2014年05月06日

1062.黒塗りから白塗りに変わった福島県の人口動態

・5月1日にNHKで放送された番組の中で、福島県のデータがなく黒塗りに
・原因は、原発事故のためにデータがなかったためだが、説明一切なし
・ネット上で騒ぎになり、番組放送終了後に白塗りと変更
・原発事故を起こすと、将来の予測ができなくなる。県がなくなる

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5月1日にNHKのクローズアップ現代で「極点社会〜新たな人口減少クライシス〜」が放送されました。
2014050601.jpg少子高齢化が叫ばれてきた日本。しかし、いま多くの地方では高齢者すら減少し始め、日本全体が縮小しようとしている…。NHKでは最新人口統計を元に、これまでにない詳細なデータ分析を研究機関の協力を得て実施。その結果、2040年には地方の衰退だけでなく、日本自体が縮小していく危機が迫っていることが分かってきた。
最初に私が見たのは、みんな楽しくハッピーがいい
2014050602.jpg

 しれっと、福島県を黒塗りにして番組が進んでいる(番組内で誰も指摘していない)ことがよくわかります。そして、上記のNHKがつくった番組の挿絵も福島県が黒塗り。

これは、いったいどうしたことか、なぜ福島県は黒塗りなのか・・・風評被害をなくすために、黒塗りにしたのか・・とネットで大騒ぎに。
2014050603.jpg

確かに黒くなっており、右下の判例を見ますと、「データなし」と書かれているようです。どうやら、NHKが「風評」を恐れて、黒塗りにしたわけではなく、福島県自身でデータを作っていない模様。そのあたりは、こちら(togetter)にまとめてありました。このようなものを調べ上げるのだから、大したものだとは思いますが、なぜこの方は、正しい方向に結論が行かないのか、不思議ですね。

2014050604.jpg地域の成長戦略に関する意見交換会 資料」増田寛也氏より

確かに福島県のデータがないのでNHKは地図にしようがありません。この資料を作った方が出現されていますしね。


日本の地域別将来推計人口(平成25(2013)年3月推計)

が元データと指摘しており、この中では福島県全体のデータはあるけれども、市区町村別総人口の推移は発表されていない。

「原発事故のため、将来の人口移動の推定ができない」

わけです。つまり、福島県は日本でありながら、他府県ではできる(隣接の県だって、同じ状況だとは思いますが)統計すらまとめられなくなってしまっているわけです。もし、3−5年程度で元に戻るのであれば、何の問題もないはずなのに、今後どうなるか全くわからない。つまり、ブラックボックス県になってしまっているのです。既に。このこと事態が大変に大きな問題であると思いますが

・NHKは全く無視する(番組の趣旨が違うからと言うのは理解しますが)
・原発事故だから仕方がない


といった反応が私にとっては信じられません。つまり、原発事故が起きてしまえば、県の将来設計が全く何もできなくなることを意味しているわけです。NHKが悪いわけでも、もちろ福島県が悪いわけでもありません。これこそ、放射能汚染のおそろしさを如実に表している−無視とあきらめ−だと感じます。

 そして、この黒塗り地図がインパクトを与えたためでしょう。NHKは恐るべき印象操作をやり始めました。

番組紹介ページ(過去と現在)の対比
2014050605.jpg2014050601.jpg
 姑息にも黒塗り地図を高齢者の後ろ姿に変更してしまっています。

さらに・・・NHK自身のまとめサイトでは・・
「極点社会」人口減少の現実5月2日 22時35分
 少子高齢化が急速に進む日本。ところが今、地方では、経済を支えてきた高齢者すら減少し、次世代を担う若い女性たちが仕事を求めて大都市に向かう動きが加速しようとしています。専門家は、こうした状況を放置すれば、日本全体が縮小し、いびつな「極点社会」が生まれると警告しています
(中略)
増田さんたちは、当時、このデータをまとめた一覧表について、「公表すると波紋が大きすぎる」として、公表していませんでしたが、独自に提供を受けることになりました。
2014050606.jpg
その896の市町村を地図に落とし込んだのが、上の図です。
このうち30余りの市町村は、実に8割以上減少するとされています。
都道府県別にみると、北海道・青森・岩手・秋田・山形・和歌山・島根・徳島・鹿児島などで、若年女性の数が半分以下になる市町村の割合が高く、最も高い秋田県は、25ある市町村のうち24に上っています。
福島県については、東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で、ベースとなる国のデータがなく、推計することはできなかったとしています。

 あたかも当時の放送で福島県について言及したように書いていますが、そのようなことは放送ではなく(それならば、こんな騒ぎにならなかった)、「風評」を引き起こすことを恐れて、目立たないようにブラックとしたのでしょう、おそらく。(こんなに白くなっていたら、目立ちすぎますから)

もうひとつのNHK書き下しサイト
(前略)
増田寛也さん
「量的には、地方から東京に行く方がずっと多い。」

2014050606.jpg中心は、岩手県知事や総務大臣を務めた増田寛也さんです。
最新の統計データなどから、20代から30代の若年女性の人口移動の将来予測を行いました。


2014050607.jpgその結果、このままいくと2040年、若年女性の数が半分以下になる自治体が全体のおよそ5割に上ります。
これまでの国の予測を上回る規模で、若い女性が全国で急激に減少するとしています。


(注)福島については、東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で、ベースとなる国立社会保障・人口問題研究所の市町村別推計データがなく、専門家のグループでは予測推計することができなかったとしています。

 これを見るとよくわかりますね。実際の放送の際には、福島県のデータなしに触れないようにわざわざ背景とほとんど同じ黒塗りにして、ごまかそうとしたわけです。この、事実を明らかにしない、できないことこそ最も大きな問題です。

 今後は、このような統計グラフは出さないように、あるいは市町村別ではなく、県別単位でごまかせるようにしないといけませんね。NHKは。宮城県が放射能汚染でデータを隠しまくったように(宮城県のみ、平成25年3月まで放射能月間降下を隠蔽

 医療保険のデータも、おそらく福島県、あるいは東北各県、そして日本全体で非開示になっていくことでしょう。風評被害を防ぐために

■関連ブログ
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1041.減少し続ける日本の人口と20万人移民政策2014年03月29日


タグ:NHK
posted by いんちょう at 16:52| Comment(4) | 原子力
この記事へのコメント
そりゃあ、NHKが、悪いと思います。
Posted by はっきり、言いません! at 2014年05月06日 20:53
これからの日本の医学は「疫学調査」というのが意味を持たなくなります。特定の地域を恣意的に外したデータから得られる結論は学問的には意味を持ちません。もっとも、それを混乱させることを目的にした無茶苦茶ながれきのばらまきで推論も困難になるでしょう。もうある病気の疫学を元に原因や対策を推測することも出来なくなるわけです。日本の医師たちは、日常の臨床経験から年齢や性、訴えの内容でおおよそついたはずの診断が外れる経験をすることになるでしょう。
 ある子供は難治性の咳が治らず「クループ症候群」の診断が付きましたが、咳の特徴が全然異なるので薬剤師が首をかしげ、ステロイドを処方されたにも関わらずその後のフォローについての指示を何も出されませんでした。薬剤師はそのことにもびっくり。小児科医なら、子供にステロイドを出すことにかなりのためらいと、注意深いフォローをしようとするものです。匙を投げたのでしょう。ちなみにこの小児科医は日本でも有数の大学の医局の出身で、臨床経験も40年近い人です。 お医者さん達は、自分の経験にない新しい事態が目の前で起こりつつあることを学んでいかないと、自己保身は出来ても患者さんの役に立てなくなることでしょうね。
Posted by GoGo at 2014年05月06日 20:56
やはり、福島が原発の立地として受け入れた、というのに端を発していると思う。福島は、原発に関し、東京の人に、あることない事、言われて騙されたんだと思う。中部大学の武田先生が、よく引き合いに出す、最近交わされた、経団連幹部と、新潟県の人の1:1の会話がある。「柏崎刈羽は、本当に、安全ですか?」「心配しないで下さい。絶対、安全です。」「そうならば、どうして、より、電気の最需要地に近い、東京に原発を作らないのですか?」「何を言っているんですか?!そんなことをしたら、危ないじゃないですか。」こうやって、福島・福井も、推進屋の、本音にもない、上面の言葉で、騙されて来たのだと思う。(かつて「将来、県に、晩発障害による身体障害者が多くなったにしても、原発はうまみがあるので、誘致したい。」と発言した、敦賀市長のような、危ないことが、自分でもわかっていた上で、原発を受け入れる、確信犯は除く)。もちろん、日本は、災害列島でもあるし、実
際、危ないものな訳で、核燃料廃棄物はどんどん増えて行くし、他に幾らでも、電源はあり得たので、原発の選択をすべきでなかった。あくまで、国益としてではなく、個人的な利権が取れるということで、原発推進屋の親分は、福島・福井・新潟等、地方に、それをしなくても、幾らでも国民の生活や産業振興に困らない回避方法があった、原発を押しつけて来た。京大の小出先生が言う。「原発事故。悲劇だが、騙される方が悪い。」と。NHKの黒塗りの部分の人口動態予測が、実際はどの程度のものになるかはわからないし、実際事故から3年も経っているのだが、こうなった以上は、福島の人達も、大人より、放射能に敏感な子供も住んでいるのだから、いつ健康被害に、家族や自分達が逢うかもしれやしない、極めて危険なロシアンルーレットなどに乗らず、逃げるしかないのでは。そこに留まることで、多少は、日常は、儲かったり、出費が少なくなったりする局面は、あるかもしれないが、後で、取り返しのつかない、後悔をする局面もあるんじゃないかな。福島県の人は、東京の人(もちろん、それは、今回の事故で、自分や家族も、住民票登録地で、放射能を被った、原発推進屋と言う一角だが)に騙されるくらい、純粋で良心があるので、そんなことは、絶対、ないと思うが、「日本は、原発を福島に押しつけて来た。その見返りが、我々の意見にはからずや、地元の1次産業が倒れるなどというのは、もっての他。だから、その責任を取ってもらうために、多少、汚れていたにしても、全国に、放射能を被った、産品をばら撒くのだ。」と言うストーリーにして欲しくないし、寧ろ、そう言ったクレームがある場合には、戦時中、四国に将校で派遣されており、対岸の広島で、原爆の投下を見た時、その威力に「日本も、以降、原子力しかない。」と感銘、実際に国会議員になった後、原発法案を通した、http://genpatsu.worldpress.com/2011/07/05/safe-myth-nyt/ 中曽根康弘個人(まもなく96歳で、存命。従来、原爆のような悲劇を見たら、「」「あの爆弾の威力は凄い!日本もあれしかない!」ではなく、ふつうならば、きのこ雲の下の同胞の命をまっ先に案じ、「あんなもの、恐ろしいもの、世の中から抹殺されるべきだ。」となる処。こう言う過程を経て、今や、彼の地元も、こう言う、あまり常人が取らない思考過程を基に、突き進んだら、やはり、いつかは自分の処に帰って来るんだろうね、彼の地元、群馬も、いくら取りつくろった処で、実際の線量計測によると、今回の事故で汚されている。今、群馬県民が、そう言う彼をどう言う目で見ているのかは、興味があるものの、自分の場合、群馬県民でもないので、彼に投票したこともないし)にすべきだと思う。その方が、胸のうちがすっと、するんじゃないかな。そう言った、勇気はいるが勇気はいるが、国が、チェルノブイリの時のように、大量のバスで、誘導してくれないのならば、人として当然の“自らの退避”により、“風評”と言われる事態は、解消されるのだと思う。
Posted by こうなったと言うのは、 at 2014年05月07日 06:05
「わざわざ背景と同じ黒塗りにして、ごまかそうと・・」・・?


全然背景と同化していないし、むしろ目立ってますよ。
日本の国土の形も知らない人がいたら、あの部分だけへこんでいるのかと思うかもしれませんが、
そこまでユニークな人は極限られていることでしょう。
Posted by 山坂転太 at 2014年05月10日 22:11
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