に従って、K値を10年とした時、福島で被爆時13歳から17歳の集団の罹患率は51.2人/百万人年、対照群4県の20歳から24歳の罹患率は20人/百万人年で、リスク比は51.2/20= 2.57となります。また、福島第一原発からの放射能による多発と考えて、K値を3とした時、被爆時5から9歳の罹患率は9.70人/百万人年、10から14歳の罹患率は83.6人/百万人年、15から18歳の罹患率は216.4人/百万人年ですが、対照群の値は順に、3.1、7.4、20で、リスク比は順に、3.1、11.2、10.9になります。5から9歳の階級ではリスク比が低値ですが、10歳以上については2階級でほぼ同じリスク比となります。
対照群を4県にしても、大まかな結論は再分析―その2と同じですが、原発事故前の小児の甲状腺癌の一般的発生率は、これまで言われてきた値より、少し高い可能性があります(4県では0から19歳で3.0人/100万人年)。ただし、長崎県、佐賀県、福岡県の癌死亡率が日本の中で高い値を示してきた(上記HPの癌死亡率参照)ことを考えると、(長崎県単独の癌罹患率が手に入らないため検証はできていませんが、)長崎に落とされたプルトニウム原子爆弾の影響を考慮して長崎のデータを見るべきかもしれません。