1972年9月20日 第1刷
2011年10月20日 第3刷
ビキニ環礁で被曝した第五福竜丸の事件を中心に、死の灰とかつての日本の科学者たちがいかに真摯に向き合ってきたかが、描かれている。物語風でありながら、きちんとした学術的な内容も描かれており、放射能に対する知識がある程度ある人(被曝線量、ストロンチウム、セシウム)にとっては、目から鱗の内容がいくつもある。
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プルトニウムファイル いま明かされる放射能人体実験の全貌 アイリーン・ウェルサム (著), 渡辺 正 (翻訳)
原爆製造のマンハッタン計画、そしてそれ以降の狂気じみた米国が行った核被爆実験の一部を暴いた告発本。現在の日本の置かれている状況は、冷戦期の米国民が置かれていた状況と重なる。核を持つと国家権力はここまで国民をないがしろにできるのかと呼んだ人全員が戦慄を覚えるであろう。フクシマだけを見ていても全体像は見えてこない。核大国米国が歴史上何をやってきたかを見れば、黒幕の本当の姿がおぼろげながら見えてくるはず。
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アイリーン・ウェルサム(プルトニウムファイル著者)のインタビュー2012年10月29日
広島Today (1983年) [古書] W.バーチェット (著), 成田 良雄 (翻訳), 文 京洙 (翻訳) [絶版]

広島原爆投下一ヶ月後に自力で現地入りしたオーストラリアジャーナリストの手記。GHQの隠蔽工作により記事の大半は消されてしまったが、当時の状況が手に取るように伝わってくる。終戦直後の日本の状況も興味深く書かれており、GHQの目を盗んで広島に入る下りは手に汗を握る。書かれている内容は、米国が最も隠したかった残留放射能による内部被曝の被害が赤裸々に書かれている。図書館などで探して是非読んで欲しい。
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蝿の帝国―軍医たちの黙示録 帚木 蓬生 (著)
戦争の実態がいかなるものか。不衛生な現場、食べるものさえ事欠く軍隊、悲惨な日本軍の様子が軍医の目から赤裸々に描かれている。学校を卒業したばかりでほとんど何もできない医者の卵とも言える軍医が、戦争に否応もなく取り込まれていく様子がオムニバスに書かれている。1945年8月15日の玉音放送で戦争はすぐに終結したとばかり思っていた私にとっては、目から鱗が落ちるような内容であった。本当にきつかったのは終戦がきまってから、帰り着くまでと言っても良いほどだ。そして、日本軍の広大な戦域。中国東北部から、東南アジア、そしてトラック諸島の島々等々、物資の少ない中でよくもまあこのように手広く戦争を仕掛けたものだと呆れてしまう。第一話目は、広島原爆後の内部被曝被害についても良く書き込まれている。余談ではあるが、私の所に通院されている軍隊経験のある方が、「軍隊の経験もないのに、よくもまあこんなに緻密に調べ上げて書いたものだ」と感嘆しておられた。従軍慰安婦のことの出てくる第二部
も併せて読んでいただきたい。国家として戦争を行うことが国民にどういった影響を与えるのかが、良くわかるであろう。第1回日本医療小説大賞 受賞作品
ラゴン・テール――核の安全神話とアメリカの大衆文化 ロバート・A・ジェイコブズ (著), 高橋 博子 (監修), 新田 準 (翻訳)
核実験がいかに安全なであるかを米国民にすり込んだプロパガンダの集大成。そこに書かれている言葉は、現在フクシマで流布されている言葉と寸分変わらない。50年前水爆戦争に怯えた米国民の姿は、フクシマに被害を受け続けている日本人の姿である。大衆がいかに騙しやすいか、ほぞをかむ思いがする。
死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日 門田 隆将 (著)
汚染水漏れの不手際で東電は無能だという話ばかり出ているが、この本を読めば未曾有の原子力災害に対して、人間としてはできうる限りの対応を行ったことが伝わってくる。もし、おなじ事故が他電力−関電、中部、四国、九州、北海道などであれば、このような対応をとれなかったことは、直ちにわかる。原発構内でその時に何が起きたのかを知っていただきたいと強く思う。故郷を愛する人たちがいたからこそ、この程度で済んでいるとたちどころに理解できるだろう。
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福島原発事故当初のドキュメント−現場運転員の取材から書き起こした本(必読)2012年12月06日
カウントダウン・メルトダウン 上・下 船橋 洋一 (著)
この本は原発敷地以外で何が起きていたかを把握するのに最も適している。除染の基準を10万CPMとあり得ない高値まで引き上げさせた本当の犯人は誰か、誰の指示で避難基準が1ミリではなく20ミリとなったのか等々、知らなかった事実が明らかにされていり。下巻は、米国の動きについて緻密に取材。原子力空母が汚染海域から逃げ出した本当の理由、日米の協力体制は如何にして築かれていったか。誰かを悪者にするのではなく、事実がありのままに書かれている。情報が散乱して、訳がわからなくなってしまったときに全体のストーリーを組み立てる(おそらく、疑問だった細部がつながってくるはず)のに適している。ある程度の知識があって読めば、この本に書かれている内容に「そうだったのか!」と膝を打つ場面に何度も出くわすことだろう。
福島と原発―誘致から大震災への50年 [単行本]福島民報社編集局 (著)
この本は推薦いたしません。中は、福島県がどのようにして東電から、合法的にカネを引き出していったかの自慢話ばかり。そして、県庁役人の活躍?が自画自賛で書かれているだけ。3月12日午前7時30分には富岡町から逃げ出す車で大渋滞が引き起こされていた写真には、度肝を抜かれましたが。
原発ホワイトアウト 若杉 冽 (著)
キャリア官僚による、リアル告発ノベル! 『三本の矢』を超える問題作、現る!!
再稼働が着々と進む原発……しかし日本の原発には、国民が知らされていない致命的な欠陥があった!
この事実を知らせようと動き始めた著者に迫り来る、尾行、嫌がらせ、脅迫……包囲網をかいくぐって国民に原発の危険性を知らせるには、ノンフィクション・ノベルを書くしかなかった!
などという大げさなコピーがあり、また 執筆者の犯人捜しが始まっているなどという噂まで飛び交っているが、中身は三文小説レベル。しかも、原発の被害を描いている顔をしながら、フクシマの放射能は怖れるレベルではないと言う悪質な文言がそれとなく、あちこちに出没。電力会社が政治家、司法にどれほど深く取り入っているかは、十分知られたことであり、私にとっては驚く内容は皆無。それよりも、原発反対派=反体制派 とも言った書きぶりに正直不快感のみ覚えた。韓国人が鉄塔に細工して、外部電源喪失、ディーゼル不稼働などというあり得ないストーリーでは、全く説得力なし。モーニングの「ふくいち」と同じような読後感であった。
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Annotated Critique of United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation (UNSCEAR) October 2013 Fukushima Report to the UN General Assembly
http://www.psr.org/assets/pdfs/critique-of-unscear-fukushima.pdf
特に批判しているのは、WHO/IAEAリポートの32ページに記載されているDose and Dose Rate Effectiveness Factor(線量・線量率効果係数)の選び方について。一文づつ丁寧に訳している時間がありませんので、以下がおおまかな意味です。
概訳(WHO/IAEAリポート32ページより)
HRA(健康リスク分析)専門家グループは二つのメタ解析により原子爆弾の生存者グループに直接・間接被爆ともに似た様なリスクが見られたため、この原爆生存者を使ったリスク計算を何の修正もせずに取り入れるように提案したが、2人の委員が反対したため合意に至らなかった。
原文
The question therefore arises as to whether the risk estimates for the atomic bomb survivors are applicable to populations that have accumulated radiation doses on the order of 100 mGy or below over a long time. Thus far, radiobiological research has provided ambiguous answers to this question. Based on the findings of the two meta-analyses discussed above (74,92), which showed similar risks for protracted and acute exposures, the HRA Expert Group considered it prudent to base risk calculations on models derived from the atomic bomb survivors cohort without applying any modification factor for low dose or low dose rate. This decision, which represents a departure from standard practice in radiation risk assessment, was not unanimous as two members expressed a dissenting opinion (6).
原爆生存者によるリスク計算とは、主に高線量率の広島被爆者追跡調査(LSS)がベースになっている DDREF=1と呼ばれるリスクモデルのことです。これに反対した2人の委員が主張したのは、ICRPの採用しているDDREF=2で、DDREFに比べると基準が2倍甘くなる。つまり、DDREFを2に代えて1とすれば、低線量・低線量率の被曝による発がんリスクは2倍となる。ところが反対した二人の委員はなんと日本人、その名は・・・
★明石真言 放射線医学総合研究所理事
★丹羽太貫 京都大学名誉教授 放射線影響研究所評議員
他の委員が「念のため厳密なリスク計算をしたほうがいいんじゃない?」と勧めているのに、原発事故を起こした当時国の日本の委員は「いや〜、たいしたことんないんだよ。心配すんなって!」と言ってのけたわけだ。
IPPNWの医師団は、米国科学アカデミーが「発がんリスクをゼロにするしきい値を示す証拠はないと結論し、直線しきい値無し仮説を支持するBEIR VII を支持しています。(私もこれまで放射能の性質を勉強してきて、”しきい値”などナンセンスだと思っています。)このBEIR-VII リスクモデルを使うと、「10000人が平均1ミリシーベルトを浴びると、一人が癌になる。10人が1000ミリシーベルトを浴びると1人が癌になる。」つまり低線量でも新たな癌が増えることに代わりはないのです。
ちなみにドイツでは、放射線防護委員会(ドイツの政府機関)DDREF=2を使用しないように勧告しているそうです。たとえ10000人の中の一人だとしても、癌になった方の人生にはなんらかの困難がつきまとい、「たかが10000人に一人増えるだけだからたいしたことない」などという価値感を強要する権利は原子力産業にはありません。
日本で医師や研究者に圧力をかけ、日本国民の命を原子力産業に売り渡しているA級戦犯の名前がだんだんわかってきましたね。
プルトニウムファイルは書籍を買って寝る前に読んだのですがなんせ550頁もある分厚い本なので横になって読むには重すぎるんですね。
なんとかかんとか読破してもう一度読もうと思ったのですが、あの重さを考えると流石に気が引けていましたが、次に読もうとしたカウントダウン・メルトダウンにキンドル版があることを知り、プルトニウムにもキンドル版があるので、ここは一番、最新のキンドル・ペーパーホワイトを予約すべぇと先月予約しました。
最近到着しましたので早速いじってみましたが、なんだかイマイチよく理解できないシロモノだなと思いましたが、兎に角買っちゃえと、カウントダウン・メルトダウン上を購入しました。操作ボタンというものがないんですね。
放っておきましたらいつの間にかインストール済み。キャンペーンクーポンがあるので上は無料ということで、ご機嫌です。早速昨晩から読み始めました。デフォルトのフォントサイズは小さいので、でかくして読み始めましたが、いやはや快適です。
どうやら正解のようでした。当方アマゾンの販売人ではありませんが、同じようなことをお考えの向きにはお勧めします。書籍の欄でキンドル版があるか否かを確認してからインストールすればOKです。書籍のファイル化で書棚にも余裕が作れることになります。