震災前に取り扱いミス 4号機プールに損傷核燃料3体
福島民友新聞 11月13日(水)11時13分配信
東京電力は12日、福島第1原発4号機の使用済み核燃料プールから燃料集合体1533体の取り出しを近く始めるのを前に、震災前に折れ曲がるなどした損傷燃料が3体あることを明らかにした。県と原発周辺市町村、有識者でつくる県廃炉安全監視協議会の現地視察で示した。損傷燃料の取り出しは最後に回し、取り出し方法を今後検討する。
東電によると、損傷した燃料の1体は「く」の字に折れ曲がっている状態。25年ほど前に燃料を取り扱う際に失敗し曲がった。ほかの2体は10年ほど前に破損が分かり、異物などの混入で外側に小さな穴が開いた状態という。
燃料損傷について当時公表したかどうかは東電が調査中。ただ、震災前にも燃料の取り扱いで作業ミスがあったことが分かったことで、作業ミスの防止、監視強化があらためて課題として浮上した形だ。
燃料は燃料輸送容器に入れて約100メートル離れた共用プールに移すが、損傷燃料は燃料輸送容器に入れられず、移送法を検討する。福島民友新聞
福島民友新聞 11月13日(水)11時13分配信
東京電力は12日、福島第1原発4号機の使用済み核燃料プールから燃料集合体1533体の取り出しを近く始めるのを前に、震災前に折れ曲がるなどした損傷燃料が3体あることを明らかにした。県と原発周辺市町村、有識者でつくる県廃炉安全監視協議会の現地視察で示した。損傷燃料の取り出しは最後に回し、取り出し方法を今後検討する。
東電によると、損傷した燃料の1体は「く」の字に折れ曲がっている状態。25年ほど前に燃料を取り扱う際に失敗し曲がった。ほかの2体は10年ほど前に破損が分かり、異物などの混入で外側に小さな穴が開いた状態という。
燃料損傷について当時公表したかどうかは東電が調査中。ただ、震災前にも燃料の取り扱いで作業ミスがあったことが分かったことで、作業ミスの防止、監視強化があらためて課題として浮上した形だ。
燃料は燃料輸送容器に入れて約100メートル離れた共用プールに移すが、損傷燃料は燃料輸送容器に入れられず、移送法を検討する。福島民友新聞
やっばりと言った感じです。なぜ、今頃になってこんな大問題を東電が発表してきたか。私が勝手に想像すると、現場の苦労を良く知った人間が、これは伝えなくてはならないと意を決して所長に白状したのでしょう。そもそも、原子炉の核燃料など、確立した技術ではなく、私がいたときから、改良、改善を企てていました。当初の核燃料ではあまりにも効率が悪い(高レベル放射性廃棄物が多量に出る)ために、「高燃焼度化」と称して、私が本店にいるときでさえも共同研究(BWR採用電力と、東芝・日立・原燃などのメーカー)を行っていました。高燃焼度化に伴い、当初想定もしなかったトラブルに次々と見舞われてしまったためでしょう(このあたりは、発電所でも本店でも直接担当したことなどありませんので、又聞きおよび類推です)。そして、発電所内でも、燃料関係のトラブルは、極秘に処理されていました。原子炉班に3年もいたら、おまえも驚くだろうなと脅されたほどです。
これら、3体の燃料破損事故は、当然役所に報告されていないでしょうし、私の想像ですが、本店にも報告があげられていないはずです。25年前と言えば、燃料交換は既に自動化されているのですから、くの字に曲がるなんて、燃料交換機器の設定の誤りがあったのでしょう。そして、それをそのまま放置している。東電の燃料グループの体質が伺える話ではありませんか。もし、当時の役所−資源エネルギー庁に報告していたとすれば、当然この燃料を取り出して調べるように指導されていたはずですから、報告していないことは明らかです。(そして、そう言われることを想定して、発電所は口をつぐんでいた−本店にも−と思います)
さらに問題なのは、1号機。そこで、報告されている初期トラブルでは、
運転開始早々から1号機は「最悪の事態」を迎えていたと繰り返し語っている。
「運転開始後、しばらくして大小様々の初期トラブルが多発した。(中略)その中には、燃料チャンネル・ボックスの損傷、原子炉給水ノズルの熱疲労割れ、制御棒駆動戻り水ノズルのひび割れ、燃料破損および1次冷却配管の応力腐食割れなどがあげられる」
「この中、燃料破損は、放射能の高い核分裂生成物が、原子炉水中に漏れ出て原子炉周りの保守点検作業時に被曝がおおきく、作業が困難となり、短時間で作業員の交代が必要となった」
「1号機の試運転を振り返ってみると、当初から予想外の困難に直面した。もちろん原子力技術が発展途上の技術であることは最初から認識していたつもりだったが、認識が甘かった。」
「運転開始後、しばらくして大小様々の初期トラブルが多発した。(中略)その中には、燃料チャンネル・ボックスの損傷、原子炉給水ノズルの熱疲労割れ、制御棒駆動戻り水ノズルのひび割れ、燃料破損および1次冷却配管の応力腐食割れなどがあげられる」
「この中、燃料破損は、放射能の高い核分裂生成物が、原子炉水中に漏れ出て原子炉周りの保守点検作業時に被曝がおおきく、作業が困難となり、短時間で作業員の交代が必要となった」
「1号機の試運転を振り返ってみると、当初から予想外の困難に直面した。もちろん原子力技術が発展途上の技術であることは最初から認識していたつもりだったが、認識が甘かった。」
と書かれていますから、1号機には何十本もの取り出せない核燃料がプールに静かに眠っていると思われます(という話は、直接当時の担当者から聞いてます)
先週、1F-4号機を取材したIWJ記者は、なんの根拠もなく、「経験があるのだから安全。試運転などまったく必要ない。」と東電寄りの発言していましたが、次回の取材の時にはもう少しきちんとレポートしていただきたく思います。
そして、さらに問題なのは、残りの2体。「異物などの混入で外側に小さな穴が開いた」と書いてありますが、物理的な接触だけで外側に穴が空くとは考えにくく、異種金属が接触して、電位差が生じたことによる腐食でピンホールが空いたと考えるのが妥当でしょう。だとすれば、塩水にある程度の長期間さらされて、かつプール内に鉄などの金属がれきも多量に入っていたことを考えれば、その他多数の燃料にピンホールが空いている可能性も大いに想像できます。
そして、この問題は1F-4にとどまりません。実は、浜岡原発だって、1号機にピンホール燃料があることを公表していますし、他の電力だって、使用済み燃料プールにしれっと、報告も何もしていない破損燃料を保管している可能性が高いのです。
規制委員会は、直ちに東電の他の使用済み燃料プールにとどまらず、原発を持つすべての電力に対して、破損燃料を保管していないか、そしてその報告はきちんとしているかを報告させる義務がありますし、ジャーナリストも当然この点を質問するべきです。ピンホールの空いた燃料を移動させるとキャスク内で放射能が拡散し、その後の作業ができなくなる可能性が高くなります。
原子力は、津波の対策を取れば安全になるわけではありません。燃料は問題山積ですし、格納容器も、ベントも、何もかもまだまだ未完の技術に他なりません。その状況で、おこりもしないような津波対策に数百億円もかけるなんて経営判断としてはできませんし、津波よりもはるかに緊急性を要することはたくさんあるというのが、正直なところなのです。
(追加 2013.11.14)燃料プールの中には表面線量が毎時10シーベルトを超える使用済み制御棒も保管されています。使用済み制御棒についての情報はほとんどありませんが、この高レベル廃棄物をどう処分するかは、未だに何も決まっていないと思われます。一体どのように取り出すのか、東電は考えているのでしょうか。
◆関連ブログ
福島原発の立地と初期トラブル−資料・回想録から2011年06月12日
クレーンゲームの始まるイチエフ4号機−FRIDAYにコメントが掲載されました。2013年11月09日

タグ:1F-4
震災があり頑張っている方が大勢いる中。
今出来る報道の限界があるのか?と疑問を感じました。こんなはずじゃなかったと、私は今でも思ってしまう。
私たちの住む国は、今足をつけ生活しているこの場所は誰かの物なのでしょうか。不安でたまりません。それでも出来る事を模索し、向き合い、改善していけると信じています。