・賛否両論であるが、今回の判決理由では、250キロ圏内の訴訟権、そして使用済み燃料プールについてふれたことが最も大きい
・フクシマで初めて表面化した大きな問題が使用済み燃料プールであったにもかかわらず、ほとんど報道もなされておらず、また規制委員会でも全く話題になっていない
・使用済み燃料については、是非ともマスコミでさらに大きく取り上げていただきたい


大飯原発:3、4号機の運転差し止め 福井地裁判決
関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町、運転停止中)の運転差し止めを福井県の住民らが求めた訴訟の判決が21日、福井地裁であり、樋口英明裁判長は住民側の主張を認め、運転差し止めを命じた。
関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町、運転停止中)の運転差し止めを福井県の住民らが求めた訴訟の判決が21日、福井地裁であり、樋口英明裁判長は住民側の主張を認め、運転差し止めを命じた。
大飯原発は、当時の民主党野田政権が、国民の反対を押し切って、無理矢理再稼働させた原発です。この民意を無視した再稼働が、その後の官邸前再稼働反対デモにつながり、大飯原発の玄関でも再稼働反対のデモが行われたことも、記憶に新しいところ。もう2年近く前のことかと思うと、本当のところはびっくりしますが・・・
さて、今回の判決はかなりしっかりと各所に根拠を持ちながら踏み込んでおり、(サヨク)裁判官の情緒的な判決と切って捨てられない重みがあります。判決文の全文は【速報】大飯原発運転差止請求事件判決要旨全文を掲載しますに掲載されておりますので、そちらをご覧ください。この中から、重要だと思われる点を抜き出しつつ、解説します。
主文
1 被告は、別紙原告目録1記載の各原告(大飯原発から250キロメートル圏内に居住する166名)に対する関係で、福井県大飯郡おおい町大島1字吉見1-1において、大飯発電所3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない。
2 別紙原告目録2記載の各原告(大飯原発から250キロメートル圏外に居住する23名)の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は、第2項の各原告について生じたものを同原告らの負担とし、その余を被告の負担とする。
250キロ圏内で切ったところが非常に目新しい。ここまで広く被告適格として認めたのは初めてではないでしょうか。この250圏内まで認めた理由も、根拠がしっかりしています。1 被告は、別紙原告目録1記載の各原告(大飯原発から250キロメートル圏内に居住する166名)に対する関係で、福井県大飯郡おおい町大島1字吉見1-1において、大飯発電所3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない。
2 別紙原告目録2記載の各原告(大飯原発から250キロメートル圏外に居住する23名)の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は、第2項の各原告について生じたものを同原告らの負担とし、その余を被告の負担とする。
理由
1 はじめに
ひとたび深刻な事故が起これば多くの人の生命、身体やその生活基盤に重大な被害を及ぼす事業に関わる組織には、その被害の大きさ、程度に応じた安全性と高度の信頼性が求められて然るべきである。このことは、当然の社会的要請であるとともに、生存を基礎とする人格権が公法、私法を間わず、すべての法分野において、最高の価値を持つとされている以上、本件訴訟においてもよって立つべき解釈上の指針である。
個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本質的なものであって、その総体が人格権であるということができる。人格権は憲法上の権利であり(13条、25条)、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。したがって、この人格権とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは、人格権そのものに基づいて侵害行為の差止めを請求できることになる。人格権は各個人に由来するものであるが、その侵害形態が多数人の人格権を同時に侵害する性質を有するとき、その差止めの要請が強く働くのは理の当然である。
2 福島原発事故について
福島原発事故においては、15万人もの住民が避難生活を余儀なくされ、この避難の過程で少なくとも入院患者等60名がその命を失っている。家族の離散という状況や劣悪な避難生活の中でこの人数を遥かに超える人が命を縮めたことは想像に難くない。さらに、原子力委員会委員長が福島第一原発から250キロメートル圏内に居住する住民に避難を勧告する可能性を検討したのであって、チェルノブイリ事故の場合の住民の避難区域も同様の規模に及んでいる。
年間何ミリシーベルト以上の放射線がどの程度の健康被害を及ぼすかについてはさまざまな見解があり、どの見解に立つかによってあるべき避難区域の広さも変わってくることになるが、既に20年以上にわたりこの問題に直面し続けてきたウクライナ共和国、ベラルーシ共和国は、今なお広範囲にわたって避難区域を定めている。両共和国の政府とも住民の早期の帰還を図ろうと考え、住民においても帰還の強い願いを持つことにおいて我が国となんら変わりはないはずである。それにもかかわらず、両共和国が上記の対応をとらざるを得ないという事実は、放射性物質のもたらす健康被害について楽観的な見方をした上で避難区域は最小限のもので足りるとする見解の正当性に重大な疑問を投げかけるものである。上記250キロメートルという数字は緊急時に想定された数字にしかすぎないが、だからといってこの数字が直ちに過大であると判断することはできないというべきである。
原子力委員会が作成した資料は1 はじめに
ひとたび深刻な事故が起これば多くの人の生命、身体やその生活基盤に重大な被害を及ぼす事業に関わる組織には、その被害の大きさ、程度に応じた安全性と高度の信頼性が求められて然るべきである。このことは、当然の社会的要請であるとともに、生存を基礎とする人格権が公法、私法を間わず、すべての法分野において、最高の価値を持つとされている以上、本件訴訟においてもよって立つべき解釈上の指針である。
個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本質的なものであって、その総体が人格権であるということができる。人格権は憲法上の権利であり(13条、25条)、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。したがって、この人格権とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは、人格権そのものに基づいて侵害行為の差止めを請求できることになる。人格権は各個人に由来するものであるが、その侵害形態が多数人の人格権を同時に侵害する性質を有するとき、その差止めの要請が強く働くのは理の当然である。
2 福島原発事故について
福島原発事故においては、15万人もの住民が避難生活を余儀なくされ、この避難の過程で少なくとも入院患者等60名がその命を失っている。家族の離散という状況や劣悪な避難生活の中でこの人数を遥かに超える人が命を縮めたことは想像に難くない。さらに、原子力委員会委員長が福島第一原発から250キロメートル圏内に居住する住民に避難を勧告する可能性を検討したのであって、チェルノブイリ事故の場合の住民の避難区域も同様の規模に及んでいる。
年間何ミリシーベルト以上の放射線がどの程度の健康被害を及ぼすかについてはさまざまな見解があり、どの見解に立つかによってあるべき避難区域の広さも変わってくることになるが、既に20年以上にわたりこの問題に直面し続けてきたウクライナ共和国、ベラルーシ共和国は、今なお広範囲にわたって避難区域を定めている。両共和国の政府とも住民の早期の帰還を図ろうと考え、住民においても帰還の強い願いを持つことにおいて我が国となんら変わりはないはずである。それにもかかわらず、両共和国が上記の対応をとらざるを得ないという事実は、放射性物質のもたらす健康被害について楽観的な見方をした上で避難区域は最小限のもので足りるとする見解の正当性に重大な疑問を投げかけるものである。上記250キロメートルという数字は緊急時に想定された数字にしかすぎないが、だからといってこの数字が直ちに過大であると判断することはできないというべきである。


たしかにプールが破損した場合には、次々と連鎖的にコアコンクリート反応が起き
「年間線量が自然放射線レベルを大幅に超えることを持って移転を希望する場合認めるべき地域が250km以遠にも発生することになる可能性がある」
と書かれています。裁判所が認めたとおりこの250キロ圏内には根拠がある数字であり、これを覆すことはほとんど不可能です。この数字であれば、とんでもない数の住民が含まれ、稼働することはほとんど不可能となります。訴訟権がないのは、沖縄県くらいなものです。私の住む熊本市からも、川内、伊方、玄海、島根の4原発が該当します。棄却された人がいるのは残念ではありますが、この250キロ圏内という数字を根拠とともに判決文で明示したのは、非常に大きいと思います。上級審では、この被告適格か否かについても理由を挙げて、再度判断をしなければならなくなっています。なかなか、あっぱれだと思います。
そして、使用済み燃料問題。3号機の核爆発は、この使用済み燃料プールからとしか考えられませんから、事故が起きた2011年4月1日に
「原子力発電所 安全基準(私案)☆☆☆!」
と、使用済み燃料プールに着目し、さらに
原子炉より危険なプール
でも紹介したように、マスコミでも取り上げられていたのですが、その後は全くといっていいほど無視していますし、規制委員会もこの使用済み燃料プールについては、見て見ぬふりを貫いていました。ところが、今回の判決ではこの費用済み燃料プールの問題を真正面から取り上げています
6 閉じ込めるという構造について(使用済み核燃料の危険性)
(1) 使用済み核燃料の現在の保管状況
原子力発電所は、いったん内部で事故があったとしても放射性物質が原子力発電所敷地外部に出ることのないようにする必要があることから、その構造は堅固なものでなければならない。
そのため、本件原発においても核燃料部分は堅固な構造をもつ原子炉格納容器の中に存する。他方、使用済み核燃料は本件原発においては原子炉格納容器の外の建屋内の使用済み核燃料プールと呼ばれる水槽内に置かれており、その本数は1000本を超えるが、使用済み核燃料プールから放射性物質が漏れたときこれが原子力発電所敷地外部に放出されることを防御する原子炉格納容器のような堅固な設備は存在しない。
(2) 使用済み核燃料の危険性
福島原発事故においては、4号機の使用済み核燃料プールに納められた使用済み核燃料が危機的状況に陥り、この危険性ゆえに前記の避難計画が検討された。原子力委員会委員長が想定した被害想定のうち、最も重大な被害を及ぼすと想定されたのは使用済み核燃料プールからの放射能汚染であり、他の号機の使用済み核燃料プールからの汚染も考えると、強制移転を求めるべき地域が170キロメートル以遠にも生じる可能性や、住民が移転を希望する場合にこれを認めるべき地域が東京都のほぼ全域や横浜市の一部を含む250キロメートル以遠にも発生する可能性があり、これらの範囲は自然に任せておくならば、数十年は続くとされた。
(3) 被告の主張について
被告は、使用済み核燃料は通常40度以下に保たれた水により冠水状態で貯蔵されているので冠水状態を保てばよいだけであるから堅固な施設で囲い込む必要はないとするが、以下のとおり失当である。
ア 冷却水喪失事故について
使用済み核燃料においても破損により冷却水が失われれば被告のいう冠水状態が保てなくなるのであり、その場合の危険性は原子炉格納容器の一次冷却水の配管破断の場合と大きな違いはない。福島原発事故において原子炉格納容器のような堅固な施設に甲まれていなかったにもかかわらず4号機の使用済み核燃料プールが建屋内の水素爆発に耐えて破断等による冷却水喪失に至らなかったこと、あるいは瓦礫がなだれ込むなどによって使用済み核燃料が大きな損傷を被ることがなかったことは誠に幸運と言うしかない。使用済み核燃料も原子炉格納容器の中の炉心部分と同様に外部からの不測の事態に対して堅固な施設によって防御を固められてこそ初めて万全の措置をとられているということができる。
イ 電源喪失事故について
本件使用済み核燃料プールにおいては全交流電源喪失から3日を経ずして冠水状態が維持できなくなる。我が国の存続に関わるほどの被害を及ぼすにもかかわらず、全交流電源喪失から3日を経ずして危機的状態に陥いる。そのようなものが、堅固な設備によって閉じ込められていないままいわばむき出しに近い状態になっているのである。
(4) 小括
使用済み核燃料は本件原発の稼動によって日々生み出されていくものであるところ、使用済み核燃料を閉じ込めておくための堅固な設備を設けるためには膨大な費用を要するということに加え、国民の安全が何よりも優先されるべきであるとの見識に立つのではなく、深刻な事故はめったに起きないだろうという見通しのもとにかような対応が成り立っているといわざるを得ない
新聞報道では地震動のことしか指摘しておりませんが、今回の審査で画期的なのはこの使用済み燃料プールに言及したこと。それには原告団の申し立てがあったからですから、素晴らしいと思います。この使用済み燃料の問題を突き詰めれば、再稼働できるプラントなど一つもありません。そして、今回の判決文を覆すことは非常に困難です。福島原発の危機は、すべて使用済み燃料プールが関係しているのは事実なのですから。関西電力の主張も(1) 使用済み核燃料の現在の保管状況
原子力発電所は、いったん内部で事故があったとしても放射性物質が原子力発電所敷地外部に出ることのないようにする必要があることから、その構造は堅固なものでなければならない。
そのため、本件原発においても核燃料部分は堅固な構造をもつ原子炉格納容器の中に存する。他方、使用済み核燃料は本件原発においては原子炉格納容器の外の建屋内の使用済み核燃料プールと呼ばれる水槽内に置かれており、その本数は1000本を超えるが、使用済み核燃料プールから放射性物質が漏れたときこれが原子力発電所敷地外部に放出されることを防御する原子炉格納容器のような堅固な設備は存在しない。
(2) 使用済み核燃料の危険性
福島原発事故においては、4号機の使用済み核燃料プールに納められた使用済み核燃料が危機的状況に陥り、この危険性ゆえに前記の避難計画が検討された。原子力委員会委員長が想定した被害想定のうち、最も重大な被害を及ぼすと想定されたのは使用済み核燃料プールからの放射能汚染であり、他の号機の使用済み核燃料プールからの汚染も考えると、強制移転を求めるべき地域が170キロメートル以遠にも生じる可能性や、住民が移転を希望する場合にこれを認めるべき地域が東京都のほぼ全域や横浜市の一部を含む250キロメートル以遠にも発生する可能性があり、これらの範囲は自然に任せておくならば、数十年は続くとされた。
(3) 被告の主張について
被告は、使用済み核燃料は通常40度以下に保たれた水により冠水状態で貯蔵されているので冠水状態を保てばよいだけであるから堅固な施設で囲い込む必要はないとするが、以下のとおり失当である。
ア 冷却水喪失事故について
使用済み核燃料においても破損により冷却水が失われれば被告のいう冠水状態が保てなくなるのであり、その場合の危険性は原子炉格納容器の一次冷却水の配管破断の場合と大きな違いはない。福島原発事故において原子炉格納容器のような堅固な施設に甲まれていなかったにもかかわらず4号機の使用済み核燃料プールが建屋内の水素爆発に耐えて破断等による冷却水喪失に至らなかったこと、あるいは瓦礫がなだれ込むなどによって使用済み核燃料が大きな損傷を被ることがなかったことは誠に幸運と言うしかない。使用済み核燃料も原子炉格納容器の中の炉心部分と同様に外部からの不測の事態に対して堅固な施設によって防御を固められてこそ初めて万全の措置をとられているということができる。
イ 電源喪失事故について
本件使用済み核燃料プールにおいては全交流電源喪失から3日を経ずして冠水状態が維持できなくなる。我が国の存続に関わるほどの被害を及ぼすにもかかわらず、全交流電源喪失から3日を経ずして危機的状態に陥いる。そのようなものが、堅固な設備によって閉じ込められていないままいわばむき出しに近い状態になっているのである。
(4) 小括
使用済み核燃料は本件原発の稼動によって日々生み出されていくものであるところ、使用済み核燃料を閉じ込めておくための堅固な設備を設けるためには膨大な費用を要するということに加え、国民の安全が何よりも優先されるべきであるとの見識に立つのではなく、深刻な事故はめったに起きないだろうという見通しのもとにかような対応が成り立っているといわざるを得ない
「使用済み核燃料は通常40度以下に保たれた水により冠水状態で貯蔵されているので冠水状態を保てばよいだけであるから堅固な施設で囲い込む必要はない」
しかありませんから、どうかんがえてもこの主張を裁判所に認めさせるしかありません。フクシマで明らかにされた使用済み燃料プールの最大の弱点を無視して、再稼働していいはずがありません。高等裁判所が、どのようにしてこの一番大きな問題点を無視できると理由付けするのか。見物です。地震動の大きさなどは、いくらでも御用学者がいますので、覆すことは簡単ですが、この使用済み燃料問題は御用学者を持ってしても、どうしようもないと言えるでしょう。
私が今回の裁判で残念だと思える点は、原子炉建屋そのものにしか注目していない点です。
若狭湾の原発銀座−背後に山が迫る恐ろしい立地で書きましたが、大飯原発には背後に山があります。

このように切り立った山をコンクリートで固めただけで、土砂崩れが起きないとどうして言えるのか。大雨で地盤が緩んだときに、ちょっとした地震が起きただけで山崩れが起きることなんて、誰が見ても明らかではありませんか。もし、この山が崩れたら安全装置云々の前にすべてが終わります。次回の訴訟の際には、この裏山のことも追加していただければと思います。
この画期的な判決に対して、どこまで深くわかっているかを見てみましょう。
まず、菅直人
福井地裁の原発差し止め訴訟を傍聴 2014-05-22
昨日福井県に出かけ、大飯原発差し止め訴訟判決を傍聴した。「運転してはならない」という裁判官の声に思わずガッツポーズ。
判決 主文も全て聞いた。いくつか特に重要な指摘があった。一つは、大飯原発から250キロ圏内の住民に原発による被害の可能性を認め、訴える権利を認めたこと。福島原発事故の時、近藤原子力委員長から最悪の場合のシミュレーシヨンとして、250キロ圏からの避難が必要になるという報告があった事に基づいての判断。日本国内で原発から250キロ以上離れているのは沖縄県だけ。
もう一つは、電力会社の予測が楽観的過ぎるという指摘。地震の予測についても1260ガルを越える地震が発生しないとは言えないと述べた。
(以下略)
使用済み燃料のことには触れていませんが、間髪を入れず言及。内容の巧拙よりも、まず表明を発することで、マスコミも取り上げてくれます。大飯原発再稼働デモで中止勧告をした現青年国会議員は何か発言してますか?昨日福井県に出かけ、大飯原発差し止め訴訟判決を傍聴した。「運転してはならない」という裁判官の声に思わずガッツポーズ。
判決 主文も全て聞いた。いくつか特に重要な指摘があった。一つは、大飯原発から250キロ圏内の住民に原発による被害の可能性を認め、訴える権利を認めたこと。福島原発事故の時、近藤原子力委員長から最悪の場合のシミュレーシヨンとして、250キロ圏からの避難が必要になるという報告があった事に基づいての判断。日本国内で原発から250キロ以上離れているのは沖縄県だけ。
もう一つは、電力会社の予測が楽観的過ぎるという指摘。地震の予測についても1260ガルを越える地震が発生しないとは言えないと述べた。
(以下略)
大飯再稼働訴訟 不合理な推論が導く否定判決
2014年05月22日 01時25分
「ゼロリスク」に囚(とら)われた、あまりに不合理な判決である。
定期検査のため停止している関西電力大飯原子力発電所3、4号機について、福井地裁が運転再開の差し止めを命じる判決を言い渡した。原発の周辺住民らの訴えを認めたものだ。
判決は、関電側が主張している大飯原発の安全対策について、「確たる根拠のない楽観的な見通しのもとに成り立ち得る脆弱(ぜいじゃく)なもの」との見方を示し、具体的な危険があると判断した。
「福島第一原発の事故原因が確定できていない」ため、関電は、トラブル時に事態把握や適切な対応策がとれないことは「明らか」とも一方的に断じた。
昨年7月に施行された原発の新たな規制基準を無視し、科学的知見にも乏しい。
判決が、どれほどの規模の地震が起きるかは「仮説」であり、いくら大きな地震を想定しても、それを「超える地震が来ないという確たる根拠はない」と強調した点も、理解しがたい。
非現実的な考え方に基づけば、安全対策も講じようがない。
大飯原発は、福島第一原発事故を受けて国内の全原発が停止した後、当時の野田首相の政治判断で2012年7月に再稼働した。順調に運転し、昨年9月からは定期検査に入っている。
関電は規制委に対し、大飯原発3、4号機が新規制基準に適合しているかどうかの審査を申請している。規制委は、敷地内の活断層の存在も否定しており、審査は大詰めに差し掛かっている。
別の住民グループが同様に再稼働の差し止めを求めた仮処分の即時抗告審では、大阪高裁が9日、申し立てを却下した。
規制委の安全審査が続いていることを考慮し、「その結論の前に裁判所が差し止めの必要性を認めるのは相当ではない」という理由からだ。常識的な判断である。
最高裁は1992年の伊方原発の安全審査を巡る訴訟の判決で、「極めて高度で最新の科学的、技術的、総合的な判断が必要で、行政側の合理的な判断に委ねられている」との見解を示している。
原発の審査に関し、司法の役割は抑制的であるべきだ、とした妥当な判決だった。各地で起こされた原発関連訴訟の判決には、最高裁の考え方が反映されてきた。
福井地裁判決が最高裁の判例の趣旨に反するのは明らかである。関電は控訴する方針だ。上級審には合理的な判断を求めたい。
2014年05月22日 01時25分 Copyright
The Yomiuri Shimbun
情緒的すぎる論説です。250キロで区切ったこと、使用済み燃料のことには一切触れていません。触れると論説として成立し得なくなるからです。地震動のことだけしか触れることができない苦しさはよくわかります。これで反論になっていると思っているとしたら、愚かなこと。こんな論説に納得できるのは、それこそネトウヨ程度でしょう。2014年05月22日 01時25分
「ゼロリスク」に囚(とら)われた、あまりに不合理な判決である。
定期検査のため停止している関西電力大飯原子力発電所3、4号機について、福井地裁が運転再開の差し止めを命じる判決を言い渡した。原発の周辺住民らの訴えを認めたものだ。
判決は、関電側が主張している大飯原発の安全対策について、「確たる根拠のない楽観的な見通しのもとに成り立ち得る脆弱(ぜいじゃく)なもの」との見方を示し、具体的な危険があると判断した。
「福島第一原発の事故原因が確定できていない」ため、関電は、トラブル時に事態把握や適切な対応策がとれないことは「明らか」とも一方的に断じた。
昨年7月に施行された原発の新たな規制基準を無視し、科学的知見にも乏しい。
判決が、どれほどの規模の地震が起きるかは「仮説」であり、いくら大きな地震を想定しても、それを「超える地震が来ないという確たる根拠はない」と強調した点も、理解しがたい。
非現実的な考え方に基づけば、安全対策も講じようがない。
大飯原発は、福島第一原発事故を受けて国内の全原発が停止した後、当時の野田首相の政治判断で2012年7月に再稼働した。順調に運転し、昨年9月からは定期検査に入っている。
関電は規制委に対し、大飯原発3、4号機が新規制基準に適合しているかどうかの審査を申請している。規制委は、敷地内の活断層の存在も否定しており、審査は大詰めに差し掛かっている。
別の住民グループが同様に再稼働の差し止めを求めた仮処分の即時抗告審では、大阪高裁が9日、申し立てを却下した。
規制委の安全審査が続いていることを考慮し、「その結論の前に裁判所が差し止めの必要性を認めるのは相当ではない」という理由からだ。常識的な判断である。
最高裁は1992年の伊方原発の安全審査を巡る訴訟の判決で、「極めて高度で最新の科学的、技術的、総合的な判断が必要で、行政側の合理的な判断に委ねられている」との見解を示している。
原発の審査に関し、司法の役割は抑制的であるべきだ、とした妥当な判決だった。各地で起こされた原発関連訴訟の判決には、最高裁の考え方が反映されてきた。
福井地裁判決が最高裁の判例の趣旨に反するのは明らかである。関電は控訴する方針だ。上級審には合理的な判断を求めたい。
2014年05月22日 01時25分 Copyright

大飯原発判決で国、関電反応は 「方針に変わりない」「速やかに控訴」
(2014年5月21日午後4時39分)
菅義偉官房長官は21日の記者会見で、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止めを命じた福井地裁判決に関し、原子力規制委員会の規制基準に適合すると認められた場合には、再稼働を進める政府方針に変わりはないとの認識を示した。
また、関西電力は同日、「判決文の詳細を確認の上、速やかに控訴の手続きを行う」とするコメントを出した。
原子力規制委員会の田中俊一委員長は「司法判断について申し上げることはない。大飯についてはわれわれの考え方で審査をしていく」と述べた。
地震動の大きさは別にして、使用済み燃料についてどう考えるかを規制委員会はしっかりと総括すべきです。「我々の考え方」の落ち度を指摘されているにもかかわらず、無視ですかね。これは。(2014年5月21日午後4時39分)
菅義偉官房長官は21日の記者会見で、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止めを命じた福井地裁判決に関し、原子力規制委員会の規制基準に適合すると認められた場合には、再稼働を進める政府方針に変わりはないとの認識を示した。
また、関西電力は同日、「判決文の詳細を確認の上、速やかに控訴の手続きを行う」とするコメントを出した。
原子力規制委員会の田中俊一委員長は「司法判断について申し上げることはない。大飯についてはわれわれの考え方で審査をしていく」と述べた。
大飯原発・差し止め訴訟 国民の命を守る判決だ(東京新聞)2014年5月22日
大飯原発の運転再開は認めません。昨日の福井地裁判決は、言い換えるなら、国民の命を守る判決ということだ。原発に頼らない国への歩みにしたい。
判決はまず、津波対策に比べて軽視されがちな地震の揺れの強さに着目し、「想定外」は許されないと言っている。
世界有数の地震国日本では、どんな大地震に大飯原発が襲われるか分からない。原発を冷やすシステムが破壊されない保証もない。一方、想定より弱い地震でも重大事故は起こり得るものだという。
要するに、「想定外」を恐れている。
◆いくつもの神話の否定
使用済み核燃料に関しても、放射性物質が漏れ出さないように閉じ込めることが可能な保管設備は存在しない、とも考える。
さらに、大飯原発の安全技術と設備は、確たる根拠のない楽観的な見通しのもとに初めて成り立つ脆弱(ぜいじゃく)なものだと断じている。
裁判官の前では関西電力の方に説得力がなかったわけである。
安全神話の完全な否定である。
原発の稼働が発電コストの低減になるという関電側の主張も退ける。極めて多数の人々の生存そのものにかかわる権利と、電気代が高い低いの問題とを並べて論じること自体、許されないと、怒りさえにじませているようだ。
経済神話の否定である。
そして、原発の稼働が地球温暖化の原因になる温室効果ガスの削減に寄与するという被告側の主張に対しては、福島原発事故はわが国始まって以来の環境汚染、甚だしい筋違いとまで言い切って、環境神話も否定した。
3・11後もまだ残る原発神話を払いのけ、その素顔を国民の前にさらして見せたとすら、言えるだろう。
(以下略)
大飯原発の運転再開は認めません。昨日の福井地裁判決は、言い換えるなら、国民の命を守る判決ということだ。原発に頼らない国への歩みにしたい。
判決はまず、津波対策に比べて軽視されがちな地震の揺れの強さに着目し、「想定外」は許されないと言っている。
世界有数の地震国日本では、どんな大地震に大飯原発が襲われるか分からない。原発を冷やすシステムが破壊されない保証もない。一方、想定より弱い地震でも重大事故は起こり得るものだという。
要するに、「想定外」を恐れている。
◆いくつもの神話の否定
使用済み核燃料に関しても、放射性物質が漏れ出さないように閉じ込めることが可能な保管設備は存在しない、とも考える。
さらに、大飯原発の安全技術と設備は、確たる根拠のない楽観的な見通しのもとに初めて成り立つ脆弱(ぜいじゃく)なものだと断じている。
裁判官の前では関西電力の方に説得力がなかったわけである。
安全神話の完全な否定である。
原発の稼働が発電コストの低減になるという関電側の主張も退ける。極めて多数の人々の生存そのものにかかわる権利と、電気代が高い低いの問題とを並べて論じること自体、許されないと、怒りさえにじませているようだ。
経済神話の否定である。
そして、原発の稼働が地球温暖化の原因になる温室効果ガスの削減に寄与するという被告側の主張に対しては、福島原発事故はわが国始まって以来の環境汚染、甚だしい筋違いとまで言い切って、環境神話も否定した。
3・11後もまだ残る原発神話を払いのけ、その素顔を国民の前にさらして見せたとすら、言えるだろう。
(以下略)
使用済み燃料問題にもきちんと触れています。これこそが再稼働のアキレス腱の一つですから、きちんと書くことが非常に大事です。
今回の大飯再稼働差し止め請求の報道で、またいろいろと見えてくるかとおもいます。本当に理解しているのは誰か、もう一度おさらいしてみてください。
この問題について、本日22日10時頃からツイキャスを行います。お時間のある方はご視聴ください。
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2012年08月23日
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原子炉より危険なプール2011年06月20日
日本の原発立地状況2012年01月03日
若狭湾の原発銀座−背後に山が迫る恐ろしい立地2012年04月15日
こちらの新潟日報では、使用済み核燃料の事に関しては、1面で、判決内容として、
(前略)さらに「使用済み核燃料プールから外部に放射性物質が放出されることを防ぐ堅固な設備は存在しない」とした。
と書かれているのみで、詳しい説明・解説はありませんでした。
まぁ、判決文の要旨が掲載されたので、読者はそこから判断してね!ということでしょうか。
(本当です)
黙っておられなかったので、
昨今言われているような、
福島第一原発や放射能に対する
風評被害を完全に抑え込む方法として、
提案させていただきました。
治安を考えて、
大都市圏に警察機構のみ残して、
郊外に、政府・国会・省庁を
持って来ると言う機能分化は、
多くの国でやっていることであって、
この手法でいいのです。
原発推進・脱原発・東京都民・福島県民
皆が、納得出来る方法だと思います。
安倍首相は、
「国として、風評被害には、
断固として、対応する。」
と、言い切ったので、
6年後のオリンピックに向けて、
国体としての信頼を
回復するためにも早く、
風評被害封殺への範を垂れるべく、
これ1点絞りで、
実践していただきたく思います。
なお、森さまこ大臣には、
1年半ほど前に、自ら国会で、
あたかも、鼻血が本当にあるかのような
質問をした経緯もあり、
「健康被害を認知しているのか?」
それとも、今回のように、
「遺憾」と言うことで、
鼻血など、風評被害と思っているのかを、
1週間前に、文書で質問しましたが、
まだ、返事は来ません。
何れもしても、私の案にご議論があれば、
何なりと。
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前略
安倍総理殿
今回の鼻血の件のような
風評被害を完全に国自らが、
対応するのに、私も賛成です。
そのためには、
国民誰しもが納得できる、
安全への説得性を示す手段があります。
国会議事堂を
福島県双葉町に
移転、全国会議員を住まわせれば
いいと思います。
もちろん、その国会議員自身だけではなく、
奥さん、子供、孫にも来てもらうと。
首相は、
「放射線に、急性障害はあっても、
晩発の低線量被爆など、
あり得ない。」
と、今回高らかに宣言されました。
実際、福島第一原発は、
首相の言われる、
「完全にコントロールできている。」
と言うお言葉からすれば、
既に、国は、急性の時期を脱しています。
福島は、絶対安全な訳です。
実際、避難指示解除準備地域には、
前井戸川町長のように、
人は住んでおられます。
地産のいいものを
日々、国会議員が、
国民に範を垂れる形で、
食べて応援することによって、
力強い、被災地への復興にもつながるし、
しかも、すがすがしい空気の下、
絶対、病気などなりっ子ないので、
確実に、風評は払拭できるということで、
一石二鳥です。
本案は、議員全員を移住させることに
しないと、意味がないので、
もし、首相からの双葉への移動の命令に、
造反した国会議員は
首相権限を以て、議員をクビにすべきですし、
しかも、自民党員ならば、なおさら、
総裁の言うことを訊かなかったということで、
即刻離党させるべきです。
また、ついでに、TV・ラジオのキー局、
大手新聞の本社、等マスコミも一緒に
連れていくといいでしょう。
何も、狭い東京である必要性もなく、
広い土地で、
地域に根づいた議員たちに対して、
現地現物の取材が出来ると
思います。
すみやかに、ご検討ください。
「※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。」とちゃんと断っているのですから、内容と長さのひどいものは先生の裁量でアップ控えていただけませんでしょうか。
確かにおかしなものは飛ばせばよいのですが、あまりにも長いものが多くなると、まともなものとそうでないものとの選別に時間がかかってしまいます。コメント欄で良い情報をくださる方々もいらっしゃるのでよろしくお願いします。
テレビカメラの前で、地裁の判決を考慮しないと意思表示。法治国家であることを忘れたのか、認知症だろうか?
史上最悪の原発事故の記録を読むキャパシテイもないとすれば末期的。彼らには人として療養する権利があります。
●大飯差し止め
再稼働ありきへの警鐘だ
「運転してはならない」。主文は明快だった。
経済を最優先に原発再稼働へ前のめりになっている政府と電力会社への警告と受け止めるべきだ。
福井地裁が、現在定期検査中の関西電力大飯原発3、4号機について、福井県の住民ら原告側の請求を全面的に認め、再稼働を認めない判決を言い渡した。
地震対策に構造的欠陥があるというのが理由である。
東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故後、原発の差し止めを認めるのは初めてだ。
関電は控訴したが、新潟地裁で係争中の東電柏崎刈羽原発の運転差し止め訴訟をはじめ、各地の訴訟に波及する可能性がある。安倍政権のエネルギー政策にも、少なからぬ影響を与えよう。
最大の争点は、大地震が発生した後でも安全が維持できるかどうかだった。
判決で裁判長は、福島事故で原発の危険性と被害の大きさが明らかになったとし、大飯原発の安全対策を「楽観的な見通しで成り立つ脆弱(ぜいじゃく)なもの」と指弾した。
具体的危険性が万が一でもあれば差し止めは当然、とまで言い切ったのである。
理由の一つが耐震設計の目安となる基準地震動だ。
関電側は想定の1.8倍となる1260ガルまでは過酷事故に至らないと主張したが、裁判長は「それを超える地震が来ない根拠はない」と退けた。
中越沖地震をはじめ、想定していた地震動を超えたケースが2005年以降、四つの原発で5回もあったからだ。
08年の岩手・宮城内陸地震では震源断層の真上で4022ガルを観測している。
福島事故で最も重大な被害を及ぼすと懸念された使用済み燃料プールについても、原子炉格納容器のような堅固な設備がない、と安全上の不備に言及した。
これまで国の手続きの適否が審理の中心だったが、裁判所が安全性にまで踏み込んだ意義は大きいといえよう。
注目すべきは、憲法上、原発の稼働という経済活動は人格権よりも低く、多数の人の生存権と電気代を並べて論じること自体、許されないとしている点だ。
原子力規制委員会は従来通り審査を続けるとしている。規制委の新基準に適合すれば、差し止め判決が確定しない限り、再稼働は可能だ。政府も再稼働方針に変更はないとの姿勢を崩していない。
だが、福島事故から3年が過ぎたのに、いまだ13万人が避難生活を強いられている。復興はおろか、帰還のめども立っていない。
汚染水対策で地下水の海洋放出が始まったが、抜本的な対策には程遠い。廃炉の道筋は不透明だ。事故原因の究明も道半ばである。
判決文にある、原発停止で多額の貿易赤字が出るとしても、豊かな国土に国民が根を下ろして生活することが国富であり、それを取り戻すことができなくなるのが国富の喪失だ、という指摘は重い。
政府と電力会社は、この言葉に真摯(しんし)に向き合うべきではないか。
同朝刊コラム欄「日報抄」
試しにやってみた。日本地図とコンパスを用意する。原発が立地する各地を中心に、半径250キロの円を描く。北は北海道の泊から、南は九州の川内まで。順番にクルッと線を引いていくと、列島のほぼ全域が、いくつもの円が重なり合う雲状の形の中に収まった
どの円にも引っかからない区域は、北海道の一部と沖縄方面ぐらいだ。大飯原発3、4号機の運転禁止を命じた福井地裁の判決は、原発から半径250キロの範囲に事故の影響が及ぶとした。その根拠となったのは、福島原発の事故の際、原子力委員会の委員長が作った「最悪シナリオ」である
新潟は、全県が柏崎刈羽原発を中心にした半径250キロの円内に入る。さらに、女川、福島、東海、志賀、浜岡、大飯…といくつもの円が県土の上で重なる。ほかの都道府県も同様で、二重三重の輪の中にある
私たちは原発の電力が生む繁栄を等しく享受してきた。重大事故があれば、災いも等しく降りかかるとの覚悟が必要だろう。原発事故は「国富の喪失」をもたらすと、樋口英明裁判長は指摘した。人ごとではなく、一人一人が考える契機としたい
判決には批判もある。原子力の専門家は「判決は原子力の素人が下した無見識で無謀なものだ」と語った。しかし福島原発の惨状は、玄人の集団である「原子力ムラ」が築いた安全神話の末路ではなかったか
昨日、読者からメールをいただいた。「上級審でも政治に左右されない、命を守る判決を出してほしい」。同感である。
●大飯差し止め
「住民最優先の判決」
脱原発県弁護団が評価
福井地裁で関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を認めないとする判決が出たことを受け、東京電力柏崎刈羽原発の運転差し止めを求めて新潟地裁で係争中の脱原発県弁護団(和田光弘弁護団長)は22日、新潟市中央区で記者会見し、声明を発表した。弁護団は「住民の安全を最優先とした画期的な判決だ」と評価。新潟でも今後、福井地裁の判断を参考にするよう求める方針を示した。
同様の訴訟は本県など各地で提起されてきたが、東京電力福島第1原発事故後、原発の運転差し止めを求める判決が出たのは福井地裁が初めて。
弁護団は「原発の安全性の欠如について、これまで裁判所は住民側に過度の立証責任を課し、行政庁や事業者の主張を追認して適切な判断はされてこなかった」と過去の経緯を指摘した。
今回の判決について和田団長は「行政の基準で安全と判断しても関係ないと明確にした。東電が運転管理している柏崎刈羽原発は事故を起こす危険性が一層高い」と強調。「住民の命や健康をないがしろにして、(電気代が安いという)経済的な理由で原発を動かしてはいけないという考えが背景にある」などと述べた。
判決を受けて菅義偉官房長官が21日、「政府方針に変わりはない」などと発言したことに対し手は、弁護団は「判決の中で、住民の人格権は最高の価値を持つものだと明言している。政府の方針を変えないというのは問題だ」と批判した。
柏崎刈羽原発差し止め訴訟の次期期日は7月10日。
●「再稼働遅れ心配」 東京で全原協総会
判決の影響 懸念する声も
原発がある市町村でつくる全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協)は22日、東京都内で総会を開いた。23市町村の首長、議会議長らが出席、国との意見交換などを行った。21日に福井地裁で大飯原発3、4号機の再稼働を認めない判決が出たことに、「全国の原発でこうした判決が広がらないか心配している」との声が上がった。
本県からは品田宏夫刈羽村長、柏崎市議会の霜田彰議長らが出席。会田洋同市長は欠席した。総会では国に対して立地地域支援を、原子力規制委員会には原発の安全性を速やかに確認することなどを求める要請書をまとめ、関係機関に提出した。
意見交換で霜田議長は「大飯のような判決が続けば、規制委の審査で合格しても再稼動が認められないのではと心配している」と質問。経済産業省の田中良生政務官は「規制委が新規制基準に適合すると認められた場合は、再稼働を進めていくという方針は変わらない」と答えた。
東京電力福島第1原発がある福島県大熊町の渡辺利綱町長は「使用済み核燃料の処分について結論が出ていないことが、被災地の住民を苦しめている。国は勇気を持って決断を」と訴えた。
先生もブログ読者の方も、もしよろしければご参考までにご覧になってみてはいかがでしょうか。
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=298508966983039&id=100004718130417
なお、facebookのアカウントが無い方でも見ることができますよ。
申し訳ございませんでした。
ご指摘に一言もございません。
小野先生のブログなのに、
確かに、
私の文章は長くなりすぎました。
ごもっともです。
以降は、できるだけ、
要旨をまとめて書くようにします。
平にお許しください。
●「函館市大間町」
北海道函館市を過日、訪ねた。青森県大間町に建設中の電源開発大間原発をめぐり、市が建設中止などを求めて起こした訴訟の取材だった。
津軽海峡を挟んで最短約23キロの函館と大間は片道1時間半のフェリーで結ばれており、つながりは深い。互いに親しみを込めて「函館市大間町」と表現することもある。
町民はフェリーに乗って函館の病院に通ったり、買い物にも気軽に出掛けたりしているという。
相手は国と電源開発だが、大間との交流を思えば、函館市にとって提訴は苦渋の決断だったに違いない。
東京電力福島第1原発事故では住民の長期避難をはじめ被害が周辺自治体にも及んだ。市が理不尽だとするのは、事故後も周辺自治体を軽視し続ける原発政策の在り方だ。
国は事故を受けて防災対策を重点的に行う範囲を原発から半径30キロ圏に拡大し、過酷事故を想定した地域防災の策定を義務付けた。
だが、建設手続きで同意を求める範囲は従来の立地自治体にとどまっている。市は再三、建設凍結と同時に意見表明の場や説明会の開催を国などに求めたが、実現しなかった。
事故前の基準で審査された大間原発の建設工事が新規制基準ができる前に再開されたことは市の不信を増幅させた。新基準への適合を再稼働の条件とする既設原発との対応の違いも矛盾と映るだろう。
住民避難が混乱した福島事故を踏まえれば、有効な避難計画ができるかどうかを原発建設の条件とすべきだとする市の主張は説得力がある。
住民を守るには、原発構内のハード対策だけでは不十分ではないか。
(論説編集委員・三島亮)
●国、原発訴訟で「意見陳述不要」発言
原告 撤回求め抗議文
「解決は声聞いてこそ」
東京電力福島第1原発事故で福島県から本県に避難した住民が国と東電に損害賠償を求め、新潟地裁で係争中の訴訟で、国側が「原告の意見陳述は不要」としたことについて原告3人が29日、発言撤回を求める抗議文を新潟地方法務局に提出した。
原告の避難者は国と東電に対し、事故により避難生活を余儀なくされたとして、慰謝料などを求めている。2月の第1回口頭弁論では、3人の原告が意見陳述で避難生活での経済的、精神的な苦しさを語った。それに対し、閉廷間際、国の指定代理人が2回目以降の意見陳述をやめるよう裁判長に求めた。
抗議文は、意見陳述した1人で、福島県から胎内市に家族で避難する八島祐幸三(41)が3人の代表で書き、提出した。抗議文には「私たちの声を聞いてこそ問題の解決に近づく」などと手書きでつづった。
八島さんは抗議文提出後、「国と東電はいつも避難者の声を聞かない。意見陳述ができないなら裁判がいらなくなってしまう」と話した。
国の指定代理人は取材に対し、「意見陳述は民事訴訟上の根拠がない。毎回行うのは法律上問題。被害の実態を話すのなら、反論ができる証人尋問でやるべきだ」としている。
福島県から本県に非難した住民354人は昨年7月、1人当たり1100万円の損害賠償を求めて提訴。第2回口頭弁論は、3月に提訴した第2陣99人の初弁論と合わせて6月9日に行われる。