2013年10月20日

原発事故時の核汚染−年間1ミリから20ミリ許容へ−米国の環境保護庁新指針(案)

 現在年間20ミリシーベルトの避難基準を、1ミリまで下げるようにと政府と住民との間で何度も話し合いがもたれています。一方、日本の同盟国であり、世界最大の核大国である米国は原発事故などの長期に亘る放射能汚染が避けられない場合は、年間20ミリまで被曝を認めるように法律の改正を企てていました。

EPA Relaxes Public Health Guidelines For Nuclear Attacks, Accidents
グローバル セキュリティ ワイヤ紙 2013年4月8日 ダグラス P グアリノ記者
環境保護庁、核攻撃や放射能事故後の公衆衛生指針を緩和
ワシントン ー オバマ政権は、何年にもわたる内部審議及び内部論争を経て、放射性物質が放出される事故の発生または攻撃を受けた場合の対応について提案する新しい公衆衛生指針を発表した。この新指針は、環境保護庁が通常許容する指針より数千倍緩いものとなる可能性がある。
環境保護庁の文書は、「放射能事故に関する防護行動指針」と呼ばれるもので、金曜日の夕方に同庁のウェブサイトにこっそりと掲載された。同指針が目立たないように公開された後、監視団体からの猛反発が巻き起こった。監視団体はここ数週間、ホワイトハウスが一定の状況下において放射能除染作業基準を緩和することにひそかに支持を表明し、環境保護庁の新指針への道筋を作っていたというニュースに懸念を表明していた。
 環境保護庁の職員は2009年1月のブッシュ政権最後の時期において、防護行動指針を発表しようとしていた。しかし新たに登場したオバマ政権は、同防護行動指針案には、環境保護庁が通常許容する基準を何千倍も上回る汚染水を市民が飲むと示唆する指針が含まれていたこともあって、同防護行動指針案の発表を阻んだ。
金曜日に公開された新指針には、そのように著しく緩和された指針は記されていない。しかし新指針は、「必要な情報については、環境保護庁以外の連邦政府機関および国際機関が策定し各種文書に記した勧告を参考にするように」と、指針の読み手に指示している。このことは、指針の読み手が、ある状況下において環境保護庁の飲料水安全法を遵守することは非実際的と考える可能性があるということを示唆している。
 新指針によれば、ある状況というのは、「汚い爆弾」による攻撃、核爆弾の炸裂または原子力発電所の事故の後の状況である。そのような状況の回復には、何ヶ月もかかるかもしれず、あるいは何年もかかるかもしれない。新指針には法的拘束力がないが、連邦政府、州政府および地方政府がそのような状況に対応するさいの準備となることを意図している。
 例えば、環境保護庁の新防護行動指針は、国際原子力機関の指針に言及している。同機関の指針は、飲用水の放射性ヨウ素131の汚染濃度が1リットル当たり81,000ピコキューリー(3,000ベクレル)になるまでは、介入する必要性はないとしている。この汚染レベルは、環境保護庁の飲用水安全法が規定する1リットルあたり3ピコキューリー(0.111ベクレル)の27,000倍緩いものである
「この公衆衛生政策は、ストレンジラブ博士のみが容認できるものだ」と、環境保護に関する責任を担う公僕の会のジェフ ラッチ代表は、月曜日の書面において述べた。ストレンジラブ博士というのは、スタンリー キューブリック監督が製作した映画においてピーター セラーズが演じた主人公である。
 ラッチ氏は他の活動家とともに、新防護行動指針に不備な点があるのは環境保護庁の大気放射線担当責任者であるジナ マッカーシー氏の責任だと述べた。マッカーシー氏は、次期環境保護庁長官に指名されており、木曜日の上院において同氏の指名承認公聴会が行われる。ラッチ氏は次のように言った。「この新防護行動指針がマッカーシー氏に期待できる指導力を表すものであれば、環境保護庁というのは長くて汚いナメクジです。」
環境保護庁のジュリア ヴァレンタイン報道官は本紙への書簡において、新防護行動指針は特定の飲用水基準を提案するものではなく、むしろどのような指針が適切かという意見を求めるものだと述べた。同報道官は、続けてこう記した。「環境保護庁は、この点について州政府および地方政府のご意見を伺いたいと願っています。新防護行動指針に記す飲用水の適切性および可能と思われる基準値についてご意見を伺って、指針に反映させたいと考えております。」
しかしながら新防護行動指針が連邦政府官報に正式に掲載されてから90日間の意見公募期間があるとはいえ、同官報に掲載されるということは「暫定的に適用」されるということである。すなわち、即刻施行されるということだ。
 カリフォルニア大学サンタクルーズ校のダニエル ハーシュ核政策講師は、60もの監視団体を率いてブッシュ政権下での防護行動指針案の実施に反対した。ハーシュ氏は、オバマ政権下の指針はブッシュ政権下の指針案よりも悪辣だと主張する。ハーシュ氏によれば、今回の新指針は、環境保護庁の基準を定めずに、議論を呼んでいる多くの勧告を参照するようにと述べている。新指針の読み手は、詰まる所、他の無数の文書にあたって勧告を探さざるを得なくなるとのことだ。
 「本当に惨憺たるものだと思ったのは、新防護行動指針案があまりにも堕落したものだからではなく、役に立たない文書に成り下がったからです」とハーシュ氏は本紙に述べた。「緊急事態が起これば、防護行動指針を参照し、各種の表を読み、何をすべきかを知りたいというのに、今回の新防護行動指針では参考にならないのです。」
ハーシュ氏の見解によれば、マッカーシー氏は、ボブ パーシアスプ環境保護庁長官とともに、「参照すべき勧告として最も酷いものを盛り込んだ」とのことだ。そうすることで「彼らは、ブッシュ政権下の防護行動指針案とは同一ではない、と辛くも主張することができます。」
 新防護行動指針は86ページの長さだが、全編を通じて他の文書を当てにしたものとなっている。「緊急時には素早く適切な決定を下すことが求められるというのに、新防護行動指針にはいろいろな参照すべき勧告が並べられていますから、事故現場に対応する人間は、どの勧告を参考にすればいいのかわからずに大混乱するでしょう」とハーシュ氏は言う。「こうなったのは、政治のせいです。」
ブッシュ政権下の環境保護庁防護指針案が他にも議論を呼んだのは、緩やかな定義の「最適化」という取組方を除染作業に盛り込んだことだった。「最適化」された除染作業が行われる場合、放射能事故の影響を受けた地域をどのように持続的に復興させるかという決定は、環境保護庁が平時に適用する公衆衛生指針にもとづいて下される必要はない。
 国土安全保障省が最近作成した報告書案によれば、最適化した除染作業を行う場合の決定は、1年当たり100ミリレム(1ミリシーベルト)から2,000ミリレム(20ミリシーベルト)の範囲の放射線量を目標として下されることになるだろう。この放射線被曝量というのは、長期にわたって被曝した場合、約20人に1人がガンを発症すると見積もられるレベルである。これまで環境保護庁は、1980年代に制定されたスーパーファンド法にしたがって、最悪の状況においても長期的にガン発症率が1万人に1人を超えることを許容してはこなかった。
 環境保護庁の新防護行動指針が「最適化」という言葉を使用していないとはいえ、同指針が扱う種類の事故後に環境保護庁の従来の法規や指針を遵守するのは、実際的ではない可能性がある。
新防護行動指針の発表を伝えるための連邦政府官報通知の草稿には、以下のように記されている。「すでに施行されている法規の枠組みのもとで、これまで敷地もしくは施設の閉鎖または回復のための除染作業が行われてきました。今回の新防護行動指針について留意すべきことは、原子力発電所の事故、放射性『汚い爆弾』の炸裂または核兵器事故によってもたらされる汚染の程度および範囲が、これまで行われた除染作業よりも遥かに大規模になる可能性があるということです。放射能事故の深刻度が低い場合には、現行の対応指針および環境除染計画のもとで十分対応できるかもしれません。」
しかしながら監視団体の反論によれば、環境保護庁の新防護行動指針および国土安全保障省の報告書が、放射能事故処理対応者に従来の公衆衛生指針を遵守する必要はないと述べてはいっても、その対象となる事故の種類はあまりにも広範囲にわたるとのことだ。汚い爆弾による事故を想定した多くのシナリオが考えられる。しかし、汚い爆弾に汚染される地域は、多くのスーパーファンド法の適用地より狭いものになると思われる。汚い爆弾とは、従来の爆薬を使用して放射性物質を拡散する兵器のことである。監視団体の見解によれば、連邦政府の政策文書において、そのような除染作業が環境保護庁の現行の法規を遵守する必要はないと示唆することは、多くの状況に関して悪しき先例を作りかねない。環境保護庁の職員および連邦政府機関の職員の何人かも同様な懸念を示している。
 「核爆弾と汚い爆弾を混同したり、原子力発電所の事故と他の種類の事故を混同することは、知的に不正直です」とハーシュ氏は言った。「政府は、次のように言うべきです。『我々の基準は、これまで経験した事故のリスク範囲に基づいて市民を保護しようとするものですが、核爆弾炸裂といった絶対的に急迫した状況が起こるかもしれません。そのような場合、対応が難しくなることでしょうが、そういう場合であっても対応できるように計画することが我々の目的なのです。』」
環境保護庁の新防護行動指針には、放射性廃棄物投棄場として特別に設計された場所が不足しているため、放射性廃棄物を従来の埋め立て式ゴミ処理場に投棄する可能性があるとの提案が示されている。このことも反対活動家の懸念をかき立てた。
原子力情報資料サービスのダイアン ディアゴ氏は、この提案について以下のように述べた。「つまり、原子力発電所の事故は広大な範囲の荒廃をもたらす可能性があり、また膨大な量の核廃棄物を生成する可能性があると認めたということです。その膨大な核廃棄物の量は、国内の放射性廃棄物処理場の処理能力をすべて合わせても対応しきれない量なので、通常の埋め立て式ゴミ処理場に搬送されるか、焼却されて拡散して大気を汚染したり、市民の肺に吸引されると言っているのです。」ディアゴ氏によれば、新防護行動指針は、ふだんの生活におけるありふれたこととして「放射性廃棄物の埋め立て式ゴミ処理場への投棄および焼却処分を『許容可能な』業務にしようという姿勢」を示したものとのことだ。
 しかし環境保護庁のヴァレンタイン女性報道官は、新防護行動指針によって環境保護庁のスーパーファンド法の権威、既存の除染規則または現行の健康安全基準が影響を受けることはないだろうと述べた。新防護行動指針にスーパーファンド法の権威、諸規則および諸基準が多くの状況において適用されない可能性があると記されているにもかかわらず、これらの法規が新防護行動指針に影響されないだろうと言っているのだ。同女性報道官によれば、「環境保護庁は、除染作業基準を緩和しているのではなく、むしろ大惨事の影響への対応と現行の環境基準との間に橋を架けようとしている」とのことだ。


放射能事故に続く国民のがん死亡、うなぎ上りの見込み
2013年4月14日 環境に関する責任を担う公僕の会
 ホワイトハウスは、原子力発電所の事故および汚い爆弾の爆発などの「放射能事故」が起きた場合、事故後の飲料水および土壌における放射能許容水準の大幅引上げについて最終認可をくだした。環境に関する責任を負う公僕の会によれば、本日にも発表される連邦政府官報記載用の最終草稿は、アメリカ市民への放射能被曝に関して「新たな標準」を求める原子力業界の勝利を示すものであった。
 環境保護庁が発行した「放射線指針」(通称は「防護行動指針」で、以下の和訳にも「防護行動指針」と記載)のもと、同庁が従来許可したものより何倍も緩い除染作業が許可されることになる。これらの基準は、広範囲な「放射能緊急時」における避難、避難所の規律、食糧の規制および他の行動に関するものである。オバマ政権は、その第1期政権のとき、これらの指針の施行を阻んだ。この金曜日に認可されたものは、ブッシュ政権下に提案されたものと実質的に同様であるが、最も議論を呼ぶ点に関しては回避したものとなっている。
 防護行動指針は、土壌について国民の長期的被曝量を最高2,000ミリレム(20ミリシーベルト)まで許容している。長年、ガン発症リスクは1万人に1人を超えないようにとされてきた。しかし、この防護行動指針が施行された場合、30年以上にわたって放射線被曝を受けたとき、ガン発症リスクは23人に1人に増加することになる。
防護行動指針は、水に関する正確な新基準作りを後回しにしており、「この点については継続して検討する」としている。しかしながら、防護行動指針を作成する狙いは、放射能事故現場の管理者が現行の基準を無効または停止するにあたってより大きな「柔軟性」を持てるようにすることである。
環境保護庁では、原子力の専門家と公衆衛生の専門家との間で対立があったが、原子力の専門家に軍配が上がった。防護行動指針は、大気 放射線担当のマッカーシー副長官の成果である。同氏の環境保護庁長官就任について、今週、上院で指名承認公聴会が行われる。
長年にわたった内部対立にも関わらず、これらの指針が初めて公的に提示された。日本がフクシマ以降2年において同様な問題に取り組んで来たことを受け、今回の指針の提示となった。
「この公衆衛生政策は、ストレンジラブ博士しか受容できないものです。この政策がマッカーシー氏に期待出来る指導力を示すものなら、環境保護庁は、長くて汚いナメクジです」と、環境に関する責任を担う公僕の会のラッチ代表は述べた。同氏は、環境保護庁の新指針に説得力のある正当性が欠けていることはほとんど不可解であり、この政策は婉曲語法の「玉虫色」の言葉を連ねて定めたものであると指摘した。
ラッチ氏は以下のように付け加えた。「アメリカ市民は、組織の判断ミスによる影響を無意識に受けてガンの発症率を何百倍も増加させられることになりますが、それについて何ら説得力のある正当性がないのです。」
 伝えられるところによれば、防護行動指針は去年の秋に承認されたのだが、その公開は大統領選挙が終るまで差し控えられたとのことだ。マッカーシー氏の指名承認公聴会の直前に防護行動指針が公開された所以は明らかではない。
防護行動指針は、行政機関の意思決定にあたっての指針であり、正式な標準を定めているものでもなければ、飲料水安全法およびスーパーファンド法などの法的要件を無効にするものではないため、短期間に行われる意見公募手続を経て全面的に施行される。そのように簡単に施行されるものであるにもかかわらず、防護行動指針は、放射能緊急時から数日、数週、数ヶ月、場合によっては数年にわたって地上でどのような行動を取ることにするかを決定するもののようである。


100以上の団体、環境保護庁の放射能拡散に関する緩和策に反対
2013年9月16日 ウィスコンシン ガゼット
 100以上の環境団体は今日、ジナ マッカーシー環境保護庁長官に新防護行動指針を撤回するよう訴えた。同指針は、政府が市民を守るための行動を取る前に、市民が拡散された放射能に多量に被曝してしまうことを許容するものである。
 ニュース報道によると防護行動指針の目的は、日本の福島、ウクライナのチェルノブイリおよびアメリカのスリーマイル島などの原子炉の事故、「汚い爆弾」の爆発、核燃料および兵器施設からの放射能拡散、核輸送事故ならびに他の態様における放射能の拡散に対応する指針を提供することである。
 政府の見積りによれば、旧防護行動指針の公布以来、放射線による健康への危険性は著しく高まっており、今回の新防護行動指針は、放射能拡散後の中長期的期間において「許容可能な」被曝量を著しく増加させることを意図するものである。
反対団体は、その各々の抗議文書において新防護行動指針を以下のように記している。
飲料水について5つの選択肢を提示しているが、それらは飲料水における放射性物質の濃度を著しく増加させたものであり、環境保護庁による現行の飲料水安全法の規定と比較すると、27,000倍も高くしている。
長期的な除染水準を緩和するものである。
食品の許容汚染基準は、高度の汚染基準と時代遅れの基準を組み合わせたものとなっている。
甲状腺および皮膚に多量の放射線被曝を受ける危険性のある人々を避難させる要件を排除するものである。
生涯における全身被曝限度量を排除するものである。
放射性廃棄物の投棄場所として設計されていない地方自治体の廃棄物投棄場に、放射性廃棄物を投棄することを勧めるものである。
違いに橋を架ける会のダニエル ハーシュ会長は、次のように述べた。「市民の放射線被曝を制限する防護的行動を求めるというよりは、むしろ環境保護庁は、市民が従来許容可能と考えられていた被曝より遥かに多く被曝することを認める、と言っているのです。」
 原子力情報資料サービスのダイアン ダリゴ氏は、次のように付け加えた。「環境保護庁は、放射線というものは以前考えられていた以上に毒性があると今では認めているのに、放射線基準を規制するどころか緩和しようとしているのです。」
 反対団体は、マッカーシー環境保護庁長官に「放射性核種に関する防護行動指針」(文書番号第 EPA-HQ-OAR-2007-0268号)について、38ページにおよぶ書簡を送付した。
この書簡には以下のように記されている。「オバマ政権が今回発表した防護行動指針は、多くの点において、ブッシュ大統領が提案したものと同程度に懸念に満ちたものです。また特定の点に関しては、公衆衛生の保護を緩和しようとさえしています。いくつかの点においては、上辺だけの変更がなされました。例えば、新旧の指針において同じような懸念について記されている場合、新指針ではその表現をより曖昧な言葉で記しています。しかし、問題の核心は、防護行動指針が市民を被曝から守る防護的行動を明確化するより、被曝制限目的の防護的行動を勧めることなく市民に多量の被曝を許容するものとなっていることです。我々は、防護行動指針の撤回を求めます。」
書簡に署名したのは、以下の団体の代表者である。
市民の会( Public Citizen http://www.citizen.org/Page.aspx?pid=183
核を超えて( Beyond Nuclear http://www.beyondnuclear.org/
グリーンピース( Greenpeace http://www.greenpeace.org/international/en/
天然資源防護委員会( Natural Resources Defence Council http://www.nrdc.org/
生物学的多様性センター( Center for Biological Diversity http://www.biologicaldiversity.org/
きれいな水を求めて行動する会( Clean Water Action http://www.cleanwateraction.org/
フクシマからの放射性降下物を知る会( Fukushima Fallout Awareness Network http://ffan.us/
シエラクラブ( Sierra Club http://www.sierraclub.org/
核の見張り番( Nukewatch http://www.nukewatchinfo.org/
ロッキー山脈の平和と正義の会( Rocky Mountain Peace and Justice Center http://rmpjc.org/


環境保護庁の対応指針に関して反目する原子力産業界と政治家
2013年9月23日付けグローバル セキュリティ ニュースワイヤー ダグラス P グアリオ記者
ワシントン ー 原子力業界と何人かの民主党上院議員は、アメリカ環境保護庁が新たに発表した放射能事故対応の指針をめぐって反目している。何人かの議員は同指針の基準が公衆衛生を保護するものでないと懸念する一方、原子力業界は同指針がさらに緩和されることを望んでいる。
新しい防護行動指針は4月に環境保護庁が発行したもので、同指針に関する意見を9月16日まで公募していた。同指針の目的は、連邦政府、州政府および地方政府に対し、「汚い爆弾」の爆発、原子力発電所のメルトダウン、国内の兵器施設における問題などの広範囲な放射能事故後の対応について助言を与えることである。同指針が議論を呼んでいる一つの理由は、飲用水および長期的除染に関して長く実施されてきた公衆衛生の指針が、一定の状況において著しく緩和される可能性があるからである。
ある議員側近によれば、何人かの民主党上院議員は、新指針が市民を十分に保護をするものではないと懸念している。議員が正式な意見公募期間に意見を提出しなかったとはいえ、彼らは自らの懸念を環境保護庁に伝える意向とのことだ。「例えば、新指針に関する意見を何らかの形で伝えたり、マッカーシー環境保護庁長官に書簡を送付することなどで意見を表明することになるでしょう」と上述の議員側近は匿名を条件に語ってくれた。この議員側近が名前を明かせないのは、この問題について述べることを許されていないからとのことだった。
一方、原子力業界は、新指針は放射能事故に対応する指針を十分に緩和していないと主張している。原子力業界を代表する原子力エネルギー協会は9月16日に書簡を提出し、環境保護庁は、よりよい仕事をして、市民を放射線被曝から守ることと他の考慮事項との間のバランスを取る必要があると述べた。
原子力業界の意見書は次のように記している。「2011年に日本で地震に続いて、津波および原発事故が起きたことで、基準を緩和する重要性が高まった」というのが原子力業界の意見である。「いくつかの決定が一つの目的(この場合、放射線被曝を防護するという初期の意図)のために下されました。しかし非常に混乱を来すものであったため、社会に資するものであったというよりも社会的損害をもたらしたかもしれません。」
このような主張を裏付けるために原子力業界は、今年発表された2本の論文を引用した。一つは民間の国際放射線防護委員会の論文で、もう一つは世界保健機関による論文である。しかしながら、いずれの論文も防護行動の基準を緩めていた場合、日本の市民の利益になったであろうという直接的な証左を提供するものではない。
原子力業界の意見とほぼ同様に、国際放射線防護委員会の委員による論文が考察しているのは、防護行動と他の一般的な考慮事項との間でバランスを取るという概念についてのみである。
「例えば、人々を彼らの自宅から避難させることは明らかに通常の生活に深刻な影響をもたらします」と国際放射線防護委員会の委員は言う。「必ずしもすべての決定が正当化されたわけではありませんし、本当に利益よりも損害をもたらしたのかということも明らかではありません。」
しかしながら国際放射線防護委員会の委員は、日本においてどの特定の行動に関する決定が明らかに正当化されなかったのかについて詳述しなかった。また同委員は、避難させた人々が自宅に残っていた場合、彼らの総体的な幸福感が増したであろうというデータを提示することもなかった
同様に世界保健機関の論文は、防護行動に関する決定を下す際には、精神的な健康に関わる「放射能リスクおよび非放射能リスクの両方」を考慮しなければならないと述べている。予備的調査にもとづいた世界保健機関の論文は、「フクシマ事故に起因する放射線被曝による日本内外での健康への影響は、社会経済的な影響よりも少ないようである」としている。しかしながら同論文は、メルトダウン後の特定の防護行動を制限していた場合、全体的な状況を改善させたであろうとは述べていない。
環境学者は一方、環境中に放出される放射性物質の量に関して新たな情報が引き続き提供されていることを考えれば、世界保健機関がフクシマのメルトダウンによる健康への影響が長期的には限定されるだろうと示唆することさえ時期尚早だと主張している。
「今何が起きているかを考えてみましょう。日本では大量の放射性物質を海に投棄しています。そのようなことは2011年には誰も予測していませんでした」とカリフォルニア大学サンタクルーズ校のハーシュ核政策講師はグローバル セキュリティ ニュースワイヤ紙に語った。「私たちの多くが、魚を摂取することでガンを発症する可能性があります。」
たとえ健康への影響についての予備的見積が信頼できるものであったとしても、防護行動を緩和することは正当化できない、とハーシュ氏は主張する。ハーシュ氏の環境保護庁の新指針に対する批判は、100以上もの監視団体も支持している。 「何か申し上げようとすれば、世界保健機関は、フクシマでの防護行動が成功したので同様な状況において繰り返されるべきだと示唆しているのでしょう」とハーシュ氏は語った。
原子力エネルギー協会の放射線安全 環境防護担当上級管理職であるラルフ アンダーセン氏は、グローバル セキュリティ ニュースワイヤ紙への書簡において以下のように述べた。「世界保健機関の報告書は、日本における防護行動が逆効果であった可能性があると直接的に述べるものではありません。むしろ、そういう可能性があったのではないかと推論しているのです。」
「我々が申し上げたいのは、権威ある機関が日本における防護行動を評価したうえで利益より損害を生んだと明白に結論付けたということではありません。後からとやかく言ったり、責任のなすり合いではないのです」とアンダーセン氏は言った。そして以下のように付け加えた。「むしろ我々は、フクシマの教訓を活かし、防護行動についての意思決定を下すさい、バランスを取ることの必要性を認識し、柔軟性を高めようと申しているのです。」
原子力業界は、環境保護庁の新指針がそのような必要性を認識し柔軟性を高めるものとなるべきで、そのためには、放射能事故のさいの市民の避難時期に関する指針を緩和する必要があると一方的に述べている。
新防護行動指針によれば、避難に関する決定を下すさいには、市民の事故後1年以内の被曝量が2,000ミリレム(20ミリシーベルト)および事故後1年以降の年間被曝量が500ミリレム(5ミリシーベルト)を超えないように尽力すべきであるとしている。原子力業界は、これを「保守的」であるとし、国際原子力機関の指針にしたがって、年間2,000ミリレム(20ミリシーベルト)から10,000ミリレム(100ミリシーベルト)の範囲を適用すべきだと勧告している。
従来、50年にわたる被曝量を5,000ミリレム(50ミリシーベルト)に抑えることが推奨されていたが、環境保護庁の新防護行動指針は、この基準を排除するものである。原子力エネルギー協会は、今回の環境保護庁の基準排除を支持している。そして、新防護行動指針が長期間の除染は「広範囲の要因を考慮せねばならない」と記したことも支持したうえで、環境保護庁の通常の除染規則は実行可能ではないとしている。
環境保護活動家は、何人かの環境保護庁職員および州政府職員とともに、このような意見に反対している。環境保護活動家の主張によれば、スーパーファンド法は平時に適用されるものだが、環境保護庁が長期的除染活動の策定を規定するスーパーファンド法を放射能事故後にも遵守すべきだとしている。そうすることで、市民が最悪の事態において放射線に被曝したとしても、市民のガン発症率が1万人に1人を超えないようにすべきだと主張しているのだ。ちなみにスーパーファンド法が理想的な目標として掲げているガン発症リスクは、百万人に1人である。
100以上もの反対団体が署名した文書には、以下のように記されている。「『スーパーファンド法適用地』と呼ばれる場所がありますが、それらは州の半分もの大きさで非常に高度に汚染されています。例えば、マンハッタン計画が行われたワシントン州のハンフォードなどです。スーパーファンド法が規定する1万人に1人というガン発症リスクは、このように広大で高度に汚染された『スーパーファンド法適用地』においてでさえ、合理的であると受け入れられてきました。それゆえ、環境保護庁の新防護行動指針がガン発症リスクを緩和すべきではありません。」同文書に署名した団体として、天然資源防護委員会、社会的責任を担う内科医の会およびシエラクラブなどが挙げられる。
上述の文書は、9月16日付けで環境保護庁長官宛に送付されたが、以下のように主張している。「防護行動を緩和または縮小する主な理由は、大規模な放射能除染に繋がる可能性のある事業を行う業界および組織の除染に関する費用削減と責任回避です。主に、原子力発電業界、核兵器燃料サイクル組織およびそれらの下請企業の除染に関する費用削減と責任回避を目的としているのです。」
ほとんどの公的見積によれば、30年にわたって1年当たり2,000ミリレム(20ミリシーベルト)の放射線に被曝した場合、20人に1人がガンを発症すると見られている。一方、30年にわたって1年当たり10,000ミリレム(100ミリシーベルト)の放射線に被曝した場合、ガン発症リスクは上がり、約5人に1人がガンを発症すると見積もられている。
汚染飲料水に関する意思決定について環境保護庁の新防護行動指針は、平時に適用される飲料水安全法を参照するようにと記している。飲料水安全法は、市民が1年当たり4ミリレム(0.04ミリシーベルト)を超えて被曝しないようにと規定するものである。しかし、新防護行動指針は、放射能事故が起きた場合、はるかに厳しくない指針を考慮する意義があるとし、同指針の読み手に場合によっては27,000倍も緩い基準を示す国際原子力機関の勧告を参照するようにと述べている。
原子力業界の主張によれば、環境保護庁は、平時に適用する飲料水安全法を、放射能事故の直後の対応においてだけではなく、中長期的な対応においても適用すべきではないとしている。事故後の中長期的対応というのは、何年にもわたる可能性がある。原子力エネルギー協会は、平時に適用される飲料水安全法は、ガン発症リスクに関する「閾値なし直線モデル」に基づいているとの苦情を呈している。閾値なし直線モデルとは、放射線被曝には安全なレベルというのは一切なく、ガン発症リスクは被曝量に直接比例するというものである。
米国科学アカデミーは、他の学説を拒絶し、基本的に日本の原爆生存者に関する調査と他の統計に基づいて「放射線被曝に安全なレベルはない」との提言を行った。環境保護庁は、同アカデミーの勧告に基づいて「閾値なし直線モデル」を使用している。しかし原子力業界は、飲料水に関する基準策定において、米国科学アカデミーのモデルを「考慮しても良いが依拠すべきではない」とし、「放射能汚染水を実際に飲用した経験に基づく健康被害の統計」を使用すべきだと主張している。
環境保護活動家は、ガン発症リスクを見積もる米国科学アカデミーのモデルから逸脱することに反対しており、環境保護庁の新指針が同モデルから逸脱する可能性があると懸念している。環境庁の新指針に関する9月16日付け意見書において、原子力情報資料サービスのダイアン ダリゴ氏は、環境保護庁の平時に適用される規則の緩和に賛成している同庁の何人かの職員が、国際機関および外国政府機関の職員へのプレゼンにおいて米国科学アカデミーのモデルに異議を唱えたように思われるとの懸念を表明した。グローバル セキュリティ ニュースワイヤ紙の記事を引用しながらダリゴ氏は、あるプレゼンにおいて米国科学アカデミーの閾値なし直線モデルとホルミシスモデルとの比較が行われたと指摘した。ホルミシスモデルとは、かつて環境保護庁および米国科学アカデミーの科学者が否定したものであり、低線量の被曝は実際には有益というものである。
州政府および地方政府の職員は、環境保護庁の新指針に複雑な反応を見せている。ワシントン州健康省放射線事務所は、事故後短期間においては飲料水の指針を緩和すべきだが、環境保護庁の新指針が引用した国際原子力機関の指針のように緩和しすぎるべきではないと述べている。
ワシントン州政府健康省は9月10日付けの意見書において、汚染水のヨウ素131の閾値を1リットル当たり2,700ピコキューリー(99.9ベクレル)とするのは、平時に適用される環境保護庁の飲用水安全法の1リットル当たり3ピコキューリー(0.111ベクレル)と比べると、900倍も緩いと指摘している。同州政府健康省の主張によれば、日本のフクシマ事故後の初期段階において環境保護庁の飲料水安全法に従ったならば、太平洋をわたった放射能降下物に汚染された雨水についての防護行動を実行しなければならなかっただろうとのことだ。
同州政府健康省によれば、フクシマ事故後の初期段階においてワシントン州の雨水は、放射性ヨウ素131による汚染の法的限界を「少なくとも50倍」超えていた。同州政府健康省は、平時に適用される環境保護庁の飲用水安全法は70年にわたる被曝を想定していると主張したうえで、フクシマ直後のこの雨水の汚染レベルでは「なんらの健康リスクも存在しなかった」と強く述べている。
ワシントン州政府健康省と同様にイリノイ州緊急対策機関も、平時に適用される環境保護庁の飲用水安全法は放射能事故直後には厳しすぎるが、国際原子力機関の勧告は緩すぎると考えている。イリノイ州緊急対策機関は次のように指摘した。「 環境保護庁は、飲料水安全法において飲用水の汚染基準を1年当たり4ミリレム(0.04ミリシーベルト)としている。その一方で、環境保護庁は新防護行動指針において、放射能事故後は国際原子力機関の基準である1年当たり10,000ミリレム(100ミリシーベルト)を参照するようにと述べている。」このように指摘したうえでイリノイ州緊急対策機関は、1年当たり500ミリレム(5ミリシーベルト)を超えないようにという指針を勧めている。
環境保護庁はこれまで、50年にわたる放射線被曝量を5,000ミリレム(50ミリシーベルト)に制限するよう勧める防護行動指針を示して来た。今回の新防護指針は、この従来の防護行動指針を削除するものである。イリノイ州およびワシントン州政府は原子力業界と同様、この今回の削除を支持している。しかしながらイリノイ緊急対策機関は、「除染にさいしては危険性を告知する制限的な取組み」を支持している。長期にわたる除染作業は通常、スーパーファンド法にしたがって行われるべきだと明言しているのだ。
カリフォルニア州知事緊急サービス事務所は以下のように述べた。「平時に適用されるスーパーファンド法の除染作業指針は選択肢として提示されるのではなく、放射能事故後の長期的除染作業に関する規則として制定されるべきです。」また同事務所は、平時に適用される飲用水安全法が放射能事故後においても適用されることを支持している。

(付録)
以下は、ダイアン ダリゴ氏が意見書に引用したグローバル セキュリティ ワイヤ紙の2013年9月11日付け記事から「被曝量とガン発症リスク」の箇所を訳したものです。
2013年9月11日
グローバル セキュリティ ニュースワイヤ
ダグラス P. グアリノ記者
環境保護庁の新指針に疑念の声
http://www.nti.org/gsn/article/epa-documents-raise-doubts-over-intent-new-nuclear-response-guide/

(抜粋訳)
被曝量とガン発症リスク
環境保護活動家によれば、環境保護庁職員の放射能事故後の除染に関するプレゼンは、閾値なし直線モデルの他に科学的に有効な選択肢があると示唆しているという。そのため、同庁のすべての放射線規制のもとになっている「ガン発症リスク」に関する科学に異議を唱えているように見受けられるとのことだ。
2012年5月、環境保護庁緊急対策事務所のカーダレリ氏が、フクシマ事故に対応している日本政府職員にプレゼンを行った。このプレゼンにおいてカーダレリ氏は、政府職員は「リスク分析方法の限界を率直に認めるべきだ」と述べた。このリスク分析方法とは、ガン発症と被曝量との相関関係を予測するために使用される数理モデルのことである。
[訳注: 参照サイト
John Cardarelli
アメリカ環境保護庁のカーダレリ氏が2012年5月19日に福島で行ったプレゼンテーション(PDFファイル)。多くのスライドが掲載されています。
US EPA Decontamination and Risk Communication Strategies May 19, 2012 A May 2012 presentation?to Japanese officials]

米国科学アカデミーの勧告にしたがい、環境保護庁の公式な政策はいわゆる「閾値なし直線モデル」に基づいて策定されている。「閾値なし直線モデル」とは、日本の原爆生存者に関する調査および他の統計にもとづくものだが、放射線への被曝には安全な水準というものは一切ないという学説である。このモデルは、ガン発症リスクは、個人が受ける放射線被曝量に比例して増加すると仮定している。
しかしながらカーダレリ氏のプレゼンで取り上げたホルミシスモデル等の学説は、環境保護庁と米国科学アカデミーがかつて否定したものだった。ホルミシスモデルとは、低レベルの被曝であれば実際は有益とするものである。
環境保護庁は本紙への文書において、プレゼンで取りあげた「すべてのモデルには裏付けとなる技術的情報がある」と主張してカーダレリ氏のプレゼンを擁護した。プレゼンで言及されたのは、ホルミシスモデル、放射能の危険性は米国科学アカデミーの科学者が認識していたものより低いと考えられるという学説、および、放射能の危険性は従来考えられているものより高い可能性があるという学説である。環境保護庁の文書には、「科学界は、放射能の健康への影響についてまとまっていないのです」と記されている。
ハーシュ氏は、同プレゼンが他の選択肢として引用した学説を「いかがわしい科学のばかげた話」と述べて、環境保護庁のプレゼン擁護を一刀両断に切り捨てた。
「この点について科学界の見解はまとまっていないだって?」とハーシュ氏は続けた。「放射線の健康への影響について、米国科学アカデミーが研究したのですよ。そして、同アカデミーの科学者が全員一致で、『そうだ。放射線の健康への影響モデルとして正しいのは、閾値なし直線モデルだ』という結論に至ったのですよ。例えが不適切かもしれませんが、気象変動否定主義者が『科学界はこの点についてまとまっていない』と言うようなものですね。このような言い方をして、米国科学アカデミーが放射線の問題についてさも小物のように思わせようとしているのです。そして、米国科学アカデミーが環境保護庁と同程度のものだという印象を与えようとしているのです。」
2012年9月にアメリカ国土安全保障省が主催した省庁間会議でカーダレリ氏が行ったプレゼンは、環境保護庁の規制が科学と対極にあり、同庁のガン発症リスクにしたがうことと「実際的な除染」を行うことも対極の位置関係にあると示唆しているようだ。
[訳注: 以下は、2012年9月のガーダレリ氏のプレゼン資料のPDFファイルのリンク。フクシマの除染作業の写真が沢山掲載されています。
September 2012 presentation by Cardarelli to an interagency group led by the Homeland Security Department]
このプレゼンでガーダレリ氏は、フクシマ事故により「我々の考え方を根本的に変える」必要が生じたと述べ、1年当たり100ミリレム(1ミリシーベルト)という基準を選択肢として言及した。1年当たり100ミリレム(1ミリシーベルト)の放射線に30年被曝した場合、米国科学アカデミーおよび環境保護庁が認めた危険率を使って計算すると、300人に1人がガンを発症するという見積もりになる。
国際放射線防護委員会の見積もりでさえ、ガン発症リスクを400人に1人としている。そして、この400人に1人というリスクは、環境保護庁の規則が最悪の状況において通常許容するリスクの約25倍高いものである。(抜粋訳了)
翻訳についてのお断り
 原文には、日本語での通称がわからない団体が出てまいりました。それらについては、英語での名称をカタカナ表記にすることを考えましたが、そうすると団体の性格が伝わりづらくなります。それゆえ、英語の名称を日本語に置き換えました。訳注に参照サイトのリンクを貼った通称不明の団体には、翻訳した日本語での名称を記した上でカッコ内に英語の名称を記しています。
 原文では、放射線単位をミリレムとピコキューリーで記しています。訳文においては原文の数値および単位をそのまま記した上で、カッコ内にミリシーベルトまたはベクレルに換算した数値を記してあります。
 原文を文法通りに一字一句きっちり訳していくと、日本語として非常に読みにくくなる箇所があります。その場合は、関連記事にあたって背景を探り、原文の意味を違えないように言葉を付け加えたり、あまりに長い一文をいくつかに区切ったり、文の並びを入れ換えたりして日本語としてなるべく読みやすくなるように致しました。


米国が、日本の基準以上に被曝基準を緩めようとしているのですから、フクシマの現状を国連に訴えても何の意味もないことが良くわかるのではないでしょうか。東京オリンピックも世界の原子力村が仕組んだ茶番(日本の首相が何を言っても、通常は、国際的には誰も信用しないのは常識です)だと見抜かない限り、真の敵は見えてきません。安倍は世界に恥をさらしたのではなく、単なる操り人形の一人なのですよ。

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タグ:米国 核汚染
posted by いんちょう at 19:51| Comment(2) | 原子力
この記事へのコメント
http://getnews.jp/archives/150679
アスファルトから基準値超す放射線、ソウルの道路を調査
どこにどういった放射線源があるかわからない。世界に安全な場所はないのかも…と思ってしまいます。

余り絶望的な話ばかり、続くのも気がめいるので、少しは可能性のある話題を…
放射能除去の可能性について

http://www.youtube.com/watch?v=9DKKlkouz-A&list=PLPg7hSdi4rU4i_hW2Z-omOAB8z3D5iC2x
http://blog.goo.ne.jp/skrnhnsk/e/d6fa7ca8b6a2d25b5219e23467b59ae4
Posted by Cipher at 2013年10月21日 13:23
近く始まる4号基の燃料取り出し作業。「1−3号機と比べれば簡単」と、さらっと言われるたびに怖くなる。それでふっと思ってしまった。この「防護行動指針」とは、環境保護団体からどんなに猛烈な批判を受けようとも、万が一の事態に「環境保護庁が我が身を防護するための指針」なのかもしれない。だとしたら、アメリカ政府の用意周到さと鉄面皮ぶりは、大したものだ。

4号基で何が起きるかわからない。そして何かが起きた場合、アメリカが受ける被害も予測しがたいというか、計り知れないだろう。そのせいなのか、「環境保護庁あらため自己保身保護庁」は、指導監督官庁としての明確な指針を現場に示すことを避けた。その代わり現場に「指示」したのは、「なんでもいいから、ここから好きなの選んでね。いくらでも高い上限があるみたいだよ。でも、アンタの責任で選んでね。ボク、知らない。」

あっぱれなまでの「我関せずぶり」または「開き直りぶり」を拝見すると、4号基の作業にはかなりの確率で何かが起きるような気がしてならない。ご本家さんは「いつ何が起きてもおかしくない」と読んでいるのだろう。だからこその「自己防護指針」ではないかと思うのだ。(なにか起きたときでご本家さんが存在している場合の話なのだが...)

どうか私の邪推であってくれ、と祈っている。
Posted by デス妻 at 2013年11月07日 12:48
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