私のコメント欄に書き込みをされた方2名ほどから本名ではなく、ペンネームにしてくださいと依頼がきました。そのうちのおひとりと電話で話したのですが、大企業では従業員の名前をネット中でロボット検索する部門があり、その部門から不適切発言をしないようにとお叱りを受けたとのことでした。私が会社勤めをしていた1995年当時は、まだ少数のプロバイダーが一般音声電話回線にモデムで接続するサービスがようやく始まった頃でしたから、思いもよらないことでしたし、そのようなことを日本の大企業がしていることにも驚きました。
もっとも、インターネットは核攻撃を受けたときなどに通信網が途絶しないようにと開発された代物で有り、スノーデン氏が
米国NSAではネット上のあらゆる情報は盗聴されていると曝露したのも当然の話です。
最近、話題になっている原発ホワイトアウト
一説によると、ここまで曝露するとはけしからんから、現職官僚と思われる著者を特定するよう捜査が始まっている。らしいのですが、私が読んだ感想は、マスコミやネットに書かれている内容ばかりで、驚くようなことはなく、更に原発の悪口を書いているようでありながら、
・脱原発派が非合法な手段を使ってまでも情報を集めている
・フクシマの汚染はたいしたこともないのに、知的レベルがちょっとだけ高い主婦が騒ぎすぎている
・朝鮮人が送電鉄塔に細工をして、停電事故を起こしたというかなり作為を感じる設定
・厳寒期にディーゼルが起動しないという現場を知っている人間からすると全くもってナンセンスな事故原因(一ヶ月に一度はサーベランス試験をしており、いざというときに凍結のため複数号機が全く稼働しないことなどまずありえない−そもそも室内に発電機はある)
といったかなり高度な情報操作とも思われる内容も含まれており、読後感はかなり悪いものでした。(購入はお勧めできませんが、上記注意を頭に入れて読めば、電力会社の権力掌握の狡猾な方法などは参考になるかもしれません)
女性の魅力で正義感のあふれる中央官僚を籠絡したジャーナリストが取った連絡手段は、次のように書かれていました。p.140(ネタバレ含みます)
結局、二人は同一のGmailアカウントを共有して連絡を取ることにした。おなじGmailアドレスとGmailパスワードを共有し、自分から自分へメールを送る仕組みだ。これであれば一つのGmailアカウントでやりとりが閉じられているので、、メールが間違って他人に転送されたりすることもない。
(中略)
相手に読んでもらいたいメールを送るたびに、LINEでクロネコの顔のスタンプを送る。クロネコメール便を送りましたので読んでください、という意味だ。これであれば、二人のやりとりはクロネコのスタンプしか残らない。通信会社から捜査当局に開示されることがあっても、全く意味がわからないだろう。
クロネコのスタンプを受け取ったら、プライベートのスマホやパソコンでGmailを読む。端末からGmailへのアクセス記録が一定期間グーグルのサーバー上に残るのかもしれないが、地球上を駆け巡るGmailについて、発信者と受信者が実質的に特定できない状況下、しっぽをつかまれることもないだろう。
そして、本当に決定的な証拠については、必ず二人であって手渡しすることにした。ネット上に全く痕跡が残らないことが一番安全だからである。 一見完璧と思われるこの手法のどこに穴があったのか・・・種明かしは小説の後ろにかいてありました。
ネタバレですので、ご注意
p.281(情報を漏えいできる役人を特定したあとに)
警視庁は裁判所の令状を取って、携帯電話会社から、西岡の通話記録、位置情報、電子メール、インターネット・アクセスの情報を入手した。これらの情報を解析したところ、まず、西岡がLINEで頻繁に玉川に連絡を取っていることが判明したのだ・・
警視庁はすぐに、携帯電話会社から、玉川の通話記録、位置情報、電子メール、インターネットアクセスの情報を同様に入手するとともに、LINEに対しても、裁判所の令状を取って西岡と玉川とのやりとりを開示させた。
クロネコのスタンプが使われたやりとりが、ちょうど審議官の機密漏えいのあとに発見された。USBメモリーやマイクロSDカードのやりとりがされたのではないか、ということで、宅配便会社からも、西岡の自宅、玉川の自宅、玉川の勤務先等の荷物のやりとりについての情報が入手されたが、荷物のやりとりの記録は一切残っていなかった。
しかし、西岡と玉川のインターネット・アクセス記録を見ると、ちょうど同時期Gmailへの頻繁なアクセスが見られた。それをグーグルに問い合わせた結果、二人が同一のアカウントにアクセスしていることが判明したのだ。
捜査令状に基づき捜査当局が開示を請求したところ、グーグルはあっさりと電子メールの内容を開示した。 当然でしょうね。LINEでやりとりをすれば、ばれるのは当たり前。あまりにも幼稚な仕掛けにこちらが情けなくなるほどです。では、どうすれば良かったのか。その答えを言う前に、一つの本を紹介
サイモン・シンの暗号解読(上・下)
上巻に出てくる話で一番驚いたのは、ローマ時代の有名なカエサルも暗号を使っていたという事実でした。有名な
「
来て、見て、勝った」
平 文 Veni, vidi, vici,
暗号文 YHQL, YLGL, YLFL
さえも、カエサル暗号という手法で暗号化されていたのです。(私の知る限り、暗号化について触れた日本の歴史書はありません)そして、この暗号と暗号解読が歴史上、大変大きなウェートを占めていたことがひしひしと伝わってきます。また、古代くさび形文字だけで書かれた粘土板を手がかりもないままにどのように解読したかなど、知的好奇心を大変くすぐられます。
軍事通信は、、敵にも傍受される通常無線を使うため複雑に暗号化されます。暗号で大事なのは、アルゴリズム、暗号キーをどのように配布するかであり、そのことに長年苦心していたわけですが、近年のコンピューター発達で公開鍵と秘密鍵のペアで、暗号キー配布問題が解決されました。(素因数分解を用いているそうですが、私には原理など理解できませんでした)書籍の中でPGPが紹介されていますので、そのソフトを紹介いたします。ライセンスの問題があったり、Windows7ではインストールできなくなったりして困ったのですが、
Portable PGPが比較的使い勝手が良さそうなので紹介します。(Windows, Mac, Linuxバージョンがあります)
Widowsの場合は管理者権限で起動します。

起動後、キーファイルを作成(自分のキーが必要ない場合は作成する必要はありません)

次のような画面が出てきますので、電子メールアドレスとパスフレーズを決めて、キーを作ります。

作成されたPublic Keyを、暗号化ファイルを送ってもらう人に送付します。たとえば、
私の公開鍵(Public Key)
暗号を送りたい人は、その人物の公開鍵をKeyringの Public Keyのところにインポートします。
MIT PGP Public Key Serverに登録しておきますと、

から、たとえば私なら(onodekita)で検索すると公開鍵を簡単にインポートできます。

そして、いよいよ暗号化。テキストをコピーペーストするのが簡単(Targetが送りたい人物の公開鍵になっていることを確認してください)

テキストをコピーして、Encryptを押しますと・・・別のウイドーが開いて、暗号化されたテキストが表示されます。

もはや、何が何だかわかりませんね。このテキストをDecrypt ASCII-Armored Textにコピペします。

そして、復号(Decrypt)を押しますと・・

このように、自分で決めたパスフレーズを要求する入力画面が出ますので、それを入力すれば・・

と簡単に復号できました。
では、玉川はどうすれば良かったのでしょうか。私なら次のようにします。
・自分のブログを立ち上げて(ジャーナリストだから、当然持っているでしょう)、連絡を取りたいときには、ブログ主は本文に、ブログ主以外はコメント欄にある決められたフレーズを書くように取り決める。たとえば、今の時期だと「家の近くにある2本のキンモクセイが香ってきました」とか。(そして、その符号は毎回暗号メールの中でその都度、一般的な言葉で有りながら重なる可能性のない言葉を指定するようにします)
・PGPで暗号化した上で、
−2chでほとんどアクセスのないようなジャンルの掲示板にアップ。
−自分なりの掲示板をサイトの中に隠して作ってそのままアップ(掲示板作成ソフトなど、そこら中に転がっています)
−
Dropboxなどのクラウド共有ソフトに保存する。
(追記)
−ブログ主は、コメントとして暗号をサイトに埋め込み、上記「合い言葉」を記事中に入れる。(写真もあればなお良い)
(例)家の近くにある2本のキンモクセイが香ってきました

この次にコメントとして、暗号を入れます。(わかる人はこのブログのソースをご覧ください)
<!-- この両端の書式間にPGP暗号を埋め込む(改行可) -->
どうです。これならわからないでしょう?そして、メッセージを受け取る側は、コメント欄に「綺麗なキンモクセイですね。壁紙に使わせていただきました。」等の差し障りのないコメントを書く。読んだことが確認できれば、ソースの中のコメントだけ削除して、記事の内容は全く変化させない。
つまり
ブログ主 ブログの中に上記コメントとして書き込む
情報提供者 ブログに非公開コメントとしてPGP暗号を書く
不特定多数の人が覗いているブログであればあるほど、足はつきにくくなります。いくらアクセス記録を取り寄せたところで、ある程度の人気ブログであれば(ジャーナリストであれば持っている可能性が高い)疑う方が難しい。
非常に大きなファイルの場合は、暗号化(ファイル暗号化ソフトもたくさんあります。決してばれないような長いパスワードを上記PGPで送れば良い)した上で、マイクロSDに保存してはがきにセロテープでくっつけて送るのもかなり確実でしょう。(紛失しても解読される可能性がない情報ですから、足がつくことがない葉書を使えるのです。配達記録の残る宅配便などを使えば、足がつくのは当たり前です。)葉書が届いたら、ブログのコメント欄に「綺麗なキンモクセイの葉書ありがとうございました。」と書く。
ともかく、玉川のように平文でメールを送るのは最低で、さすがセキュリティに甘い日本人だよ・・と本当に思います。
もし、書くのをはばかれる内容の文章がありましたら、PGPで暗号化した上で私のメールアドレス a00@onodekita.com までおくられるか、このブログのコメント欄にお書きください。(こうすれば、捕まる可能性はありませんでしたね)

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(追記)
日本軍の暗号はとうの昔に解読され、山本五十六の撃墜命令を米国が出したときに、英国のチャーチルがそんなことをすれば、暗号解読がばれるからやめるようにと反対したのは有名な話です。日本軍の暗号はすぐにひらがなとして打ち出され、それを英訳するのに苦労したという報告もあります。暗号をもじったペンネームの方なら、もう少しお調べください。
第二次大戦における日本海軍の暗号 (暗号)暗号の一例