2013年09月02日

ピカの毒−英国の原爆の父も米国の情報隠蔽を糾弾していた

 ホントの情報は、後から後からその真実性を補う情報が出てくるのに対して、ニセモノの情報は権威を持って現れ、さも本当のように喧伝されるにもかかわらず、後から後から矛盾が出てくるものです。そういった事実を端的に表した言葉として「真理は、時の娘」があります。

以前、原爆投下直後の広島を描写した記事として、あの大異変の中で負傷しなかった人びとが、原爆病としか表現しえない何ものかのために死んでいく-広島todayからを紹介しました。これは、下記の発言がきっかけとなって、いろいろな助言をもらって見つけ出した本の一つです。(騒ぎになるとこちらも勉強して、知識が深まります。いわゆる「炎上」が勉強のきっかけになるわけですから、あんまり気にしないことです)


と発言したところ、デマだの、ヒバクシャを傷つけるだのさんざんたたかれて、onodekita氏「ピカの毒はうつる」と差別的発言なるまとめまで作られました。私自身、原発構内の放射線管理区域で仕事をしたことがあり、放射線管理区域から外に出る際には必ず、ボディーチェックカウンターを通って、外界に放射能を持ち出さないように十分気をつけたものです。それを、放射能がうつるかうつらないか(移動といった意味ですが)と言った、本当の基本から2年たった未だにほとんどの人が正確に理解していないことに大いなる絶望を感じたものです。

この記事内にも紹介していますが、「救護者被曝」

長崎原爆:「救護被爆者」がん多発 原爆症認定へ裏付け
長崎に原爆が投下された直後、長崎県大村市の「大村海軍病院」に収容された被爆者らを救護した軍医や衛生兵、看護師らが、がんや肝機能障害、白内障などを、一般より高い率で発症していることが、弁護士らの調査で分かった。被爆者援護法は、広島・長崎市外で救護活動に携わった人も「救護被爆者」として原爆症認定の対象にしているが、認定例は報告されていない。調査に加わった澤田昭二・名古屋大名誉教授(素粒子物理学)は「被爆者の衣服や髪に付いた放射性微粒子を医療従事者が吸い込み、体内で被ばくし続ける内部被ばくによる健康被害の可能性が高い」と指摘。調査結果は、救護被爆者の原爆症認定に向けた一助となりそうだ。

1945年8月9日の原爆投下後、長崎市の北約20キロの同病院には、救援列車やトラックで被爆者千数百人が運び込まれ、約860人の病院職員が救護に当たった
全国で266人の被爆者が起こしている原爆症認定訴訟の原告に、当時の同病院看護師1人も参加。同病院で救護に当たった人にがん死亡者が異常に多いと聞いたことから、近畿弁護団が統計の専門家と共に調査した


 本人達はほぼ被曝していないと考えられるにもかかわらず、ヒバクシャを手当てしただけで、内部被曝したわけですから、とうぜんピカの毒はうつるという言葉そのものです。フクシマの時にも同様にかなりの高レベル被曝をした人がいたのは疑いようのないことなのですが、表面汚染チェックを差別だと騒いだのが医学者側であったのは、情けないことですが事実です。

さて、このような内部被曝の被害についてまた、古くて新しい記事が8月11日の熊日新聞に掲載されました。

書き下し
【ロンドン共同−半沢骼タ】英国の核開発を主導し「原爆の父」と呼ばれ、米国の原爆開発にも関与したウィリアム・ペニー博士(1991年死去)が日本への原爆投下から約4ヶ月後、「米国は放射線被害を(政治的な目的で)過小評価している」と強く批判していたことが10日までに、英公文書館に保管されていたことが文書でわかった。博士は独自に「殺傷要因」を特定するため、英科学者を米国の核実験に派遣する必要性を訴えていた。

 米国は当時、放射線による悲惨な被害実態が世界に知られることを警戒、厳しい報道規制を敷いていた。文書は、米国が最重要同盟国で原爆を共同開発した立場にある英国に対しても、核兵器の本質を隠していたことを示している。
 文書は原爆被害を調査した英政府機関、医学研究評議会(MRC)のファイルの一部で、45年12月4日にMRC関係者が作成。「ペニー博士は(広島と長崎で)多くが放射線によって死亡したことを示す相当な証拠があると判断している」と記されている。
 ペニー博士はさらに「米国はこの見方を軽視し、あらゆる被害を爆風と熱に起因させようとしている」と批判。「この(放射線被害の)問題は、米国で最も重要な政治問題になろうとしている」と背景を指摘した。
 爆風計算の専門家であるペニー博士は英国での研究を経て、原爆開発を進める米国の「マンハッタン計画」に参加。ナガサキでは観測機から投下を目撃し、その後、広島と長崎を現地調査した。45年12月13日にロンドンで行われた専門家会合で博士は「投下直後の放射線照射により、多くの人々が死に続けたことに疑いの余地はない」と指摘した。
 また、米国提供の情報は不十分で、次の原爆実験に英側も参加し、放射線被害について「最大限の情報」を収集することを医療専門家らに呼び掛けた。MRCの記録によると、英科学者らは博士の提案通り、46年7月にビキニ環礁で行われた実験観測に参加した。

人体影響を完全否定−情報操作した米政府
【ロンドン共同=半沢骼タ】「原爆の父」と呼ばれた英国のトップ科学者の一人、ウイリアム・ペニー博士に広島、長崎での放射線被害の過小評価を批判されていた米国は、戦後長い間、人体への影響を完全否定し情報操作を試みた。原爆の非人道性を象徴する原爆症の存在は、米国への批判増幅の引き金となりかねない上、軍事的に重要性を増していた被害データの独占を狙ったためだ
 「負傷していない人々も『原爆病』としか言いようのない未知の理由で、不可解かつ悲惨に亡くなり続けている」。原爆投下後約1カ月後の被爆地の惨状を、英紙デーリーエクスプレスはこう報じた。米紙ニューヨーク・タイムズも「原子爆弾はいまだに日に100人の割合で殺していいる」と状況を伝えた。
 しかし、米国の原爆開発計画「マンハッタン計画」の副責任者、ファレル准将は、東京の記者会見で一連の報道を完全に否定する。被爆地の惨状を無視するように「広島、長崎では死ぬべき人は死に、9月上旬現在、原爆放射線のために苦しんでいる者は皆無だ」と言い切った。
 米政府はさらに原爆が地上でなく上空で爆発したために、危険な核分裂物質が地上に影響を及ばさなかったと主張。これが政府の公式見解となっていく。間もなく報道規制を強化し、投下後から一カ月後に長崎に入ったシカゴ・デーリー・ニューズ紙が「外傷のない男女、子供たちが毎日のように死んでいる」と報じた記事は連合軍総司令部(GHQ)の検閲で公表を差し止められた
 冷戦前夜の当時、米政府はソ連との軍事的な対立を不可避と判断。軍事的バランスの鍵を握る核兵器開発を進める上で、原爆使用が敵国民、場合によっては自国兵士に与える被害のデータは戦略的に重要だった。こうした事情が、人体への影響に関するデータを独占し、同盟国の科学者にも事実を隠蔽した背景にあった。
【ロンドン共同 2013.8.10】


 フクシマの被曝は、明らかに東関東、さらには北半球全体に少なくとも及んでいるはずですが、あいかわらず上記に書かれたABCCの知見から「被害は起きない」と主張しています。政府は米国のポチですから、当然だとしても、NHKをはじめとするマスコミは一体何をしているのでしょうか。ヒロシマ、ナガサキの被害から目を背け、そしてチェルノブイリの被害も無視して、フクシマの復興だけを叫ぶ。その先に待っているのは一体なんでしょう。

◆関連ブログ
あの大異変の中で負傷しなかった人びとが、原爆病としか表現しえない何ものかのために死んでいく-広島todayから2013年04月15日
ピカの毒−残留放射能−の真実(投下直後からプレスコードで隠蔽した米国と暴いたオーストラリア人記者)2013年04月14日
タグ:内部被曝
posted by いんちょう at 21:45| Comment(10) | 日記
この記事へのコメント
「放射性物質」(ブログで書いていらっしゃるように、モノについた放射性微粒子)は、うつる(というか、くっつく)と思います。ホコリや花粉と同様に考えればわかるはずです。
花粉症の人なら、ついている花粉を払おうとするでしょう。それなのに、なぜ放射性物質を払おうとすると、差別だ何だと騒ぐのでしょうか…?


話は変わって、ジョン・レノンが以下のような言葉を残していたようです。

「Being honest way not get you a lot of friends but it'll always get you the right ones.」

今の日本に当てはめて言うならば、
「正直に真実を語ると、多くの友人を得ることはできない(友が離れていく)が、自分にふさわしい心友を得ることはできる」
とでもいう感じでしょうか。

原発事故以降、自ら健康を害し、おかしいと思って色々と調べ、自分のような苦しい思いをしないようにと家族・友人に注意を促しても、「神経質」「国が大丈夫と言っているから大丈夫」「気にしても仕方ない」等と言われて、相手との関係がギクシャクしてしまった人は少なからずいると思います。
しかし、心にやましい事がないのならば、凛とした態度でいればいいのです。必ず貴方を応援してくれる人はいます。孤独に打ちひしがれそうな時は、この言葉を思い出してください。


真実はたいてい残酷なものですが、口当たりのいい事を言う人よりも、厳しいことを言ってくれる人の方が、貴方の事を真に考えてくれている事もあると思います。誰だって、うるさい事を言って嫌われるのは嫌ですし、ほいほいと優しい事を言っている方がラクです。でも、時が経ってから『あの時に親に、上司に、厳しくしつけてもらったおかげで、今恥をかかずにすんでいる』―そういう事はありませんか?。(もちろん、マナーは必要です。相手の人格を否定するような言葉遣いは論外です)
 

(3.11以降思った事は、表面愛想がよく、人当たりのいい、いわゆる皆から「いい人」と言われている人ほど、実は周囲に嫌われまいとする保身が強く、いざと言う時に全く頼りにならない―ということでした)


今の日本を見ていると、「こんな事を言うと嫌われるから」「傷つけてしまうから」と、必要以上に空気を読んで皆が押し黙り、互いにがんじがらめになってしまっているような印象を受けます。

しかし、優しい(と自分で思っている)言葉が、むしろ人を傷つける事もあると思うのです。
「そういう事を言うと可哀想だから」という事自体が、既に自分を優位に置いて、相手を侮辱しているのだという事にも、気づいて欲しいと思います。私なら、「びっこだから遊びに誘うのは気の毒。そっとしておこう」という子よりも、「おい、びっこ、遊びに行こうぜ!」という子と友達になりたいと思います。

Posted by 海外滞在者 at 2013年09月03日 01:25
ホントの情報といえば、「太郎が市民の力だけで当選した」というのも怪しいです。参院選東京都の得票を見ると、

社民党比例 11万
小沢党比例 11万
太郎選挙区 66万
鈴寛選挙区 55万

であり、選挙区に候補を出さなかった社民党と小沢党の組織票の助けで太郎は当選したとも言えます。

政策はお飾りで議席利権を何より大事にする両党に急所をつかまれているとすれば、ここ数日の太郎の「現実的な」変節も納得できます。変節にがっかりした44万の人々には早く目を覚ましてほしいです。
Posted by 都民 at 2013年09月03日 07:25
この間、友達が来た時に話をしました。

ボクは「今となっては、福島エートスを支持する」と言いました。

高放射性物質内部被曝者が各地に万遍なく散らばるのは、瓦礫拡散以上の被害を各地に及ぼしかねません。

友達は退きましたが、なぜ、ボクを非難できるのか?
みんなだって、福島に閉じ込めるために応援してるじゃないか?
それも、経済とか、郷愁とか、そんなちっぽけな理由で、、騙されて。

ボクは、西日本の人々の健康と生活を守り抜く方法を述べているだけだ。と。

結果的に同じくエートスを支持しているけど、どっちが健全な考え方だ?と。

いままで被災者を支援し受け入れるところも多々あったはずです。
避難もせずに、さらに海で泳ぐなんて信じられません。
ここまで愚かなら、自己責任です。
もう、いまさら低汚染地域住民を巻き込まないでください。

何か間違ってますか?

きっと、エートス支持者からも攻撃されるだろうなぁ。
これもエートス支持論なのに。
批判する暇があるのなら、自分たちのやってることを反省してください。
Posted by はじめ at 2013年09月03日 14:24
一応書いておきますが、先ほどの文章でボクが書きたかったのは、エートス支持者に対する嫌味であり、反語の意味を込めた言葉です。

野呂美加さんの活動で、保養の効果が出ている以上、たとえ、遅くとも避難、保養だけでもしてほしいと願っているのが本音です。
Posted by はじめ at 2013年09月03日 14:34
こんにちは。29日にサロン・ドット・コムから福島の放射性物質がアメリカに到着するのは2014年と云うビックリ仰天の記事が出ました。
連日福島の汚染水が太平洋を直撃しているニュースが流れていますが、それに対する巻き返し/目くらまし記事かと。。。
yokoblueplanet ‏@yokoblueplanet1 29 Aug
サロン・ドット・コム 2013.8.29: 福島の放射性物質、2014年にUSへ:新予測では3年後に到着とthe Centre of Excellence for Climate Sytem Science
http://www.salon.com/2013/08/29/fukushima_radiation_set_to_hit_the_u_s_by_2014/ … via @Salon
Posted by yokoblueplanet at 2013年09月03日 15:43
山本太郎議員について。数年前、テレビ番組で山本太郎さんの自宅を紹介していました。お母様と同居されていて、インテリアはとてもこだわっていてお掃除も完璧に行き届いていました。そしてなんとオゾンの空気清浄器を使っていました。留守中リビング全体除菌できるくらいの大きさはあったので、かなり高価な物だったと思います。プラズマクラスターイオンなんかが世の中に出る前の話で、私もディスカバリーCHで死体があった現場の清掃人が除菌消臭で使うのがオゾン脱臭機なのだとやっていて覚えた位、一般にはなじみの無い機械なので、当時からかなりの潔癖症なんだろうという印象がありました。
そんな人が、5ミリなんて中途半端な数字をだすのはとても違和感があります。
人当たりの良いほがらかな表向きの性格より、あの自宅のきっちりさせている彼の方が本当だと思うのです。
だとすれば今回3年越しのアクションは自らの潔癖な性格が招いた、地位の転落を起死回生させるべく練り、反原発の支持を利用したものか、もしくは週刊誌ゴシップや身内の内情まで漁られ脅かされて妥協したか・・・・どちらにせよ当選後の方向転換はありましたね。内々だけの事情で。

選挙事務所の対応の悪さですが、そもそも選対のスタッフがオフィスワークというよりアーティスティックな部類の職業人が多かったので、内輪ではすごく盛り上がりますが、赤の他人とのコミュニケーション力になると、ツイッターなどで仲間内で情報交換メインなので高円寺でみた限りでは良い人でも誤解されちゃうよな、あれじゃ・・的な人は少なくなかったです。
いわゆる乗りではしゃいじゃうので。

議員事務所にどんな方がいるのかはわからないので当時の話として、です。

そんな私も太郎ちゃんに一票だったので、支持者の一人として解せません。

私も推進派で誑し込むなら考える、人はわざと汚染度の高いところに住む人々を引き合いに出して、下限を厳しくすると避難が遅れるからなんだといい、現実的に避難させやすい高線量の地域だけを対象にさせる1ミリ→5ミリ→10ミリくらいまでは現実的じゃないので非対称。低線量被曝を認めない人達の手管にハマったかなぁ。
Posted by 都内からです at 2013年09月03日 20:35
世間もマスコミも、菌やウィルスは「伝染る」といいますが、それなら放射能だけが「伝染らない」など有り得ないと思います。
▼南相馬市に住んでいる方の長そでのTシャツから合計422.6Bq/kg検出
何回も洗濯してもこれ以上下がらない、
http://ameblo.jp/misininiminisi/entry-11546308548.html
▼南相馬市の理髪店から集めた毛髪からセシウム110.08Bq/s検出 毎日シャンプーしても全部落ちないんです
http://hibi-zakkan.net/archives/20034348.html
▼放射性ヨウ素等は髪の毛から体内に吸収される
http://ameblo.jp/mog-mog-mogle/entry-11169228685.html
▼コンディショナー、リンスなどを使用すると放射性物質が髪の毛に結合して簡単に除去できなくなるそうです。(核爆発時のマニュアルらしい)
http://yaplog.jp/miyaty/archive/2680
▼オランダの放射線安全アドバイザーの知人が「洗髪にコンディショナーを使うと放射性物質がつきやすくなるのでシャンプーだけにして」というので、ほんまかいなと思って調べたら、米国の連邦危機管理局関連のサイトにも「(使うと)放射性物質が髪の毛に結合して簡単に除去できなくなるから使うな」と。
http://matome.naver.jp/odai/2130723104746465701
Posted by ちょここ at 2013年09月04日 16:06
横須賀に停泊している原子力空母や原子力潜水艦が津波で陸に打ち揚げられたら首都中枢ど真ん中でメルトダウン。

原発施設の津波を想定しておきながら米軍艦艇の危険性を誰も指摘しないのはなぜ?

http://blog.livedoor.jp/fistoria/archives/2939134.html
Posted by 蔵権 at 2013年09月04日 21:00
横須賀に停泊している原子力空母や原子力潜水艦が津波で陸に打ち揚げられたら首都中枢ど真ん中でメルトダウン。

原発施設の津波を想定しておきながら米軍艦艇の危険性を誰も指摘しないのはなぜ?
Posted by 蔵権 at 2013年09月04日 21:01
ふつう被害地域の事を真剣に考えれば

汚染物が移動して被害が出た当初と違う地域と人に被害を与える=うつる

でしょうからねぇ
水銀が流れて違う場所にうつるとか・・
カドミウムが汚染水からイネにうつるとか
騒いだ人は過去の公害とか興味なくて他人事にしてしまってる人とかでしょうかねぇ・・
Posted by 南部のアホな大阪人 at 2013年09月04日 21:48
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