自費出版本を出して約4ヶ月。いろいろな方に教えてもらって、直販とAmazonでの販売が軌道に乗ってきました。ネットや新聞を見たりしますと、自費出版にはいろいろと魅力があるようですので、今までの経験を少しまとめてみました。「自費出版」の甘い罠に引っかからないように、くれぐれもお気をつけください。
赤字にならない個人出版までの流れを大きくまとめてみます。
1.書籍の内容
本の中身がなければどうしようもありません。原稿を書くには一朝一夕ではとても終わりませんので、こつこつとブログなどで発表していくことが一番近道です。1年もたてばそれなりの資料と原文が集まり、読者も少しはいるはずです。自費出版、個人出版する際には、宣伝費などかけれませんから、日々の積み重ね以外にはないでしょう。
2.出版社の設立
自分で出版社を起こすのは大変だと思うかもしれませんが、ネットが発達した現在となってはたいした手間はかかりません。既設の出版社を使うと、いわゆる「自費出版」のくくりとなり、書店流通も可能となりますが、法外な印刷料を取られます。流通している本の裏表紙には、ISBNコードとJANコードが必ず印刷されています。出版社を設立するとは、このISBNコードを個人で取得することであって、税務署などに法人の設立などを届け出る必要はありません。
日本図書コードセンターで申請さえすれば、ISBNの取得は可能です。
必要費用 ISBN出版者記号の申請費用は、出版者記号の桁数によって申請時の料金が異なります。現在発行している『7桁出版者記号』を申請する場合は17,850円(国際本部運営資金2,100円を含む)、『6桁出版者記号』の場合は30,450円(国際本部運営資金4,200円を含む)が必要になります。
書籍JANコードの申請費用は、申請者の直近決算期1年間の全書籍の売上高によってランク別に設定されています。書籍JANコードの登録申請でご参照ください。書籍JANコードの登録有効期限は3年間です。7桁出版社記号 17,850円は、10冊までの出版が可能
6桁出版者記号 30,450円は、100冊までの出版が可能
たとえば、私が取得したISBNコードは
978-4-9906770-A-X
です。この2番目のカラムが7桁を表し、3番目にあたるAの部分で 0〜9 までの採番が可能になりますので、計10冊の書籍を発行出来るわけです。
たとえば、新潮社のコードを見ますと
978-4-10-AAAAAA-X で、可変部分が6桁 すなわち100万種の本を発行出来るわけですね。
そして、書店やAMAZONで販売したい場合には、JANCODEの取得も必要となります。この費用は、
こちらに紹介されています。
最初に依頼する場合(そして、個人の場合には1億円を超えることはありませんでしょうから、10,500円/3年)の費用がかかります。
しめて、17,850+10,500= 28,350円 の費用が出版社を設立し、コードを取得するための費用となります。
新規登録の場合には、
このページ下部にある申し込みボタンで、ISBNコードおよびJANコードの申し込みが可能です。出版社の所在を確かめるために、確認電話がかかってきます。その後、書類が送られてきますので、バーコード用の番号を自分で採番します。

一度登録いたしますと、
こちらの画面から入稿することによって、書籍データベースに登録されます。

この手続きをすることによって、Amazonで販売が可能となります。
参考サイト3.入出金口座の作成
自費出版をするとなりますと、金銭の授受にたいする口座がどうしても必要となります。出版社名の銀行口座を作成することは、かなり困難となりますので、私としては郵便振替口座の作成をおすすめします。
こちらのページなどをご参考に。一週間程度で書類が送られてきます。また、無料でインターネットバンキングである郵貯ダイレクトも利用出来ますので、あわせて申し込むといいでしょう。
4.引用などの許諾、イラスト作成
自分史ならばいざ知らず、何かの本を書こうとすると参考文献はどうしても欠かせません。商業出版であるならば、編集者がすべて許諾をとってくれますが、自費出版の場合にはそれを全部自分で行う必要があります。一応、著作権上の例外規定として、次のように決められています。
正当な引用の場合 (32条)
(1)公表されている著作物であること
(2)公正な慣行に合致すること
(3)報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内であること
(4) 他人の著作物を引用する必然性があること。
(5) かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
(6) 自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
(7) 出所の明示がなされていること。(第48条) 一応、このように明示されていますが、会社によって異なります。大手新聞社の場合は、1記事に対して5000円程度。地方新聞社は0円〜1000円。です。私は、「はだしのゲン」の一シーンがどうしても使いたくて、出版社経由で中沢啓治先生のご自宅に直接電話をしてOKをいただきました。また、ドイツの海洋汚染シミュレーションは、ドイツ在住の日本人の方に著作権者と話をつけていただいたりと、かなり手間がかかります。特にイラスト、図表関係は部分引用ができません。すべて描き直すか、著作権者に許諾をもらう作業が必要となります。(一番面倒で、秘書がほしいと思うところです)
5.印刷
今はDTPが発達していますし、印刷会社はあらゆるところにあります。自分でISBNコード、JANコードをとり流通させると言うことであれば、出版社に頼む必要は全くありません。地元の印刷会社に相談して、見積もりをとり、原稿を仕上げていく方法が一番安上がりです。印刷部数500〜2000部までは、印刷コストがほとんど変わりません(版元を作る費用−固定費−が大部分を占める)。中小出版の最低印刷部数は、3000部と聞きました。しかしながら、2000部ともなればかなりの物量です。6畳一間がつぶれると考えれば、当たらずとも遠からず。しかもかなりの重量で運ぶのも一苦労。先日2000部を納入してもらったときには、大人4人がかりで階段を使って2階に上げるのに約20分程度かかりました。この倉庫の場所も十分に考えておく必要があります。
6.Amaznoの流通を使った販売
ISBNコードを取得すれば、
Amazon e託サービスで書籍を売ることができます。これはなかなか優れたサービスで、年会費9000円で、アマゾンの決済サービス、在庫を使うことができます。しかし、仕切り値が60%で、しかも郵送料はこちら持ちの条件ですから、最初に書籍の定価をつけるときによく考えておかないと、得れば売るほど赤字が増えるということになりかねません。
そして、一度販売を始めると、週に3回の納入依頼が来ます。そのたびに梱包して、発送するのはかなりの手間がかかりますし、郵送料も馬鹿になりません。そもそも、郵送用の段ボールを用意することだって、一般の人にとっては、かなり面倒な話です。(私は取引のある薬問屋から、必要な段ボールを分けてもらっています)
クロネコヤマトなどを使用しますと20冊程度を郵送するのにも1000円以上のコストが平気でかかります。
この頻回の納入以来は、かなり金額がかかりますので、次のようなサービスも用意されています。
30回で10,500円ですから、かなり割安。10回以上利用出来れば、元は取れます。Amazonの納入は、1週間以内と決められていますので、私自身は月、水、金 の注文を1度に金曜日に発送することにしています。
Amazon e託のイメージ

毎日どれだけ売れたか、そしてどれくらいの在庫量があるかまで、すべて一目瞭然。需給予測に基づいて2週間分の在庫を持つように調整している感じです。
7.直販ルートの場合
私のホームページからも注文出来るようになっています。この
フォームは、
メールフォームプロ という無料のソフトを利用させていただいています。
決済手段としては
・ゆうちょ銀行
・振替口座
・楽天銀行
・Paypal
を準備しています。
Paypalは、以前海外との方から注文があった際に、いろいろと研究して、使えるようにいたしました。なお、年間10万円以上の現金を抜き出す場合には、
厳格な本人確認が必要となります。ご注意ください。
なお、Paypal利用に当たっては、少額の決済手数料以外には年会費、入会費などが必要とされません。その点も個人出版利用者にとってはありがたい話だと思います。
メールフォームプロからデータをとることができても、そのデータを間違いなく商品に反映するには、かなりの手間が必要です。幸い私はAccessを利用していた経験がありますので、自力でソフトを作り上げましたが、大量に送付する場合にはそこが一番ネックになるかも知れません。
ゼロから自作の処理ソフト(非売品)

というわけで、最後は宣伝
おかげさまで売れ行きはまずまずで、2000部の初版が売り切れ、2000部の増刷を行いました。本の中で中国新聞の引用をしており、そのお礼として送った書籍で、
書評を書いていただきました。